JP2879961B2 - クロマト分離法及び簡略式擬似移動層装置 - Google Patents

クロマト分離法及び簡略式擬似移動層装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、2以上の成分を含む混合流体から各成分が
富化された2以上の画分をクロマト分離する方法及び装
置に関するものである。
(従来の技術) 固体吸着剤を用い、2以上の成分を含む混合流体から
この吸着剤に対する吸着特性の差を利用して各成分をク
ロマト分離する手法は、従来から工業的に広く利用され
ており、分離方法の相違から、例えば特開昭63−158105
号に示されるような回分式の方法と、多数の充填層を直
列循環連結してこの内部で流体を連続的に流しながら分
離を行う擬似移動層方式の方法とに大別されている。
前者の回分式クロマト分離法は、例えば固定層に対し
て原料流体を供給する位置と分離された画分を抜き出す
位置が固定されているものであって、簡易な操作で運転
できるという優れた特徴があるが、反面において、装置
に対して原料流体の供給を一か所からしか行わないた
め、原料流体の供給が行われる位置の吸着剤のみが常に
高濃度の原料流体に接触することになり、物理的にもま
た化学的にもショックを受け易い状況に置かれて、吸着
剤の使用方法として適切とはいい難い問題や、原料流体
に含まれている成分が成分毎に富化された帯域と、各成
分が未分離の過程で混在している夫々の帯域とがあって
これらの帯域が移動するのに対し、原料流体の供給や各
画分の抜き出し位置は上記の如く固定しているため、充
填層全体を有効に分離に関与させることができず、分離
性能の点で、吸着剤量を同一とすれば擬似移動層にはる
かに及ばないという欠点がある。
これに対し前記した後者の擬似移動層式のクロマト分
離法は、例えば4塔の吸着剤層を直列循環連結し、第1
塔に2成分を含む原料流体を供給しながら、この第1塔
から一方の成分の富化された画分を抜き出し、また同時
に第3塔に溶離液を供給しながらこの第3塔から他の成
分の富化された画分を抜き出すことを操作の一単位と
し、この操作により各成分の富化された帯域が移動する
ことに合わせて、原料流体の供給位置、及び各画分の抜
き出し位置を間欠的に順次、次の塔に移行させることを
内容とした方法である。このように擬似移動層は、移動
層の原理を用いた分離法であるため、充填剤(吸着剤)
の利用効率が高く、分離性能が非常に良いという長所を
持っている。しかしその反面において、この分離法では
少なくとも4つの単位充填層が必要であり、またこれら
複数の充填層に渡り連続的に流体を循環させながら、原
料流体及び脱着剤流体(溶離液)の連続的な供給と、各
成分の富化された帯域を各々の画分として抜き出す操作
を連続的に行い、更に流体供給や抜き出しの位置を移行
させる操作を行う必要があり、非常に複雑な操作が充填
槽内の流体の流れに合わせて行なわれるという制御上の
難しさを伴う問題がある。このため通常は制御用コンピ
ュータを用い、また各種計測器類を多数必要とするなど
装置構成が複雑で高価になり易いという問題もある。
また更に、この擬似移動層式のクロマト分離法では、
回分式に分類されるクロマト分離装置例えば主に分析目
的で使用されているHPLCにおいて通常行われている溶離
液の種類の変更や濃度の変更が、連続運転方式のもので
あるために採用は非常に難かしいという欠点もある。し
たがってこのような脱着剤流体(溶離液)の変更等を行
わない(必要でない)分離に適用が制約されるという難
点もある。
(発明が解決しようとする課題) このように、複数の成分を含む原料流体から各成分を
富化した画分として分離するクロマト分離法として従来
知られている回分式と擬似移動層式には、改善すべき課
題が夫々あるが、これらの方法の操作は全く別の原理に
基づくため、一方の方法の長所となる操作を他方の方法
に応用することはできない。
そこで本発明者は、回分式あるいは従来の擬似移動層
式のクロマト分離法とは異なった操作原理に基づく新規
な擬似移動層装置及びクロマト分離法について鋭意検討
