JP2866245B2 - 内接噛合遊星歯車構造のシリーズ - Google Patents

内接噛合遊星歯車構造のシリーズ

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JP2866245B2
JP2866245B2 JP6663192A JP6663192A JP2866245B2 JP 2866245 B2 JP2866245 B2 JP 2866245B2 JP 6663192 A JP6663192 A JP 6663192A JP 6663192 A JP6663192 A JP 6663192A JP 2866245 B2 JP2866245 B2 JP 2866245B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減速機、あるいは増速
機、特に小型で高出力、高精度が要求される減速機、あ
るいは増速機に適用するのに好適な内接噛合遊星歯車構
造のシリーズに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、主回転軸と、該主回転軸に設けら
れたピニオン;及び該ピニオンと噛合する複数の伝動歯
車を有する第1変速段と、該伝動歯車と共に回転する複
数の偏心体軸;該偏心体軸に設けられた偏心体;該偏心
体に偏心体軸受を介して支持され、前記主回転軸に対し
て揺動回転する外歯歯車;該外歯歯車と噛合する内歯歯
車;前記偏心体軸の両端を回転自在に支持すると共に、
自身は前記外歯歯車の自転成分の回転を行う一対の支持
ブロック;及び該一対の支持ブロック同士を連結するキ
ャリア体;を有する第2変速段と、を備えた内接噛合遊
星歯車構造を採用した減速機が、例えば米国特許312
9611号等により知られている。
【0003】ところが、この種の公知の内接噛合遊星歯
車構造を採用した減速機においては、互いに噛み合う歯
車間や軸への取付手段に遊びやがたがあることから、正
転から逆転へ移るときに駆動側の逆転が直ぐに始動側の
逆転となって現われない現象(角度バックラッシュ)が
あるため、これをそのまま正転、逆転の繰返しの多い、
例えば産業用ロボットの関節装置のような制御装置用の
減速機として使用すると、前記角度バックラッシュによ
る制御精度の低下を招くという問題があった。
【0004】そこで、公知の内接噛合遊星歯車減速機
で、内歯歯車の波形がピンよりなる円弧歯形、外歯歯車
の歯形がトロコイド歯形又は円弧歯形であって、外歯歯
車の歯数が内歯歯車の歯数よりも1だけ少ない組合せに
おいて、角度バックラッシュをより低減させるように構
成した減速機が特開昭60−260737において提案
されている。
【0005】図5及び図6に、この形式の内接噛合遊星
歯車構造の従来例を示す。
【0006】本発明の内容をよりよく理解するために、
まずこの図5、図6の減速機を少し詳しく説明する。
【0007】これらの図において、符号1で示すものは
円筒状のケーシングであり、外フランジ2を有してい
る。ケーシング1内の中心部には、図示しないモータに
よって回転駆動される入力軸(主回転軸)3の先端が挿
入されている。
【0008】ケーシング1内には、軸方向に間隔をおい
て支持ブロック4及び止めブロック(第2の支持ブロッ
クに相当)5が互いに対向して配置されている。これら
支持ブロック及び止めブロック4、5は、それぞれ軸受
6a 、6b を介してケーシング1の内周に回転自在に支
持されている。
【0009】図5において右側の支持ブロック4は、左
側の止めブロック5側に突出した複雑な形状のキャリア
体7(図6参照)を有しており、両ブロック4、5は、
このキャリア体7を介してボルト29、ピン30により
互いに連結・固定され、全体でキャリアを構成してい
る。
【0010】又、ケーシング1内には、3本の偏心体軸
8が入力軸3と平行に配設されている。これら偏心体軸
8は、入力軸3と同心の円周上に周方向に等間隔をもっ
て配設されており、各々両端部が偏心体軸軸受9a 、9
b を介して、支持ブロック4及び止めブロック5の各偏
心体軸軸受孔10a 、10b に回転自在に支持されてい
る。
【0011】各偏心体軸8の止めブロック5側の端部
は、偏心体軸軸受9a による支持部分よりも外方に突出
しており、その突出した部分には、スプライン12を介
して伝動歯車13が取付けられている。ここにおいて伝
動歯車13はバックラッシ防止のために2枚重ねにして
取付けられている。
【0012】即ち、2枚の伝動歯車体13a 、13b を
互いの位相をがた分だけずらして組み込むことにより正
転時、逆転時で伝動歯車体13a 、13b のいずれかに
より全くバックラッシを生じることなく動力伝達ができ
るようにしているものである。
【0013】支持ブロック4及び止めブロック5の径方
向の中心には、それぞれ中心孔14、15が形成されて
おり、それら中心孔14、15を、前記入力軸3が貫通
している。そして、入力軸3の先端に、前記各偏心体軸
8に固定した伝動歯車13と噛合するピニオン16が固
定され、これにより、入力軸3の回転が、ピニオン16
及び伝動歯車13を介して、3本の偏心体軸8に等しく
分配されるようになっている。
【0014】この場合、伝動歯車13の歯数はピニオン
16の歯数よりも多くなっており、各偏心体軸8は、伝
動歯車13とピニオン16の歯数比だけ減速回転され
る。
【0015】各偏心体軸8の軸方向略中央部には、軸方
向に並んで2つの偏心体17a 、17b が設けられてい
る。これら偏心体17a 、17b は、互いに180°位
相がずれている。
