JP2859368B2 - 液体封入ブッシュ - Google Patents

液体封入ブッシュ

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昭彦 和気
貴正 香西
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車の枢支連結部におけるサスペンション
に使用するラバーブッシュに関するもので、特に、液体
封入により振動減衰機能を付与させたものの改良に関す
るものである。
〔従来の技術〕
車両に使用されるラバーブッシュは、例えばエンジン
マウントの場合、いずれか一方が車体側で他方がエンジ
ンパワーユニット側へ取付けられる内筒と外筒との間に
弾性体を有している。最近では軟らかいものが検討され
ており、そのための手段として内筒の内部へ更に第2内
筒と第2弾性体を有したもの(二重ブッシュ)が注目さ
れ始めている。その場合、軸直角方向の性質を変えるた
めに、内外の弾性体の一部にすぐりを設けたり(特開昭
60−157539号、同60−172743号)、内外の弾性体のそれ
ぞれに液室を設けて液体を封入したり(実開昭62−8004
7号)、内側弾性体にすぐりを設けて軟らかくする(実
開昭63−106934号)等の従来公知の技術がみられる。
これら、エンジンマウントの場合、軸直角方向の特性
を重視するのみで済む場合が多いが、枢支連結部に使用
されるサスペンションブッシュにおいては軸方向と軸直
角方向の両方の特性を考慮することが必要となってく
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は主として自動車の枢支連結部におけるサスペ
ンションに使用されているブッシュの内でも液体封入タ
イプのものに改良を加えて、軸直角方向のバネ定数は高
く(高剛性)、また、液体封入ブッシュの難点であるね
じり方向の強度については、ねじり方向のバネ定数は状
来と同等以下にして耐久性に優れたブッシュの提供を可
能にしようとするものである。
このような構造とした場合、複雑な構造からくるコス
ト上昇を極力避ける必要がある。また、複数の液室間を
結ぶ連通路を形成するリングや第1内筒は、直接荷重が
作用する外筒や第2内筒に比べて、材質に自由度がある
ので、本発明はこの点についても検討を行い、コスト上
昇もなく耐久性の優れた液体封入ブッシュの提供を図る
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
前者の課題に対して、本発明は液体封入ブッシュに二
重ブッシュ構造を採用し、内外各弾性体に特殊な関係を
付与することによって解決したのである。
すなわち、内筒(1)と外筒(2)の間の弾性体
(3)の外側複数位置へ液室(4)を設け液室(4)間
を連通路(5)で連結した液体封入ブッシュにおいて、
内筒(1)の内側に第2内筒(6)及び第2内筒(6)
及び、その第2内筒(6)と前記第1内筒(1)間に第
2弾性体(7)を配設し、弾性体(3)(7)の特性を
下記のような関係、 軸直角方向の剛性; 第1弾性体<第2弾性体 軸方向及びねじり方向の剛性; 第1弾性体>第2弾性体 とすることによって解決したのである。
この関係を具体化するための手段としては、第1ブッ
シュにおいては、液体封入ブッシュが可能とする液室
(4)や連通路(5)の形状あるいは第1弾性体(3)
の硬度等を任意な設計条件に設定することであり、第2
ブッシュにおいては第2弾性体(7)の厚みや硬度、更
にはぬすみ等を設けて任意な設計条件に設定することで
ある。
本発明では、更に、第1内筒(1)と連通路(5)を
形成するリング(8)の両者を合成樹脂によって形成す
ることとしたのである。
このような構造の場合、二重ブッシュの内第2弾性体
の外側へ更に金属製等の剛性部材を設けて、それを第1
内筒(1)へ圧入してもよい。また、液室(4)内には
必要ならば過大荷重時に作用するストッパーを設ける。
〔作用〕
上記のような構造の液体封入ブッシュは、軸直角方向
の荷重に対しては外側ブッシュの許容たわみ範囲すなわ
ちストロークが大で流体が減衰効果を発揮して速やかに