を重ね、本発明を開発するに至ったものである。
すなわち本発明の目的は、擬似移動層装置における充
填剤の高い利用効率と高い分離性能を発揮させつつ、擬
似移動層装置における制御の複雑さの負担を軽減できる
新規なクロマト分離法及び擬似移動層装置を提供するこ
とにある。
そして上記目的を実現する本発明のより具体的な目的
は、従来例えば付加価値の低い成分の分離や、高付加価
値成分であっても処理量が少ないために工業的にはクロ
マト分離法を適用できなかった分離対象につき、設備費
の低減化等によりその適用を実質的に可能とすることに
あり、この目的を、上記説明した従来の擬似移動層式ク
ロマト分離法ではなし得なかった二つの単位充填層でシ
ステムを構成可能とした新規なクロマト分離法及び擬似
移動層装置の提供で実現することにある。
また本発明の別の目的は、制御の簡略化と計測器等の
諸設備の省略を可能とすることで低廉な装置の提供を可
能とすることにあり、このために、擬似移動層による分
離操作を大きく二つの工程に分けて行うことで制御の簡
略化を図った新規なクロマト分離法及び擬似移動層装置
を提供する。
更に本発明の他の目的は、基本的には擬似移動層式の
装置に分類されるが、従来の擬似移動層装置では実質上
実現できなかった脱着剤流体(溶離液)の種類の変更や
濃度の変更を、容易に実現できる新規なクロマト分離法
及び擬似移動層装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成する本発明のクロマト分離法の特徴
は、吸着剤が充填された単位充填層の二つを流体通路に
より無端循環系をなすように連結し、かつこの単位充填
層の間を連通遮断できるようにしたクロマト分離系に、
吸着剤に対する親和性の異なる2以上の成分を含む原料
流体を供給すると共に、流体を系内流通させることで各
成分が富化された帯域を形成させて該帯域を系外に抜き
出す分離法において、上記単位充填層間の連通を遮断
し、単位充填層の上流端に原料流体又は脱着剤流体を供
給しながらこの単位充填層の下流端から成分が富化され
た画分を抜き出す第1工程と、上記単位充填層間を連通
させ、無端循環系内で流体を流通させて原料流体に含ま
れる各成分が富化された帯域を形成させる第2工程とを
繰り返し行うことにある。
上記第1工程における単位充填層に対する流体の供給
と成分が富化された画分の抜き出しの操作は、一の単位
充填層に対して原料流体を供給することと、他の単位充
填層に対して脱着剤流体を供給することとを同時に行う
のが通常好ましいが、これらの操作を時間をずらせて行
っても差し支えない。
また、上記第2工程に、脱着剤流体を供給する単位充
填層の上流側を遮断した状態で、一の単位充填層に脱着
剤流体を供給しながらその下流の他の単位充填層から成
分が富化された帯域の画分を抜き出す第3工程を加える
ことも好ましい。
本発明はまた、吸着剤が充填されている少なくとも2
つ以上の単位充填層と、これらの単位充填層を直列循環
径路をなすように連結する流体通路と、この直列循環径
路内で流体を一方向に流通させる流体流通手段と、各単
位充填層を連結する流体通路夫々に介設された開閉可能
の遮断弁と、上記吸着剤に対する親和性の異なる2以上
の成分を含む原料流体を単位充填層の上流端に供給でき
るように各単位充填層毎に設けられた原料流体供給手段
と、脱着剤流体を単位充填層の上流端に供給できるよう
に各単位充填層毎に設けられた脱着剤流体供給手段と、
これら原料流体と脱着剤流体のいずれかを単位充填層に
供給する供給流体選択手段と、単位充填層中で成分が富
化された帯域の画分を単位充填層の下流端から抜き出し
できるように各単位充填層毎に設けられた流体抜き出し
手段とを備え、更に、上記遮断弁を閉路して上記供給流
体選択手段により選択した流体を単位充填層応に供給し
ながら上記流体抜き出し手段により流体を抜き出す工程
(上記クロマト分離法の第1工程に当たる)と、該遮断
弁を開路して上記流体流通手段により直列循環径路内で
流体を流通させる工程(上記クロマト分離法の第2工程
に当たる)とを切り換える切換制御手段を設けた簡略式
擬似流動層装置を提供することを特徴とし、この構成に
