JP2872401B2 - 果物、野菜もしくは草花の貯蔵容器および貯蔵方法 - Google Patents

果物、野菜もしくは草花の貯蔵容器および貯蔵方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は果物、野菜もしくは草花の貯蔵容器および貯
蔵方法に関する。さらに詳しくは、炭酸ガスと酸素ガス
の選択透過性フィルムが容器区画の一部を占め、それに
よって容器中の貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度と酸
素ガス濃度を果物、野菜もしくは草花の貯蔵に適したも
のに制御しうる貯蔵容器および貯蔵方法に関する。
従来の技術 我々の日常生活になくてはならない野菜、果物および
草花(以下、これを青果物類ということがある)は新鮮
でなければならない。これら青果物類は生産者が収穫し
てから消費者の手に渡るまでに時間を要するために、新
鮮さが急速に失われて品質が低下する。収穫後も新鮮さ
を失わず品質の低下しない青果物類の保存法の開発が望
まれている。またこれらの青果物類は季節や天候によっ
てその収穫量が大きく左右されるために、消費者が必要
とする量の供給が不足し、値段が暴騰したり、他方豊作
の時は供給量が多すぎて値段が暴落し、生産者が青果物
類を廃棄する場合などがある。このようなことから安定
した供給を確保するために、青果物類の鮮度保持した保
存法の開発が要望されている。さらに草花のうち花卉類
においては、その寿命が短いため生産者から消費者の手
に渡るまでの間に劣化して変色したり、ひどい場合には
落花してしまう。花は開花直前のつぼみの状態や、開花
初期の状態で保存できれば、その効果は極めて大きい。
青果物類は保存中にも呼吸作用をしており、青果物類の
熟成を停止して劣化を遅らせるためには、この呼吸作用
を抑制することがポイントである。
そこで保存温度を低温にしたり、熟成ホルモンである
エチレンを除去したり、また貯蔵雰囲気の酸素および炭
酸ガスの組成を保存に適した濃度にする保存法が行われ
ている。保存温度を低温に保つ方法は簡便であることか
ら一般に用いられている方法であるが、保存期間が比較
的に短いという限界があり、殆んどの青果物類で満足さ
れていない。青果物類の熟成ホルモンであるエチレンを
過マンガン酸カリを用いて分解して取り除く方法も提案
され、一部で実施されているが、過マンガン酸カリの毒
性のために、その使用が大きな問題となっている。
青果物類を貯蔵するため、貯蔵青果物類の雰囲気ガス
組成、とくに炭酸ガスと酸素ガスを最適な濃度範囲に保
てば、可成り長期間の保存が可能であることは公知であ
る。この貯蔵雰囲気ガス組成を一定にして貯蔵する方法
はCA貯蔵(Controlled Atomosphere Storage)と言わ
れ、りんごなどの長期保存に実用化されている。しかし
このCA貯蔵には、貯蔵に適する雰囲気ガス組成にするた
め、青果物類を採取して貯蔵庫に入れた直後は酸素ガス
や炭酸ガスを置換ガスとして貯蔵庫に供給する窒素ガス
や炭酸ガスの製造設備を必要とし、さらに貯蔵中は酸素
が消費され、炭酸ガスが発生するので雰囲気ガス組成を
一定にするための炭酸ガスの除去装置や濃度制御装置も
必要である。従って貯蔵のためには大がかりな設備が必
要とされ、りんごなど極く限られた青果物にしか適用さ
れていない。大がかりな設備を要せず、生産業者、流通
業者、販売業者或いは消費者でも容易に使用出来る保存
方法の開発が望まれていた。大がかりな貯蔵雰囲気ガス
製造設備をつくることなく、貯蔵雰囲気ガス組成を容易
に作る方法として、青果物の呼吸作用自体を利用し、呼
吸作用で生成する炭酸ガスと、消費する酸素ガスとの間
で適切な濃度のバランスを保つためのフィルムや多孔質
膜を用いる方法が提案されている。
フランス国特許第1,567,996号明細書には、全表面積
の25〜50%に相当する面積が厚さ50〜100μmのシリコ
ンエラストマーフィルムである、1m3の体積当り0.1〜0.
