JP2871257B2 - 潛熱蓄熱装置及び該装置に用いる潛熱蓄熱材 - Google Patents

潛熱蓄熱装置及び該装置に用いる潛熱蓄熱材

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JP2871257B2 JP3353154A JP35315491A JP2871257B2 JP 2871257 B2 JP2871257 B2 JP 2871257B2 JP 3353154 A JP3353154 A JP 3353154A JP 35315491 A JP35315491 A JP 35315491A JP 2871257 B2 JP2871257 B2 JP 2871257B2
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Mayekawa Manufacturing Co
Asahi Denka Kogyo KK
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    • F25DREFRIGERATORS; COLD ROOMS; ICE-BOXES; COOLING OR FREEZING APPARATUS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K5/00Heat-transfer, heat-exchange or heat-storage materials, e.g. refrigerants; Materials for the production of heat or cold by chemical reactions other than by combustion
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    • C09K5/06Materials undergoing a change of physical state when used the change of state being from liquid to solid or vice versa
    • C09K5/063Materials absorbing or liberating heat during crystallisation; Heat storage materials
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業法の利用分野】本発明は、冷房、冷却、冷凍など
に必要な冷熱を、実質的に潛熱として蓄熱且つ取り出し
可能な潛熱蓄熱装置及び該装置に用いる潛熱蓄熱材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば冷凍サイクルにおける
蒸発器内の0℃未満の冷熱の取り出し若しくは蓄熱を行
なう冷熱媒体として、エリレングリコール、プロピレン
グリコール、塩化カルシウム、塩化ナトリウムなどの水
溶液が、いわゆるブラインとして使用されてきた。この
種のブラインはいずれも、顕熱を利用して蓄熱および熱
伝導を行うために、負荷側での熱変動を避ける為に略一
定温度の冷熱を必要とし、而も例えブライン側の温度を
一定にしても負荷側の奪熱により熱変動が生じるのが避
けられないために、負荷側で大幅な温度変化が許されな
いときは、これを吸収する為の大量のブラインを必要と
する。このため、前記顕熱利用のブライン槽(冷熱蓄熱
槽)では必然的に該槽容積が大容量且つ大型化すると共
に、設備コスト及び設置コストが大になり、好ましい経
済性を得られなかった。
【0003】そこでかかる欠点を解消するために、近年
前記ブラインの一部を凝固・融解させて、その潛熱を冷
熱の蓄熱に利用した潛熱蓄熱装置が提案されており、か
かる蓄熱手段は、前記した顕熱蓄冷手段に比較して蓄冷
密度が高く、しかも一定温度の冷熱を取出し容易であ
り、又システムも小型で、且つ構成も簡単である事から
その利用範囲は大きく、食品産業を含む民生用等の種々
の分野に利用されている。そして、かかる蓄熱装置に
は、無機塩類の共晶体組成水溶液その他の潛熱蓄熱材を
封入した多数のカプセルを蓄熱槽内に装填した後、該カ
プセルに直接ブラインを接触させながら潛熱蓄冷と冷熱
の取出しを行う、いわゆるカプセル方式のものと、蓄熱
槽内に貯溜された無機塩水溶液又はエチレングリコール
等のブラインを直接冷却管を利用して凝固させ、潛熱蓄
冷を行った後、該凝固体の融解潛熱を利用して冷熱を取
出しを行う、いわゆるアイスバンク方式のものとに大別
される。
【0004】しかしながら、前者の方式では、冷熱エネ
ルギーの伝達方式が[カプセル]を介在させたが故に、
潛熱蓄冷過程にあっては、[冷凍機の冷却管]→[ブラ
イン]→[カプセル]と二段階になり、結果としてその
分冷凍機冷却管の冷媒の蒸発温度を低く設定せねばなら
ず、熱効率が低下する。また、カプセルは一般に球形又
は円筒状に形成されているために、蓄熱槽に装填された
際、隣接するカプセル相互間に多数の空隙部が形成さ
