JP2877800B2 - 複合部材の分離方法、分離された部材、分離装置、半導体基体の作製方法および半導体基体 - Google Patents

複合部材の分離方法、分離された部材、分離装置、半導体基体の作製方法および半導体基体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合部材の分離方
法、分離装置、分離された部材、半導体基体及びその作
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基板の絶縁性表面上への単結晶Si半導
体層の形成は、セミコンダクター オン インシュレー
ター(SOI)技術として広く知られ、通常のSi集積
回路を作製するバルクSi基板では到達しえない数々の
優位点をSOI技術を利用したデバイスが有することか
ら多くの研究が成されてきた。すなわち、SOI技術を
利用することで、(1)誘電体分離が容易になり高集積
化が可能、(2)対放射線耐性に優れている、(3)浮
遊容量が低減され高速化が可能、(4)ウェル形成工程
が省略できる、(5)ラッチアップを防止できる、
(6)薄膜化により完全空乏型電界効果トランジスタの
実現が可能、等の優位点が得られる。
【0003】上記のようなデバイス特性上の多くの利点
を実現するために、ここ数十年に渡り、SOI構造の形
成方法について研究されてきている。古くは、単結晶サ
ファイア基板上に、SiをCVD(化学気相堆積法)
で、ヘテロエピタキシーさせて形成するSOS(シリコ
ン オン サファイア)が知られており、最も成熟した
SOI技術として一応の成功は収めはしたが、Si層と
下地サファイア基板界面の格子不整合により大量の結晶
欠陥、サファイア基板からのアルミニュームのSi層へ
の混入、そして何よりも基板の高価格と大面積化への遅
れにより、その応用の広がりが妨げられている。比較的
近年には、サファイア基板を使用せずにSOI構造を実
現しようという試みが行なわれている。この試みは、次
の二つに大別される。
【0004】1.Si単結晶基板を表面酸化した後に、
酸化膜に窓を開けてSi基板を部分的に表出させ、その
部分をシードとして横方向へエピタキシャル成長させ、
SiO2 上へSi単結晶層を形成する(この場合には、
SiO2 上にSi層の堆積をともなう)。
【0005】2.Si単結晶基板そのものを活性層とし
て使用し、その下部にSiO2 を形成する(この方法
は、Si層の堆積をともなわない)。
【0006】上記1を実現する手段として、CVDによ
り、直接、単結晶層Siを横方向エピタキシャル成長さ
せる方法、非晶質Siを堆積して、熱処理により固相横
方向エピタキシャル成長させる方法、非晶質あるいは、
多結晶Si層に電子線、レーザー光等のエネルギービー
ムを収束して照射し、溶融再結晶により単結晶層をSi
2 上に成長させる方法、そして、棒状ヒーターにより
帯状に溶融領域を走査する方法(Zone Melti
ing Recrystallization)が知ら
れている。これらの方法にはそれぞれ一長一短がある
が、その制御性、生産性、均一性、品質に多大の問題を
残しており、いまだに、工業的に実用化したものはな
い。たとえば、CVD法は平坦薄膜化するには、犠牲酸
化が必要となる。固相成長法では得られる結晶性が悪
い。また、ビームアニール法では、収束ビーム走査によ
る処理時間と、ビームの重なり具合、焦点調整などの制
御性に問題がある。このうち、Zone Meltii
ng Recrystallization法がもっと
も成熟しており、比較的大規模な集積回路も試作されて
はいるが、依然として、亜粒界等の結晶欠陥は、多数残
留しており、少数キャリヤーデバイスを作成するに充分
良質の結晶を得るには至っていない。
【0007】上記2の方法であるSi基板をエピタキシ
ャル成長の種子として用いない方法に於いては、次の4
種類の方法が挙げられる。
【0008】(1)V型の溝が表面に異方性エッチング
されたSi単結晶基板に酸化膜を形成し、該酸化膜上に
多結晶Si層をSi基板と同じ程厚く堆積した後、Si
基板の裏面から研磨によって、厚い多結晶Si層上にV
溝に囲まれて誘電分離されたSi単結晶領域を形成す
る。この手法に於ては、結晶性は、良好であるが、多結
晶Siを数百ミクロンも厚く堆積する工程、単結晶Si
基板を裏面より研磨して分離したSi活性層のみを残す
工程に、制御性と生産性の点から問題がある。
【0009】(2)サイモックス(SIMOX:Sep
eration by Ion Implanted
Oxygen)と称されるSi単結晶基板中に酸素のイ
オン注入によりSiO2 層を形成する方法であり、Si
プロセスと整合性が良いため現在もっとも成熟した手法
である。しかしながら、SiO2 層を形成するために
は、酸素イオンを1018ions/cm2 以上も注入す
る必要があるが、その注入時間は長大であり、生産性は
高いとはいえず、また、ウエハーコストは高い。更に、
結晶欠陥は多く残存し、工業的に見て、少数キャリヤー
デバイスを作製できる充分な品質に至っていない。
【0010】(3)多孔質Siの酸化による誘電体分離
によりSOI構造を形成する方法。この方法は、P型S
i単結晶基板表面にN型Si層をプロトンイオン注入
(イマイ他,J.Crystal Growth,Vo
l 63,547(1983))、もしくは、エピタキ
シャル成長とパターニングによって島状に形成し、表面
よりSi島を囲むようにHF溶液中の陽極化成法により
P型Si基板のみを多孔質化したのち、増速酸化により
N型Si島を誘電体分離する方法である。本方法では、
分離されているSi領域は、デバイス工程のまえに決定
されており、デバイス設計の自由度を制限する場合があ
るという問題点がある。
【0011】(4)Si単結晶基板を、熱酸化した別の
Si単結晶基板に、熱処理又は接着剤を用いて張り合わ
せ、SOI構造を形成する方法が注目を浴びている。こ
の方法は、デバイスのための活性層を均一に薄膜化する
必要がある。すなわち、数百ミクロンもの厚さのSi単
結晶基板をミクロンオーダーかそれ以下に薄膜化する必
要がある。
【0012】この薄膜化には以下のように2種類の方法
がある。
【0013】1)研磨による薄膜化 2)選択エッチングによる薄膜化 1)の研磨では均一に薄膜化することが困難である。特
にサブミクロンの薄膜化は、ばらつきが数十%にもなっ
てしまい、この均一化は大きな問題となっている。さら
に基板の大口径化が進めばその困難度は増すばかりであ
る。
【0014】また、2)のエッチングは均一な薄膜化に
有効とされているが、 ・せいぜい102 と選択比が充分でない ・エッチング後の表面性が悪い ・イオン注入、高濃度BドープSi層上のエピタキシャ
ル成長あるいはヘテロエピタキシャル成長を用いている
ためSOI層の結晶性が悪い 等の問題点がある。
【0015】さらに張り合わせを用いた半導体基板は、
必ず2枚の基板を必要とし、そのうち1枚はほとんど大
部分が研磨・エッチング等により無駄に除去され捨てら
れてしまい、限りある地球の資源を無駄使いしてしま
う。したがって、張り合わせによるSOIにおいては、
現状の方法では、その制御性、均一性さらには経済性に
多くの課題が存在する。
【0016】また、ガラスに代表される光透過性基板上
には、一般には、その結晶構造の無秩序性から、堆積し
た薄膜Si層は、基板の無秩序性を反映して、非晶質
か、良くて多結晶層にしかならず、高性能なデバイスは
作製できない。それは、基板の結晶構造が非晶質である
ことによっており、単に、Si層を堆積しても、良質な
単結晶層は得られない。ところで、光透過性基板は、受
光素子であるコンタクトセンサーや投影型液晶画像表示
装置を作製するうえにおいて重要である。そして、セン
サーや表示装置の画素(絵素)をより一層、高密度化、
高解像度化、高精細化するには画素の改善だけではなく
高性能な駆動素子が必要である。その結果、光透過性基
板上に素子を作り込む場合にも優れた結晶性を有する単
結晶層が必要となる。
【0017】このようなSOI基板の製造方法の中でも
特開平5−21338号公報に開示された様な多孔質層
上に非単結晶半導体層を形成しこれを絶縁層を介して支
持基板に移し取る方法は、SOI層の膜厚均一性が優れ
ていること、SOI層の結晶欠陥密度を低く押さえるこ
とが容易な事、SOI層の表面平坦性がよい事、製造に
際し高価な特殊仕様の装置がいらない事、数100オン
グストロームから10ミクロン程度までの広いSOI膜
厚範囲に対し同一の装置で製造可能な事などの点で非常
に優れたものである。
【0018】さらに上記の方法に特開平7−30288
9号公報に開示されている方法、すなわち多孔質層を有
する第一の基体の前記多孔質層上に非多孔質単結晶半導
体層を形成し、前記非多孔質単結晶層を第二の基体と絶
縁層を介して張り合わせた後、多孔質層において前記第
一基体と第二の基体を両者を破壊することなく分離し、
第一の基板の表面を平滑にして再度多孔質を形成し再使
用することを繰り返せば第一の基板は何回も使用可能で
ある。したがって製造コストを大幅に低減することが出
来、また製造プロセスそのものも単純化することが出来
るという大きな効果が得られる。
【0019】この様な第一の基体と第二の基体の両方を
破壊することなく分離する貼り合わせ基体の分離方法は
いくつか挙げられる。例えば1つは貼り合わせ面に対し
て垂直な方法に引っ張る方法である。貼り合わせ面に対
して平行に剪断応力をかける方法(例えは貼り合わせ面
に平行な面内でそれぞれの基体を互いに反対方向に移動
させる方法や円周方向にそれぞれの基体を反対方向に回
転させる方法など)もある。又、貼り合わせ面に対して
垂直な方向に加圧する方法でもよい。更には分離領域に
超音波などの波動エネルギーを印加する方法もある。
又、分離領域に貼り合わせ基体の側面側から貼り合わせ
面に平行に剥離用部材(例えばナイフのような鋭利なブ
レード)を挿入する方法であってもよい。更に、分離領
域として機能する多孔質層に染め込ませた物質の膨張エ
ネルギーを利用する方法もある。分離領域として機能す
る多孔質層を貼り合わせ基体の側面から熱酸化し体積膨
張させて分離する方法もある。分離領域として機能する
多孔質層を貼り合わせ基体の側面から選択エッチングし
て分離する方法もある。分離領域としてイオン打ち込み
により形成された微小気泡(microcavity)
を得る事の出来る層を用い貼り合わせ面の法線方向から
レーザーを照射して気泡を含む分離領域を加熱すること
によって分離する方法もある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、貼り合
わせた2枚の基体を分離する上記の方法は理想的には優
れた方法ではあるが、それを実現するどんな方法も半導
体基体の製造に向いているとは限らない。大きな障害の
一つは貼り合わせた半導体基体は一般に、円盤状(デイ
スク状)であり、またその厚さ0.5〜1.0mm程度
と薄く、貼り合わせ部分にも治具を引っかけられる様な
比較的大きなへこみなどが極めて少ないということであ
る。このためオリフラ部(オリエンテーションフラッ
ト)に合わせた凹部をもつ治具で基体のオリフラ部を引
っかけて貼り合わせ面に平行に回転させたり、貼り合わ
せ基体の側面の貼り合わせ部分にわずかな凹部を作り、
そこに治具を引っかけて引き剥がしたりする方法を使用
するには限界がある。加圧により分離する方法では非常
に大きな圧力が必要になるので装置が大型化してしま
う。波動エネルギーを利用する方法の場合には効率よく
波動が貼り合わせ基体に照射されるようにするために波
動を照射する方法にかなりの工夫が必要になるし、分離
した直後に分離した基体同志が部分的に接触して振動し
合いお互いを傷つけることもある。側面から分離する方
法では、基体が曲がる事によって側面が剥がれただけ
で、中心部までなかなか分離しない事もある。剥離用部
材を貼り合わせ基体の側面から分離領域に挿入する方法
では剥離用部材を挿入することにより基体の貼り合わせ
面だった部分に剥離用部材と基体との摩擦により傷が付
く場合がある。
【0021】この様な問題を避けるには前記分離領域の
機械的強度を相当に脆弱にしておく事が一つの解決策に
なり得る。ところがこの様にすると基体の貼り合わせ前
に外部からの衝撃により分離領域の部分が破壊される確
立が高くなる。またその様な場合破壊された分離領域の
一部がパーテイクルとして製造装置の中を汚染する事も
ある。従来の分離方法はそれぞれ大きな長所を持つが、
上記の様な課題もまだ残っている。
