JP2867297B2 - 安定なクロム酸鉛顔料及びその製造法 - Google Patents

安定なクロム酸鉛顔料及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、安定なクロム酸鉛顔料及びその製造法に関
する。
更に言えば、クロム酸鉛を主要成分とする黄色、橙色
及び赤色のクロム酸鉛顔料に耐薬品性、耐光性、耐候
性、耐熱性等の退変色性に安定で、強酸の水溶液に対す
る六価クロムの溶出が検出されず、また鉛の溶出が極微
量であり、かつ微生物による復帰変異原性が陰性を示す
安定なクロム酸鉛顔料及びその工業的な製造法を提供す
ることを目的とする。
[従来の技術] クロム酸鉛顔料は、クロム酸鉛を主要成分とするもの
であって、日本工業規格(JIS K5110)、国際標準化機
構規格(ISO 3711)、米国試験材料協会規格(ASTM 21
1)、ドイツ工業規格(DIN 55975)で定められている緑
味の黄色から橙色までの黄鉛と橙色ないし赤色のモリブ
デン酸鉛を含有するモリブデートレッド或はモリブデー
トオレンジと称するものがあり、所謂カラーインデック
ス(CI)No.77600、77601、77603及び77605として代表
される。
それらは、鮮明な色調と大きな隠蔽力をもつ優れた顔
料として塗料や合成樹脂の着色などに使用されており、
特に交通標識用材料としては欠かせない公共性の高い顔
料である。
しかしながら、このクロム酸鉛顔料は、酸やアルカ
リ、或は硫化水素の如き大気中の硫化物との接触による
化学変化が著しく、その鮮明な色調が退変色する欠点を
もっている。
また、熱や紫外線などの外部刺激に対して、クロム酸
鉛組成中の酸素を一部放出して、所謂六価クロムの還元
により退変色するため、例えば、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂等の合成
樹脂は200℃以上の成型温度で使用されるためクロム酸
鉛顔料の退変色は決定的となる。
従来、クロム酸鉛顔料の退変色性の安定化を図りその
性能を高める方法が数多く提案され、かつ実施されて来
た。
例えば、米国特許第2212917号、米国特許第2296638
号、米国特許第2316244号や米国特許第2365171号は、水
可溶性のアルミニウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、
珪酸塩、アンチモン塩やセリウム塩等が処理材料として
用いられている。
近年、更に該顔料にシリカ被覆をする改良方法が提案
され、現在最も多く実施されている。(特公昭46−9555
号公報、特公昭46−34788号公報、特公昭46−42713号公
報、特公昭48−32415号公報、特公昭49−20925号公報、
特公昭50−14254号公報) 他方、前記シリカ被覆方法とは別にシリカとアンチモ
ンとを併用してクロム酸鉛顔料の退変色性の改良を行っ
ている。(米国特許第3690906号) また、熱水中で加熱、加圧、撹拌して水可溶性の金属
化合物により誘導される金属酸化物でクロム酸鉛顔料を
被覆処理して耐熱性や耐光性等の向上を図ることも知ら
れている。(特公昭49−16531号公報) [発明が解決しようとする課題] クロム酸鉛顔料の退変色性に対する安定化に関する数
多くの提案の中で現在最も信頼を得ているのは、顔料粒
子を緊密な非晶質シリカでカプセル化したシリカ被覆ク
ロム酸鉛顔料とされている。
しかしながら、近年のクロム酸鉛顔料の使用条件が益
々厳しいものになっており退変色性の安定化とその重金
属主成分の溶解抑制に関する品質上の要求に対しては、
従来技術のシリカまたはシリカ−アルミナ被覆、或はジ
ルコニウム−シリカ被覆を施したクロム酸鉛顔料であっ
てもなお不満足である。
これは、シリカ被覆反応中に溶出する少量のクロム、
鉛が再沈殿または吸着され、結果として部分的にシリカ
皮膜を不完全なものとしていることも一部の原因として
考えられる。
また、前記のシリカ−アンチモン処理クロム酸鉛顔料
では、シリカの生成条件が不適切であり透過型電子顕微
鏡(1〜10万倍率)で観察すると皮膜を形成していない
遊離した半透明のゲル状物質が数多く存在しているため
退変色安定性及び重金属主成分の溶解抑制については前
記シリカ被覆クロム酸鉛顔料と比較して著しく劣ってい
る。
このように、従来技術はクロム酸鉛顔料の使用におけ
る熱、光または薬品に対する抵抗性の改善に専ら向けら
れており、該顔料は極めて難溶性とはいえ微量に溶解す
る六価クロムや鉛等の重金属の溶解を抑制して使用にお
ける安全性の改善には成功していない。
ところで、生物試験においてS−9mix等を添加した場
合の六価クロムの毒性消失に関してはデフローラ等(Fe
rnando L. Petrilli and Silvio De Flora)によって報
告されている[ミューテイション リサーチ(Mutation
Research),54(1978)P.139〜147]とおりである。
また、この点本発明者らの多数の微生物試験において
も上記報告と同様に代謝活性化剤としてS−9mixを加え
た場合は、クロム酸鉛顔料の多くの試料について復帰変
異原性は陰性であることが認められた。
しかしながら、デフローラ等の文献にあるようなアス
コルビン酸、G6PDとS−9mixの混合剤等による添加剤の
無毒化の作用を受けてクロム酸鉛顔料が復帰変異原性陰
性となっても、本質的な物性改良ということはできな
い。
クロム酸鉛顔料を製造、及び使用する業界にとって、
合理的工業プロセスにより本質的に復帰変異原性が陰性
である環境衛生上安全なクロム酸鉛顔料が強く望まれて
いる。
本発明者らは、如上の課題に鑑み、クロム酸鉛顔料の
安定化及び安全性をより向上させるべく鋭意研究を重ね
