JP2883710B2 - パッケージの解舒張力付与装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、パッケージ（糸を所定の形状に巻き上げ
たもの、いわゆる給糸体をいう、以下同じ）から糸を軸
方向に解舒するに際し、糸に対して所定の解舒張力を付
与するためのパッケージの解舒張力付与装置に関する。

従来技術 繊維工業において、糸をボビン上に所定の形状になる
ように巻き上げ、パッケージとして取り扱うことが多
い。

このようなパッケージは、その表層部分から解舒した
糸に対し、所定の加工や処理が行なわれる。なお、パッ
ケージからの糸の解舒は、たとえばサイジング加工や織
機ビームを作るとき等のように織機の経糸としての加工
処理を行なう場合は、多数個のパッケージをクリール上
に並べて装架し、それらのパッケージから一斉に糸を解
舒しなければならない。また、パッケージから糸を解舒
するときは、糸に対して適当な解舒張力を与えることが
必要である。無張力で糸を解舒すると、有害なビリ（ス
ナール）が発生したり、糸が絡んだりするおそれがある
からである。

かかる目的に使用される解舒張力付与装置として、無
端の布状の摩擦体Ｆを使用するものが知られている（第
９図）。パッケージＰは、スピンドルSPを介し、図示し
ないクリールフレームに対してほぼ水平方向に装架され
ており、パッケージＰの側方には、パッケージＰの軸Pc
と平行に固定ロッドRDが配設されている。摩擦体Ｆは、
一端をパッケージＰの外周に巻き掛け、途中を固定ロッ
ドRDに掛けた上、垂下させた他端側に重錘Ｗを載せてい
る。

摩擦体Ｆには、重錘Ｗの重量に応じた張力が発生し、
摩擦体Ｆは、この張力に応じてパッケージＰの周面に力
を及ぼし、パッケージＰの表面から解舒する糸Ｙに対し
て所定の解舒張力を付与することができる。糸Ｙは、パ
ッケージＰと摩擦体Ｆとに挟まれながら、軸Pc方向に引
き出せされるからである。

発明が解決しようとする課題 かかる従来技術によるときは、パッケージの更新等に
際し、パッケージに対する摩擦体の掛け外しが面倒であ
り、作業性がよくないという問題があった。

そこで、この発明の目的は、固定ロッドに代えて移動
可能な作動部材を使用することにより、必要に応じて摩
擦体をパッケージに接触させ、またはパッケージから離
すことができ、パッケージの更新等における作業性を大
幅に向上させることができるパッケージの解舒張力付与
装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、長手
方向に張力を加えてパッケージの側方に配設する屈曲自
在な帯状の摩擦体と、パッケージの軸に平行に移動して
摩擦体を屈曲させ、摩擦体をパッケージの周面に接触さ
せる作動部材とを備えることをその要旨とする。

なお、摩擦体は、複数のパッケージに共通に接触させ
てもよい。

作用 かかる発明の構成によるときは、摩擦体は、作動部材
を移動することにより屈曲させてパッケージに接触させ
ることができ、パッケージから解舒される糸に対し、所
定の解舒張力を与えることができる。また、摩擦体は、
作動部材を退避させることによりパッケージから離すこ
とができるから、パッケージの更新に際し、パッケージ
に対する摩擦体の掛け外し作業を全く必要としない。パ
ッケージから解舒している糸が切断した際に、新しい糸
端をパッケージから引き出すときも同様である。

なお、摩擦体が複数のパッケージに共通に接触すると
きは、摩擦体に張力を与えるための重錘等の数を少なく
することができる。

実施例 以下、図面を以って実施例を説明する。

パッケージの解舒張力付与装置は、パッケージ１の両
側に垂下して配設する一対の摩擦体11、11と、摩擦体1
1、11の両外側に配設する作動部材21、21、22、22とを
備えてなる（第１図）。