【0022】本発明の目的は、基体自身を破壊すること
なく分離出来、分離した基体に傷を付けず、貼り合わせ
基体の分離工程以前では外的衝撃を受けても分離領域の
破壊が起こり難く、それによる製造装置のパーテイクル
による汚染も防止できるさらに優れた分離方法及び分離
装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、互いに接合さ
れた複数の部材を有する複合部材を、前記複数の部材の
接合箇所とは異なる箇所において、分離する複合部材の
分離方法において、前記複合部材の凹型又は狭い隙間を
有する側面に流体を吹き付けることにより、前記複合部
材を分離することを特徴とする。本発明は、互いに接合
された複数の部材を有する複合部材を、前記複数の部材
の接合箇所とは異なる箇所において、分離する複合部材
の分離方法において、高圧の水流をノズルから吹き出す
ウォーター・ジェット法により前記複合部材の側面に前
記水流を吹き付けることにより、前記複合部材を分離す
ることを特徴とする。 本発明は、半導体基体の作製方法
であって、基板上に多孔質単結晶半導体層と該多孔質単
結晶半導体層の上に設けられた非多孔質単結晶半導体層
とを有する第1の基体を用意する工程、前記第1の基体
と第2の基体とを貼り合わせて側面に凹型又は狭い隙間
を有する複合部材を形成する工程、及び前記複合部材の
前記多孔質単結晶半導体層側面に流体を吹き付けること
により、前記複合部材を多孔質単結晶半導体層において
分離する工程を有することを特徴とする。 本発明は、半
導体基体の作製方法であって、基板上に多孔質単結晶半
導体層と該多孔質単結晶半導体層の上に設けられた非多
孔質単結晶半導体層とを有する第1の基体を用意する工
程、前記第1の基体と第2の基体とを貼り合わせて複合
部材を形成する工程、及び高圧の水流をノズルから吹き
出すウォーター・ジェット法により前記複合部材の前記
多孔質単結晶半導体層側面に前記水流を吹き付けること
により、前記複合部材を多孔質単結晶半導体層において
分離する工程を有することを特徴とする。 本発明は、半
導体基体の作製方法であって、単結晶半導体から成る第
1の基体の所定の深さにイオンを打ち込むことにより、
微小気泡層を得ることのできるイオン打ち込み層を形成
する工程、前記第1の基体と第2の基体とを絶縁層を介
して貼り合わせて複合部材を形成する工程、及び前記複
合部材のイオン打ち込み層側面に流体を吹き付けること
により、前記複合部材をイオン打ち込み層において 分離
する工程を有することを特徴とする。 本発明は、分離装
置に関し、互いに接合された複数の部材を有する複合部
材を支持する支持手段、前記複合部材の凹型又は狭い隙
間を有する側面に流体を吹き付ける吹き付け手段を有
し、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所において
前記複合部材を分離することを特徴とする。 本発明は、
互いに接合された複数の部材を有する複合部材の第1の
面を第1の保持体により回転可能に保持し、前記複合部
材の第2の面を第2の保持体により回転可能に保持し、
前記第1及び第2の保持体を同期させて回転させ、回転
する前記複合部材の接合箇所とは異なる分離箇所に流体
を吹き付け、前記複合部材を前記流体が吹き付けられた
箇所を起点として、複数の部材に分離することを特徴と
する。 本発明は、分離装置に関し、互いに接合された複
数の部材を有する複合部材の第1の面を回転可能に保持
する第1の保持体、前記複合部材の第2の面を回転可能
に保持する第2の保持体、前記第1及び第2の保持体の
回転の同期をとる同期手段、回転する前記複合部材の接
合箇所とは異なる分離箇所に流体を吹き付けるノズルを
有し、前記複合部材を前記流体が吹き付けられた箇所を
起点として複数の部材に分離することを特徴とする。
発明は、互いに接合された複数の部材を有する複合部材
を、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所にある微
小空隙を含む分離領域において、分離する複合部材の分
離方法において、盤状の前記複合部材の凹型又は狭い隙
間を有する側面に研磨粒子を含まない流体を吹き付ける
ことにより、前記複合部材を分離することを特徴とす
る。
【0024】ここでいう複合部材とは分離領域をその内
部に持つものであって分離方法から考えればなんでも良
いが、半導体基体の製造方法から見れば次のような構造
のものである。すなわち分離領域が表面よりも深い部分
に表面に平行な層状に形成され、該表面とその表面から
浅い部分は分離領域ではない構造の半導体基体である第
一の基体と、第二の基体とを貼り合わせた貼り合わせ基
体が、その主要な例である。また分離されてできる部材
とは半導体基体の製造方法への応用においては接合前の
前記第一の基体と第二の基体ではない。
【0025】本発明においては前記分離領域は前記第一
の基体と第二の基体との貼り合わせ界面(接合面)とは
異なる位置にある。分離工程では前記貼り合わせ界面か
ら分離するのではなく、貼り合わせ界面とは異なる位置
にある分離領域で分離することが必要である。
【0026】従って前記分離領域の機械的強度が前記貼
り合わせ界面の機械的強度よりも脆弱であって分離工程
においては貼り合わせ界面よりも先に分離領域が破壊さ
れる様にしておく。これにより分離層が破壊されると前
記第一の基体の表面側の特定の厚さの部分が第二の基体
と貼り合わされたまま第一の基体から分離し、第二の基
体上に移し取られる。前記分離領域は陽極化成法で形成
された多孔質層であっても良いし、イオン打ち込みによ
り形成された微小気泡(microcavity)を得
る事の出来る層であっても良い。これらの層はいずれも
微小空隙を多数含んでいる。また結晶格子に歪みや欠陥
が集中したヘテロエピタキシャル層であっても良い。
【0027】また前記分離領域は構造の異なる複数の層
から構成されていても良い。例えば必要なら多孔度(p
orosity)の異なる複数の多孔質層から成るもの
や層に直角な方向に多孔度が変化する多孔質層なども使
用可能である。
【0028】例えば第1の基体と第2の基体とが絶縁層
を介して貼り合された複合部材を分離して得られる第一
の基体から第二の基体上に移し取られた層は、絶縁層上
の半導体層(SOI層)として半導体デバイス等の作製
に利用される。
【0029】前記分離を行なうために用いることの出来
る流体の吹き付けは高圧の水流をノズルから噴射するい
わゆるウォーター・ジェット法により実現できる。また
水を使用せずアルコールなどの有機溶剤であってもよい
し、ふっ酸、硝酸、などの酸、あるいは水酸化カリウム
等のアルカリ、その他の分離領域を選択的にエッチング
する作用のある液体であってもよい。特に研磨粒子を含
まない液体を用いるとよい。さらに流体として空気、窒
素ガス、炭酸ガス、希ガスなどの気体からなる流体を用
いても良い。分離領域に対してエッチング作用を持つガ
スやプラズマからなる流体を用いても良い。
【0030】上記のような分離方法を半導体基体の作製
法に採用する事により 1)基板上に多孔質単結晶半導体層と非多孔質単結晶半
導体層とが順次積層された第1の基体を用意する工程、
前記第1の基体と第2の基体とを前記非多孔質単結晶半
導体層が内側に位置する複合部材が得られるように貼り
合わせる工程、及び前記複合部材の多孔質単結晶半導体
層の付近に流体を吹き付けることにより、前記複合部材
を多孔質単結晶半導体層において分離する工程を有する
ことを特徴とする半導体基材の作製方法や、 2)単結晶半導体から成る第1の基体の所定の深さにイ
オンを打ち込むことにより、微少気泡層(microc
avity層)を得ることのできるイオン打ち込み層を
形成する工程、前記第1の基体と第2の基体とを絶縁層
を介して、且つ前記第1の基体のイオンを打ち込んだ面
が内側に位置する複合部材が得られるように貼り合わせ
る工程、及び前記複合部材のイオン打ち込み層の付近に
流体を吹き付けることにより、前記複合部材をイオン打
ち込み層において分離する工程を有することを特徴とす
る半導体基体の作製方法などが実現でき、従来の問題点
を解決できる半導体基体の作製が可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は本発明による複合部材の分
離方法を説明する為の模式図である。
【0032】図1の(a)は盤状(板状)の第1の部材
1と第2の部材2との接合前の様子を示している。第1
の部材1はその内部に分離箇所となる分離領域3を有し
ている。この層状の分離領域3は、接合面4a側にある
層領域5より機械的強度が弱い。
【0033】2つの部材1,2は、図1の(b)に示す
ように接合面4a,4bを向き合わせて接合され接合界
面14を有する円盤状の複合部材となる。この複合部材
の側面(端面)6にある分離領域3の端部に向けて、流
体7をノズル8より噴射し、吹き付ける。流体7が吹き
付けられた分離領域3は、除去され或いは崩壊する。こ
うして、複合部材は、分離領域3を境にして図1の
(c)に示すように2つの部材11,12に分離され
る。
【0034】こうして分離された一方の部材11の分離
面13a上には、層領域5は既に存在しておらず、層領
域5は分離面13bを露出するように元の第2の部材2
の接合面4b上に移し取られる。
【0035】こうして第2の部材2上に薄い層領域5を
有する部材が得られる。
【0036】第2の部材2と層領域5とを互いに異なる
材料で構成すれば、容易に異種接合を有する部材を作製
できる。そのような材料の具体例は、導電体、半導体、
絶縁体であり、これらの中から2種が選択されて第2の
部材2と層領域5となる。
【0037】この分離領域は噴射された流体により、当
該分離領域を境に2分でき、且つ分離領域以外の領域に
損傷を与えないように、脆弱な領域にするとよい。具体
的には、分離領域内に複数の微小空隙を含ませれば、脆
弱になる。或いは異種イオンの打ち込みにより歪みを作
ってもよい。微小空隙は、後述するように多孔質体の孔
や、イオン注入による気泡により、形成される。分離領
域は0.1μm〜900μm程度にするとよい。より好
ましくは、0.1μm〜10μmである。
【0038】本発明において分離を行うために用いる流
体の流れは加圧した流体をノズルから噴射する事により
実現可能である。噴射する流れをより高速、高圧の細い
ビームにする為の方法としては「ウォータージェット」
第1巻1号第4ページなどに紹介されているような流体
として水を用いるウォータージェット法を使用する事が
出来る。本発明に使用可能なウォータージェットは、高
圧ポンプにより加圧された数千kgf/cm2 の高圧水
を細いノズルから噴射するものであって、これによっ
て、セラミックス、金属、コンクリート、樹脂、ゴム、
木材などの切断(ただし、固い材料の時は水にSiO2
微粒子のような研磨剤を加える)、加工、表層の塗膜の
除去、部材表面の洗浄などを行う事が出来る。従来のウ
ォータージェットの使い方においては、上記のように材
料の一部分を除去することが主な効果であった。すなわ
ち、ウォータージェット切断は主部材のきりしろを除去
すること、また、塗膜の除去、部材表面の洗浄は不要な
部分を除去することであった。本発明の流体の流れの形
成方法としてウォータージェットを用いる場合、貼り合
わせ基体の側面(端面)の貼り合わせ目に合わせてウォ
ータージェットを噴射する事により、側面から前記分離
領域の少なくとも一部を除去する事が可能である。この
場合先ず貼り合わせ基体の側面に露出してる前記分離領
域及びその周辺の第1の基体と第二の基体の一部に直接
ウォータージェットを噴射する。するとそれぞれの基体
は損傷を受けず機械強度が脆弱な分離領域のみがウォー
タージェットにより除去或いは崩壊して二枚の基体に分
離される。また何らかの理由で前記分離領域が側面に予
め露出していなくて何か薄い層でその部分が覆われてい
る場合でも、ウォータージェットでまず分離領域を覆う
側面上の層を除去し、そのまま続けて側面から露出した
分離領域を除去すればよい。
【0039】また従来は余り利用されなかった効果では
あるが、面取りされた2枚の基板を貼り合わせた貼り合
わせ基体周囲の側面の狭い凹部にウォータージェットを
噴射することにより、水が微小空隙に侵入し構造が脆弱
な前記分離領域の微小空隙を押し拡げて破壊して貼り合
わせ基板を分離する事も出来る。この場合切断や除去が
目的でないため分離領域の切断くずがほとんど発生しな
いし、分離領域の素材自体がウォータージェットそのも
のでは除去できないものであっても研磨粒子を使用する
