JP2864532B2 - 車室内騒音の低減装置 - Google Patents

車室内騒音の低減装置

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JP2864532B2
JP2864532B2 JP1128067A JP12806789A JP2864532B2 JP 2864532 B2 JP2864532 B2 JP 2864532B2 JP 1128067 A JP1128067 A JP 1128067A JP 12806789 A JP12806789 A JP 12806789A JP 2864532 B2 JP2864532 B2 JP 2864532B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車室内騒音の低減装置に関し、特に周期的な
音源を有する自動車等の閉空間内の低周波の騒音をアク
ティブに低減する装置に関するものである。
〔従来の技術〕
自動車等の車室内の騒音は、閉空間を形成する車室が
一定の条件下で共振現象を起こすことに因るものであ
り、その原因たる起振力はエンジンの回転振動成分等に
よるものと考えられている。
このような騒音を低減させるための対策として当初採
られていた手段は、パッシブ(受動的)なものであり、
例えば振動源であるエンジン系に対して結合剛性を向上
させ、伝達系に対しては各マウントのチューニングを行
い、車室内の発音体に対してはパネル剛性アップを図
り、更に共振対策として、マスダンパー、ダイナミック
ダンパー等を共振部分に施していた。
このようなパッシブな手段では、コストの上昇及び重
量の増大を招きながら、その効果は充分満足できるもの
ではなかった。
このため、特開昭48−82304号公報や特開昭59−9699
号公報等においてアクティブに騒音を低減できる装置が
提案されている。
特に、後者の特開昭59−9699号公報では、こもり音が
問題となる4気筒車両について述べられており、エンジ
ン回転の2次成分(爆発1次成分)としてイグニッショ
ンパルスを検出し、このパルス信号を種々処理し、車室
内のドライバーの受聴点で観測される騒音の各周波数成
分(回転次数成分)の逆位相で且つ大きさが騒音成分と
同じになる音をスピーカから別途付加することにより、
干渉効果で受聴点での騒音レベルを相殺・低減してい
る。
〔発明を解決しようとする課題〕
しかしながら、上記の従来例は、車室内騒音の内、エ
ンジン回転の2次成分(爆発2次成分)に起因するこも
り音のみを低減するための装置であり、エンジンの爆発
(回転)による回転2次成分(爆発1次成分)以外の回
転次数成分(爆発次数成分)に起因する騒音成分が存在
しても除去することができず、騒音低減が最適なものと
ならない。
また、車両のエンジン系、マウント系、電気系等の経
時的な変化や、電気信号系の温度特性の変化、更には乗
員の変化、車室内温度等の変化、及び何らかの外乱の侵
入等に絶えず対処することができないか、又は制御の即
応性が得られないという問題点があった。
従って、本発明は、車室内におけるこもり音だけでな
くこもり音以外の騒音成分も併せて除去でき且つ車両条
件の種々の変化に即応できる装置を実現することも目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明に係る車室内騒音
の低減装置では、エンジンの爆発による回転次数成分の
検出手段と、該回転数次数成分に対応して設けられ正弦
波出力を発生する複数の発振器と、該検出手段により検
出されたエンジン回転数に対応する所定の回転次数成分
の発振器の正弦波出力を該エンジン回転に同期させると
共に該エンジン回転数毎に予め記憶した該所定の回転次
数成分における位相・音圧制御量により該正弦波出力を
それぞれ加工する制御手段と、該制御手段の出力を増幅
してスピーカを駆動する増幅器と、車室内騒音のレベル
を検出するマイクと、該マイク出力を通過させる各回転
