JP2869096B2 - 水解性清掃物品 - Google Patents

水解性清掃物品

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特にトイレの床、便器などの硬質表面を拭く
のに適した、洗浄効果がよく、且つ使用後は容易に水洗
廃棄できる水解性清掃物品に関する。
〔従来の技術およびその課題〕
従来よりトイレには不潔感がある為に、その清掃には
専用の雑巾を使用していた。最近では、使い捨てが出
来、水洗トイレに流せる水解性の弁座クリーナーが市販
されている。しかしながら、そのようなクリーナーは普
通の紙に高濃度のアルコール液を含浸させただけのもの
である為に殺菌性は高いが、洗浄力の点からは十分では
ない。高濃度のアルコール液を含浸させた紙は、皮脂或
は排泄物に由来する汚れは比較的良く洗浄するが、特に
トイレの床、便器外周・タンクに付着しているホコリ等
に由来する汚れの洗浄には十分でない為である。これら
の汚れの洗浄には水が必要であるが、一般のトイレット
ペーパーの様な紙に単純に水を浸潤させた場合には、紙
の構造が崩れてしまい、清掃具としては著しく機能低下
する。
水溶液を含浸させた水解性表面清掃物品も文献上知ら
れている。例えば、特開昭61−296159号公報には、カラ
ギーナンで結合された水解紙に塩化カリウム、塩化カル
シウムなどの塩類水溶液を含浸した水解性清掃物品が、
特開昭63−50600号公報には、普通のトイレットペーパ
ー様の水解紙の両面に、熱融着繊維で部分的に融着され
た繊維シートを貼合してなる水解紙に、水溶液を含浸し
た水解性清掃物品が開示されている。前者は清掃作業に
耐えうる強度のものを得るために多量のカラギーナンを
必要としており、後者は水不溶性の樹脂を使用している
ため、水解性が十分でなく水流が弱い場合などには排水
管を詰まらせる恐れがある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、水解性清掃物品について総合的に研究
した結果、特定の構造を有する水解性繊維シートに特定
組成の水溶性溶剤含有水溶液を含浸させた物品が、清掃
作業に耐えうる強度を有し、しかも清浄効果がよく、水
解性も良好であることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明はバインダー未使用の繊維シートの両面
に、水溶性バインダーで接着された繊維シートを積層
し、エンボス加工した積層シートに、水溶性溶剤を8〜
50重量%、水を92〜50重量%含有する清浄液を、シート
重量に対し100〜250%含浸させてなる水解性清掃物品を
提供するものである。
本発明の水解性清掃物品に用いられる水解性繊維シー
トを構成する繊維は、本質的に水への分散性能を有する
繊維素材であればよく、特に限定されない。具体的に
は、木材パルプ繊維、非木材系植物繊維、レーヨン繊
維、ポリエステル繊維等の合成繊維を挙げることができ
る。
本発明の清掃物品では、これらの繊維を湿式法、乾式
法などの常法によりバインダーを使用しないで抄紙して
得たシートを積層シートの内層用シートといて用い、外
添法、内添法などによりバインダーを使用して得たシー
トを外層用シートとして用いる。
繊維の長さ、表面状態、坪量などもシートの強度に影
響する。一般に繊維の長さが0.01〜5mm、好ましくは1
〜5mmの叩解された繊維が好適に使用される。坪量は、
本発明品では内層に用いるシートで20〜100g/m2、外層
に用いるシートで10〜40g/m2が、物品の湿潤強度を保ち
かつ水解性を維持する上で適当である。
本発明の清掃物品は、外層シートに水溶性バインダー
を用いているので、大量の水中では容易に水解する。そ
れゆえ、排水管の詰まりに対する心配が著しく軽減され
る。従来、通常の水溶性バインダーを使用した水解紙に
水溶性を含浸させた場合、経済的でない程多量の水溶性
バインダーを使用しない限り、清掃作業に耐えうるよう
な清掃物品は得られないとされていた。しかし、これは
従来の研究が積層されていない一枚のシートで、しかも
含浸される水溶性が水溶性溶剤を全く含まないか、又は
