JP2863351B2 - 方向性電磁鋼スラブの加熱方法 - Google Patents

方向性電磁鋼スラブの加熱方法

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JP2863351B2 JP20673591A JP20673591A JP2863351B2 JP 2863351 B2 JP2863351 B2 JP 2863351B2 JP 20673591 A JP20673591 A JP 20673591A JP 20673591 A JP20673591 A JP 20673591A JP 2863351 B2 JP2863351 B2 JP 2863351B2
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浩二 藤井
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、方向性電磁鋼スラブ
の熱間圧延ラインにおける加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は高磁束密度かつ低鉄損
という優れた磁気特性をもっており、変圧器などの鉄心
材料として広く用いられている。その製造工程におい
て、[110]〈001〉方位に高度に集積した二次再
結晶を得るために、MnS,AlNといった結晶粒方向
を制御するインヒビターを用いている。このインヒビタ
ーが適正に意図した作用をもたらすためには、熱間圧延
に先立つスラブ加熱時にインヒビターを十分に解離固溶
させる必要がある。さらに、スラブを適切な条件で熱間
圧延し、冷却を行って、インヒビターを微細かつ均一に
分散析出させることが重要である。上記インヒビターの
解離固溶のために、スラブをたとえば1200℃以上に
高温加熱を行っている。
【0003】上記高温加熱については、たとえば特開昭
61−6994号公報,特開昭61−69927号公報
などにより開示されている。これら公報で開示された高
温加熱方法は、スラブを1250℃程度までガス燃焼型
加熱炉で予備加熱し、その後の高温加熱を不活性雰囲気
に制御した誘導加熱炉で短時間に行う。高温加熱を行う
誘導加熱炉は、熱間圧延ラインに沿うようにして設けら
れている。また、スラブはこれの長手方向に移送され、
昇降可能な炉床により熱間圧延ラインからすくい上げら
れて誘導加熱炉内に装入される。炉内に装入されたスラ
ブは下側のスラブ側面が炉床によって下方より支持され
ており、スラブ上下面が垂直となった姿勢で加熱され
る。
【0004】ところで、作業スケジュールによっては誘
導加熱炉の炉長よりかなり短い、たとえば炉長の1/2
程度の長さのスラブを高温加熱しなければならない場合
がある。一方、スラブは電磁誘導によってスラブ自身が
発熱して昇温するので、スラブの表面温度は誘導加熱炉
の炉壁表面温度より高くなる。このために、スラブ表面
は炉壁面に向かって熱を放射する。スラブの先後端面が
誘導加熱炉の先後端部の炉壁面より離れるに従い、スラ
ブ先後端部の放射面に対する炉壁放射面の比が大きくな
る。従来では、炉長よりかなり短いスラブであっても炉
長の中心にスラブを装入し、加熱していた。したがっ
て、このような場合、スラブ先後端部と炉壁面との間の
距離が大きくなり、スラブ先後端部は低温となってい
た。低温となった先後端部では、前記インヒビターを十
分に解離固溶できないことがある。このようなスラブで
製造した電磁鋼板の先後端部分は他の部分に比べて磁束
密度が低く、鉄損が高くなる。したがって、電磁鋼板の
先後端部はスクラップとなり、製品歩留りの低下を招い
ていた。なお、スラブの低温となった先後端部を所定温
度まで加熱することが考えられるが、スラブの他の部分
を余分に加熱することになり、むだなエネルギを消費す
る。
【0005】上記問題を解決するための方法として、炉
内に長手方向に沿って複数の仕切り壁を設け、仕切り壁
ごとに不活性ガスを吹き込み、ガス吹込み量を調整して
被加熱材の長手方向温度分布を制御する方法が考えられ
る。(特開平2−11717号公報参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記複数の仕切り壁を
