JP2876682B2 - 可変圧縮比副室式エンジン - Google Patents

可変圧縮比副室式エンジン

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JP2876682B2 JP3510490A JP3510490A JP2876682B2 JP 2876682 B2 JP2876682 B2 JP 2876682B2 JP 3510490 A JP3510490 A JP 3510490A JP 3510490 A JP3510490 A JP 3510490A JP 2876682 B2 JP2876682 B2 JP 2876682B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,主室と副室とを連絡孔で連通した可変圧
縮比副室式エンジンに関する。
〔従来の技術〕
従来,ピストンのピストンヘッド中央部を突出させて
衝突部を形成し,該衝突部の周囲を凹状のキャビティを
形成し,燃料の衝突噴流を利用した層状給気機関即ちOS
KA型の燃焼室を持つメタノールエンジンが開示されてい
る(例えば、「内燃機関」Vol.27,No.345,1988年7月,
頁35〜42参照)。該燃焼室を有する内燃機関では、燃料
噴射ノズルの単孔ノズルから噴射された燃料をピストン
ヘッドの平らな突出部に衝突させて円盤状に拡散し,次
いでピストンの上昇によって生じるスキッシュ流のため
燃料をキャビティの下方に押し込めながら空気と混合し
て混合気を形成するものである。
また,特開昭56-146012号公報には,容積可変の燃焼
室を有するディーゼルエンジンについて開示されてい
る。該ディーゼルエンジンの操作方法は,シリンダ及び
該シリンダと連通する燃焼室を有し,該燃焼室内で燃料
リッチな燃焼を確保するためにエンジン負荷の変動に応
答して前記燃焼室の容積を変化させ,前記シリンダ内で
空気リッチな燃焼を起こさせるために前記燃焼室から燃
焼生成物を前記シリンダ内に膨張させて前記シリンダ内
の空気と混合させるものであり,それによってディーゼ
ルエンジンの燃焼効率を効果的に高め,好ましくない排
気放散物を低減したものである。
また,実開昭63-138443号公報には,圧縮着火式内燃
機関の圧縮比制御装置が開示されている。該圧縮比制御
装置は,圧縮比を可変にする圧縮比可変機構を有するも
のであり,エンジンの回転数を検出する回転数検出手段
と空燃比を検出する空燃比検出手段とを設け,これらの
検出手段の出力に基づいて前記可変機構が圧縮比を変え
るように構成したものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら,前掲特開昭56-146012号公報に開示さ
れているディーゼルエンジンの操作方法,及び前掲実開
明63-138443号公報に開示された圧縮着火式内燃機関の
圧縮比制御装置は,両者共,副室の圧縮比を変更するだ
けのものであり,副室での燃料と吸入空気との良好な混
合気を生成することについての技術的思想を全く有して
いないものである。
ところで,上記OSKA型の燃焼室を備えたピストンを用
いたエンジンは,単孔ノズルから噴射された燃料を衝突
させる衝突面はピストンヘッドの平らな突出部であり,
燃料が該突出部に衝突して円盤状に拡散するという現象
がある。そこで,燃料噴射ノズルから噴射した燃料が円
盤状に拡散する現象を副室に利用して,吸気と燃料との
良好な混合気を生成し,燃焼状態を良好にすることが考
えられる。更に,副室の燃焼室を高度の断熱構造に構成
し,部分負荷時の燃焼状態を向上させることが考えられ
る。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであ
り,副室内での噴射燃料と空気との混合気を生成させる
のに,OSKA型の燃焼室に着眼し,副室内に円板等の板体
を配置し,該板体に燃料噴射ノズルから燃料を低圧で噴
射し,その噴射した燃料を前記板体に衝突させて円盤状
に均一に拡散させ,主室から連絡孔を通じて副室に導入
する空気を非スワール状態で流入させ,該流入空気が円
盤状に拡散して噴射される燃料の燃料噴射方向と吸気の