れ、しかもカプセル自体にも一定の肉厚を有するため
に、蓄熱槽の単位容積に占める潛熱蓄熱材の容積密度が
必然的に小になる。また、前記潛熱蓄熱材を封入するカ
プセルは、潛熱蓄熱材の封入の容易化、及びコスト的の
面より一般に樹脂材を用いて形成されるが、樹脂材は金
属に比較して熱伝導率が小さく、且つ肉厚であるため
に、また該カプセルと接触する冷凍機の冷媒温度もこれ
に対応してより低く設定する必要があるために、結果と
してその分冷凍機の動力の増大と運転時間の増大を招
く。また、逆に冷熱取出し過程にあっても、カプセル容
器を介在するために、前記と同様の理由により、希望す
る取出し冷熱温度より低い蓄熱温度に設定しなくてはな
らないために、結果としてシステムの効率の低下につな
がる。
【0005】一方後者のアイスバンク方式の蓄熱方法と
して、例えば、特開昭62−62192号公報(以下、
第1従来技術と言う。)に提案されている。即ち本技術
は、冷凍サイクルを構成している蒸発器を熱交換器とし
て蓄熱槽に設け、この蓄熱槽に貯溜されると共に負荷側
との間に循環する媒体として、0℃未満の共晶点を持つ
2種類の無機塩類、より具体的にはそれぞれ共晶体を形
成する塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合水溶液を潛
熱蓄熱材として用いたものを提案している。又特開平2
ー214793号公報(以下、第2従来技術と言う。)
においては、前記潛熱蓄熱剤に更に検討を加え、硝酸カ
リウムと硝酸ナトリウムとを溶解した水溶液を潛熱蓄熱
剤として利用し、この水溶液の凍結解凍時の潛熱を約−
5℃の冷熱として取り出す潛熱蓄熱材が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1従来技術にあっては、水と塩化ナトリウム、及び水と
塩化カリウムの夫々共晶点、言換えれば2元共晶点につ
いては開示しているが、2種類の無機塩類混合水溶液を
混合した三元共晶点については何等開示していないため
に、どの様な混合割合にすると目的の温度冷熱が取り出
されるか全く不明であり、前もって正確な温度管理を行
なう事が出来なかった。即ち、潛熱蓄熱材に於ける無機
塩の初期濃度が共晶点の濃度を超える場合は、冷却の
際、無機塩自身の無機塩結晶若しくは該無機塩の水和物
が析出する。これら析出物は前記蓄熱槽底部に沈殿し、
冷熱取出し当って再び析出物が該溶液に溶解する際、潛
熱蓄熱材が低温であることも手伝って、潛熱蓄熱材溶液
に再溶解する速度は制限される。一方、前記第2従来技
術の潛熱蓄熱材は、特定濃度の硝酸カリウムと硝酸ナト
リウムとの水溶液に限定されているために、得られる冷
熱の温度は−5℃近傍に限定される。又、前述のとお
り、硝酸カリウムの濃度は3元共晶濃度を超える濃度を
含むために、水溶液の凍結時に硝酸カリウム結晶が析出
し、前記第1従来技術と同様な問題を抱えている。
【0007】本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、前
記の様なアイスバンク方式にあって、0℃未満の特定の
温度の冷熱を、略一定に保ちながら取出し可能に構成し
た潛熱蓄熱装置を提供する事を目的とする。本発明の他
の目的は、所定の温度域内で目的とする温度冷熱を容易
に且つ精度よく取り出し可能に構成した潛熱蓄熱装置及
び該装置に用いる潛熱蓄熱材を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明は、複数の無機塩と
水からなる無機塩混合水溶液を潛熱蓄熱材として蓄熱槽
内に貯溜し、その蓄熱潛熱を利用して冷熱を取り出し可
能に構成した潛熱蓄熱装置に適用されるもので、その特
徴とする所は、前記潛熱蓄熱材を、少くとも3以上のN
(N≧3)成分系として(N−1)種類の無機塩を水に
溶解し、該水溶液に潛熱蓄熱させた冷熱をN成分系のN
元共晶点を超え、水との夫々の無機塩からなる2成分系
の2元共晶点未満の温度範囲より任意の温度で略一定温
度で、前記蓄熱された冷熱を取出せる水溶液で生成する
と共に、該水溶液に溶解される夫々の無機塩の濃度を、
前記水と各無機塩との共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶
線の濃度の50〜98%の範囲に設定したことにある。
【0009】この場合、前記水溶液中における少なくと
も一の前記無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共
晶体の濃度の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水
溶液中の無機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱材のN成分
共晶体の濃度以下に設定するのがよい。そしてかかる装
置は、前記N成分固液相曲面に含まれる2元共晶体及び
N元共晶体を利用して前記潛熱蓄熱材への潛熱の吸収及
び取り出しを行なう事により後記するシステムに組込む
事により本発明の目的を円滑に達成し得る。そしてかか
