JP2858476B2 - 溶融反応末端キャッピングによるポリエステルの酸度の減少 - Google Patents

溶融反応末端キャッピングによるポリエステルの酸度の減少

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 繊維形成において利用されるポリエステルは、一般
に、一またはそれより多い二塩基性酸例えばテレフタル
酸などと、一またはそれより多いポリヒドロキシ化合物
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノールなどとの、所望の粘度
の生成物が得られるまでの加熱された反応によって製造
される。生成されたポリエステルは、それらが末端のヒ
ドロキシとカルボキシ基の両方を含むことで特徴づけら
れる。反応混合物中への過剰のポリオールの混入に起因
して末端のヒドロキシ基が、一般に、より優勢である。
ポリエステルは、タイヤコードの製造において、そし
てベルト、ホース及び多くのその他の有用な物品のため
の補強として非常に重要である。これらの商業的な用途
の多くにおいては、ポリマー分子中の過剰のカルボキシ
ル基の存在は有害である。
ポリエステル中の酸基の減少を目的としたこれまでの
試みは、ポリエステル背骨(backbone)におけるかなり
の開裂に起因するポリエステル生成物における平均分子
量の損失を結果としてもたらした。
本発明の一つの目的は、その中のぶら下がった(pend
ant)カルボキシル基が数において大幅に減少している
かまたは完全に除去されている改良されたポリエステル
材料を提供することである。
本発明の別の目的は、副生成物として水を生成させる
ことなくそしてポリエステルの分子量を維持しながらポ
リエステル上の遊離のカルボキシル基を末端キャップす
る(endcap)ことである。
本発明の別の目的は、水に対する減少した感受性を有
するポリエステル材料を提供することである。
発明の要約 本発明は、カルボキシル基含有ポリエステルの、2−
ヒドロカルビル置換−2−オキサゾリン、アルキルアセ
チルアセトネートまたはオキシランから成る群から選ば
れたカルボキシル基反応性末端キャッピング剤(endcap
pping agent)との溶融反応に関し、この溶融反応は、
カルボキシル基含有ポリエステル前駆体の大体の分子量
を維持しながら顕著に減少した数のカルボキシル基しか
持たないまたはカルボキシル基を持たないポリエステル
を提供する。
本発明を要約すれば、ポリエステル、特にポリエチレ
ンテレフタレートと、ポリエステルの末端カルボキシル
基と反応する末端キャッピング剤との溶融反応のための
方法である。末端キャッピング剤は、2−ヒドロカルビ
ル置換−2−オキサゾリン、アルキルアセチルアセトネ
ートまたはオキシランから成る群から選ばれる。
発明の詳細な説明 本発明の実施においては、ポリエステル材料は、ま
ず、当該技術の現状の任意の商業的方法で製造される。
ポリエステルの製造のための典型的な方法は、塩基性二
官能の有機酸と、ポリオール、好ましくはジオールと
の、随時任意のその他の所望の成分も一緒の加熱された
反応である。
本発明における処理のための適当なポリエステルは、
二官能の有機酸例えば、それらに限定されるものではな
いが、テレフタル酸、1,5−、1,4−または2,6−ナフタ
ル酸、4,4−ジカルボキシジフェニルなどから製造され
る。適当なポリオールは、好ましくはジオール例えば、
それらに限定されるものではないが、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどで
ある。本発明の好ましいポリエステルは、ホモポリエス
テル例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−
シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレート、ポリエステルエーテル例え
ばポリエチレンヒドロキシベンゾエート、ポリ−p−フ
ェニレンビス−ヒドロキシエトキシ−ベンゾエート、ポ
リ−p−フェニレンビス−ヒドロキシエトキシ−テレフ
タレート;主にエチレンテレフタレート単位若しくはテ
