JP2856916B2 - 電子回路の形成方法 - Google Patents

電子回路の形成方法

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JP2856916B2
JP2856916B2 JP50936695A JP50936695A JP2856916B2 JP 2856916 B2 JP2856916 B2 JP 2856916B2 JP 50936695 A JP50936695 A JP 50936695A JP 50936695 A JP50936695 A JP 50936695A JP 2856916 B2 JP2856916 B2 JP 2856916B2
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高史 今井
桂次 壁田
清明 周藤
茂 若松
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は電子回路の形成方法に関し、さらに詳しく
は、ポリオルガノシラン、なかでも網状骨格ポリオルガ
ノシランを用いて基材表面に薄膜を形成し、その一部の
部位を酸化した後に、ドーピングすることによって、電
子回路を形成する方法に関するものである。
背景技術 電子回路を形成するためには、その用途に応じて、い
ろいろな方法が行われてきた。導電性または半導電性を
有する物質で導体部を成形し、絶縁性物質で導体部相互
の間を遮断するという方法である。導体部の形成方法と
しては、金属を延伸、切削、プレス、切断など、機械的
に加工する方法が従来から行われている。また、金属膜
や半導体膜を形成し、化学反応によってその一部を溶か
し去って導体部を形成する方法も、一般的に行われてい
る。後者の化学的方法は、特に微細加工を必要とするエ
レクトロニクスやマイクロエレクトロニクスの分野で、
広く用いられている。これらの方法で形成された導体部
は、さらに絶縁物質を用いて加工され、電子回路が形成
される。
これらの化学的加工方法は、いずれも導体材料を部分
的に除去することによって、導体部を形成している。し
かしながら、これらの方法では、材料に無駄が生じると
いうだけでなく、加工ステップが多いという問題点を含
んでいる。加工ステップが多いということは、とりも直
さず、加工によりパターン精度が低下したり、材料が汚
染される可能性が大きいことを意味している。後者の問
題点は、化学的方法による微細加工において、集積度や
要求される加工精度、回路特性が増すにつれて、特に著
しいものとなってきている。また、この化学的方法によ
る微細加工においては、加工工程で排出される排出物の
処理の問題も大きくなってきている。
さらに、実際の電子回路においては、導電部と絶縁部
のみからなるのではなく、抵抗やコンデンサ等も載置さ
れる。これらの載置ステップも、可能であれば除去され
ることが好ましい。
有機ケイ素系ポリマーの中でも、ポリオルガノシラン
やその類縁体は、σ結合からなるSi−Si結合骨格構造を
有するポリマーであって、そのσ電子を非局在化するこ
とができ、その結果、炭素系ポリマーとは異なった
(半)導電性や光導電性、発光特性などといったユニー
クな電子的特性を有している。また、ポリシラン類の反
応については以前より研究されており、特に光分解反応
については詳細な検討が加えられている。ポリオルガノ
シラン類に紫外線を照射することによりSi−Si結合の切
断が起こるが、この紫外線照射を空気中で行わせること
により、光酸化が起こり、ポリオルガノシロキサンなど
に変換されるということが報告されている(例:J.M.Zie
glerら,Proc.SPIE,539巻 166頁(1985);H.Banら,J.Ap
pl.Polym.Sci.,33巻 2787頁(1987)。
ワイドマンは、特開平2−302439号公報に、アルキル
またはアリールトリクロロシランから合成したポリシリ
ンを基板上にスピンコートし、酸素の存在下に紫外線を
照射して光酸化させることにより、屈折率の低い部位を
生成させ、これを用いて受動導波路のような光デバイス
および電子デバイスを製造することを開示している。
横山らはケミストリーレターズ、1989年、1,005ペー
