JP2870306B2 - シャドウマスク製造方法 - Google Patents

シャドウマスク製造方法

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JP2870306B2
JP2870306B2 JP17763992A JP17763992A JP2870306B2 JP 2870306 B2 JP2870306 B2 JP 2870306B2 JP 17763992 A JP17763992 A JP 17763992A JP 17763992 A JP17763992 A JP 17763992A JP 2870306 B2 JP2870306 B2 JP 2870306B2
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修一 小笠原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気めっき法によるシャ
ドウマスク製造方法に関する。より詳しくは、電気めっ
き法によるシャドウマスクの機械的特性の改良方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスク型カラー受像管に組み込
まれるシャドウマスクとしては、円形の電子ビーム通過
孔部の穿設されたものや矩形の電子ビーム通過孔部の穿
設されたもの等がある。シャドウマスク型カラー受像管
としては、一般家庭用、モニター用、ディスプレー用、
等があり、家庭用のシャドウマスクの孔のピッチは60
0〜700μm程度であるが、高品位カラーテレビの場
合は300μm以下が要求されている。
【0003】またシャドウマスクの孔の断面形状は蛍光
面側を大きく開孔し、電子ビーム側は小孔でその断面は
ナイフエッジ状になっていれば孔の側壁に電子ビームが
当たって生じる不要な散乱電子を防ぎ、カラー受像管の
コントラストと色純度の低下を防止できるので都合が良
い。特に画面の隅部は電子ビームがシャドウマスクに対
して斜めに入射するため大孔側と小孔側をずらして電子
ビームが当たる側の壁側テーパーを大きく逃がす必要が
あり、前述したような断面形状が必要である。
【0004】シャドウマスクの製造方法としては、従来
エッチング法が知られているが寸法安定性や歩留りに問
題があった。そのため、特開昭50−15745号、特
開昭51−128648号等に電鋳法を用いたシャドウ
マスクの製造方法が開示されている。それによると、特
開昭50−15745号では上面側が小孔となるように
傾斜した周壁を持つ不導体の多数の凸部と、底が金属導
体からなる凹部とを形成した電鋳基体に、電着物に延性
を与える鉄電解浴を用いて鉄電鋳を行い、これによって
得られた前記基体の凸部を孔とする電鋳品を基体から剥
離させる方法である。また特開昭51−128648号
では所望の平面形状に対しネガティブな平面形状の不導
体部を有する導体基板を用い電鋳により電鋳品を作成す
る方法において、所望の形状より電着物の板面方向への
成長量(サイドスプリージング)だけ不導体部を大きく
した基板に、厚さ10〜90μmの範囲に鉄電着を行
い、これを基板より剥離した後、250〜700℃で加
熱する方法である。これらの方法で寸法精度は改良され
た。
【0005】しかしながら上記方法はいずれも鉄電鋳で
シャドウマスクを形成し、更に得られたシャドウマスク
は黒色化処理の際にスチーム等で500〜700℃に加
熱されるので、全体として軟化してしまい、その機械的
強度が低下する問題が生じる。特に、ハイビジョン等の
ように解像度を高めるファインピッチの開孔穿設のため
にシャドウマスクを更に薄くした場合、またはフラット
タイプの蛍光面に対応する曲率半径大のシャドウマスク
を製造する場合は、全体としてシャドウマスクの強度は
非常に低下する。そのためスピーカーなどの発する振動
によってシャドウマスク、つまりは開孔位置が変化して
結局は画像に色ずれが発生するという問題が生じる。こ
の問題を解決するために特開昭60−30038号のよ
うに電鋳法で得られるシャドウマスクが軟鋼、鉄−ニッ