たところシリカ被覆クロム酸鉛顔料に更にアンチモン化
合物で処理したものが、驚くほどの安定性を有すること
を知見し、本発明に至ったものである。
[課題を解決するための手段及び作用] 即ち、本発明が提供しようとする退変色性及び重金属
成分の溶出に対し安定なクロム酸鉛顔料は、クロム酸鉛
顔料の粒子表面に連続性の非晶質シリカ皮膜を完成し、
しかる後に当該皮膜上にアンチモン化合物を沈着形成処
理してなることを特徴とするものである。
更に、本発明はかかる安定なクロム酸鉛顔料を工業的
に有利に製造する方法を提供することにある。
以下、本発明について詳述する。
本発明ひおいてクロム酸鉛顔料とは、前述したように
クロム酸鉛を主成分とした顔料であり、CI−No.77600
(クロム酸鉛顔料)、CI−No.77601(塩基性クロム酸鉛
顔料)、CI−No.77603(スルホクロム酸鉛顔料)及びCI
−No.77605(モリブデートオレンジ、またはレッド)等
である。
本発明にかかる安定なクロム酸鉛顔料は、これらの顔
料に、例えば特公昭46−9555号公報、特公昭46−34788
号公報や特公昭50−14254号公報に記載の方法によって
濃密で連続性のシリカ皮膜を形成し、更にそのシリカ皮
膜にアンチモン塩水溶液より誘導されるアンチモン化合
物が沈着して保護被覆構造を形成していることが重要な
ところである。
アンチモン塩水溶液より誘導されるアンチモン化合物
とは、後述するハロゲン化アンチモンの如き可溶性アン
チモン塩が加水分解した際に生成する、主として微細な
水和酸化アンチモンや反応系中に存在する成分と反応し
て生成する複雑な化合物でありハロゲンイオンを配位し
ているものをも含むものである。
なお、このシリカとアンチモンによる皮膜は、二層を
形成した状態ばかりでなく、それらが一体化した皮膜と
して構成されていても良い。
このように、シリカ皮膜に更にアンチモン塩から誘導
されるアンチモン化合物の沈着により保護構造を作るこ
とによって、公知のシリカ被覆クロム酸鉛顔料では達成
できない苛酷な使用条件下における退変色安定性を増大
し、かつ強酸の水溶液による六価クロム及び鉛の溶出を
抑制し、その結果として有害物質の毒性評価法の一つで
ある微生物を用いた復帰変異原性試験に極めて安定な著
しい改質がなされる。
クロム酸鉛顔料に対するシリカの被覆量は、顔料の使
用目的によって異なるけれども、特に六価クロム及び鉛
を含む顔料本体を十分に保護する目的から、全重量当た
りSiO2として少なくとも10重量%以上でなければなら
ず、多くの場合は10〜25重量%の範囲が好ましい。
また、アンチモン化合物の沈着被覆量はSb2O3として
0.5〜5重量%の範囲であり、好ましくは0.8〜3重量%
にある。
このように、アンチモンは比較的に少量でシリカ皮膜
との相乗効果によりクロム酸鉛顔料の従来技術にはない
改質を図ることができる。
また、本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、強酸に
よる六価クロムの溶出濃度が、Crとして0.2ppm以下、及
び鉛の溶出量が全重量当たりPbとして1重量%以下とい
う特徴的な改質がなされたものである。
ここに、六価クロムの溶出濃度とは、強酸である塩酸
の0.3規定水溶液100mlに対し試料顔料1gを20℃、60分間
撹拌分散させた際に溶出した液相中のCr6+濃度を言う。
一方、鉛の溶出量とは、前記と同様な条件にて溶出し
た鉛の量を試料当たりのPbとして表した重量%をいう。
本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料においてアンチモ
ン化合物の沈着量が、該クロム酸鉛顔料の表面積当たり
Sb2O3として少なくとも1mg/m2、好ましくは2〜30mg/m2
の沈着量にあるものであって、六価クロムの溶出濃度が
Crとして20ppm以下のものは復帰変異原性試験で陰性を
示すという特徴をもっている。
この点、従来の連続性シリカ被覆クロム酸鉛顔料は、
常に20ppm以上の六価クロムの溶出量があり、これを更
にL−アスコルビン酸または酸性亜流酸ナトリウム等の
還元剤を用い六価クロムの還元が起こるpHで処理したも
のであっても強酸水溶液による六価クロム及び鉛の溶出
を大幅に減少させることは出来なかったことと比べると
本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、特異的な安定性
を有することが理解できる。
なお、この場合の表面積とは、1万倍率での電子顕微
鏡写真をもって粒子個数1000個を対象として測定した二
軸平均径と比重から計算した面積である。
本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料において、以上の
ように六価クロムの溶出濃度がCrとして20ppm以下にあ
るものが復帰変異原性陰性である理由は、実施例に示す
ような結果から求められたもので以下に示す理由によ
る。
即ち、、in vitroにおける有害物質の評価方法の有力
な手段として微生物を用いるヒスチジン欠落培地による
復帰変異原性試験が用いられることは周知であり、経済
協力機構(OECD)によって国際的に手順が標準化され日
本においても法令で定められている。
この試験で陽性となったものが直ちに危険と判断はで
きないものの、陰性と判断されたものは十分に安全性が
高いと言える。
試験に供する微生物は、OECDの定めによれば塩基置換
型のTA−100、TA−1535、WP2uvrA、及びフレームシフト
型のTA−98、TA−1537、TA−1538の6種類が用いられ
る。
本発明者らの試験において代謝活性化のためのS−9m
ixを加えた場合は、前記のデフローラ等の報告のとお