事なく、また分離されて得られた表面(分離面)にダメ
ージを与えること無く分離することが可能である。この
様にこの効果は切断とか研磨といった効果ではなく、流
体による一種の楔の効果と考えることも出来る。従って
この効果は貼り合わせ基体の側面に凹型又は狭い隙間が
あってウォータージェットを噴射することにより分離領
域を境に引き剥がす方向に力が掛かる場合には大いに効
果が期待できる。この効果を充分に発揮させようとする
ならば上記貼り合わせ基体の側面の形状が凸型ではなく
凹型である方が好ましい。
【0040】図2はこの効果を示す図である。図2にお
いて、901、911は第1の基体、902、912は
第2の基体、903、913は分離領域、904、91
4は半導体層、905、915は絶縁層、906、91
6は貼り合わせ界面、907は流体のジェット、90
8、918は流体から基体が受ける力の方向を示す。
【0041】図2(a)は上記貼り合わせ基体の端部側
面が凹型の場合にウォータージェットが基体に与える力
の方向を概念的に表したものである。前記凹部を押し拡
げる方向に、したがって貼り合わせた基体相互が引き剥
がされる方向に力が加わる。これに対して図2(b)は
端部側面が凸型の場合にウォータージェットが基体に与
える力の方向を概念的に表したものであるが、この場合
は基体相互が引き剥がされる方向の力はかからないので
少なくとも初期において分離領域の一部を除去出来なけ
れば基体は分離し難いが、多孔質層の空隙(孔)に流体
が侵入できれば、分離は可能である。
【0042】また何らかの理由で前記分離領域が予め露
出していなくて何か薄い層でその部分が覆われている場
合でも、貼り合わせ基体の側面の形状が上記のように凹
型であれば同様に分離領域付近を押し拡げ得る方向の力
が加わるのでこの圧力によりまず前記側面の分離領域を
覆う薄い層が破壊され、続いて分離領域が押し拡げられ
て破壊するので、分離の効果は十分に発揮される。ウォ
ータージェットの流れを無駄無く受けるためには上記凹
部の開口幅がウォータージェットの直径程度またはそれ
以上である事が望ましい。半導体基体の製造に本発明を
用いる場合には前記第1の基体と第二の基体の厚さがそ
れぞれ1.0mmを下回る程度であるので貼り合わせ基
体の厚さ即ち複合部材の厚さは、2.0mmを下回る程
度である。凹部開口幅は概略この1/2程度であること
が普通であるのでウォータージェットの直径は1.0m
m以下である方が好ましい。現実には0.1mm程度の
ウォータージェット直径は実用化の範囲内にある。
【0043】流体を噴射するノズルの形状は円形の他任
意の形状が可能である。細長いスリット上のノズルも使
用可能である。この様なノズルから流体を吹き出せば薄
い帯状の流れを形成することが出来る。
【0044】ウォータージェットの様々な噴出条件は分
離領域の種類、貼り合わせ基板の上記側面の形状などに
より自由に選ぶ事が出来る。例えばジェットの圧力、ジ
ェットの走査速度、ノズル径(≒ウォータージェット
径)、ノズル形状、ノズルと前記分離領域との距離、流
体の流量などが重要なパラメータとなる。
【0045】実際の分離工程では貼り合わせ面に平行な
方向からウォータージェットを吹き付けながら貼り合わ
せ面に沿ってノズルを走査するか、またはウォータージ
ェットの方を固定して貼り合わせ基板の方を平行に移動
することにより分離する事が出来る。またノズル付近を
要として扇状にウォータージェットを走査する方法や、
多くの場合にそうであるように貼り合わせ基板がオリエ
ンテーションラットやノッチが設けられたウエハのよう
な円盤状ならノズルを固定して貼り合わせ基板をその中
心を回転中心として回転させる方法も採れる。さらに必
要に応じて貼り合わせ界面と同一面内にノズルを置くの
ではなく、角度を付けた方向からジェットを分離領域に
当てる事も可能である。ウォータージェットの走査の仕
方は必要に応じ如何様にも出来るのであって、これらの
方法には限定されない。ウォータージェットの直径が非
常に小さく、また噴射方向が基板表面にほぼ平行である
ため、ベクトル分解すると、数千kgf/cm2 の高圧
は、ほとんど基板には加圧されない。ウォータージェッ
トが分離領域以外の貼り合わせ基板に与える力は数10
0g程度であるので基板が破壊されることはない。例え
ば、このようなウォータージェットの圧力は、ウエハの
表面にウォータージェットを垂直に当てて、ウエハを切
断しようとしても切断はできない圧力である。
【0046】また使用する流体として水を使用せずアル
コールなどの有機溶媒やふっ酸、硝酸などの酸あるいは
水酸化カリウムなどのアルカリその他の分離領域を選択
的にエッチングする作用のある液体なども使用可能であ
る。さらに流体として空気、窒素ガス、炭酸ガス、希ガ
スなどの気体を用いても良い。分離領域に対してエッチ
ング作用を持つガスやプラズマを用いる事もできる。使
用する水は半導体基板の製造工程に導入する複合部材の
分離方法の為には、不純物金属やパーテイクル等を極力
除去した純水、超純水などの純度の高い水を使用する事
が望ましいが、完全低温プロセスであるのでウォーター
ジェットによる分離後に洗浄して除去することも充分可
能である。特に本発明においては、不本意なキズを基板
に残さないように流体は研磨粒子フリーであることが好
ましい。
【0047】本発明による半導体基板は半導体デバイス
の製造に利用出来る他、絶縁層上の単結晶半導体層を電
子デバイスではなく微細な構造物を形成する為に利用す
る事も出来る。
【0048】図3は、本発明の一実施の形態による分離
装置を示す模式図である。
【0049】101は複合部材としての貼り合わせウエ
ハ、102は流体噴射ノズル、103はノズル102の
上下位置を調整する上下移動機構、104はノズル10
2の水平位置を調整する水平移動機構、115はウエハ
の水平位置を調整する水平移動機構、105は保持体と
してのウエハ保持具である。113,114,116は
それぞれガイドである。図3の装置では、各移動機構1
03,104,115により、ノズル102とウエハ1
01の分離領域端部との位置決めがなされ、高圧がかけ
られた流体をノズル102からウエハ101の側面の分
離領域端部に向けて噴射するとともに、ウエハ101を
固定したまま、ノズルの水平移動及び上下移動により、
ウエハ分離作業が進行する。
【0050】106は必要に応じて用いられる多孔質又
は非多孔質の弾性体からなるバッキング材である。
【0051】図4は本発明に用いられる分離装置の別の
例を示す概略斜視図である。図4において、401は、
2枚のSiウエハを貼り合わせ一体化した複合部材とし
ての半導体ウエハで、内部に分離領域となる多孔質層が
存在する。403,404は真空チャックにより半導体
ウエハ401を吸着/固定する保持体で、互いに同一回
転軸上に存在し、回転可能に取り付けられている。更に
保持体404は、ベアリング408に嵌合されて、支持
台409に支持され、後尾でスピードコントロールモー
タ410の回転軸に直結している。これによりモータ4
10をコントロールすれば任意のスピードで保持体40
4を回転することができる。また、もう一つの保持体4
03はベアリング411に嵌合されて支持台409に支
持され、後尾で支持台409との間に圧縮バネ412を
介することで保持体403が半導体ウエハ401から離
れる方向に力がかかっている。
【0052】まず、半導体ウエハ401を位置決めピン
413の凹部にならう様セットし保持体404に吸着/
保持させる。保持体404は、半導体ウエハ401の上
下位置をピン413にならわすことで半導体ウエハ40
1中央部を保持することができる。保持体403が半導
体ウエハ401を吸着/保持する位置までバネ412に
逆らって左方向に進行させる。この時、保持体403に
は、圧縮バネ412により右方向に力がかかる。このと
き、圧縮バネ412による力で、半導体ウエハ401か
ら保持体403が離れない様、圧縮バネの戻る力と保持
体403が半導体ウエハ401を吸引する力とを調整
し、両者のバランスをとる。
【0053】ジェットポンプ414からジェットノズル
402に流体を送り込み、噴出する流体が安定するまで
一定時間出し続ける。流体の流れが安定したらノズルを
移動し、シャッタ406を開いて半導体ウエハ401の
厚さ中心にジェットノズル402から噴出した流体を基
体101の側面にあてる。この時、保持体404をモー
ター410によって回転させることにより、半導体ウエ
ハ401及び保持体403を回転させる。流体は、半導
体ウエハ401の厚さ方向の中心付近にあてることで、
半導体ウエハ401を2体に押し広げ半導体ウエハ40
1内で比較的弱い多孔質層を破壊し、最終的には2体に
分離させる。
【0054】この時、上述した様に、半導体ウエハ40
1に流体は均等にかかり、また保持体403は、半導体
ウエハ401を保持しながら右方向に力が働いているの
で、分離した後分離した半導体ウエハ401同士が摺動
し難い機構になっている。
【0055】貼り合わせウエハ401を回転させずにノ
ズル402を貼り合わせウエハ401の貼り合わせ界面
(表面)に平行な方向に走査させることで貼り合わせウ
エハ401を分離させることも可能であるが、貼り合わ
せウエハ401を回転させずにノズル402を走査させ
て分離させた場合、0.15mmのノズル径に対し20
0kgf/cm2 の高圧水が必要であるのに対し、貼り
合わせウエハ401を回転させノズル402を固定させ
て分離した場合、200kgf/cm2 の圧で分離でき
る。
【0056】これは貼り合わせウエハ401の中央部に
向けて、水を噴出することでノズルを走査する方式に比
べ水圧を効率的に押しひろげる力として作用させること
ができるからである。
【0057】なお、水圧を低圧化することにより、次の
効果がある。
【0058】1)ウエハが割れることなく分離できるこ
と 2)ポンプ能力にゆとりが出来るので沢山のジェットを
同時に使用できること 3)ポンプを小型に、軽量に出来ること 4)ポンプ及び配管系の材料選択の範囲が広げられるの
で純水対応し易くなること 5)ポンプ及び、特に、ジェットの噴射音が小さくまっ
て防音対策が楽になること
【0059】図4に示したウエハ保持手段は、保持体4
03、404により両面から引っ張る様にして保持する
が、保持体403、404を両面から押すようにしてそ
の押し付け圧により保持することもできる。こうした場
合も、高圧水は貼り合わせウエハ401を押し広げわず
かな隙間を作りながら進行していき、最終的には2体に
分離することができる。
【0060】保持体403、404の形状は、貼り合わ
せウエハ401との接触部が小さいほど高圧水が貼り合
わせウエハ401を押し広げる際、貼り合わせウエハ4
01がフレキシブルに動ける。こうして過度の高圧によ
る応力集中及び貼り合わせウエハ401分離界面中の水
が割れを防止でき広がり易くなっている。以上が効果的
な分離を可能としている。たとえば、保持体403、4
04の貼り合わせウエハ401との接触部の径を30m
m以下にした場合は、ノズル径0.2mm、圧力400
kgf/cm2 で貼り合わせウエハ401は割れを生ぜ
ず貼り合わせウエハ401が1回転する間に分離するこ
とができる。
【0061】また保持体403、404の形状で貼り合
わせウエハ401との接触部が大きいほど高圧水が貼り
合わせウエハ401を押し広げる際、貼り合わせウエハ
401裏面を支えるので分離中の割れを防止できる。保
持体403、404の貼り合わせウエハ401との接触
部の径を100mm以上にした場合はノズル径0.2m
m、圧力400kgf/cm2 で貼り合わせウエハ40
1は割れを生ぜずに分離することができる。
【0062】保持体403、404と貼り合わせウエハ
401との接触部にパーティクルなど異物をはさみこむ
と、貼り合わせウエハ401は垂直に保持されなくなり
それによって貼り合わせウエハ401最上部の垂直方向
からノズル402が前後左右にずれることがあり高圧流
体が効果的に貼り合わせウエハ401分離界面に当たら
ないことがある。その防止機構として保持体403、4
04の貼り合わせウエハ401接触面を多数の微小な突
起で形成することで、接触面積を極力少なくしそれによ
って異物を挟み込む影響を少なくすることができる。
【0063】図4に示した支持器は保持体404が回転
し保持体403はそれを通して一緒に回転するのでわず
かながら回転をとめる方向に力がかかり貼り合わせたウ
エハ401が全面分離する間際では分離面にねじれが作
用して分離されることがある。その場合は保持体403