減衰させる。軸方向やねじり入力に対しては内側ブッシ
ュのストロークが大であるから、液体封入ブッシュの難
点である耐久性を向上させる。
第1内筒(1)と連通路(5)を形成するリング
(8)の両者を合成樹脂製にすると射出成形法が採用で
き、金属加工等の必要性がなくなり、製造を容易なもの
すると共に、低コスト化、軽量化を可能とする。
〔実施例〕
以下図面によって本発明の実施例を詳細に説明する。
第1図は本発明の液体封入ブッシュの第2図中A−A
相当断面図であり、第2図は中央部断面図である。この
液体封入ブッシュは、軸方向外方より外筒(2)、内部
に中間筒(9)のある第1弾性体(3)、第1内筒
(1)、第2内筒弾性体(7)、第2内筒(6)が同心
的に又は、偏心して配置されている。
第1内筒(1)と外筒(2)の間の第1弾性体(3)
はその外側から凹所を設けて複数位置に液室(4)を設
けている。液室(4)間はリング(8)の内面に形成さ
れた溝で形成された連通路(5)で連結している。この
リング(8)及び内筒(1)は合成樹脂のグラスファイ
バー強化されたナイロン樹脂を用いて樹脂成形により作
成されている。
外側ブッシュと内側ブッシュとは剛性が全く異なる。
具体的な数値で一例を示すと、第1表の通りである。
すなわち、軸直角方向剛性を第1弾性体(3)<第2
弾性体(7)、軸方向及びねじり方向剛性を第1弾性体
(3)>第2弾性体(7)としている。
連通路(5)を形成する合成樹脂製のリング(8)は
前記実施例では内面に連通路(5)用の溝を有したもの
を第1内筒(1)へ外装しているが、これは第3図のよ
うに外面に溝を設けて第1内筒(1)へ内装してもよ
い。また、第4図のように、連通路(5)を形成するた
めに、第1内筒(1)とリング(8)の両方へ溝を設け
てもよい。
以上実施例に基づいて説明したが本件発明は、材質、
構成、形状など本発明の精神を逸脱しない限りにおい
て、様々な改良を加えることができるものである。
〔発明の効果〕
本発明の液体封入ブッシュは以上のような構造である
から、下記のような特徴を有している。
軸直角方向の荷重に対して液体封入ブッシュの特性を
生かして外側ブッシュが大きなストロークで流体の減衰
作用により振動を速やかに減衰させる。また、軸方向や
ねじり入力に対しては内側ブッシュのストロークが大で
あるから、液体封入ブッシュのストロークが大であるか
ら、液体封入ブッシュの難点である耐久性を向上させる
ことが可能となった。
ブッシュの弾性体の中間位置に連通路が設けられてい
るので、特に鋼製にする必要がなく、コストダウン、軽
量化を可能とする。
第2弾性体は圧入することにより予圧縮でき、耐久性
を向上できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の液体封入ブッシュの第2図中A−A相
当断面図であり、第2図は中央部断面図である。第3,4
図は連通路の他の態様を示す要部断面図である。 (1)第1内筒、(2)外筒 (3)第1弾性体、(4)液室 (5)連通路、(6)第2内筒 (7)第2弾性体、(8)リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内筒(1)と外筒(2)の間の弾性体
    (3)の外側複数位置へ液室(4)を設け該液室(4)
    間を連通路(5)で連結した液体封入ブッシュにおい
    て、内筒(1)の内側に第2内筒(6)及び該第2内筒
    (6)と前記第1内筒(1)間に第2弾性体(7)を配
    設し、弾性体の軸直角方向剛性を第1弾性体(3)<第
    2弾性体(7)、軸方向及びねじり方向剛性を第1弾性
    体(3)>第2弾性体(7)としたことを特徴とする液
    体封入ブッシュ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の第1内筒(1)及び連通路
    (5)を形成するリング(8)が合成樹脂により形成さ
    れてなる液体封入ブッシュ。
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