【0016】一方、支持ブロック4、止めブロック5の
間には、2枚の外歯歯車18a 、18b が配置されてい
る。各外歯歯車18a 、18b には、前記偏心体軸8の
貫通する3つの偏心体軸受孔19a 、19b が設けられ
ており、各偏心体軸受孔19a 、19b に、前記各偏心
体17a 、17b が偏心体軸受20a 、20b を介して
嵌合されている。これにより外歯歯車18a 、18b
は、図6に示すように、その中心Og が入力軸3の回転
中心Of に対して距離eだけ偏心した状態に支持され、
偏心体軸8の1回転毎に、入力軸3の回転中心Of に対
して1回転だけ揺動回転するようになっている。
【0017】前記外歯歯車18a 、18b は、円弧又は
トロコイド系の外歯24を有するもので、その外周側に
は、外歯歯車18a 、18b が噛合する内歯歯車25が
配設されている。内歯歯車25は、ケーシング1の内周
に該ケーシング1と一体に形成されており、外ピン26
からなる内歯を有している。
【0018】外歯歯車18a 、18b の中央部には、図
6に示すように、複雑な曲線状輪郭を持つ挿入口(=嵌
挿孔)28a 、28b が形成されている。そして、これ
ら挿入口28a 、28b を支持ブロック4のキャリア体
7が貫通し、該キャリア体7の端面が止めブロック5の
内端面に密着した状態で、前述したように両ブロック
4、5が、ボルト29及びピン30で互いに連結・固定
され、一体のキャリアが構成されている。
【0019】キャリア体7は、支持ブロック4、止めブ
ロック5が受けた回転力を相互に伝達するものであり、
外歯歯車18a 、18b の挿入口28a 、28b は、外
歯歯車18a 、18b が揺動しても該キャリア体7と干
渉しないだけの大きさ、及び形状の開口として形成され
ている。
【0020】次に作用を説明する。
【0021】ここでは、まず、仮にケーシング1が固定
され、支持ブロック4、止めブロック5で構成したキャ
リアから回転出力を取り出す場合を想定して説明する。
【0022】入力軸3が回転すると、ピニオン16及び
伝動歯車13を介して3つの偏心体軸8が同一方向(入
力軸3とは逆方向)に同一速度で回転する。3つの偏心
体軸8には、それぞれ2つの偏心体17a 、17b が設
けられており、当該偏心体17a 、17b が同方向に同
一速度で偏心回転することにより、2枚の外歯歯車18
a 、18b が入力軸3に対して揺動回転を行う。
【0023】ここではケーシング1が固定、即ち内歯歯
車25が固定されている場合を想定しているから、外歯
歯車18a 、18b は、内歯歯車25によって自由な自
転が拘束された状態で、内歯歯車25に内接しながら揺
動することになる。今、例えば外歯歯車18a 、18b
の歯数をN、内歯歯車25の歯数をN+1とした場合、
その歯数差は1である。従って、偏心体軸8が1回転す
る毎に、外歯歯車18a 、18b は内歯歯車25に対し
て1歯分だけずれる(自転する)ことになる。
【0024】この「ずれ」、即ち外歯歯車18a 、18
b の自転は、偏心体軸8を介して支持ブロック4、止め
ブロック5に伝わる。各ブロック4、5に伝わった回転
力は、両ブロック4、5がキャリア体7を介して一体化
されていることで、合力となって取り出される。なお、
両ブロック4、5は、偏心体軸8が1回転すると、−1
/N回転に減速される。
【0025】上の説明では、ケーシング1を固定し、支
持ブロック4、止めブロック5側から出力を取り出す場
合の作用を述べたが、支持ブロック4、止めブロック5
を固定し、ケーシング1側から出力を取り出すこともで
きる。その場合は、ケーシング1に設けた外フランジ2
に相手部材を連結することになる。これによりケーシン
グ1から、前記支持ブロック4、5とは逆回転で(入力
回転に対して)1/(N+1)回転の減速回転出力が取
り出される。
【0026】このように、ケーシング1側を固定して両
ブロック4、5側から減速回転出力を取り出してもよい
し、両ブロック4、5側を固定して、ケーシング1側か
ら減速回転出力を取り出してもよい。即ち、減速機とし
て適用する場合には、前記二様の使用形態が可能であ
る。出力の取り出し方によって区別する場合、前者をキ
ャリア回転形、後者をケース回転形と呼ぶ。
【0027】図5、6に示した従来の構造の場合は、ケ
ース回転形として使用することを前提として構成されて
いるので、伝動歯車13側のケーシング1の開口部には
カバー31が設けられている。
【0028】なお、この形式の内接噛合遊星歯車構造
は、ケース回転形、キャリア回転形とも、入力、出力の
関係を逆転させることにより、増速機として利用するこ
とも可能である。
【0029】偏心体軸8の本数は、2本でもよいが、実
用上は外歯歯車18a 、18b を安定して保持すると共
に、該外歯歯車18a 、18b を貫通する支持ブロック
4の柱部分のスペースとの兼ね合いにより、少なすぎ
ず、且つ多すぎない3本に止どめることが多い。
【0030】又、外歯歯車18a 、18b は、主に伝達
容量の増大、あるいは回転バランスの保持のため、複数
枚(図5、図6の例では2枚)に設定されている。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記減速機
においては、近年の多様化したニーズに幅広く対応する
ため、2種以上の減速比を有する減速機群をシリーズと
して備えるのが普通である。この場合、従来はこの2種
以上の減速比を得るために、第1減速段(第1変速段)
のピニオン16及び伝動歯車13の減速比を複数種類持
つようにするのが普通であった。これは、第2減速段