おける切換制御手段は、遮断弁を閉路して上記供給流体
選択手段により選択した流体を単位充填層に供給しなが
ら上記流体抜き出し手段により流体を抜き出す工程(上
記クロマト分離法の第1工程に当たる)と、遮断弁を開
路して上記流体流通手段により直列循環径路内で流体を
流通させる工程(上記クロマト分離法の第2工程に当た
る)と、脱着剤流体供給手段により脱着剤流体を一の単
位充填層に供給しながら他の単位充填層から成分の富化
された帯域の画分を抜き出す工程(上記クロマト分離法
の第3工程に当たる)とを切り換える切換制御手段に置
き換えることもできる。
本発明の上記クロマト分離法及び簡略式擬似移動層装
置を更に詳しく説明すると、上記第1工程は、原料流体
又は脱着剤流体を単位充填層に供給しながら各成分が富
化された画分を抜き出す工程であり、この操作を循環流
路内に設置した遮断弁等を閉じて充填層内の流体の循環
を遮断した状態で行う。この工程は、原料流体を供給す
ることと、各成分が富化された画分を抜き出すこととい
う二つの操作上の要求を満足するために行なうものであ
り、具体的には、吸着剤に対する親和力の弱い成分が富
化された帯域と、吸着剤に対する親和力の強い成分が富
化された帯域の中間付近に位置する原料流体供給口から
原料流体を供給するが、この時に各成分の富化された画
分の抜き出しをそれぞれの成分の富化された帯域の位置
する単位充填層の下流端から抜き出すように行う。
この第1工程において、原料流体を供給して吸着剤に
対する親和力の弱い成分が富化された画分を抜き出し、
これと並行して脱着剤流体を供給して吸着剤に対する親
和力の強い成分が富化された画分の抜き出しを行うこと
は次のことを意味する。すなわち、各単位充填層の間に
遮断弁を設置しこの遮断弁のうちの適切な位置にある二
つの遮断弁を閉じることによって、循環ループを形成し
ていた一つのクロマト分離系を、原料流体供給部からそ
の下流の吸着剤に対する親和力の弱い成分が富化された
画分の抜き出し部までのクロマト分離系と、脱着剤流体
供給部からその下流の吸着剤に対する親和力の強い成分
が富化された画分の抜き出し部までのクロマト分離系と
いう二つのクロマト分離系に分割することである。この
操作が行えることにより、操作中に分離に寄与すること
なく流体の流れが止まった状態で放置される単位充填層
の数を少なくしたり、吸着帯の重なり方によっては全く
なくすことができ、充填剤の利用効率を高めることがで
きる。またこの操作の前又は後に、原料流体の供給量と
吸着剤に対する親和力の弱い成分が富化された画分の抜
き出し量とのマスバランスを調整するために、脱着剤流
体を供給して吸着剤に対する親和力の弱い成分が富化さ
れた画分を抜き出す工程を加えることも好ましく、この
場合には脱着剤流体の供給口の上流にあって吸着剤に対
する親和性の弱い成分が富化された画分の抜き出し口の
下流にある遮断弁を閉じて行なうことができる。
本発明のクロマト分離法における上記第2工程は、充
填層への流体の供給を行なわずに充填層内の流体を循環
し、第1工程で残留した各成分が混在した帯域、あるい
は各成分が希薄が帯域、あるいは第1工程で供給した原
料流体が滞留している帯域を、流れの下流側に移動させ
ながら各々の成分が富化された帯域を形成させる分離工
程であり、この工程は充填層内の各成分の富化された帯
域が上記第1工程の最初の状態から単位充填層として一
つ分移動するまで行なう。
すなわち上記二つの工程は、従来の擬似移動層の分離
操作を二つの工程に分けて行なうもので、このように工
程を二つに分けて行なうことにより、制御を簡略にし設
備費を低く出来るとともに、従来の擬似移動層と同じく
移動層の原理を使用して、充填剤の利用効率を高め、回
分式のクロマト分離装置では成し得なかった高い分離性
能を得ることが可能となる。また本発明によれば、従来
の擬似移動層では成し得なかった二つの単位充填層でシ
ステムを構成することが可能であり、分離すべき成分の
付加価値が低かったり、高付加価値の成分であっても処
理量が少ないために高価な設備の導入が困難であった対
象の分離のためにも、比較的安価で制御も簡易に行なえ