トラメチレンテレフタレート単位及びその他のコポリマ
ー成分例えばテトラメチレン若しくはエチレンイソフタ
レート、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレ
ート単位、またはテトラメチレン若しくはエチレンp−
ヒドロキシベンゾエート単位などを含有して成るコポリ
エステルまたはコポリエステルエーテルである。本発明
における処理のための好ましいポリエステルはポリエチ
レンテレフタレートである。本発明における処理のため
のポリエステルは、106グラムのポリエステルあたり40
〜10当量のCO2Hの範囲の酸価を有する。本発明における
処理のためのポリエステルは、10,000〜約60,000の範囲
の平均分子量を持たねばならない。
本発明の実施においては、生成されたポリエステル
を、以下の群から選ばれたカルボキシ反応性基即ち末端
キャッピング剤と溶融反応させる:2−置換アルキル−2
−オキサゾリン、アルキルアセチルアセトネートまたは
オキシラン(ここでこれらのアルキル基は低級アルキル
基である)。これらの末端キャッピング剤の任意のもの
の使用は、処理されたポリエステルがそれらの大体の分
子量及び粘度を維持することを可能にする。何故なら
ば、ポリマーの劣化を促進するであろう顕著な量の水が
末端キャッピング反応の間に生成しないからである。
本発明において利用される2−ヒドロカルビル置換−
2−オキサゾリン化合物は、式(I)によって表されそ
して反応(I)において示されるようにカルボキシル末
端のポリエステルと反応してアミド含有エステル末端キ
ャップを形成する: [式中、RはC1〜C6アルキル、シクロアルキルまたは芳
香族である]。好ましい化合物は2−エチル−2−オキ
サゾリンである。ポリエステルのカルボキシル基と2−
アルキル−2−オキサゾリンとの溶融反応の間に、本質
的に反応性でないアミド−エステル末端基が形成され
る。実質的な量の水が発生しないので、キャップされた
ポリマーは劣化しない。かくして、キャップされたポリ
エステルの分子量及び粘度は、キャッピング前のポリエ
ステルのそれらとほぼ同じである。
本発明において利用されるアルキルアセチルアセトネ
ートは、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチ−、ペ
ンチル−またはヘキシルアセチルアセトネート、好まし
くはメチルアセチルアセトネートである。このキャッピ
ング化合物は、ポリエステルカルボキシル末端基と反応
してエステル基を有するポリエステル並びにアセトン及
び二酸化炭素の副生成物を生成させる。アルキルアセチ
ルアセトネートは式(II)によって表されそして末端キ
ャッピング反応は反応(2)中に示される: [式中、R1はC1〜C6アルキル基を表す]。
本発明において有用であるオキシランは式(III)に
よって表されそして末端キャッピング反応は反応(3)
中に示される: 含有エステル末端キャップを形成する: [式中、R2はHまたはC1〜C6アルキル、好ましくはHを
表す]。エチレンオキシドがポリエステルのカルボン酸
末端基と反応する時には、残りのポリエステル中に既に
存在するヒドロキシ末端基と本質的に同じ反応性を有す
る2−ヒドロキシエチル基が、ポリマー上に末端キャッ
プとして導入される。
本発明の方法においては、ポリエステル及び適切な末
端キャッピング剤の溶融押出反応は、270℃と320℃の間
の温度範囲で起きなければならない。溶融押出機中への
末端キャッピング剤供給速度は、1分あたり100グラム
のポリエステル供給あたり1分あたり1と50ミリモルの
間の範囲でなければならない。溶融反応中のポリエステ
ル及び末端キャッピング剤の反応滞留時間は、溶融反応
器中に供給される未処理ポリエステル上に存在するカル
ボキシル基の実質的な末端キャッピングをもたらすため
に少なくとも10秒でなければならない。この滞留時間
は、酸基の末端キャッピングを可能にし、それによって
106グラムのポリエステルあたり10当量のCO2H未満、好
ましくは106グラムのポリエステルあたり3当量のCO2H
未満の酸価にポリエステルの酸価を減少させることを実
現する。
106グラムのポリマーあたり10当量のCO2H未満しか持