り、すべて変異原性は陰性であった。
S−9mixを添加しない場合は、各試料相互に差が認め
られるため復帰変異原性試験の成績を定量的に表示し統
計的に強酸による溶解性との関連性を求めた。
また、試料添加量に応じて観察された復帰変異コロニ
ー数のうち最大となった数値とコントロールの数値との
比(以下、変異比「R」という)を計算したところ、本
発明で扱う難溶性六価クロムに対し前記6種類の試験微
生物のうち敏感なものは、WP2uvrA及びTA−98でそれに
次いでTA−100であることが明らかになった。
そこで、数多くの試験でWP2uvrAとTA−98のコントロ
ールのコロニー数は常に近似しているので、この2種の
微生物の変異比Rの平均値と前述した0.3規定塩酸によ
る溶出六価クロムの濃度との回帰式を最小自乗法で求め
たところ、両者の関係は次式でよく近似する。
R=1.02×1.0342A[但し、Aは0.3規定塩酸による液
相中の溶出六価クロム濃度(Cr6+ppm)] 変異比R≧2をもって復帰変異原性陽性と判断するこ
とが一般的に行われていることから、発明者等の評価結
果に基づく前記回帰式により陰性のクロム酸鉛顔料を得
るためには0.3規定塩酸溶出の抽出液相中の六価クロム
濃度が20ppm以下であればよいと言うことができる。
この点、本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、この
溶出六価クロムがCrとして1ppm以下の極微量であって、
明らかに復帰変異原性が陰性になることが保証されうる
ものである。
次に、本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、クロム
酸鉛顔料のアルカリ水性スラリーに加温状態において珪
酸アルカリ水溶液を添加、反応させて該顔料の粒子表面
に緊密な非晶質シリカを沈着せしめた後、得られたシリ
カ被覆クロム酸鉛顔料スラリーにアンチモン塩水溶液を
添加し、強固なアンチモン化合物を沈着形成させること
を特徴として製造することができる。
即ち、クロム酸鉛顔料のアルカリ水性スラリーの加温
状態において珪酸アルカリ水溶液を添加、反応させて該
顔料の粒子表面に微細なシリカ粒子を沈積させることで
ある。
クロム酸鉛顔料のスラリーは、あらかじめ可及的に一
次粒子に近づけるよう分散処理を施してからシリカ被覆
処理を行うことが望ましいことから、例えば、ホモジナ
イザー、コロイドミル、サンドミルまたはワーリングブ
レンダーの如き顔料工業で一般に用いられる所望の分散
機で処理するとよい。
なお、このスラリー化に際しては多くの場合スラリー
温度を常温乃至80℃とし、スラリーの顔料濃度は50〜35
0g/で、特に80〜200g/が好ましい。
かくして、クロム酸鉛顔料のアルカリ水性スラリー
は、温度80℃以上、好ましくは90〜95℃に加温して、ス
ラリーpHを9.5〜10.5の間に調製する。
この顔料スラリーに珪酸アルカリ水溶液を初期の温度
及びpHを一定に保ちながら時間をかけて添加して、かつ
徐々に反応させて顔料粒子表面に均一なシリカ皮膜を形
成させる。
一定pHを維持しながら珪酸アルカリ水溶液を添加し反
応させる方法としては、例えば珪酸塩水溶液と酸性化剤
の水溶液とを反応の当初から終了までpHを一定に制御し
ながら同時に両溶液を1〜6時間かけて添加することで
なされる。
なお、珪酸アルカリ水溶液としては珪酸ナトリウムや
珪酸カリウム水溶液が代表的である。
酸性化剤としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸の如き無
機酸、或はそれらの酸性塩や蟻酸、酢酸、プロピオン酸
などの有機酸などで、水可溶性物質であるならば特に限
定する必要はない。
しかし、多くの場合排水処理や経済上の理由から無機
酸が一般的であり、特に大気や水質汚染等の環境問題を
考慮すると硫酸が工業的かつ好適である。
かくして、珪酸アルカリ水溶液を暫時同一条件で撹拌
を続けている前記スラリー中に存在させることにより、
クロム酸鉛顔料粒子表面に連続した非晶質のシリカ皮膜
が形成される。
その被覆量は、クロム酸鉛顔料の全重量当たりSiO2
算で少なくとも10重量%が必要である。
上限は特に設定しないがSiO2換算で約40重量%以上に
なると使用量当たりの耐久性効果が、特に向上しないば
かりか着色力や隠蔽力等の顔料特性が低下するので、一
般的にはSiO2換算で15〜25重量%が効果的で特に好まし
い。
次いで、上記で得られたシリカ被覆クロム酸鉛顔料ス
ラリーにアンチモン塩水溶液を添加後中和反応させて、
本発明の特徴的操作である強固なアンチモン化合物を沈
着形成させる処理が施される。
シリカ被覆クロム酸鉛顔料スラリーにアンチモン塩水
溶液を添加する場合には、幾つかの態様がとられる。
その一つは、シリカ被覆処理後のクロム酸鉛顔料スラ
リーに続けてアンチモン塩水溶液を添加して処理を直接
的に行う方法である。
また、シリカ被覆処理後の該顔料スラリーを固液分離
して母液を除いた後、リパルプしてアンチモン塩による
処理を施す方法がある。
更に、他の方法としては、シリカ被覆クロム酸鉛顔料
の乾燥粉砕品を水に再分散させ、そのスラリーにアンチ
モン塩による処理を施すこともできる。
いずれにせよ、得られたシリカ被覆クロム酸鉛顔料の
スラリーにクロム酸鉛顔料の全重量当たりSb2O3換算で
0.5〜5重量%、好ましくは0.8〜3重量%相当のアンチ
モン塩水溶液を常温または加温下で徐々に添加する。
あるいは、復帰変異原性陰性の安定なクロム酸鉛顔料
を再現性よく得るためには、原体クロム酸鉛顔料の表面
積を予め測定しておき、その顔料のシリカ被覆処理スラ
リーにクロム酸鉛顔料の表面積当たりSb2O3として1mg/m