25m2の表面積を有する青果物の保存袋が開示されてい
る。
Transactions of the ASAE,1982年、433−436頁に
は、厚さ100μmのシリコン膜を用いて、人参、セロ
リ、カブラおよびキャベツを貯蔵した結果が報告されて
おり、同シリコン膜はCO2の高濃度とエチレンの低濃度
の雰囲気を達成するのに有効であり、人参は52週間そし
てセロリ、カブラおよびキャベツは16週間貯蔵したこと
が開示されている。
Int.J.Refrig,1986、vol 9、July,234−239頁には、
約90μmの厚さのシリコンゴムを連続被覆層を備えたTe
rgalネットを用い、その使用面積を変えて炭酸ガスレ
ベルを1.5%、3.5%および5.5%の雰囲気を作り、それ
らの雰囲気中にセロリを保存した貯蔵実験が報告されて
いる。
特公昭59−48610号公報記載の発明は、厚さ50μmの
シリコン膜を用いた収納室を用いるものであるが、農産
物を収納室に入れた後その圧力を絶対圧1〜10mmHgに保
ち、水分の蒸発によって温度を0〜15℃に下げ且つ外部
から窒素、空気またはその他の気体を導入(公報第1頁
左欄下〜右欄上)するという面倒な手段をとらねばなら
ない。
Acta Horticultarae38、1974、33−46頁には、ジメチ
ル−ポリ−シロキサン製の窓を備えたポリエチレン製袋
に、アーティチョーク、アパラガス、人参およびかぶを
貯蔵し、空気中に保存した場合よりも、貯蔵期間が大巾
に延長されたことが開示されている。
特開昭62−235088号公報には、コンテナ本体の1部に
一定面積の開口部を設け、この開口部に選択性ガス透過
性フィルムを取付け、このコンテナに野菜、果物あるい
は花卉を収容し、真空冷却し、そして炭酸ガスと窒素ガ
スを大気圧まで封入して、野菜等を輸送することが開示
されている。同公報には、上記選択性透過膜として、各
ガスに対する透過度(ml/m2,24hr,atm)が酸素2.5×1
05、二酸化炭素1.3×106、エチレン〜107、であるプー
マン膜(シリコーン膜)が開示されている。
特開昭63−152638号公報、およびその対応EP−A−02
70764号公報には、本質的に、収納された青果物、花卉
類の推定酸素フラックスを与えるような、微多孔質プラ
スチックメンブレンからなるガス透過性のパネルを有す
る、実質的にガス不透過性材料からなる容器が開示され
ている。上記ガス透過性のパネルは炭酸ガス/酸素のパ
ーミアンス比が1/1となるものである為に容器の収納室
内の炭酸ガスと酸素の和は常に21%になる。
同公報には、かかる炭酸ガス/酸素のパーミアンス比
が1/1であるようなパネルと別個に、パーミアンス調製
メンブレン用として炭酸ガス/酸素のパーミアンス比が
4:1または8:1の如きパネルを取り付ける(同公報第5頁
左上欄)ことができることも記載されている。
しかしながら、かかるパーミアンス調製メンブレンの
具体例の開示はなく、またいずれにしても同公報の容器
は必ず微多孔質膜を用いることを要件とする点で特徴的
である。そして該微多孔質膜の多孔の大きさは酸素ガス
が透過する程度のものであるため、水蒸気の蒸散をも避
け難い、また、同公報の上記容器は、鮮度保持のための
好適な雰囲気ガス組成が青果物や花卉の種類によって異
なるため、貯蔵に好適な酸素ガス及び炭酸ガスの濃度が
それぞれ5%以下の領域の青果物や花卉の保存には実質
適用出来ないという制限もある。
また米国特許明細書第3,507,667号には膜厚が50μm
〜150μmのシリコンエラストマー膜を用いて同様の目
的を達成しようとする袋が記載されている。このように
厚い膜厚の膜では、ガスの十分に大きい透過速度を得る
ために必要とされる面積が極めて大となり実用上好まし
くない。また厚い膜厚は包装材としても不都合をきた
す。
発明の開示 本発明の目的は、果物、野菜もしくは草花の貯蔵容器
を提供することにある。
本発明の他の目的は、貯蔵雰囲気のガス組成を、貯蔵
の対象物としての特定の果物、野菜もしくは草花に適し
たものに制御しうる貯蔵容器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記目的を達成するため
に、炭酸ガスと酸素ガスの選択透過性フィルムが容器区
画の一部を占める貯蔵容器を提供することにある。
本発明のように他の目的は、使用する選択透過性膜の
厚さが非常に薄くそれ故選択透過性フィルムの使用面積
を少くして効率的に貯蔵雰囲気のガス組成を制御するこ
とを可能とした貯蔵容器を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は貯蔵対象物としての野菜、
果物もしくは草花等の貯蔵中における炭酸ガス発生量対
酸素ガス消費量の比を0.3〜0.8に設定して、選択透過性
フィルムの使用面積を設計した貯蔵容器を提供すること
にある。
本発明のさらに他の目的は、選択透過性フィルムによ
って、貯蔵対象物の貯蔵に適した炭酸ガスと酸素ガスの
組成をもつ雰囲気を形成する、野菜、果物もしくは草花
の貯蔵方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から
明らかとなろう。
本発明において、上記目的および利点は、炭酸ガスと
酸素ガスの選択透過性フィルムが容器区画の一部を占め
る、果物、野菜もしくは草花を貯蔵するための容器であ
って、貯蔵すべき果物、野菜もしくは草花の炭酸ガス発
生量対酸素消費量の比を0.3〜0.8に設定し、且つ該果
物、野菜もしくは草花の貯蔵量を10〜50(容量)%とし
て、該容器中の貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度と酸