る装置は、前記蓄熱槽と負荷側とを循環路を介して連通
させ、前記潛熱蓄熱材の析出物を直接潛熱として取り出
し可能なシステムに構成するのが実用的であり、これに
より熱エネルギーの有効利用が図れる。又本装置は前記
蓄熱槽内に冷媒が循環する熱交換器を配設し、冷凍サイ
クルの蒸発器として機能させるのが一般的であるが、こ
れのみに限定されない。
【0010】
【作用】次に本発明の作用及び効果を詳細に説明する。
前記したように本発明の潛熱蓄熱材は、水と少なくとも
2種類の水溶性無機塩類とからなるN成分溶液(N≧
3)で、前記潛熱蓄熱材における無機塩の濃度は、氷
点、水と各無機塩の共晶点、及びN成分共晶点に対応す
る各成分濃度範囲を超えない濃度領域に設定した為に、
図2に示すように、該潛熱蓄熱材を氷点以下に冷却する
と、当初、該無機塩による氷点降下効果によって水溶液
の状態を保ちながら冷却されるが、該氷点降下効果以下
に冷却されると氷及び(N−1)種類の無機塩の各2元
共晶点の高い順に2成分共晶体が析出し、氷・2成分共
晶体と前記無機塩混合水溶液の2相状態となる。この状
態を更に冷却を進め、N元共晶点に達すると、前記潛熱
蓄熱材は氷・2成分共晶体に加えてN成分共晶体が析出
し、最終的には氷・2成分共晶体・N成分共晶体の固相
混合物1相となる。前記過程において、氷の析出に伴っ
て氷の凝固潛熱を吸収し、共晶体に変化する際にあって
も共晶潛熱を吸収する。従って、単に水溶液を冷却する
ときに比較して、前記凝固物の析出に伴う凝固潛熱吸収
の為に、温度変化は緩衝される。逆に、前記氷と共晶体
との混合物を加熱するならば、前記潛熱蓄熱材中の析出
固体は前記凝固潛熱に相等する融解潛熱を放熱しながら
溶融し、氷点降下効果の温度に達すると低温の水溶液に
なり、以後水溶液の顕熱を放出しながら温度は上昇す
る。従って、単位重量当りの顕熱と潛熱とを比較する
と、一般的に後者の方が遥かに大きいので、略一定の温
度を維持しながら、前記氷・共晶体+水溶液状態に於い
て氷・共晶体が放出する溶解潛熱を冷熱として取出し得
る。
【0011】一方、前記潛熱蓄熱材のN成分共晶点は、
夫々の無機塩と水との共晶点よりも低温であるために、
該無機塩を適宜に選択することにより、取出し温度を凝
固点未満の任意の低温に設定可能となる。しかも、前記
潛熱蓄熱材中における各無機塩の濃度を、水と各無機塩
との2元共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶線の濃度の5
0〜98%の範囲内にした為に、該潛熱蓄熱材水溶液中
における氷・2成分共晶体の割合、即ち、氷充填率(I
PF:Ice Packing Factor)を、氷点降下効果温度に於
ける氷・2成分共晶体の生成開始温度からN成分共晶点
に至るまでの任意の温度に於いて、30%以上に維持す
ることが可能となる。
【0012】また、前記潛熱蓄熱材中における一の無機
塩の濃度を、前記無機塩と水との共晶体の濃度の60〜
98%の範囲に設定し、且つ前記潛熱蓄熱材中の無機塩
の全含有量を、N成分共晶体の濃度以下に設定する事に
より、冷却の過程に於いて、無機塩或いは無機塩の水和
物が析出することもない為に、蓄熱槽に該析出物が沈積
することもなく、冷熱取出し過程に於いて該沈積物の溶
解速度を問題にすることもない。更に、前記潛熱蓄熱材
中における各無機塩の濃度を、前記濃度領域に設定した
為に、氷点とN成分共晶点とを結ぶ固液相面の勾配は、
各無機塩の融点とN成分共晶点とを含む固液相面の急勾
配と比べるなら、遥かに緩慢であるために、略一定の温
度範囲、即ち、氷点降下効果による氷点からN成分共晶
点に至るまでの範囲において、最大IPFを適宜割合に
維持しながら効率よく冷熱の吸収・取出しが可能とな
る。更に、氷点と各無機塩の2成分共晶点とを結ぶ固液
相線と、該2成分共晶点とN成分共晶点とを結ぶ共晶線
とを、氷点以下の比較的高温部分における勾配を比較す
ると前者に比べて後者が緩慢である場合が多いので、こ
の観点からも、氷の潛熱のみを利用する2成分潛熱蓄熱
材に比較して、N成分潛熱無機塩の組成を適宜選定する
なら、所定のIPFによる氷・2元共晶体を形成し、略
一定の温度で冷熱を取出す事が可能となる。
【0013】従って本発明によれば、蓄熱槽に貯留する
潛熱蓄熱材は、少くとも3以上のN(N≧3)成分系と
して(N−1)種類の無機塩を水に溶解した水溶液であ
りこの水溶液の各無機塩の濃度を、所定の濃度範囲でそ
れぞれ変えることによって、N元共晶点の温度以上2元
共晶点の温度未満の温度範囲より任意の温度を凝固点と
して選択することができ、この温度における冷熱を負荷
側に供給することができる。又、前記N成分固液相曲面
における2元共晶体およびN元共晶体を利用して潛熱蓄
熱材への冷熱の吸収、および取り出しを行なうために、
この潛熱蓄熱材の凝固温度や融解温度を適宜選択するこ
とで略一定の温度で安定的に冷熱を得ることができる。
更に、負荷側では、2元共晶体より直接潛熱を冷熱とし
て取り出すことができるので、熱量の損失が低減でき、
潛熱蓄熱装置としての熱効率を高めることができる。更
に又、N成分固液相曲面およびN元共晶点上の無機塩の