次数成分のフィルタとを備え、該制御手段が該エンジン
回転数に応じて各フィルタの周波数を決定し該フィルタ
出力と各回転次数成分毎の音圧の目標標準レベルを比較
して該騒音のレベルが該目標標準レベルを下回るように
該位相・音圧制御量を補正するものである。
〔作用〕
第12図は4気筒エンジンの爆発に起因する回転1〜8
次成分の音圧レベルを示したウォータ・フォール図で、
これらの回転次数成分が車室内騒音をもたらすが、これ
らの回転次数成分は、ピストンの慣性力とシリンダー内
の爆発力に基づいて発生するものである。
従って、このような各回転次数成分をもたらすエンジ
ンの着火(点火)時点を求め、更にこの着火(点火)時
点から受聴点である耳元までに達する遅れ時間ti(第13
図(a)参照)を予め求めておりてその着火(点火)時
点に同期した発振器からの正弦波信号の位相を制御すれ
ばエンジンの車室内騒音成分を低減することができる。
一方、第13図(a)に示す該回転次数成分についての
上死点(以下、TDCと言う)から受聴点である耳元まで
の時間αはエンジンマウント→キャブ→車室空間という
非線形特性の伝達ルートによるもので略一定の時間と考
えられる。
そこで、エンジン回転(TDC)に同期した発振器から
の正弦波信号の位相を各回転次数成分毎にどの位進ませ
れば着火(点火)時点からTDCまでの時間ti−αになっ
て騒音が低減されるかをエンジン回転数に対応して予め
測定して制御手段に位相制御量として記憶しておけばよ
い。
また、騒音を最適に低減するには、位相の制御だけで
なく、騒音の音圧に対応した音圧制御(逆相制御)も必
要となるので、音圧についても位相と同様に各回転次数
成分毎にエンジン回転数に対応して予め測定して制御手
段に音圧制御量として記憶しておく。
そして、第12図に示す各回転次数成分について発振器
を用意し、これらの回転次数成分の内の特に音圧レベル
の高い成分を選び、この中でエンジンの回転次数成分の
検出手段によって検出されたエンジン回転数に該当する
全ての回転次数成分に対応した発振器を制御手段が付勢
し且つその正弦波出力信号をエンジン回転に同期させ
る。
また、制御手段に記憶された位相制御量及び音圧制御
量の内、検出された現在のエンジン回転数に該当する上
記所定の回転数次数成分における位相制御量及び音圧制
御量が出力される。
そして、制御手段は、この位相制御量及び音圧制御量
により対応する各回転数次数成分の発振器の正弦波出力
信号をそれぞれ加工し、これらの加工した信号を増幅器
で増幅することにより、スピーカからは所定の回転次数
成分の騒音を消去できる信号成分が出力されることとな
る。
このようにしてフィードフォワード制御によりスピー
カから出力される信号は全ての回転次数成分の騒音を制
御偏差無く低減できるのが理想であるが、上述のように
車両条件が種々変化するので、これに即応するにはスピ
ーカ出力に更にフィードバックを掛けて補正する必要が
ある。
このため、本発明では、上記の制御でも相殺し切れな
いで残存しているエンジン回転(爆発)による車室内騒
音を拾うマイクを設け、このマイクで拾った信号を制御
手段にフィードバックし、この制御手段では騒音レベル
と各回転次数成分毎に予め求めた音圧の目標標準レベル
を比較して該騒音のレベルが該目標標準レベルを下回る
ように上記で求めた位相制御量及び音圧制御量を補正し
て、より完全な形で然も迅速に車室内騒音を低減する。
そして、特にこの場合、マイクの出力を通過させるた
めのフィルタを各回転次数成分毎に設け、制御手段はエ
ンジンの回転数検出手段からのエンジン回転数に応じて
各回転次数成分における制御対象周波数中の各フィルタ
の通過周波数を決定して各フィルタに与え、各フィルタ
を通過した出力を各回転次数成分毎に設定した音圧の目
標標準レベルを比較して該騒音のレベルが該目標標準レ
ベルを下回るように補正動作を行う。
従って、各回転次数成分の帯域が狭まることとなり、
精度の良いフィードバック制御が実現できる。
〔実施例〕
