JP2870699B2 - 反応性の官能基を有する芳香族ビニル系共重合体膜およびその製造方法 - Google Patents

反応性の官能基を有する芳香族ビニル系共重合体膜およびその製造方法

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JP2870699B2 JP2031380A JP3138090A JP2870699B2 JP 2870699 B2 JP2870699 B2 JP 2870699B2 JP 2031380 A JP2031380 A JP 2031380A JP 3138090 A JP3138090 A JP 3138090A JP 2870699 B2 JP2870699 B2 JP 2870699B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、イオン交換膜原料あるいは生理活性物質固
定化用膜などに有用な新規芳香族ビニル系共重合体膜お
よびその製造方法に関する。
(従来の技術) ハロアセトアミドメチル基等を有する芳香族ビニル重
合体はイオン交換体原料あるいは生理活性物質固定化用
担体として有用な物質であるが、脆い重合体であるた
め、繊維および粒状物は知られているものの、実用に供
せるような柔軟で透明な膜は知られていない。従って、
該共重合体の膜及びその成型品が得られれば、さらに広
い応用が可能となる。
(本発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み、ハロ
アセトアミドメチル基等を有する芳香族ビニル重合体膜
およびその製造方法を見出だすべく鋭意検討した結果、
本発明に到達した。
(課題を解決するための手段) このような課題を達成するための本発明の構成は次の
通りの技術的手段からなる。
(1)下記一般式(I)で示される繰り返し単位と下記
一般式(II)で示される繰り返し単位からなるビニル系
共重合体であって、一般式(I)で示される繰り返し単
位が5〜50モル%であり、且つ、その膜面に垂直な方向
の吸光度が700ナノメーターの波長の光に対し3以下で
ある芳香族ビニル系共重合体膜。
(式中、R1は水素原子またはメチル基を、A1は1,4−
ジ置換ベンゼン環を、R2は水素原子または−COCHR3−X
基を示し、R3炭素数4以下の低級アルキル基を、Xはハ
ロゲン原子を示す。) −CH2CHR4− (II) (式中、R4は水素原子または炭素数6以下の低級アル
キル基を示す。) (2)スチレンまたはα−メチルスチレンと炭素数8以
下のα−オレフィンとの共重合体の膜を、下記一般式
(III)に示されるN−メチロール−α−ハロアシルア
ミド、モノニトロ化炭化水素および硫酸からなる溶液と
接触させること、および、さらに加水分解することを特
徴とする上記(1)記載の芳香族ビニル系共重合体膜の
製造方法。
(式中、R2は水素原子または低級アルキル基を示し、
Xはハロゲン原子を示す。) (3)膜の形状が、平膜状、中空系状、チューブ状又は
これらの組立て品から選択される一種であることを特徴
とする上記(1)記載の芳香族ビニル系共重合体膜。
本発明の芳香族ビニル系共重合体膜とは、一般式
(I)で示される繰り返し単位と一般式(II)で示され
る繰り返し単位とからなるビニル系共重合体の膜であっ
て、一般式(I)で示される繰り返し単位が5〜50モル
%であり、且つ、その膜面に垂直な方向の吸光度が700
ナノメーターの波長の光に対し3以下である膜であれば
何でも良く、特に制限はないが、一般式(I)で示され
る繰り返し単位が余り多すぎると、脆い膜になり、少な
すぎると活性ハロゲン基または第1級アミノ基の密度が
低くなり過ぎるので、一般式(I)で示される繰り返し
単位は5〜50モル%、とりわけ、20〜50%が好ましい。
また、一般式(I)中のR2が水素原子であるものが入手
し易く、且つ、反応性も高いので、特に好ましい。
また、本発明の重合体膜は、上記構造要件を満たす上
に、該膜の反対側に存在する物質の形を確認可能にする
に十分な光透過性を有する膜を意味する。膜の光透過性
は主として膜表面での散乱と膜の吸収によって決まる
が、該膜の場合700ナノメーターの波長の光に対する吸
光度が3以下であることが必要である。この吸光度が小
さいほど該成型品の光透過性が良く、吸光度が1以下で
あればさらに好ましい。
本発明で用いるスチレンまたはα−メチルスチレンと
炭素数8以下のα−オレフィンとの共重合体の膜とは、
スチレンまたはα−メチルスチレンと炭素数8以下のα
−オレフィンとの共重合体でって、スチレンまたはα−
メチルスチレンの繰り返し単位が5〜50モル%であれば
何でも良く、特に制限はないが、α−オレフィンの炭素
数は多すぎると膜の疎水性が高くなるので、4以下のも
のが特に好ましい。ランダム共重合体およびブロック共
重合体の両方が有効に用いられる。
本発明で用いるN−メチロール−α−ハロアシルアミ
ドは、一般式(I)で示されるものであれば何でも良
