JP2870106B2 - 固形描画材 - Google Patents

固形描画材

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は固形描画材に関し、更に詳細には、紙面が平
滑なアート紙・コート紙などに描画した描画跡の濃度が
高く、しかも、固形描画材自体を持って使用しても手が
汚れない固形描画材に関するものである。
(従来の技術) 従来固形描画材には、顔料と、パラフィンワックス・
マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス及び
/又はカルナウバワックス・木ロウ・ミツロウといった
植物系や動物系のワックスと、必要に応じて体質顔料
と、ワセリン・スピンドル・油・鉱油等のオイル分とよ
りなる所謂クレヨン・パスと呼ばれる軟質固形描画材
と、顔料と、ポリエチレンワックス等の合成ワックス及
び/又はパラフィンワックス・マイクロクリスタリンワ
ックス等の石油系ワックスと、必要に応じて体質顔料
と、ポリエチレン等の樹脂やステアリン酸などの滑剤と
よりなる所謂プラスチッククレヨンと呼ばれる硬質固形
描画材とが知られている。
(発明が解決しようとする課題) 上記軟質固形描画材は、アート紙・コート紙などの平
滑な紙面でも描画跡の濃度は高いが、紙やプラスチック
フィルム等でその表面を覆っておかないと使用時に手指
が汚れるという欠点が有った。他方、硬質固形描画材
は、裸のままで使用しても手指が汚れることは無いが、
特にアート紙・コート紙のような平滑な紙面に対して描
画跡が薄いという欠点が有った。
そこで本発明者は、硬質固形描画材タイプであって且
つ平滑な紙面(アート紙・コート紙)への描画跡の濃度
が高い固形描画材を得ることを目的として本発明を完成
させた。
(課題を解決するための手段) 本発明は、顔料と酸化型ポリエチレンワックスとより
少なくともなる固形描画材を要旨とするものである。
以下本発明を詳細に説明する。
顔料は、着色剤として使用するものであり従来公知の
カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、フタロシア
ニンブルー、フタロシアニングリーン、ワッチングレッ
ド、カーミン6B、ハンザイエロー等無機顔料、有機顔料
を問わず使用可能であって単独又は2種以上混合して用
いても良い。その使用量は、顔料の種類によって大きく
異なるが発色並びに描画性等を考慮すれば固形描画材全
量に対して3〜30重量%が好ましい。
本発明で使用する酸化型ポリエチレンワックスは、固
形描画材を形成すると共に、描画跡の濃度が高く且つ手
・指の汚れが無い固形描画材を得るために用いるもので
ある。具体例としては、CWO−301、CWO−307、CWO−31
2、CWO−341(以上、スペイン、ケミカルワックス社
製)、ハイワックス4202E、同4502E、同5202E(以上、
三井石油化学工業(株)製)サンワックスE−300、同
E−250P、ビスコールTS−20(以上、三洋化成工業
(株)製)ネオワックスE−20(安原ケミカル(株)
製)などが挙げられる。この酸化型ポリエチレンワック
スの酸価(ワックス1g中に含まれる遊離の脂肪酸を中和
するために必要な水酸化カリウムの量、単位;KOH mg/
g)は15〜22であることが好ましい。これは酸価が大き
いと酸化型ポリエチレンワックスの硬度(軟化点)が低
くなり、それに伴って固形描画材の硬度も低くなり強度
や成型性が劣り実用上好ましくない傾向が発生する。逆
に酸価が小さいと濃度の向上が顕著でないためである。
また使用量は固形描画材全量に対して5〜90%、更に
好ましくは20〜55%が用いられる。
尚、上記必須成分以外に、必要に応じて直鎖及び側鎖
パラフィンワックス、水素添加硬化油、飽和脂肪酸及び
その誘導体、カルナウバワックス、ミツロウ、木ロウ、
モンタンワックスなど、従来固形描画材に用いられてい
る天然ワックス、合成ワックスを副成分として使用で
き、その使用量は固形描画材全量に対して10〜40%が好
ましい。
また、増量剤若しくは充填剤として従来公知の、炭酸
カルシウム、タルク、クレー、シリカ、硫酸バリウム等
の体質顔料を固形描画材全量に対して3〜25重量%用い
たり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル
等の樹脂を固形描画材全量に対して3〜15重量%用いた
り、又、界面活性剤を用いたりすることもできる。
本発明の固形描画材は、上記各成分を加熱攪拌混合
し、また必要に応じてニーダー、ロールミル等の混練機
で混練し、これを溶媒状態で型に流し込み、または射出
・圧入もしくは押出しし、冷却固化して得ることができ
る。