パッケージ１は、ボビン1aの外周に所定の巻形状とな
るように糸を巻いたものである。パッケージ１の巻形状
は、両端部が平行なパラレルチーズが一般的であるが、
（第２図（Ａ））、一端部にテーパ部1bを有するもの
（同図（Ｂ））、両端部にテーパ部1b、1bを有するもの
であってもよい（同図（Ｃ））。パッケージ１は、クリ
ールフレーム２にほぼ水平に突設するスピンドル2aをボ
ビン1aに挿通することにより、クリールフレーム２に対
してほぼ水平に装架されている（第１図、第３図）。

摩擦体11、11は、パッケージ１の少なくとも糸Ｙの引
出し側の端部を覆うように、一定の幅ｄを有する帯状に
形成され、その上端は、クリールフレーム２に固定され
ている。摩擦体11、11の下端には、それぞれ重錘11aが
連結されており、その自然状態における間隔Ｄは、パッ
ケージ１の最大径よりいくぶん大きいものとする。摩擦
体11、11は、布、プラスチックフィルム、ゴムシート等
のシート状の部材からなり、屈曲自在であるものとす
る。

作動部材21、21、22、22は、摩擦体11、11の両外側
に、パッケージ１の上方と下方とに分割して、それぞれ
パッケージ１の軸1cと平行に配設されている。作動部材
21、21、22、22は、摩擦体11、11の幅ｄより長い棒材で
あり、図示しない駆動機構により、摩擦体11、11を挟む
各一対が互いに接近する方向に移動して作動位置をとり
（第１図の二点鎖線）、また、互いに離間する方向に移
動して退避位置をとることができる（同図の実線）。

いま、パッケージ１の軸1c方向に糸Ｙを引き出し（第
３図）、作動部材21、21、22、22を作動位置に移動させ
れば、摩擦体11、11は、それぞれパッケージ１の上方と
下方とにおいて作動部材21、22によって屈曲させられ、
パッケージ１の周面に接触する（第１図）。このとき、
摩擦体11、11には、重錘11a、11aの重量に応じて長手方
向に張力が加わっているから、糸Ｙは、パッケージ１の
表面と摩擦体11、11とに挟まれることにより、適切な解
舒張力を得ることができる。また、作動部材21、21、2
2、22を退避位置に移動させれば、摩擦体11、11は、パ
ッケージ１から離れて鉛直に垂下し、パッケージ１や、
パッケージ１から糸Ｙに対し、何らの力も及ぼすことが
できない。よって、パッケージ１の更新等の際には、作
動部材21、21、22、22を退避位置に移動し、新しいパッ
ケージ１を装架したら、それらを作動位置に復帰して、
運転を続行すればよい。

他の実施例 下方の作動部材22、22は、その一方を斜め上方に大き
く移動して作動位置とし、他方は、水平方向に小さく移
動して作動位置とすることができる（第４図）。大きく
移動する側の作動部材22に対応する摩擦体11は、作動部
材22の移動距離を調節することにより、パッケージ１に
対する接触長さを広い範囲に調節することができるか
ら、糸Ｙに付与する解舒張力の大きさも、広範囲に調節
することが可能である。

摩擦体11を単一とし、それに対応する下側の作動部材
22のみを設けてもよい（第５図）。作動部材22は、下側
に湾曲する揺動アーム22aの先端に固着されており、揺
動アーム22aは、固定軸22bのまわりに揺動可能になって
いる。揺動アーム22aを同図の矢印方向に揺動させるこ
とにより、作動部材22は作動位置をとり、摩擦体11をパ
ッケージ１の周面の下側に接触させることができる（同
図の二点鎖線）。

