JP2877958B2 - エチレン系不飽和化合物 - Google Patents

エチレン系不飽和化合物

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JP2877958B2
JP2877958B2 JP7514911A JP51491194A JP2877958B2 JP 2877958 B2 JP2877958 B2 JP 2877958B2 JP 7514911 A JP7514911 A JP 7514911A JP 51491194 A JP51491194 A JP 51491194A JP 2877958 B2 JP2877958 B2 JP 2877958B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エチレン系不飽和燐酸エステル化合物を製
造する改良方法に関する。この方法は、細胞表面に類似
したポリマー類の製造で用いるに適した重合性モノマー
類を製造する方法の一部として用いるに適切である。詳
細には、本方法は2段階反応を伴い、上記段階を有機溶
媒の存在下で逐次的に実施する。本発明は、眼科学用途
で特に使用される透明なポリマー製品の製造、例えばコ
ンタクトレンズ製造などで用いることができる改良され
た生成物を提供する。
最初に公開(J.P.Appl.No.60−21599、高分子論文集
(Kobunshi Ronbunshu)1978、35、7、423)された2
−(メタアクリロイルオキシエチル)−2′(トリメチ
ルアンモニウムエチル)ホスフェート分子内塩(Hema−
PC)のルートをスキームIに示す。
ブロモエタノールとオキシ塩化燐から得られるブロモ
エチルジクロロホスフェート(1)を2−ヒドロキシエ
チルメタアクリレートで処理すると燐酸ジエステルクロ
ライド(2)が生じる。加水分解で酸類似物(3)が生
じ、これをメタノール中でトリメチルアミンと反応させ
るとホスホリルコリン誘導体(4)が生じる。炭酸銀の
メタノール溶液を用いると水酸化物塩(5)への転化が
生じる。シリカゲル使用カラムクロマトグラフィーを用
いて生成物(5)の単離が行われており、その収率は全
体で5%以下であった。
このように収率全体が低いことに加えて、カラムクロ
マトグラフィーを用いた精製は特に規模をより大きくし
た場合不便で高価であり、そしてこのような方法で得ら
れる生成物は水和形態で単離されており、このような形
態はその生成物のある用途では不適当である可能性があ
り、実際この形態は、この生成物の単離を容易に行うに
は不適当であり、その著者が後に容認している点である
(Polymer Journal 1990、22、5、355)。
Chabrierおよび彼の同僚は、フランス特許出願公開第
2,270,887号およびBul.Soc.Chim.de France(1974)667
−671の中で、ホスホリルコリン含有脂質を2段階反応
で製造する合成方法を記述しており、そこでは、その第
一段階においてヒドロキシルで置換されている出発材料
をハロホスホランと反応させた後、トリアルキルアミン
と反応させることで開環を起こさせている。この第一段
階はベンゼン、エーテルおよびテトラヒドロフランから
選択される有機溶媒中で実施されている。その第二段階
はアセトンおよびアセトニトリルから選択される非プロ
トン溶媒中で実施されている。また、DonおよびButcher
も、Tetrahedron Letters(1991)32、5291−5294の中
で、ヒドロキシル基含有化合物とハロホスホランを反応
させた後トリメチルアミンを用いた開環を行うことで合
成スフィンゴミエリンを生じさせる反応を用いた。前者
の段階はベンゼン中で実施されており、そして後者の段
階はベンゼンとアセトニトリルの混合溶媒中で実施され
ている。
また、Nakaya他も、HEMA−PCの製造で、スキーム2に
示す如き同様な2段階反応を記述している。上記方法は
特開昭58−154591号、1983およびMakromol.Chem.、Rapi
d Commun.、1982、3、457に記述されており、これは、
2−ヒドロキシエチルメタアクリレートをクロロホスホ
ラン(6)に連成させることで中間体(7)を生じさせ
そしてこれにトリメチルアミノ化を加圧下で受けさせて
ジエステル(8)を生じさせることを伴う。
その著者は、上記反応の第一段階でエーテル溶媒、例
えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどを
用いることを記述している。上記反応の副生成物である
塩酸トリエチルアミンが上記溶媒から沈澱し、これを濾
過で除去することにより、ホスホラン(7)の溶液を生
じさせている。次に、その溶媒を蒸留で除去し、残存す
る材料をアセトニトリルに溶解させ、そして濃縮を行っ
た後、トリエチルアミンと一緒に加熱すると生成物
(8)が生じる。アセトンを用いて(8)のクロロホル
ム溶液から沈澱を起こさせることが、その記述されてい
る精製手段であった。この基本となる化学過程は我々の
初期の公開である国際公開WO−A−92−07885号に記述
してある。
我々はここに、上記様式で製造および精製された生成
物(8)は特定用途、例えば医学デバイスを製造または
被覆することを意図したコポリマー類の製造などでは、
その望まれる純度を有さない可能性があることを見い出
した。詳細には、それは眼科学用途、例えばコンタクト
レンズの製造などで用いるには不適切であり得る。残存
試薬または副生成物の存在は、例えば毒性学的に不利で
あることに結び付く可能性があり、そして不溶不純物の
存在は、眼用デバイスの特性、例えば光透過性または膨
張性が悪影響を受けることに結び付く可能性がある。我
々は、Hema−ホスホラン誘導体(7)の製造および単離
中にこの生成物自身が不安定な性質を示す結果としてお
よびクロロホスホラン(6)中に見分けるのが容易でな
い不純物が存在していることが理由で副生成物が生じる
ことを見い出した。また、我々は、上記過程の規模を大
きくした実験では時として生成物(8)がほとんど生成
しないことが起こることを確認した。更に、この上に記
述した方法では反応の最終段階でトリメチルアミンが5
倍過剰量で用いられており、従って加圧反応槽系を用い
る必要がある。そのような系を用いる必要性を回避する
ことができるならばこれは望ましいことである。我々は
ここに上記問題を克服する新規な方法を考案した。
本発明に従う新規な方法は、 i)式I Y−B−OH I [式中、 Bは、直鎖もしくは分枝アルキレン、オキサアルキレン
またはオリゴ−オキサアルキレン鎖であり、 Yは、 から選択される重合性エチレン系不飽和基であり、 ここで、 Rは、水素またはC1−C4アルキル基であり、 A、−O−または−NR1−(ここで、R1は水素またはC1
−C4アルキル基であるか、或はR1は−B−Xであり、こ
こで、BおよびXは上で定義した通りである)であり、 Kは、基−(CH2)pOC(O)−、−(CH2)pC(O)O−、
−(CH2)pOC(O)O−、−(CH2)pNR2−、−(CH2)pNR2
(O)−、−(CH2)pC(O)NR2−、−(CH2)pNR2
(O)−、−(CH2)pOC(O)NR2−、−(CH2)pNR2C(O)NR
2−(ここで、基R2は同一もしくは異なる)、 −(CH2)pO−、−(CH2)pSO3− または原子価結合であり、そして pは、1から12であり、そして R2は、水素またはC1−C4アルキル基である] で表されるエチレン系不飽和化合物とホスホラン試薬II [ここで、 各R3は、同一もしくは異なり、HまたはC1-4アルキルで
あり、 各R4は、同一もしくは異なり、HまたはC1-4アルキルで
あり、 Halは、ハロゲン原子である] を反応させることで式III [式中、Y、B、R3およびR4は、上で定義した通りであ
る] で表される生成物であるジエステル化合物とハロゲン化
水素副生成物を生じさせるが、この反応を該エチレン系
不飽和試薬および該ホスホラン試薬が溶解する第一溶媒
の存在下で実施しそして該ハロゲン化水素副生成物を該
生成物混合物から除去する第一段階、および ii)該ジエステル化合物IIIを第二溶媒の存在下で反応
させる第二段階、 を含み、この方法は、該第二溶媒に該第一溶媒および該
第一段階で得られる該化合物IIIを含む生成物混合物を
含めそしてこの溶媒を第二段階で該化合物IIIの単離を
行うことなくそして該第一溶媒を該生成物混合物から実
質的に除去することなく直接用いることを特徴とする。
好適なエチレン系不飽和化合物は一般式IAまたはIB [式中、R、A、BおよびKは、式(I)の言及で定義
した通りである] で表される化合物である。化合物IAが好適である。
Rは、好適には水素、メチルまたはエチル、より好適