(第2変速段)において減速比を複数種類持つことが第
1減速段において減速比を複数持つことに比べ設計上も
難しく、又、製作コスト的にも高くつくためである。
【0032】しかしながら、このような設計思想に基づ
く従来のシリーズの場合、例えば後述する図1の減速機
において非常に低い減速比(入力軸回転速度と出力軸回
転速度の比が小さい)を得ようとした場合、必然的にピ
ニオン116の外接円径が大きくなり、中心孔115を
貫通して該ピニオン116を組み込むことができず、例
えば図7に示されるように、入力軸3Xとピニオン16
Xとを分割して用意する必要が生じた。
【0033】逆に、非常に高い減速比(入力側回転速度
と出力側回転速度の比が大きい)を得ようとしたときに
は、ピニオン16の外接円径が小さくなり過ぎ、例えば
該ピニオン16をホブ切りするときに、図1のa で示す
寸法を大きくとる必要が生じたり、あるいは、ピニオン
16を貫通したボルトによって入力軸1に差し込まれた
モータ軸を軸端より締上げて固定するための貫通孔を該
ピニオン16に設けることが難しくなるという問題があ
った。
【0034】一方、部品精度の面からみると、外歯歯車
18a 、18b の外歯24及び偏心体軸受孔19a 、1
9b は、1組(2枚)の外歯歯車18a 、18b を重ね
た状態で同時に加工することが望ましい。何故ならば、
この重ね加工により、加工工数の削減はもとより、2枚
の外歯歯車18a 、18b 間での精度のばらつきの解
消、2枚の外歯歯車18a 、18b の加工誤差を相殺す
る組立が可能となるからである。
【0035】しかしながら、従来公知の減速機、あるい
は減速機のシリーズの例では、このような加工、組立は
不可能であった。
【0036】これを以下に説明する。
【0037】従来の減速機では、下記の理由により通常
外歯歯車18a 、18b は2枚で、且つ各外歯歯車18
a 、18b の最大偏心方向の位相が180°ずれてお
り、偏心体軸8の本数は3本となっていた。
【0038】1)2枚以上の外歯歯車18a 、18b を
1つの内歯歯車25と組合せて、各外歯歯車のそれぞれ
の最大偏心方向の位相を円周方向に均等に分散させるこ
とにより、減速機の動的バランスを良好に維持する。
【0039】2)偏心体軸8を3本以上円周方向に配置
することにより、外歯歯車18a 、18b を安定的に保
持する。
【0040】そこで、この場合について必要な事項を考
慮すると、まず、1)項より2枚の外歯歯車18a 、1
8b が180°対称位置で1つの内歯歯車25に噛み合
うことが必要となる。従って、内歯歯車25の歯数は偶
数となる。更に、従来の公知例では、内歯歯車25と外
歯歯車18a 、18b の歯数差が1であるから、外歯歯
車の歯数は奇数となる。
【0041】奇数歯の2枚の外歯歯車18a 、18b を
重ね加工した場合、当該2枚の外歯歯車18a 、18b
を180°対称位置で内歯歯車25と噛み合わせるため
には、互いの外歯を半歯分ずらして組立てる必要があ
る。ところが、半歯分互いの外歯歯車18a 、18b を
ずらすと、せっかく重ね加工した偏心体軸受孔19a 、
19b の位相もずれてしまい、結局180°位相をずら
した組立が不可能となる。
【0042】そのため、従来公知例の場合、重ね加工す
るとしても、外歯歯車18a 、18b の外歯24と偏心
体軸受孔19a 、19b のどちらか一方については2枚
の外歯歯車18a 、18b で別々に加工する必要があっ
た。
【0043】そのため、両外歯歯車18a 、18b の外
歯24と偏心体軸受孔19a 、19b との相対位置が少
なからずずれてしまうことは避け難く、これが組立後の
精度低下の大きな要因の1つとなっていたものである。
【0044】このように第2減速段では、これ自体加工
工数が非常に多く、しかも高精度を出すことが難しいと
いう事情があるため、この部分で複数の減速比を備える
というのはコスト的あるいは精度の維持の点で難しいと
いうのが実情であった。
【0045】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、ピニオンの組込み等に不都合を
生じることなく、しかも共通の部品を多くしてコストダ
ウンを図りながら多種類の減速比を提供することがで
き、しかも、外歯歯車の孔加工及び外歯加工を同時に行
うことを可能として組立後の精度を飛躍的に向上させる
ことができるようにした内接噛合遊星歯車構造のシリー
ズを提供し、上記課題を解決せんとしたものである。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明は、主回転軸と、
該主回転軸に設けられたピニオン;及び該ピニオンと噛
合する複数の伝動歯車を有する第1変速段と、該伝動歯
車と共に回転する複数の偏心体軸;該偏心体軸に設けら
れた偏心体;該偏心体に偏心体軸受を介して支持され、
前記主回転軸に対して揺動回転する外歯歯車;該外歯歯
車と噛合する内歯歯車;前記偏心体軸の両端を回転自在
に支持すると共に、自身は前記外歯歯車の自転成分の回
転を行う一対の支持ブロック;及び該一対の支持ブロッ
ク同士を連結するキャリア体;を有する第2変速段と、
を備えた内接噛合遊星歯車構造のシリーズにおいて、前
記第1変速段の変速比が2種以上設定され、前記ピニオ
ンと伝動歯車との軸間距離が等しく、前記第2変速段の
変速比が2種以上設定され、前記キャリア体の断面形状
が、前記第2変速段の少なくとも2種以上の変速比にお
いて等しく、該キャリア体の貫通する前記外歯歯車の嵌
挿孔の形状が、前記第2変速段の少なくとも2種以上の