流れ方向とを直角方向に交叉させることで混合を促進
し,特に,前記副室の容積を変更できるように構成して
部分負荷時には容積を小さくして高圧縮比で燃料リッチ
状態で燃焼させ,また,高負荷時には容積を大きくして
低圧縮比で燃焼させ,多量の空気を導入するが,基本的
には副室式エンジンであるため,前記副室で主なる燃焼
を行わせて高負荷時においても燃料リッチな燃焼により
NOxの生成を抑制し,良好な燃焼を行わせて未燃燃料或
いは中間生成物の排出を防止する可変圧縮比副室式エン
ジンを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は,上記目的を達成するため,次のように構
成されている。即ち,この発明は,シリンダヘッドに配
置された副室を構成する副室壁体,前記副室と主室を連
通する前記副室壁体に設けられた連絡孔,前記副室壁体
内を移動できる中央に貫通孔を備えた移動筒体,該移動
筒体の前記貫通孔を貫通し且つ前記副室の中心軸上で前
記連絡孔の方向に燃料を噴射する単噴孔を持つ燃料噴射
ノズル,及び前記主室から前記連絡孔を通じて前記副室
に流入する非スワール状態の流入空気の流れ方向に直交
する方向に前記副室内に配置された耐熱性の板体を有
し,前記燃料噴射ノズルの前記単噴孔から低圧で噴射さ
れた噴射燃料を前記板体に衝突させて円盤状に均一に拡
散させ,前記流入空気と円盤状に拡散した噴射燃料と直
交させて混合を促進することを特徴とする可変圧縮比副
室式エンジンに関する。
また,前記板体は,前記副室壁体に固定され且つ流体
通口を備えたブラケットによって支持されている。
また,この可変圧縮比副室式エンジンは,エンジンの
作動状態を検出するセンサー,及び該センサーによる検
出信号に応答して前記移動筒体を移動させて前記副室の
容積を変更するコントローラを有するものである。
〔作用〕
この発明による可変圧縮比副室式エンジンは,上記の
ように構成されているので,前記移動筒体が前記副室壁
体内で移動すれば,前記副室の容積を変更することがで
き,高負荷時には前記副室の容積を大きくし,前記副室
への吸入空気を大幅に増大させて圧縮比を低くして燃焼
でき,また,部分負荷時には前記副室の容積を小さくし
て圧縮比を高くし,燃料リッチで燃焼させることができ
る。
特に,この可変圧縮比副室式エンジンは,燃料噴射ノ
ズルの単噴孔から低圧噴射された噴射燃料を板体に衝突
させて噴射燃料を円盤状に均一に拡散させ,その噴射燃
料を吸入空気と直交させるので,前記主室から前記連絡
孔を通じて前記副室にスワールを発生させないで大量に
流入する空気と円盤状に拡散したフイルム状の噴射燃料
とは交叉して混合が促進される。また,この噴射系は,
液状で燃料を噴射させるため,大径の噴孔を使用でき,
短時間に燃料噴射を行うことができると共に,薄い燃料
フィルムに直角に空気流を衝突させるため混合気の生成
が早く,従って燃焼も速やかに行われ,サイクル効率的
に優れたものとなる。
しかも,円形状のフィルムは外周部になるほど燃料は
希薄になり,外周部に行くほど燃料は空気との混合が速
くなる。また,円形状の燃料フィルムの外周部に位置す
る燃料は噴射時期が早く,活性化の時間及び気化の時間
が長くなっており,燃料フィルムは外周部から中心部に
向かって燃焼が行われ,前記副室で主なる燃焼を行わせ
てNOxの生成を抑制することができる。
〔実施例〕
以下,図面を参照して,この発明による可変圧縮比副
室式エンジンの実施例を説明する。第1図はこの発明に
よる可変圧縮比副室式エンジンの一実施例を示す断面
図,及び第2図は第1図の副室に配置した板体の一例を
示す平面図である。
第1図に示すように,この可変圧縮比副室式エンジン
は,主室1,主室1の上方でシリンダヘッド3内に配置さ
れた副室壁体5で形成される副室2,副室壁体5内を移動
可能な移動筒体20,副室2の中央部に噴口17を開口する
燃料噴射ノズル4,及び副室2内に配置された板体6から
成る。副室2を構成する副室壁体5は,セラミック材料
から製作され,シリンダヘッド3に形成された穴部9に
断熱材10を介して配置され,副室2は断熱構造に構成さ
れている。シリンダヘッド3はガスケットを介してシリ