を保持体404と同期して回転させることにより、分離
面のねじれをなくすことができる。詳しい方法について
は後述する。
【0064】図5は、本発明の別の分離装置を示してい
る。
【0065】図5において、204はウエハ水平駆動機
構、205はウエハキャリア、206はウエハ搬送アー
ムである。図5に示すように、ウエハカセット205は
ウエハ201が水平になるようにカセット台207上に
置かれている。ウエハ201はウエハ移載ロボット20
6によりウエハ支持台204に移載される。ウエハ20
1の載ったウエハ支持台204はベルトコンベアの様な
支持台移動機構により高圧ジェットノズル202,20
3の位置へと送られていく。その両ウエハのベベリング
で構成された凹部に、その側方に配置された流体ジェッ
ト装置のノズル202,203から高圧の流体を貼り合
わせウエハの貼り合わせ界面(表面)に平行な方向から
分離領域に向けて噴射する。その際、ノズルは固定して
おき、高圧の流体がベベリングで構成された凹部に沿う
ように貼り合わせウエハを水平方向に走査した。ノズル
は片側202あるいは203のみでもよく、必要に応じ
て、両ノズル202,203を用いてもよい。
【0066】こうすれば多孔質Si層を介してウエハは
二分割できる。ここには図示されていないが、分離した
ウエハは別の移載ロボットで第1の基板側と第2の基板
側に分離して格納される。
【0067】水平ジェット方式ではウエハを固定する必
要はなく、また、二分割後のウエハもその自重によりウ
エハ支持台204から飛び出す危険性は少ない。あるい
は、ウエハをウエハ支持台に移載した後にウエハ上部に
飛び出し防止ピンをウエハ支持台204から突き出して
もよいし、ウエハ上部を軽く押さえてもよい。
【0068】さらに、複数の貼り合わせウエハをその面
に垂直方向に並べてセットし、そのうち1組の貼り合わ
せウエハを水平走査し分離させた後、ウエハセット治具
をウエハ間隔分ウエハに垂直方向に移動させ、2組目の
貼り合わせウエハを1組目と同様に水平走査で順次分離
させることも可能である。
【0069】図6に本発明の別の分離装置を模式的に示
す。
【0070】図6は使用するウォータージェット装置の
ノズルとその動きを概念的に示したものである。図6の
ように、貼り合わせたウエハ301を保持体310によ
って保持して垂直に立てる。その両ウエハのベベリング
で構成された凹部に、その上方に配置されたジェット装
置のノズル302から高圧の流体を、貼り合わせウエハ
の貼り合わせ界面(表面)に平行な方向から噴射する。
その際、ウエハの貼り合わせ面と同一面内にノズル30
2とそのノズルを平面内で扇状に首振りさせる支点30
3をおく。ノズルをウエハの貼り合わせ面内で首振りさ
せながらジェットの流れもこの面内で振る。これにより
高圧のジェットを貼り合わせウエハのエッジ部の貼り合
わせ部の凹部又は隙間に沿って噴射させながら移動させ
ることが可能になる。こうすればノズルを貼り合わせ面
内で精確に移動させるためのロボットを使用したり、貼
り合わせウエハの方を移動させたりあるいは回転させた
りする様な機械的により複雑な機構を用いることなく広
い範囲の分離領域に流体を噴射する事が出来る。
【0071】図7は本発明の別の分離装置、即ち貼り合
わせウエハ501の周辺部にジェット503を噴射させ
る別の方式を概念的に示したものである。貼り合わせウ
エハ501を保持体510によって固定しその周囲にノ
ズル502を回転させることによりウエハエッジ部分の
全周の貼り合わせ部にジェット503を噴射することが
出来る。ウエハ中心部分を保持し、ウエハと同心円上の
レール(不図示)をウエハ501の周囲に設置してこの
レール上にノズル502を固定した治具512を滑らせ
る事によりウエハ501の周囲から貼り合わせ部にジェ
ット503を噴射させることが出来る。
【0072】図8は本発明の分離装置の別の例を示して
いる。
【0073】尚、図8において、601は第1のウエ
ハ、602は第2のウエハ、603は貼り合わせ面、6
04は流体ジェット、605はウエハが流体ジェットか
ら受ける力の方向、606は流体ジェットが貼り合わせ
面に対してなす角度を示す。本例では、ノズル611か
らのジェットの噴射方向をウエハの分離面と平行な方向
に対し傾斜角αをなすように、ノズル611と保持体6
10の位置を定めている。
【0074】ウエハを図4の様な装置で保持しそのノズ
ルは図8に示す様に配設してウエハ側面に噴射すること
もできる。ジェット604は貼り合わせ面603に対し
αという角度(606)をもっているため二枚のウエハ
601、602に与える圧力が等しくならない。図8の
例ではウエハ601と602のうちジェットが傾いた側
の602の方が相対的に小さな力を受け、その反対側の
ウエハ601はこれよりも大きな力を受ける。多孔質S
iを形成したウエハと反対側にジェットを傾けると多孔
質Si又は微小気泡をもつ層が破壊され易くなるので、
601の方のウエハが多孔質Siを持つように貼り合わ
せウエハを設置することが望ましい。
【0075】図9は本発明の別の分離装置を示してい
る。
【0076】図9において、705、706は流体ジェ
ット装置ノズル702、703の上下駆動機構、707
はウォータージェット装置ノズル704の水平駆動機
構、708はウエハ保持体を示す。
【0077】図9のように、貼り合わせウエハ701を
ウエハ保持体708によってウエハの両面から抑えて垂
直に立てる。ここでは、オリエンテーションフラットの
ある側面を上にしている。その両ウエハ701のベベリ
ングで構成された凹部又は隙間に、その上方あるいは側
方に配置された複数(本例では3個)のウォータージェ
ット装置ノズル702、703、704から高圧の流体
を、貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表面)に平行
な方向から噴射した。ノズルの単体としての構成は図3
と同様である。その際、複数のノズル702、703、
704を高圧の純水がベベリングで構成された隙間に沿
って移動する方向にガイド711、712、713に従
って走査した。
【0078】こうしてウエハを二分割する。
【0079】ノズル1本の場合には、ウエハの直径に相
当する距離を分離するだけの高圧が必要であった。ある
いはウエハの半径の距離しか分離できない圧力の場合に
はウエハをひっくり返してさらに反対側から半径の距離
分を分離する必要があった。ノズルを複数にすることに
よりそれぞれのノズルではウエハの半径分を分離すれば
充分であり、またウエハをひっくり返して再度高圧水を
噴射する必要もなく一度でウエハ全面が分離可能とな
る。
【0080】図10は、本発明の別の分離装置を示して
いる。図10において、801は複合部材としての貼り
合わせウエハ、802は流体ジェットのノズル、803
は流体を示す。図10に示すように、貼り合わせたウエ
ハを保持体811に垂直に立てて保持し、その両ウエハ
のベベリングで構成された隙間に、その上方あるいは側
方に配置されたジェット装置のスリット状の開口をもつ
ノズルから高圧の純水を、貼り合わせウエハの貼り合わ
せ界面(表面)に平行な方向から噴射する。スリットは
貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表面)に平行に配
置され、線状の水流がきちんと両ウエハのベベリングで
構成された隙間に噴射されるように位置決めされてい
る。複数のノズルは高圧の流体がベベリングで構成され
た隙間に沿って移動する方向に走査される。
【0081】スリットの長さをウエハ直径以上にしてお
けばノズルの走査は不要になる。
【0082】このスリット状ノズルの効果は、1本の微
小径のノズルに比べて、低圧でウエハを分割することが
出来ることである。低圧でも、高圧水の出る面積を大き
くすることで、ウエハに与える分割に使われるエネルギ
ーを大きくすることができ、より容易に剥がすことが可
能になる。
【0083】本発明に用いることのできるノズルはスリ
ット状開口をもつものだけでなくて、図11のように複
数のノズル1202を密接に直線状に並べて貼り合わせ
ウエハ1201に噴射しても同様の結果が得られる。こ
こで、1211はウエハの保持体である。
【0084】図12は、本発明の別の分離装置を示して
おり、複数ジェットを用いて複数のウエハを同時に分離
することが出きるものである。
【0085】図12の装置の基本構成は、図3と同様の
ものが複数それぞれ独立に設置されたものである。ウエ
ハ1001aは保持体1005aにセットされる。ノズ
ル1002aから噴射した高圧流体はウエハ1001a
のベベリング部にあてられる。ノズル1002aは水平
移動機構1004aにより高圧水がベベリング部に当た
りながら紙面に垂直な方向に移動することができる。同
様動作はノズル1002b、水平移動機構1004b、
保持体1005bを有する図中右側の装置においても可
能であり、これによってスループットは倍増した。この
図には2セット図示してあるが、それ以上設置していて
もよい。
【0086】また、高圧ポンプの容量が大きくない場合
には、左側の高圧水を噴射している間に、右側のウエハ
を入れ替えて、これを交互に行えばよい。これによっ
て、ローダー、アンローダーのロボットも1セットで済
むことになる。
【0087】図13は本発明の別の分離装置を示してお
り、ウエハ1101a,b,c,d,eをウエハ保持手
段1105に一度にセットする。1式のノズル移動機構
1103,1104に複数のノズル1102a〜110
2eが設置されている。ノズル間隔は、ウエハ固定間隔
と同じである。保持機構、ノズル移動方式は図3のもの
と同様である。
【0088】5枚のウエハは、ガイド1114上を水平
移動可能な保持体1115a,1115b,1115
c,1115d,1115e,1115fの間にその中
心軸を一致させて固定される。
【0089】5つのノズル1102a〜1102eに
は、流体の共通供給管とノズルの上下移動機構を兼ねる
可動供給管1112が分離器1113を介して接続され
ている。
【0090】待機位置で各ノズルからの流体の噴射量や
圧力を安定させた後、ガイド1111に沿って、全ノズ
ル1102a〜1102eは、ウエハの分離位置まで移
動し、ウエハを分離しながらガイド111に沿って進
む。分離が終了すると流体の噴射量を少なくするか、或
いは停止してノズルを待機位置まで戻す。
【0091】図10〜図13の装置においては、ウエハ
の保持体を回転させることで、ウエハを自転させながら
流体を噴射して分離を行うこともできる。
【0092】図14、図15は本発明に用いられる複合
材の分離装置を示す上面図及び側面図である。
【0093】この分離装置は回転同期機構を有してお
り、複合部材の第1の表面を保持する第1の保持体と、
該複合部材の第2の表面を保持する第2の保持体と、を
同じ方向に同じ角速度で回転させることが出来る。
【0094】複合部材の一方の表面のみに回転駆動力を
与える場合、或いは上述したような同期がとられていな
い場合、以下に述べるような現象が生じ易い。
【0095】複合部材であるウエハが全面に亘り完全に
分離する直前には、必ず、分離面のどこかに最後に分離
する微小領域が分離せず残存する瞬間がある。この最終
残存微小領域の位置により次の2つの分離モードが考え
られる。
【0096】1つは、分離面のほぼ中央に最終残存領域
が残る場合、2つ目は、中央以外の領域に最終残存領域
が残る場合である。
【0097】この情況を概念的に示したがの図16であ
る。
【0098】前者が発生する時は、周囲から均等に中心
に向かって分離していく様な分離状態の時、や、分離面
の中心付近の強度が高い場合である。この場合には、ウ
エハの片側の保持体21だけに回転駆動力を与えると、
最終残存微小領域がこの回転によりねじ切られて分離す
ることになる。
【0099】後者の分離モードが発生する時は、流体の
吹き付けの初期段階で、ある周囲部分からウエハの半径
以上に亘ってきれつが入り一度に分離する様な分離状態
の時、や、分離面の中心付近以外の強度が高い場合であ
る。この場合には、ウエハの片側の保持体21だけに回
転駆動力を与えると、最終残存微小領域はこの回転によ
るせん断応力により分離されることになる。
【0100】反対側の保持体22には、独立した駆動力
が与えられず、保持体22はウエハを通じて回転を与え
られているだけなので、ベアリング等によりどんなに軽
く反対側の保持体22を保持していても、わずかながら
保持体22の回転をとめる方向に力がかかるためであ
る。
【0101】このねじれやせん断により分離面に垂直方