変速比において等しく、前記内歯歯車が、前記第2変速
段の少なくとも2種以上の変速比において共通とされ、
且つ、第2変速段の各変速比における外歯歯車の歯数
を、それぞれの外歯歯車の枚数の整数倍に設定すると共
に、内歯歯車と外歯歯車の歯数差を外歯歯車の枚数の整
数倍に設定したことにより、上記課題を解決したもので
ある。
【0047】
【作用】本発明においては、第1変速段の各変速比に対
して2種類以上の変速比を設定するようにしながら、第
2変速段のキャリア体の断面形状を等しくし、且つこの
キャリア体の貫通する外歯歯車の嵌挿孔の形状も等し
く、更に内歯歯車を各変速比において共通としたため、
各変速比の差に基づく(第2変速段の各部材のうち)異
なる部分は外歯歯車の外歯の部分だけとなり、第2変速
段で複数の変速比を備えたとしても部品点数の増大や加
工工数の増大を極力避けることができる。
【0048】更に、本発明では外歯歯車の歯数を該外歯
歯車の枚数の整数倍に設定すると共に、内歯歯車と外歯
歯車の歯数差を外歯歯車の枚数の整数倍に設定するよう
にしたため、外歯歯車に形成される偏心体軸受孔等の各
孔がどのように配置されていたとしても、これらの孔加
工及び外歯の加工を同時に(一度のセッティングで)実
行できるようになり、各外歯歯車で外歯と偏心体軸受孔
との相対位置関係がずれることがなくなるため、加工工
数を削減できるのはもとより組立後の精度を格段に向上
させることができるようになる。
【0049】従って、結果としてコスト増、加工工数増
をほとんど伴うことなく、しかもむしろ従来以上に高い
精度を維持したまま、第2変速段で複数の変速比を備え
ることが可能となる。
【0050】その結果、ユーザの広いニーズに幅広く対
応できると共に、第1変速段のピニオンの歯先円径を中
央孔より小さく保ったまま、且つ歯底円径がピニオンを
貫通する孔等を十分にとれるように大きな寸法に保った
まま、必要な変速比を設定することができるようにな
る。
【0051】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図4を参照
しながら説明する。
【0052】図1において、符号101で示すものは円
筒状のケーシングである。このケーシング101は、筒
壁を軸方向に貫通する複数のボルト挿通孔102を有し
ている。ケーシング101内の中心部には、図示しない
モータによって回転駆動される入力軸(主回転軸)10
3の先端が図中右側から挿入されている。
【0053】ケーシング101内には、軸方向に間隔を
おいて厚肉円板状の第1の支持ブロック(図中左側)1
04と第2の支持ブロック(図中右側)105とが互い
に対向して配置されている。第1の支持ブロック104
の外端面(左端面)は相手部材取付面104a とされ、
ケーシング101外に若干突き出ている。これら第1、
第2の支持ブロック104、105は、それぞれ軸受1
06a 、106b を介してケーシング101の内周に回
転自在に支持されている。
【0054】両支持ブロック104、105は、入力軸
103と平行に配した3本のキャリアピン150により
一体に連結・固定され、全体でキャリアを構成してい
る。キャリアピン150は、両支持ブロック104、1
05の外周寄りの位置に配置されており、入力軸101
と同心の円周上に周方向に等間隔で配設されている(図
2)。
【0055】第1の支持ブロック104及び第2の支持
ブロック105には、各キャリアピン150を挿通させ
るためのキャリアピン保持孔151、152がそれぞれ
形成されている。第2の支持ブロック105のキャリア
ピン保持孔152は、外端面側に座ぐり部153を有し
ている。そして、第2の支持ブロック105のキャリア
ピン保持孔152側から、頭に鍔部150a を持つキャ
リアピン150が挿入され、該鍔部150a が座ぐり部
153の底面に突き当たることで、キャリアピン150
の第2の支持ブロック105に対する軸方向の位置決め
が行われている。
【0056】又、第1の支持ブロック104と第2の支
持ブロック105との間にはパイプ状のキャリアスペー
サ154が配設され、各キャリアピン150の先端は、
それぞれキャリアスペーサ154を貫通して第1の支持
ブロック104の各キャリアピン保持孔151に挿入さ
れている。各キャリアスペーサ154は、キャリアピン
150の軸方向中間部外周に遊嵌されており、両端面が
第1の支持ブロック104と第2の支持ブロック105
とに密着することで、両支持ブロック104、105の
間隔を一定に保っている。
【0057】キャリアピン150の先端面は、第1の支
持ブロック104の相手部材取付面104a に露出して
いる。この露出した先端面の中心には、相手部材固定用
ボルト155をねじ込むためのねじ穴156が形成され
ており、相手部材Pのボルト挿通孔に通したボルト15
5を、このねじ穴156にねじ込んで相手部材Pとキャ
リアピン150とを結合することにより、同時に第1の
支持ブロック104と第2の支持ブロック105とが、
キャリアスペーサ154を介して、所定の間隔で連結・
固定されるようになっている。
【0058】又、ケーシング101内には、3本の偏心
体軸108が入力軸103と平行に配設されている。こ
れら偏心体軸108は、入力軸3と同心の円周上に周方
向に等間隔で配設されており、図2に示すように、前記
各キャリアピン150の中間に位置している。そして、
各々の偏心体軸108の両端部が、偏心体軸軸受109
a 、109b を介して第1の支持ブロック104及び第
2の支持ブロック105の各偏心体軸軸受孔110a 、