2以上、好ましくは2〜30mg/m2相当のアンチモン塩水溶
液を徐々に添加する。
次いで、アルカリ性水溶液を添加してスラリーを中和
処理することによりアンチモン化合物による沈着被覆処
理を完成させる。
なお、アンチモン塩水溶液とは、三価のアンチモン塩
を主成分とするハロゲン化アンチモンをハロゲン化アル
カリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属及び塩化アンモ
ニウムの飽和水溶液に溶解させたもの、或はハロゲン化
アンチモンに水または希塩酸水溶液を加えたものや三酸
化アンチモンをフッ酸またはフッ酸・塩酸の混酸に溶か
したもの等をいう。
三塩化アンチモンの場合には、水と接触すると直ちに
加水分解して水和物の沈殿を生ずるため、工業的には液
−液の添加反応を容易にするため三塩化アンチモンをハ
ロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化土類金属、或は塩化
アンモニウムの飽和水溶液に溶解して使用することが有
利である。
また、その溶液の濃度は、Sb2O3として1〜20重量%
が好適である。
その後は、常法により水洗、濾過、乾燥及び粉砕工程
を経て実質的に均一な連続性の非晶質シリカ皮膜で被覆
され、かつアンチモン化合物が沈着形成された安定なク
ロム酸鉛顔料を得る。
本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、従来の方法で
得られたシリカ−アンチモン処理クロム酸鉛顔料、シリ
カ被覆処理クロム酸鉛顔料やアンチモンをも含む金属の
酸化物で処理されたクロム酸鉛顔料と比較して、被覆皮
膜であるシリカ皮膜とアンチモン化合物による構成物と
が一体化した強靭な皮膜を形成しているため、苛酷な外
部刺激条件、例えば熱や光等に対する退変色安定性の改
良効果は絶大であり、誠に予想外の効果であった。
一方、本発明品は、顔料としての色調の安定性ばかり
でなく、前記強靭な保護皮膜に依拠した強酸水溶液によ
る主成分である六価クロム及び鉛の溶出抑制が従来の改
質品と比べて顕著であり、かつ復帰変異原性試験では完
全に陰性となることに注目すべきである。
[実施例] 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、
部はいずれも重量を表す。
実施例 1 クロム酸鉛顔料(CI−No.77600)150部を水1000部とJ
IS3号珪酸ソーダ水溶液(SiO2/Na2O=3.2,SiO2=29.0
%)20部の混合液に室温で均一になるまで撹拌分散し、
更に機械的分散装置ハレルホモジナイザー(国産精工
(株)製)に掛けて十分な分散スラリーを得る。
このスラリーの撹拌を続けながら、スラリー温度を90
℃に加温保持し、かつスラリーpHを9.9に調節する。
次に、125部の前記JIS3号珪酸ソーダを水650部で希釈
した液(A液とする)と、75%硫酸28.5部を水700部で
希釈した液(B液とする)とを前記撹拌中の調節したス
ラリーにそれぞれ5部/分の速度でスラリーpHを9.9に
保ちながら同時に添加してシリカ被覆処理を行う。
A,B両溶液の添加後、反応スラリーを固液分離しリパ
ルプして、更に撹拌を続けながらこのスラリーにSb2O3
として2.25部相当量の純度99%の三塩化アンチモン(Sb
Cl3)3.6部を水150部に溶解してそれを添加し、15分間
撹拌維持してから炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加えて
スラリーのpHを約6.5とする。
反応終了後は、スラリーを静置し、水可溶性塩がなく
なるまで傾斜水洗を行い、次いで常法により濾過、乾
燥、粉砕工程を経て、化学分析の結果SiO2として21.6
%、及びSb2O3として1.2%のシリカ−アンチモン化合物
で処理された安定なクロム酸鉛顔料を約185部得た。
この試料の被覆状況を透過型電子顕微鏡にて観察した
ところ黒いシルエットのクロム酸鉛顔料粒子の表面に半
透明の均質なシリカ−アンチモンの一体化皮膜が確認さ
れた。
実施例 2 緑味の黄色クロム酸鉛顔料(CI−No.77603)150部を
用いる外は、実施例1と全く同様の操作にてシリカ−ア
ンチモン化合物で処理された緑味の黄色の安定なクロム
酸鉛顔料を約185部得た。
実施例 3 CI−No.77605のモリブデートオレンジを150部用いる
外は、実施例1と全く同様の操作にてシリカ−アンチモ
ン化合物で処理された安定なモリブデートオレンジ約18
4部を得た。
実施例 4 CI−No.77601の橙色のクロム酸鉛顔料150部を実施例
1と同様に操作して充分な分散スラリーを調製する。
次いで、このスラリーの撹拌を続けながら、スラリー
温度を95℃に加温保持し、かつスラリーpHを10.2とし
た。
また、125部の前記JIS3号珪酸ソーダを水1000部で希
釈し、1000部の水素型陽イオン交換樹脂を充填したカラ
ムにこの希釈液を通してSiO2として36部の珪酸水溶液を
別途調製する。
次に、この別途調製した珪酸水溶液を95℃の温度を保
ったpH=10.2のスラリー中に8部/分の添加速度で徐々
に加えた。
この間のスラリーpHは一定であったが、必要に応じて
水酸化ナトリウムの希薄水溶液を加えてpHをコントロー
ルした。
添加終了後2重量%の硫酸水溶液を少しづつ添加して
pHを4.5としてから2重量%のL−アスコルビン酸水溶
液100部を加え、20分間撹拌した。
更に、撹拌を続けながらこのスラリーにSb2O3として
2.25部のフッ化アンチモン(SbF3)2.76部を水100部に
溶解して、それを20分間で添加し、15分間撹拌維持後炭
酸ナトリウム水溶液を徐々に加えてスラリーのpHを約6.