水溶液中の濃度は、無機塩の水溶液中の飽和濃度より小
さいために、潛熱を冷熱として取出す場合、無機塩の析
出物を速い溶解速度で溶解させることができる。従っ
て、潛熱を一定温度の冷熱として取出すことのできる融
解温度持続時間を長くすることができる。
【0014】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示
的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0015】図1は、本発明の実施例に係る潛熱蓄熱装
置を蒸発器に組込んだ冷凍サイクルを示す概略図で、そ
の構成を簡単に説明するに、11は動力源により駆動さ
れる圧縮機で、この圧縮機11の吐出側には凝縮器12
が接続されている。そして、該凝縮器12には、膨脹弁
13を介して後記する蓄熱槽16内に内挿する事により
蒸発器として機能するコイル状の熱交換器14が接続さ
れ、さらに、この熱交換器14の出口側を圧縮機11の
吸入側に接続させる事により公知の冷凍サイクル10が
構成される事となる。16は前記熱交換器14を収容す
る蓄熱槽で、この蓄熱槽16には後記する無機塩の混合
水溶液からなる潛熱蓄熱材15が貯留され、この潛熱蓄
熱材15は、蓄熱槽16に接続する循環路17を介して
順次ポンプ18と負荷側の熱交換器19と連通させ、前
記潛熱蓄熱材15が蓄熱槽16と熱交換器19間が循環
可能に構成されている。
【0016】さて下記に示す表1は、硝酸カリウム(KN
O3)−硝酸ナトリウム(NaNO3)−水(H2O)の3成分系
に関係する共晶体の濃度、共晶点を示す特性表で、図2
は、前記表1をグラフ化した前記3成分系の固液平衡図
である。前記潛熱蓄熱材15は、水と2種類の無機塩、
硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)とか
らなる前記3成分系である。
【0017】図2の固液平衡図には、稜線において各成
分の濃度を100重量%に設定し、垂直方向に温度を目
盛った三角柱に、前記3成分の状態を示している。点
A、点B、点Cは、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、及
び水の融点であり、点E1は硝酸カリウムと水との共晶
点で、点E2は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの共晶
点で、またE3は硝酸ナトリウムと水との共晶点であ
る。これら各点の温度及び各成分の重量濃度は、表1に
示すものである。
【0018】
【表1】
【0019】尚、前記図2中、線AE1は、硝酸カリウ
ムの濃度範囲が8〜100重量%である2成分系水溶液
が冷却過程中に硝酸カリウム結晶が析出する温度を示す
固液相線であり、線CE1は、硝酸カリウムの濃度範囲
が0〜8重量%である水溶液が冷却過程中に氷が析出す
る温度を示す固液相線である。両固液相線と2元共晶点
1(−3.5℃)を通る等温線A1・E1・C1との間に
挟まれる温度領域AA11及びCC11にあっては、前
者領域では硝酸カリウム− 水溶液、後者領域では氷−
水溶液の固体、液体が共存する。ちなみに、前記共晶点
1以下に冷却されると、もはや水溶液は存在し得ず、
夫々硝酸カリウム−共晶体、氷−共晶体の固体混合物と
なる。
【0020】なお、前記固液相線以下の温度で共晶点以
上の温度にあっては、例えば濃度が[p/(p+q)]
×100重量%である硝酸カリウム水溶液Kを示す垂直
線KK'K1と前記共晶線A111と平行な温度線t'と
の交点K'は、その温度線t'に於いて該交点K'から水
の稜線迄の距離rと、該交点K'から前記固液相線迄の
距離sとの比は、固体と液体の重量割合を示す事は、知
られた事である。即ち、固液相線AE1は硝酸ナトリウ
ムの溶解度をも示している事になる。
【0021】また、固液線CE1は、共晶体の濃度より
薄い硝酸カリウム水溶液における氷と水溶液の重量比を
示す。同様に、固液相線AE2、及び固液相線BE2は、
硝酸カリウム−硝酸ナトリウム成分系に於いて、夫々硝
酸カリウム−融解液、硝酸ナトリウム−融解液の共存限
界を、また、固液相線BE3、固液相線CE3は、硝酸ナ
トリウム水溶液に於いて、夫々、硝酸ナトリウム−水溶
液、氷−水溶液が共存する限界を示す温度−濃度線であ
る。更に、線E1Eは、硝酸カリウム−硝酸ナトリウム
−水の前記3成分系にあって、析出物−共晶体E1−水
溶液の固液相線を示し、この内前記無機塩の濃度が固液
相線E1−E以上の場合は、前記析出物は無機塩結晶で
あり、その逆に固液相線E1E以下の濃度の場合は、前
記析出物は氷である。同様に、線E3Eは、析出物−共
晶体E3−水溶液の固液相線を示し、該3成分系中無機
塩の濃度が固液相線E3E以上であれば、前記析出物は
無機塩結晶であり、反対に固液相線E3E以下であれ
ば、前記析出物は氷である。
【0022】また、共晶点E以下の温度にあっては、析
出物−共晶体Eの固体混合物であって、前記析出物は3
成分系の濃度により、無機塩結晶、氷、共晶体E1、或