110b にそれぞれ回転自在に支持されている。
【0059】各偏心体軸108の第1の支持ブロック1
04側には、前記偏心体軸軸受109a で支持されてい
る部分より軸方向中間部寄りに、スプライン112を介
して伝動歯車113が取付けられている。
【0060】第1の支持ブロック104、第2の支持ブ
ロック105の径方向の中心には、それぞれ中心孔11
4、115が形成されており、それら中心孔114、1
15に前記入力軸103が第2支持ブロック105側か
ら挿入されている。
【0061】入力軸103の先端は、第1支持ブロック
104の中心孔114内にわずかに入った位置にあり、
その入力軸103の先端に、前記各偏心体軸108に固
定した伝動歯車113と噛合するピニオン116が固定
され、これにより、入力軸103の回転がピニオン11
6及び伝動歯車113を介して3本の偏心体軸108に
等しく分配されるようになっている。この場合、伝動歯
車113の歯数はピニオン116の歯数よりも多くなっ
ており、各偏心体軸108は、伝動歯車113とピニオ
ン116の歯数比だけ減速回転される(第1減速段を構
成)。
【0062】各偏心体軸108の軸方向中央部には、軸
方向に並んで2つの偏心体117a、117b が設けら
れている。これら偏心体117a 、117b は、互いに
180°位相がずれている。
【0063】一方、第1、第2の支持ブロック104、
105の間には、ケーシング101の内径よりやや小さ
い外径の円板状の2枚の外歯歯車118a 、118b が
軸方向に並べて配置されている。各外歯歯車118a 、
118b には、前記偏心体軸108が貫通する3つの偏
心体軸受孔119a 、119b が設けられており、各偏
心体軸受孔119a 、119b に、前記各偏心体117
a 、117b が偏心体軸受120a 、120b を介して
嵌合されている。これにより、外歯歯車118a 、11
8b は、図2に示すように、その中心Og が入力軸10
3の回転中心Of に対して距離eだけ偏心した状態に支
持され、偏心体軸108の1回転毎に、入力軸103の
中心Of に対して1回転だけ揺動回転するようになって
いる。
【0064】このように、外歯歯車118a 、118b
が配置されることにより、両支持ブロック104、10
5間には、第1支持ブロック104側から第2の支持ブ
ロック105側に向かって順に、伝動歯車113、外歯
歯車118a 、外歯歯車118b が互いに隣接して並ん
でいる。
【0065】偏心体軸108を支持する図1中の左側の
偏心体軸軸受109a と伝動歯車113は、左側の偏心
体117a の端面と、第1の支持ブロック104の偏心
体軸軸受孔110a 内周に係合した止め輪160とで挟
まれており、それにより偏心体軸108上で位置決めさ
れている。
【0066】又、前記偏心体軸受120a 、120b と
しては、ここではニードル軸受が用いられている。そし
て、この偏心体軸受120a 、120b の軸方向の位置
決めが次のように行われている。
【0067】即ち、第1の支持ブロック104寄りの左
側の偏心体軸受120a は、図1において左端側が前記
伝動歯車113の側面で直接位置決めされ、右端側が両
偏心体117a 、117b 間に設けたフランジ122に
より位置決めされている。又、第2の支持ブロック10
5寄りの偏心体軸受120b は、左端側が両偏心体11
7a 、117b 間に設けた前記フランジ122により位
置決めされ、右端側が止め板123により位置決めされ
ている。
【0068】止め板123は、偏心体軸108を支持す
る右側の偏心体軸軸受109b により押さえられ、偏心
体軸軸受109b は、第2の支持ブロック105の偏心
体軸軸受孔110b 内周に係合した止め輪161により
押さえられている。
【0069】前記外歯歯車118a 、118b は、後述
する条件の外歯124を有しており、この外歯歯車11
8a 、118b の外周側には、外歯歯車118a 、11
8bが噛合する内歯歯車125が配設されている。内歯
歯車125はケーシング101の内周に、ケーシング1
01と一体に形成されており、外ピン126からなる内
歯を有している。なお、外ピン126は、外ピン押さえ
リング127により抜け落ちないように内側から止めら
れている。
【0070】外歯歯車118a 、118b には、その中
心に、入力軸103の貫通する中心孔160a 、160
b が形成され、又、キャリアピン150に対応する位置
に、嵌挿孔128a 、128b が形成されている。そし
て、この嵌挿孔128a 、128b をキャリアピン15
0及びキャリアスペーサ154が貫通している。
【0071】キャリアピン150は、第2の支持ブロッ
ク105が受けた回転力を、第1の支持ブロック104
に伝達するものであり、外歯歯車118a 、118b の
嵌挿孔128a 、128b は、外歯歯車118a 、11
8b が揺動してもキャリアピン150及びキャリアスペ
ーサ154と干渉しないだけの大きさの円孔として形成
されている。
【0072】又、キャリアピン150の先端面のねじ穴
156の他に、第1の支持ブロック104の相手部材取
付面104a には、相手部材固定用ねじ穴156が複数
形成され、これら多数のねじ穴156に固定用ボルト1
55をねじ込むことにより,相手部材Pを強固に連結・
固定することができるようになっている。
【0073】次に、このように構成された内接噛合遊星
歯車構造の動きについて説明する。
【0074】まず、入力軸103の回転は、第1減速段
であるピニオン116、伝動歯車113を介して減速さ