く、特に制限はない。その具体例としてN−メチロール
−α−クロルアセトアミド、N−メチロール−α−ブロ
ムアセトアミド、N−メチロール−α−ヨウドアセトア
ミド、N−メチロール−α−クロルプロピオンアミド、
N−メチロール−α−クロル酪酸アミド、N−メチロー
ル−α−クロルバレリアン酸アミド等が挙げられるが、
とりわけ、一般式(I)中のXが塩素原子でR3が水素原
子であるものが安価に得やすく、特に好ましく用いられ
る。
N−メチロール−α−ハロアシルアミドの使用量には
特に制限はないが、余り少ないと、反応速度が小さくな
り過ぎ、多すぎると完全に溶解しないので、通常、1〜
8%の濃度にして用いられる。
本発明で用いるモノニトロ化炭化水素としてはニトロ
メタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニト
ロプロパン、ニトロベンゼン等を例示することができ
る。モノニトロ化炭化水素の濃度は反応液が均一溶液に
なるよう70%以下の範囲で用いることが好ましい。モノ
ニトロ化炭化水素の濃度は高いほど反応速度が大きくな
る。
ハロアシルアミドメチル化反応液の調製温度はN−メ
チロール化合物の分解を避けるため、零下5℃から10℃
の範囲が望ましく、また、ハロアシルアミドメチル化反
応液と膜との接触温度は副反応を避けるため、0℃から
20℃の範囲が望ましい。
本発明のハロアシルアミドメチル化反応液にはN−メ
チロールハロアシルアミドの分解によって少量のホルム
アルデヒドが生成し、架橋剤として作用するが、さらに
少量のホルムアルデヒドを加えると、膨潤性の低い膜を
得ることができる。加えるホルムアルデヒドの量は多す
ぎると、アミドメチル化反応が進まなくなるので、1%
以下、とりわけ、0.5%以下の濃度にして用いるのが好
ましい。
ハロアシルアミドメチル化反応温度には特に制限は無
いが、低いほど副反応が少ない反面、操作性が悪くなる
ので、通常、0℃〜50℃、とりわけ、零下10℃〜30℃の
温度が好ましく用いられる。また、反応の溶媒、アミド
メチル化試薬の種類及び濃度、反応温度および反応時間
などの組合せ条件は成型品の厚し、重合体の化学構造お
よび用いる反応試薬の種類によって適宜選択される。
膜の厚みは、小さい方が物質透過性が良い利点はある
が、小さ過ぎると、機械的強度が下がり過ぎ、また、大
きすぎると透光性が下がり、且つ、膜内部の官能基の反
応性も下がるので、通常、1〜500、より好ましくは、
1〜100マイクロメーターの厚みを持つものが好ましく
用いられる。膜の形状としては平膜状、中空糸、チュー
ブ状、および、これ等の組立て品などがある。膜の成型
方法としては湿式成型、溶融成型および乾式成型のいず
れもが、有効に用いられる。
本発明膜の製造は、上記ハロアシルアミドメチル化反
応液中に、請求項第(2)項記載の芳香族ビニル系共重
合体膜を必要時間だけ浸漬した後、低級アルコールまた
は低級脂肪酸中に浸漬して反応停止および洗浄を行うす
ること、および、さらにアミド基を加水分解することに
より容易に達成される。加水分解はハロアシルアミドメ
チル化膜を硫酸または塩酸などの鉱酸の水溶液中で加熱
するか、親水性第3級アミンの水溶液中で加熱すること
により、容易に進行する。親水性第3級アミンの具体例
としてN、N−ジメチルアミノエタノール、N、N−ジ
メチルアミノ−2−プロパノール、N、N−ジメチルア
ミノ−3−プロパノール、N、N−ジエチルアミノエタ
ノール、N、N−ジメチルアミノ−2−ブタノール、ト
リメチルアミン等が挙げられるが、反応性の高さおよび
経済性の点から、とりわけ、N、N−ジメチルアミノエ
タノールが優れている。
本発明の膜の官能基がハロアシルアミドメチル基であ
る場合は、その膜の表面に存在するハロアシルアミドメ
チル基は、その活性ハロゲン基の反応性を利用して直接
生理活性物質の固定化に利用することができる。また、
本発明の膜の官能基がアミノメチル基である場合は、膜
全体に存在するアミノメチル基を利用して、イオン交換
膜としても利用できる。
本発明の膜の具体的な用途としては、該成型品の表面
に抗血栓剤、抗生物質、抗体等の生理活性物質を固定化
することによって血液回路、カテーテル、透析膜、細胞
培養用器具、体外循環用カラム、血液保存容器等への利
用があげられる。
(発明の効果) 本発明は反応性の官能基をもつ、柔軟で透明な新規膜
形成品およびその製造方法を提供するところに特徴があ
り、従って、本発明の膜の利点として、表面の官能基
の反応性を利用して生理活性物質を固定化できること、
イオン交換膜として使用できること、光透過性があ
ること、乾燥状態でも柔軟性が保持されるので取り扱
いやすいこと等が挙げられる。
以下に実施例を示す。
実施例中の評価方法は、以下に従った。
1.赤外線吸収スペクトル 島津フーリエ変換赤外分光光度計FTIR−4300を用い
た。
2.成型品の光透過性の測定 島津分光光度計UV2100を用い、膜に垂直な方向の吸光
度を700ナノメーターで測定した。
