JP2859216B2 - 耐酸性に優れた腸内有用細菌含有顆粒の製造方法 - Google Patents

耐酸性に優れた腸内有用細菌含有顆粒の製造方法

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JP2859216B2 JP8201641A JP20164196A JP2859216B2 JP 2859216 B2 JP2859216 B2 JP 2859216B2 JP 8201641 A JP8201641 A JP 8201641A JP 20164196 A JP20164196 A JP 20164196A JP 2859216 B2 JP2859216 B2 JP 2859216B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐酸性に優れた腸
内有用細菌含有顆粒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビフィズス菌、乳酸桿菌などの腸内有用
細菌は腸の蠕動運動を促し、ある種のビタミンを産生
し、また、大腸菌、ウェルシュ菌、バクテロイデス菌等
の有害な細菌の増殖を抑えること等が知られているが、
人間の場合、成人になるにつれ腸内細菌叢中の有用細菌
は減少する。
【0003】そこで腸内において有用細菌を増殖させる
ため、腸内有用細菌の固形製剤を経口投与することが試
みられている。このためにまず腸内有用細菌の固形製剤
を調製する必要があるが、腸内有用細菌の代表例である
ビフィズス菌は偏性嫌気性菌のために酸素の存在下で死
滅し、またpHの低い状態においても著しく生菌数が低
下する。かかる事情からビフィズス菌の乾燥菌体を製造
することは困難で、この問題を解決するために、例え
ば、ビフィズス菌培養濃厚菌液に、通常使用されている
保護剤にさらに炭酸水素ナトリウムまたは炭酸マグネシ
ウムを加えて凍結乾燥する方法(特公平4−65677
号参照)が提案されている。
【0004】しかしながらこのようにして得られた腸内
有用細菌の固形製剤であっても、通常の経口投与方法で
は胃液により多くの腸内有用細菌が死滅し腸まで到達し
ない。さらにまた、腸内有用細菌の固形製剤の製造中に
水分が存在すると腸内有用細菌は死滅してしまうことが
知られている。
【0005】これらの問題を解決するために、例えば腸
内有用細菌の菌末にシェラックを結合剤として用いて造
粒する製剤(特開昭64−66124号参照)、また、
本出願人の出願に係るカルボキシメチルセルロース、シ
ェラック等の腸溶性基材で腸内有用細菌の粉末表面が被
覆された製剤(特開平4−273823号参照)等が提
案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特公平4−65677号の方法によってビフィズス菌
の乾燥菌体を生菌数を低下させることなく凍結乾燥によ
って製造し得るとしても、これを如何に製剤化し、かつ
経口投与した場合の胃液による有用細菌の死滅を回避し
てこれを腸まで到達させるかということが解決されるべ
き問題として残っていた。また腸内有用細菌の固形製剤
の製造方法である上記特開昭64−66124号のよう
にシェラックを単に腸内有用細菌の菌末に結合剤として
用いて造粒すると、シェラックが腸内有用細菌表面を被
覆していないために、経口投与時に胃内で腸内有用細菌
の多くが死滅してしまうという問題は依然として解決さ
れていない。 例えば、特公平4−65677号に記載
の技術はその明細書中に記載のように、人工胃液中37
℃1時間という条件での耐酸性の試験の結果、炭酸水素
ナトリウム6%添加したものでもビフィズス菌の残存率
は数%という効果しかない。また、本出願人の出願に係
る特開平4−273823号に記載の技術も、その明細
書に記載のように腸内有用細菌の残存率が11〜13%
しかなく、両者共その効果は未だ充分なものとは言えな
い。
【0007】さらにまた、湿度45%以上の高湿度の条
件下で、腸内有用細菌の固形製剤を製造または保存する
と、腸内有用細菌の活性が著しく低下することが判明
し、本出願人の上記出願は腸内有用細菌の一部を死滅さ
せることなく腸まで到達させ、また腸内有用細菌の固形
製剤の長期保存中に腸内有用細菌を死滅させることがな
い点で効果があるが、さらに、湿度45%以上の高湿度
等の悪条件下でも製造時および保存時の安定性のより高
い製剤を得ることが求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記の問題
を解決すべく鋭意研究の結果、腸内有用細菌含有顆粒を
製造するにあたり、腸内有用細菌の乾燥菌末に炭酸水素