素ガス濃度が所望の値となるような面積で該選択透過性
フィルムが使用されており、しかも該選択透過性フィル
ムがポリジメチルシロキサン/ポリカーボネート共重合
体又はポリ(2,6−ジフェニルエーテル)からなること
を特徴とする貯蔵容器、および該貯蔵容器を用いて、果
物、野菜もしくは草花を特定条件で貯蔵する方法によっ
て達成される。
図面の簡単な説明 第1図〜第4図は本発明の貯蔵容器の例を示すもので
あり、第1図は選択透過性フィルムでできた窓を有する
本発明の袋状物、第2図は選択透過性フィルムでできた
窓を有する本発明のボックス、第3図は選択透過性フィ
ルムでできた本発明の袋状物を段ボールに収納したも
の、そして、第4図は、選択透過性フィルムでできた窓
を設けた本発明の他の保存ボックスである。
第5図は「かぼす」の貯蔵を行った実施例1、2およ
び比較例1、2における、貯蔵期間による貯蔵雰囲気中
のガス濃度の変化を示すものである。
第6図は選択透過性フィルムの窓を有する本発明の他
のボックスの例であり、図6中1はガス選択透過性フィ
ルムを示す。
第7図はかぼすの貯蔵を行った実施例3、4及び比較
例4、5における、貯蔵期間による貯蔵雰囲気中のガス
濃度の変化を示すものである。
第8図は実施例6(梨の貯蔵)における、貯蔵期間に
よる貯蔵雰囲気中のガス濃度の変化を示すものである。
第9図は比較例7(梨の貯蔵)における、貯蔵期間に
よる貯蔵雰囲気中のガス濃度の変化を示すものである。
第10図は実施例7(リンゴの貯蔵)における、貯蔵期
間による貯蔵雰囲気中のガス濃度の変化を示すものであ
る。
第11図は比較例8(リンゴの貯蔵)における、貯蔵期
間による貯蔵雰囲気中のガス濃度の変化を示すものであ
る。
本発明の貯蔵容器は、青果物類を収納して貯蔵してい
る間、青果物類が容器外の雰囲気と直接連絡することの
ない形態にあるもので、大きさや形状を問題としない。
本発明の貯蔵容器は、例えばボックスや袋状物であるこ
とがてき、あるいは大きいものではコンテナであること
ができる。
本発明の貯蔵容器は、炭酸ガスと酸素ガスに対して選
択透過性を有する、厚さが高々30μmの薄いフィルムを
容器区画の一部として有する。換言すれば、該貯蔵容器
は該選択透過性フィルムからなる窓を容器区画の一部に
有するものと言える。
選択透過性フィルムは、炭酸ガスと酸素ガスに対して
選択透過性を有することが必要である。選択透過性フィ
ルムは、例えば炭酸ガスの透過速度対酸素ガスの透過速
度の比の値として2〜10を有する。この透過速度の比は
好ましくは2〜7を有する。透過速度の比が2より小さ
い場合には、貯蔵雰囲気中の炭酸ガス濃度が青果物類の
保存に好ましい濃度(例えば1.5〜7%)より大きくな
り易く、他方透過速度の比が10より大きい場合には、貯
蔵雰囲気中の炭酸ガス濃度が青果物類の保存に好ましい
濃度より小さくなり易い。
選択透過性フィルムは、一般に、その他のガス、例え
ば窒素ガス、水蒸気あるいはエチレンガス等に対しても
それぞれの透過速度を有している。選択性透過膜は、好
ましくは水蒸気の透過速度対酸素ガスの透過速度の比の
値として10〜500を有する。かかる範囲の選択透過性を
有することによって、貯蔵中の青果物類がしおれやひか
らびたりあるいは逆に多量の水分によって腐敗したりす
ることを防ぐことができる。
本発明において使用する選択透過性フィルムの素材と
しては、ポリジメチルシロキサン/ポリカーボネート共
重合体およびポリ−2,6−ジメチルフェニルエーテルを
素材とするフィルムが好ましい。
選択透過性フィルムの厚さは、薄ければ薄い程ガス透
過性が高くなるので、収納体内のガス組成を目的に値す
るのに要求される膜面積が少なくてすむ。本発明におけ
る選択透過性フィルムの膜厚は30μm以下である。もち
ろんこのフィルムは、フィルムの表面または内部にピン
ホール等の欠陥部のない均質な膜の層からなる。フィル
ム厚さが30μmより大きくなると、ガスの透過能が低い
ため、目的の雰囲気ガス組成を達成するためには容器の
表面の殆んど大部分が膜を占める結果となり、簡便さの
特徴が損なわれる。また、フィルム厚が30μm以上にな
ると水蒸気の透過速度が小さくなり、青果物類表面に滴
露現象が生じ易くなり、腐敗の原因となる。
選択透過性フィルムの厚さは好ましくは0.05〜10μm
の範囲にある。
本発明において選択透過性フィルムは、上記の如く薄
いので、好ましくは支持体の上に担持して使用される。
支持体としては、炭酸ガスと酸素ガスに対し実質的に非
選択性である多孔質支持体が有利に使用される。支持体
としては、例えばポリエチレンやポリプロピレンの微多
孔膜あるいは不織布を挙げることができる。ポリプロピ
レンの微多孔膜は例えばセラニーズ社製のジュラガード
として入手できる。支持体は、選択透過性フィルムを支
持するためのものであって、選択透過性フィルムの選択
透過性能には実質的な影響を与えない。
さらに、本発明における選択透過性フィルムは、支持
体の有無にかかわらず、該フィルムを保護するために、
空気透過抵抗の小さい通気性保護材料で保護されている
のが好ましい。通気性保護材料としては、選択透過性フ
ィルムの空気透過抵抗の20分の1よりも小さく、さらに
好ましくは40分の1よりも小さいものが有利に使用され
る。
かかる保護材料としては、例えば多孔質のプラスチッ
クフィルム、プラスチックネット、プラスチック不織
布、繊維織物等を挙げることが出来る。選択透過性フィ
ルムを保護材料で保護する方法としては、例えば保護材
料と保護材料との間にフィルムを狭み込む方法あるいは
保護材料を基材としてその表面に選択透過性フィルムの
素材を直接塗布または流延して成膜する方法あるいは保
護材料にフィルムを接着剤で接着させる方法等を挙げる
ことができる。