ごく少量しか含んでいない系でなされているためと思わ
れる。本発明者らの研究の結果、前述の如き積層シート
に水溶性溶剤を適量含む水溶液を含浸させた場合には、
通常の水溶性バインダー使用量でも清掃作業に耐えうる
充分な強度を有する清掃物品が得られることが今や見出
された。
本発明で外層シートに使用する水溶性バインダーは、
大量の水中に投入した際に溶解するものであれば特に限
定されない。従来から知られているものには、ポリビニ
ルアルコール、多糖誘導体(カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化
澱粉などのアルカリ金属塩)、合成高分子(ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸メタクリル酸共重
合体、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキ
ル、メタクリル酸アルキルとの共重合体などのアルカリ
金属塩、ポリエチレンイミンなど)、天然高分子(にか
わ、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、
グアーガム、ザンサンガム、ジエランガム、タラカント
ガム、ペクチン)などがある。
又、特開昭54−104963号に記載されているポリビニル
アルコールとホウ酸塩類のある種の結合によるバインダ
ー系、および特開昭61−296159号に記載されているカラ
ギーナンと特定塩類とのある種の結合による、一時的に
水不溶性であるが、大量の水中ではこの結合が弱まり溶
解するバインダー系を使用することもできる。
本発明に用いられる好ましいバインダー系は前述の水
溶性高分子のうちでアニオン基としてカルボキシル基を
有する水溶性高分子で、アルカリ土類金属、マンガン、
亜鉛、コバルト、ニッケルから選ばれる金属を対イオン
(これらの多価金属とアルカリ金属の混合対イオンでも
よい)とするバインダー系である。特に好ましいカルボ
キシル基を有する水溶性高分子はカルボキシメチルセル
ロースである。カルボキシメチルセルロースを用いたバ
インダー系は、広い使用量範囲で湿潤強度ならびに水解
性能を容易に満たすことができるので非常に有利であ
る。
水溶性バインダーの使用量は種類によっても異なる
が、本発明で使用する溶剤含有水溶液系では繊維シート
重量に対し1〜7%の範囲で、実用的に充分耐えうる湿
潤引張強度及び表面摩擦強度を有する清掃物品が得られ
る。
ここで、湿潤引張強度、表面摩擦強度は後述する試験
法で測定されるものであり、それぞれ200(g/25mm)以
上、60(回)以上であることが望ましい。
かくして得られた内層及び外層シートを重ね合わせて
常法によりエンボス加工し積層シートを得る。
エンボス加工をすることにより、シート同志が貼合さ
れ、積層シートに好ましい嵩高さ及び柔らかい風合が与
えられるとともに、硬質表面を拭く時に滑りがよくなる
ので無理な力をかけずに済み、羽毛、紙粉の発生を減少
させる。更には、汚れた面に対してエンボスの凸部分が
汚染部分に応力集中するので汚れを効果的に固体面から
掻き取るように作用し、清掃効果を高めることができ
る。
エンボスはエンボスパターンの深さが0.3〜2.0mmのス
チールマッチが望ましい。
積層シートには、水溶性溶剤8〜50重量%、好ましく
は10〜40重量%、水92〜50重量%、好ましくは90〜60重
量%を含有する清浄液を積層シート重量に対し100〜250
%量(owf)含浸させる。
水溶性溶剤量が8重量%未満では、清掃作業に耐えう
る強度の清掃物品を得ることが困難であり、又物品貯蔵
時にエンボスの弱化、消失をきたす。水含量が50%未満
でもホコリ汚れ、水溶性汚れの清掃性を低下させる。ま
た、シートに対する清浄液含浸量が100%owf未満では清
掃効果が不充分であり、250%owfを越えると清掃物品の
強度を保つことが難しくなる。
水溶性溶剤としてはエタノール、メタノール、プロパ
ノールの如き1価の低級アルコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキシレングリコールの如きグリコー