いは共晶体E2の何れかの混合物である。
【0023】ここで、前記無機塩の水溶液は、厳密には
該水溶液の沸点(大気圧において凡そ100℃)以上に
は存在し得ない。従って、図2における、沸点を超える
固液相線は、想像線であり、高圧に於ては実現可能の線
であが、全体像を把握するために示したものである。
【0024】さて、前記3成分共晶点Eは、図2に示す
ように、−22.8℃である。従って、前記3成分系の
組成が、該3成分系共晶点E、硝酸カリウム−水2成分
系の共晶点E1、硝酸ナトリウム−水2成分系の共晶点
3、及び氷点Cの各点を含む固液相曲面を超えない濃
度範囲であれば、冷却過程にあっては氷、及び共晶体E
1,E3を析出しながら、共晶点−22.8℃に至るまで
冷熱を蓄積可能である。更に、無機塩の濃度を、前記固
液相曲面内で適宜組合せる事で、冷却過程にあって最初
に固体析出物が形成される温度(以下凝固点と言う。)
を任意に設定することが出来る。潛熱蓄熱材15として
前記3成分系を用いて、凝固点を−5℃とした実施例
1、さらに凝固点を−11℃とした実施例2、および凝
固点を−22℃とした実施例3の硝酸カリウムおよび硝
酸ナトリウムの水溶液の濃度及び特性を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】図3は、前記蓄熱過程と後述の冷熱取出過
程における時間に対する潛熱蓄熱材の温度変化を示す凝
固融解特性図で、潛熱蓄熱材15として実施例1を冷凍
サイクル10に用いた場合の蓄熱過程と冷熱取出過程と
を説明する。まず、蓄熱槽16内の潛熱蓄熱材15に冷
熱を蓄熱する場合、冷凍サイクル10を作動させて、フ
ロンガスなどの1次冷媒を圧縮機11で圧縮し、吐出さ
れた1次冷媒を凝縮器12において冷却して凝縮・液化
し、次に、膨脹弁13を介して1次冷媒の圧力を下げ気
化されて、1次冷媒を熱交換器14に流入される。この
熱交換器14において、1次冷媒は、熱交換器14と接
する潛熱蓄熱材15との間で熱交換を行なって、再び前
記圧縮機11の吸入側に流入する。一方、潛熱蓄熱材1
5は冷却され、氷点降下効果により0℃に成っても氷結
せず、図2に示す固液相曲面と交わる温度、即ち実施例
1の濃度の於ける凝固点−5℃に至って、最初に氷、続
いて共晶体E1を主成分とする固体を析出する。即ち、
この潛熱蓄熱材15は、図3の凝固融解特性図に示すよ
うに略−5℃を保持しながら冷熱を凝固潛熱量72kcal
/g の形で吸収・蓄積する。そして、3成分共晶点Eに
至る前、IPFが30〜80%に達した時点で蓄熱槽1
6への蓄熱過程を終了させる。
【0027】次に、蓄熱槽16より放熱を行なう場合、
ポンプ18を作動させて、潛熱蓄熱材15の液体部およ
び無機塩の析出物を蓄熱槽16より循環路17を介して
熱交換器19に循環させる。そして、この潛熱蓄熱材1
5は、図3に示すように略−5℃を保持しながら潛熱量
72kcal/g の融解潛熱を放熱するために、前記熱交換
器19の3次冷媒は、−5℃の冷熱を受け取ることがで
きる。
【0028】また、潛熱蓄熱材15として実施例2を冷
凍サイクル10に用いた場合、図3に示すように、前記
実施例1と同様に蓄熱槽16へ蓄熱を行ない、冷熱取出
過程においては、−11℃を略一定に保持しながら潛熱
蓄熱材15の潛熱量65kcal/g の潛熱を冷熱として取
出し、熱交換器19の3次冷媒は−11℃の冷熱を受け
取ることができる。このように前記構成によれば、蓄熱
過程において、IPFを100%未満の例えば50%に
達した時点でこの蓄熱過程を終えているので、潛熱蓄熱
材15の凝固融解特性において、IPFが増大して3元
共融点Eには達しなく、前記取出温度を確保しながら、
実質的に共融体E1の潛熱を冷熱として取り出すことが
できる。また、IPFを100%未満としているので、
潛熱蓄熱材15は完全に凍結されずに少くとも一部は常
に液状であるから、この液状潛熱蓄熱材15を循環媒体
として負荷側の熱交換器19に直接循環できるので、被
冷却体の冷却目標温度と蓄熱温度との温度差を小さくす
ることができる為に、熱量の損失を低減し、蓄熱システ
ム10の効率を高くすることができる。
【0029】次に、潛熱蓄熱材15として実施例3を冷
凍サイクル10に用いた場合、図1に示すように、前記
実施例1,2と同様に蓄熱槽16への蓄熱を行ない、冷
熱取出過程においては、−23℃を略一定に保持しなが
ら潛熱蓄熱材15の融解潛熱量60kcal/gの蓄熱を冷熱
として取出し、熱交換器19の3次冷媒は−23℃の冷
熱を受け取ることができる。また、実施例3の潛熱蓄熱
材15の凝固点は3元共晶点Eであるため、潛熱を取り
出すことのできる温度は共晶点E唯一であり、IPFも
100%近く大きくとることができる。更に、実施例3
の潛熱蓄熱材15の硝酸カリウム、硝酸ナトリウムの濃
度は、水溶液における飽和濃度より小さいために、冷熱
取出過程にあって、析出した3成分共晶体の溶解速度は
速く、負荷側19への応答性に優れている。
【0030】なお図3に、比較例1:水一硝酸カリウム
系の共晶体E1濃度近傍である硝酸カリウムの濃度が
8.5重量%の水溶液を冷凍サイクル10で用いた場合
