JP2880582B2 - ショートアーク型高圧水銀灯 - Google Patents

ショートアーク型高圧水銀灯

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショートアーク型の高
圧水銀灯に関し、更には半導体製造における焼付け工程
の露光用光源に適したショートアーク型の高圧水銀灯に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ショートアーク型高圧水銀灯は、石英ガ
ラス製の発光管の中央に球形や楕円球形の発光空間囲繞
部が形成され、発光空間囲繞部内に陽極と陰極が3mm程
度の間隔で対向配置されている。そして、発光管内に所
定量の水銀と希ガスが封入されており、両電極間でアー
ク放電する。かかるショートアーク型高圧水銀灯は、各
種の用途に利用されているが、例えば半導体製造におけ
る焼付け工程において、ショートアーク型高圧水銀灯か
ら放射するg線(波長が436nmの紫外線)やi線(波
長が365nmの紫外線)を利用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体露光
用の波長としては、回路パターンの微細化に伴って、よ
り波長の短いi線が主流になりつつあり、i線の半値巾
もより狭いものが求められている。このため、水銀の封
入量を少なくしているが、水銀の封入量を少なくする
と、ショートアーク型高圧水銀灯は、水銀を早く蒸発さ
せるために定電力制御点灯されるので、ランプ電流が増
大する。そして、ランプ電流が増大すると、大きな電源
を必要とするだけでなく、ランプ寿命も短くなる不具合
がある。従来、ランプ電流を下げるために、希ガスの種
類やその封入圧力を検討することによって対処していた
が、十分にランプ電圧を下げることができず、かつi線
の半値巾が太くなってシャープなi線を放射することが
できない。そこで本発明は、ランプ電流が低下し、ラン
プ寿命も長くて半導体露光用の光源に適したショートア
ーク型高圧水銀灯を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明は、石英ガラス製の発光管内に水銀と希ガ
スが封入され、発光管中央の発光空間囲繞部内に一対の
電極が対向配置され、定電力制御で点灯されるショート
アーク型高圧水銀灯において、発光空間囲繞部の内面に
波長が250nmの紫外線を50%以上吸収する薄膜を形
成し、かつ発光管内に水銀と希ガスとのモル比で5×1
-4以上の水素ガスを封入する。
【0005】
【作用】本発明者は、前記の目的を達成するために、鋭
意調査研究した結果、水素ガスが有効であることを見出
し、本発明を完成したものである。すなわち、ショート
アーク型高圧水銀灯は、定電力制御で点灯され、発光管
内に水素ガスを封入するとランプ電圧が上昇し、ランプ
電流値が低下する。封入された水素ガスは、発光管の温
度が700℃以下であれば発光管内に拡散して外部に抜
けることはない。しかし、数十時間点灯すると、水素ガ
スが短波長の紫外線によって活性化され、石英ガラスと
反応する。その結果、水素ガスが石英ガラス内に導入さ
れ、発光管の壁面にSiOHが生成して封入された水素
ガスが消費されてしまう。ところが本発明は、発光空間
囲繞部の内面に波長が250nmの紫外線を50%以上吸
収する薄膜を形成するので、紫外線がこの薄膜に吸収さ
れ、前記の反応が進行せず、長時間点灯しても封入され
た水素ガスが残留する。このため、ランプ電圧が上昇す
るが、定電力制御されるので、電流値が低下する。つま
り、電源を小型化することが可能になり、ランプ寿命も
長くなる。かかる効果を得るためには、水素ガスの封入
量は水銀と希ガスとの封入モル比で5×10-4以上必要
であるが、水素封入量をあまり多くすると、発光管が早
期に黒化したりランプ特性が劣化するなどの不具合が生
じるので、5×10-3以下にするのが好ましい。
【0006】
【実施例】以下に図面に示す実施例に基いて本発明を具
体的に説明する。図1は、半導体露光用光源として使用
される消費電力が2KWのショートアーク型高圧水銀灯
を示す。石英ガラス製の発光管1の中央が球形をした発
光空間囲繞部2であり、発光空間囲繞部2の両側から封
止管部5が伸び、封止管部5の先端に口金6が取り付け
られている。そして、発光空間囲繞部2内に陰極3と陽