れ、3本の偏心体軸108に伝達される。その結果、偏
心体117a 、117b を介して外歯歯車118a 、1
18b が揺動回転し、内歯歯車125の内歯に相当する
外ピン126と外歯歯車118a 、118b との噛合に
よってゆっくりと自転を開始する。
【0075】この外歯歯車118a 、118b の自転は
3本の偏心体軸108を介して第1、第2の支持ブロッ
ク104、105に伝達される。第2の支持ブロック1
05に伝達された回転力は、キャリアピン150を介し
て、第1の支持ブロック104に伝達される。そして、
その回転力が第1の支持ブロック104から、同ブロッ
ク104に連結された相手部材Pに伝達される。
【0076】これらの作用については、基本的に前述し
た従来の公知例と全く同様である。
【0077】次に、このような減速機において幅広い減
速比を有するシリーズを合理的に設定するために採用さ
れている構成を、図2及び図3を比較しながら説明す
る。
【0078】図2は図1の減速機自体の断面図であり、
図3はこれとシリーズ関係にある減速機の断面図であ
る。各図で同一又は類似の部位には下2桁が同一の符号
を付している。図2と図3において、両減速機の内歯歯
車125、225は、完全に共通とされている。即ち、
その歯数(外ピン126の数)がそれぞれ88とされ、
該外ピンの半径及び間隔(内歯歯車125、225の歯
形に対応)も全く共通とされている。
【0079】一方、外歯歯車118a 、218a は、こ
の第2減速段で異なる減速比を得るために、図2の例は
86歯とされ、一方、図3の例では84歯とされてい
る。この場合図2の例ではキャリア回転型での減速比は
1/43となり、図3の例ではキャリア回転型での減速
比は1/21となる。
【0080】図2の減速機と図3の減速機とでは、第1
減速段については説明の便宜上全く共通化されている。
ここでは第1減速段のピニオン116、216と、伝動
歯車113、213は、ピニオン116、216が中心
孔115、215における内接円径を貫通できるだけの
歯先円径以下で、且つ、ピニオン116、216の中心
にボルトやシャフト等を通す貫通孔を設けることができ
るようなピニオン歯底円径以上となるような減速比が予
め設定されている。この条件に合うような減速比は、一
般的には1.61〜4.45程度となり、従って、これ
を第2減速段側での減速比と組合せると36.42〜1
96.8程度の減速比をカバーすることができるように
なる。
【0081】ところで、外歯歯車118a 、218a の
キャリアピン150、250及びキャリアスペーサ15
4、254が遊嵌される嵌挿孔128a 、228a は、
キャリアスペーサ154の外径よりも少なくとも偏心量
e の2倍より大きな隙間が必要である。これは、外歯歯
車118a 、218a が揺動しても、その揺動がキャリ
アスペーサ154、254と干渉しないための条件に相
当する。
【0082】偏心量e は、図から明らかなように、一般
に減速比が小さくなると大きくなる傾向があり、従って
減速比によって外歯歯車118a 、218a に形成すべ
き嵌挿孔128a 、228a の大きさが異なってくる。
しかしながら、本シリーズにおいては、図の例で明らか
な如く、キャリアピン150、キャリアスペーサ15
4、を共通化すると共に、外歯歯車118a 、218a
に形成される嵌挿孔128a 、228a についても、こ
れを共通化できるようにしている。即ち、偏心量e の小
さな(即ち高減速比の)図2の減速機においては、キャ
リアスペーサ154と嵌挿孔128a との間隙が若干余
裕αをもって空けられていることになる。
【0083】これにより、多くの部品や加工工程をより
簡略化できるようになる。
【0084】なお、この実施例ではキャリアピンの断面
形状は円形とされているが、キャリア体の断面形状は必
ずしも円形である必要はない、しかしながら、この場合
でもキャリア体については全く同一とし、且つ外歯歯車
118a 、218a の嵌挿孔については偏心量の多い図
3の側に合せて設定するようにすると、同様に共通化が
図れるようになる。
【0085】同一の第1減速段に対して、第2減速段の
減速比が2種類以上設定されていることによる利点をよ
り具体的に説明すると、以下のようになる。
【0086】(1)低減速比を得たいときにもピニオン
116、216の歯先円径を中心孔115、215より
も小さく設定できるため、入力軸103、203と一体
的に形成されたピニオン116、216を矢印Aの方向
から挿入し、伝動歯車の位置に組込むことができる。
【0087】仮に、中心孔115、215の内接円径を
35mm、伝動歯車113、213とピニオン116、2
16の軸間距離Lが39.375、第2減速段での減速
比が1/35としたとき、トータル減速比で52.23
を得ようとした場合(この場合第1減速段の減速比は3
7/26となる)には、ピニオンの歯先円径は35(モ
ジュール1.25)となり、中心孔115、215を貫
通することができない。しかしながら、仮に2段目が減
速比1/21であれば、トータル減速比で51.95を
得るためには、第1減速段の減速比を44/19(モジ
ュール1.25)とすればよく、このときのピニオン1
16、216の歯先円径は26.25となるため、中心
孔115、215を十分貫通可能となる。
【0088】(2)逆に、ピニオン116、216と伝
動歯車113、213の軸間距離Lが(1)と同一であ
る機種で高減速比を得たい場合にも、ピニオン116、
216の歯先円径を十分に大きくとれるため、ピニオン