にはメチルであり、その結果として、式IAで表されるモ
ノマーはアクリル酸、メタアクリル酸またはメタアクリ
ル酸誘導体である。
式IBで表される化合物において、Kが原子価結合でB
が基であってもよいか、Kが基でBが原子価結合であっ
てもよいか、KとBの両方が基であってもよいか、或は
KとBが一緒に原子価結合であってもよい。好適には、
Bが基でKが原子価結合である。Kが基である場合、p
は好適には1から6、より好適には1、2または3であ
り、pは最も好適には1である。Kが基−(CH2)pNR
2−、−(CH2)pNR2C(O)−、−(CH2)pC(O)NR2−、−
(CH2)pNR2C(O)O−、−(CH2)pOCNR2−、または−(C
H2)pNR2C(O)NR2−である場合、R2は好適には水素、メチ
ルまたはエチル、より好適には水素である。
好適には、Bは 式−(CR3 2)a−(式中、基−(CR3 2)−は同一もしく
は異なり、そして各基−(CR3 2)−中の基R3は同一もし
くは異なり、そして各基R3は水素またはC1-4アルキル、
好適には水素であり、そしてaは1から12、好適には1
から6である)で表されるアルキレン基であるか、 或は オキサアルキレン基、例えば各アルキレン部分中に炭素
原子を1から6個有するアルキレンオキシアルキレンな
ど、より好適には−CH2O(CH2)4−であるか、或は 式−[(CR4 2)bO]c(CR4 2)b−(式中、基−(C
R4 2)−は同一もしくは異なり、そして各基−(CR4 2
−中の基R4は同一もしくは異なり、そして各基R4は水素
またはC1-4アルキル、好適には水素であり、そしてbは
2または3でありそしてcは2から11、好適には2から
5である)で表されるオリゴ−オキサアルキレン基であ
るか、 或は Yが末端炭素原子を含む場合のみであるが原子価結合で
ある。
好適な基Bには、原子価結合および12個以下の炭素原
子を有するアルキレン、オキサアルキレンおよびオリゴ
−オキサアルキレン基が含まれる。Bは最も好適には基
−(CH2)a′−(ここで、a′は2から4である)であ
る. 本発明の方法では、好適には、第一段階のハロゲン化
水素副生成物を有機塩基、好適にはトリアルキルアミン
と反応させることでこのトリアルキルアミンのハロゲン
化水素塩(これは、これが生じるにつれて生成物混合物
から沈澱して来る)を生じさせることで、このハロゲン
化水素副生成物を除去する。このハロゲン化水素塩は例
えば濾過で除去可能である。
第一段階後に上記ハロゲン化水素塩と一緒に第一溶媒
が少量除去される可能性があるが、好適には、第二段階
の前に溶媒のさらなる除去を行わない。
ある場合には、第二段階の前に、化合物IIIが入って
いる溶液に追加的溶媒を添加するのが望ましい可能性が
ある。例えば、同じ溶媒か或は適合し得る別の種類の溶
媒を追加的分量で添加することも可能である。しかしな
がら、通常、この第二段階では溶媒のさらなる添加を行
う必要はない。
本発明の方法において、ホスホラン試薬II中のR3およ
びR4は好適には各水素である。この化合物II中のハロゲ
ン原子は好適には塩素であるが、他のハロゲン化物も使
用可能である。上記ハロゲン化水素副生成物をトリアル
キルアミンと反応させてこの副生成物を除去する場合、
このトリアルキルアミンは好適にはトリエチルアミンで
ある。
好適なホスホラン出発材料は市販化合物である。我々
は、この化合物の純度が本方全体にとって非常に重要で
あることを見い出した。純度が低いホスホランを用いる
と、中間体であるジエステル化合物が不安定になる可能
性があり、そしてこの中間体が時期尚早に重合し得る
か、或はある場合には着色が生じる可能性があり、従っ
て眼科学最終使用に不適切になり得るか、或は結果とし
て最終生成物が予測不能な重合速度を示すことになり得
る。我々は、この反応に悪影響を与え得る不純物がホス
ホラン出発材料の中に存在する理由は例えば貯蔵中にこ
の化合物が水分と接触することによるものであろうと考
える。本発明者らは、水分に接触する結果として生じ得
るポリ燐酸塩種の同定が可能なことから31P核磁気共鳴
分光測定法が上記材料の分析を行うに最も適切な方法で
あることを確認した。
本発明者らは、研究の過程で、式IIIで表される中間
体生成物は室温で水と迅速に(10分以内に)反応して数
多くの生成物を生じることを見い出した。基Y−Bが2
−ヒドロキシエチルメタアクリレート化合物の残基であ