ナトリウムおよび/または炭酸マグネシウムを添加し、
シェラックを含有するエタノール溶液(以下、「シェラ
ック−エタノール溶液」という)を、造粒時の結合剤お
よび/または造粒後の被覆剤として用いて造粒すること
により、製造時および保存時に腸内有用細菌の活性を安
定的に維持し、さらには経口投与しても高活性が維持さ
れる腸内有用細菌顆粒を得られることを見い出し本発明
を完成させたのである。
【0009】本発明において利用し得る腸内有用細菌と
は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium
longum)、ビフィドバクテリウム・インファンテス(Bi
fidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ブ
レーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウ
ム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilu
m)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifido
bacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・ア
ドレッセンテス(Bifidobacterium adolescentis)等の
ビフィズス菌;ラクトバシルス・アシドフィルス(Lact
obacillus acidophilus)、ラクトバシルス・ラクティス
(Lactobacillus lactis)、ラクトバシルス・カゼイ(Lac
tobacillus casei)、ラクトバシルス・サリバリウス(La
ctobacillussalivarius)、ラクトバシルス・ブルガリカ
ス(Lactobacillus bulgaricus)等の乳酸桿菌;または
エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faeca
lis)、エンテロコッカス・フェシゥム(Enterococcus f
aecium)等の乳酸球菌等が挙げられる。また、これら腸
内有用細菌は、一種類だけで用いても、また二種類以上
を混合して用いてもよい。
【0010】本発明によれば、これらの腸内有用細菌
は、その生菌体をスプレードライ、減圧乾燥、凍結乾燥
等により乾燥して乾燥菌末としたもの、より好ましくは
凍結乾燥により乾燥菌末としたものを用いる。そして、
これに炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸マグネシ
ウムを添加する。腸内有用細菌の乾燥菌末に加えられる
炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸マグネシウム
は、腸内有用細菌の乾燥菌末重量に対し2〜12%、好
ましく2〜10%の量である。
【0011】炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸マ
グネシウムは腸内有用細菌の乾燥菌末に固体の粉末とし
て添加しても、または有機溶媒中に分散させたスラリー
として添加しても良いが、スラリーとして添加する場合
には、添加後に有機溶媒の蒸発気化を行うことが必要
で、例えば腸内有用細菌含有顆粒の造粒時において、加
熱および/または減圧および/または通気等条件を勘案
して行えばよい。また、乾燥菌末に炭酸水素ナトリウム
および/または炭酸マグネシウムを添加する時期として
は、該乾燥菌末に結合剤を加える時、または加える前が
好ましい。
【0012】本発明において、腸内有用細菌の乾燥菌末
に加えられるべき炭酸水素ナトリウムまたは炭酸マグネ
シウムは、炭酸水素ナトリウムを単独で、または炭酸マ
グネシウムを単独で使用する形態の外に、この両者を併
用する形態を含むものである。
【0013】本発明の方法においてはこの腸内有用細菌
含有顆粒を製造するにあたり、腸内有用細菌の乾燥菌末
に炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸マグネシウム
を添加したものに、シェラック−エタノール溶液を、造
粒時の結合剤および/または造粒後の被覆剤として用い
る。この場合のシェラック−エタノール溶液中のシェラ
ックの濃度は、10〜60%の濃度で用いるのが好まし
い。10%より低い濃度では、製造された腸内有用細菌
含有顆粒が十分な量のシェラックで被覆されるために使
用するエタノール溶液の使用量が過大になり経済的では
無く、また60%より高い濃度では使用するエタノール
