JP2864036B2 - １／４回転型ファスナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 数分の１回転型ファスナ、例えば1/4回転型ファスナ
にとって重要なことの１つは、使用者がファスナのヘッ
ドを90゜回した都度、90゜回ったことを使用者に触感な
どで分からせるようにすることである。

数分の１回転型ファスナは米国特許第3,344,488号、
同第2,382,943号、英国特許第10,660号、スエーデン特
許第176,401号、西独特許第2,161,626号に開示され、こ
れらは弾性ばね部材に抗してヘッドを作動するようにな
っている。しかし、これらの上記従来のファスナは、回
ったことを正確に知らせない。

回ったことを分からせるものとしては、米国特許第4,
498,827号に開示されたものがある。しかしながら、こ
のファスナは、ラッチ部材と、ベース部材との間に、正
確な寸法の適合性を要求する非常に複雑な設計になって
いて、製作および組立てが困難である。また、このファ
スナは一ぺんに90゜回すことができない。というのは90
゜回すには30゜宛、３回、回さねばならないからであ
る。

この発明は、ベース部材の正方形の孔壁内で90゜宛正
確に回せ、90゜回したことがわかる新規な1/4回転型フ
ァスナに関するもので、取付部（16）、及び取付部から
一体に起立した中空のソケット部（18）を有し、ソケッ
ト部の上壁ソケット部（18）を有し、ソケット部の上壁
（26）からは該上壁に開口した正方形孔（22）の孔壁
（28）が垂下しているベース部材（12）と、上記ベース
部材のソケット部の上壁に下面で接触する頭部（34）、
及ぶ頭部の下面から垂下し、前記正方形孔の孔壁（28）
に上から突入して該孔壁の下端から突出する軸部（36）
を備えたラッチ部材（14）とからなり、 上記ラッチ部材の軸部（36）は頭部の下面から垂下
し、正方形孔の孔壁中に収容される円筒部（38）と、該
円筒部の下端に下向きに接続し、弾性変形することによ
り前記正方形孔の孔壁に上から突入して孔壁の下端から
下に突出する脚部（40）とからなり、上記脚部（40）は
二股で、前記軸部（36）の軸心から互いに反対の半径方
向に張出し、正方形孔の孔壁を通過する際は股をせば
め、該孔壁の下端から出たときは股を拡げて前記正方形
孔の孔壁の下端の平行な二辺に下から係合する肩部（5
0,52）を備えた二股の弾性脚（42,44）を有し、上記両
弾性脚は両側に、上記肩部（50,52）に対して垂直で、
且つ平行な２つの側壁面（54,56）を有し、この両側壁
面（54,56）間の距離は正方形孔（22）の一辺の長さよ
りも短く、且つ二股の弾性脚（42,44）は、各肩部（50,
52）が正方形孔の孔壁（28）の下端の平行な二辺に係合
したとき、該肩部が係合した正方形孔の二辺の内面に接
触する２つの平面部（76,78）を各肩部（50,52）から軸
方向上向きに有し、前記側壁面（54,56）と、上記平面
部（76,78）が交わるかどに丸みを帯びたコーナ曲面部
（71,72,73,74）が形成されていることを特徴とする。

以下、本発明のファスナの一実施例を添付図面を参照
して説明する。

第１図で10はこの発明の原理を実現した1/4回転型フ
ァスナを示す。このファスナ10はプラスチックで成形さ
れたベース部材12と、ラッチ部材14から構成されてい
る。

ベース部材12には、取付部16と、ソケット部18があ
る。ソケット部18は、長方形の取付部16の中心に一体的
に形成してあって、正方形孔22を有する小判形の中空直
立部分20を備えている。ソケット部18の中空直立部分20
の外壁24は、取付部16から上に延び、小判形の上壁26と
一体になっている。上壁26には正方形孔22が開口し、こ
の正方形の孔壁28が、上壁26の下面から垂下している。

正方形孔の孔壁28の下向き長さは、ソケット部18の外
壁24よりも少し短く、その下端29がラッチ部材の保持面
になっていて、後でくわしく説明するとおり、ベース部
材12に対し、ラッチ部材14を回転可能に保持する。

取付部16の両端部には、取付口30が設けてある。各取
付口30は上端にねじの頭を収容する拡径部分32を備えて
いる。

ラッチ部材14には、頭部34と、頭部34の下面から垂下
し、ベース部材のソケット部18の正方形孔の孔壁28を上
から下に貫通する軸部36とがある。頭部34の平面形状は
どのような形でもよいが、こゝでは前記ベース部材のソ
ケット部18と同大の小判形になっている。上記頭部の形
状は重要ではないが、その寸法は軸部36よりも大きいこ
とが重要である。