5としてアンチモン化合物による処理を完結させた。
処理後は、スラリーを静置し、水可溶性塩がなくなる
までデカンテーションにより水洗を行い、次いで常法に
より濾過、乾燥、粉砕してシリカ−アンチモン化合物で
処理された橙色の安定なクロム酸鉛顔料を約186部得
た。
実施例 5 CI−No.77600のクロム酸鉛顔料150部を用いて、SiO2
として18.9部相当の珪酸水溶液とSb2O3として3.4部相当
の三塩化アンチモン5.5部を使用する外は、実施例4と
全く同様の操作手順にてシリカ−アンチモン化合物で被
覆処理された安定なクロム酸鉛顔料172部を得た。
実施例 6 CI.No.77605のモリブデートレッド150部を用いて実施
例1と全く同様な操作手順でシリカ−アンチモン化合物
処理した安定なモリブデートレッド220部を得た。
ただし、A液としてJIS3号珪酸ソーダ240部を水1250
部で希釈した溶液を用い、B液としては75%硫酸54.9部
を水1350部で希釈して用いた。
また、Sb2O3として1.5部の三塩化アンチモンを水100
部に希釈して使用した。
実施例 7 比表面積3.5m2/gのCI−No.77600のクロム酸鉛顔料300
0部を水20000部とJIS3号珪酸ソーダ水溶液(SiO2/Na2O
=3.2,SiO2=29.0%)400部の混合液に室温で均一にな
るまで撹拌分散し、更に機械的分散装置ハレルホモジナ
イザー[国産精工(株)製]に掛けて充分な分散スラリ
ーを得る。
このスラリーの撹拌を続けながら、スラリー温度を90
℃に加温保持し、かつスラリーpHを9.9に調節する。
次に、2500部の前記JIS3号珪酸ソーダを水13000部で
希釈した液と、75%の硫酸580部を水14000部で希釈した
液とを前記撹拌中の調節したスラリーにpHを9.9に維持
しながらそれぞれ一定速度で4時間かけて同時に添加し
てシリカ被覆処理を行う。
両溶液の添加後、反応スラリーをリパルプ水洗を繰り
返して母液中の水可溶性塩類を除去する。
次いで、更に撹拌を続けながらこの水洗スラリーにSb
2O3として50部相当量の三塩化アンチモンを飽和塩化ナ
トリウム水溶液3000部に溶解し、それを30分間で添加す
る。
添加後、15分間撹拌維持してから希水酸化ナトリウム
を徐々に加えてスラリーpHを約6.5とする。
その後は、常法により水洗、濾過、乾燥、粉砕の工程
を経てSiO2として21%のシリカ、及びSb2O3として1.3%
に相当するクロム酸鉛顔料当たり5mg/m2のアンチモン化
合物で被覆処理された安定なクロム酸鉛顔料を約3700部
得た。
実施例 8 PbOとして1000部のリサージを62%の硝酸900部に溶解
して水10000部で希釈した硝酸鉛水溶液中に重クロム酸
ナトリウム(Na2Cr2O7・2H2O)600部、硫酸ナトリウム4
0部、塩化ナトリウム112部及び水酸化ナトリウム172部
を水5000部に溶解した液をそれぞれ50℃の温度を保ちな
がら添加し沈殿反応を行う。
次に、この沈殿スラリーにZrO2として28%の硫酸ジル
コニル水溶液53部を水1000部で希釈して添加する。
その後、スラリーに炭酸ナトリウム水溶液を添加して
中和処理を行い、リパルプ水洗を十分に行う。
以上により比表面積が4.2m2/gのCI−No.77600のクロ
ム酸鉛顔料1500部のスラリーを得る。
次いで、このスラリーを顔料1500部及び水10000部の
スラリー濃度に調節し、そしてこれにJIS3号珪酸ナトリ
ウム200部を添加して撹拌分散して、更に実施例7と同
様に機械的分散装置にかけて十分な分散スラリーを得
る。
このスラリーの撹拌を続けながらスラリー温度を95℃
に、かつpHを9.6に調節してJIS3号珪酸ナトリウム1250
部、水6500部の希釈溶液と75%硫酸290部、水7000部の
希釈溶液とを3時間かけて同時に添加する。
同時添加反応終了後、反応スラリーをリパルプ水洗を
繰り返して母液中の水可溶性塩類を除去してからSb2O3
として25部相当量の三塩化アンチモンを飽和塩化ナトリ
ウム水溶液500部に溶解した液を20分間で添加する。
この時スラリーのpHが2.7となるので希水酸化ナトリ
ウムにて6.5のスラリーpHとしてから実施例7と同様の
工程を経てシリカとアンチモン化合物で被覆処理された
安定なクロム酸鉛顔料を約1850部得た。
実施例 9 CI−No.77600のクロム酸鉛顔料の代わりに比表面積が