溶液の粘度が高すぎて腸内有用細菌含有顆粒に対する適
切な被覆ができにくい。このシェラックを溶解させるエ
タノールとしては無水エタノールが好ましい。
【0014】本発明方法において、シェラック−エタノ
ール溶液の被覆は必要に応じ、2回以上行うことができ
る。特にシェラック−エタノール溶液中のシェラックの
濃度が10〜32%である時、複数回の被覆を行うこと
が有効である。その回数は顆粒製造上のコスト等を考え
ると2回が好ましい。
【0015】シェラック−エタノール溶液が特にシェラ
ックの濃度が45%以上の高濃度であるときは、さらに
ラノリン、ミツロウ、牛脂、ナタネ油またはダイズ油の
水添硬化油、スクワラン、プロピレングリコール、マク
ロゴール、流動パラフィンまたはグリセリンモノ脂肪酸
エステル等を加えると、その粘性を低下させノズルの目
詰まりを防止する働きを持たせることができるので好ま
しい。特に好ましくはプロピレングリコール、マクロゴ
ール、流動パラフィン、ラノリンまたはグリセリンモノ
脂肪酸エステルが用いられる。
【0016】また、本発明方法において、シェラックの
濃度が50%以上であるシェラック−エタノール溶液と
プロピレングリコールおよび/またはマクロゴールの混
合液、またはシェラックの濃度が50%以上であるシェ
ラック−エタノール溶液と流動パラフィンの混合液を造
粒時の結合剤および/または造粒後の被覆剤として用い
ると、湿度が45%以上の高湿度等の悪条件下であって
も、本発明の顆粒の製造時および保存時の安定性の向
上、より一層の耐酸性の向上に有効である。この際、シ
ェラック−エタノール溶液のシェラックの濃度は当初か
ら50%以上であることが好ましい。
【0017】このプロピレングリコールおよび/または
マクロゴール、または流動パラフィンは他のアルコール
などで置換されるものではなく、意外にもプロピレング
リコールおよび/またはマクロゴールとシェラック−エ
タノール溶液との組み合わせ、または流動パラフィンと
シェラック−エタノール溶液のみが効果を有する。
【0018】マクロゴールとしては室温で液体、または
50〜70℃に加温することにより液体となる半固形状
のものが好ましく、例えばマクロゴール200、マクロ
ゴール300、マクロゴール400、マクロゴール10
00、マクロゴール1500、マクロゴール1540等
が好ましい。
【0019】流動パラフィンとしては石油から得られた
液状の炭化水素類の混合物で、比重0.860〜0.89
0、粘度37センチストークス以上(37.8℃)の日
本薬局方に流動パラフィンとして掲載されたものの他
に、石油から得られた液状の炭化水素類の混合物で、比
重0.830〜0.870、粘度37センチストークス未
満(37.8℃)の日本薬局方に軽質流動パラフィンと
して掲載されたものが含まれる。
【0020】シェラック−エタノール溶液とプロピレン
グリコールおよび/またはマクロゴールとの量比として
は、シェラック−エタノール溶液70〜99容量部に対
して、プロピレングリコールおよび/またはマクロゴー
ル30〜1容量部が好ましい。しかしてシェラック−エ
タノール溶液80〜90容量部に対し、プロピレングリ
コールおよび/またはマクロゴール20〜10容量部が
より好ましい。
【0021】またシェラック−エタノール溶液と流動パ
ラフィンとの量比としては、シェラック−エタノール溶
液55〜65容量部に対して、流動パラフィン45〜3
5容量部が好ましい。しかしてシェラック−エタノール
溶液58〜60容量部に対し、流動パラフィン42〜4
0容量部がより好ましい。
【0022】また、上記混合液にさらにラノリンおよび
/またはグリセリンモノ脂肪酸エステルを加えることが
でき、その添加量は、シェラック−エタノール溶液とプ
ロピレングリコールおよび/またはマクロゴールの混合
液中にラノリンおよび/またはグリセリンモノ脂肪酸エ
ステルが1〜20容量%含まれるような量であることが
好ましいが、5〜15容量%であることがより好まし
い。また、シェラック−エタノール溶液は、結合剤また
は被覆剤として単独で用いても、また結合剤および被覆
剤として同時に用いてもよいが、同時に用いることがよ
り好ましい。
【0023】腸内有用細菌含有顆粒を製造するにあた
り、前記混合液を結合剤として用いた造粒方法および/
または顆粒への前記混合液の被覆方法は腸内有用細菌の
活性を低下させない方法であれば従来から知られている
どの様な方法でもよい。
【0024】前記造粒方法としては腸内有用細菌に圧力
や熱が過剰に加わらない方法を選択する必要があり、流
動層造粒装置を用いた流動層造粒法;スクリュー押出し
造粒機、バスケット型造粒機等を用いた押出し造粒法;