設け、仕切り壁ごとに不活性ガスを吹き込み、ガス吹込
み量を調整して被加熱材の長手方向温度分布を制御する
方法では、目的を達成するためには仕切り壁と被加熱材
とを接触させるか、または不活性ガスが通過しないよう
に仕切り壁と被加熱材との間を十分に近接させなければ
ならない。このようにすると、ガス吹込み量の調整によ
る被加熱材の長手方向温度分布の調整は可能となるが、
被加熱材から仕切り壁への抜熱が発生し、局部的な温度
偏差が発生することにより製品歩留りの向上は期待でき
ない。さらに、炉体の構造が複雑となるうえに、不活性
ガスの吹込み装置および吹込み量調整装置が必要とな
り、加熱設備全体の構造も複雑となる。このため設備,
運転および保守費用が増大することになる。
【0007】この発明は、炉長よりかなり短いスラブで
あっても、簡単な設備により高い製品歩留りで加熱する
ことができる方向性電磁鋼スラブの加熱方法を提供しよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の方向性電磁鋼
スラブの加熱方法は、電磁鋼スラブをガス燃焼型加熱炉
で予備加熱し、ついで非酸化性ガス雰囲気中の誘導加熱
炉で高温加熱し、所定の時間均熱保持する方法におい
て、誘導加熱炉の炉長よりかなり短いスラブを高温加熱
する際に、スラブ長手方向に関してスラブ先端側を一方
の炉壁面側に片寄せして誘導加熱炉内に装入する。
【0009】図1は、スラブ長さが標準的なスラブ長さ
の約1/2であるスラブ3を誘導加熱炉13内に装入し
た状態を示している。スラブ先端面4が炉壁15の先端
側内面または後端側内面15aに近接するようにスラブ
3を片寄せして炉内に装入している。スラブ長手方向に
ついて炉中心に対し左右対称となるようにスラブ3を炉
内に装入したとき、スラブ先後端部が所定温度に加熱さ
れない場合、片寄せして炉内に装入する。片寄せして炉
内に装入しなければならないスラブ長さは、炉長の2/
3程度以下である。スラブ3を片寄せして炉内に装入す
るには、圧延ラインに沿ってガス燃焼型加熱炉から誘導
加熱炉13にスラブ3を搬送する際に、スラブ先端部ま
たは後端部が誘導加熱炉壁15の先端側内面または後端
側内面15a近くに達した時に、スラブ3を停止して炉
内に装入する。
【0010】片寄せして炉内に装入されたスラブは、標
準的な長さのスラブと同様に、炉壁15の外周面に沿っ
て配置された誘導コイル17により加熱される。
【0011】なお、スラブの先端側を片寄せすることが
望ましく、その理由は次の通りである。スラブを誘導加
熱炉から抽出し、粗圧延したのち仕上圧延機群で圧延す
る際に、スラブ先端部の通板(被圧延材のロールへのか
み込み)時が最も圧延現象として不安定である。したが
って、スラブ後端側を片寄せすると、先端部に温度偏差
が生じて被圧延材の変形抵抗が急激に変化し、上記圧延
現象の不安定さを増幅させ、場合によってはかみ込み不
良により圧延設備を緊急停止しなければならないことに
なる。
【0012】
【作用】スラブは片寄せして炉内に装入されているの
で、一方のスラブ端部は炉壁面に接近し、他方は炉壁面
より離れている。炉壁面に近接したスラブ端部の放射面
に対する炉壁放射面の比は小さい。したがって、炉壁面
に近接したスラブ端部は熱放射が小さく、スラブ中央部
と同様に所定温度に加熱される。逆に、炉壁面より離れ
たスラブ端部は、熱放射が大きく、所定温度に加熱され
ない場合がある。この結果、少なくとも一方のスラブ端
部はスクラップとせずにすむ。
【0013】
【実施例】第2図は、この発明の方法を実施する熱間圧
延設備の構成例を模式的に示している。図中、スラブ1
は標準長さのスラブであり、またスラブ3は短いスラブ
である。図面に示すように、熱間圧延設備は熱間圧延ラ
インLに沿って順次配列されたガス燃焼型加熱炉11、
誘導加熱炉13、粗圧延機31および仕上圧延機列32
よりなっている。誘導加熱炉13は、炉体14は下方に
向かって開口しており、炉壁15の外周に加熱コイル1
7が取り付けられている。誘導加熱炉13は、スラブ
1,3の上下面が水平姿勢から垂直姿勢となるようにし
90度転回するスラブ転回装置21、炉内のスラブ1,