第1図は本発明に係る車室内騒音の低減装置の全体的
な構成を示したもので、1は自動車、2は自動車1のエ
ンジン、3はエンジン2のクランク角センサ、4はエン
ジン2に設置した温度センサ、5はセンサ3及び4の出
力により所定の演算を行う制御手段としてのコントロー
ラ、61〜6n(n>1)は第12図に示した各回転次数(1
〜8次)成分に対応してコントローラ5内に用意されエ
ンジン回転に周期した正弦波信号を出力するn個の発振
器、7はコントローラ5からの発振器61〜6nの各出力を
増幅すると共に合成してスピーカ8を駆動するための増
幅器、9は車室内騒音の音圧レベルを検出するためのマ
イク、そして101〜10nはコントローラ5に接続され発振
器61〜6nに対応して各回転次数成分毎に設けられた帯域
通過ディジタルフィルタ(B.P.F.)である。尚、この実
施例においては、エンジンは4気筒のものを用い、クラ
ンク角センサ3は第2図に示すように、例えばクランク
軸11と同軸上に設けた磁性歯車12の基準時間内の回転歯
車数から各回転次数成分を検出する手段を構成してい
る。また、エンジン温度センサ4の信号線を点線で示し
たのは不可欠なものではないからである。
第2図は、第1図に示した車室内騒音の低減装置にお
いて特にコントローラ5を機能ブロックで示した実施例
で、クランク角センサ3からのエンジン回転数パルスを
カウントするカウンタ部51と、このエンジン回転数(と
必要に応じて温度センサ4からのエンジン温度と)を入
力して種々の条件判定を行う条件判定部52と、この条件
判定部52からの条件(エンジン回転数、温度)に応じて
エンジン回転数の各次数成分についての位相制御量φ及
び音圧制御量Gを出力するROM53と、発振器61〜6nから
の各正弦波出力信号の位相をROM53からの各位相制御量
φにより制御する位相制御部54と、発振器61〜6nからの
各正弦波出力信号の音圧をROM53からの音圧制御量Gに
より制御する音圧制御部55と、位相・音圧制御された発
振器61〜6nの各正弦波出力信号の所望周波数成分のみを
通過させて増幅器7に送る帯域通過ディジタルフィルタ
(B.P.F.)56とで構成されている。
尚、57はマイク9の出力信号を増幅する増幅器(プリ
アンプ)であり、この増幅器57の出力を帯域通過フィル
タ10〜〜10nが、クランク角センサ3からのエンジン
回転数に応じて条件判定部52で判定された周波数帯域に
より1〜nの各回転次数成分毎の適宜帯域通過させて位
相制御部54及び音圧制御部55に与えるようになってい
る。
また、第2図においては、帯域フィルタ56及び増幅器
7も位相制御部54及び音圧制御部55のn個分の出力をそ
れぞれ個別に処理し、これらを増幅器7で合成してスピ
ーカ8に与えるように構成してもよい。
更に、位相制御部54は発振器61〜6nの出力をROM53の
出力により加工する位相加工部54a1〜54anと、これらの
位相加工部54a1〜54anの出力を更にフィルタ101〜10n
出力により補正する位相補正部54b1〜54bnとを含んでお
り、音圧制御部55は発振器61〜6nの出力をROM53の出力
により加工する音圧加工部55a1〜55anと、これらの音圧
加工部55a1〜55anの出力を更にフィルタ101〜10nの出力
により補正する音圧補正部55b1〜55bnとを含んでいる。
次に第2図に示す温度センサ4によるエンジン温度を
用いない場合の実施例の動作を説明する。
まず、カウンタ部51は、クランク角センサ3からのエ
ンジン回転数パルス(TDCに対応したもの)をカウント
して条件判定部52に与え、このエンジン回転数を入力し
た条件判定部52はそのエンジン回転数に対応して予め選
択した回転次数成分に対応して発振器61〜6nの内から選
択した発振器からそれぞれ各正弦波出力信号がエンジン
回転のTDCに同期して発生されるように制御する。
この場合に予め選択する回転次数成分を第12図の立体
グラフ図(ウォーター・フォール図)で説明すると、図