る設備を提供できるので工業的な規模での適用を実現で
きる。
本発明は、特に限定されることなく種々の種類の吸着
剤を充填剤として使用することができ、気体中,流体中
の各成分をそれぞれの成分が富化された2以上の画分に
分離する方法として使用することができるが、吸着剤と
してアルカリ金属型あるいはアルカリ土類金属型の強酸
性カチオン交換樹脂を使用し、種々の糖類あるいは糖ア
ルコール混合物の分離精製を行なったり、吸着剤として
強塩基性の陰イオン交換樹脂を使用する酸とその塩の分
離に特に好適である。
具体的には、糖蜜からショ糖とその他の有用物質の分
離、異性化糖のぶどう糖,果糖への分画、乳頭,ラクツ
ロースを含む混合液からの各成分の分離、ショ糖,フラ
クトオリゴ糖を含む混合液からの各成分の分離、マルト
ース,マルトデキストリンを含む混合液からの各成分の
分離、ソルビトール,マルチトールなどの糖アルコール
を含む混合液からの各成分の分離、塩酸とその塩の混合
液からのそれぞれの成分への分離、硫酸とその塩の混合
液からのそれぞれの成分への分離、燐酸とその塩の混合
液からのそれぞれの成分への分離、塩酸,硫酸等の二つ
以上の酸よりなる混酸とその塩の混合液からの酸と塩へ
の分離等に適用することができる。
(実施例) 以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
第1図は本発明よりなる簡略式擬似移動層装置の構成
概要一例を示した図であり、この図において、1,2は単
位充填層、5はこれらの単位充填層を無端の直列循環系
に連結した流体通路、3はこの直列循環系の内に流体を
流通させるための循環ポンプ、41,42は単位充填層1,2の
間の流体通路を連通,遮断することができる遮断弁であ
る。
6fは原料流体を供給するための配管であり、上記各単
位充填層1,2に対して原料流体供給弁1f,2fを介してその
上流端から原料流体Fを供給できるように設けられてい
る。6dは脱着剤流体を供給するための配管であり、上記
原料流体の供給と同様に、各単位充填層1,2に対して脱
着剤流体供給弁1d,2dを介してその上流端から脱着剤流
体Dを供給できるように設けられている。
6aは吸着剤に対する親和力の弱い成分Aを単位充填層
から抜き出す配管であり、上記各単位充填層1,2から抜
き出し弁1a,2aを介してその下流端からA成分の富化さ
れた画分を抜き出しできるように設けられている。6bは
吸着剤に対する親和力の強い成分Bを単位充填層から抜
き出す配管であり、上記と同様に各単位充填層1,2から
抜き出し弁1b,2bを介してその下流端からB成分の富化
された画分を抜き出しできるように設けられている。
なお上記遮断弁41,42,供給弁1d,1f,2d,2f,抜き出し弁
1a,1b,2a,2bと、循環ポンプ3は、図示しない制御装置
により、予め定められた所定のシーケンスプログラムに
従って、以下に第2図を参照しながら説明する第1工程
と第2工程を繰り返し行なうように設けられている。
第2図中の第1工程(始)の図は、充填層2の前半
(下流側)部にA成分が富化された帯域が形成され、後
半(上流側)部にはA成分とB成分の混合帯域が形成さ
れている状態を示し、また充填層1の前半部にはB成分
の富化された帯域が形成され、後半部には脱着剤流体で
充満された帯域がある状態を示しており、この状態から
第1工程が開始される。
この第1工程(始)の図においては、第1図の遮断弁
41,42が閉じられ、その状態で、充填層1に対しては脱
着剤流体Dを供給弁1dの開路により上流端から供給し、
下流端からはB成分の富化された画分が抜き出し弁1bを
介して抜き出される。また充填層2対しては原料流体F
を供給弁2fの開路により上流端から供給し、下流端から
はA成分の富化された画分が抜き出し弁2aを介して抜き
出される。なおこれらの充填層1,2に対する流体の供給
及び抜き出しの操作は必要であれば充填層1と2で時間
をずらせて行なうこともできる。
この第1工程の操作は、充填層内の各成分の帯域が第
2図中の第1工程(終)の状態になるまで行なわれる。
以上のように第1工程は、A,Bの成分が富化された帯