ル類、及びそれらグリコール類とメタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブターノル等の低級アルコールとの
モノ、或はジエーテル、又は前記グリコール類と低級脂
肪酸とのエステル等、更にはグリセリン、ソルビトール
等の多価アルコール等の1種或は2種以上を組み合わせ
て使用できる。
本発明でシートに含浸させる清浄液には、必要により
アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界
面活性剤、両性界面活性剤等々の界面活性剤、殺菌剤、
消臭剤等の成分を添加する事が出来る。
〔実 施 例〕
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
積層シート製造例 製造例1 CSF=680mlに叩解された針葉樹クラフトパルプの原料
から、円網−ヤンキーマシーンを用いてトイレットペー
パー様の坪量25g/m2の水解性シートA及び坪量40g/m2
水解性シートBを調製した。
調製した坪量25g/m2の水解性シート(A)に対して水
溶性バインダーとして水に0.5%濃度で溶解したカルボ
キシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC 2280,ダイ
セル化学工業(株)製)をCMC含有量がシート重量に対
し、5%になるようにスプレー塗布し、乾燥してCMC含
有シート(C)を得た。
このようにして調製した坪量25g/m2のCMC含有シート
(C)を外層にし、内層に坪量40g/m2の水解性シート
(B)を配置して、エンボス加工を施し、坪量90g/m
2(25/40/25)の3層構造を有する積層シートを調製し
た。
製造例2 製造例1で調製した坪量25g/m2の水解性シート(A)
に対して、水溶性バインダーとして水に0.5%濃度で溶
解したカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CM
C 2280,ダイセル化学工業(株)製)をCMC含有量がシー
ト重量に対し、3%になるようにスプレー塗布後、1%
塩化カルシウム水溶液を塩化カルシウム含有量がシート
重量に対し、2%になるようにスプレー塗布し、乾燥し
て、CMCとカルシウムイオン含有シート(D)を得た。
このようにして調製した坪量25g/m2のCMCとカルシウ
ムイオン含有シート(D)を外層にし、内層に製造例1
で得た坪量40g/m2の水解性シート(B)を配置してエン
ボス加工を施し、坪量90g/m2(25/40/25)の3層構造を
有する積層シートを調製した。
製造例3(比較) 製造例1で得た坪量25g/m2の水解性シート(A)WO外
層に、坪量40g/m2の水解性シート(B)を内層に配置し
てエンボス加工を施し、坪量90g/m2(25/40/25)の3層
構造を有する積層シートを調製した。
製造例4(比較) 製造例1で使用した叩解された針葉樹クラフトパルプ
93重量%とポリエチレン合成パルプswp :E−400(三井
石油化学工業(株)製)7重量%の混合原料から、円網
−ヤンキーマシーンを用いてトイレットペーパー様の坪
量8g/m2のシート(E)を調製した。前記針葉樹クラフ
トパルプの原料から、同様にして秤量74g/m2の水解性シ
ート(F)を調製した。
上記で調製されたシート(E)を外層にし、内層に水
解性シート(F)を配置して、150℃のフラットな熱ロ
ーラを用いて熱処理を施し、坪量90g/m2(8/74/8)の3
層構造を有する積層シートを調製した。
製造例5(比較) 製造例4で調製されたシート(E)を外層にし、内層
に製造例4で調製されたシート(F)を配置して、150
℃の凹凸を有する熱ローラを用いてヒートエンボス処理
を施し、坪量90g/m2(8/74/8)の3層構造を有する積層
シートを調製した。
なお、製造例1〜3及び5で施したエンボスは、エン
ボスパターンの深さが0.9mmのスチールマッチエンボス
である。
実施例1 製造例1〜5で得た積層シートを20cm×20cmに切断
し、表−1に示す清浄剤をシート重量に対し200%量(o