本発明の貯蔵容器において選択透過性フィルムの有効
膜面積は、貯蔵する青果物類の種類、量及び貯蔵に好適
な雰囲気ガス組成等の条件により多少異なるが、例えば
容器区画を形成する全表面積の0.005〜10%、好ましく
は0.02〜10%を占める。
選択透過性フィルムが構成する容器区画の部分すなわ
ち選択透過性フィルムの容器に設ける窓は、貯蔵容器に
1個あるいは2個以上の複数個となすことができる。か
かる窓の数は、貯蔵容器の体積が大きくなるほどまた貯
蔵対象物の量が多くなるほど、容器内の雰囲気のガス組
成の分布が少くなるように、適宜多くすることが望まし
い。また、1つの窓面積は、実用的には0.5〜5cm2とな
すのが好ましく、それ故かかる観点からは貯蔵容器の全
表面積が30cm2を越える場合には窓の数を2以上となす
のが有利である。窓の形状は、例えば、円形、楕円形、
正方形または矩形とすることができ、特に円形および楕
円形が好ましい。
本発明の容器において、容器区画の一部に選択透過性
フィルムを取付けて窓を形成するには、例えば容器区画
の一部を所望の面積分切り取り、その部分に接着材等を
用いて選択透過性フィルムを張り付ける方法;容器区画
を熱可塑性材料で製造し、その一部を切取り、その周辺
部全縁とフィルムを熱融着により固定する方法(この場
合膜自身を熱融着しなくても膜支持体又は保護材を融着
することで代えることもできる)等が用いられるが、特
に後者の熱融着固定法が好ましい。
容器区画を形成する素材としては、空気や水分に対し
て透過性が殆んど無視できる材料であればよい。容器が
袋状物である場合には例えば、ポリエチレンやポリプロ
ピレンといったポリオレフィンフイルム;ポリエステル
フィルム;ポリスチレンフィルム;ポリビニルアルコー
ルフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;セロハン;ポリ
ウレタンフィルムあるいはこれらのフィルムや紙にアル
ミニウム箔やプラスチック箔をラミネートまたはコーテ
ィングした複合フィルムを用いることができる。また、
容器がボックスの場合には、例えば、ポリエチレンやポ
リプロピレンといったポリオレフィン樹脂板;ポリエス
テルシート;ポリスチレンシート;ポリビニルアルコー
ルシート;ポリ塩化ビノルシート;セロハン;ポリウレ
タンシート;これらのシートや段ボール紙にアルミニウ
ムやプラスチックをラミネートまたはコーティングした
複合シートあるいはアルミニウム、トタン、ブリキ、ス
テンレス、ガラス、木等の材料からなるシートも用いる
ことができる。
本発明の貯蔵容器によれば、例えばもも、梨、林檎、
柿、ぶどう、かぼす、すだち、オレンジ、青梅などの果
実類;アスパラガス、トマト、ブロッコリー、ホウレン
ソウ、レタス、菜の花などの野菜類;菊、カーネーショ
ン、バラ、スイートピー、ゆり、リンドウ、フリージ
ア、グラジオラス、アイリス、チューリップ、スイセン
などの草花類を有利に貯蔵して、これらの青果物の鮮度
を保持することができる。
下表1には、上記青果物のいくつかについての好適な
貯蔵ガス組成の一例を文献[(食品流通技術(臨時増刊
号)、第16巻14号、p45、(1987)]から抜粋して示し
た。本発明の貯蔵容器を用いれば、表1に例示した如き
青果物の好適な貯蔵雰囲気ガス組成を容易に達成でき
る。そのことは、以下の実施例によって具体的に明らか
になろう。
本発明の貯蔵容器の具体的な例を第1図〜第4図に示
した。第1図における容器の構成は、実質的にガス不透
過性の熱可塑性プラスチック材料を円筒状のフィルムに
成形した袋本体1、袋の側面に設けた切欠部(窓)2、
切欠部の周辺縁に熱融着した選択透過性フィルム3、貯
蔵果物4及び外気と袋内部とを気密に保つためのシール
5により成る。第2図はボックス6の一面に、熱可塑性
プラスチックフィルム1′の切欠部の2に熱融着した選
択透過性フィルム3を有するシートを備えたボックスで
ある。第3図は通気孔7を設けた段ボール箱6に第1図
に例示の保存袋を収納した例、および第4図は内面にガ
スを透過させないフィルムや箔8をラミネートした段ボ
ール箱として、蓋を気密にシールする例である。
第6図は実質的にガス不透過性プラスチック材料より
成るボックスの1面に、選択透過性フィルムの窓を複数
個設けた例である。
また、本発明者の研究によれば、本発明の上記貯蔵容
器を用いて青果物類の貯蔵実験を行った際に、従来の青
果物等の貯蔵では貯蔵対象物としての青果物類が消費す
る酸素ガス量が該青果物類が発生する炭酸ガス量を等し
いと仮定していたが、この仮定が事実と大巾に相違しそ
れ故貯蔵結果にとうてい無視し難い顕著な影響を及ぼす
ことが明らかにされた。
それ故、本発明によれば、本発明者が初めて明らかに
した研究結果に基づいて、炭酸ガスと酸素の選択透過性
フィルムが容器区画の一部を占める貯蔵容器中で果物、
野菜もしくは草花を貯蔵する方法であって、該容器中の
貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度と酸素ガス濃度を、
貯蔵すべき果物、野菜もしくは草花の炭酸ガス発生量対
酸素消費量の比を0.3〜0.8の範囲に設定して該選択透過
性フィルムの使用面積と果物、野菜もしくは草花の貯蔵
量を決定することによって、決定することを特徴とする
方法が同様に提供される。
すなわち、特定の青果物類を貯蔵する際に、選択透過
性フィルムの使用量(A)と青果物類の貯蔵量(B)
は、下記式 ここで C:単位換算係数=3.655×10-6、 G:果物、野菜もしくは草花の酸素消費量(CC/Kg/Hr)、 A:選択透過性フィルムの面積(cm2)、 B:果物、野菜もしくは草花充填量(Kg)、 Ko2:選択透過性フィルムの酸素透過速度(CC/cm2/sec/