4.9m2/gのCI−No.77603のスルホクロム酸鉛顔料3000部
を用いて実施例7と同様のシリカとアンチモン化合物に
よる被覆処理を行った。
但し、添加するJIS3号珪酸ナトリウムを1800部、75%
硫酸を420部及びSb2O3として100部の三塩化アンチモン
を用いた。
実施例 10 比表面積が7.8m2/gのCI−No.77605のモリブデートオ
レンジ1500部をJIS3号珪酸ナトリウム200部と水20000部
との混合液を実施例7と同様の操作にて十分な分散スラ
リーを調製してからスラリー温度を90℃に加温維持し、
かつスラリーのpHを9.6とする。
次に、1400部のJIS3号珪酸ナトリウムを水7300部で溶
解した液と75%硫酸320部を水7800部で希釈した液とを
初期温度及びpHを維持しながら3時間で同時に添加す
る。
添加反応後、1回リパルプ水洗したスラリーにSb2O3
として45部相当量の三塩化アンチモンを飽和塩化ナトリ
ウム水溶液900部に溶解した液を30分間で添加する。
その後は、実施例7と同様の工程を経てシリカ−アン
チモン被覆した安定なモリブデートオレンジを約2000部
得た。
比較例 1 米国特許第3690906号明細書、実施例1記載の下記手
順にてシリカおよびアンチモン処理クロム酸鉛顔料を得
た。
45℃で500部の水に110部の硝酸鉛を溶解し、その溶液
を35℃で水1600部に重クロム酸ナトリウムを48.8部と水
酸化ナトリウムを12.8部を溶解した溶液に撹拌しながら
30分間で添加した。
得られたクロム酸鉛顔料(CI−No.77600)スラリーを
2回デカンテーションにより水洗し、硫酸1部と水10部
の溶液をこのスラリーに加える。
次いで、SiO2として30重量%の珪酸ソーダ11部と水10
0部の溶液を撹拌下のスラリーに加えて、続けて三塩化
アンチモン4.4部、トリエタノールアミン6.7部、マニト
ール3.4部と水酸化ナトリウム1.6部を水40部に溶解した
溶液を加えた。
次に、水20部と硫酸2部の溶液を撹拌スラリー中に加
えpHを5.5とした。
その後は、常法により可溶性塩がなくなるまで水洗
し、濾過、乾燥、粉砕を行ってSiO2として2.9%及びSb2
O3として2.4%の改質処理されたクロム酸鉛顔料を110部
得た。
比較例 2 特公昭49−16531号公報、実施例31記載の下記手順で
アンチモン処理モリブデートレッドを得た。
Sb2O3として0.1モル/の三塩化アンチモン水溶液30
0部にCI.No.77605のモリブデートレッド75部を水75部に
良く分散させた水性ペーストを分散懸濁させスラリー化
する。
次に、このスラリーをガラス内張りを施した鉄製オー
トクレイブに入れ、撹拌を続けながら200℃までは40℃
/時、200〜220℃までは20℃/時の速度で昇温し、しか
る後、最高温度220℃、最高圧力24kg/cm2で30分間保っ
た。
放冷後、この懸濁液を濾過し、濾液のpHが6.5になる
まで水洗をした。
次いで、常法により濾過、乾燥、粉砕を行ってSb2O3
として10.5%のアンチモン処理のモリブデートレッド82
部を得た。
比較例 3 特公昭46−34788号公報、実施例1記載の下記手順に
てシリカ及びアルミナ処理クロム酸鉛顔料を得た。
CI−No.77600のクロム酸鉛顔料150部を水1000部で均
一になるまでかきまぜてスラリー化する。
次に、このスラリー中にSiO2として2.84部の前記JIS3
号珪酸ナトリウムを加え撹拌した。
そして、このスラリーを352kg/cm2の圧力のホモジナ
イザーに1回通した。
なお、洗浄水として250部の水を用い、この洗浄水も
スラリーに加えた。
而して、顔料150部/水1250部のスラリーを30分間の
わたって90℃に加温し、水酸化ナトリウム水溶液でスラ
リーpHを9.0に調節した。
次いで、この撹拌下のスラリーに、前記の珪酸ナトリ
ウム溶液125部を水600部に相当する容量まで水で希釈し
た溶液と96%硫酸17.3部を水800部に相当する容量まで
水で希釈した溶液とをそれぞれ3部/分の一定の添加速
度で同時に添加した。
次に、Al2O3として3.3部相当量の硫酸アルミニウムを
水100部で溶解した溶液を更に加え、水酸化ナトリウム
水溶液でスラリーのpHを6.5として処理を終了する。
その後は、常法により可溶性塩がなくなるまで水洗
し、濾過、乾燥(80℃)、粉砕によりSiO2として20.3%