の凝固融解特性、また比較例2:水一硝酸ナトリウム系
の共晶体濃度点近傍の硝酸ナトリウムの濃度が39重量
%の水溶液を冷凍サイクル10で用いた場合の凝固融解
特性をも、比較のため示しめしている。
【0031】次ぎに、実施例11乃至14について表3
に基づいて説明する。表3(a)は、前記実施例の潛熱
蓄熱材水溶液に於ける無機塩の濃度(重量%)を示し、
(b)は、前記実施例に関係する無機塩の2成分系、3
成分系、及び4成分系水溶液の共晶体の濃度(以下、共
晶濃度と言う。)および共晶温度を示す。
【0032】
【表3】
【0033】前記潛熱蓄熱材15の組成及び濃度は、前
記無機塩の中から、水溶液中に最も多く含まれる第1の
無機塩を、所望の冷熱の温度に近い共晶点を有する無機
塩の中から任意に選ぶ。さらに、水に対するこの無機塩
の含有量を、第1の無機塩の共晶体濃度の60重量%以
上、98重量%以下にする。次に、前記第1の無機塩の
次に多く含まれる第2の無機塩の含有量は、第1の無機
塩の含有量から従属的に決まる。この第2の無機塩の含
有量は、第1の無機塩と第2の無機塩とを合わせた無機
塩の全含有量を、この潛熱蓄熱材の3元共晶体濃度以下
にする量とする。即ち、無機塩の全含有量が、この潛熱
蓄熱材の共晶体濃度を上回ると、この水溶液の凍結時に
過剰の無機塩及び無機塩水和物が析出し、該無機塩析出
物が潛熱として蓄熱された冷熱を円滑に取出す為に障害
になるためである。さらに、その他の無機塩を第3の無
機塩として前記水溶液に溶解する場合、この第3の無機
塩の含有量は、この水溶液に溶解している前記第1およ
び第2の無機塩の全含有量から従属的に決められ、全て
の無機塩の全含有量を、潛熱蓄熱材の4元共晶体濃度以
下にする量とする。これは、前記第2の無機塩と同様
に、無機塩の全含有量が、この無機塩混合水溶液の共晶
体濃度を上回ると、この水溶液の凍結時に過剰の無機塩
及び無機塩水和物が析出して円滑な冷熱取出しの障害と
なるためである。
【0034】そして、この潛熱蓄熱材の凝固・融解潛熱
を蓄熱手段として蓄熱・冷熱取出しを行ったときの凝固
融解特性を、表4及び図4に示す。この図4において、
融解温度持続時間は、潛熱を放出している時間は、凍結
した各水溶液の融解開始温度よりこの水溶液の温度が1
℃上昇するのに要する時間として定義されている。ま
た、前記実施例の3成分系の潛熱蓄熱材15の他に、3
成分系の潛熱蓄熱材15として、塩化ナトリウム(NaC
l)および塩化アンモニウム(NH4Cl) の水溶液を用い
ることができる。この3成分系においては、水溶液中の
塩化ナトリウムの濃度が20重量%および塩化アンモニ
ウムの濃度が15重量%の場合、−25℃の共融点が得
られる。従って、熱交換器19の3次冷媒は、−25℃
の冷熱を受け取ることができる。
【0035】また、4成分系の潛熱蓄熱材15として、
水と無機塩としてそれそれ共通イオンを持たない二つの
塩としての硝酸ナトリウム(NaNO3)と塩化アンモニウ
ム(NH4Cl)とからなる水溶液を用いることができる。
【0036】無機塩が2種類のみ含んでいない水溶液
を、4成分として取扱うか、その理由を以下に述べる。
前記2種類の無機塩は、共通の陰イオンを持たないため
に、水溶液中において電離/結合し、前記以外の無機
塩、食塩(NaCl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)が形成する
可能性がある。前記4種類の無機塩の内、NaClは、xNa
NO3+yNH4Cl−zNH4NO3で表す事ができるため、前記水
溶液は、NaNO3,NH4Cl,NH4NO3、及び H2Oの4成分とし
て取扱う事になる。
【0037】前記4成分系においては、水溶液中の硝酸
ナトリウムの濃度が30重量%および塩化アンモニウム
の濃度が7重量%の場合、−29℃の共融点が得られ
る。従って、熱交換器19の3次冷媒は、−29℃の冷
熱を受け取ることができる。なお、比較例11,12,
13は、2成分系潛熱蓄熱材を例示するものであって、
無機塩として、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化
カリウムの共晶濃度の水溶液とした。前記比較例も、氷
・共晶体の潛熱を利用した蓄熱・放熱を行った場合の凝
固融解特性を前記表4及び図4に開示する。
【0038】
【表4】
【0039】実施例11の潛熱蓄熱材15は、硝酸カリ
ウムと硝酸ナトリウムの水溶液で、第1の無機塩となる
硝酸ナトリウムの水溶液中の濃度が、35重量%であ
り、この硝酸ナトリウムの含有量は、水との共晶濃度の
88%になっている。そして、凍結開始温度は、−2
1.7℃で、この温度に於ける凝固潛熱は、62kcal/g
であった。温度−21.2℃において冷熱取出しを開始
し、約−21℃の一定温度の冷熱を取り出すことのでき
る融解温度持続時間は、2.6時間になった。
【0040】実施例12の潛熱無機塩は、塩化カリウム
と塩化ナトリウムとを水に溶解した水溶液で、第1の無
機塩となる塩化カリウムの水溶液中の濃度が、17重量