遠心転動造粒装置等を用いた転動造粒法等が好ましく、
これらの方法で造粒する際に腸内有用細菌と芯物質や賦
形剤との結合剤として、シェラック−エタノール溶液を
用いる。
【0025】また、顆粒には必要に応じて従来から知ら
れている他の添加剤、例えば崩壊剤、滑沢剤、着色剤、
矯味剤等を加えることができる。前記被覆方法に用いる
装置としてはコーティングパン、流動層コーティング装
置、遠心流動コーティング装置、攪拌造粒装置(ハイス
ピードミキサー)等が挙げられ、被覆剤として、シェラ
ック−エタノール溶液または前記混合液を用いる。
【0026】また、造粒および被覆は必要に応じて同時
に行なってもよい。同時に行なう方法としては例えば、
遠心流動コーティング装置内に乳糖等を芯物質として投
入し、これにシェラック−エタノール溶液または前記混
合液をスプレーしながら、腸内有用細菌末および炭酸水
素ナトリウムおよび/または炭酸マグネシウムを加え、
必要に応じてコーンスターチ等他の添加剤を加えながら
造粒し、シェラック−エタノール溶液または前記混合液
で被覆する。この顆粒を流動層乾燥機等で乾燥すれば、
目的の腸内有用細菌含有顆粒を得ることができる。
【0027】結合剤および/または被覆剤として用いる
シェラック−エタノール溶液または前記混合液の使用量
は、結合剤として顆粒を製するに充分な量であること、
および腸内有用細菌表面を被覆するに充分な量であるこ
とが必要であり、それらの合計の使用量が、腸内有用細
菌乾燥菌末重量に対し、50〜500%であることが好
ましく、さらには100〜350%であることがより好
ましい。本発明により得られた顆粒はさらに錠剤、カプ
セル剤などとすることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明の腸内有用細菌含有顆粒の製造方
法によれば、腸内有用細菌の生菌数は高く維持され、ま
た、保形性の良好な顆粒を得ることができる。さらには
保存時および経口投与した際にも生菌数が高く維持され
た腸内有用細菌含有顆粒を得ることができる。特に、シ
ェラックの濃度が50%以上であるシェラック−エタノ
ール溶液とプロピレングリコールおよび/またはマクロ
ゴールの混合液、またはシェラックの濃度が50%以上
であるシェラック−エタノール溶液と流動パラフィンの
混合液を用いると、通常、腸内有用細菌の活性が著しく
低下するとされている湿度45%以上の高湿度等の悪条
件下でさえも生菌数が高く維持された腸内有用細菌含有
顆粒を得ることができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、実
施例は本発明を限定するものではない。
【0030】〔実施例1〕湿度39%の条件下、ビフィ
ドバクテリウム・サーモフィラムの凍結乾燥菌末(生菌
数3.4×109個/g)に、炭酸水素ナトリウムを凍結
乾燥菌末重量に対し各々0%、1%、2%、3%、4%
および5%ずつ添加した。添加後各々の菌末に対し、シ
ェラック−エタノール溶液を造粒時の結合剤および造粒
後の被覆剤として用いて顆粒を得、試料1〜6とした。
すなわち、遠心流動コーティング装置CF−360(フ
ロイント産業社製)内において乳糖1000gを投入
し、次いでシェラックの濃度が30%であるシェラック
−エタノール溶液300gをスプレーしながら、ビフィ
ドバクテリウム・サーモフィラム凍結乾燥菌末(生菌数
3.1×109個/g)100gと、さらに炭酸水素ナト
リウムを該凍結乾燥菌末重量に対し0%、1%、2%、
3%、4%および5%の各濃度になるように添加し、コ
ーンスターチ(精製乾燥滅菌コーンスターチ;松谷化学
工業社製)190g、および二酸化ケイ素2gを投入し
て造粒し、該シェラックを含有するエタノール溶液で被
覆した。さらにシェラック濃度が25%であるシェラッ
ク−エタノール溶液250gをスプレーし、顆粒を被覆
した。この顆粒を流動層乾燥機FLO−2(フロイント
産業社製)にて乾燥し、試料1〜6とした。試料1〜6
に含まれる生菌数は、理論値、実測値共に2.1×108
個/gであった。
【0031】〔実施例2〕湿度58%の条件下、遠心流
動コーティング装置CF−360(フロイント産業社
製)内に乳糖1000gを投入し、次いでプロピレング
リコール10容量部およびラノリン5容量部およびシェ
ラックの濃度が50%であるシェラック−エタノール溶
液85容量部を混合して得られた混合液250gをスプ
レーしながら、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム
凍結乾燥菌末(生菌数8.0×1010個/g)100g
と、さらに炭酸水素ナトリウムを該凍結乾燥菌末重量に