wf)含浸させ、清浄物品とし下記評価方法にて評価し
た。
〈湿潤引張強度〉 清浄剤を含浸したシートを幅25mm、長さ100mmの短冊
状に裁断した後、速やかに万能圧縮引張試験機(オリエ
ンティック社製RTM−25)を用いて引張速度300mm/min、
試験片つかみ間隔50mmの条件で破断時の強度を測定し
た。
〈表面摩擦強度〉 24×24mmのタイルを縦に5列、横に15列並べた目地入
りタイル板(目地幅3mm)を作成し、このタイル板上を
洗浄剤を含浸したシートで1kg/cm2の荷重により30cmの
ストロークでタイル板の横方向に拭払いする。
30cmのストローク1往復を1回として、清浄剤を含浸
したシートから毛羽立ちが発生して紙粉塊がタイル板上
に残留するまでのストローク(1往復)回数を表面摩擦
強度とした。
〈パネラーによる実用評価〉 得られた清浄剤含浸シートを清掃物品として50人の主
婦(パネラー)に渡して、実際の家庭内トイレの清掃に
使ってもらい、清掃物品の強度について評価してもらっ
た。
判定基準は以下の通りである。
〈水 解 性〉 3ビーカーに200mlの水道水(20℃)を入れ、スタ
ーラーで撹拌(300rpm)した系に、50mm×50mmに裁断し
た清掃物品を投入して60秒後、及び90秒後10mm×10mmの
篩に一度に分散液を流し込み篩の網目1に引っ掛かる状
態を観察した。
この時の判定基準は以下の通りである。
○:篩の網の線、又は交差部分に清掃物品2が若干残っ
ている程度(第1図A) △:一つの篩の目が半分以下覆われる程度に清掃物品2
が残っている(第1図B) ×:一つの篩の目が半分以上覆われる程度に清掃物品2
が残っている(第1図C) 〈清浄力(埃付着汚れ)〉 白色タイル(20cm×20cm)をトイレ内の棚の上に3ヶ
月間放置したサンプルを用い、清掃物品で表面を手で軽
く拭き、埃付着汚れに対する清浄性を評価した。
判定基準は以下の通りである。
○:拭きすじが殆どつかない。
△:拭きすじが少しつく。
×:拭きすじがかなりつく。
〈清浄力(油性汚れ)〉 黒色タイル(20cm×20cm)に牛脂を塗布し、ティッシ
ュペーパーで表面を良く拭き取る。この表面は牛脂の皮
膜により水が弾かれる。清掃物品で表面を清浄し、清浄
後の黒色タイル面に水を散布して水を弾く状態を標準タ
イルと比較した。
判定基準は以下の通りである。
○:牛脂未塗布タイルと同等。
△:牛脂皮膜が若干残っている。
×:牛脂皮膜が部分的に30%以上残っている。
これらの評価結果を表−1に示した。
結 果 実験No.10の清掃物品は清掃作業中にエンボスが消失
してしまった。また実験No.4の清掃物品をアルミ箔の袋
に密封包装し、6ヶ月間室温にて保存したものを清掃作
業に使用したところ、エンボスが消失した。
これに対して、本発明の水解性清掃物品を使用した実
験No.3、5、6及び7では、清掃物品を同様に6ヶ月間
室温にて保存したものを清掃作業に供してもエンボスは
つぶれなかった。
【図面の簡単な説明】 第1図A、B及びCは実施例における水解性の評価基準
を示す概略図である。 1……篩の網線 2……清掃物品残留物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中栄 篤男 埼玉県南埼玉郡宮代町宮代台3―2―7 (56)参考文献 特開 昭63−50600(JP,A) 実開 昭60−29199(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 21/36 D21H 1/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バインダー未使用の水解性繊維シートの両
    面に、水溶性バインダーで接着された水解性繊維シート
    を積層し、エンボス加工した積層シートに、水溶性溶剤
    を8〜50重量%および水を92〜50重量%含有する清浄剤
    を、シート重量に対し100〜250%含浸させてなる水解性
    清掃物品。
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