%であり、この塩化カリウムの含有量は、水との共晶濃
度の86%となっている。そして、この水溶液の潛熱
は、55 cal/gとなり、凍結開始温度は、−10.3℃
で、融解開始温度は、−9.1℃となる。さらに、凍結
した水溶液の融解過程において、潛熱を約−9℃の一定
温度の冷熱として取り出すことのできる融解温度持続時
間は2.6時間となっている。
【0041】実施例13の潛熱無機塩は、塩化ナトリウ
ムと塩化カリウムとを水に溶解した水溶液で、第1の無
機塩となる塩化ナトリウムの水溶液中の濃度が、20重
量%であり、この塩化ナトリウムの含有量は、水との共
晶濃度の88%になっている。そして、この水溶液の潛
熱は、56 cal/gとなり、凍結開始温度は、−22.0
℃で、融解開始温度は、−21.0℃となる。さらに、
凍結した水溶液の融解過程において、潛熱を約−20℃
の一定温度の冷熱として取り出すことのできる融解温度
持続時間は、2.5時間になっている。
【0042】実施例14の潛熱無機塩は、塩化ナトリウ
ム、塩化アンモニウムおよび塩化カリウムとを水に溶解
した水溶液で、第1の無機塩となる塩化ナトリウムの水
溶液中の濃度が、重量比で20重量%であり、この塩化
ナトリウムの含有量は、水との共晶濃度の96%になっ
ている。そして、この水溶液の潛熱は、61 cal/gとな
り、凍結開始温度は、−26.5℃で、融解開始温度
は、−26.0℃となる。さらに、凍結した水溶液の融
解過程において、潛熱を約−26℃の一定温度の冷熱と
して取り出すことのできる融解温度持続時間は、2.5
時間になっている。
【0043】前記各水溶液は、少なくとも2種類の無機
塩を溶解している3成分系なので、凍結した氷・2元共
晶体を主成分とする析出物が解凍する際に、この水溶液
中の各無機塩の濃度変化に対する温度勾配を小さく抑え
ることができる。従って、比較例11〜13の無機塩混
合水溶液に比較して、潛熱を利用して一定温度の冷熱を
取り出すことのできる融解温度持続時間を長くとること
ができる。また、前記潛熱蓄熱材に含まれるすべての無
機塩の全含有量が、この潛熱蓄熱材の共晶濃度以下にな
っているので、凍結時の無機塩結晶および水和物の析出
を防いでいる。さらに、融解時に、水溶液に含まれる凍
結した氷・2元共晶体が水に溶解する溶解速度が早いの
で、融解する水溶液の温度を一定に保持できる。従っ
て、融解過程において、潛熱を、長時間にわたって特定
の一定温度の冷熱として、安定して効率良く取り出すこ
とができる。なお、冷熱の取出し温度を略決める第1の
水の無機塩の濃度が、水との共晶濃度の60%未満とな
る場合、この水溶液の凝固融解時の温度幅が広くなり、
それぞれ所定の一定温度にならないので、潛熱を所望の
一定温度の冷熱として取り出すことができない。
【0044】また、第1の水の無機塩の濃度が共晶濃度
の98%を越える場合、放熱過程において、各無機塩の
結晶の水への溶解速度が小さいため、これらの結晶が水
に溶解せずに残る。このため、潛熱を特定の一定温度の
冷熱として取り出すことのできる時間が短くなる。従っ
て、水溶液中の第1の無機塩の含有量を、水との共晶点
の60%以上98%以下としているが、好ましくは70
%以上90重量%以下がよい。例えば、前記実施例1
3、14において、塩化ナトリウムの場合、水溶液中の
濃度は、14.4重量%以上23.5重量%以下として
いるが、好ましくは16.8重量%以上21.6重量%
以下が良い。また、前記無機塩水溶液に、必要に応じて
前記無機塩の他に、防蝕剤や防バイ剤(防黴剤)などを
添加することもできる。
【0045】
【発明の効果】本発明の潛熱蓄熱装置は、蓄熱槽に貯溜
する潛熱蓄熱体は、前記の様なアイスバンク方式にあっ
て、水と少なくとも2種類の水溶性無機塩類とからなる
N成分溶液(N≧3)で、前記潛熱蓄熱材における無機
塩の濃度は、氷点、水と各無機塩の共晶点、及びN成分
共晶点に対応する各成分濃度範囲を超えない濃度領域に
設定した為に、前記無機塩の好適な組合せ、及び前記濃
度範囲内で好適な濃度を設定する事により、0℃未満の
特定の温度の冷熱を、前記共晶体の融解潛熱を利用した
為に略一定に保ちながら取出し可能に構成する事ができ
る。
【0046】また、本発明の潛熱蓄熱装置に利用する潛
熱蓄熱体を、前記のとおり構成した為に、所定の温度域
内で目的とする温度冷熱を容易に且つ精度よく取り出し
可能に構成した潛熱蓄熱装置及び該装置に用いる潛熱蓄
熱材を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る潛熱蓄熱装置を蒸発器に
組込んだ冷凍サイクルを示す概略図
【図2】表1に示す潛熱蓄熱材の3成分系の固液相平衡
【図3】表3に示す潛熱蓄熱材の凝固融解特性図
【図4】表4に示す潛熱蓄熱材の凝固融解特性図
【符号の説明】