る場合、この副反応の副生成物には2−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレートと開環したヒドロキシエチル燐酸ジ
エステルが含まれる。この化合物が存在していると、結
果として、例えば式IIIで表される化合物のホスホラン
環による望まれない重合が始まる可能性があると考え
る。
本方法において、31P NMRで少なくとも90%、より好
適には少なくとも95%、例えば少なくとも99%の純度を
示す式IIのホスホラン試薬を出発材料として用いると、
この上に記述した如き副反応が最小限になる。これは、
31P NMR図形が主として単一ピークから成りそしてそれ
より高いppm値および低いppm値の所にピークを示す材料
の量が少ないか或は僅かのみであることを意味する。
式IIで表されるホスホラン試薬または式IIIで表され
るジエステル中間体と水分が接触する可能性を最小限に
するには、この溶媒の水分含有量を最小限に保つ必要が
ある。例えば、この溶媒の水含有量は、好適には0.1重
量%未満、より好適には0.05重量%未満、最も好適には
0.01重量%未満でなければならない。
更に、本発明者らは、式IIIで表されるジエステル中
間体が熱に不安定であることを確認した。第一段階と第
二段階で異なる溶媒を用いる通常方法では、その中間体
IIIを第一溶媒から回収する必要がある。そのような方
法における回収はロータリーエバポレーターを用いて行
われている。しかしながら、本発明者らは、その中間体
が時おり「暴走」反応を受けて完全にゲル化することで
(エチレン系不飽和基および/またはホスフェート基が
重合することにより)最終生成物全体が失われることを
見い出した。これは特にこの反応を実験室規模からパイ
ロットプラント規模にする時に問題になる。ゲル化が部
分的に起こることでも不溶な不純物が生じ、この不純物
の除去は困難なことからその生成物が汚染され、その結
果として不均一な生成物がもたらされる。特に上記中間
体が高濃度形態である場合、そのような中間体回収段階
を回避すると、その中間体が熱にさらされなくなる。ま
た、この生成物の不純物レベルも低くなり、第二段階の
生成物混合物からの回収が容易になることを確認した。
本発明の方法では、この方法の第二段階に開環アミノ
化反応を含めるのが特に望ましく、ここでは、式IIIで
表される化合物とトリアルキルアミン(NR5 3)を上記溶
媒中で反応させることで式IV [式中、 各基R5は、C1-24−アルキル基であり、そしてY、B、R
3およびR4は各々上で定義した通りである] で表される化合物を生じさせる。
基R5は、同一もしくは異なっていてもよく、C
1-24−、好適にはC1-12−アルキル、好ましくは低級ア
ルキルであってもよく、より好適には基R5の少なくとも
2つがメチル基である。
化合物IVは重合性化合物である、即ちこれのエチレン
系不飽和基は、通常、共重合性のエチレン系不飽和コモ
ノマー類の存在下でラジカル開始付加重合を受け得る。
本方法の第二段階では、好適にはトリメチルアミンで
あるトリアルキルアミンを一般に過剰量で用いる。3倍
または2倍以上の過剰量で用いる必要はなく、そして上
記アミンが気体状である場合、加圧反応槽系を用いる必
要性を回避するように、より低い量で用いるのが好適で
ある。約1.5倍の過剰量(即ち化合物IIIの実際量または
理論量と反応する化学量論的量の1.5倍)が便利である
ことを確認した。
本発明の方法において、第一段階でニトリル溶媒を用
いると、そのような段階でエーテル溶媒が用いられてい
る従来技術に比べて数多くの理由で改良が得られる。1
番目として、従来技術に記述されているエーテル溶媒の
2つの例であるジエチルエーテルおよびテトラヒドロフ
ランはパーオキサイドを生じることが知られており、こ
れらは潜在的に爆発性があることに加えてまたジエステ
ル中間体または最終生成物のヒドロパーオキサイド化を
助長する可能性がある。上記材料は両方とも不安定にな
る可能性があり(例えば時期尚早に重合を起こす可能性
があり)そして/または例えば開始剤として働くことで
共重合中の反応速度を高める可能性がある。更に、ニト
リル類はエーテル溶媒に比べて使用における有害さが低
くそして安価である傾向がある。アセトニトリルの場合
パーオキサイド生成は起こらず、その結果として、中間
体であるジエステルが比較的安定になる。
本方法における溶媒は好適にはC1-16−カルボン酸の
