JP2864801B2 - 表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具部材 - Google Patents

表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具部材

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JP2864801B2 JP20645091A JP20645091A JP2864801B2 JP 2864801 B2 JP2864801 B2 JP 2864801B2 JP 20645091 A JP20645091 A JP 20645091A JP 20645091 A JP20645091 A JP 20645091A JP 2864801 B2 JP2864801 B2 JP 2864801B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速連続切削に使用
した場合は勿論のこと、一段と苛酷な条件でのフライス
切削などに使用した場合にも硬質被覆層の剥離を起しに
くく、優れた耐摩耗性と耐欠損性を示す表面被覆炭化タ
ングステン基超硬合金製切削工具部材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、炭化タングステン(以下、WC
で示す)基超硬合金基体の表面に、化学蒸着法(CVD
法)によりTiの炭化物、窒化物、および炭窒化物(以
下、それぞれTiC、TiNおよびTiCNで示す)の
うち1種の単層または2種以上の複層からなる硬質被覆
層を形成してなる表面被覆WC基超硬合金製切削工具部
材、あるいは、CVD法によりTiC、TiNおよびT
iCNのうち1種の単層または2種以上の複層からなる
下部層と炭酸化チタン、炭窒酸化チタン、窒化チタンお
よび酸化アルミニウム(以下、それぞれTiCO、Ti
CNO、TiNおよびAl2 3 で示す)のうち1種の
単層または2種以上の複層からなる上部層で構成された
硬質被覆層を形成してなる表面被覆WC基超硬合金製切
削工具部材、は知られている。
【0003】また、上記WC基超硬合金基体の表面に、
TiC、TiNおよびTiCNのうちの1種の単層また
は2種以上の複層をCVD法により形成する際に、反応
ガス中にAlCl3 をTiCl4 に対して0.1:1〜
5:1の割合で添加し、Alが固溶したTiC、TiN
およびTiCNのうち1種の単層または2種以上の複層
からなる硬質被覆層(以下、これらの硬質被覆層をAl
固溶硬質被覆層という)を形成してなる表面被覆切削工
具部材も知られている(特開昭62−146264号公
報参照)。
【0004】上記AlCl3 を添加して形成されるAl
固溶硬質被覆層は、従来のTiC、TiN、TiCNな
どの硬質被覆層よりも被覆時間が短くなるために硬質層
被覆切削工具のコスト低下に寄与し、さらに硬質被覆層
の結晶粒も微細化されて基体に対する付着力も向上する
ところから耐剥離性に優れた表面被覆切削工具部材を提
供することができ、最近、特に注目されはじめている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記AlCl
3 を反応ガス中に添加する割合を増加させると、硬質被
覆層に含まれるCl含有量も増加し、そのため硬質被覆
層の硬度および靭性が低下し、かかるClを含有したA
l固溶硬質被覆層を形成した切削工具を苛酷な条件で切
削に適用すると、摩耗が急激に進行するために使用に耐
えられなくなるという課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
かかる課題を解決すべく研究を行った結果、
【0007】(a)基体表面に形成するAl固溶硬質被
覆層に含まれるAl含有量を全体組成で1×10-5〜1
×10-3原子%に制限すると、Alとともに固溶するC
lの悪影響は無視することができ、Al固溶硬質被覆層
の硬度および靭性を低下せしめることはない、
【0008】(b)Al固溶硬質被覆層のAl含有量を
基体との界面部分で最大とし、硬質被覆層の表面に向っ
てAl含有量を減少せしめ、表面におけるAl含有量を
最小とし、さらに好ましくはその最小値は最大値の1/5
以下とすると、硬質被覆層の基体との界面部分の結晶粒
は微細化して基体に対する付着力は向上し、硬質被覆層
表面のAlおよびCl含有量が極めて少なくなるため
に、その部分の硬度および靭性はTiC、TiN、Ti
CNなどの硬質被覆層とほぼ同等またはそれ以上の水準
に維持され、したがって基体に上記濃度分布のAl固溶
硬質被覆層を形成すると硬度および靭性の優れた硬質被
覆層を強固に付着させることができる、などの知見を得
たのである。
【0009】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、全体組成でAl:1×10-5〜1×
10-3原子%含有するAl固溶硬質被覆層をWC基超硬
合金基体表面に被覆してなる表面被覆WC基超硬合金製
切削工具部材であって、上記Al固溶硬質被覆層のAl
含有量は基体との界面において最大となり、表面に向っ
て減少し表面で最小となり、さらに好ましくはその最小
値が最大値の1/5 以下となっている表面被覆WC基超硬
合金製切削工具部材に特徴を有するものである。
【0010】硬質被覆層に全体組成でAlを1×10-5
〜1×10-3原子%含有させるには、蒸着反応ガス中に
AlCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してもモル比で、 AlCl3 /TiCl4 =10-4〜10-2 となるように添加し、かつAlCl3 ガス添加量を反応
時間とともに減少させることにより達成される。
【0011】上記Al固溶硬質被覆層の平均層厚は0.