示の回転1〜8次成分はエンジン回転(爆発)に因るも
のであり、この内、本実施例では図示のように回転2〜
4(2/2.5/3/3.5)次成分のうちのA〜Hが最も車室内
騒音の音圧レベルが高く突出しているものとして着目し
選択する。
このため、n個の発振器61〜6nは61〜64の4個(n=
4)用意すればよく、第12図のエンジン回転数の制御範
囲では回転2次成分の部分Aに対応する発振器61、制
御範囲では回転4次成分の部分Gに対応する発振器
64、制御範囲では回転2次成分の部分Bと回転4次成
分の部分Gに対応する発振器61,64)、そして制御範囲
では回転2次成分の部分Cと回転2.5次成分の部分D
と回転3次成分の部分Eと回転3.5次成分の部分Fと回
転4次成分の部分Hに対応する発振器61〜64が選択され
且つエンジン回転に同期した正弦波出力信号が発生され
ることとなる。
従って、条件判定部52では、クランク角センサ3によ
って検出されるエンジン回転数が第12図の制御対象範囲
に属していることを確認したときには、ROM53の中から
全ての回転次数成分(2/2.5/3/3.5次成分)における現
在のエンジン回転数に対応する回転次数成分の各々にお
ける位相制御量φと音圧制御量Gとを選択して読み出
す。
ここで、ROM53について説明すると、このROM53に記憶
されたマップは、第12図の各回転次数成分における突出
部分が小さくなるように位相と音圧の制御量(発振器か
らの正弦波出力を基準としての制御量)をそれぞれ実験
的に求めたものであり、例えばn個の発振器の内のいず
れか1つだけ出力を可変とし他の発振器を固定すること
により、その可変制御器に係る回転次数成分におけるエ
ンジン回転数に対して求めた位相制御量φ及び音圧制御
量Gで形成されている。
このようにして形成されたROM53においては、条件判
定部52からのエンジン回転数に該当する全ての回転次数
成分における位相制御量φ及び音圧制御量G(逆位相)
が出力されて位相制御部54及び音圧制御部55の加工部54
a1〜54an及び加工部55a1〜55anにそれぞれ与えられ、発
振器61〜6nからのエンジン回転(TDC)に同期した各正
弦波出力信号を加工して位相を対応する所定値分だけ遅
らせ、音圧を最大限低減させるような原波形で帯域通過
フィルタ56を介して増幅器7に与える。増幅器7では入
力信号を最適な音量にした上、合成してスピーカ8から
出力させる。
このようにしてスピーカ8から出力される音圧レベル
はこもり音を始めとしてエンジン回転が原因となってい
る車室内の種々の騒音を相殺することができるが、車両
のリアルタイムの騒音変化に対しては依然不完全であ
る。
そこで、相殺されずに依然残存する車室内騒音マイク
9によって検出し、この検出した音圧レベルを増幅器57
で増幅して各次数成分毎の帯域通過フィルタ101〜10n
所定の帯域に絞り、補正部54b1〜54bn及び補正部55b1
55bnがそれぞれの回転次数成分について発振器61〜6n
出力を加工部54a1〜54an及び加工部55a1〜55anで加工し
た値を更に補正してスピーカ8に与えるようにしてフィ
ードバックを掛ける。尚、上記の実施例ではn=4であ
る。
帯域通過フィルタ101〜10nの動作については、まず条
件判定部52が第3図に示すように、クランク角センサ3
からのエンジン回転数を読み込み(ステップT1)、この
エンジン回転数に対応した各次数成分毎の周波数帯域を
第12図のマップより決定し(ステップT2)、そして、こ
の決定した周波数帯域を各フィルタ101〜10nに与える
(ステップT3)ことにより実行される。
ここで、第12図を見ると、エンジン回転2次成分の場
合には、領域A,B,Cが制御対象領域であるが、例えば図
示のエンジン回転数Xrpmでは領域Cの内の約110Hzをフ
ィルタ周波数として2次成分用に割り当てたフィルタ10
1に与える。第12図に示すように、4次成分の領域Hま
で制御の対象とすると、Xrpmの場合には、2次成分の領