cmHg)、 α:選択透過性フィルムのガス選択性(=炭酸ガス透過
性/酸素透過性) β:果物、野菜もしくは草花の炭酸ガス発生量/果物、
野菜もしくは草花の酸素消費量(=0.3〜0.8) Yo2:大気中酸素濃度、 YCo2:大気中の炭酸ガス濃度、 Wo2:貯蔵雰囲気ガス組成の酸素ガス濃度 Wco2:貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度 で表わされる関係式により、容器中の貯蔵雰囲気ガス組
成の炭酸ガス濃度(Wco2)および酸素ガス濃度(Wo2
を決定することによって、決定される。
従来の青果物の貯蔵法では、いわば上記式においてβ
の値を1と仮定して、選択透過性フィルムの使用量と青
果物類の貯蔵量を決定していたために、結局青果物類を
所望のガス組成の雰囲気中で貯蔵量していることにはな
らなかったのである。
本発明によれば、貯蔵すべき青果物類に依存して、β
の値が変動するが、従来とは異なり、事実に基づきβの
値を0.3〜0.8の範囲に設定することにより、青果物類を
所望のガス雰囲気中に貯蔵することが才能となり、それ
故例えば青果物類の貯蔵期間を長くすることが可能とな
るのである。
また、本発明によれば、上記本発明方法の実施を具体
的に可能とする貯蔵容器として、貯蔵すべき青果物類の
貯蔵量を貯蔵空間の10〜50%に設計した下記容器が提供
される。
すなわち、本発明によれば、さらに、炭酸ガスと酸素
ガスの選択透過性フィルムが容器区画の一部を占める、
特定の果物、野菜もしくは草花を貯蔵するための容器で
あって、貯蔵すべき特定の果物、野菜もしくは草花の炭
酸ガス発生量対酸素消費量の比を0.3〜0.8に設定し且つ
特定の該果物、野菜もしくは草花の貯蔵量を10〜50%と
して、該容器中の貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度と
酸素ガス濃度が所望の値となるような面積で該選択透過
性フィルムが使用されている貯蔵容器が同様に提供され
る。
本発明の上記貯蔵容器は、貯蔵雰囲気の適当な拡散あ
るいは混合が起こるように、貯蔵空間における貯蔵量を
10〜50%に抑えることによって、貯蔵対象物としての青
果物類毎に、所望の貯蔵雰囲気ガス組成を与える選択透
過性フィルムの使用面積を決定した点にある。
本発明の上記貯蔵容器の構造は、原則として既に記述
した如き構造と同じである。そして、使用しうる選択透
過性フィルムを前述した如きものが同様に使用でき、例
えばポリジメチルシロキサン/ポリカーボネート共重合
体、あるいはポリ(2,6−ジメチルフェニルエーテル)
からなるフィルムが特に好適に使用される。
本発明の上記貯蔵容器は、しかしながら、貯蔵する対
象物である青果物類が具体的に特定されることによっ
て、より具体的に設計される。例えば、貯蔵対象物であ
るナシを低温で貯蔵する場合には、上記貯蔵容器は、例
えば選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さのポリジメ
チルシロキサン/ポリカーボネート共重合体からなりそ
して選択透過性フィルムの占める割合が容器区画の全表
面積の0.4〜1%を占めるものであり、あるいは 選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さのポリ(2,6
−ジメチルフェニルエーテル)からなりそして選択透過
性フィルムの占める割合が容器区画の全表面積の0.5〜
5%を占めるものである。
また、貯蔵対象物である花菜類を周囲温度の常温で貯
蔵又は収納する場合には、上記貯蔵容器は、例えば選択
透過性フィルムが5〜8μmの厚さのポリジメチルシロ
キサン/ポリカーボネート共重合体からなりそして選択
透過性フィルムの占める割合が容器区画の0.4〜4%を
占めるものであり、あるいは選択透過性フィルムが5〜
8μmの厚さのポリ(2,6−ジメチルフェニルエーテ
ル)からなりそして選択透過性フィルムの占める割合が
容器区画の全表面積の0.5〜10%を占めるものである。
貯蔵対象物を特定することにより、上記と同様に好適
な貯蔵容器の全体像が明らかとなる。
本発明の貯蔵容器は、しかしながら、選択透過性フィ
ルムの占める窓面積が比較的大きいものとして準備し、
貯蔵すべき対象物の種類に応じ、該対象物に好適なガス
雰囲気を与えるように、窓を被服する手段、例えば窓の
外側に、実質的にガス非透過性の素材で作られた被覆を
自在に設けられるようにすることによって、種々の貯蔵
対象物に適用することが可能となる。
特に選択透過性フィルムが構成する容器区画の部分が
複数個存在する容器の場合、その複数個の個々の窓を非
透過性素材で覆つたり、覆いを取つたりすることで、選
択透過性フィルムの有効面積を容易に調整でき好まし
い。
また、本発明者の研究によれば、前記のとおり、βの
値は種々の青果物類について0.3〜0.8の範囲にあること
が明らかにされたが、さらに特定の青果物類についても
経時的にβの値が変動し、時間が経過するほどにβの値
が次第に大きくなることが明らかにされた。例えば、ナ
シの場合、貯蔵の比較的初期の4日目位まではβの値は
約0.49を示すが、次第に増大し30〜115日経過時にはβ
の値は約0.75を示すようになる。また、上記とほぼ同じ
時期に、すだちではβ値が0.43から0.86に変化し、また
かぼすではβ値が0.66から0.90に変化する。
それ故、特定の青果物類の貯蔵においても、貯蔵期間
の経過によって上記の如くβ値の変動が起こるため、こ
の変動に対処して好適な貯蔵雰囲気を形成しつづけるた
めにも、上記した如く、選択透過性フィルムの窓面積を
変えることのできる貯蔵容器が望ましいことは明らかで
ある。