対し各々5%、7%および10%添加し、コーンスター
チ(精製乾燥滅菌コーンスターチ;松谷化学工業社製)
300g、および二酸化ケイ素2gを投入して造粒し、
該混合液で被覆した。この顆粒を流動層乾燥機FLO−
2(フロイント産業社製)にて乾燥し、試料7〜9とし
た。試料7〜9に含まれる生菌数は試料7では理論値
5.5×109個/g、実測値5.3×109個/g、試料
8では理論値5.5×109個/g、実測値5.4×109
個/g、試料9では理論値5.5×109個/g、実測値
5.1×109個/gであり、そして顆粒の状態はいずれ
も良好であった。
【0032】〔実施例3〕湿度54%の条件下%、炭酸
水素ナトリウムに代えて炭酸マグネシウムを該凍結乾燥
菌末重量に対し各々、3%および5%ずつ添加すること
を除いては、実施例2と同一の処理操作を繰り返して顆
粒を得、試料10および試料11とした。試料10およ
び試料11に含まれる生菌数は試料10では理論値4.
8×109個/g、実測値4.6×109個/g、試料1
1では理論値4.8×109個/g、実測値4.7×109
個/gであり、そして顆粒の状態はいずれも良好であっ
た。
【0033】〔実施例4〕湿度68%の条件下、遠心流
動コーティング装置CF−360(フロイント産業社
製)内において乳糖1000gを投入し、次いでプロピ
レングリコール10容量部およびラノリン5容量部およ
びシェラックの濃度が50%であるシェラック−エタノ
ール溶液85容量部を混合して得られた混合液250g
をスプレーしながら、炭酸水素ナトリウム3g、ビフィ
ドバクテリウム・サーモフィラム凍結乾燥菌末(生菌数
8.0×1010個/g)100g、コーンスターチ(精
製乾燥滅菌コーンスターチ;松谷化学工業社製)300
g、および二酸化ケイ素2gを投入して造粒し、該混合
液で被覆した。この顆粒を流動層乾燥機FLO−2(フ
ロイント産業社製)にて乾燥し、試料12とした。試料
12に含まれる生菌数は理論値5.5×109個/g、実
測値5.4×109個/gであった。
【0034】〔実施例5〕湿度56%の条件下、実施例
2において、混合液としてシェラックの濃度が50%で
あるシェラック−エタノール溶液90容量部およびプロ
ピレングリコール10容量部を混合して得られた混合液
244gを用いた以外は、実施例4と同様に造粒、被
覆、乾燥し、試料13とした。試料13に含まれる生菌
数は理論値4.5×109個/g、実測値4.0×109
/gであった。
【0035】〔実施例6〕湿度55%の条件下、実施例
4において、混合液としてシェラックの濃度が50%で
あるシェラック−エタノール溶液70容量部およびマク
ロゴール40030容量部を混合して得られた混合液2
65gを用い、投入した炭酸水素ナトリウムが4gであ
る以外は実施例4と同様に造粒、被覆、乾燥し、試料1
4とした。試料14に含まれる生菌数は理論値3.9×
109個/g、実測値3.3×109個/gであった。
【0036】〔実施例7〕湿度51%の条件下、実施例
4において、凍結乾燥菌末としてラクトバシルス・サリ
バリウス菌末を用い、混合液としてシェラックの濃度が
50%であるシェラック−エタノール溶液85容量部、
プロピレングリコール10容量部およびラノリン5容量
部を混合して得られた混合液250gを用いた以外は、
実施例4と同様に造粒、被覆、乾燥し、試料15とし
た。試料15に含まれる生菌数は理論値、実測値共に
3.8×108個/gであった。
【0037】〔実施例8〕湿度58%の条件下、実施例
4において、混合液としてシェラックの濃度が50%で
あるシェラック−エタノール溶液60容量部および流動
パラフィン40容量部を混合して得られた混合液250
gを用いた以外は、実施例4と同様に造粒、被覆、乾燥
し、試料16とした。試料16に含まれる生菌数は、理
論値5.4×109個/g、実測値5.2×109個/gで
あった。
【0038】〔実施例9〕湿度58%の条件下、実施例
4において、凍結乾燥菌末としてラクトバシラス・サリ
バリウス菌末100gを用い、さらに混合液としてシェ
ラックの濃度が50%であるシェラック−エタノール溶
液60容量部および流動パラフィン40容量部を混合し
て得られる混合液250gを用いた以外は、実施例4と
同様に造粒、被覆、乾燥し、試料17とした。試料17
に含まれる生菌数は、理論値3.6×108個/g、実測
値3.5×108個/gであった。
【0039】〔試験例1〕実施例1で得られた試料1〜
6を37℃30分間pH3.0の人工胃液処理を行なっ