10 冷凍サイクル 14 熱交換器 15 潛熱蓄熱材 16 蓄熱槽 E N元共晶点 E1 氷との2元共晶点 E3 氷との2元共晶点 CE1EE3 氷点を含む3成分固液相曲面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 宗一郎 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東京電力株式会社内 (72)発明者 嶋村 典行 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東京電力株式会社内 (72)発明者 川崎 成武 神奈川県伊勢原市八幡台一丁目12番6号 (72)発明者 笠原 敬介 東京都中野区白鷺三丁目6番11号 (72)発明者 佐久間 誠一 神奈川県川崎市多摩区菅仙谷二丁目12番 14号 (72)発明者 小松 富士男 東京都江東区牡丹二丁目13番1号 株式 会社前川製作所内 (72)発明者 石川 雅也 東京都江東区牡丹二丁目13番1号 株式 会社前川製作所内 (72)発明者 杉山 邦夫 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭 電化工業株式会社内 (72)発明者 増茂 光男 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭 電化工業株式会社内 (72)発明者 進藤 穣 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭 電化工業株式会社内 (72)発明者 川村 邦明 茨城県北相馬郡守谷町みずき野一丁目13 番8号 (56)参考文献 特開 昭57−210270(JP,A) 特開 昭57−90597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/06 F28D 20/00 WPI/L(QUESTEL)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の無機塩と水からなる無機塩混合水
    溶液を潛熱蓄熱材として蓄熱槽内に貯溜し、その蓄熱潛
    熱を利用して冷熱を取り出し可能に構成した潛熱蓄熱装
    置において、前記潛熱蓄熱材を、少くとも3以上のN
    (N≧3)成分系として(N−1)種類の無機塩を水に
    溶解し、該水溶液に潛熱蓄熱させた冷熱をN成分系のN
    元共晶点を超え、水との夫々の無機塩からなる2成分系
    の2元共晶点未満の温度範囲より任意の温度で略一定温
    度で、前記蓄熱された冷熱を取出せる水溶液で生成する
    と共に、該水溶液に溶解される夫々の無機塩の濃度を、
    前記水と各無機塩との共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶
    線の濃度の50〜98%の範囲に設定したことを特徴と
    する潛熱蓄熱装置。
  2. 【請求項2】 前記水溶液中における少なくとも一の前
    記無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共晶体の濃
    度の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水溶液中の
    無機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱材のN成分共晶体の
    濃度以下に設定した請求項1記載の潛熱蓄熱装置。
  3. 【請求項3】 前記蓄熱槽と負荷側とを循環路を介して
    連通させ、前記潛熱蓄熱材の析出物の潛熱を直接冷熱と
    して取り出し可能に構成した請求項1記載の潛熱蓄熱装
    置。
  4. 【請求項4】 前記蓄熱槽内に冷媒が循環する熱交換器
    を配設し、冷凍サイクルの蒸発器として機能させた請求
    項1記載の潛熱蓄熱装置。
  5. 【請求項5】 少くとも3以上のN(N≧3)成分系と
    して(N−1)種類の無機塩を水に溶解し、該水溶液に
    潛熱蓄熱させた冷熱をN成分系のN元共晶点を超え、水
    との夫々の無機塩からなる2成分系の2元共晶点未満の
    温度範囲より任意の温度で略一定温度で、前記蓄熱され
    た冷熱を取出せる水溶液で生成すると共に、該水溶液に
    溶解される夫々の無機塩の濃度を、前記水と各無機塩と
    の共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶線の濃度の50〜9
    8%の範囲に設定したことを特徴とする潛熱蓄熱槽に用
    いる潛熱蓄熱材。
  6. 【請求項6】 前記水溶液中における少なくとも一の前
    記無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共晶体の濃
    度の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水溶液中の
    無機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱材のN成分共晶体の
    濃度以下に設定した請求項記載の潛熱蓄熱材。
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