域を形成している状態にある第1図の簡略式擬似移動層
装置に対して、原料流体を供給しかつ該A,Bの成分が富
化されている画分を抜き出す工程であり、工程の開始か
ら終了までの間の流体の供給量や抜き出し量や操作時間
は、試験的に確認したデータに基づいて時間管理した
り、適宜のセンサを抜き出し口部分に設けてそのセンサ
情報に基づいて制御することができ、既知の擬似移動層
装置における経験等を利用することもできる。
以上の第2図中の第1工程(終)の図で示される状態
に至ると、供給弁1d,2f及び抜き出し弁1b,2aの閉路と遮
断弁41,42の開路が、図示しない制御回路の指令により
行なわれ、併せて循環ポンプ3が稼動される。これによ
り第1図に示される簡略式擬似移動層装置は、外部との
流体の出入りが全くない状態で循環系内での流体の循環
流通が行なわれる。
そしてこの流体の循環流通は、例えば第2図中の第1
工程(終)の図で示されている充填層2内の成分のうち
吸着剤に対して親和力の弱い成分Aの前端が充填層1の
下流端位置に至るまで行なわれる。この際、吸着剤に対
して親和力の強い成分Bは、例えば成分Aに比べて移動
が緩慢であるため充填層1の中程から充填層2の中程に
渡って分布することになり、特に充填層2内においては
略成分Bのみが富化された帯域を形成することになる。
この循環を終了した状態を第2図の第2工程(循環終)
の図で示している。
この第2図の第2工程(循環終)の図における充填層
内の各成分の分布の状態は、第2図の第1工程(始)の
図と比べて、充填層1が充填層2と同じであり、反対に
充填層2が充填層1と同じとなっている。そこで、充填
層に対する原料流体Fの供給と脱着剤流体Dの充填層1,
2に対する供給を第2図の第1工程(始)とは反対に
し、また抜き出しする画分の富化された成分が同様に第
2図の第1工程(始)とは反対とする他は、同様の第1
工程の操作を行なって各成分A,Bの抜き出しを行ない、
充填層内は第2図の上から4番目の第1工程(終)の状
態となる。
その後、上記第2工程と同じ操作を行なうことで、充
填層内は第2図の上から5番目の第2工程(循環終)の
状態となる。
以上により本実施例の簡略式擬似移動層装置の運転の
1サイクルが終了し、これを繰り返すことで原料流体に
含まれる成分A,Bの分離を簡易に行なうことができる。
以上の実施例の説明から明らかなように、本発明の簡
略式擬似移動層装置は、原理的には擬似移動層を利用す
るものであるが、個々の単位充填層に対して原料流体を
供給したり脱着剤流体を供給したりする操作を切り換え
て行なう点では擬似移動層方式の思想を採用し(第1工
程)、系外部との流体の出入りを行なわず循環系内で流
体を循環させることで各成分が富化された帯域を形成さ
せる点では回分式の思想を採用した(第2工程)という
こともでき、従来殆ど不可能とされていた回分式クロマ
ト分離と擬似移動層方式のクロマト分離の折衷的な技術
を、初めて提供するという極めて優れた意義をもつ。
本発明の装置は、代表的には上記第1図及び第2図で
説明した実施例により実現されるが、勿論この実施例に
だけ限定されるものではないことは言うまでもない。ま
た上記したと同じ循環系を形成する装置を用いた場合で
あっても、制御回路により特定する運転方法を変更する
ことによって、より実際面に適合した優れたクロマト分
離法を実施することも可能である。
例えば、上記第1図及び第2図で説明した装置及びク
ロマト分離法では、原料流体の供給量とA成分の富化さ
れた画分の抜き出し量を実質的に同一とすることを前提
として説明されるが、工業的に分離が求められる原料と
成分の関係では、脱着剤流体による稀釈により原料流体
の供給量に比べて各成分の富化された画分の抜き出し量
が多くなることを考慮すべき場合も少なくない。
第3図はかかる考慮すべき問題を具体的に解決するた
めに提案されるクロマト分離法を説明するためのもので
ある。この第3図で説明されるクロマト分離法の特徴
は、第1工程及び第2工程についてはその操作を停止す
るタイミングについては第2図の場合と若干の相違はあ
るものの操作原理そのものは第2図のフローで説明され