及びAl2O3として1.7%の改質処理クロム酸鉛顔料190部
を得た。
比較例 4 実施例1と全く同様の操作にてシリカ処理を行った。
次に、スラリー中の水可溶性塩を除去するため傾斜水
洗を行い、再び水を加えて顔料スラリーの濃度を約10重
量%とし、少量の硫酸を加えてスラリーpHを1.8に調節
した。
このスラリーに2重量%のL−アスコルビン酸水溶液
100部を加えて20分間撹拌しシリカ処理顔料粒子表面に
残留する六価クロムを充分に三価に還元処理する。
次いで、スラリーpHを6.5としてから再び傾斜水洗を
して、常法により濾過、乾燥、粉砕工程を経てSiO2とし
て21.8%のシリカ及び還元処理クロム酸鉛顔料約180部
を得た。
[発明の効果] 実施例品および比較例品の耐性試験を下記の通り行っ
た。
(1)耐熱性試験 ポリプロピレン樹脂を500部と各試料2.5部との混合物
をエクストルーダー(サーモ・プラスチックス工業株式
会社製、30mmφ押圧機)にて210℃で試験用カラーチッ
プを調製する。
そのカラーチップをスクリュー式射出成型機(株式会
社山城精機製作所製、SAV−30−A型)にて210℃の温度
において24秒のサイクルタイムにより射出成型して標準
のパネルをそれぞれ作製する。
次に、300℃の温度で5分間滞留させた以外は標準パ
ネル作成と同じ操作で試験パネルを作製して、標準のパ
ネルと変色度合を比較判定する。
(2)耐光性試験 JISK5101に準じて、各試料2.0部とヒマシ油1.0部とを
フーバー式マラー(テスター産業株式会社製)にて荷重
150ポンド(68kg)で100回転を2回繰り返し練り合わせ
て、均一なペースト状とする。
次に、このペースト2.5部とメラミンアルキッド樹脂
(日本油脂株式会社、ニッサンメラミNo.1−2型クリヤ
ー)6.0部とを良く混合して塗料化する。
次いで、6mil(0.15mm)のアプリケーターでアルミ箔
に均一に塗布し、これを60分間放置後、130℃に設定し
た熱風恒温乾燥機で60分間焼き付け処理を施して塗装試
験片を作製する。
以上のようにして作製した試験片をそれぞれフェード
メーター(スガ試験機株式会社、FA−2型、光源;カー
ボンアークランプ)で200時間露光する。
この露光した試験片について、露光前の塗装板と比較
して色相の変化程度を判定する。
(3)耐硫化物性試験 耐光性試験に供するものと同一の試験片を作製し、そ
れぞれの試験片を30℃の飽和硫化水素水に60分間浸し試
験をする。
この試験した試験片について、試験前の塗装板と比較
して色相の変化程度を判定する。
(4)耐酸性試験 アルミ箔をガラス板に変えた外は、耐光性試験に用い
る試験片の作製と同じ手順でそれぞれ試験塗装板を作製
した。
それぞれの試験片を35℃の濃塩酸(12N)に15分間浸
し試験をする。
この試験した試験片ついて、試験前の塗装板と比較し
て色相の変化程度を判定する。
(5)耐アルカリ性試験 耐酸性試験に用いた試験片と同様にガラス板の各試験
塗装板を作製する。
それぞれ試験片を飽和水酸化カルシウム水溶液と2重
量%の水酸化カリウム水溶液の混合溶液に室温で24時間
浸し試験をする。
この試験した試験片ついて、試験前の塗装板と比較し
て色相の変化程度を判定する。
(6)六価クロムの溶出試験 0.3規定の塩酸水溶液100mlに対し各試料顔料1gを20℃
で60分間撹拌混合して溶出試験を行う。
次に、この混合液を固液分離して抽出液相中の六価ク
ロムをJISK0102に規定するジフェニルカルバジド吸光光
度法に従って定量し、溶出濃度を求めた。
なお、この測定法による定量限界は、0.04ppmであっ
た。
(7)鉛の溶出試験 試験項目(6)の条件にて溶出試験を行う。
次いで、溶出液を原子吸光法により定量し、試料当た
りのPbとしての百分率を算出して溶出量を求めた。
(8)復帰変異原性試験 各種の微生物による復帰変異原性試験を株式会社日本
生物化学センター(本社:大阪市大淀区豊崎4−12−1
7、研究所:岐阜県海津郡海津町福江52)に委託し、試
験を行った。
その概要は、次の通りである。
プレート当たりの試験試料濃度を最高濃度5000μg/プ
レートとし以下公比2の5段階以上の濃度を設定して、
被験物質溶液0.1mlに対して0.1molのリン酸緩衝液(pH
=7.4)0.5mlを加える。
また、代謝活性化する場合においては、S−9mixを0.