極4が対向配置されている。陽極4は、酸化トリウムを
含有したタングステンで構成され、外周にジルコニウ
ム、タンタル、ジルコニウムとタンタルの混合部などの
ゲッター材が付着したゲッター線 41 が巻き付けられて
いる。発光管1内には、所定量の水銀と希ガスおよびこ
の水銀と希ガスとの封入モル比で5×10-4以上の水素
ガスが封入されている。水素ガスは、キセノンガスとと
もに直接封入してもよく、あるいは、ゲッター材に吸着
させ、点灯して高温になるとゲッター材から放出するよ
うにしてもよい。そして、発光空間囲繞部2の内面に
は、便宜上点線で示す薄膜7が形成されている。薄膜7
は、チタンやセリウムなどのアルコール溶液をディッピ
ング法でコーティングし、高温で焼き付けたものである
が、波長が250nmの紫外線を50%以上吸収する特性
を有する。
【0007】しかして、かかる構成のショートアーク型
高圧水銀灯を点灯すると、短波長の紫外線が薄膜7に吸
収されるので、前述のとおり、水素ガスと石英ガラスが
反応せず、封入された水素ガスが残留する。このため、
ランプ電圧が上昇するが、このショートアーク型高圧水
銀灯は点灯に際して水銀の蒸発を促進するために定電力
制御されるので、ランプ電圧が上昇するとランプ電流が
低下する。つまり、電源装置を小型化でき、ランプ寿命
も長くなる。なお、発光空間囲繞部の内面に形成される
薄膜が波長が250nmの紫外線を50%以上吸収するも
のであるので、半導体の焼付けに利用されるi線はこれ
に吸収されることなく有効に放射する。
【0008】次に、封入する水素量とランプ電圧の関係
を調査したが、その結果を図2に示す。これから分かる
ように、封入する水素量が水銀と希ガスとの封入モル比
で5×10-4まではランプ電圧が急激に上昇し、水素量
をこれ以上増加してもランプ電圧の上昇は僅かである。
つまり、水素量が5×10-4でランプ電圧は臨界的に変
化する。従って、封入する水素量は5×10-4以上でな
ければならない。なお、封入する水素量をあまり大きく
すると、ゲッター材が脆化して発光管の早期黒化が発生
したり、ランプ特性の劣化が生じるので、5×10-3
下にするのが好ましい。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のショート
アーク型高圧水銀灯は、石英ガラス製の発光管内に水銀
と希ガスとの封入モル比で5×10-4以上の水素ガスを
封入するとともに、電極が対向配置される発光空間囲繞
部の内面に波長が250nmの紫外線を50%以上吸収す
る薄膜を形成して水素ガスが石英ガラスと反応しないよ
うにしたので、長時間点灯しても水素ガスが発光管内に
残留し、ランプ電圧を上昇させる。従って、定電力制御
されるショートアーク型高圧水銀灯においては、ランプ
電流が低下して電源装置を小型化でき、ランプ寿命も長
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ショートアーク型高圧水銀灯の説明図である。
【図2】発光管内に封入する水素量(水銀と希ガスとの
封入モル比)とランプ電圧の関係図である。
【符号の説明】 1 発光管 2 発光空間囲繞部 3 陰極 4 陽極 5 封止管部 6 口金 7 薄膜 41 ゲッター線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 61/16 H01J 61/35

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英ガラス製の発光管内に水銀と希ガス
    が封入され、発光管中央の発光空間囲繞部内に一対の電
    極が対向配置され、定電力制御で点灯されるショートア
    ーク型高圧水銀灯において、前記発光空間囲繞部の内面
    に波長が250nmの紫外線を50%以上吸収する薄膜が
    形成され、かつ発光管内に水銀と希ガスとのモル比で5
    ×10-4以上の水素ガスが封入されたことを特徴とする
    ショートアーク型高圧水銀灯。
JP9605891A 1991-04-03 1991-04-03 ショートアーク型高圧水銀灯 Expired - Fee Related JP2880582B2 (ja)

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