たない、本方法に従って製造されたポリエステルは、そ
れらの実質的にすべてのカルボキシル基が末端キャップ
された状態と一致する。
以下の実施例は、本発明を明瞭にする目的のために提
示される。しかしながら、それらは決して本発明を限定
する意図のものではないことが理解されるべきである。
以下は、末端キャッピング剤の上の群の各々及びポリ
エステル中の遊離のカルボキシル基をキャップする際の
それらの使用のための特定の例である。以下の実施例の
すべてにおいて、処理されたポリエステルはポリエチレ
ンテレフタレートである。
以下の実施例の各々においては、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)溶融物は、以下のようにして製造され
た。タイヤコードグレードのPETをテレフタル酸及びエ
チレングリコールから、1:1の比のフェノール:テトラ
クロロエタン中で25℃で0.94dl/gmの固有粘度、[η]
が得られるように、連続的に製造した。チップの形のPE
Tを0.10mmのHgの真空下で回転乾燥機中で少なくとも12
時間110℃で乾燥した。回収された乾いたPETポリマーを
窒素雰囲気下でアクリソン(Acrison)No.1015Z-C供給
器に移し、そしてすべてのゾーンが280℃または300℃の
どちらかに加熱されたベルネル−プライデル(Werner-P
fleiider)ZSK-30二軸スクリューコンパウンディング押
出機に供給した。40gm/minまたは100gm/minのポリマー
供給速度では、PETポリマーは、それぞれ、押出機中で8
5または35秒の溶融滞留時間を有していた。
実施例1 コンパウンディング押出機ゾーンは280℃に加熱され
そしてPETポリマーの供給速度は100gm/minであった。約
35秒のPET溶融滞留時間の間に、コンパウンディング押
出機のゾーン1の最後の部分に、BIFマイクロフィーダ
ーNo.1180-07ピストンポンプを用いて10.4ミリモル(m
M)/minのキャッピング剤、2−エチル−2−オキサゾ
リンを連続的に注入した。押出されたポリマーを冷却
し、切断しそして分析すると、0.86dl/gmの固有粘度
[η]及び0.0当量CO2H/106グラムPETポリマーを示し
た。
比較として、2−エチル−オキサゾリンの添加なしで
コンパウンディング押出機を通過する対照のPETポリマ
ーは、0.90dl/gmの[η]及び23.6当量CO2H/106グラム
ポリマーを示した。
実施例2 実施例1の手順に従って、PETを溶融押出しそしてメ
チルアセチルアセトネートをキャッピング剤として置き
換えた。40gm/minのPET供給速度で、メチルアセチルア
セトネートを0.062cc/min(0.58ミリモル/min)で注入
し、0.78dl/gmの[η]及び1.1当量CO2H/106グラムを
示す、回収されたカルボキシキャップされたPETポリマ
ーを生成させた。このテスト実験の及び3つのその他の
実験の結果を第1表中に示す。
実施例3 実施例1の手順に従って、PETを溶融押出しそしてエ
チレンオキシド(EO)またはプロピレンオキシド(PO)
のどちらかをキャッピング剤として置き換えた。供給条
件及び回収されたPETポリマーの性質を第2表中に示
す。
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
1)106グラムのポリエステルあたり40〜10当量のCO2H
の範囲の酸価を有するカルボキシル基含有ポリエステル
を、 [式中、RはC1〜C6アルキル、シクロアルキルまたは芳
香族基である]; b)CH3COCH2COOR1 [式中、R1はC1〜C6アルキル基である];及び [式中、R2はHまたはC1〜C6アルキル基である] から成る群から選ばれた末端キャッピング剤と、270℃
〜320℃の範囲の温度で1分あたり100グラムのポリエス
テル供給ごとに1分あたり1〜50ミリモルの範囲の量で
溶融反応させ、それによってポリエステルのカルボキシ
ル基の末端キャッピングを生じさせて106グラムのポリ
エステルあたり10ミリ当量のCO2H未満の酸含量をもたら
すことを特徴とする、ポリエステルの酸度を減らす方
法。
2)ポリエステルと末端キャッピング剤との溶融反応
