JP2840145B2 - p−メンタン−2−メチル−3,8−ジオール及びp−メンタン−2−メチレン−3,8−ジオール - Google Patents

p−メンタン−2−メチル−3,8−ジオール及びp−メンタン−2−メチレン−3,8−ジオール

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、それ自体実質的に無臭
の化合物であって、有害生物忌避剤として極めて優れた
持続効果を有する新規化合物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】蚊等の
有害生物から身を守るために、有害生物忌避剤として
N,N−ジエチルトルアミドが広く用いられている。ま
た、p−メンタン−3,8−ジオールにも強い忌避効果
があることが知られている(特開昭60−199804
号公報)。
【0003】しかしながら、前者のN,N−ジエチルト
ルアミドは特異な臭いを有し、また後者のp−メンタン
−3,8−ジオールは忌避効果の持続性に欠ける等の問
題がある。このため、上記のような問題を解決しうる新
規な有害生物忌避剤の開発が望まれていた。
【0004】本発明の目的は、優れた有害生物忌避効果
を有し、不快臭の無い有害忌避剤として有用な新規化合
物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、有害生物忌避剤として強い効果を有し、且つ特
異な臭いを有しない新しい有害生物忌避剤を開発すべく
鋭意研究した結果、新規化合物の合成に成功し、またこ
の化合物が優れた有害生物忌避効果の持続性を有するこ
とを見出した。即ち本発明は、下記構造式
【化3】 で表されるp−メンタン−2−メチル−3,8−ジオー
ル、及び下記構造式
【化4】 で表されるp−メンタン−2−メチレン−3,8−ジオ
ールである。
【0006】以下、本発明の構成の詳細について説明す
る。本発明のp−メンタン−2−メチル−3,8−ジオ
ール(以下、MMDと略称する)は、2,3,7−トリ
メチル−6−オクテナール(以下、TOと略称する)を
硫酸等の酸水溶液と混合撹拌することにより得ることが
できる。また、本発明のp−メンタン−2−メチレン−
3,8−ジオール(以下、MMEDと略称する)は、
3,7−ジメチル−2−メチレン−6−オクテナール
(以下、DMOと略称する)を硫酸等の酸水溶液と混合
撹拌することにより得ることができる。
【0007】本発明のMMD及びMMEDを得るための
それぞれの原料物質である2,3,7−トリメチル−6
−オクテナール(TO)又は3,7−ジメチル−2−メ
チレン−6−オクテナール(DMO)は、いずれもシト
ロネラールより容易に得られる化合物であることが知ら
れている(USP3,463,818号公報)。
【0008】上記の合成方法により得られるMMD及び
MMEDは、いずれも臭いがほとんどなく、無色透明の
油状物である。
【0009】また、これらの油状物にカラム処理等を施
し、シス体及びトランス体を単離することにより結晶と
して取り出すこともできる。このMMD及びMMED
は、シス体及びトランス体のいずれでも蚊などの有害生
物に対し忌避効果に優れている。
【0010】本発明の化合物を有功成分として、通常に
用いられる化粧料又は医薬品の基剤(ベース)に配合す
ることによって、種々の剤型の有害生物忌避剤を得るこ
とが可能である。そして、本発明の化合物の含有量は、
製剤形態、使用方法、その他の条件によって異なるが、
一般的にはその配合量を0.1%〜90%、特に3%〜
20%とすることが好ましい
【0011】本発明の化合物は、ヒトスジシマカ等の
蚊、ヤスデ、ヨトウムシ、ナメクジ等の有害生物に使用
される。
【0012】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、以下における%表示は、特に指定しない
限り重量%を意味する。
【0013】実施例1 50gのTOを20%硫酸水溶液300g中に徐々に添
加した後、20時間激しく混合撹拌した。この反応溶液
から150mlのジエチルエーテルを用いて抽出し、ジ
エチルエーテル層を10%炭酸ナトリウム水溶液100
mlにて2度洗浄した後、更に飽和食塩水100mlに
て2度洗浄した。
【0014】このジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥後、ジエチルエーテルを除去することによ
り、粗反応生成物を得た。この粗反応生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢
酸エチル=4/1)にて精製することにより、無色透明
の油状物43g(収率74.5%)を得た。
【0015】得られた油状物のマススペクトル測定にお
いては、〔親ピーク分子量〕−18(H2 O由来)のピ
ークを認め、元素分析においては、C=70.87%、
H=11.93%の実測値(C,Hの理論値はC=7
0.92%、H=11.90%)を示した。更に、赤外
吸収スペクトルの測定によって、3400cm-1及び1
180cm-1に水酸基による強い吸収を確認した。ま
た、環状構造に由来する吸収である1480cm-1、9
20cm-1〜940cm-1に吸収を確認した。その結
果、MMDの生成を確認した。
【0016】実施例2 50gのDMOを20%硫酸水溶液300g中に徐々に
添加した後、20時間激しく混合撹拌した。この反応溶
液から150mlのジエチルエーテルを用いて抽出し、
ジエチルエーテル層を10%炭酸ナトリウム水溶液10
0mlにて2度洗浄した後、更に飽和食塩水100ml
にて2度洗浄した。
【0017】このジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥後、ジエチルエーテルを除去することによ
り、粗反応生成物を得た。この粗反応生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン/酢
酸エチル=4/1)にて精製することにより、無色透明
の油状物43g(収率74.5%)を得た。
【0018】得られた油状物のマススペクトル測定にお
いては、〔親ピーク分子量〕−18(H2 O由来)のピ
ークを認め、元素分析においては、C=71.72%、
H=10.88%の実測値(C,Hの理論値はC=7
1.69%、H=10.94%)を示した。更に、赤外
吸収スペクトルの測定によって、3400cm-1及び1
180cm-1に水酸基による強い吸収を確認した。ま
た、環状構造に由来する吸収である1480cm-1、9
20cm-1〜940cm-1に吸収を確認した。その結
果、MMEDの生成を確認した。
【0019】以下に本発明の応用例を示す。 応用例1,2及び比較例1,2 〔リペルローション〕 下記表1の組成に従って、応用例1,2及び比較例1,
2のリペルローションを調製し、下記有害生物忌避試験
を実施した。尚、N,N−ジエチルトルアミドは従来よ
り有害生物忌避剤として用いられているものであり、ま
た、p−メンタン−3,8−ジオールは高い忌避効果を
有することで知られている化合物である。
【0020】
【表1】
【0021】有害生物忌避試験 (1)有害生物忌避効果及びその効果持続性の試験方法ヒトスジシ マカの成虫に対する忌避効果を調べるために
以下の試験を室温30℃、湿度70%の恒温室において
行った。左右の前腕に各試験試料を10ml塗布した
後、羽化後5〜7日経過したヒトスジシマカの成虫の雌
雄50匹づつが入った20cm×15cmの袋状金網
に、それぞれの腕を15分間差入れ吸血の時間を与え
た。この施行を、30分、1時間、4時間、及び6時間
後に行い、吸血の時間内の吸血の跡の数を求め、次の式
から忌避率を算出した。
【数1】 X:試験液を塗布しない場合の吸血の跡の数 Y:試験液を塗布した場合の吸血の跡の数
【0022】(2)結果 前記応用例1,2及び比較例1,2について、上記ヒト
スジシマカ成虫に対する吸血忌避試験を行った結果を表
2に示した。表2から明かなように、本発明のMMD及
びMMEDは優れた有害生物忌避効果を奏し、しかもそ
の効果の持続性に優れていた。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】以上記載のように、本発明は、有害生物
忌避剤として優れた効果とその持続性を有するp−メン
タン−2−メチル−3,8−ジオール及びp−メンタン
−2−メチレン−3,8−ジオールを提供するものであ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般構造式 【化1】 で表されるp−メンタン−2−メチル−3,8−ジオー
    ル。
  2. 【請求項2】 下記一般構造式 【化2】 で表されるp−メンタン−2−メチレン−3,8−ジオ
    ール。
JP26821991A 1991-09-02 1991-09-18 p−メンタン−2−メチル−3,8−ジオール及びp−メンタン−2−メチレン−3,8−ジオール Expired - Fee Related JP2840145B2 (ja)

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