5〜20μmの範囲内にあることが好ましく、その層厚
が0.5μm未満では所望の耐摩耗性が得られず、一
方、その層厚が20μmを越えると、硬質被覆層に欠け
やチッピングが生じるので好ましくない。
【0012】さらに、上記Al固溶硬質被覆層を下部層
とし、上記下部層と上部層で構成された硬質被覆層をW
C基超硬合金製基体の表面に形成して切削工具部材を製
造することもできるが、この時形成される上部層の平均
層厚は0.1〜10μmの範囲内にあることが好まし
く、その層厚が0.1μm未満では所望の耐摩耗性を確
保することができず、一方、その層厚が10μmを越え
ると上部層に欠けやチッピングが生じるので好ましくな
い。
【0013】また、上記Al固溶硬質被覆層に含まれる
Al含有量が全体組成で1×10-5原子%未満では緻密
化による耐摩耗性、強度および基体に対する密着性を向
上させるに十分な効果が得られず、一方、1×10-3
子%を越えるとAl固溶硬質被覆層に多量のClも含ま
れるようになり、AlおよびClによる硬度および靭性
の低下を伴う特性劣化が顕著に現われはじめるので好ま
しくない。したがって、Al固溶硬質被覆層のAl含有
量は1×10-5〜1×10-3原子%に定めた。
【0014】また、上記Al固溶硬質被覆層のAl含有
量は、基体との界面において最大値をとり、表面に向っ
て減少し、表面で最小値をとるような濃度分布となるこ
とが必要であり、上記Al固溶硬質被覆層の表面におけ
るAl含有量の最小値は、基体との界面におけるAl含
有量の最大値の1/5 以下とすることにより一層すぐれた
効果が得られるのである。
【0015】
【実施例】この発明の表面被覆WC基超硬合金製切削工
具部材を実施例にもとづいて具体的に説明する。
【0016】表1に示される配合組成とほぼ同一組成を
有し、JIS・SNG432に相当する形状をもったス
ローアウエイチップを作製し、これらスローアウエイチ
ップをWC基超硬合金基体A〜Eとして用意した。
【0017】
【表1】
【0018】実施例1 上記WC基超硬合金基体Aを通常の化学蒸着装置に装入
し、上記化学蒸着装置内部を、温度:1030℃、圧
力:100Torrに保持し、基本反応ガス:4%TiCl
4 −5%CH4 −残りH2 を流しながら、同時にAlC
3 ガスをTiCl4 ガスに対して、反応開始時にモル
比でAlCl3 /TiCl4 =8×10-3となるように
添加し、上記AlCl3 ガス量を反応時間とともに減少
させ、反応終了時のAlCl3 ガス添加量がモル比でA
lCl3 /TiCl4 =8×10-4となるように供給
し、平均層厚:8μmのAl固溶TiC層からなる硬質
被覆層を形成することにより本発明被覆切削工具1を作
製した。
【0019】得られた本発明被覆切削工具1の上記硬質
被覆層に含まれるAlの全体組成、最内面および最外面
におけるAl含有量をIMAによる深さ方向分析により
測定し、それらの測定結果を表2に示した。
【0020】実施例2 上記WC基超硬合金基体Eを通常の化学蒸着装置に装入
し、上記化学蒸着装置内部を、温度:1030℃、圧
力:100Torrに保持し、基本反応ガスとして4%Ti
Cl4 −5CH4 −残りH2 を流し、続けて上記化学蒸
着装置内部を、温度:980℃、圧力:100Torrに保
持し、基本反応ガス:4%TiCl4 −8%N2 −残り
2 を流しながら、同時にAlCl3 ガスも添加して流
し、上記AlCl3 ガスとTiCl4 ガスに対して、反
応開始時にモル比でAlCl3 /TiCl4 =1×10
-2となるように添加し、反応時間とともに減少させ、反
応終了時のAlCl3 ガス量がモル比でAlCl3 /T
iCl4 =5×10-3となるように供給し、平均層厚:
3μmのAl固溶TiC層(第1層)および平均層厚:
1μmのAl固溶TiN層(第2層)からなる硬質被覆
層を形成し、本発明被覆切削工具2を作製した。
【0021】得られた本発明被覆切削工具2の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含有
量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外面
におけるAl含有量(第2層の最外面におけるAl含有
量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それら
の測定結果を表2に示した。
【0022】実施例3 上記WC基超硬合金基体Bを通常の化学蒸着装置に装入
し、上記化学蒸着装置内部を、温度:1030℃、圧
力:100Torrに保持し、基本反応ガス:4%TiCl
4 −5%CH4 −残りH2 を流し、続けて上記化学蒸着
装置内部を温度:1000℃、圧力:100Torrに保持
し、基本反応ガス:4%TiCl4 −3%CH4 −4%
2 −残りH2 を流し、さらに続けて、温度:1030
℃、圧力:100Torrの条件で、基本反応ガス:4%T
iCl4−5%CH4 −残りH2 を、温度:980℃、
圧力:100Torrに保持し、基本反応ガス:4%TiC