(作 用) 本発明の固形描画材がアート紙・コート紙などの平滑
な紙面に対して、描画跡の濃度が高くなる理由について
は、以下のように推察できる。
本発明に使用するポリエチレンワックスは、酸化によ
って製造されるものであり、他のエチレン重合型や副生
型などの非酸化型ポリエチレンワックスに比べ、極性が
大きい。更に、可撓性に優れ粘着性も有している。この
ため非酸化型ポリエチレンワックスを用いた固形描画材
はアート紙・コート紙などの表面をコーティングしてい
る紙に対して濡れ性が良好であり、用いている非酸化型
ポリエチレンワックスの硬度(軟化点)が非酸化型ポリ
エチレンワックスと同程度であっても紙面上に厚い塗膜
が形成され易い。従って、アート紙・コート紙などの紙
面でも描画跡濃度が高くなる。
(実施例) 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
実施例及び比較例中「部」とは「重量部」を示す。
実施例1 カーミン6B(赤色顔料) 10部 ネオワックスE−20 90部 (酸価;18) 上記成分をヘンシェルミキサーで加熱溶融して混合し
た後冷却しペレット化したものを、成型機にて射出成型
し、赤色固形描画材を得た。
実施例2 カーボンブラック(黒色顔料) 8部 CWO−307 52部 (酸価;16) 130F゜アラフィン 30部 タルク 10部 上記成分を実施例1と同様になして黒色固形描画材を
得た。
実施例3 フタロシアニンブルー(青色顔料) 10部 ハイワックス4202E 25部 (酸価;17) ポリエチレン樹脂 20部 木ロウ 25部 ステアリン酸亜鉛 10部 クレー 10部 上記成分を実施例1と同様になして青色固形描画材を
得た。
実施例4 フタロシアニングリーン(緑色顔料) 10部 サンワックスE250−P 30部 (酸価;20) 150゜Fパラフィン 25部 モンタンワックス 18部 ステアリン酸 7部 タルク 10部 上記成分を実施例1と同様になして緑色固形描画材を
得た。
実施例5 フタロシアニングリーン(緑色顔料) 10部 ハイワックス405NP 30部 (酸価;1) 150゜Fパラフィン 25部 モンタンワックス 18部 ステアリン酸 7部 タルク 10部 上記成分を実施例1と同様になして緑色固形描画材を
得た。
比較例1 実施例1のネオワックスE−20をネオワックスCL(非
酸化型ポリエチレンワックス、酸価;−、安原ケミカル
(株)製)に変えた以外は実施例1と同様になして赤色
固形描画材を得た。
比較例2 実施例2のCWO−307をPEW−K2(非酸化型ポリエチレ
ンワックス、酸価;−、チュウセイワックスポリマー
(株)製)に変えた以外は実施例2と同様になして黒色
固形描画材を得た。
比較例3 実施例3のハイワックス4202Eをハイワックス400P
(非酸化型ポリエチレンワックス、酸価;−、三井石油
化学工業(株)製)に変えた以外は実施例3と同様にな
して青色固形描画材を得た。
比較例4 実施例4のサンワックス250PをサンワックスLEL−250
−P(非酸化型ポリエチレンワックス、酸価;−、三洋
化成工業(株)製)に変えた以外は実施例4と同様にな
して緑色固形描画材を得た。
比較例5 実施例5のハイワックス450PをサンワックスLEL−800
(非酸化型ポリエチレンワックス、酸価;−、三洋化成
工業(株)製)に変えた以外は実施例5と同様になして
緑色固形描画材を得た。
(発明の効果) 以上実施例1〜5、比較例1〜5で得た固形描画材に
ついて、アート紙に対する濃度試験を行なった。
結果を表1に示す。
濃度試験: 各例で得た固形描画材先端を市販の鉛筆削り器で削り、
筆記角度75゜筆記圧300gでレコード式画線機(精機工業
研究所(株)製、Model PS−5)にて、400rpmの条件で
筆記した。
試験用紙:アート紙(三菱製紙(株)製両アート) 濃度測定:描画跡のY値(明度、%)をカラーコンピュ
ータModel SM−4(スガ試験機(株)製)にて、測定し
た。
(Y値が小さい方が濃度に高いことを示す。) 尚、手汚れ性については、実施例、比較例ともほとん
ど汚れなかった。
以上、詳細に説明したように、本発明に係る固形描画
材は平滑な紙(アート紙・コート紙)に対して、描画跡
濃度が高く、かつ、手指を汚さない優れたものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料と酸化型ポリエチレンワックスとより
    少なくともなる固形描画材。
JP8649390A 1990-03-31 1990-03-31 固形描画材 Expired - Lifetime JP2870106B2 (ja)

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