ニトリル誘導体である。最も容易に入手可能で適切な溶
媒はアセトニトリルである。本発明者らは、従来技術の
方法においてそれの第二段階で用いられていたアセトニ
トリルを、上で定義したように比較的高い純度を有する
ホスホラン試薬IIを用いることを条件として、第一段階
でも使用できることを見い出した。さもなくば反応で副
反応が起こる。
一般的には最終生成物混合物から式IVの双性イオン生
成物を固体として回収する。本発明者らは、生成する双
性イオン生成物の結晶が非常に小さくなるような速度で
第二段階の反応が起こる傾向があることを見い出した。
その結果として、特に分離が濾過段階を伴う場合、これ
らをその生成物混合物から分離するのが困難になる。そ
の生成物のフィルターケーキを、濾過段階中、空気およ
び水分との接触から保護するのは困難であるが、保護し
ないと空気の水分が生成物の中に吸収されてこれを汚染
する可能性があり、そして恐らくは副反応が起こる原因
となり得る。本発明者らは、第二段階の生成物混合物に
特別な回収手順を受けさせることによってそのような困
難さを最小限にすることができることを見い出した。
この回収手順では、該式IVで表される生成物である双
性イオン化合物が全部該溶媒中で溶液の状態である温度
に該生成物混合物を加熱(または保持)した後、好適に
は密封容器内か、或は不活性ガスで浄化した後の容器内
で、少なくとも1時間、好適には2−16時間かけて冷却
して周囲温度に到達させ、そして次に、更に−20から−
5℃の範囲の温度、好適には約−5℃に冷却し、この温
度でこれを少なくとも1時間、例えば1−24時間の範
囲、例えば約16時間貯蔵するのが好適である。この双性
イオン生成物が完全に溶解する温度、例えば60℃以上、
例えば70−80℃から最終の低温にまで冷却する速度を、
平均で好適には1時間当たり少なくとも10℃、より好適
には1時間当たり少なくとも15℃にする。次に、好適に
はこの混合物を温めて周囲温度にして後、その生成物懸
濁液から固体を濾過で回収する。
この最終双性イオン生成物の濾過を不活性雰囲気中で
実施するのが好適である。即ち、この生成物のフィルタ
ーケーキの中をその液体が全部通った後にそのフィルタ
ーケーキの中を通す如何なる気体も不活性雰囲気にす
る。この気体の水分含有量を好適には100ppm未満、より
好適には10ppm未満、例えば1ppm未満にする。
その後、好適には乾燥させた非溶媒液を用いて上記フ
ィルターケーキを洗浄する。例えば、各々の水分含有量
が0.1%未満、より好適には0.01%未満の冷アセトニト
リルおよび/または酢酸エチルを用いて上記固体を洗浄
することができる。
その後、さらなる再結晶化を、例えば乾燥アセトニト
リルを用いて(或はこの溶媒として他の溶媒を用い
て)、最初に行った生成物混合物からの双性イオン生成
物回収と同様な条件下で行うことで、この固体の精製を
行ってもよい。好適には、この生成物混合物の溶媒に入
っているか或いはこの生成物の再結晶化を起こさせるべ
き溶液の溶媒に入っている双性イオン生成物の溶液に熱
濾過段階を受けさせることで、この生成物から不溶の不
純物または副生成物を除去する。本方法で記述した冷却
手順を用いると、生じる生成物の結晶がより大きくな
り、このことから濾過段階が容易になり、かつ水分が入
っている可能性がある気体に上記固体がさらされる機会
が最小限になる。
本発明で2−ヒドロキシエチルメタアクリレートをエ
チレン系不飽和出発材料Iとして用いる場合に適切な反
応条件は下記の通りである。
不活性雰囲気下、例えば乾燥窒素雰囲気下で、2−ヒ
ドロキシエチルメタアクリレートと適切な非求核性有機
塩基、例えばトリアルキルアミン、好適にはトリエチル
アミンなどを乾燥アセトニトリル中で混合した後、−70
℃から0℃、好適には−10℃−−5℃の範囲の温度に冷
却し、そして次に、乾燥アセトニトリルに入れた化合物
II、好適には2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキ
サホスホランの溶液を反応温度が−5℃−0℃より高く
ならないような割合で滴下することにより、これの処理
を行う。この滴下後の反応混合物を温めて0−5℃にし
て0.2−3時間、好適には1時間撹拌する。例えば、ぜ
ん動ポンプおよび濾過棒を用いて中間体IIIが入ってい
る溶液をその反応槽からポンプ輸送して塩酸トリエチル