の中央部に例えば貫通孔を容易に設けることができるよ
うになるため、当該貫通孔を種々の用途に利用できるよ
うになる。
【0089】仮に、中心孔115、215の内接円径が
35mm、伝動歯車113、213とピニオン116、2
16の軸間距離Lが39.375((1)と同一)、第
2減速段での減速比が1/35のとき、トータル減速比
で191.8を得ようとした場合、第1減速段での減速
比は53/10を確保しなければならず、ピニオン11
6、216の歯底円径は10(モジュール1.25)と
なり、該ピニオン116、216の中央に、例えば内径
10mmの小さな貫通孔でも、これを開けることができな
くなる。
【0090】しかしながら、仮に第2減速段での減速比
が1/43であれば、トータル減速比で188を得るた
めには第1減速段での減速比は51/12(モジュール
1.25)でよく、このときピニオンの歯底円径は1
2.5であるから、該ピニオン116、216に例えば
10mmの貫通孔を十分開けることができるようになる。
【0091】次に、同一のセッティングのままで(同一
のチャッキングのままで)、外歯歯車118a 、118
b (あるいは218a 、218b )の外歯124及び偏
心体軸受孔119a 、119b (219a 、219b )
を同時に加工するための構成について説明する。
【0092】まず、この実施例の具体的な説明に入る前
に、本発明において採用されている各外歯歯車の外歯及
び偏心体軸受孔を同時に加工するための基本的な原理に
ついて説明する。
【0093】図4は、本発明に係る2枚の外歯歯車51
8a 、518b 及び内歯歯車525の外歯に相当する外
ピン526との関係を示している。
【0094】図4から明らかなように、この外歯歯車5
18a 、518b は、その歯数が外歯歯車518a 、5
18b の枚数「2」の整数倍である「24」に設定され
ている。又、外ピン526の数は「28」である。従っ
て、外歯歯車518a 、518b と外ピン526との歯
数差が外歯歯車518a 、518b の枚数「2」の整数
倍である「4」に設定されている。
【0095】なお、図の符号Oは主回転軸の中心、Oa1
は外歯歯車518a が最大偏心方向に偏心されたときの
該外歯歯車518a の中心、Ob1は外歯歯車518b が
最大偏心方向に偏心されたときの該外歯歯車518b の
中心をそれぞれ示している。
【0096】この設定の結果、組付けに際しては、各外
歯歯車518a 、518b をそれぞれの最大偏心方向に
平行移動(この場合は180°離反)させるだけですむ
ようになり、当該外歯歯車518a 、518b のどの位
置にどのような形状の貫通孔が形成されていたとして
も、両外歯歯車の外歯及び種々の孔部を一度に加工でき
ることになる。
【0097】しかも、平行移動させた状態で組付けられ
るため、必然的に同位置に形成された外歯同士(例えは
図のa1とa2、b1とb2、あるいはc1とc2)が同時に内歯歯
車と噛合することがなくなり、誤差の平準化が現実でき
る。
【0098】上記枚数、歯数、及び歯数差の関係の成立
は、「平行移動」することによって必ず組付けることが
できるようになるための必須要件に相当する。上記関係
が成立するときは、必ず「平行移動」によって組付ける
ことができる。しかしながら、上記関係が成立しないと
きは、必ずしも「平行移動」によって組付けることはで
きない。
【0099】又、「平行移動」によって組付けることが
できるという事は、即ち、各外歯歯車を全く回転させる
ことなく組付けることができるという事は、外歯歯車の
いかなる位置にいかなる形状の孔が形成されていたとし
ても、全外歯歯車の外歯と種々の孔部を一度に加工する
ことができるようになるための必須要件に相当する。平
行移動によって組付けができる場合は、必ず全外歯歯車
の外歯及び種々の孔部を一度に加工することができる。
【0100】しかしながら、平行移動によって組付ける
ことができないとき、即ち、いずれかの外歯歯車を他の
外歯歯車に対して(加工後に)回転させなければ組付け
ることができないときは、必ずしも全外歯歯車の外歯及
び種々の孔部を一度には加工することはできない。
【0101】ちなみに従来は、「同位置に形成された外
歯同志を同時に噛合させると誤差の平準化が実現でき
る」という誤った考え方が支配的であり、従って平行移
動によって組付けているという考え方そのものがなかっ
た。
【0102】本発明においては、このような外歯歯車の
枚数、歯数、及び歯数差の関係が成立しているからこ
そ、外歯歯車の偏心体軸受孔と外歯を同時に加工するこ
とができるようになるものである。
【0103】具体的な実施例に戻って、この図1及び図
2、そして図3の実施例では、外歯歯車118a 、11
8b (218a 、218b )の枚数は、各図から明らか
なようにいずれも「2」に設定されている。又、この外
歯歯車118a 、118b (218a 、218b )の各
々の歯数は、該外歯歯車118a 、118b (218a
、218b )の枚数「2」の整数倍である「86」又
は「84」に設定されている。更に、外ピン126(2
26)の本数(内歯歯車125(=225)の歯数に相
当)は「88」に設定され、外歯歯車118a 、118
b (218a 、218b )の外歯124(224)との
歯数差が「2」又は「4」となっている。即ち、歯数差
が外歯歯車の枚数「2」の整数倍に設定されている。
【0104】この結果、当該外歯歯車118a 、118
b (218a 、218b )を組付けるときは、各外歯歯
車118a 、118b (218a 、218b )をその最
