JP2865647B2 - ストリップ線路フィルタ - Google Patents

ストリップ線路フィルタ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波帯域に
おいて使用されるストリップ線路フィルタに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波帯域において用いられる誘電
体フィルタには、同軸共振器を用いたものや、ストリッ
プ線路共振器を用いたものがある。また、共振電極を片
側短絡構造にすることにより、共振周波数foの1/4波
長で共振を起こす1/4波長型フィルタも知られてい
る。その中でも、高誘電率(εr=約90)を有する誘
電体材料を用いたフィルタが、小型のものとして使われ
るようになってきた。
【0003】一方、図9に示すように共振線路(1)(1)
(1)の幅を段階的に変化させることによって線路のイン
ピーダンスを変化させ、それによって共振器を小型化で
きるステップドインピーダンス型共振器(SIR)も知
られている。[特開昭62-164301号公報参照] 図9は、各共振線路(1)(1)(1)の一端を短絡したコムラ
イン型のストリップ線路フィルタにおいて、各共振線路
(1)(1)(1)をSIRとした例である。同図に示すよう
に、各共振線路(1)(1)(1)の開放端(1a)(1a)(1a)側の電
極面積は、各共振線路(1)(1)(1)の他の部分よりも大き
く形成されている。尚、(2)(3)は入出力線路、(4)は短
絡電極である。
【0004】しかしながら、図9に示すようにステップ
部(1b)(1b)(1b)の形状が階段形状であると、その不連続
部分における電磁界の乱れが大きくなり、Qの劣化をき
たすという問題がある。
【0005】また、各共振線路をスクリーン印刷等の手
法により形成する場合、階段形状のように角部分を有す
ると寸法精度が悪くなり、これにより共振周波数のバラ
ツキが大きくなるという問題もある。
【0006】ところで、図10に示すように共振線路
(1)(1)(1)をインターディジタル型に形成したインター
ディジタル型ストリップ線路フィルタにおいては、各共
振線路(1)(1)(1)間の結合の自由度が広く、フィルタの
高Q化が可能である。
【0007】インターディジタル型ストリップ線路フィ
ルタの各共振線路に、前述のSIRを適用したものを図
11に示す。
【0008】このような場合、各共振線路(1)(1)(1)が
SIRであると線路間の結合が一様でなくなるため、帯
域内フラット特性を得ることは難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
従来技術に鑑みてなされたものであり、小型で且つQ値
が高く、優れた帯域内フラット特性を有すると共に共振
周波数のバラツキも少ないストリップ線路フィルタを提
供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるストリップ
線路フィルタは、誘電体基板の一方の表面に形成される
接地電極と、この誘電体基板の他方の表面にインターデ
ィジタル型に配設される複数個の共振電極と、前記接地
電極を前記共振電極形成面側にまで延在させることによ
り形成されると共に前記複数個の共振電極の短絡端が接
続されるガード電極と、前記共振電極形成面において一
端が前記ガード電極に接続されると共に他端が前記誘電
体基板の端縁まで延在する入出力用電極とを備え、前記
各共振電極及び入出力用電極の開放端側の面積は、テー
パー形状を有するステップ部を境にして短絡端側よりも
大きく形成され、前記入出力用電極のステップ部のテー
パー角は、該入出力用電極に隣接する共振電極のステッ
プ部のテーパー角と異なることを特徴とするものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について参
考例と共に説明する。
【0012】図1において、(10)は誘電体基板であり、
その裏面には接地電極(図示せず)が形成されている。誘
電体基板(10)の表面には、インターディジタル型に共振
電極(11)(11)(11)が形成されている。(12)(13)は誘電体
基板(10)の側面に形成された短絡電極であり、(16)(17)
は入出力用電極である。各共振電極(11)(11)(11)は、一
端(短絡端)が短絡電極(12)(13)に接続され、該短絡電
極(12)(13)を介して接地電極に接地されている。また、
開放端側の電極面積が他の部分よりも大きく形成された
SIR構造を有している。
【0013】そして、SIR構造の各共振電極(11)(11)
(11)及び入出力用電極(16)(17)のステップ部(11a)(11a)
(11a)(16a)(17a)をテーパー状にしている。このように
構成することにより、ステップ部(11a)(11a)(11a)(16a)
(17a)での電磁界の乱れによるQの劣化が抑制される。
また、スクリーン印刷にて共振電極(11)(11)(11)及び入
出力用電極(16)(17)を形成する際に、ステップ部(11a)
(11a)(11a)(16a)(17a)の寸法のバラツキが低減されると
共に各共振電極(11)(11)(11)及び入出力用電極(16)(17)
間の結合度のバラツキも低減される。
【0014】図2の構成においては、ステップ部(11a)
(11a)(11a)(16a)(17a)の角部にアールを施しており、図
1のものと同様な効果が得られる。
【0015】また、図1及び図2に示すストリップ線路
フィルタは、各共振線路がSIR構造であるので、一様
線路型のものに比べて、基板面積を10〜20%程度小
型化することができる。
【0016】ところで、電極パターンをスクリーン印刷
にて形成する場合、印刷ずれによって電極パターンの位
置や形状、寸法が設計と異なってしまうのに対処するた
めには、図3に示すようなガード電極(14)(15)を形成す
る。このガード電極(14)(15)は、誘電体基板(10)裏面の
接地電極(図示せず)を共振電極(11)(11')(11')が形成さ
れる表面側にまで延在させたものである。
【0017】図3のストリップ線路フィルタは、図1に
示したストリップ線路フィルタにガード電極(14)(15)を
設けたものであるが、以下に述べるような問題がある。
【0018】すなわち、入出力用電極(16)(17)は、一端
(短絡端)を一方のガード電極(14)に接続し、他端を誘