アミンの沈澱物を後に残すことなどで、濾過を不活性雰
囲気下で行うことにより、この沈澱物を除去する。この
IIIが入っているアセトニトリ溶液を反応槽の中に直接
輸送し、この反応槽の中で第二段階のトリメチルアミン
化反応を起こさせる。この段階におけるアセトニトリル
と中間体IIIの比率を好適には約6:1にするが、より高い
(10:1)または低い(1:1)比率も使用可能である。
不活性ガスで浄化した後、この溶液を乾燥アセトニト
リル中のトリメチルアミン混合物(1−5当量、好適に
は1−2当量)と一緒に50℃に5−24時間、好適には12
−16時間加熱する。
次に、この期間が終了した時点で、低真空をかけるこ
とで如何なる過剰量のトリメチルアミンも除去した後、
その溶液を活性炭または他の適切な脱色用材料で処理
し、撹拌しながら20−80℃、好適には70−80℃の温度に
0.2−2時間、好適には0.2−0.5時間温める。次に、濾
過助剤、例えばCelite(商標)などに通して上記混合物
を濾過するか、或はぜん動ポンプおよび濾過棒を用い、
そして望まれるならばインラインフィルターを用いて、
この混合物を晶析槽にポンプ輸送する。
次に、密封容器内で1−24時間、好適には3時間かけ
てその濾液を周囲温度に冷却した後、−20℃−−5℃、
好適には−5℃で1−24時間、好適には16時間貯蔵す
る。
この混合物を温めて周囲温度にした後、不活性雰囲気
下で濾過を行う。その固体を乾燥ニトリルおよび乾燥酢
酸エチルで洗浄する。次に、この生成物を真空中で乾燥
させると、自由流れする白色固体が得られる。
このような段階を用いると高純度のモノマーを単離す
ることが可能になり、そしてその後望まれるならば、こ
の上に記述した条件と同様な条件下で乾燥アセトニトリ
ルを用いて再結晶を行うことにより、これのさらなる精
製を行ってもよい。
薄層クロマトグラフィー(TLC)、高性能液クロ(HPL
C)、核磁気共鳴(NMR)および元素ミクロン分析を含む
標準技術を用いて上記材料を分析した結果、高レベルの
純度であることが示された。溶解度評価および色分析に
より、この単離した材料は特に眼用途で用いるに適切で
あることが示された。例えば、我々の初期の公開である
国際特許出願WO−A−9305081、WO−A−9207885および
WO−A−9301221(これらの開示は引用することによっ
て本明細書に組み入れられる)の中に記述した方法で上
記モノマーを反応、例えば重合させて使用することがで
きる。
以下に示す実施例を用いて本発明の説明を行う。
実施例1 2−(メタアクリロイルオキシエチル)−2′−(トリ
メチルアンモニウム)エチルホスフェート分子内塩(He
ma−PC)の製造 31P NMRによる純度が95%以上である2−クロロ−2
−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(47.68g、0.335
モル)を乾燥アセトニトリル(100mL)に入れ、これ
を、−10℃の乾燥アセトニトリル(60mL)に入れた2−
ヒドロキシエチルメタアクリレート(43.54g、0.335モ
ル)とトリエチルアミン(38.21g、0.378モル)の撹拌
溶液に0.5時間かけて滴下した。この滴下が終了した時
点で、この撹拌している反応混合物を1.0時間かけて0
℃に温め、窒素雰囲気下で濾過し、沈澱して来た塩酸ト
リエチルアミンを乾燥アセトニトリル(50mL)で洗浄す
ることにより、アセトニトリル中の環状ホスホラン溶液
から成る濾液を得た。
1H−NMR(200MHz)(CDCl3):δ6.19(1H,s)、5.6
1(1H,m)、4.49−4.34(8H,多重線)、1.96(3H,s)pp
m。
このホスホラン溶液を、乾燥アセトニトリル(300m
L)に入れたトリメチルアミン(29.56g、0.501モル)の
冷溶液に加え、乾燥窒素で浄化した後、密封した二酸化
炭素固体/アセトンのコンデンサ下で撹拌しながら50℃
に16時間加熱した。過剰量のトリメチルアミンを真空下
で除去し、その溶液を温めて75℃にし、活性炭(3.0g)
で処理して0.25時間撹拌した後、窒素雰囲気下でCelite
(商標)パッドに通して濾過した。この濾液を濃縮(ア
セトニトリルを約50mL除去)した後、室温で生成物が溶
液から3時間かけて結晶化して析出して来た。この材料
を−20℃で16時間貯蔵した後、20℃に温めた。
この結晶性生成物を窒素雰囲気下で濾過し、逐次的に