4 −8%H2 −残りH2 を流し、同時にAlCl3
スをTiCl4 ガスに対して、反応開始時にモル比でA
lCl3 /TiCl4 =7×10-3となるように添加
し、上記AlCl3 ガス供給量を反応時間とともに減少
させ、反応終了時のAlCl3 ガス添加量がモル比でA
lCl3 /TiCl4 =1×10-3となるように供給
し、 平均層厚:1μmのAl固溶TiC層(第1層)、 平均層厚:1μmのAl固溶TiCN層(第2層)、 平均層厚:6μmのAl固溶TiC層(第3層)、 平均層厚:1μmのAl固溶TiN層(第4層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具3を
作製した。
【0023】得られた本発明被覆切削工具3の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAlの含
有量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外
面におけるAl含有量(第4層の最外面におけるAl含
有量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それ
らの測定結果を表2に示した。
【0024】実施例4 上記WC基超硬合金基体Dを用い、実施例2に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-3、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:2μmのAl固溶TiN層(第1層)、 平均層厚:5μmのAl固溶TiC層(第2層)、 平均層厚:2μmのAl固溶TiN層(第3層) を形成し、本発明被覆切削工具4を作製した。
【0025】得られた本発明被覆切削工具4の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含有
量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外面
におけるAl含有量(第3層の最外面におけるAl含有
量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それら
の測定結果を表2に示した。
【0026】実施例5 上記WC基超硬合金基体Cを用い、実施例3に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =5×10-4、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:1μmのAl固溶TiC層(第1層)、 平均層厚:0.5μmのAl固溶TiN層(第2層)、 平均層厚:5μmのAl固溶TiCN層(第3層) 平均層厚:1μmのAl固溶TiN層(第4層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具5を
作製した。
【0027】得られた本発明被覆切削工具5の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含有
量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外面
におけるAl含有量(第4層の最外面におけるAl含有
量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それら
の測定結果を表2に示した。
【0028】実施例6 上記WC基超硬合金基体Bを用い、実施例3に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =5×10-3、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =5×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:2μmのAl固溶TiC層(第1層)、 平均層厚:1μmのAl固溶TiCN層(第2層)、 平均層厚:5μmのAl固溶TiC層(第3層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具6を
作製した。
【0029】得られた本発明被覆切削工具6の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含有
量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外面
におけるAl含有量(第3層の最外面におけるAl含有
量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それら
の測定結果を表2に示した。
【0030】実施例7 上記WC基超硬合金基体Aを用い、実施例1に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-2、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-3 となるように反応時間とともに減少するように供給し、