実施例1. スチレン/エチレン・ブチレンのABAブロックコポリ
マ(サイエンティフィック ポリマ プロダクツ イン
スティチュート;創和科学株式会社)20gを、100mLのテ
トラクロルエチレンに溶かし、ガラス板上に広げ、溶媒
を蒸発させて、厚み5〜10マイクロメーターの該コポリ
マ膜を得た。
ハロアセトアミドメチル化反応液は、1−ニトロプロ
パン968mlと硫酸524mlの混合溶液中に、パラホルムアル
デヒド6.24gを10〜20℃で溶解したのち、混合液を0℃
に冷却し、145.6gのN−メチロール−α−クロルアセト
アミドを加え、0〜10℃で溶解して調製した。
この溶液を10℃に昇温したのち、7cm×7cm角に切った
上記のコポリマ膜20枚を浸し、湿気を絶って24hr反応さ
せた。膜を引き上げ、冷メタノールで洗浄して、2−ク
ロルアセトアミドメチル基を有する本発明の膜を得た。
この膜は乾燥状態でも柔軟性に富み、任意の角度に折り
曲げることができた。赤外線吸収スペクトルで3300cm-1
にN−H基の弱い吸収、1666および1537cm-1にアミド基
の強い吸収があることからその構造を確認した。この膜
のA700は0.115(厚み5マイクロメータ)であった。
実施例2. 実施例1で得られた膜5.72gを300mlの6N−塩酸中に浸
し、15hr還流加熱した。膜を引き上げ、1N−カセイソー
ダで中和後、水洗して、アミノメチル基を有する本発明
の膜5.44gを得た。赤外線吸収スペクトルで3300、1666
および1537cm-1のアミド基の吸収が消失したことからそ
の構造を確認した。この物は3.05ミリ当量のイオン交換
能を有していた。この膜は乾燥状態においてさえ柔軟性
に富み、任意の角度に折り曲げることができた。引っ張
っても容易に切断しない。また、この膜のA700は0.155
(厚み5マイクロメータ)であった。この加熱処理で膜
の収縮は認められなかった。
実施例3. 実施例1で調製した膜4.58gを500mlの10%N、N−ジ
メチルアミノエタノール・ジメチルスルホキサイド溶液
に浸し、20hr室温に置いた後、500mlの10%ジメチルア
ミノエタノール水溶液中で3hr還流加熱した。膜を水洗
して、アミノメチル基を有する本発明の膜3.66gを得
た。赤外線吸収スペクトルで3300、1666および1537cm-1
のアミド基の吸収が消失したことからその構造を確認し
た。この物は2.40ミリ当量のイオン交換能を有してい
た。この膜は乾燥状態においてさえ柔軟性に富み、任意
の角度に折り曲げることができる。引っ張っても容易に
切断しない。また、この膜のA700は0.137(厚み5マイ
クロメータ)であった。この加熱処理で膜の収縮は認め
られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 71/28 B01D 71/82 500 71/82 500 C12M 3/00 Z C12M 3/00 A61J 1/00 330A (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 7/12 C08F 8/30 B01D 71/28 B01D 71/82 500 A01M 1/16 500 A61L 29/00 A61J 1/00 330 C12M 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される繰り返し単位
    と下記一般式(II)で示される繰り返し単位からなるビ
    ニル系共重合体であって、一般式(I)で示される繰り
    返し単位が5〜50モル%であり、且つ、その膜面に垂直
    な方向の吸光度が700ナノメーターの波長の光に対し3
    以下である芳香族ビニル系共重合体膜。 (式中、R1は水素原子またはメチル基を、A1は1,4−ジ
    置換ベンゼン環を、R2は水素原子または−COCHR3−X基
    を示し、R3は炭素数4以下の低級アルキル基を、Xはハ
    ロゲン原子を示す。) −CH2CHR4− (II) (式中、R4は水素原子または炭素数6以下の低級アルキ
    ル基を示す。)
  2. 【請求項2】スチレンまたはα−メチルスチレンと炭素
    数8以下のα−オレフィンとの共重合体の膜を、下記一
    般式(III)に示されるN−メチロール−α−ハロアシ
    ルアミド、モノニトロ化炭化水素および硫酸からなる溶
    液と接触させること、および、さらに加水分解すること
    を特徴とする請求項第(1)項記載の芳香族ビニル系共
    重合体膜の製造方法。 (式中、R2は水素原子または低級アルキル基を示し、X
    はハロゲン原子を示す。)
  3. 【請求項3】膜の形状が、平膜状、中空系状、チューブ
    状又はこれらの組立て品から選択される一種であるひと
    を特徴とする請求項第(1)項記載の芳香族ビニル系共
    重合体膜。
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