域Cと、2.5次成分の領域Dと、3次成分の領域Fと、
4次成分の領域Hのエンジン回転数に対する通過周波数
帯域を各フィルタ101〜104に設定することとなる。
但し、この時、エンジン回転数毎に正確に通過帯域を
決定する必要はなく、例えばエンジン回転数を30rpm又
は60rpm等のように或る程度の幅を持たせても良い。
このように周波数帯域が設定されて各フィルタに与え
ると、各フィルタでは、この与えられた周波数を基にデ
ィジタルフィルタとしての帯域通過フィルタ101〜104
そのタップ係数(図示せず)を制御して各周波数帯域の
マイク出力のみを通過させ、補正部54b1〜54bn及び補正
部55b1〜55bnに送ることとなる。
従って、例えば第13図において400Hzまでの回転2次
〜4次成分を制御対象としてフィルタを全次数成分に共
通の固定型のもの1つしか用いない場合に比べると、各
フィルタの周波数帯域を狭めることができ、ノイズに対
して良好な特性が得られることになる。
第4図は補正部54b1〜54bn及び補正部55b1〜55bnでの
補正アルゴリズムを示すフローチャートであり、以下、
第4図により本発明の補正動作を説明する。尚、この補
正動作は各補正部毎に順次行ってもよいが、同時に行う
方がより即応性に優れている。
まず、補正部54b1〜54bnでは目標値を決定する(ステ
ップS1)。
この目標値を決定するため、補正部54b1〜54bnには、
第5図に示すように、エンジン回転数に対応して各回転
次数成分毎に予め実験により求めたアクティブ制御の効
果を充分感じることができる音圧の目標標準レベルSTD
(但し、これはあくまでもフィードバック制御開始時の
最初の目標値であって最適値であるとは限らない)が記
憶されており、現在のエンジン回転数に応じての目標音
圧レベルが決定される。
次に、この目標音圧レベルSTDと、マイク9により検
出した実際の音圧レベルxi(iは検出時の時刻)とを比
較し(ステップS2)、この目標値STDを検出レベルxi
下回っているときには既に充分な騒音消去処理が行われ
たとして、このフィードバック処理を終了する(ステッ
プS3)が、そうでないときには、位相補正を実行する
(ステップS4)。この場合、位相補正量の1単位を予め
決めておき、その+m倍の位相補正量だけ各加工部54a1
〜54anの出力を位相補正する。これは、大きく制御する
ことにより目標値の方向を見つけて制御する方向を見極
めるためである。
この位相補正により検出音圧xiが目標値STDを切った
か(下回ったか)をチェックし(ステップD5)、STDを
切っているときには、今度は制御幅を小さくして+1単
位分だけ位相補正し(ステップS6)、現在の値と前回の
値とを比較することにより検出音圧が同じとなる値を検
出する(ステップS7、S8)。
ステップS5で検出音圧xiが目標値STDを切っていない
場合には、制御方向が逆であると判断して逆方向に単位
位相制御量のm倍の位相補正を同様にして行う(ステッ
プS9)。
この位相補正により検出音圧xiが目標値STDを切った
か(下回ったか)をチェックし(ステップS10)、STDを
切っているときには、今度は制御幅を小さくして−1単
位分だけ位相補正し(ステップS11)、現在の値と前回
の値とを比較することにより検出音圧が同じとなる値を
検出する(ステップS12、S13)。
上記の制御の様子が第6図のグラフに示されており、
各補正部に記憶してある目標値STDは実線で示され、こ
の目標値STDを最初の目標として検出された音圧xiは制
御され、最終的には目標値STDを越えた値(点線で示
す)を最適値、即ち最小値とする制御が行われることと
なる。
尚、このようにして求めた最適値を次回の制御に用い
るように学習を行えばより好ましい。
このようにして補正部54b1〜54bnでの位相補正動作を
行った後は、ステップS14において補正部55b1〜55bn
おける上記のステップS1〜S13と全く同様の制御を音圧
について実行する。