乾燥冷アセトニトリル(50mL)および乾燥酢酸エチル
(50mL)で洗浄した後、真空下室温で乾燥させた。乾燥
アセトニトリルから再結晶化させることにより、2−
(メタアクリロイルオキシエチル)−2′−(トリメチ
ルアンモニウムエチル)ホスフェート分子内塩を吸湿性
のある白色粉末として得た。
実施例2 2−(メタアクリロイルオキシエチル)−2′−(トリ
メチルアンモニウムエチル)ホスフェート分子内塩の大
規模製造 乾燥窒素雰囲気下、乾燥アセトニトリル(3.5リット
ル)に入れた2−ヒドロキシエチルメタアクリレート
(0.42kg、3.23モル)とトリエチルアミン(0.38kg、3.
76モル)の溶液を−15℃から−10℃の範囲の温度に冷却
した。次に、温度が0℃より高くならないような割合
で、乾燥アセトニトリル(0.9リットル)中の2−クロ
ロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(0.48k
g、3.37モル)溶液を加えた。次に、この混合物を−10
℃から0℃の範囲の温度で2.5時間撹拌した。沈澱して
来た塩酸トリエチルアミンを不活性雰囲気下で濾過して
除去した後、この連成中間体の溶液をトリメチルアミン
(0.28kg、4.75モル)で18時間60℃処理した。
次に、過剰量のトリメチルアミンを真空下で除去し、
その溶液を濾過した後、−20℃に16時間放置した。沈澱
して来た固体をアルゴン雰囲気下で濾過し、そのフィル
ターケーキをアセトニトリル(0.5リットル)に続いて
酢酸エチル(1リットル)で洗浄した。次に、この固体
状材料を真空下で乾燥させた。
この粗生成物を乾燥アセトニトリルに溶解させ(1g/5
mL)、その熱溶液を濾過した後、その濾液を−20℃に16
時間放置した。この混合物を温めて0℃にした後、アル
ゴン雰囲気下で濾過した。この固体を乾燥冷アセトニト
リル(0.5リットル)に続いて乾燥酢酸エチル(1リッ
トル)で洗浄した後、真空下で乾燥させることにより、
表題の化合物を白色粉末として得た。逆相HPLCで測定し
てこの材料の純度は98%以上であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヤクソン,デボラ・ジエーン イギリス・ミドルセツクス ユービー8 3ピーキユー・アクスブリツジ・キン グストンレイン・ブルネルサイエンスパ ーク(番地なし)・バイオコンパテイブ ルズリミテツド内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 9/09

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の段階: i)式I Y−B−OH I [式中、 Bは、式−(CR3 2)a−(式中、基−(CR3 2)−は同一も
    しくは異なり、そして各基−(CR3 2)−中の基R3は同一
    もしくは異なり、そして各基R3は水素またはC1-4アルキ
    ルであり、そしてaは1から12である)で表されるアル
    キレン基であるか、或は 各アルキレン部分中に炭素原子を1から6個有するアル
    キレンオキシアルキレン基であるか、或は 式−[(CR4 2)bO]c(CR4 2)b−(式中、基−(CR4 2)は同
    一もしくは異なり、そして各基−(CR4 2)−中の基R4
    同一もしくは異なり、そして各基R4は水素またはC1-4
    ルキルであり、そしてbは2または3でありそしてcは
    2から11である)で表されるオリゴ−オキサアルキレン
    基であり、 Yは、 から選択される重合性エチレン系不飽和基であり、 ここで、 Rは、水素またはC1-4アルキル基であり、 Aは、−O−または−NR1−(ここで、R1は水素またはC
    1−C4アルキル基であるか、或はR1は基−B−OHであ
    る)であり、 Kは、原子価結合または基−(CH2)pOC(O)−、−(C
    H2)pC(O)O−、−(CH2)pOC(O)O−、−(CH2)pNR
    2−、−(CH2)pNR2C(O)−、−(CH2)pC(O)NR
    2−、(CH2)pNR2C(O)−、−(CH2)pOC(O)NR2−、
    −(CH2)pNR2C(O)NR2−(ここで、基R2は同一もしくは異