貯蔵温度としては、特に制限はないが、室温から0℃
前後が好ましく、貯蔵期間を長くするには低温の方が好
ましい。選択透過性フィルムのガス透過性能、青果物類
の炭酸ガス発生量・酸素消費量は温度によって大きく変
わるので、本発明の貯蔵容器の設計には貯蔵温度を十分
に考慮すべきでありまた貯蔵温度の変動に対処すべく選
択透過性フィルムの窓面積を変えることのできる手段を
設けることが推奨される。
本発明の貯蔵容器中には、貯蔵中の果物、野菜もしく
は草花から発生する老化を促進するエチレンを除去する
ためのエチレン吸収剤や容器の壁に付着する水滴を防ぐ
ための吸湿シートを入れることができる。又一方貯蔵中
の水分蒸散を積極的に防止するために容器中に水を共存
させることもできる。例えば吸水シートに水を充分含ま
せたものを容器の下部に敷き、その上にクッション材を
重ね、その上に貯蔵物をおくことで直接貯蔵果物等と触
れないで貯蔵することである。
実施例 以下実施例で本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1および2並びに比較例1、2および3 果実としてかぼす(大分産)を用いた。
鮮度保持用の袋は次の通り作成した。
膜としてポリシロキサン−ポリカーボネートの5ミクロ
ンのものを用いた。この膜をポリエチレン多孔膜(厚さ
25ミクロン、空気透過速度:2.4*10-2 CC/cm2/sec/cmH
g)の間にはさみ、有効膜面積が2cm2の円状(接着部分
の縁付き)に切り取った。
この周縁部分に粘着剤を塗布し多孔膜と膜とを張り合わ
せた。
一方、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとの
張り合わせフィルム(幅30cm)に2cm2の穴を開け、上記
多孔膜ではさまれた膜をフィルムのポリエチレン側で熱
融着した。
該フィルムを28cm×33cmに切取り、三方を熱融着し、
25cm×30cmの袋とした。該袋には別に、袋内のガス組成
のガス採取用ノズルを取り付けた。
膜面積は袋に膜をいくつつけるかで調整した。
かぼすを室温で予措の後、2000gずつ袋に入れ、入り
口を熱融着して閉じ、5℃の冷温庫に貯蔵した。
(充填率は46%である) 貯蔵袋内の炭酸ガス及び酸素ガスの組成分析はガスク
ロマトグラフィーで行った。
実験に用いたかぼすを容積一定の密閉容器にいれて、炭
酸ガスの発生量を求めたところ5℃において7.5mg/Hr/k
gであった。
なお5℃におけるポリシロキサン−ポリカーボネート
膜のガス透過係数は以下の通りである。
水蒸気 183×10-8 CC・cm/cm2・sec・cm Hg 炭酸ガス 6.6×10-8 CC・cm/cm2・sec・cm Hg 酸素 1.7×10-8 CC・cm/cm2・sec・cm Hg 比較例1では、選択透過性膜として膜厚50ミクロンの
ポリシロキサン−ポリカーボネートの膜を使用し、その
他は実施例1と同様にして作成した袋を用いてテストを
行った。
比較例2では、選択透過性膜を用いずに、実施例1で
膜の支持体として使っている多孔膜をそのまま使用し、
その他は実施例1と同様にして作成した袋を用いてテス
トを行った。
各実施例および比較例で使用した袋は下記表−2に示
したとおりである。
添付図面の第5−a図、第5−b図に貯蔵期間と貯蔵
雰囲気のガス組成の測定値をプロットで示した。aは実
施例1、2および比較例1、2の炭酸ガス濃度の経時変
化を示し、bは酸素濃度の経時変化を示している。
保存試験前の酸度は5.9%、Brix8.0%、クロロフィル
含量12.4mg/100gであった。
90日間貯蔵実験の後、貯蔵袋を開けてかぼすの外観お
よび品質評価をした。その結果を下記表−3にまとめ
た。
(実施例1、2)かぼすは貯蔵前の外観を保ち品質的に
も問題なかった。貯蔵中の袋内には凝縮した水滴の付着
もほとんどなかった。保存状態のガス濃度は最適貯蔵濃
度にほぼ保たれていた。
(比較例1)かぼすが異臭をしていた。これでは廃棄せ
ざるを得ない。貯蔵中袋内は水滴が多く付着していた。
水蒸気の蒸散ができていない。
(比較例2)かぼすの表皮は黄変していた。またきって
みると果肉中の袋内の汁が抜けているものもあり、水分
蒸散が行き過ぎているのが観察された。ガス濃度が好ま
しい範囲にならなかったこと、通気性多孔膜のため袋中
の湿度が低下したものと考えられる。
(比較例3)開放では低温にしても貯蔵はできないこと
をよく示している。
実施例3および4並びに比較例4、5および6 果実としてかぼす(大分産)を用いた。
鮮度保持用のボックスは次の通り作成した。
膜としてポリシロキサン−ポリカーボネートの2.5ミク
ロンのものを用いた。この膜をポリエチレン多孔膜(厚
さ25ミクロン、空気透過速度:2.4*10-2 CC/cm2/sec/cm
Hg)の間にはさんだ。一方、アクリル板(厚さ5mm)で2
0cm×20cm×20cmの大きさの直方体をつくり、その側面
に1cm2の孔をあけ、上記膜をはりつける(第6図参
照)。該箱には箱内のガス組成のガス採取用ノズルが取
り付けられている(第6図には図示されていない)。
かぼすを室温で予措の後、2000gずつ箱に入れ、フタ
をして5℃の冷温庫に貯蔵した。(充填率は25%であ
る) 貯蔵袋内の炭酸ガス及び酸素ガスの組成分析はガスク
ロマトグラフィーでおこなった。
実験に用いたかぼす別途容積一定の密閉容器にいれて、
炭酸ガスの発生量を求めたところ5℃において7.5mg/Hr
/kgであった。
なお5℃におけるポリシロキサン−ポリカーボネート
の膜のガス透過係数は実施例1に記載した値と同じであ
る。
比較例4では選択透過性膜として膜厚50ミクロンのポ
リシロキサン−ポリカーボネートの膜を使用し、その他