た。試験に用いた人工胃液の組成を以下に示す。 (人工胃液組成) 酵母エキス 1.25g ペプトン 2.5 g 乳糖 0.5 g Tween80 0.5 g L−システイン 0.05g NaCl 1.0 g 蒸留水 500 g 1N塩酸 適量(pH3.0となるよう調製する) 結果は表1に示すとおりである。
【0040】
【表1】
【0041】以上の結果から解るように、炭酸水素ナト
リウムを凍結乾燥菌末重量に対し2〜5%の濃度ずつ添
加した各群において非常に高い耐酸性を示した。
【0042】〔試験例2〕実施例1〜7で得られた試料
4および7〜17を37℃で30分間、同じく1時間、
および同じく2時間にわたりpH3.0の人工胃液処理を
行なった。結果は表2に示すとおりである。
【0043】
【表2】
【0044】以上の結果から解るように、本発明により
得られた顆粒は2時間にわたる人工胃液処理においても
いずれにおいても約70%以上という非常に高い生菌数
の回収率を示し、耐酸性に優れていることが示された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/46 A61K 47/46 D (72)発明者 畑中 繁男 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1 号 日清製粉株式会社創薬研究所内 (72)発明者 小原 きよ子 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1 号 日清製粉株式会社創薬研究所内 (72)発明者 真貝 明子 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1 号 日清製粉株式会社創薬研究所内 (72)発明者 茂木 清 東京都千代田区内神田3丁目17番4号 堀内食品工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−174727(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 35/74 A61K 9/16 A61K 47/02 A61K 47/32 A61K 47/36 A61K 47/46

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腸内有用細菌の乾燥菌末に炭酸水素ナト
    リウムおよび/または炭酸マグネシウムを添加し、シェ
    ラックを含有するエタノール溶液を、造粒時の結合剤お
    よび/または造粒後の被覆剤として用いて造粒すること
    を特徴とする腸内有用細菌含有顆粒の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸
    マグネシウムの添加量が腸内有用細菌の乾燥菌末重量に
    対し2〜12%である請求項1記載の有用細菌含有顆粒
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 腸内有用細菌含有顆粒を製造するにあた
    り、シェラックを50%以上の濃度で含有するエタノー
    ル溶液とプロピレングリコールおよび/またはマクロゴ
    ールの混合液、またはシェラックを50%以上の濃度で
    含有するエタノール溶液と流動パラフィンの混合液を造
    粒時の結合剤および/または造粒後の被覆剤として用い
    て造粒する請求項1および請求項2記載の腸内有用細菌
    含有顆粒の製造方法。
  4. 【請求項4】 シェラックを50%以上の濃度で含有す
    るエタノール溶液70〜99容量部とプロピレングリコ
    ールおよび/またはマクロゴール30〜1容量部の混合
    液を用いる請求項3記載の腸内有用細菌含有顆粒の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 シェラックを50%以上の濃度で含有す
    るエタノール溶液55〜65容量部と流動パラフィン4
    5〜35容量部の混合液を用いる請求項3記載の腸内有
    用細菌含有顆粒の製造方法。
  6. 【請求項6】 混合液としてさらにグリセリンモノ脂肪
    酸エステルおよび/またはラノリンを含む混合液を用い
    る請求項3ないし5記載の腸内有用細菌含有顆粒の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 シェラックを含有するエタノール溶液ま
    たは混合液の合計の使用量が、腸内有用細菌の乾燥菌末
    重量に対し50〜500%である請求項1ないし6記載
    の腸内有用細菌含有顆粒の製造方法。
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