第7図は他の実施例を示したもので、この実施例で
は、第1図に点線で示した温度センサ4からのエンジン
温度を用いてより精密な騒音の低減を行おうとするもの
である。
即ち、第13図(a)に示した遅れ時間tiは同図(b)
〜(d)のt1〜t3に示すようにエンジン温度が高くなる
に従って大きくなる(ディーゼルエンジンの場合の着火
時点が遅れる)。
これは、温度が下がると、噴射時点から着火に至るま
でに必要な燃料の霧化及び燃焼室温度の上昇までに時間
が掛かるためである。
そこで、車室内騒音の位相制御に際しては、温度を加
味した制御が必要となる。
また、車室内騒音を最適に低減するには、位相の制御
だけでなく、車室内騒音に対応した音圧制御(逆相制
御)も必要となるが、この音圧に関しても温度変化の影
響を受ける。
即ち、エンジン温度が低いとき(冷間時の暖機中)に
は、噴射後着火までの時間が長く、また一度に燃焼が始
まるためにディーゼルノックによりこもり音の音圧は大
きくなるが、暖機が進んで徐々にエンジンが温まって来
るとディーゼルノックが減少して騒音音圧は小さくな
る。
そして、暖機後は、エンジン温度が上昇して行くにつ
れて、燃料そのものの温度上昇及び燃料管の温度上昇に
より燃料粘度が低下し、燃料噴射量が低下する。このた
め、通常は出力低下を補填するために燃料量を増加させ
るが増加し過ぎてしまい、管内圧が上昇して騒音音圧は
大きくなる。
このように、車室内騒音の低減には第7図に示すよう
に、エンジン温度(これはエンジンに設けた冷却水温セ
ンサ又は燃温センサ等によって検出する)を検出し、こ
の温度変化に伴って位相及び音圧を制御することが好ま
しい。
そこで、エンジン回転数とエンジン温度とに応じてど
のようにエンジン回転に同期した正弦波信号の位相と音
圧を制御すればよいかを予め求めて制御手段に記憶して
おけばよい。
このため、第7図では別のROM60を用意し、位相及び
音圧を、条件判定部52から出力されたTDC信号に同期し
た発振器からの正弦波信号を加工すれば、受聴点である
耳元での車室内騒音を低減することができる。
このROM60に記憶されたマップを第12図の例で作成す
るには、まずエンジンの回転2次成分についての発振器
61の正弦波出力信号(エンジン回転に同期している)を
第12図に示した制御対象範囲において所定間隔(例えば
100rpm)毎のエンジン回転数と所定間隔(例えば10℃)
毎のエンジン温度とについて騒音低減の実験を行い(但
し、他の発振器出力は停止させる)、受聴点で騒音が最
も低減される(一定のタイミングαになる)位相を順次
求めることにより位相の制御量ROMマップを作成するこ
とができる。
そして、次に2.5次成分についての発振器62に対して
同様の実験を行って2.5次成分の位相制御量ROMマップを
作成する。このようにして4個の発振器61〜64全てに対
して位相制御量ROMマップを作成する。
また、音圧Gに関しても、同様にして第12図に示した
制御対象範囲に入るエンジン回転数とエンジン温度とに
ついて実験を行い、受聴点で騒音が最も低減される音圧
を順次求めることにより音圧の制御量ROMマップを作成
することができる。
そして、このようにして作成されたROMマップ60は、
条件判定部52に入力されたエンジン回転数に基づき、そ
のエンジン回転数に該当する全ての回転次数成分におけ
る現在のエンジン温度での位相制御量・音圧制御量を、
対応する発振器からの出力に対して位相制御部54、音圧
制御部55でそれぞれ加工することにより最適な騒音の低
減を図ることができる。
但し、エンジン温度が低温→常温→高温と推移すると
き、暖機後の常温状態では水温が上昇しないのが普通で
あるので、低温→常温は水温で制御を行い、常温→高温
は燃温で制御を行う必要がある。尚、水温→燃温の切替
の間に吸気温を用いて制御を行うことも可能である。
このような温度変化による位相・音圧制御を行うこと
により、例えば常温状態で求めたこもり音制御のみを全
温度に対して行う場合と比較すると、水温制御モードの