前実施例の摩擦体11に対し、パッケージ１を挟む他方
側にも摩擦体11を設け（第６図）、後者の摩擦体11は、
斜め下方に大きく移動する作動部材21により、パッケー
ジ１の上方から接触させることができる。ただし、ここ
では、後者の摩擦体11に対して補助作動部材23を設け、
補助作動部材23は、作動部材21と同期して水平方向に小
さく移動し、作動部材22側の摩擦体11との機械的干渉を
避けることができる（同図の二点鎖線）。また、補助作
動部材23は、作動部材21とともに退避位置に後退し、摩
擦体11をパッケージ１から一層遠くに離すことができる
（同図の実線）。

摩擦体11、11は、上下に並設する複数のパッケージ
１、１に対し、共通に接触させることができる（第７
図）。摩擦体11、11の上端部は、作動部材21、21、22、
22と同期して水平移動する補助作動部材24、24に連結
し、下端部は、摩擦体11、11を相互に連結するととも
に、共通の重錘11aを載せている。補助作動部材24、2
4、作動部材21、21、22、22により、パッケージ１、１
の上方、中間、下方の３点を挟み込み、パッケージ１、
１に対し、摩擦体11、11を同時に接触させることができ
る。

なお、この実施例において、上下に並設するパッケー
ジ１、１は、任意の個数であってもよい。また、そのよ
うなパッケージ１、１…の列を複数行に並設し、各列に
対する補助作動部材24、24、作動部材21、21、22、22
は、共通の駆動機構により一斉に作動位置と退避位置と
に駆動することも可能である。

摩擦体11、11は、左右に並設する複数のパッケージ
１、１…に対して共通に接触させてもよい（第８図）。
作動部材21、21、22、22……は、パッケージ１、１…の
左右両側と各中間において摩擦体11、11を挟み込むこと
ができる。なお、摩擦体11、11は、一端をクリールフレ
ーム２に固定し、他端側は、ガイド部材25、25を介して
垂下させ、両者を連結して重錘11aを載せている。

第７図、第８図において、摩擦体11、11の連結部は、
たとえば図示しないファスナ等の連結部材を介し、分離
可能に連結してもよい。重錘11aを交換し、摩擦体11、1
1に加える張力を調節するときに便利である。

また、以上の各実施例において、摩擦体11、11の幅ｄ
は、パッケージ１の全長にほぼ等しくし、または、それ
よりいくぶん大きくしてもよい。さらに、重錘11aは、
摩擦体11に対して適切な張力を加えるものであるから、
適当なばね部材に代えてもよい。

発明の効果 以上説明したように、この発明によれば、屈曲自在な
帯状の摩擦体と、摩擦体を屈曲させてパッケージに接触
させる作動部材とを組み合わせることによって、摩擦体
は、作動部材を作動位置に移動させて糸に解舒張力を与
えることができ、作動部材を退避位置に移動させてパッ
ケージから離すことができるから、パッケージの更新等
に際して摩擦体をパッケージに掛け外しする必要がな
く、作業性を大幅に向上することができる上、パッケー
ジの更新と、それに付随する一連のクリール作業の自動
化も簡単に実現することができるという優れた効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は実施例を示し、第１図は正面説明
図、第２図（Ａ）ないし（Ｃ）はパッケージの巻形状を
示す側面図、第３図は第１図の要部側面図である。 第４図ないし第６図は、それぞれ別の実施例を示す第１
図相当図である。 第７図は、さらに他の実施例を示す斜視説明図である。 第８図は、さらに別の実施例を示す第１図相当図であ
る。 第９図は、従来例を示す斜視説明図である。 １……パッケージ 1c……軸 11……摩擦体 21、22……作動部材

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】長手方向に張力を加えてパッケージの側方
   に配設する屈曲自在な帯状の摩擦体と、パッケージの軸
   に平行に移動して前記摩擦体を屈曲させ、該摩擦体をパ
   ッケージの周面に接触させる作動部材とを備えてなるパ
   ッケージの解舒張力付与装置。
2. 【請求項２】前記摩擦体は、複数のパッケージに共通に
   接触することを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   パッケージの解舒張力付与装置。