    なる)、 −(CH2)pO−、−(CH2)pSO3−、 であり、 pは、1から12であり、そして R2は、水素またはC1−C4アルキル基である] で表されるエチレン系不飽和化合物とホスホラン試薬II [ここで、 各R3は、同一もしくは異なり、HまたはC1-4アルキルで
    あり、 各R4は、同一もしくは異なり、HまたはC1-4アルキルで
    あり、 Halは、ハロゲン原子である] を反応させることで式III [式中、Y、B、R3およびR4は、上で定義した通りであ
    る] で表される生成物であるジエステル化合物とハロゲン化
    水素副生成物を生じさせるが、この反応を該エチレン系
    不飽和試薬および該ホスホラン試薬が溶解する第一溶媒
    の存在下で実施しそして該ハロゲン化水素副生成物を該
    生成物混合物から除去する第一段階、ならびに ii)該式IIIで表される化合物とトリアルキルアミン試
    薬(N(R5)3)を反応させることで式IV [式中、 各基R5は、同一もしくは異なり、C1-24アルキル基であ
    り、そしてY、B、R3およびR4は各々上で定義した通り
    である] で表される化合物を生じさせる開環アミノ化反応である
    第二段階、 を含んでなり、該第二段階において、該第一溶媒を実質
    的に全部含む第二溶媒および該第一段階で得られる該ジ
    エステル化合物IIIを含む生成物混合物の存在下で該ジ
    エステル化合物IIIを反応させ、そして上記第一溶媒の
    いずれも実質的に除去しないでこの溶媒を第二段階で直
    接用い、そしてここで上記第一溶媒がC1-6−カルボン酸
    のニトリル誘導体であることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】該第一溶媒がアセトニトリルである請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】該エチレン系不飽和化合物Iを一般式IA [式中、 Rは、水素、メチルまたはエチルであり、 Aは、−O−であり、そして Bは、−(CR3 2)a−(ここで、各R3は水素でありそして
    aは2から4の範囲である)である] で表される化合物から選択する請求項1または2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】該ホスホラン試薬II中のR3およびR4が各々
    水素である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】31P NMRで少なくとも90%の純度を有する
    式IIのホスホラン試薬を出発材料として用いる請求項1
    〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】該第一溶媒および第二溶媒の水含有量が0.
    1重量%未満である請求項1〜5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】基R5が全部メチルである請求項1〜6のい
    ずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】該第二段階の反応混合物中に該トリアルキ
    ルアミン試薬をこれが該式IIIで表される化合物と反応
    するための化学量論的量の1から2倍の範囲の量で存在
    させる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】該式IVで表される生成物である双性イオン
    化合物が全部該溶媒中で溶液の状態である温度に該IV含
    有生成物混合物を加熱(または保持)した後、少なくと
    も1時間かけて冷却して周囲温度に到達させ、そして次
    に、更に−20から−5℃の範囲の温度に冷却し、この温
    度でこれを少なくとも1時間貯蔵する請求項1〜8のい
    ずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】該生成物IVの固体をその生成物懸濁液か
    ら濾過で取り出す請求項1〜9のいずれかに記載の方
    法。
  11. 【請求項11】該濾過を不活性雰囲気中で実施する請求
    項10に記載の方法。
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