ンダブロック8に固定されている。
主室1は,シリンダヘッド3のヘッド下面部,シリン
ダブロック8のシリンダに嵌合したシリンダライナ及び
ピストン11のピストンヘッド上面に囲まれる領域で形成
される。主室1と副室2とを連通する副室壁体5に形成
された連絡孔16は,シリンダヘッド3の下面部に形成さ
れ且つ断熱構造に構成されている。主室1を副室2に連
通する連絡孔16は,シリンダヘッド下面に対して直角に
形成され,主室1から副室2に流入する吸気にスワール
が発生しないように押し込む状態に導入される。また,
副室2を構成する断熱構造の副室壁体5は,図では,上
部壁体5Aと下部壁体5Bから構成されているが,該構造に
限らず,例えば,軸線方向に二分割した壁体で構成する
こともできる。
この可変圧縮比副室式エンジンにおいて,シリンダヘ
ッド3には排気ポート14が形成され,該排気ポート14に
は排気バルブ13がバルブガイドに案内されて開閉作動す
るように配置されている。また,吸気ポートは,図示し
ていないが,吸気ポートをシリンダヘッドに形成しても
よく,或いはシリンダライナが嵌合したシリンダブロッ
クの下部に形成して2サイクルエンジンとしてもよい。
この可変圧縮比副室式エンジンは,特に,副室2の構
造に特徴を有しており,シリンダヘッド3に配置した副
室2を構成する副室壁体5,副室2と主室1とを連通する
連絡孔16,副室壁体5内を移動できる中央に貫通孔30を
備えた移動筒体20,移動筒体20の貫通孔30を貫通し且つ
副室2の中心軸上で連絡孔16の方向に燃料を噴射する燃
料噴射ノズル4,及び燃料噴射ノズル4からの噴射燃料を
衝突させるための副室2内にほぼ直交状態に配置された
耐熱性の円板等の板体6を有している。
板体6は,耐熱性,耐変形性のセラミック材料で製作
され,燃料噴射ノズル4の噴口17から噴射された燃料の
燃料噴射方向と,連絡孔16とを結ぶ軸線上に配置されて
いる。板体6は,副室2の壁体5に周囲部を固定したブ
ラケット7によって支持されている。ブラケット7に
は,特に,第2図に示すように,主室1から副室2に流
入する吸気,副室2から主室1へ噴出する火炎等の流体
を通すための流体通口12を備えている。燃料噴射ノズル
4は,シリンダヘッド3に形成した取付孔及び壁体5に
形成した取付孔を貫通し,燃料噴射ノズル4の噴口17が
副室壁体5上面に板体6に対向して開口している。
移動筒体20の副室2内での移動機構の一例について説
明する。移動筒体20は,副室壁体5内を往復運動できる
一種のピストンであり,中空の筒体である。移動筒体20
は,円筒等の筒状の副室2を形成する副室壁体5内にシ
ール29を介して密封状に摺動可能に嵌合すると共に,移
動筒体20の貫通孔30にはエンジン本体26に固定した筒体
18がシール28を介して密封状に嵌合している。更に,移
動筒体20の上端には,内周面に雌ねじ21を備えた摺動筒
体19が固定されている。更に,筒体18の貫通孔31には,
燃料噴射ノズル4の本体一部が配置され,燃料噴射ノズ
ル4の噴口17が副室2に向けて開口するように貫通して
いる。従って,移動筒体20が上下方向に往復運動する時
には,移動筒体20は筒体18の外周面と副室壁体5の内周
面との間で密封状態に摺動運動することになる。
また,筒体18の外周面には,外周面に雄ねじ23を備え
た回転筒体22が回転可能に嵌合している。回転筒体22
は,エンジン本体26にスラスト軸受27を介して周方向に
は回転可能に且つ軸方向に固定状態に取付けられてい
る。スラスト軸受27は,副室2での燃焼に伴う爆発時に
移動筒体20に作用する反力を受ける機能を果たす。回転
筒体22は上端部にはギヤ33を有している。また,回転筒
体22の雄ねじ23に噛み合う雌ねじ21を備えた摺動筒体19
は,キー34を備えており,キー34はエンジン本体26に形
成したキー溝32に係合している。
従って,摺動筒体19は,エンジン本体26に対して上下
方向には移動可能であるが,回転方向には回転できな
い。また,回転筒体22に設けたギヤ33は,コントローラ
の指令で回転駆動される回転機構(図示せず)を通じて
回転駆動されるエンジン本体26に設けたギヤ25と噛み合