大偏心方向である180°の方向にそれぞれ平行移動さ
せるだけですむようになる。
【0105】又、各図から明らかなように、外歯歯車1
18a 、118b (218a 、218b )には種々の貫
通孔が形成されているが、たとえどのような形状の孔が
どのような位置に形成されていようとも、各外歯歯車1
18a 、118b (218a、218b )は共に重ねた
ままそれぞれの外歯124(224)及び種々の孔部、
とりわけ精度の要求される偏心体軸受孔119a 、11
9b (219a 、219b )を一度に加工できることが
分かる。
【0106】この結果、これらの各孔及び外歯をその相
対位置関係を非常に高精度に維持した状態で加工できる
と共に組付けできるようになる。
【0107】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、部
品点数の可能な限りの共通化を図った上で第2変速段側
での変速比を2種類以上確保できるようにしたため、部
品点数の増加や加工工数の増加を最小限に抑えながら、
極めて幅広い変速比を容易に得ることができるようにな
る。
【0108】その結果、低変速比を得るために第1変速
段のピニオンを主回転軸(減速機の場合は入力軸)上に
一体的に形成することができなくなったり、あるいは高
変速比を得るためにピニオンが小さくなり過ぎて、ここ
に貫通孔を形成しづらくなるというような不具合が発生
するのを防止することもできるようになる。
【0109】更に、本発明では、外歯歯車の各孔と外歯
を同時に加工することができるようになるため、特に偏
心体軸受孔と外歯との相対位置精度を著しく高くするこ
とができるようになり、従来と同じ加工機械を用いたと
しても加工による相対位置の誤差の影響を極めて小さく
抑えることができ、加工工数の削減はもとより組付け後
の位置精度を飛躍的に高めることができるようになり、
各部材の互換性確保の点においてもむしろ従来以上の性
能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内接噛合遊星歯車構造が適用され
た減速機の側断面図
【図2】図1のII−II線に沿う断面図
【図3】図1、図2の減速機と同一シリーズの1つに相
当する減速機の図2相当の断面図
【図4】本発明の外歯歯車の歯数、枚数、歯数差に関す
る基本原理を説明するための説明図
【図5】従来の内接噛合遊星歯車構造の減速機の一例を
示す側断面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図
【図7】従来のシリーズにおいて低減速比を得るために
採用されていた構成の一例を示す側断面図
【符号の説明】
1、101…ケーシング、 3、103…入力軸(主回転軸)、 4、104…第1の支持ブロック、 5、105…第2の支持ブロック、 6a 、6b 、106a 、106b …軸受、 8、108…偏心体軸、 9a 、9b 、109a 、109b …偏心体軸軸受、 10a 、10b 、110a 、110b …偏心体軸軸受
孔、 13、113、213…伝動歯車、 16、116、216…ピニオン、 17a 、17b 、117a 、117b 、217a 、21
7b …偏心体、 18a 、18b 、118a 、118b 、218a 、21
8b …外歯歯車、 19a 、19b 、119a 、119b 、219a 、21
9b …偏心体軸受孔、 20a 、20b 、120a 、120b 、220a 、22
0b …偏心体軸受、 24、124、224…外歯、 25、125、225…内歯歯車、 150、250…キャリアピン、 154、254…キャリアスペーサ、 155…ボルト、 156…ねじ穴、 P…相手部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 1/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主回転軸と、該主回転軸に設けられたピニ
    オン;及び該ピニオンと噛合する複数の伝動歯車を有す
    る第1変速段と、該伝動歯車と共に回転する複数の偏心
    体軸;該偏心体軸に設けられた偏心体;該偏心体に偏心
    体軸受を介して支持され、前記主回転軸に対して揺動回
    転する外歯歯車;該外歯歯車と噛合する内歯歯車;前記
    偏心体軸の両端を回転自在に支持すると共に、自身は前
    記外歯歯車の自転成分の回転を行う一対の支持ブロッ
    ク;及び該一対の支持ブロック同士を連結するキャリア
    体;を有する第2変速段と、を備えた内接噛合遊星歯車
    構造のシリーズにおいて、 前記第1変速段の変速比が2種以上設定され、 前記ピニオンと伝動歯車との軸間距離が等しく、 前記第2変速段の変速比が2種以上設定され、 前記キャリア体の断面形状が、前記第2変速段の少なく
    とも2種以上の変速比において等しく、 該キャリア体の貫通する前記外歯歯車の嵌挿孔の形状
    が、前記第2変速段の少なくとも2種以上の変速比にお
    いて等しく、 前記内歯歯車が、前記第2変速段の少なくとも2種以上
    の変速比において共通とされ、且つ、 第2変速段の各変速比における外歯歯車の歯数を、それ
    ぞれの外歯歯車の枚数の整数倍に設定すると共に、内歯
    歯車と外歯歯車の歯数差を外歯歯車の枚数の整数倍に設
    定したことを特徴とする内接噛合遊星歯車構造のシリー
    ズ。
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