向以外の複雑な力が働き、分離面以外の面で不本意な分
離が生じる場合が有る。
【0102】従って、ウエハを回転させながら分離する
場合には、ウエハの両側を同期をとらずに回転駆動させ
ると、分離時に所望の分離面以外の面から剥がれるこ
と、や、ウエハや活性層にダメージが入ること、があ
る。これらの現象は著しい歩留まりの低下を招く。
【0103】支持台40上には、スピードコントロール
可能なモータ32を支持する為のモータ支持体36と、
モータシャフト31を回転可能に支持する為の一対のシ
ャフト支持体37、38が固定されている。
【0104】更に支持台40上には、保持体21を回転
可能に支持する為の第1のホルダー支持体33と、保持
体22を回転可能に支持する為の第2のホルダー支持体
34と、が固定されている。
【0105】モータシャフト31に取り付けられたタイ
ミングプーリ29と、保持体21の回転軸23の後尾に
取り付けられたタイミングプーリ25とは、タイミング
ベルト27によって同方向に回転するように連結されて
いる。
【0106】同様にモータシャフト31に取り付けられ
たタイミングプーリ30と、保持体22の回転軸24の
後尾に取り付けられたタイミングプーリ26とは、タイ
ミングベルト28によって同方向に回転するように連結
されている。
【0107】プーリ25とプーリ26には同一駆動半径
のプーリを用い、プーリ29とプーリ30とにも同一駆
動半径のプーリを用いる。
【0108】タイミングベルト27、28も同じものを
用いる。
【0109】こうしてモータ32の駆動力はシャフト3
1から各プーリ及びベルトを介して保持体21、22に
伝達され、保持体21、22を同方向、同角速度で同一
タイミングで回転させる。
【0110】図15の60は流体を噴射させるジェット
ノズル61はシャッターである。説明をわかりやすくす
る為、ノズルやシャッターは簡略化して描いている。
【0111】ノズル60は、不図示の固定治具により支
持台40上に固定され、ノズル60の位置に合わせてウ
エハの位置決め部材35が支持台40上の設けられてい
る。
【0112】図17は、ウエハ20を保持する前の状態
における、分離装置の保持体の部分断面図である。
【0113】保持体21、22は、ウエハを吸着し、保
持する実動作を行う保持部45a、46aと、保持部4
5a、46aを回転軸23、24と共に回転させる為の
固定部45b、46bと、回り止め41、42、43、
44等の集合体である。
【0114】保持部45aは、チューブ52及び加圧路
56に圧送された加圧気体により、圧縮バネ(コイルス
プリング)47に逆らって回転軸23と離れる方向(図
中右方)に動き得る。
【0115】保持部45aの中心付近には開口opが設
けられ、回転軸内の減圧路55に連通している。開口o
pは、減圧チューブ51を介して接続されている不図示
の真空ポンプにより大気圧より低圧に真空引きされる。
【0116】保持体21、22は図17に示すようにウ
エハを直接吸着する保持部45aが回転軸23にガイド
されて、加圧チューブ52から導入される空気圧により
右方に前進する。そして、圧縮バネ47により図中左方
に後退する。さらに保持部45aは、回り止め41、4
2により回転軸23と一緒に回転する。保持体22は基
本的に保持体21と鏡面対称で同機構であるが、貼り合
わされたウエハ20を保持体22に位置決め、保持した
際、貼り合わされたウエハ20とノズル60との位置が
いつも定位置となるように必ず、前進動作において保持
体21の方が保持体22より強い力がかかる様、また後
退において保持体22の方が保持体21より強い力がか
かる様加圧力が制御ないし調整されている。
【0117】この装置の使用法即ち本発明の複合部材の
分離法は以下のとおりである。
【0118】まず、図17に示すように貼り合わせたウ
エハ20を位置決め台35のノッチにならう様セットす
る。次に図18の様に保持部45aを加圧空気の導入に
より前進させ保持体21にウエハを吸着/保持させる。
保持体21は、貼り合わせたウエハ20を位置決め台3
5のノッチにならわすことで貼り合わせたウエハ20の
中央部を保持することができる。貼り合わせたウエハ2
0が、正確な位置に保持されると、貼り合わせたウエハ
20の最上部の垂直方向にノズル60が位置し、貼り合
わせたウエハ20とノズル60の距離が10〜30mm
になる構成になっている。次に、保持体22の保持部4
6aを図中左方に前進させ貼り合わせたウエハ20に吸
着/保持させ、その後保持部46aの加圧用空気の導入
を止める。貼り合わせたウエハ20は圧縮バネより発生
する力と真空吸着力により図中右方向に力がかかる状態
で停止する。この時圧縮バネが発生する力は保持部46
aが貼り合わせたウエハ20を吸着する力を超えないの
で減圧路55、57内が真空破壊し吸着力がなくなりウ
エハ20が落下することはない。
【0119】次に、ポンプ62からノズル60に研磨粒
子を含まない流体を送り込み、噴出する水が安定するま
で一定時間出し続ける。水が安定したら、シャッタ61
を開いて貼り合わせたウエハ20の厚さ方向の中心にノ
ズル60から噴出した高圧水をあてる。この時、スピー
ドコントロールモータ32を回転させることにより、保
持体21、22を同期をとって回転させウエハ20を回
転させる。高圧流体は、ウエハ20の厚さ方向の中心に
あたることで、分離領域にも高圧流体が進入し、貼り合
わせたウエハ20を2体に押し広げ、最終的には2体に
分離させる。
【0120】この時、上述した様に、貼り合わせたウエ
ハ20に高圧水は均等にかかり、また保持体21、22
は貼り合わせたウエハ20を引き寄せる方向にそれぞれ
力をかけているので、貼り合わせたウエハ20が分離後
お互いに更に離れていき、分離した部分同士が摺動しな
い機構になっている。
【0121】また、図17〜20に示したウエハ支持手
段は、保持体21、22によりウエハから後退する方向
に力がかかるようにして支持するが、保持体21、22
を前進方向に力がかかるようにしてその押し付け圧によ
りウエハを保持することもできる。こうした場合も、高
圧水は貼り合わせウエハ20を押し広げわずかな隙間を
作りながら浸入していき、最終的にはウエハを2体に分
離する。この方式では、保持体21、22の同期をとっ
ていなかった場合、分れたウエハの分離面同士が摺動に
より傷ついたのに対し、同期をとって回転させた場合は
傷がなかった。さらに保持体21、22を後退方向に力
がかかっているときは、ウエハ分離中、保持体21、2
2により後退方向に引っ張られることにより分離してな
い部分と分離している部分とで変位量がちがうことか
ら、貼り合わせたウエハ20のバランスがくずれそこに
高圧水がかかり、割れの原因になることがあるが、保持
体21、22に前進方向に力がかかっている場合、貼り
合わせたウエハ20がバランスを崩すことはなく安定し
て分離できる。
【0122】尚、完全に分離した貼り合わせたウエハ
は、高圧又は常圧の流体をかけながら後退方向に力をか
けることで間に介在している水の表面張力を断ち切り完
全に2体に分離することができる。
【0123】以上のとおり、本発明による分離装置は、
1つ或いは複数の複合部材を順次又は同時に流体により
分離するものである。複合部材の配置の仕方は、表面の
法線方向に複合部材を並べてもよいし、表面と平行な方
向に並置してもよい。
【0124】又、複合部材を回転ないし、表面と平行に
平行移動させて、流体に当ててもよいし、流体の流れを
表面と平行に移動させて複合部材の側面に当ててもよ
い。又、両者を共に動かしてもよい。
【0125】
【実施例】(実施例1)(1層の多孔質・ノズル走査)
比抵抗0.01Ω・cmのP型(あるいはN型とするこ
ともできる。)の第1の単結晶Si基板を、HF溶液中
において陽極化成を行った。陽極化成条件は以下のとお
りであった。
【0126】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0127】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、さらに分離層として用い、それぞ
れ機能を一層で共用している。
【0128】多孔質Si層の厚さは、これに限っておら
ず、数百μmから0.1μm程度まで使用できる。
【0129】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0130】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0131】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0132】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分の熱処理をし、貼り合わせをおこなっ
た。
【0133】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図3に示した装置を用いて分離しすべく、貼り合わ
せたウエハをウエハ保持体によってウエハの両面から支
えて垂直に立てる。その両ウエハのベベリングで構成さ
れた隙間に、その上方に配置された研磨剤フリーのウォ
ータージェットを0.15mmのノズルから2000k
gf/cm2 の圧力で高圧の純水を、貼り合わせウエハ
の貼り合わせ界面(表面)に平行な方向から噴射した。
そしてノズル水平駆動機構によりノズルを高圧の純水が
ベベリングで構成された隙間に沿って移動する方向に走
査した。この際、ウエハと保持体との接する部分に弾性
体106(たとえば、バイトン、フッ素系ゴム、シリコ
ーンゴム、など)を用いると、ウエハが面内に垂直方向
に開けるためウエハ保持具により挟まれたところの多孔
質Si層部にも高圧水が浸入しウエハを分離することが
できた。
【0134】その結果、元々第1の基体表面に形成され
たSiO2 層、エピタキシャルSi層、および多孔質S
i層の一部が、第2の基板側に移設された。第1の基板
表面には多孔質Siのみ残った。
【0135】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングする。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0136】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は、極めて低く、多孔質層のエッチ
ング速度との選択比は十の五乗以上にも達し、非多孔質
層におけるエッチング量(数十オングストローム程度)
は実用上無視できる膜厚減少である。
【0137】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は201
nm±4nmであった。
【0138】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0139】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0140】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0141】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、40%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行うことができた。
【0142】(実施例2)(2層の多孔質・ノズル走
査) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において2段階の陽極化成を行い、2層
の多孔質層を形成した。陽極化成条件は以下のとおりで
あった。
【0143】第1段階 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:5(分) 第1の多孔質Siの厚み:4.5(μm)第2段階 電流密度:30(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:10(秒) 第2の多孔質Siの厚み:0.2(μm)
【0144】多孔質Si層を2層構成にすることによ
り、先に低電流で陽極化成した表面層の多孔質Siは高
品質エピタキシャルSi層を形成させるために用い、そ
して後で高電流で陽極化成した下層の多孔質Siは分離
層として用い、それぞれ機能を分離した。したがって、
低電流多孔質Si層の厚さはこれに限っておらず、0.