っている。
上記構成において,摺動筒体19の雌ねじ21と回転筒体
22の雄ねじ23とは,螺合しているので,コントローラが
エンジン負荷の検出信号を受け,該検出信号に応答して
コントローラの指令で回転機構を通じてギヤ25が回転駆
動すると,回転筒体22がエンジン本体26に対して回転駆
動される。回転筒体22の回転運動は,摺動筒体19を上下
方向に移動させることになる。摺動筒体19の上下方向運
動は,副室壁体5内に配置された移動筒体20を上下移動
させ,副室2の容積を変更することになる。移動筒体20
について,図で実線で示す位置が移動筒体20が上方に移
動した状態であり,また,鎖線で示す位置が移動筒体20
が下方に移動した状態である。
また,燃料噴射ノズル4の噴口17は,単噴孔に形成さ
れており,燃料は燃料噴射ノズル4から板体6に向けて
低圧で噴射される。低圧で噴射された噴射燃料は,気化
することなく液状のままで板体6の平らな面に衝突し,
該平らな面に沿って円盤状の燃料フィルムの軌跡15にな
って副室2内に拡散する。そこで,該燃料フィルムは主
室1から副室2へ流入する非スワール状態の空気流動と
混合が促進される。この時,この円形状の燃料フィルム
は外周部になるほど燃料は希薄になり,外周部に行くほ
ど燃料は空気との混合が速くなる。しかも,円形状の燃
料フィルムの外周部に位置する燃料は噴射時期が早く,
活性化の時間及び気化の時間が長くなっている。そし
て,燃料フィルムは外周部から中心部に向かって燃焼が
行われる。
また,エンジンの作動状態が低速低負荷時等に,板体
6が低温であると,板体6に衝突して付着した燃料は未
燃ガスとして副室2から主室1に吹き出されるが,副室
2を断熱構造に構成することによって,低速低負荷時等
でも直ちに副室の温度上昇を達成し最適温度に維持で
き,板体6を最適温度に維持して未燃ガスの発生を抑制
すると共に,未撚ガスが主室1に吹き出されたとして
も,該未燃ガスを主室1で完全燃焼して排気ポート14か
ら排気できる。
副室2の断熱構造を構成する副室壁体5は,シリンダ
ヘッド3の穴部9に,例えば,チタン酸アルミニウム,
チタン酸カリウム等の低熱伝導材料から成る断熱材10を
介在させて配置されている。また,副室壁体5,板体6及
びブラケット7は,窒化珪素(Si34),炭化珪素(Si
C),複合材料等の耐熱性のセラミック材料から構成す
ることが好ましい。
次に,第1図,第2図及び第3図を参照して,この発
明による可変圧縮比副室式エンジンの作動について説明
する。第3図はこの発明による可変圧縮比副室式エンジ
ンの作動の一例を示す処理フロー図である。
エンジンの始動によって,燃料噴射ポンプ等が駆動制
御される。まず,エンジンを駆動することによって,負
荷センサーによってエンジン負荷LEが検出され,該検
出信号はコントローラに入力される(ステップ40)。
コントローラにおいて,負荷センサー22によって検出
されたエンジン負荷LEが予め計算された所定のエンジ
ン負荷LE0より大きいか否かを比較して判断する(ステ
ップ41)。
エンジン負荷LEが所定のエンジン負荷LE0より大き
い場合には,エンジンは高負荷時であり,燃焼が盛んに
行われている状態であるので,副室2での燃焼状態を低
圧縮比で燃焼させるように制御する。即ち,コントロー
ラからの指令で回転機構を通じてギヤ25を所定の方向に
回転させる。該ギヤ25の回転運動は,回転筒体22の回転
運動となり,回転筒体22の回転運動は摺動筒体19の上昇
移動となる(ステップ42)。
摺動筒体19が上昇すると,移動筒体20が副室2内を上
昇し,副室2の容積を大きくする。従って,副室2に多
くの吸入空気を導入して副室2での燃焼状態を低圧縮比
で燃焼させることができる(ステップ43)。燃料噴射ノ
ズル4から燃料を板体6に液状で噴射して衝突させ,噴
射燃料は板体6に衝突して円形状の燃料フィルムとなっ
て副室2に拡散する。吸入空気は主室1から連絡孔16を
通じて非スワール状態で吸入され,該吸入空気は円形状
の燃料フィルムと交叉して混合が促進され,着火燃焼を
促進することができ,しかも,高負荷時は低圧縮比とし
て多量の空気を導入するが,基本的には本エンジンは副