る内容と同一であるが、第3工程が付加されている点
で、相違している。
すなわちこの第3工程は、第2工程に続いて行なわれ
る工程であって、一の単位充填層に対し脱着剤流体を供
給しながら他の単位充填層から成分Aを抜き出す工程で
あり、脱着剤流体により稀釈されるため原料流体の供給
量に比べて各成分の富化された画分の抜き出し量が多く
なるという問題を、かかる第3工程の操作により解消で
きる。
以下本発明の実施例を更に具体的に説明するが、本発
明はその要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定さ
れるものではない。
実施例1 第1図の装置を用いて第2図で説明した操作に従っ
て、硫酸とその塩である硫酸ナトリウムの表1の組成を
有する混合水溶液を原料流体とし、脱着剤流体として脱
塩水を用いて分離を行なった。
単位充填層に充填した吸着剤には強塩基性陰イオン交
換樹脂(アンバーライトHN−1408)を使用した。
2本の単位充填層の内径はそれぞれ100mm、充填層高
さは1000mmで2本とも同一であり、吸着剤を合計15.7
充填して、操作温度は20℃に保ち、表2に示すタイムス
ケジュールで、表3に示す流量に制御して分離操作を繰
り返し行なった。
本実施例の構成では、吸着剤と親和性の強さの順番
は、硫酸>硫酸ナトリウムの順であり、抜き出し部(1
a,2a)からは硫酸ナトリウムに富む流体、抜き出し部
(1b,2b)からは硫酸に富む流体が取り出される。
以上により表2の操作を繰り返し4サイクル行なった
後、5サイクル目の各画分の組成を分析しその結果を表
4に示した。この表4の結果より、硫酸とその塩である
硫酸ナトリウムの混合液がそれぞれの成分に効率よく分
離されていることが確認された。
(発明の効果) 本発明のクロマト分離法によれば、従来の擬似移動層
において行なわれている分離操作を、装置外部との流体
の出入りを行なう工程と、この流体の出入りを行なわず
に装置内で流体を循環させる工程に分けることで、容易
な制御で操作できる低廉な設備を提供できる効果があ
る。
また従来の擬似移動層装置では実現できなかった二つ
の単位充填層のみを用いてシステムを構成することがで
き、この面からも低廉な設備の提供に有効であり、例え
ば付加価値の低い成分の分離や、高付加価値であっても
処理量が少ないために、高価な設備の導入が工業的には
困難であった分離対象に対しても、安価な設備を提供で
きるという効果がある。
更に又、各成分が富化された帯域と各成分が分離過程
にあって混在した帯域が流れの下流側に移動するのに合
せて流体の供給口および各画分の抜き出し口を移動させ
ることで、所謂擬似移動層方式の操作を行なうため、常
に充填剤層全体を有効に分離に関与させることができ、
回分式に比べて充填剤量を同一とした場合にはるかに高
い利用効率,分離性能を得ることができるという効果が
ある。
又更に、回分式の方法と同じく、いわゆるステップ法
やグラジエント法のように脱着剤流体の濃度を変化させ
たり、脱着剤流体の種類を変更するといった操作が、従
来の擬似移動層方式と比べて容易に行なうことができる
という効果もある。具体的には第3図において、第1工
程で供給する脱着剤流体と、第3工程で供給する脱着剤
流体の濃度や種類を変えるという方法によって極めて容
易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の簡略式擬似移動層装置の構成概要一例
を示した図、第2図及び第3図はいずれも第1図で示し
た装置を用いて行なうことができるクロマト分離の操作
一例を示したフローチャートである。 1,2:単位充填層 1a,2a,1b,2b:抜き出し弁 1d,2d:脱着剤流体供給弁 1f,2f:原料流体供給弁 3:循環ポンプ、5:流体通路 6a:A成分抜き出し配管 6b:B成分抜き出し配管 6d:脱着剤流体供給配管 6f:原料流体供給配管 41,42:遮断弁