場合には、温度が下がるにつれてこもり音の低減効果が
大きくなり、また、燃料(吸気温)制御モードでは、常
温より高くなるにつれてこもり音の低減効果が顕著にな
る。
上記の実施例では、各次数成分に対してエンジン温度
をパラメータとしたエンジン回転数−位相/音圧のROM
マップを作成する必要があり、かなり膨大なデータにな
ってしまう。
そこで、上述のように全てROM化するのではなく、第
2図の実施例に用いたROM53の各出力を、エンジン温度
に基づいた例えばアナログ補正回路を用いることにより
温度補正するようにしてもよい。
即ち、条件判定部52がエンジン回転数をROM53に与え
ると、このROM53では、そのエンジン回転数を制御範囲
に有する各次数成分のROMマップから位相制御量・音圧
制御量を読み出すが、そのアナログ補正回路には条件判
定部52からエンジン温度が与えられ、このエンジン温度
に対応する位相及び音圧をROM53からの位相制御量・音
圧出力に加算し、それぞれ対応する発振器61〜6nの出力
を位相制御部54、音圧制御部55で加工することができ
る。
尚、上記の実施例に加えて、それぞれ負荷センサを用
いて検出した負荷を更に加味したROMを用意し、これに
よって同様の音圧制御を行えば、更に負荷によって変動
する騒音をも相殺することが可能となる。
即ち、例えばディーゼルエンジンでは、通常負荷が増
大するとロードタイマによる進角補正が行われるのと共
に音圧も大きくなるからである。
一方、上記の実施例の場合には、発振器出力はクラン
ク角センサ3からのエンジン回転のTDCを基準とし、エ
ンジン温度によって制御を行っているが、このエンジン
温度を測定しなくても、騒音の主要因となっているエン
ジンの点火又は着火の爆発タイミング自体を検出して位
相・音圧の制御を掛ける方がより直接的で好ましい。
そのため、第8図に示す実施例ではディーゼルエンジ
ンの場合に第9図に示すように単数又はバラツキを無く
すために複数個設置される着火センサ80を用いてそのセ
ンサ出力波形(第10図(a))を発生し、この着火出力
波形を受けた条件判定部52がこの信号によりエンジン回
転数を検出すると共に整形した波形(同図(b))の基
準信号を該当する各発振器に送る。(尚、条件判定部52
が着火出力波形によりエンジン回転数を検出するので、
この場合には第2図に示すようなクランク角センサは必
要無くなる。) 基準信号を受けた発振器が正弦波出力(同図(c))
を発生し、この正弦波出力を、ROM53でエンジン回転数
により該当する回転次数成分の位相制御量・音圧制御量
を読み出して加工しスピーカ出力(同図(d))を発生
することにより更に正確な位相・音圧に制御を行うこと
ができる。
ここで用いるROM53をマップ形成するときには、TDCの
代わりにセンサ出力波形(a)をエンジン基準タイミン
グパルス(b)として第2図の場合(エンジン温度は不
要)と同様に正弦波出力波形(c)の位相・音圧を加工
した波形(d)を発生するための制御量を実験により測
定すればよい。
第11図には、着火センサ80を用いた場合と、これらの
センサを用いずにエンジン回転数により固定基準点(TD
C)で行った場合の効果が示されており、斜線部分は温
度が上がると共に減音量が少なくなってしまうことを示
している。
このように着火センサを用いれば、少なくともエンジ
ンのマウント系の伝達特性のみを考慮した制御で済むこ
ととなる。
尚、上述した第7図及び第8図の実施例においても第
2図と同様に加工部54a1〜54an及び55a1〜55an並びに補
正部54b1〜54bn及び55b1〜55bnによる加工と補正を行う
ことは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明に係る車室内騒音の低減装置で
は、エンジンの爆発に起因する回転次数成分に対応した
複数の発振器を用い、エンジンの回転によって制御すべ
き回転次数成分を検出して該当する発振器からの正弦波