1μm数百程度まで使用できる。
【0145】また、2層目の多孔質Si層形成後に3層
目以降を形成してもよい。
【0146】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0147】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0148】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
層)を形成した。
【0149】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせをおこなっ
た。
【0150】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図3に示した装置を用いて分離した。分離の過程は
実施例1と同様であった。その結果、元々第1の基体表
面に形成されたSiO2 層、エピタキシャルSi層、お
よび多孔質Si層の一部が第2の基板側に移設された。
第1の基板表面には多孔質Siのみ残った。
【0151】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0152】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は200
nm±4nmであった。
【0153】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0154】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0155】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0156】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行うことができた。
【0157】(実施例3)(多孔質Si+イオン打ち込
みによる分離層・ノズル走査) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0158】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0159】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0160】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0161】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0162】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0163】ここで投影飛程がエピタキシャル層/多孔
質Si界面あるいは多孔質Si/基板界面あるいは多孔
質Si層中になるように、第1の基板表面からイオン注
入した。これによって、分離層として働く層が、投影飛
程の深さの所に微小気泡層あるいは注入イオン種の高濃
度層による歪み層として形成された。
【0164】重ね合わせる前にN2 のプラズマ処理等の
前処理を行い、該SiO2 層表面と、別に用意した第2
のSi基板の表面と、を重ね合わせ、接触させた後、6
00℃の温度で10時間の熱処理をし、貼り合わせをお
こなった。
【0165】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図3に示す装置を用いて分離した。分離の過程は実
施例1と同様であった。その結果、元々第1の基体表面
に形成されたSiO2 層、エピタキシャルSi層、およ
び多孔質Si層の一部が第2の基板側に移設された。第
1の基板表面には多孔質Siのみ残った。
【0166】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶をSiをエッチ・ストップ
の材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全
に除去された。
【0167】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性を201
nm±4nmであった。
【0168】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0169】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域で平均2乗粗さはおよそ0.2nmで
通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0170】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0171】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行うことが出来た。
【0172】本実施例は、エピタキシャルSi層を形成
後イオン注入した例であるが、エピタキシャル成長前に
多孔質Si層中あるいは多孔質Si/Si基板界面にイ
オン注入しておいてもよい。
【0173】(実施例4)(イオン打ち込みによるバブ
ル層・ノズル走査) 第1の単結晶Si基板表面に、絶縁層として熱酸化によ
り200mnの酸化膜(SiO2 層)を形成した。
【0174】ここで投影飛程がSi基板中になるよう
に、第1の基板表面からイオン注入した。これによっ
て、分離層として働く層が、投影飛程の深さの所に微小
気泡層あるいは注入イオン種の高濃度層による歪み層と
して形成された。
【0175】重ね合わせる前にN2 のプラズマ処理等の
前処理を行い、該SiO2 層表面と別に用意した第2の
Si基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、600
℃の温度で10時間の熱処理をし、貼り合わせをおこな
った。
【0176】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図3の装置を用いて分離した。分離の過程は実施例
1と同様であった。
【0177】その結果、元々第1の基板表面に形成され
たSiO2 層、表面単結晶層、および分離層の一部が第
2の基板側に移設された。第1の基板表面には分離層の
残りの部分が残った。
【0178】その後、第2の基板上に移設された分離層
を49%と弗酸と30%過酸化水素水との混合液で撹は
んしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッチン
グされずに残り、単結晶Siをエッチング・ストップの
材料として、分離層は選択エッチングされ、完全に除去
された。
【0179】残された分離層が十分に薄い場合には、こ
のエッチング工程はなくてもよい。
【0180】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。分離層の選択エ
ッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はなかっ
た。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面について
100点を測定したところ、膜厚の均一性は201nm
±4nmであった。
【0181】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0182】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0183】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0184】また、第1の基板側に残った分離層もその
後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で撹は
んしながら選択エッチングした。その後、水素アニー
ル、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1の
基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述した
工程をくり返すことができた。
【0185】本実施例は、元々Siウエハの表面領域を
イオン注入による分離層を介して第2の基板に移設する
例であるが、エピウエハを用いてエピタキシャル層をイ
オン注入による分離層を介して第2の基板に移設しても
よい。また、本実施例のイオン注入後に表面SiO2
除去してからエピタキシャル層を形成して更にSiO2
を形成して後、貼り合わせ工程に入って、エピタキシャ
ル層をイオン注入による分離層を介して第2の基板に移
設してもよい。後者の場合は元々Siウエハの表面領域
も移設されることになる。
【0186】(実施例5)(ウエハを水平、ウエハを移
動) 比抵抗0.01Ω・cmのP型第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0187】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0188】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0189】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、及び分離層として用いる為のもの
である。
【0190】多孔質Si層の厚さは、これに限っておら
ず、数百μmから0.1μm程度まで使用できる。
【0191】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0192】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0193】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0194】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせをおこなっ
た。
【0195】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図5に示した装置を用いて分離した。尚、図5に示
すように、ウエハカセット205をウエハ201が水平
になるようにカセット台207に置いた。
【0196】その両ウエハのベベリングで構成された隙
間に、その側方に配置されたウォータージェット装置の
0.15mmのノズル202,203から2000kg
f/cm2 の圧力で高圧の純水を、貼り合わせウエハの
貼り合わせ界面(表面)に平行な方向から噴射した。そ
して、ノズルは固定しておき、高圧の純水がベベリング
で構成された隙間に沿うように貼り合わせウエハを水平
方向に走査した。
【0197】そうしたところ、多孔質Si層を介してウ
エハは二分割された。次に図示、分離したウエハは別の
移載ロボットで第1の基板側と第2の基板側に分離して
格納し、回収した。
【0198】第1の基体表面に形成されていたSiO2
層、エピタキシャルSi層、および多孔質Si層の一部
が第2の基板側に移設された。第1の基板表面には多孔
質Siのみ残った。
【0199】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶はSiエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0200】こうして、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は200
nm±5nmであった。
【0201】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0202】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0203】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0204】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上記工
程をくり返し行った。
【0205】(実施例6)(ノズルの首を振る) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0206】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0207】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0208】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、さらに分離層として用いる為のも
のである。
【0209】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0210】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0211】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0212】該SiO2 層表面と別に用意したSi基板
の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180℃の温
度で5分間の熱処理をし、貼り合わをおこなった。
【0213】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図6に示す装置を用いて分離した。図6のように、
貼り合わせたウエハ301を垂直に立てて、その両ウエ
ハのベベリングで構成された隙間に、その上方に配置さ
れたウォータージェット装置0.15mmのノズル30
2から2000kgf/cm2 の圧力で高圧の純水を、
貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表面)に平行な方
向から噴射した。そして、ウエハの貼り合わせ面と同一
面内にノズル302とそのノズルを平面内で扇状に首振
りさせると、ジェットの流れもこの面内で振られる。
【0214】こうして、多孔質Si層を介してウエハは
二分割された。その結果、元々第1の基体表面に形成さ
れたSiO2 層、エピタキシャルSi層、および多孔質
Si層の一部が第2の基板側に移設された。第1の基板
表面には多孔質Siのみ残った。
【0215】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0216】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は201
nm±4nmであった。
【0217】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0218】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0219】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0220】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行った。
【0221】また、上記実施例2〜4のように分離層を
形成したウエハの分離を行ったところ同様の結果が得ら
れた。
【0222】(実施例7)(ウエハを回転) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0223】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0224】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C22 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0225】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、さらに分離層として用いる為のも
のである。
【0226】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0227】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0228】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0229】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせをおこなっ
た。
【0230】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図4に示す装置を用いて分離した。
【0231】貼り合わせたウエハ401を両面から支え
て垂直にたてる。
【0232】まず、貼り合わせたウエハ401を位置決
めピン413にならう様セットし保持体404に吸着/
保持させた。貼り合わせた401が、位置決めピン41
3にならわせて正確な位置に保持すると、貼り合わせて
ウエハ401最上部の垂直方向にノズル402を移動
し、貼り合わせたウエハ401とノズル402の距離を
15mmとした。つぎに、保持体403を貼り合わせた
ウエハ401が吸着/保持するまでベアリング411に