平均層厚:6μmのAl固溶TiC層(単層)からなる
硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具7を作製し
た。
【0031】この本発明被覆切削工具7の硬質被覆層に
含まれるAlの全体組成、最内面および最外面における
Al含有量をIMAによる深さ方向分析により測定し、
それらの測定結果を表2に示した。
【0032】実施例8 上記WC基超硬合金基体Cを用い、実施例3のTiCN
層を得るための温度および圧力下で基本反応ガスを流し
ながら、同時にAlCl3 ガスをTiCl4 ガスに対し
てモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =6×10-3、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、
平均層厚:10μmのAl固溶TiCN層(単層)から
なる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具8を作製
した。
【0033】この本発明被覆切削工具8の硬質被覆層に
含まれるAlの全体組成、最内面および最外面における
Al含有量をIMAによる深さ方向分析により測定し、
それらの測定結果を表2に示した。
【0034】実施例9 上記WC基超硬合金基体Eを用い、実施例3に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =6×10-3、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =8×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:1μmのAl固溶TiN層(第1層)、 平均層厚:1μmのAl固溶TiCN層(第2層)、 平均層厚:6μmのAl固溶TiN層(第3層)、 平均層厚:1μmのAl固溶TiC層(第4層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具9を
作製した。
【0035】得られた本発明被覆切削工具9の硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含有
量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外面
におけるAl含有量(第4層の最外面におけるAl含有
量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それら
の測定結果を表2に示した。
【0036】実施例10 上記WC基超硬合金基体Dを用い、実施例3に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =3×10-3、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =3×10-4 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:2μmのAl固溶TiC層(第1層)、 平均層厚:2μmのAl固溶TiCN層(第2層)、 平均層厚:2μmのAl固溶TiC層(第3層)、 平均層厚:2μmのAl固溶TiCN層(第4層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具10
を作製した。
【0037】得られた本発明被覆切削工具10の硬質被
覆層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含
有量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外
面におけるAl含有量(第4層の最外面におけるAl含
有量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それ
らの測定結果を表2に示した。
【0038】実施例11 上記WC基超硬合金基体Bを用い、実施例3に示される
温度および圧力で基本反応ガスを流しながら、同時にA
lCl3 ガスをTiCl4 ガスに対してモル比で、 反応開始時:AlCl3 /TiCl4 =1×10-2、 反応終了時:AlCl3 /TiCl4 =5×10-3 となるように反応時間とともに減少するように供給し、 平均層厚:3μmのAl固溶TiCN層(第1層) 平均層厚:6μmのAl固溶TiC層(第2層) からなる硬質被覆層を形成し、本発明被覆切削工具11
を作製した。
【0039】得られた本発明被覆切削工具11の硬質被
覆層に含まれるAlの全体組成、最内面におけるAl含
有量(第1層の最内面におけるAl含有量)および最外
面におけるAl含有量(第2層の最外面におけるAl含
有量)をIMAによる深さ方向分析により測定し、それ
らの測定結果を表2に示した。