が、少なくとも10秒の時間の間起きる、上記1に記載の
方法。
3)カルボキシル基含有ポリエステルがポリエチレンテ
レフタレートである、上記1に記載の方法。
4)末端キャッピング剤が2−エチル−2−オキサゾリ
ンである、上記1に記載の方法。
5)末端キャッピング剤がメチルアセチルアセトネート
である、上記1に記載の方法。
6)末端キャッピング剤がエチレンオキシドまたはプロ
ピレンオキシドである、上記1に記載の方法。
7)106グラムのポリマーあたり10当量のCO2Hより多い
酸含量を有するカルボキシル基含有ポリエチレンテレフ
タレート樹脂、並びに [式中、RはC1〜C6アルキル、シクロアルキルまたは芳
香族基である]; b)CH3COCH2COOR1 [式中、R1はC1〜C6アルキル基である];または [式中、R2はHまたはC1〜C6アルキル基である] から成る群から選ばれたカルボキシル基反応性末端キャ
ッピング剤の、106グラムのポリマーあたり10当量のCO2
H未満の酸価を有するポリエチレンテレフタレート樹脂
を生成させる、反応の生成物を含有して成るポリエチレ
ンテレフタレート樹脂組成物。
8)末端キャッピング剤が2−エチル−2−オキサゾリ
ンである、上記7に記載のポリエチレンテレフタレート
樹脂組成物。
9)末端キャッピング剤がメチルアセチルアセトネート
である、上記7に記載のポリエチレンテレフタレート樹
脂組成物。
10)末端キャッピング剤がエチレンオキシドまたはプロ
ピレンオキシドである、上記7に記載のポリエチレンテ
レフタレート樹脂組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 63/91 C08L 67/02 - 67/03

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】106グラムのポリエステルあたり40〜10当
    量のCO2Hの範囲の酸価を有するカルボキシル基含有ポリ
    エステルを、 [式中、RはC1〜C6アルキル、シクロアルキルまたは芳
    香族基である]; b)CH3COCH2COOR1 [式中、R1はC1〜C6アルキル基である];及び [式中、R2はHまたはC1〜C6アルキル基である] から成る群から選ばれた末端キャッピング剤と、270℃
    〜320℃の範囲の温度で1分あたり100グラムのポリエス
    テル供給ごとに1分あたり1〜50ミリモルの範囲の量で
    溶融反応させ、それによってポリエステルのカルボキシ
    ル基の末端キャッピングを生じさせて106グラムのポリ
    エステルあたり10ミリ当量のCO2H未満の酸含量をもたら
    すことを特徴とする、ポリエステルの酸度を減らす方
    法。
  2. 【請求項2】106グラムのポリマーあたり10当量のCO2H
    より多い酸含量を有するカルボキシル基含有ポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂、並びに [式中、RはC1〜C6アルキル、シクロアルキルまたは芳
    香族基である]; b)CH3COCH2COOR1 [式中、R1はC1〜C6アルキル基である];または [式中、R2はHまたはC1〜C6アルキル基である] から成る群から選ばれたカルボキシル基反応性末端キャ
    ッピング剤の、106グラムのポリマーあたり10当量のCO2
    H未満の酸価を有するポリエチレンテレフタレート樹脂
    を生成させる、反応の生成物を含有して成るポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂組成物。
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CA2024538C (en) 1996-12-17
JPH03237129A (ja) 1991-10-23
DE69025829T2 (de) 1996-07-25
EP0416288A3 (en) 1991-11-13
DE69025829D1 (de) 1996-04-18
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