室式であるため,高負荷時においても燃料リッチな燃焼
により低NOxとすることができる。
また,エンジン負荷LEが所定のエンジン負荷LE0
り小さい場合には,エンジンは部分負荷時であり,副室
2では高圧縮比で燃焼させることが好ましいので,コン
トローラからの指令で回転機構を通じてギヤ25を上記と
は逆方向に回転させる。ギヤ25の回転運動は,回転筒体
22の回転運動となり,該回転筒体22の回転運動は摺動筒
体19の下降移動となる(ステップ44)。
摺動筒体19が下降すると,移動筒体20が副室2内を下
降し,副室2の容積が小さくなる。従って,副室2での
燃焼状態を高圧縮比で燃焼させる(ステップ45)。即
ち,燃料噴射ノズル4から燃料を板体6に液状で噴射し
て衝突させ,噴射燃料は板体6に衝突して円形状の燃料
フィルムとなって副室2に拡散する。吸入空気は主室1
から連絡孔16を通じて非スワール状態で吸入され,該吸
入空気は円形状の燃料フィルムと交叉して混合が促進さ
れ,着火燃焼を促進することができ,しかも,低負荷時
には高圧縮比とすると共に,副室の容積を減らし,燃料
が少なくても燃料リッチで燃焼させることができるの
で,NOxの発生を抑制でき,HC,未燃ガス等の発生を抑制で
きる。
〔発明の効果〕
この発明による可変圧縮比副室式エンジンは,上記の
ように構成されているので,移動筒体が副室壁体内で移
動すれば,前記副室の容積を変更することができる。従
って,高負荷時は低圧縮比として多量の空気を導入する
が,基本的には本エンジンは副室式であるため,高負荷
時においても燃料リッチな燃焼により低NOxとすること
ができ,また,低負荷時には高圧縮比とすると共に,副
室の容積を減らし,燃料が少なくても燃料リッチで燃焼
させることができるので,NOxの発生を抑制でき,HC,未燃
ガス等の発生を抑制できる。
燃料噴射ノズルの単噴孔から低圧で噴射された噴射燃
料を前記板体に衝突させて,噴射燃料が前記板体に衝突
して前記板体の平らな面に沿って円盤形状のフィルムと
なって均一に拡散する。そこで,前記主室から前記連絡
孔を通じて前記副室にスワールを発生させないで押し込
むように流入した空気の流入方向と円盤状に拡散して噴
射された燃料フィルムの燃料噴射方向とは,ほぼ直交状
態になって混合が促進されることになる。
即ち,低圧で噴射された噴射燃料は,気化することな
く液状のままで前記板体の平らな面に衝突し,該平らな
面に沿って円盤状のフィルムとなって前記副室の内壁面
に向かって半径方向外向きに均一に拡散する。そこで,
前記主室から前記副室へ流入する非スワール状態の空気
流動と交叉して混合が促進される。しかも,円形状のフ
ィルムは外周部になるほど燃料は希薄になり,外周部に
行くほど燃料は空気との混合が早くなる。円形状の燃料
フィルムの外周部に位置する燃料は噴射時期が早く,活
性化の時間及び気化の時間が長くなっており,燃料フィ
ルムは外周部から中心部に向かって燃焼が行われ,前記
副室で主なる燃焼を行わせてNOxの生成を抑制すること
ができる。
また,この噴射系は,液状で燃料を噴射させるため,
大径の噴孔を使用でき,短時間に燃料噴射を行うことが
できると共に,薄い燃料フィルムに直角に空気流を衝突
させるため混合気の生成が早く,従って燃焼も速やかに
行われ,サイクル効率的に優れたものとなる。
また,前記板体は前記燃料噴射ノズルの噴口と前記連
絡孔とを結ぶ軸線上にほぼ直交状態に配置され,前記板
体は前記副室の壁体に固定され且つ流体通口を備えたブ
ラケットによって支持されているので,前記板体に噴射
した噴射燃料は好ましい円形状の燃料フィルムとなって
均一に拡散できる。更に,前記板体を前記ブラケットで
確実に前記副室内に配置でき,しかも前記ブラケットは
大きな前記流体通口を備えているので,前記ブラケット
が流体の流れの障害になることもなく,前記主室から前
記副室内に非スワール状態で空気は導入される。また,
前記副室から前記主室へ火炎はスムースに吹き出され
る。
また,この可変圧縮比副室式エンジンは,エンジンの
作動状態を検出するセンサー,及び該センサーによる検
出信号に応答して前記移動筒体を移動させて前記副室の
容積を変更するコントローラを有するので,エンジンが