【0040】比較例1 実施例1において、AlCl3 ガスをTiCl4 ガスに
対してモル比でAlCl3 /TiCl4 =2×10
-3(一定)となるように供給し、平均層厚:10μmの
Al固溶TiC層からなる硬質被覆層を形成して比較被
覆切削工具1を作製し、この比較被覆切削工具1の上記
硬質被覆層に含まれるAlの全体組成、最内面および最
外面におけるAl含有量をIMAによる深さ方向分析に
より測定し、それらの測定結果を表2に示した。
【0041】比較例2 実施例8において、AlCl3 ガスをTiCl4 ガスに
対してモル比でAlCl3 /TiCl4 =8×10
-5(一定)となるように供給し、平均層厚:10μmの
Al固溶TiCN層からなる硬質被覆層を形成して比較
被覆切削工具2を作製し、この比較被覆切削工具2の上
記硬質被覆層に含まれるAlの全体組成、最内面および
最外面におけるAl含有量をIMAによる深さ方向分析
により測定し、それらの測定結果を表2に示した。
【0042】比較例3 実施例2において、AlCl3 ガスをTiCl4 ガスに
対してモル比でAlCl3 /TiCl4 =5×10
-2(一定)となるように供給する以外は実施例2と全く
同一条件で同一平均層厚のTiC層(第1層)およびT
iN層(第2層)からなる硬質被覆層を形成して比較被
覆切削工具3を作製し、比較切削工具3の上記硬質被覆
層に含まれるAlの全体組成、最内面および最外面にお
けるAl含有量をIMAによる深さ方向分析により測定
し、それらの測定結果を表2に示した。
【0043】比較例4 実施例3において、AlCl3 ガスをTiCl4 ガスに
対してモル比でAlCl3 /TiCl4 =3×10
-2(一定)となるように供給する以外は実施例3と全く
同一条件で同一平均層厚のTiC層(第1層)、TiC
N層(第2層)、TiC層(第3層)およびTiN層
(第4層)からなる硬質被覆層を形成して比較被覆切削
工具4を作製し、この比較被覆切削工具4の硬質被覆層
に含まれるAlの全体組成、最内面および最外面におけ
るAl含有量をIMAによる深さ方向分析により測定
し、それらの測定結果を表2に示した。
【0044】このようにして作製された本発明被覆切削
工具1〜11および比較切削工具1〜4について、 切削材:SNCM439(硬さ:HB 260)、 切削速度:200m/min 、 送り:0.3mm/刃、 切込み/1.5mm、 切削時間:15min 、 冷却油:なし、 の条件で鋼のフライス切削試験を行ない、切刃の逃げ面
摩耗幅を測定するとともに、切刃状況も観察し、これら
の測定結果も表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】表2に示された結果から、本発明切削工具
1〜11は、いずれも15分間のフライス切削に対して
摩耗状況は正常摩耗となるに対し、Al含有量が全体組
成でこの発明の条件をみたしても最内面と最外面の間に
濃度差のない硬質被覆層を有する比較被覆切削工具1、
Al含有量の全体組成がこの発明の条件から外れている
比較被覆切削工具2〜4は、いずれも15分間のフライ
ス切削に耐えられず、15分以内に異常摩耗またはチッ
ピングが発生することがわかる。
【0047】なお、上記実施例1〜11および比較例1
〜4で得られた本発明切削工具1〜11および比較切削
工具1〜4について、高速連続切削試験を特に行ってい
ないが、前述の苛酷なフライス切削試験に耐え得ること
は上記高速連続切削試験に対しても十分な耐摩耗性を発
揮しうることを示唆している。
【0048】従来例1〜7 表1に示されるWC基超硬合金基体の表面に、直接下記
の条件でAlを含まないTiC、TiN、TiCN、T
iCO、TiCNOおよびAl2 3 のうちの単層また
は2種以上の複層を被覆し、表3に示される従来被覆切
削工具1〜7を作製した。
【0049】上記TiC、TiN、TiCN、TiC
O、TiCNOおよびAl2 3 の硬質層を化学蒸着法
により形成する条件は、次の通りである。
【0050】(a) TiCの場合 温 度:1030℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −5%CH4 −91%H
2 、 (b) TiNの場合 温 度:980℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −8%N2 −88%
2 、 (c) TiCNの場合 温 度:1000℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −3%CH4 −4%N2
−89%H2 、 (d) TiCOの場合 温 度:1000℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −6%CO−90%
2 、 (e) TiCNOの場合 温 度:1000℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:4%TiCl4 −3%CO−3%N2