この実施例の1/4回転型ファスナは、二つの部材を連
結するのに使用することができ、例えば取付口30に通し
たねじでベース部材12を板などに取付け、別の板や、キ
ャンバスシートなどベース部材に連結すべき連結部材に
ベース部材のソケット部18や、ラッチ部材14の頭部34よ
りも僅かに大きな小判形の孔を開設し、ラッチ部材14の
頭部34の小判形の向きをベース部材のソケット部18の小
判形に合わせて揃え、連結部材の小判形の孔をラッチ部
材の頭部を経てベース部材のソケット部の回りに嵌め、
次いでラッチ部材14をどちらかの方向に90゜回してその
頭部をベース部材のソケット部と直交させ、これによっ
てラッチ部材の頭部で連結部材の小判形の孔がベース部
材のソケット部から抜けるのを防いで連結部材をベース
部材に連結する。連結を外すときはラッチ部材をどちら
かの方向に再び90゜回してラッチ部材の頭部の向きをベ
ース部材のソケット部に合わせ、連結部材の小判形の孔
をベース部材のソケット部、及びラッチ部材の頭部を経
て抜けばよい。

ラッチ部材の軸部36には、頭部34から垂下する円筒部
38、および円筒部38から下に延びる脚部40がある。脚部
40は、二股の弾性脚42,44を有する。二股の弾性脚42,44
は、それぞれ軸部の中心軸線から正反対の半径方向に張
出す肩部50,52を有する（第３図、第６図参照）。

両弾性脚42,44は、肩部50,52に対して概ね垂直な、平
らで平行な側壁面54と56を有する（第４図、第５図参
照）。この側壁面54と56との間の距離、つまり弾性脚4
2,44の幅は正方形孔12の一辺の長さよりやゝ短い。

ベース部材12の正方形孔22、及びその孔壁28に対し
て、ラッチ部材14を回転可能にするため、丸味を帯びた
４つのコーナ曲面部71,72,73,74を、円筒部38と肩部50,
52との間で、脚部40の長手方向に設ける。

又、ラッチ部材を90゜回すごとに確実に位置決めする
ため、脚部40にはコーナ曲面部72と73、及び71と74の間
の二股の弾性脚42、及び44の上にそれぞれ平面部76,78
を形成する。この平面部76,78は、それぞれ肩部50,52か
ら軸方向上向きに円筒部38との接続部まで設ける。

さて、第１図には、ベース部材12のソケット部18にラ
ッチ部材14を組立てた状態が示してある。この組立て
は、ベース部材のソケット部の上壁26の中心に開口する
正方形孔にラッチ部材の軸部36を押し込むことにより、
容易に行える。

二股の弾性脚42,44には肩部50,52の下に傾斜面60,62
が形成してあって、二股の弾性脚42,44を正方形孔22へ
押込むと、両弾性脚は股をせばめて互いに近寄る。二股
の弾性脚42,44を傾斜面60,62で互いに近寄らせて軸部36
を正方形孔22、及びその孔壁28に押し込むと、遂にはラ
ッチ部材の頭部34がベース部材のソケット部の上壁26に
当接する。

二股の弾性脚40,42の肩部50,52から、頭部34の下面ま
での距離は、ソケット部の正方形孔の孔壁28の深さより
もやや大きいので、ラッチ部材の頭部34がベース部材の
ソケット部の上壁に当接すると、肩部50,52は正方形孔
の孔壁の下端29から下に出て、二股の弾性脚42,44は自
由になり、第１図に示すように、半径方向外向きにパチ
ッと股を拡げ、肩部50,52は孔壁28の下端29の平行な二
辺に下から係合し（第７図（Ａ）又は（Ｂ）参照）、肩
部50,52上に形成された平面部76,78は肩部50,52が係合
した孔壁28の二辺の内面に接触する。この状態でラッチ
部材14は、ベース部材12に回転可能に保持される。

ラッチ部材の頭部34が小判形の向きとベース部材のソ
ケット部18の小判形の向きが同じときに（第７図Ａ）、
ラッチ部材の頭部を持って時計方向又は反時計方向のど
ちらかの方向（図では矢印Ａの時計方向）に90゜回す途
中、約45゜回すと、第８図に示したとおり、４つのコー
ナ曲面部71,72,73,74が正方形孔22の孔壁28にほゞ線接
触し、頭部に加えた回転力は、二股の弾性脚42と44とを
近寄らせることになる。そして、ラッチ部材14を引き続
き残りの45゜時計方向に回すと、平らな肩部50,52上に
形成された平面部76,78は、肩部50,52が下から係合した
孔壁28の下端の平行な二辺の内面に接触し、ベース部材
のソケット部18の小判形の向きに対してラッチ部材の頭
部34の小判形の向きは直交した第７図Ｂに示す90゜回っ
た状態になる。

