JP2883662B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、Ｌ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネ
シウム塩水溶液に酒石酸またはその塩を併用してなる保
存安定性（沈殿物，外観），官能特性（匂い）に優れた
皮膚化粧料に関する。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

Ｌ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩は
水溶性で経皮吸収されると生体内でフォスファターゼな
どの酵素によって加水分解されＬ−アスコルビン酸が遊
離しビタミンＣ活性を示す。このことによって皮膚化粧
料にＬ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩
がひんぱんに配合されている。

しかしながら、Ｌ−アスコルビン酸リン酸エステルマ
グネシウム塩水溶液は経時的に沈殿物（おり）が発生し
たり変色しその経皮吸収性が低下する問題が指摘されて
いる。

この課題の解決策として、例えば特開昭61−130205に
はアスコルビン酸誘導体に炭素数６〜10のジカルボン酸
を配合することによって沈殿・変色の生じない安定化し
た水系組成物が開示されている。

しかし、この特開昭61−130205に用いている炭素数６
〜10のジカルボン酸はアルコールや液状油に溶解するが
水への溶解性は必ずしもよくなく水系への配合は特に低
温時、困難で結晶が析出する。

また、特開昭62−63597はＬ−アスコルビン酸リン酸
エステルマグネシウム塩水溶液に有機カルボン酸または
その塩を配合することによって当該水溶液のおりを防止
するというものだが、そこで使用される有機カルボン酸
またはその塩はコハク酸ナトリウム，フマール酸ナトリ
ウム，クエン酸ナトリウム，ピリドンカルボン酸ナトリ
ウム，エデト酸ナトリウム，グリチルリチン酸，グリチ
ルリチン酸アンモニウム，グリチルリチン酸カリウムな
どをあげているが、その効果は充分でない。

さらに、特開昭63−243014はＬ−アスコルビン酸−２
−リン酸エステルマグネシウム塩に非イオン界面活性
剤、電解質を配合する皮膚化粧料であるが、そこでの電
解質もまたクエン酸，コハク酸の塩をあげている。しか
しながら、Ｌ−アスコルビン酸−２−リン酸エステルマ
グネシウム塩の安定性（沈殿，変色）は充分でない。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は前記の問題に鑑み鋭意研究したところ、Ｌ−
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩水溶液に
酒石酸またはその塩を併用を併用することによってＬ−
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩水溶液の
経時変化（沈殿物の発生や変色，変臭）を防止できるこ
とを見いだし本発明を完成した。

すなわち、本発明はＬ−アスコルビン酸リン酸エステ
ルマグネシウム塩、酒石酸またはその塩、および水を必
須成分として含有なる皮膚化粧料である。

本発明に用いられる酒石酸またはその塩はその光学活
性体やラセミ体をも含む。

本発明に用いられるＬ−アスコルビン酸リン酸エステ
ルマグネシウム塩の配合量は化粧料の総量を基準として
好ましくは0.1〜10重量％、特に好ましくは１〜５重量
％の範囲である。0.1重量％以下では化粧効果が期待で
きなく、10重量％以上では溶解性がわるく沈殿等の原因
となる。

本発明に用いられる酒石酸またはその塩の配合量は本
皮膚化粧料の総量を基準として好ましくは0.1〜5.0重量
％、特に好ましくは0.5〜3.0重量％の範囲である。ま
た、２つ以上を組み合わせても前記の範囲内である。0.
1重量％以下ではＬ−アスコルビン酸リン酸エステルマ
グネシウム塩水溶液の経時変化を十分防止できず、5.0
重量％以上では本皮膚化粧料の官能特性がわるくなると
共に皮膚刺激がでる傾向にある。

本発明の皮膚化粧料には上記の必須成分の他に、必要
に応じて色素，香料，防腐剤，界面活性剤，紫外線吸収
剤，酸化防止剤，保湿剤，高分子，金属イオン封鎖剤等
を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合せしめるこ
とができる。

本発明の皮膚化粧料は化粧水，乳液，クリーム，パッ
ク，エッセンス等に適用される。

〔実施例〕

以下、実施例について説明する。

実施例に示す配合量の単位は重量％を意味する。実施
例において調べた保存安定性試験（沈殿物，外観），官
能特性試験（匂い）の試験方法は下記の通りである。

（１）保存安定性試験 （沈殿物） 試料を40℃，室温にそれぞれ６ケ月間放置し、その沈
殿物の有無を専門検査員３人によって肉眼にて調べた。
評価基準は次のように３段階にて行った。

1.沈殿物がない（良好） 2.微かな沈殿物がある（やや不良） 3.沈殿物がある（不良） （外観） 上記の試料の外観、つまり着色度合いを専門検査員３
人によって肉眼にて調べた。評価基準は次のように３段
階にて行った。

1.変色しないか、微かに変色する（良好） 2.黄色に若干、変色する（やや良好） 3.褐色に変色する（不良） （２）官能特性試験 （匂い） 試料を塗布したときの匂いを専門検査員３人によって
調べ、総合評価した。評価基準は次のように３段階にて
行った。

1.ほとんど匂いがない（良好） 2.わずかな匂いがある（やや良好） 3.匂いがある（不良） 実施例１〜7,比較例１〜３ 第１表記載の処方（重量％）で皮膚化粧料を次の通り
調製した。表中成分１〜11を14に溶解し、ついで成分1
2、13を溶解したものを加え、皮膚化粧料を調製しその
特性を第１表に併せて示した。

第１表から判るように本発明に従いＬ−アスコルビン
酸リン酸エステルマグネシウム塩、酒石酸またはその塩
及び水を含有する実施例１〜７の皮膚化粧料の保存安定
性、官能特性はいずれも優れていた。

それに対し、クエン酸塩、dl−リンゴ酸塩、コハク酸
塩を酒石酸またはその塩の代わりに用いた比較例１〜３
の皮膚化粧料の保存安定性、官能特性はいずれも劣って
いた。

〔発明の効果〕 以上、記載のごとく本発明の皮膚化粧料は経日によっ
てＬ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の
沈殿物の発生や変色がなく保存安定性に優れ、かつ、匂
いの変化もないか、もしくは少なく官能特性に優れてい
ることは明らかである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｌ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネ
   シウム塩、酒石酸またはその塩、および水を必須成分と
   して含有してなる皮膚化粧料。