出力をエンジン回転に同期させると共に各回転次数成分
及びエンジン回転数毎に予め記憶した位相制御量及び音
圧制御量によりそれぞれ加工すると共に車室内騒音をマ
イクで検出しエンジン回転数に応じて決定された各回転
次数成分の周波数帯域のマイク出力を通過させて各回転
次数成分毎の音圧の目標標準レベルを比較して該騒音の
レベルが該目標標準レベルを下回るように該位相制御量
及び音圧制御量を補正するように構成したので、エンジ
ンのこもり音だけでなく、エンジン回転(爆発)に起因
する他の車室内騒音全体に対しての低減を実現すると共
にフィードフォワード制御では相殺し切れない残存騒音
をもフィードバック制御により迅速に最小のものにする
ことができ。そして、更に各回転次数成分に対して狙っ
た周波数の騒音を取り出すことができるのでマイクが拾
う余計なノイズに対して強い(S/Nが良い)装置とな
り、一層迅速な騒音低減が実現される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る車室内騒音の低減装置の一実施
例を示す概略構成図、 第2図は、本発明の実施例においてコントローラを特に
機能的に示したブロック図、 第3図は、本発明に用いる各回転次数成分毎の帯域通過
フィルタの周波数帯域を決定するためのフローチャート
図、 第4図は、本発明による位相・音圧補正のアルゴリズム
を示したフローチャート図、 第5図は、本発明において、エンジン回転数の各次数成
分に対してのエンジン回転数の目標音圧との特性を示し
たグラフ図、 第6図は、本発明による最適な音圧制御を説明するため
のグラフ図、 第7図は、他の実施例においてコントローラを特に機能
的に示したブロック図、 第8図は、更に他の実施例においてコントローラを特に
機能的に示したブロック図、 第9図は、着火センサの配置を示す図、 第10図は、着火センサの出力パルスを基準タイミングと
するときの波形図、 第11図は、着火センサを用いた場合の効果を示すグラフ
図、 第12図は、本発明でのエンジン回転数における制御対象
領域を示す立体グラフ図、 第13図は、進角補正時の着火タイミングのずれを説明す
るための波形図、である。 第1図及び第2図において、1は自動車、2はエンジ
ン、3はクランク角センサ、5はコントローラ、61〜6n
は発振器、7は増幅器、8はスピーカ、9はマイク、10
1〜10nは帯域通過フィルタ、54a1〜54an及び55a1〜55an
は加工部、54b1〜54bn及び55b1〜55bnは補正部、をそれ
ぞれ示す。 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60R 11/02 B60R 16/02 G10K 11/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの爆発による回転次数成分の検出
    手段と、該回転次数成分に対応して設けられ正弦波出力
    を発生する複数の発振器と、該検出手段により検出され
    たエンジン回転数に対応する所定の回転次数成分の発振
    器の正弦波出力を該エンジン回転に同期させると共に該
    エンジン回転数毎に予め記憶した該所定の回転次数成分
    における位相・音圧制御量により該正弦波出力をそれぞ
    れ加工する制御手段と、該制御手段の出力を増幅してス
    ピーカを駆動する増幅器と、車室内騒音のレベルを検出
    するマイクと、該マイク出力を通過させる各回転次数成
    分のフィルタとを備え、該制御手段が該エンジン回転数
    に応じて各フィルタの周波数を決定し該フィルタ出力と
    各回転次数成分毎の音圧の目標標準レベルとを比較して
    該騒音のレベルが該目標標準レベルを下回るように該位
    相・音圧制御量を補正することを特徴とした車室内騒音
    の低減装置。
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