尚、二股の弾性脚42,44の肩部50,52から軸方向上向き
に設ける平面部76,78は円筒部38との接続部を頂点と
し、且つこの頂点に向かって軸方向内向きにテーパが付
いた三角形に形成するとよい（第６図参照）。こうする
と、正方形の孔壁28に二股の弾性脚の肩部50,52上の平
面部76,78が位置した際、該２つの平面部76,78は孔壁28
の相対向した二辺の内面で内向きに押され、二股の弾性
脚42,44は内向きに撓ませられ、ラッチ部材を90゜宛回
転する際の抵抗力は高まる。従って、ラッチ部材を90゜
宛、キッチリと回すことができる。三角形の平面部の寸
法が大きくなるにつれ、ラッチ部材を90゜宛、回すのに
要する力は大になるため、その寸法は適当に定める。

以上で明らかなように、本発明の1/4回転型ファスナ
は設計が単純なため製作及び組立てが容易である。そし
て、二股の弾性脚42,44上のコーナ曲面部71…74により
ラッチ部材14を正方形孔22、及びその孔壁28内で回転さ
せ得ること、その上、平らで平行な側壁面54,56が、肩
部50,52に隣接した平面部76,78と協動して、非常に確実
に90゜回ったことを使用者に知らせる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明のファスナの一実施例を示すもので、第１
図は、ベース部材の左半分を断面で示したベース部材と
ラッチ部材との組立て状態の正面図、第２図はベース部
材の断面図、第３図はラッチ部材の正面図、第４図は、
第３図の右側から見たラッチ部材の側面図、第５図は、
第４図の５−５線でのラッチ部材の断面図、第６図はラ
ッチ部材の斜視図、第７図Ａは第１図の下面図、第７図
Ｂは第１図のラッチ部材を90゜回した状態の下面図、第
８図は第７図Ａのラッチ部材を時計方向に45゜回した状
態の下面図である。 図中、12はベース部材、14はラッチ部材、18はベース部
材のソケット部、22は正方形孔、28はその孔壁、34はラ
ッチ部材の頭部、36は軸部、38は円筒部、40は脚部、4
2,44は二股の弾性脚、50,52は肩部、54,56は二股の弾性
脚の側壁面を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F16B 21/04

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】取付部（16）、及び取付部から一体に起立
   した中空のソケット部（18）を有し、ソケット部の上壁
   （26）からは該上壁に開口した正方形孔（22）の孔壁
   （28）が垂下しているベース部材（12）と、上記ベース
   部材のソケット部の上壁に下面で接触する頭部（34）、
   及び頭部の下面から垂下し、前記正方形孔の孔壁（28）
   に上から突入して該孔壁の下端から突出する軸部（36）
   を備えたラッチ部材（14）とからなり、 上記ラッチ部材の軸部（36）は頭部の下面から垂下し、
   正方形孔の孔壁中に収容される円筒部（38）と、該円筒
   部の下端に下向きに接続し、弾性変形することにより前
   記正方形孔の孔壁に上から突入して孔壁の下端から下に
   突出する脚部（40）とからなり、上記脚部（40）は二股
   で、前記軸部（36）の軸心から互いに反対の半径方向に
   張出し、正方形孔の孔壁を通過する際は股をせばめ、該
   孔壁の下端から出たときは股を拡げて前記正方形孔の孔
   壁の下端の平行な二辺に下から係合する肩部（50,52）
   を備えた二股の弾性脚（42,44）を有し、上記両弾性脚
   は両側に、上記肩部（50,52）に対して垂直で、且つ平
   行な２つの側壁面（54,56）を有し、この両側壁面（54,
   56）間の距離は正方形孔（22）の一辺の長さよりも短
   く、且つ二股の弾性脚（42,44）は、各肩部（50,52）が
   正方形孔の孔壁（28）の下端の平行な二辺に係合したと
   き、該肩部が係合した正方形孔の二辺の内面に接触する
   ２つの平面部（76,78）を各肩部（50,52）から軸方向上
   向きに有し、前記側壁面（54,56）と、上記平面部（76,
   78）が交わるかどに丸みを帯びたコーナ曲面部（71,72,
   73,74）が形成されていることを特徴とする1/4回転型フ
   ァスナ。
2. 【請求項２】二股の弾性脚（42,44）の肩部（50,52）か
   ら軸方向上向きに設けられた平面部（76,78）は、円筒
   部（38）との接続部に向かって軸方向上向きに延びてい
   る特許請求の範囲（１）に記載の1/4回転型ファスナ。
3. 【請求項３】二股の弾性脚（42,44）の肩部（50,52）か
   ら円筒部（38）との接続部に向かって軸方向上向きに延
   びる平面部（76,78）は、肩部（50,52）から上に向かっ
   て内向きのテーパを有し、三角形になっている特許請求
   の範囲（２）に記載の1/4回転型ファスナ。