は比較例3と同様にして作成したボックスを用いてテス
トを行った。
比較例5では、選択透過性膜を用いずに、実施例4で
膜の支持体として使っている多孔膜をそのまま使用し、
その他は実施例4と同様にして作成したボックスを用い
てテストを行った。
各実施例および比較例で使用したボックスは下記表−
4に示したとおりである。
添付図面の第7−a図、第7−b図に貯蔵期間と貯蔵
雰囲気のガス組成の測定値をプロットで示した。aは実
施例3、4および比較例4、5の炭酸ガス濃度の経時変
化を示し、bは炭酸濃度の経時変化を示す。
保存試験前の酸度は5.9%、Brix8.0%、クロロフィル
含量12.4mg/100gであった。
90日間貯蔵実験の後、貯蔵箱を開けてかぼすの外観お
よび品質評価をした。その結果を下記表−5にまとめ
た。
(実施例3、4)かぼすは貯蔵前の外観を保ち品質的に
も問題なかった。貯蔵中の箱内には凝縮した水滴の付着
もほとんどなかった。保存状態のガス濃度は最適貯蔵濃
度にほぼ保たれていた。
(比較例4)かぼすが異臭をしていた。これでは廃棄せ
ざるを得ない。貯蔵中袋内は水滴が多く付着していた。
水蒸気の蒸散ができていない。
(比較例5)かぼすの表皮は黄変していた。またきって
みると果肉中の袋内の汁が抜けているものもあり、水分
蒸散が行き過ぎているのが観察された。ガス濃度が好ま
しい範囲にならなかったこと、通気性多孔膜のため袋中
の温度が低下したものと考えられる。
(比較例6)開放では低温にしても貯蔵はできないこと
をよく示している。
参照例 炭酸ガスの発生量および酸素の消費量の測定 体積のわかった密閉容器中に青果物類を収納した。但
し該容器および該青果物類は、あらかじめ設定温度の温
度下に24時間おいて、温度を一定にしておいた。密閉
後、一定時間毎に密閉容器内の炭酸ガスおよび酸素ガス
の組成分析をガスクロマトグラフでおこなった。
炭酸ガスおよび酸素ガス濃度の時間毎の変化より、炭
酸ガス発生量と酸素消費量を算出した。結果を表6−6
に示す。
実施例5および比較例7 梨(品種豊水)を20cm×20cm×20cmのアクリル箱に6
個入れる。全重量は3.0kgであった。(充填率は38%で
ある) 5℃の炭酸ガス発生量と酸素消費量を測定したところ
それぞれ1.08CC/kg/Hrと2.16CC/kg/Hrであった。
このアクリル箱の窓にポリジメチルシロキサン−ポリ
カーボネート共重合体フィルム(フィルム厚さ約10μ、
5℃での酸素透過速度1.7×10-5CC/cm2・sec・cmHg、炭
酸ガス透過速度6.6×10-5CC/cm2・sec・cmHg)を張りつ
けた。
窓の大きさは下記式によって計算した。
酸素濃度の目標を6%として、それぞれの値を代入する
とフィルム面積AはA=8.36cm2と算出された。又この
実施例6ではフィルムの素材が決められているので、下
記式(2)より炭酸ガス濃度が求められた。
平衡時の炭酸ガス濃度は2.0%と算出された。
そこでこのポリジメチルシロキサン−ポリカーボネー
ト共重合体フィルムを使い、実際に梨の貯蔵をおこなっ
た結果のガス濃度の変化を添付図面の第8図に示す。
時間が経つに従い計算結果とよい一致をした。
4ケ月間貯蔵した梨の品質評価の結果を表−7に示
す。
食味テスト:1〜5点評価で点の大きい方が品質がよい。
比較のため炭酸ガスの発生量の1.08CC/kg/Hrを酸素の
消費量と仮定すると、同じフィルムを使った場合酸素濃
度6%とするときのフィルム面積は4.5cm2となる。
そこでフィルム面積4.5cm2で実施例6と同様に梨の貯
蔵実験をした時のガス濃度の変化を第9図に示す。
同じ4ケ月間貯蔵した後の梨は異臭があり、又内部は
芯の中心に黒ずんでおり、食に耐えるものではなく、食
味テストの総合も1.3の評点であった。
実施例6および比較例8 りんごの貯蔵実験 りんごの2℃での酸素消費量とβ値を表−1に示した
ものとし、貯蔵の雰囲気組成として、酸素3%、炭酸ガ
ス2%を目標とする。
(2)式より、α=4ともとめられるので、炭酸ガス
と酸素の選択性が4に近く、透過性のよい材料としてポ
リ(2,6−ジメチルフェニルエーテル)(PPO;2℃での酸
素透過係数1.0×10-9CC・cm/sec cm2・cmHg、α=4.8)
を選定した。
このPPOの5μmのフィルムを用意した。りんご20×2
0×20cmのアクリル箱に8個入れた。りんごの重量は273
0gであった。(充填率は34%である) 酸素3%を目標に必要なフィルム面積を(1)式より
求めると、32cm2と算出された。
このときの炭酸ガス濃度は2%となる。2℃の貯蔵実
験のガス濃度変化を第10図に示した。又4ケ月後の品質
評価の結果を表−8に示すが、品質の低下はほとんどな
く又果肉の変色もなかった。
食味テスト:1〜5点評価で点の大きい方が品質がよい。
比較のため炭酸ガスの発生量の0.510C/Kg/Hrが酸素消
費量と仮定し、酸素3%とした時の必要なフィルム面積
は(1)式より14cm2となる。
そこで実施例7と同様に5μmのPPOフィルム14cm2
貯蔵実験をおこなった。
雰囲気ガス組成の結果を第11図に示した。2℃で貯蔵
した4ケ月後の品質評価は、硬度が4.2Kg/cm2に落ち、
又果肉は複色に変色しており、食することはできなかっ
た。
実施例7および比較例9 ポリエチレンとナイロンとを貼り合わせたガスバリヤ
ー性フィルムで12.5cm×50cmのサイズの袋をつくり、袋
の一部面積10cm2を切りとり、それにポリシロキサン−
ポリカーボネート共重合体の膜(膜薄8μm、保護材の
pp多孔膜ではさんでいる)を取りつけた。
開花直後に採花したカーネーション(品質:ノラ)4
本(重量65g)を該袋中に入れ、できるだけ空気を押し
だして密封した(充填率13%)。これを22℃の部屋にお