部分負荷時即ち低負荷時には,前記移動筒体を下降させ
て高圧縮比で燃焼させることができ,燃料リッチで燃焼
され,NOxの発生を抑制し,未燃ガスの発生を抑制でき,
始動性を向上でき,高効率エンジンを提供できる。ま
た,エンジンの高負荷時には,前記移動筒体を上昇させ
て吸入空気を大幅に増大させて低圧縮比で燃焼させるこ
とができ,前記副室で主なる燃焼を行わせて,NOxの発生
を抑制すると共に,良好な燃焼を行わせてHC,未燃ガス
等の排出を抑制することができる。
それ故に,この可変圧縮比副室式エンジンは,全作動
領域において,移動筒体を副室内の最適位置に移動でき
るので,前記副室の容積は最適容積に制御でき,エンジ
ン作動状態に最適の圧縮比で燃焼を行わせることがで
き,前記燃料噴射ノズルから噴射される燃料は前記板体
に衝突して円形状のフィルムになって吸入空気との混合
が促進され,良好な混合気が生成されると共に,着火が
確実に起こり,特に,高負荷時は低圧縮比として多量の
空気を導入するが,基本的には本エンジンは副室式であ
るため,高負荷時においても燃料リッチな燃焼により低
NOxとすることができ,更に,多量の空気を導入するこ
とにより,筒内の平均温度を低温化して放熱損失を減少
させ,前記副室で主なる燃焼を行わせてNOxの発生を抑
制すると共に,良好な燃焼を行わせてHC,未燃ガス等の
排出を抑制することができる。また,低負荷時には,高
圧縮比とすると共に,副室の容積を減らし,燃料が少な
くても燃料リッチで燃焼させることができるので,NOxの
発生を抑制でき,HC,未燃ガス等の発生を抑制できる。そ
れ故,前記副室で主たる燃焼を行わせることができ,良
好でスムースな燃焼を達成でき,HC等の未燃ガス,NOxの
発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による可変圧縮比副室式エンジンの一
実施例を示す断面図,第2図は第1図の副室に配置した
板体の一例を示す平面図,及び第3図は図1の可変圧縮
比副室式エンジンの作動の一実施例を示す処理フロー図
である。 1……主室,2……副室,3……シリンダヘッド,4……燃料
噴射ノズル,5……副室壁体,6……板体,7……ブラケッ
ト,12……流体通口,16……連絡孔,17……噴口(単噴
孔),18……筒体,20……移動筒体,22……回転筒体,30…
…貫通孔。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッドに配置された副室を構成す
    る副室壁体,前記副室と主室を連通する前記副室壁体に
    設けられた連絡孔,前記副室壁体内を移動できる中央に
    貫通孔を備えた移動筒体,該移動筒体の前記貫通孔を貫
    通し且つ前記副室の中心軸上で前記連絡孔の方向に燃料
    を噴射する単噴孔を持つ燃料噴射ノズル,及び前記主室
    から前記連絡孔を通じて前記副室に流入する非スワール
    状態の流入空気の流れ方向に直交する方向に前記副室内
    に配置された耐熱性の板体を有し,前記燃料噴射ノズル
    の前記単噴孔から低圧で噴射された噴射燃料を前記板体
    に衝突させて円盤状に均一に拡散させ,前記流入空気と
    円盤状に拡散した噴射燃料と直交させて混合を促進する
    ことを特徴とする可変圧縮比副室式エンジン。
  2. 【請求項2】前記板体は前記副室壁体に固定され且つ流
    体通口を備えたブラケットによって支持されていること
    を特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比副室式エンジ
    ン。
  3. 【請求項3】エンジンの作動状態を検出するセンサー,
    及び該センサーによる検出信号に応答して前記移動筒体
    を移動させて前記副室の容積を変更するコントローラを
    有することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比副
    室式エンジン。
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