フロントページの続き (72)発明者 堀江 正治 東京都文京区本郷5丁目5番16号 オル ガノ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭50−93193(JP,A) 特開 平1−107279(JP,A) 特開 昭63−158105(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 30/46 G01N 30/44

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸着剤が充填された単位充填層の二つを流
    体通路により無端循環系をなすように連結しかつ単位充
    填層の間は連通遮断できるようにしたクロマト分離系
    に、吸着剤に対する親和性の異なる2以上の成分を含む
    原料流体を供給すると共に、流体を系内流通させること
    で各成分が富化された帯域を形成させて該帯域を系外に
    抜出す分離法において、 上記単位充填層間の連通を遮断し、単位充填層の上流端
    に原料流体又は脱着剤流体を供給しながらこの単位充填
    層の下流端から成分が富化された画分を抜き出す第1工
    程と、上記単位充填層間を連通させ、無端循環系内で流
    体を流通させて原料流体に含まれる各成分が富化された
    帯域を形成させる第2工程とを繰り返し行うことを特徴
    とするクロマト分離法。
  2. 【請求項2】請求項1の第1工程と、単位充填層間を連
    通させ、無端循環系内で流体を流通させて原料流体に含
    まれる各成分が富化された帯域を形成させる第2工程に
    加えて、単位充填層間を連通させ、一の単位充填層に脱
    着剤流体を供給しながら他の単位充填層から成分が富化
    された帯域の画分を抜き出す第3工程を行うことを特徴
    とするクロマト分離法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、原料流体が酸と
    その塩との混合水溶液であり、吸着剤が強塩基性陰イオ
    ン交換樹脂であることを特徴とするクロマト分離法。
  4. 【請求項4】吸着剤が充填されている二つの単位充填層
    と、これらの単位充填層を直列循環径路をなすように連
    結する流体通路と、この直列循環径路内で流体を一方向
    に流通させる流体流通手段と、各単位充填層を連結する
    流体通路夫々に介設された開閉可能の遮断弁と、上記吸
    着剤に対する親和性の異なる2以上の成分を含む原料流
    体を単位充填層の上流端に供給できるように各単位充填
    層毎に設けられた原料流体供給手段と、脱着剤流体を単
    位充填層の上流端に供給できるように各単位充填層毎に
    設けられた脱着剤流体供給手段と、これら原料流体と脱
    着剤流体のいずれかを単位充填層に供給する供給流体選
    択手段と、単位充填層中で成分が富化された帯域の画分
    を単位充填層の下流端から抜き出しできるように各単位
    充填層毎に設けられた流体抜き出し手段とを備え、更
    に、上記遮断弁を閉路して上記供給流体選択手段により
    選択した流体を単位充填層に供給しながら上記流体抜き
    出し手段により流体を抜き出す工程と、該遮断弁を開路
    して上記流体流通手段により直列循環径路内で流体を流
    通させる工程とを切り換える切換制御手段を設けたこと
    を特徴とする簡略式擬似移動層装置。
  5. 【請求項5】請求項4の切換制御手段に代えて、遮断弁
    を閉路して上記供給流体選択手段により選択した流体を
    単位充填層に供給しながら上記流体抜き出し手段により
    流体を抜き出す工程と、遮断弁を開路して上記流体流通
    手段により直列循環径路内で流体を流通させる工程と、
    脱着剤流体供給手段により脱着剤流体を一の単位充填層
    に供給しながら他の単位充填層から成分の富化された帯
    域の画分を抜き出す工程とを切り換える切換制御手段を
    設けたことを特徴とする簡略式擬似移動層装置。
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