5ml加える。
更に、各菌懸濁液0.1mlを加え、37℃で20分間振盪し
ながらプレインキュベーションする。
これにトップアガーを2.0ml加え、撹拌後最少グルコ
ース寒天平板培地に重層する。
最少グルコース寒天平板培地は、各濃度毎に3枚設け
る。
また、再現性を確認するために独立した再試験を実施
する。
試験は、37℃で48時間培養した後、出現した復帰変異
コロニー数を計数し、また菌株の抗菌性の有無を実体顕
微鏡を用いて判定する。
結果は、各プレート上の復帰変異コロニー数を実数値
と平均値で表示し、各菌株ごとの用量反応曲線(試験成
績)を得る。
判定基準は、下記の基準に従ってそれぞれの場合につ
いて判定する。
被験物質処理郡の復帰変異コロニー数が陰性(溶媒)
対照群の2倍以上に増加し、かつ用量反応性及び再現性
が認められた場合に陽性と判定する。
Rayanの多重比較により被験物質処理群と陰性(溶
媒)対照群の差に有意な増加が認められ、かつ用量反応
性及び再現性が観察された場合に陽性と判定する。
なお、実施例7品の6種類の微生物による復帰変異原
性試験成績をそれぞれ図−1〜図−6に示し、比較例3
品の3種類の微生物による復帰変異原性試験成績を図−
7〜図−9に示した。
以上の試験結果を表−1に示すが試験項目(1)ない
し(5)の試験判定は10段階に分けて評価し、著しく退
変色したものを評点「1」、不変のものを評点「10」と
して表した。
以上、図−1ないし図−9、及び表−1から明らかな
通り、本発明に係る安定なクロム酸鉛顔料は、多種の外
部刺激に対する色調の安定性が顕著であり、かつ従来技
術では得られなっかた強酸水溶液における六価クロム及
び鉛の溶出抑制効果が大きく、また微生物による復帰変
異原性が完全に陰性である。
【図面の簡単な説明】
[図の説明] 図−1は、実施例7品のTA100菌株による復帰変異原性
試験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められな
い。 図−2は、実施例7品のTA1535菌株による復帰変異原性
試験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められな
い。 図−3は、実施例7品のWP2uvrA菌株による復帰変異原
性試験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められ
ない。 図−4は、実施例7品のTA98菌株による復帰変異原性試
験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められな
い。 図−5は、実施例7品のTA1537菌株により復帰変異原性
試験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められな
い。 図−6は、実施例7品のTA1538菌株による復帰変異原性
試験結果の用量反応曲線であり、何等変化が認められな
い。 図−7は、比較例3品のTA100菌株による復帰変異原性
試験結果の用量反応曲線であり、S−9mixを添加した場
合は何等変化が認められないものの、添加しない場合は
復帰変異コロニー数の大きな増加が認められる。 図−8は、比較例3品のWP2uvrA菌株による復帰変異原
性試験結果の用量反応曲線であり、S−9mixを添加した
場合は何等変化が認められないものの、添加しない場合
は復帰変異コロニー数の大きな増加が認められる。 図−9は、比較例3品のTA98菌株による復帰変異原性試
験結果の用量反応曲線であり、S−9mixを添加した場合
は何等変化が認められないものの、添加しない場合は復
帰変異コロニー数の大きな増加が認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09C 1/00 - 3/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロム酸鉛顔料の粒子表面に連続性の非晶
    質シリカ皮膜を形成し、更にその皮膜にアンチモン化合
    物を沈着処理してなることを特徴とする安定なクロム酸
    鉛顔料。
  2. 【請求項2】シリカ皮膜は、全重量当たりSiO2として少
    なくとも10重量%、及びアンチモン化合物は、全重量当
    たりSb2O3として0.5〜5重量%である請求項1記載の安
    定なクロム酸鉛顔料。
  3. 【請求項3】シリカ皮膜は、全重量当たりSiO2として少
    なくとも10重量%、及びアンチモン化合物は、Sb2O3
    してクロム酸鉛顔料の表面積当たり少なくとも1mg/m2
    ある請求項1記載の安定なクロム酸鉛顔料。
  4. 【請求項4】0.3規定塩酸による六価クロムの溶出濃度
    が、Crとして0.2ppm以下、及び鉛の溶出量が全重量当た
    りPbとして1重量%以下である請求項1、2または3記
    載の安定なクロム酸鉛顔料。
  5. 【請求項5】0.3規定塩酸による六価クロムの溶出濃度
    がCrとして20ppm以下で、微生物を用いる復帰変異原性
    試験が陰性である請求項1、2、3または4記載の安定
    なクロム酸鉛顔料。
  6. 【請求項6】クロム酸鉛顔料のアルカリ性スラリーを常
    に80〜98℃に加温、かつそのpHを9.3〜10.5に維持した
    状態において、珪酸アルカリの水溶液を添加反応させて
    該顔料の粒子表面に微細なシリカ粒子を沈積被覆せしめ
    た後、得られたシリカ被覆クロム酸鉛顔料スラリーにア
    ンチモン塩水溶液を添加してアンチモン化合物を沈着形
    成させることを特徴とする安定なクロム酸鉛顔料の製造
    法。
  7. 【請求項7】クロム酸鉛顔料のアルカリ性スラリーを常
    に80〜98℃に加温、かつそのpHを9.3〜10.5に維持した
    状態において、珪酸アルカリの水溶液を添加反応させて
    該顔料の粒子表面に全重量当たりSiO2として少なくとも
    10重量%の連続性の非晶質シリカ皮膜を形成し、しかる
    後にアンチモン塩水溶液を添加して該顔料の表面積当た
    り少なくともSb2O3として1mg/m2のアンチモン化合物を
    沈着形成させることを特徴とする請求項6記載の安定な
    クロム酸鉛顔料の製造法。
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