く。カーネーションの22℃における炭酸ガス発生量110C
C/hr/Kg、酸素消費量162CC/hr/Kgであつた。
袋中のガス濃度を表−8に示す。
又比較としてガスバリヤー性フィルムだけの袋に収納
したものもおこない表−8中比較例9で示した。
1週間後に開封したところ、花は少し開いたが色はか
わらず、深いピンク色を保っていた。
それに対し、比較例9ではピンク色がぬけ白っぽくな
っていた。又この花を水差しにして同じ22℃の部屋にお
いいたところ1週間たってもほとんどかわらず観賞でき
た。
又採花後すぐオープンで水差しにしたものは1週間目
には枯れ、花は小さくなり、観賞に耐えないものになっ
ていた。
実施例9 実施例8と同様のポリエチレンとナイロンとラミネー
トしたガスバリヤー性フィルムで作った袋に、面積50cm
2のポリ4−メチルペンテン(三井石油化学製、MX−00
2)のをフィルム(膜厚5μm、ポリプロピレン製多孔
膜支持体上に積層し、かつ膜の上も多孔膜の保護材でカ
バーしてある)を熱圧着してとりつける。
この袋に開花直後に採花したカーネーション(品種タ
ンガ)を4本入れ、できるだけ空気を押し出して密封す
る。15℃の部屋におき、2週間後開封した。1週間目お
よび2週間目のガス濃度は炭酸ガスが6.3%と7.6%であ
り、酸素が6.8%と5.9%であった。
2週間後の花の状態は花の開花は少し進んでいるが赤
色はかわりはなく、その後同じ15℃で10日間おいても花
の大きさはかわらず充分観賞できた。一方この花を採花
後すぐに水差しで15℃の部屋におくと1週間は観賞でき
るが10日目で花はしぼんで枯れて、観賞に耐えるもので
はなかった。
尚15℃におけるカーネーションの炭酸ガス発生量は7
3.6CC/Hr/Kg、酸素消費量は103.7CC/Hr/Kgであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23B 7/00,7/148 B65D 81/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸ガスと酸素ガスの選択透過性フィルム
    が容器区画の一部を占める、果物、野菜もしくは草花を
    貯蔵するための容器であって、貯蔵すべき果物、野菜も
    しくは草花の炭酸ガス発生量対酸素消費量の比を0.3〜
    0.8に設定し、且つ該果物、野菜もしくは草花の貯蔵量
    を10〜50%として、該容器中の貯蔵雰囲気ガス組成の炭
    酸ガス濃度と酸素ガス濃度が所望の値となるような面積
    で該選択透過性フィルムが使用されており、しかも該選
    択透過性フィルムがポリジメチルシロキサン/ポリカー
    ボネート共重合体又はポリ(2,6−ジフェニルエーテ
    ル)からなることを特徴とする貯蔵容器。
  2. 【請求項2】選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さの
    ポリジメチルシロキサン/ポリカーボネート共重合体か
    らなり、そして選択透過性フィルムの占める割合が容器
    区画の全表面積の0.4〜1%を占める請求項1に記載の
    ナシの低温貯蔵用容器。
  3. 【請求項3】選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さの
    ポリジメチルシロキサン/ポリカーボネート共重合体か
    らなり、そして選択透過性フィルムの占める割合が容器
    区画の全表面積の0.4〜4%を占める請求項1に記載の
    花菜類の常温貯蔵用容器。
  4. 【請求項4】選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さの
    ポリ(2,6−ジメチルフェニルエーテル)からなり、そ
    して選択透過性フィルムの占める割合が容器区画の全表
    面積の0.5〜5%を占める請求項1に記載のナシの低温
    貯蔵用容器。
  5. 【請求項5】選択透過性フィルムが5〜8μmの厚さの
    ポリ(2,6−ジメチルフェニルエーテル)からなり、そ
    して選択透過性フィルムの占める割合が容器区画の全表
    面積の0.5〜10%を占める請求項1に記載の花菜類の常
    温貯蔵用容器。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の貯蔵容器を用いて果物、
    野菜もしくは草花を貯蔵するに当たり、下記式: ここで C:単位換算係数=3.655×10-6、 G:果物、野菜もしくは草花の酸素消費量(CC/kg/Hr)、 A:選択透過性フィルムの面積(cm2) B:果物、野菜もしくは草花充填量(Kg)、 Ko2:選択透過性フィルムの酸素透過速度(CC/cm2/sec/
    cmHg)、 α:選択透過性フィルムのガス選択性 (=炭酸ガス透過性/酸素透過性)、 β:果物、野菜もしくは草花の炭酸ガス発生量/果物、
    野菜もしくは草花の酸素消費量 Yo2:大気中酸素濃度、 Yco2:大気中の炭酸ガス濃度、 Wo2:貯蔵雰囲気ガス組成の酸素ガス濃度、 Wco2:貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度、 で表される関係式により、上記β=0.3〜0.8となるよう
    に容器中の貯蔵雰囲気ガス組成の炭酸ガス濃度(Wco2
    および酸素ガス濃度(Wo2)を調整する貯蔵方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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