電体基板(10)の端縁まで延在させて形成しているため、
この入出力用電極(16)(17)と、この入出力用電極(16)(1
7)に隣接する共振電極(11')(11')との相対向する電極長
(結合長)が、他の共振電極間のものよりガード電極(1
5)の幅だけ長くなる。このため、フィルタの周波数特性
において帯域内リップルの増加の原因となる。
【0019】このような不都合を解消するため、図4及
び図5に示すように入出力用電極(16)(17)に隣接する共
振電極(11')(11')の開放端の形状を工夫した。
【0020】図4の構成においては、共振電極(11')(1
1')の開放端の入出力用電極(16)(17)に隣接する側を、
ガード電極(15)の幅の長さ分だけ方形状に除去した形状
としている。このように各共振電極(11)(11')(11')及び
入出力用電極(16)(17)間の結合長を互いに等しくするこ
とにより、図6の周波数特性曲線に示すように帯域内リ
ップルが減少する(同図において、実線(A)は図4に示
すストリップ線路フィルタの特性曲線、破線(B)は図3
に示すストリップ線路フィルタの特性曲線である)。
【0021】また、図4のストリップ線路フィルタにお
いては、入出力用電極(16)(17)のステップ部(16a)(17a)
のテーパー角を、入出力用電極(16)(17)に隣接する共振
電極(11')(11')のステップ部(11a)(11a)のテーパー角と
異ならしめることにより、微妙な結合度の調整を行って
いる。これは、図4のような電極パターンにおいて、入
出力用電極(16)(17)と共振電極(11')(11')とのギャップ
を例えば200μm程度に狭く形成する必要がある場
合、ギャップ値を変更することによる結合度の制御が困
難となるからである。特に電極パターンをスクリーン印
刷にて形成する場合に、この方法は有効となる。
【0022】また、図5の構成は、入出力用電極(16)(1
7)に隣接する共振電極(11')(11')の開放端を斜めにカッ
トした形状とすることにより、各共振電極(11)(11')(1
1')及び入出力用電極(16)(17)間の結合長を等しくした
ものである。さらに、図5のストリップ線路フィルタに
おいては、各共振電極のステップ部にアールを施してい
る。
【0023】尚、以上説明したストリップ線路フィルタ
は、ストリップ線路をフォトリソグラフィによって形成
することにより、電極パターンの形成精度が向上し、フ
ィルタ特性のバラツキが減少する。
【0024】以下、簡単にフォトリソグラフィによるス
トリップ線路の形成方法を説明する。
【0025】先ず、図7((a)斜視図、(b)側断面図)
に示すように、誘電体基板(10)の全面に無電界メッキ法
により銅、銀等の金属層(18)を形成した後、フォトレジ
スト層(19)を形成し、さらに金属フィルム等からなる所
定の電極パターンが形成されたマスク(20)を被せ、フォ
トレジスト層(19)を感光させる。
【0026】次に、図8((a)斜視図、(b)側断面図)
に示すように、マスク(20)を外した後、フォトレジスト
層(19)の感光させた部分を除去し、さらにエッチングに
より金属層(18)の不要部分を除去することにより、所定
の電極パターンを得る。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、小型で且つQ値が高
く、優れた帯域内フラット特性を有すると共に共振周波
数のバラツキも少ないストリップ線路フィルタが提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例によるストリップ線路フィルタの上
面図である。
【図2】第2参考例によるストリップ線路フィルタの上
面図である。
【図3】第3参考例によるストリップ線路フィルタの上
面図である。
【図4】本発明実施例によるストリップ線路フィルタの
上面図である。
【図5】第4参考例によるストリップ線路フィルタの上
面図である。
【図6】本発明実施例及び第3参考例によるストリップ
線路フィルタの周波数特性曲線図である。
【図7】ストリップ線路フィルタの電極形成工程説明図
(その1)である。
【図8】ストリップ線路フィルタの電極形成工程説明図
(その2)である。
【図9】第1従来例によるストリップ線路フィルタの上
面図である。
【図10】第2従来例によるストリップ線路フィルタの
上面図である。
【図11】第3従来例によるストリップ線路フィルタの
上面図である。
【符号の説明】
(10) 誘電体基板 (11) (11') 共振電極 (11a) 共振電極のステップ部 (14) (15) ガード電極 (16) (17) 入出力用電極 (16a)(17a) 入出力用電極のステップ部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板の一方の表面に形成される接
    地電極と、 この誘電体基板の他方の表面にインターディジタル型に
    配設される複数個の共振電極と、 前記接地電極を前記共振電極形成面側にまで延在させる
    ことにより形成されると共に前記複数個の共振電極の短
    絡端が接続されるガード電極と、 前記共振電極形成面において一端が前記ガード電極に接
    続されると共に他端が前記誘電体基板の端縁まで延在す
    る入出力用電極とを備え、 前記各共振電極及び入出力用電極の開放端側の面積は、
    テーパー形状を有するステップ部を境にして短絡端側よ
    りも大きく形成され、 前記入出力用電極のステップ部のテーパー角は、該入出
    力用電極に隣接する共振電極のステップ部のテーパー角
    と異なることを特徴とするストリップ線路フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記各共振電極のステップ部のテーパー
    角は、互いにほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載
    のストリップ線路フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記各共振電極及び入出力用電極の結合
    長を互いに等しくするべく、前記入出力用電極に隣接す
    る共振電極の開放端側を非対称形状にしたことを特徴と
    する請求項2記載のストリップ線路フィルタ。
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