90%H2 、 (f) Al2 3 の場合 温 度:1000℃、 圧 力:100torr、 反応ガス組成:3%AlCl3 −5%CO2 −92%H
2
【0051】
【表3】
【0052】実施例12〜18 上記実施例5〜11で作製された本発明被覆切削工具5
〜11の硬質被覆層を下部層とし、この下部層の上にさ
らに表4に示される平均層厚を有するAlを含まないT
iCO、TiN、TiCNOおよびAl2 3 のうちの
1種または2種以上を上記従来例1〜7で示した条件と
全く同一条件にて上部層を被覆し、本発明被覆切削工具
12〜18を作製した。
【0053】
【表4】
【0054】このようにして作製された従来被覆切削工
具1〜7および本発明被覆切削工具12〜18について
も、上記実施例1〜11で行った試験条件と同一のフラ
イス切削試験を行ない、切刃の逃げ面摩耗幅を測定する
とともに、切刃状況も観察し、これらの結果を表5に示
した。
【0055】
【表5】
【0056】表3〜表5に示される結果から、Alを含
まない硬質被覆層のみからなる従来被覆切削工具1〜7
は、15分以内にチッピングが発生するに対し、全体組
成で1×10-5〜1×10-3原子%のAlを含有する下
部層を形成した本発明被覆切削工具12〜18は、いず
れも15分間のフライス切削に対して摩耗状況は正常摩
耗となることがわかる。
【0057】また、上記苛酷な条件のフライス切削試験
に耐えることのできる本発明被覆切削工具12〜18
は、高速連続切削に対しても十分な耐摩耗性を発揮でき
ることを示唆している。
【0058】
【発明の効果】この発明の表面被覆炭化タングステン基
超硬合金製切削工具部材は、硬質被覆層に直接衝撃が加
わるフライス切削などの苛酷な切削に対しても異常摩耗
またはチッピングが発生せず、優れた工具寿命を示すの
で切削分野において格別な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ローランド・ハウブナー オーストリア国A−1060ウィーン・ゲト ライデマルクト9 ウィーン工科大学内 (56)参考文献 特開 昭62−146264(JP,A) 特開 平4−256503(JP,A) 特開 昭55−131446(JP,A) 特公 昭62−47121(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 27/14 C22C 29/08 C23C 16/30 C23C 30/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
    に、Tiの炭化物、窒化物および炭窒化物のうち1種の
    単層または2種以上の複層からなる平均層厚:0.5〜
    20μmの硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具
    部材において、 上記硬質被覆層は、全体組成で1×10-5〜1×10-3
    原子%のアルミニウム(以下、Alと記す)を含有し、
    かつ上記Al含有量は基体との界面において最大とな
    り、表面に向って減少し表面で最小となっていることを
    特徴とする表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削
    工具部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬質被覆層の表面におけ
    るAl含有量は、基体との界面におけるAl含有量の1/
    5 以下となっていることを特徴とする表面被覆炭化タン
    グステン基超硬合金製切削工具部材。
  3. 【請求項3】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
    に、Tiの炭化物、窒化物および炭窒化物のうち1種の
    単層または2種以上の複層からなる平均層厚:0.5〜
    20μmの下部層と、 炭酸化チタン、炭窒酸化チタン、窒化チタンおよび酸化
    アルミニウムのうちの1種の単層または2種以上の複層
    からなる平均層厚:0.1〜10μmの上部層で構成さ
    れた硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具部材に
    おいて、 上記下部層は、1×10-5〜1×10-3原子%のAlを
    含有し、かつ上記Al含有量は基体との界面において最
    大となり、表面に向かって減少し表面で最小となってい
    ることを特徴とする表面被覆炭化タングステン基超硬合
    金製切削工具部材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の下部層の上部層との界面
    におけるAl含有量は、基体との界面におけるAl含有
    量の1/5 以下となっていることを特徴とする表面被覆炭
    化タングステン基超硬合金製切削工具部材。
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