ならって左方向に前進させた。
【0233】次に、ウォータージェットポンプ414か
らノズル402に研磨粒子を含まない水を送り込み、噴
出する水が安定するまで一定時間出し続けた。水が安定
したら、シャッタ406を開いて貼り合わせたウエハ4
01の側面の厚さ方向の中心にノズル402から噴出し
た高圧の純水をあてた。この時、保持具404を回転さ
せることにより、貼り合わせたウエハ401及び保持具
403を回転させた。多孔質Si層部にも高圧水が進入
し貼り合わせたウエハ401を2体に押し広げ、最終的
には2体に分離できた。
【0234】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0235】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶がSi層が形成できた。多孔質Siの
選択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化は
なかった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面に
ついて100点を測定したところ、膜厚の均一性は20
0nm±3nmであった。
【0236】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0237】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0238】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0239】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行うことができた。
【0240】また、上記実施例2〜4のように分離層を
形成したウエハを分離したところ同様の結果が得られ
た。
【0241】(実施例8)(斜めから) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0242】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0243】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0244】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、さらに分離層として用いる為のも
のである。
【0245】多孔質Si層の厚さは、これに限っておら
ず、数百μmから数十μm程度まで使用できる。
【0246】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0247】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0248】さらに、絶縁層としてこのエピタキシャル
Si層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(SiO
2 層)を形成した。
【0249】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせをおこなっ
た。
【0250】貼り合わせたウエハを垂直に立てて、その
両ウエハのベベリングで構成された隙間に、その上方に
配置されたウォータージェット装置の直径0.15mm
のノズルから2000kgf/cm2 の圧力で高圧の純
水を、貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表面)対し
て角度αを持つ方向から噴射した。
【0251】ウエハは図4の様な装置で保持しそのノズ
ルは図8に示す様に配設してウエハ側面に噴射した。
【0252】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0253】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は201
nm±4nmであった。
【0254】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0255】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0256】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られた。
【0257】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行った。
【0258】また、上記実施例2〜4のように分離層を
形成したウエハを分離したところ同様の結果が得られ
た。
【0259】(実施例9)(複数のjet) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0260】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0261】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0262】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるために、さらに分離層として用いる為のも
のである。
【0263】多孔質Si層の厚さは、これに限っておら
ず、数百μmから数十μm程度まで使用できる。
【0264】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0265】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0266】さらに、このエピタキシャルSi層表面に
熱酸化により200nmのSiO2層を形成した。
【0267】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせを行った。
【0268】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図9に示す装置を用いて分離した。
【0269】図9のように、貼り合わせたウエハ701
をウエハ保持体708によってウエハの両面から抑えて
垂直に立てた。その両ウエハ701のベベリングで構成
された隙間に、その上方あるいは側方に配置された3個
のウォータージェット装置の0.15mmのノズル70
2−704から2000kgf/cm2 の圧力で高圧の
純水を、貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表面)に
平行な方向から噴射した。複数のノズルを高圧の純水が
ベベリングで構成された隙間に沿って移動する方向に走
査した。
【0270】そうしたところ、多孔質Si層を介してウ
エハは二分割された。
【0271】その結果、元々第1の基体表面に形成され
たSiO2 層、エピタキシャルSi層、および多孔質S
i層の一部が第2の基板側に移設された。第1の基板表
面には多孔質Siのみ残った。
【0272】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0273】こうして、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚の面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は201
nm±4nmであった。
【0274】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0275】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0276】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0277】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨等の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として使用し、上述し
た工程をくり返し行った。
【0278】また、上記実施例2〜4のように分離層を
形成したウエハを分離したところ同様の結果が得られ
た。
【0279】また、上記実施例5〜8の様なウォーター
ジェットの噴射方法においても複数のノズルを使用する
ことにより、効率よく貼り合わせウエハを分離できる。
【0280】(実施例10)(スリットjet) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の第1の単結晶Si基板
を、HF溶液中において陽極化成を行った。
【0281】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0282】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0283】多孔質Siは高品質エピタキシャルSi層
を形成させるための、さらに分離層として用いる為のも
のである。
【0284】多孔質Si層の厚さは、これに限っておら
ず、数百μmから数十μm程度まで使用できる。
【0285】この基板を酸素雰囲気中400℃で1時間
酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱酸
化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で処
理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表面
の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法によ
り単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。成
長条件は以下の通りである。
【0286】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0287】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
層)を形成した。
【0288】該SiO2 層表面と別に用意した第2のS
i基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1180
℃の温度で5分間の熱処理をし、貼り合わせを行った。
【0289】上記のようにして形成された貼合わせ基板
を、図10に示す装置を用いて分離した。図10に示す
ように、貼り合わせたウエハを垂直に立てて、その両ウ
エハのベベリングで構成された隙間に、その上方あるい
は側方に配置されたウォータージェット装置の0.15
mm幅、長さが50mmのスリット状のノズルから80
0kgf/cm2 の圧力で高圧の純水を、貼り合わせウ
エハの貼り合わせ界面(表面)に平行な方向から噴射し
た。スリットは貼り合わせウエハの貼り合わせ界面(表
面)に平行に配置され、線状の水流がきちんと両ウエハ
のベベリングで構成された隙間に噴射された。そして、
複数のノズルを高圧の純水がベベリングで構成された隙
間に沿って移動する方向に走査した。
【0290】そうしたところ、多孔質Si層を介してウ
エハを二分割された。
【0291】その結果、元々第1の基体表面に形成され
たSiO2 層、エピタキシャルSi層、および多孔質S
i層の一部が第2の基板側に移設された。第1の基板表
面には多孔質Siのみ残った。
【0292】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層を49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。単結晶Siはエッ
チングされずに残り、単結晶Siをエッチ・ストップの
材料として、多孔質Siは選択エッチングされ、完全に
除去された。
【0293】すなわち、Si酸化膜上に0.2μmの厚
みを持った単結晶Si層が形成できた。多孔質Siの選
択エッチングによっても単結晶Si層には何ら変化はな
かった。形成された単結晶Si層の膜厚を面内全面につ
いて100点を測定したところ、膜厚の均一性は201
nm±4nmであった。
【0294】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0295】さらに水素中で1100℃で熱処理を1時
間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、
50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2nm
で通常市販されているSiウエハと同等であった。
【0296】酸化膜は、エピタキシャル層表面でなく、
第2の基板表面に形成しても、あるいは、その両者に形
成しても同様の結果が得られる。
【0297】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、水素アニ
ール、あるいは表面研磨層の表面処理を施して再び第1
の基板としてあるいは第2の基板として投入することが
できた。
【0298】また、上記実施例2〜4のように分離層を
形成してたウエハを分離したところ同様の結果が得られ
た。
【0299】(実施例11)(石英基板) 第2の基板として光透過性の基板である(石英)を用意
した。
【0300】そして貼り合わせ前に石英表面にN2 プラ
ズマ処理を施し、熱処理を400℃で100時間行っ
た。そして分離後のSOI層の表面平坦化の水素中熱処
理を1000℃以下である970℃で4時間行った。
【0301】その他の工程は前出の実施例1〜10と同
じである。
【0302】このように、第2の基板として、絶縁性の
材料から成る透明基板を用いた場合には、前出の実施例
1〜10におけるエピタキシャルSi層の表面に形成さ
れた酸化膜(絶縁層)は必ずしも必要ではない。ただ
し、後にトランジスタ等の素子が形成されるエピタキシ
ャルSi層を、貼り合わせ界面から離して、界面につい
た不純物の影響を減少させるためには、上記酸化膜(絶
縁層)を形成するのが望ましい。
【0303】(実施例12)(GaAs on Si) 上記1〜10の実施例でエピタキシャル層をGaAsに
代表される化合物半導体にした場合でも同様に実施でき
た。
【0304】上記示した実施例において、ウォータージ
ェットの圧力およびノズル径は、それぞれ500〜35
00kgf/sm2 、0.1mm〜(貼り合わせウエハ
総厚の半分)の間で同様に実現できた。
【0305】多孔質Si上のGaAsのエピタキシャル
成長法はCVD法の他、MBE法、スパッタ法、液相成
長法、等多種の方法で実施でき、CVD法に限らない。
また、その膜厚も数nmから数百μmまで可能である。
【0306】以上の各実施例において、イオン注入層又
は多孔質層の選択エッチング液としては49%弗酸と3
0%過酸化水素水との混合液に限らず、弗酸、 弗酸+アルコール、 弗酸+アルコール+過酸化水素水、 バッファード弗酸、 バッファード弗酸+アルコール、 バッファード弗酸+過酸化水素水、 バッファード弗酸+アルコール+過酸化水素水、 あるいは弗酸・硝酸・酢酸の混合液のようなものでも多
孔質Siは、その膨大な表面積のため選択エッチングで
きる。
【0307】他の工程についても、ここの実施例に限ら
れた条件だけでなく、さまざまな条件で実施できる。
【0308】(実施例13)(ウエハを回転) 比抵抗0.01Ω・cmのP型の単結晶Siからなる円
盤状のウエハを第1のSi基板として用意し、HF溶液
中においてその表面に陽極化成処理を施した。
【0309】陽極化成条件は以下のとおりであった。
【0310】 電流密度:7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2 O:C25 OH=1:1:
1 時間:11(分) 多孔質Siの厚み:12(μm)
【0311】このウエハを酸素雰囲気中400℃で1時
間酸化した。この酸化により多孔質Siの孔の内壁は熱
酸化膜で覆われた。この多孔質Si層の表面をフッ酸で
処理し、孔の内壁の酸化膜を残して、多孔質Si層の表
面の酸化膜のみ除去した後、多孔質Si上にCVD法に
より単結晶Siを0.3μmエピタキシャル成長した。
成長条件は以下の通りである。
【0312】 ソースガス:SiH2 Cl2 /H2 ガス流量:0.5/180 l/min ガス圧力:80Torr 温度:950℃ 成長速度:0.3μm/min
【0313】さらに、絶縁層として、このエピタキシャ
ルSi層表面に熱酸化により200nmの酸化膜(Si
2 層)を形成した。
【0314】こうして得られた第1の基板とは別に、第
2のSi基板として円盤状のSiウエハを用意した。
【0315】第1のSi基板の該SiO2 層表面と、第
2のSi基板の表面とを重ね合わせ、接触させた後、1
180℃の温度で5分間の熱処理をし、両基板の貼り合
わせを行った。
【0316】次に、図14、図15、図17〜図20に
示す装置を用いて貼り合わされたウエハからなる複合部
材の分離を行う準備をした。
【0317】位置決め台35のノッチに合わせて、複合
部材であるウエハを垂直に立てて配置した。
【0318】チューブ52及びチューブ54より加圧さ
れた空気を加圧路56に供給して保持部45a、46a
をウエハの表面及び裏面に向けて、図18のように前進
させ、保持部45a、46aの開口opのある保持面を
ウエハの表面及び裏面にそれぞれ当接させた。