ケル系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金の単独層、
あるいは軟鋼の層と鉄−ニッケル系合金の層の複合層で
あることが特徴である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記方法
では電鋳によって合金層を形成する必要があり、電流密
度、被めっき物の形状による電気力線の集中度の違い等
により所望の組成の合金層を均一に得ることが困難であ
る。更にこのような場合にはシャドウマスクの機械的強
度が異なり震動によってばらつきが生じ色ずれの原因と
なる。また黒色化処理での加熱によって合金組成の違い
に基づく色調の違いが生じたり、応力の発生により変形
したりする恐れがある。さらにめっき液の管理も複雑で
ある。本発明の目的は、上記欠点を解消し、寸法精度を
満足し、均一な機械的強度および黒色被膜を得る事がで
き、黒色化処理の際に変形を生じないシャドウマスク製
造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、金属体と絶縁体で形成された基板の絶縁体
をパターニングすることにより露出した金属面に電気鉄
めっきを施し、形成された該鉄めっき被膜上に電気ニッ
ケルめっき被膜を形成し、更に該ニッケル被膜上に電気
めっき被膜を形成した後該基板から積層した被膜層を剥
離して、鉄−ニッケル−鉄の3層構造とする点に特徴が
ある。
【0008】更に上記電気鉄めっき被膜の厚みの最小値
を0.1μmとし、該電気鉄めっき被膜の最大値を該3
層構造の厚みの97%とし、かつ双方の電気鉄めっき被
膜の厚みの差が20%以下である点に特徴がある。
【0009】
【作用】シャドウマスクの機械的強度を向上させるには
充分な抗張力を有する金属の層があれば良く、電気ニッ
ケルめっき被膜は通常40kg/mm2 以上であり好適
な材料である。又電気ニッケルめっき方法はワット浴を
用いる常用の方法で差し支えない。該電気鉄めっき被膜
は該電気ニッケルめっき被膜の両面にする必要がある。
そのためにまず、該金属板に電気鉄めっき被膜を形成
し、次にその上に電気ニッケルめっき被膜を形成し、最
後に再び電気鉄めっき被膜を形成する必要がある。
【0010】該電気鉄めっき被膜の厚みは最小値が0.
1μmでなければならず、この値を下回ると黒色化処理
の際に剥離が生じる。また、該電気鉄めっき被膜の最大
値は該3層構造の厚みの97%である。この97%を越
えるとシャドウマスクの抗張力が十分でなくなる。更に
双方の該電気鉄めっき被膜の厚みの差は20%以下でな
ければならない。20%を越えるとニッケル被膜の両側
に電気鉄めっき被膜を形成しても黒色化処理時にシャド
ウマスクの変形を防止できない。
【0011】該金属板は耐めっき浴性があれば特に差し
支えない。また本発明でおこなう絶縁体のパターニング
は、絶縁体として樹脂を用いフォトエッチング法でパタ
ーニングしても良いし、あるいは絶縁体として直接フォ
トレジストを用いマスクを介してパターニングを行って
も良い。
【0012】
【実施例】
[実施例1〜2,比較例1〜3]東レ・デュポン社製ポ
リイミド樹脂「Kapton 300 H」の片面に無電解めっき法
により厚さ1.0μmのニッケルめっき被膜を形成し、
更に電気めっき法により厚さ100μmのニッケルめっ
き被膜を形成した。得られた基板のポリイミド樹脂表面
に富士薬品工業製ネガ型フォトレジスト「FSR-S 」を厚
さ10μmに均一に塗布し乾燥後、幅180μm、間隔
70μmのスリット状のマスクを設置し、露光後現像し
乾燥した。その後露出したポリイミド樹脂部をヒドラジ
ン一水和物を用い50℃で8分間溶解除去を行い、FS
R−Sの剥離を行った。以上の処理によって厚さ100
μmのニッケル層上にニッケル接地面において幅220
μm、間隔30μm、ポリイミド樹脂表面において幅7
0μm、間隔180μmのテーパーのついたスリット状
にパターニングされた厚さ75μmのポリイミド樹脂層
を持つシャドウマスクの母材を作製した。得られた母材
を亜セレン酸に25℃で2分間浸漬し、ニッケル表面を