3を垂直姿勢で支持する炉床25および炉床25を昇降
する電動ウインチ27を備えている。スラブ転回装置2
1は、スラブ1,3を載せる爪22、爪22に連結され
たアーム(図示しない)、およびアームを介して爪22
を90度転回する油圧シリンダ23からなっている。ま
た、誘導加熱炉13は、スラブ1,3を上方より押さえ
て支持する支持軸28を備えている。支持軸28は、エ
アーシリンダ29により昇降される。この実施例では、
支持軸28は4本あって、スラブ長さに応じて所要の支
持軸28でスラブ1,3を押さえる。図2の例では、2
本の支持軸28で短いスラブ3を押さえている。圧延ラ
インLに沿ってローラーテーブル34が設けられてい
る。ローラーテーブル34は駆動モーター35により回
転され、スラブ1,3をこれの長手方向に搬送する。制
御装置39は駆動モーター35を制御し、スラブ1,3
を所定位置に停止させる。制御装置39は、ホストコン
ピュータ(図示しない)から予め入力されたスラブ寸法
およびスラブ検出器37からの信号に基づいて、スラブ
停止位置を求める。
【0014】ここで、上記のように構成された熱間圧延
設備により、連続鋳造法で製造された電磁鋼スラブを加
熱した例について説明する。
【0015】スラブ3をガス燃焼型加熱炉11により1
150℃まで比較的低い昇温速度で予備加熱した。スラ
ブの寸法は、長さ5500mm、幅1000mm、厚み25
0mm(標準長さは11000mm)である。スラブ先端部
4を先端側炉壁面15aに近接して、スラブ3を炉内に
装入した。スラブ先端部4の炉壁面間距離D1 は200
mmであり、後端部5の炉壁面間距離D2 は5700mmで
あった。スラブ3を1350℃まで急速加熱し、炉から
の抽出まで15分間均熱保持した。均熱保持した後のス
ラブ3の表面温度を放射温度計で測定した結果、スラブ
先端部の温度は1345℃、後端部の温度は1310℃
であった。
【0016】高温加熱したスラブ3を仕上圧延し、所定
の熱処理をして得られた方向性電磁鋼板について磁気特
性を測定した。その結果、スラブ先端部は中央部と同様
の値であり、鉄損値W17/50 は平均0.810W/kg、磁
束密度B6 は平均1.930Wb/m2 であった。なお、ス
ラブ後端部の鉄損値W17/50 は平均0.850W/kgで、
磁束密度B6 は平均1.915Wb/m2 であった。
【0017】
【発明の効果】この発明によれば、少なくとも一方のス
ラブ端部は所定の温度に加熱され、磁気特性の劣化もな
い。したがって、スラブの両端部をスクラップとせずに
すむので、製品の歩留り向上を図ることができる。ま
た、誘導加熱炉内の所定位置にスラブを装入すればよい
ので、簡単な構造の加熱設備によりスラブを加熱するこ
とことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラブが装入された状態にある誘導加熱炉の横
断面図である。
【図2】この発明の方法を実施する熱間圧延設備の構成
例を模式的に示す図面である。
【符号の説明】
1 スラブ 3 スラブ 4 スラブ先端部 5 スラブ後端部 11 ガス燃焼型加熱炉 13 誘導加熱炉 15 炉壁 17 加熱コイル 21 スラブ転回装置 25 架台 28 支持軸 31 粗圧延機 32 仕上圧延機列 34 ローラーテーブル 35 駆動モーター 39 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−31422(JP,A) 特開 昭64−67888(JP,A) 実開 昭63−72888(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁鋼スラブをガス燃焼型加熱炉で予備
    加熱し、ついで非酸化性ガス雰囲気中の誘導加熱炉で高
    温加熱し、所定の時間均熱保持する方法において、誘導
    加熱炉の炉長よりかなり短いスラブを高温加熱する際
    に、スラブ長手方向に関してスラブ先端側を一方の炉壁
    面側に片寄せして誘導加熱炉内に装入することを特徴と
    する方向性電磁鋼スラブの加熱方法。
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