【0319】チューブ51、53より吸引を行いウエハ
を保持部45a、46aに固定した。
【0320】加圧空気の供給を中断し、ウエハの表面及
び裏面の法線方向且つ互いに逆向きにウエハにバネ4
7、48による張力を与えた。
【0321】シャッター61を閉じた状態で、ポンプ6
2から研磨粒子を含まない純水を0.15mm径のノズ
ルに圧送し約200kgf/cm2 の圧力で水を噴射す
るようにポンプ62を動作をせしめた。
【0322】位置決め台35を待機位置に退避させると
ともに、モータ32に通電し、シャフト31、ベルト2
7、28を介して伝達された回転駆動力により、保持体
21、22を回転させた。
【0323】ウエハは保持部45a、46aに吸着され
ているので、保持体21、22とともに同方向に、同角
速度で同時に回転を開始した。
【0324】図19に示すようにシャッタ61を開い
て、ウエハ側面の分離箇所にウォータージェットを当て
た。
【0325】ウォータージェットからの水が分離箇所の
孔に浸入し、分離箇所となっている多孔質層を境にウエ
ハをその周辺から分離していった。
【0326】ウォータージェットの噴射とウエハの回転
を続行するにつれて分離により生じた隙間は徐々にウエ
ハの周辺から回転中心に進行成長し、最終的には図20
に示すようにウエハを分離できた。
【0327】ウエハは図20中の矢印TA、TBに示す
方向に、力を受けている為ウエハの回転中心部分が最後
に分離されると同時にウエハは図20のように離れる。
【0328】その後、水の圧送を中断し、分離したウエ
ハを保持部45a、46aより取りはずした。
【0329】その後、第2の基板上に移設された多孔質
Si層の残りを49%弗酸と30%過酸化水素水との混
合液で撹はんしながら選択エッチングした。この多孔質
層の下の移設された単結晶Siはエッチングされずに残
り、単結晶Siをエッチ・ストップの材料として、多孔
質Siは選択エッチングされ、完全に除去され、単結晶
Si薄層が露出した。
【0330】こうして、第2の基板のSi酸化膜上に
0.2μmの厚みを持った単結晶Si層を有する1枚目
のSOI基板が得られた。多孔質Siの選択エッチング
によっても単結晶Si層には何ら変化はなかった。形成
された単結晶Si層の膜厚を面内全面について100点
を測定したところ、膜厚の均一性は201nm±2nm
であった。
【0331】透過電子顕微鏡による断面観察の結果、S
i層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結
晶性が維持されていることが確認された。
【0332】さらに水素中で1100℃で熱処理を50
分間行い、表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したとこ
ろ、50μm角の領域での平均2乗粗さはおよそ0.2
nmであった。
【0333】また、第1の基板側に残った多孔質Siも
その後、49%弗酸と30%過酸化水素水との混合液で
撹はんしながら選択エッチングした。その後、研磨等の
表面処理を施した。
【0334】研磨された第1の基板に、再び、陽極化成
を施し、多孔質Si層を形成し、その上に非多孔質の単
結晶Siを成長させた。エピタキシャル成長した非多孔
質の単結晶Si層の表面を酸化した。そして、別に用意
した第3の基板であるSiウエハと、第1の基板の単結
晶Si層の酸化された表面を貼り合わせた。
【0335】以上の工程の諸条件は、第1回目の貼り合
わせウエハの作製条件と同じである。再び上述した第1
回目の分離方法と同様にしてウエハを分離し、第3基板
の絶縁性表面上に単結晶Si層を有する2枚目のSOI
基板が得られた。以上の工程をくり返し行って、第1の
基板をリサイクルしながら、3枚目及び4枚目のSOI
基板を製造した。
【0336】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば内部
に分離領域を持つ複合部材を該分離領域以外を傷つけた
り破損したりすることなく分離領域で複数の小部材に分
離する事が可能になりこれを利用して従来よりも高品質
の半導体基体を容易に確実に高い歩留まりで製造するこ
とが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合部材の分離方法を説明する為の模
式図。
【図2】本発明の流体による複合部材の分離方法の一例
を説明する為の模式図。
【図3】本発明の分離装置の一例を示す斜視図。
【図4】本発明の分離装置の別の例を示す断面図。
【図5】本発明の分離装置の他の例を示す斜視図。
【図6】本発明の分離装置の更に別の例を示す模式図。
【図7】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式図。
【図8】本発明の流体による複合部材の分離方法の別の
例を説明する為の模式図。
【図9】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式図。
【図10】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式
図。
【図11】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式
図。
【図12】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式
図。
【図13】本発明の分離装置の更に他の例を示す模式
図。
【図14】本発明の別の分離装置の上面図。
【図15】図15に示す分離装置の側面図。
【図16】複合部材の分離の様子を説明する為の模式
図。
【図17】待機状態にある図15に示す分離装置の断面
図。
【図18】基板保持状態にある図15に示す分離装置の
断面図。
【図19】分離動作開始状態にある図15に示す分離装
置の断面図。
【図20】分離動作終了時の状態にある図15に示す分
離装置の断面図。
【符号の説明】
1 第1の部材 2 第2の部材 3 分離領域 5 層領域 6 側面(端面) 7 流体 8 ノズル 14 接合界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米原 隆夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/02 H01L 27/12

Claims (44)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに接合された複数の部材を有する複
    合部材を、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所に
    おいて、分離する複合部材の分離方法において、 前記複合部材の凹型又は狭い隙間を有する側面に流体を
    吹き付けることにより、前記複合部材を分離することを
    特徴とする分離方法。
  2. 【請求項2】 前記複合部材は、一方の部材の内部に微
    小空隙を含む分離領域を有し、この分離領域付近に流体
    を吹き付けることにより、分離領域から複数の部材に分
    離する請求項1に記載の分離方法。
  3. 【請求項3】 前記分離領域を押し拡げて分離を行なう
    請求項2に記載の分離方法。
  4. 【請求項4】 前記分離領域は、前記接合箇所よりも機
    械的強度が脆弱である請求項2に記載の分離方法。
  5. 【請求項5】 前記分離領域は、陽極化成法によって形
    成された多孔質層からなる請求項2に記載の分離方法。
  6. 【請求項6】 前記分離領域は、イオン打ち込みにより
    形成された微小気泡を得ることのできる層である請求項
    2に記載の分離方法。
  7. 【請求項7】 互いに接合された複数の部材を有する複
    合部材を、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所に
    おいて、分離する複合部材の分離方法において、 高圧の水流をノズルから吹き出すウォーター・ジェット
    法により前記複合部材の側面に前記水流を吹き付けるこ
    とにより、前記複合部材を分離することを特徴とする分
    離方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の分離方法によって分離さ
    れた部材。
  9. 【請求項9】 基板上に多孔質単結晶半導体層と該多孔
    質単結晶半導体層の上に設けられた非多孔質単結晶半導
    体層とを有する第1の基体を用意する工程、前記第1の
    基体と第2の基体とを貼り合わせて側面に凹型又は狭い
    隙間を有する複合部材を形成する工程、及び前記複合部
    材の前記多孔質単結晶半導体層側面に流体を吹き付ける
    ことにより、前記複合部材を多孔質単結晶半導体層にお
    いて分離する工程を有することを特徴とする半導体基体
    の作製方法。
  10. 【請求項10】 前記多孔質単結晶半導体層を押し拡げ
    て分離を行なう請求項9に記載の半導体基体の作製方
    法。
  11. 【請求項11】 前記多孔質単結晶半導体層は、第1の
    基体と第2の基体の貼り合わせ面よりも機械的強度が脆
    弱である請求項9に記載の半導体基体の作製方法。
  12. 【請求項12】 前記多孔質単結晶半導体層が、陽極化
    成法によって形成されたものである請求項9に記載の半
    導体基体の作製方法。
  13. 【請求項13】基板上に多孔質単結晶半導体層と該多孔
    質単結晶半導体層の上に設けられた非多孔質単結晶半導
    体層とを有する第1の基体を用意する工程、前記第1の
    基体と第2の基体とを貼り合わせて複合部材を形成する
    工程、及び高圧の水流をノズルから吹き出すウォーター
    ・ジェット法により前記複合部材の前記多孔質単結晶半
    導体層側面に前記水流を吹き付けることにより、前記複
    合部材を多孔質単結晶半導体層において分離する工程を
    有することを特徴とする半導体基体の作製方法。
  14. 【請求項14】 第1の基体は、単結晶シリコン基板を
    部分的に多孔質化することによって多孔質単結晶シリコ
    ン層を形成し、該多孔質単結晶シリコン層上に非多孔質
    単結晶シリコン層をエピタキシャル成長することによっ
    て形成される請求項9に記載の半導体基体の作製方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の基体と第2の基体は、少な
    くとも1つの絶縁層を介して貼り合わされ、該絶縁層は
    前記非多孔質単結晶シリコン層の表面を酸化することに
    よって形成される請求項14に記載の半導体基体の作製
    方法。
  16. 【請求項16】 前記第2の基体は、光透過性の基板か
    ら成る請求項9に記載の半導体基体の作製方法。
  17. 【請求項17】 前記第2の基体は、シリコン基板から
    成る請求項9に記載の半導体基体の作製方法。
  18. 【請求項18】 単結晶半導体から成る第1の基体の所
    定の深さにイオンを打ち込むことにより、微小気泡層を
    得ることのできるイオン打ち込み層を形成する工程、前
    記第1の基体と第2の基体とを絶縁層を介して貼り合わ
    せて複合部材を形成する工程、及び前記複合部材のイオ
    ン打ち込み層側面に流体を吹き付けることにより、前記
    複合部材をイオン打ち込み層において分離する工程を有
    することを特徴とする半導体基体の作製方法。
  19. 【請求項19】 前記複合部材の側面のイオン打ち込み
    層の付近に、流体を受けてイオン打ち込み層を押し拡げ
    る方向の力を生ずるような、凹型を形成する請求項18
    に記載の半導体基体の作製方法。
  20. 【請求項20】 前記イオン打ち込み層は、第1の基体
    と第2の基体の貼り合わせ面よりも機械的強度が脆弱で
    ある請求項18に記載の半導体基体の作製方法。
  21. 【請求項21】 前記流体を吹き付ける方法として、高
    圧の水流をノズルから吹き出すウォーター・ジェット法
    を用いる請求項18に記載の半導体基体の作製方法。
  22. 【請求項22】 請求項9に記載の方法で作製された半
    導体基体。
  23. 【請求項23】互いに接合された複数の部材を有する複
    合部材を支持する支持手段、前記複合部材の凹型又は狭
    い隙間を有する側面に流体を吹き付ける吹き付け手段を
    有し、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所におい
    て前記複合部材を分離することを特徴とする分離装置。
  24. 【請求項24】前記吹き付け手段は、高圧の水流をノズ
    ルから吹き出す手段である請求項23に記載の分離装
    置。
  25. 【請求項25】 前記複合部材と前記ノズルとを相対的
    に移動させて前記水流を走査走査手段を有する請求
    項24に記載の分離装置。
  26. 【請求項26】 前記複合部材を固定し前記ノズルを走
    査して前記水流を走査する走査手段を有する請求項25
    に記載の分離装置。
  27. 【請求項27】 前記複合部材を保持する保持体と、前
    記複合部材の前記接合された箇所に沿って前記ノズルを
    水平移動させるノズル水平移動機構と、前記複合部材と
    前記ノズルとの垂直方向距離を調整するノズル垂直移動
    機構とを有し、前記複合部材の前記側面に流体を吹き付
    ける請求項26に記載の分離装置。
  28. 【請求項28】 前記ノズルを支点を中心に扇状に走査
    する機構を有す請求項26に記載の分離装置。
  29. 【請求項29】 前記複合材料を中心として前記複合材
    料の周囲を前記ノズルが回転する機構を有する請求項2
    6に記載の分離装置。
  30. 【請求項30】 前記ノズルが複数からなる請求項26
    に記載の分離装置。
  31. 【請求項31】 前記複合部材を走査し前記ノズルを固
    定して前記水流を走査走査手段を有する請求項25
    に記載の分離装置。
  32. 【請求項32】 前記複合部材を回転させる回転機構を
    有す請求項25に記載の分離装置。
  33. 【請求項33】 前記複合部材の回転中心に向けて前記
    ノズルを位置させ請求項32に記載の分離装置。
  34. 【請求項34】 前記複合部材の回転中心を保持する回
    転保持部材を有す請求項32に記載の分離装置。
  35. 【請求項35】 互いに接合された複数の部材を有する
    複合部材の第1の面を第1の保持体により回転可能に保
    持し、前記複合部材の第2の面を第2の保持体により回
    転可能に保持し、前記第1及び第2の保持体を同期させ
    て回転させ、回転する前記複合部材の接合箇所とは異な
    る分離箇所に流体を吹き付け、前記複合部材を前記流体
    が吹き付けられた箇所を起点として、複数の部材に分離
    することを特徴とする分離方法。
  36. 【請求項36】 前記分離箇所を押し拡げて分離を行な
    請求項35に記載の分離方法。
  37. 【請求項37】 前記複合部材の端面には凹部が設けら
    れており、該凹部の底部に前記流体を吹き付ける請求項
    35に記載の分離方法。
  38. 【請求項38】 互いに接合された複数の部材を有する
    複合部材の第1の面を回転可能に保持する第1の保持
    体、前記複合部材の第2の面を回転可能に保持する第2
    の保持体、前記第1及び第2の保持体の回転の同期をと
    る同期手段、回転する前記複合部材の接合箇所とは異な
    る分離箇所に流体を吹き付けるノズルを有し、前記複合
    部材を前記流体が吹き付けられた箇所を起点として複数
    の部材に分離することを特徴とする分離装置。
  39. 【請求項39】 前記複合部材の接合箇所とは異なる分
    離箇所に前記流体を吹き付けるように前記ノズルの位置
    を定める手段を有する請求項38に記載の分離装置。
  40. 【請求項40】 前記複合部材の側面には凹部が設けら
    れており、該凹部の底部に前記流体を吹き付けるように
    前記ノズルの位置を定める手段を有する請求項38に記
    載の分離装置。
  41. 【請求項41】 互いに接合された複数の部材を有する
    複合部材を、前記複数の部材の接合箇所とは異なる箇所
    にある微小空隙を含む分離領域において、分離する複合
    部材の分離方法において、 盤状の前記複合部材の凹型又は狭い隙間を有する側面に
    研磨粒子を含まない流体を吹き付けることにより、前記
    複合部材を分離することを特徴とする分離方法。
  42. 【請求項42】 前記複合部材を水平に支持した状態
    で、前記複合部材の前記側面に流体を吹き付けることに
    より前記複合部材を分離する請求項1あるいは7に記載
    の分離方法。
  43. 【請求項43】 前記複合部材を水平に支持した状態
    で、前記複合部材の前記側面に流体を吹き付けることに
    より前記複合部材を分離する請求項9、13または18に記
    載の半導体基体の作製方法。
  44. 【請求項44】 前記支持手段が、前記複合部材を水平
    に支持する支持台を有する請求項23に記載の分離装置。
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