不導体化処理した。その後ニッケル層上に以下に示す条
件と表1に示す所定の時間電気鉄めっきを行った。
【0013】(液組成) 塩化第一鉄 :400g/リットル 塩化カルシウム :150g/リットル (めっき条件) 温度 :90℃ 陰極電流密度 :7.5A/dm2 pH :1 得られた電気鉄めっき被膜を第1層とし、第1層上に以
下に示す条件と表1に示す所定の時間電気ニッケルめっ
きを行った。
【0014】(液組成) スルファミン酸ニッケル:400g/リットル 塩化ニッケル :20g/リットル ほう酸 :40g/リットル ドデシル硫酸ナトリウム:0.5g/リットル (めっき条件) 温度 :50℃ 陰極電流密度 :3Adm2 pH :4 得られた電気ニッケルめっき被膜を第2層とし、第2層
上に以下の条件と表1に示す所定の時間電気鉄めっきを
行った。
【0015】(液組成) 塩化第一鉄 :400g/リットル 塩化カルシウム :150g/リットル (めっき条件) 温度 :90℃ 陰極電流密度 :7.5A/dm2 pH :1
【0016】得られた電気鉄めっき被膜を第3層とし
た。その後母材に極めて弱い応力をかけることにより第
1層、2層、および3層から構成されるシャドウマスク
が、母材のニッケル層との界面から剥離した。その後、
得られたシャドウマスクを水蒸気および一酸化炭素の混
合ガス雰囲気下で450℃、30分間熱処理を施しシャ
ドウマスク表面に四三酸化鉄被膜を形成することにより
黒色化処理を行った。以上の処理により蛍光面側に幅2
20μm、間隔30μm、スリットの最小間隔70μ
m、ピッチ250μmのスリットを持ち、また蛍光面側
および電子ビーム側に黒色化処理の施されたシャドウマ
スクが得られた。得られたシャドウマスクの外観および
抗張力を表1に示す。表1より得られたシャドウマスク
にそり等の変形が観察されず、かつ従来シャドウマスク
に要求されている40kg/mm2 以上の抗張力が得ら
れる条件は、電気鉄めっき被膜の厚みの最小値が0.1
μmであり、最大値が全体の厚みの97%であり、かつ
第1層および第3層の電気鉄めっき被膜の厚みの差が2
0%以下である場合であることがわかる。本実施例にお
いて母材からシャドウマスクを剥離後さらに母材に対し
て電気めっきを行い、シャドウマスクを剥離し、黒色化
処理を施す工程を繰り返すことにより、上記形状と同等
のシャドウマスクを精度良く安定して得ることができ
た。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明により、微細なシャドウマスクを
寸法精度良く製造でき、均一な機械的強度を有し黒色化
処理で変形せず、経済性にも優れるなどその効果は大で
ある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属体と絶縁体で形成された基板の絶縁
    体をパターニングすることにより露出した金属面に電気
    鉄めっきを施し、形成された該鉄めっき被膜上に電気ニ
    ッケルめっき被膜を形成し、更に該ニッケル被膜上に電
    気鉄めっき被膜を形成した後該基板から積層した被膜層
    を剥離して、鉄−ニッケル−鉄の3層構造とすることを
    特徴とするシャドウマスク製造方法。
  2. 【請求項2】 上記電気鉄めっき被膜の厚みの最小値を
    0.1μmとし、該電気鉄めっき被膜の最大値を該3層
    構造の厚みの97%とし、かつ双方の電気鉄めっき被膜
    の厚みの差が20%以下であることを特徴とする請求項
    1記載のシャドウマスク製造方法。
JP17763992A 1992-06-12 1992-06-12 シャドウマスク製造方法 Expired - Lifetime JP2870306B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101818367A (zh) * 2010-04-23 2010-09-01 常德力元新材料有限责任公司 多孔金属材料及制备方法

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