ジ、および高分子学会予稿集第41巻、4,012ページにお
いて、ポリ(ジオルガノシラン)膜の光酸化によりシロ
キサンパターンを形成し、ホール輸送能力の消失による
イメージ記録やゼログラフィーに応用できることを開示
している。
しかし、上記のいずれにおいても、ポリオルガノシラ
ンの光酸化による電気伝導度の変化を利用した電子回路
の形成またはポリオルガノシランの酸化程度を制御した
光酸化反応を用いて体積抵抗率を制御した電子回路の形
成については、開示されていない。
本発明の目的は、従来の電子回路形成方法における材
料の無駄、および加工ステップの増加に伴うパターン精
度の低下や材料への汚染を防ぎ、さらに異なる体積抵抗
率部分の形成が可能な、電子回路の新規な形成方法を提
供することである。
本発明者らは、ポリオルガノシランのSi−Si結合が光
酸化反応によってSi−O−Si結合に変換されること、お
よびそのようなSi−O−Si結合を含有するポリマーが、
該ポリオルガノシランとはまったく異なった性質を有し
ており、前述のポリオルガノシランの(半)導電性を示
さず、逆に絶縁性を示すことに着目し、ポリオルガノシ
ランの酸化反応を利用することにより、電気伝導度(暗
導電)または体積抵抗率の変化による電子回路の形成が
可能になることを見出して、本発明を完成するに至っ
た。なお、本発明において、導電体およびその属性とし
ての導電性には、半導電体および半導電性を包含する概
念として用いる。
発明の開示 すなわち、本発明の電子回路の形成方法は、電子回路
形成用基板の少なくとも一方の表面にポリオルガノシラ
ンを塗布し、乾燥させて固体状ポリシラン薄膜を形成
し、該薄膜の回路形成用部分をマスキングして残りの部
分を酸化することにより絶縁性部分を形成し、次いで、
マスキング部分に酸化性物質をドーピングすることによ
り、導電性部分を形成することを特徴とする。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記形成方法に
おいて、固体状ポリシラン薄膜の酸化程度を制御しなが
ら、部分酸化し、次いで酸化性物質をドーピングするこ
とにより、3種類以上の体積抵抗率が異なる部分に変換
することを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態 本明細書において、「部分酸化」とは、電子回路形成
用基板の全表面積の20%以上、100%未満の部分の酸化
を意味し、「酸化程度の制御」とは、固体状ポリシラン
において特有の250〜400nmの領域でのUV(紫外線)吸収
の初期の面積値を100%とし、もはやそれ以上酸化が進
行しなくなった時の上記領域のUV吸収の面積値を0%と
して、酸化によりその領域のUV吸収の面積値を100〜0
%の間で制御することを意味する。
本発明に用いられるポリオルガノシランは、Si−Si結
合からなる分子骨格を有する。その骨格構造は特に限定
されず、鎖状、分岐状または網状のいずれでもよいが、
該ポリオルガノシランが固体であることと、酸化反応に
よって分子中少なくとも一部のSi−Si結合がシロキサン
化しても固体を保ち、また酸化反応に伴って進行する低
分子量化を防ぐことから、ポリシラン鎖自体、または後
述の2価の有機基R2による架橋を含めて、網状骨格を形
成していることが好ましい。
ポリオルガノシランのケイ素原子には、1価の有機基
R1が結合している。また、2価の芳香族炭化水素基また
は複素環基R2が、分子中の2個のケイ素原子に結合して
存在してもよい。
ケイ素原子に結合した1価の有機基R1としては、置換
または非置換の1価の炭化水素基および1価の複素環基
が用いられる。すなわち、このようなR1としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
オクチル、デシルなどの炭素原子数1〜12のアルキル
基;シクロヘキシルなどの炭素原子数3〜7のシクロア
ルキル基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルな
どの炭素原子数7〜12のアラルキル基;ビニル、アリル
などの炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニルなど
のアリール基;トリルなどのアルカリール基;ビニルフ
ェニルなどの炭素原子数2〜6のアルケニル基で置換さ
れたアルケニルアリール基;4−(ジエチルアミノ)フェ
ニルなどの1価の置換炭化水素基;チエニル、ピロリル
などの1価の複素環基;3−イミダゾリルプロピル、3−
カルバゾリルプロピルなどの炭素原子数1〜6のアルキ
ル基に複素環基が置換した複素環置換アルキル基が例示
される。このほか、本発明に用いられるポリオルガノシ
ランにとって本質的ではないが、合成反応の過程で導入
される置換または非置換のアルコキシ基が、一部のケイ
素原子に結合して存在してもよい。このような置換また
は非置換のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素原子数1〜6のア
ルコキシ基;2−メトキシエトキシ、2−エトキウエトキ
シ、2−ブトキシエトキシなどの炭素原子数3〜12の置
換アルコキシ基が例示される。
R1としては、原料の入手のし易さ、およびポリオルガ
ノシランの合成のし易さから、炭素数1〜6のアルキル
基、シクロヘキシル基およびフェニル基が好ましい。ま
た、前述の、合成の過程で導入される置換または非置換
のアルコキシ基としては、ポリオルガノシランの合成が
容易なことから、炭素数1〜4のアルコキシ基が好まし
い。一方、固体状ポリシラン薄膜に高い電子伝導特性を
付与するためには、これらの一部がチエニル、ピロリ
ル、3−イミダゾリルプロピル、3−カルバゾリルプロ
ピルなどの複素環含有基であることが好ましい。
前述の網状骨格構造において、網目の程度は特に限定
されるものではないが、ポリシラン結合による網目の程
度を表す数値:R1/Siが1.00〜1.97の範囲であることが
好ましく、1.00〜1.91がより好ましく、1.00〜1.75がさ
らに好ましい。網目の程度が小さく、R1/Siが1.97を超
える場合は、酸化反応の際に、シロキサン結合を形成す
る酸化反応のみならず、低分子量化も起こり、固体膜と
しての維持が困難となる場合もある。
また網状骨格として、分子中に、2個のケイ素原子に
結合した2価の有機基R2を含んでいてもよい。そのこと
によって、網状構造のポリオルガノシランの電気伝導性
が高められると共に、有機溶媒に対する溶解性を付与
し、該ポリオルガノシランの薄膜形成をより容易にする
点で、好都合である。形成される電子回路が良好な電子
伝導特性を得るためには、R2は、芳香族炭化水素基また
は複素環基でなくてはならない。このようなR2として
は、フェニレン、ビフェニレンなどの芳香族炭化水素
基;ならびにチエニレン、ピロリレンなどの複素環基が
例示される。この場合、R2は、ケイ素原子に結合した有
機基、すなわちR1およびR2の合計に対して30%以下であ
ることが好ましく、1〜20%がさらに好ましい。
R1およびR2中の複素環含有基の合計量は、ケイ素原子
に結合した全有機基R1およびR2の1〜30%であることが
好ましく、5〜15%がさらに好ましい。複素環含有基の
割合が少ないと、高い電子伝導特性を得ることができな
い。一方、その割合が多すぎると、酸化された部位の絶
縁性が低下して、その結果、電子回路の形成が難しくな
るからである。
ポリオルガノシランの重量平均分子量は、該ポリオル
ガノシランが溶媒に可溶であって、固体膜が成形できれ
ば、特に限定されないが、合成のし易さ、溶媒可溶性並
びに電子回路の特性等の点から、1,000〜100万が好まし
く、1,500〜20万の範囲がさらに好ましい。
本発明に用いられるポリオルガノシラン、特に網状骨
格ポリオルガノシランは、既知のポリオルガノシランの
合成法を用いて製造することができる。金属ナトリウム
によるオルガノクロロシランの縮合反応(キッピング法
またはウルツ法)を用いて、原料のオルガノクロロシラ
ンの混合比を調整することにより、分子骨格の網目の程
度を制御した様々な網状骨格ポリオルガノシランを得る
ことができる。また、特開平6−57002号公報に開示さ
れたアルコキシジシラン類の不均化重合法を用いれば、
温和な条件で、各種の置換基を導入した網状骨格ポリオ
ルガノシランが合成できる。
さらに、分子中にR2を有するポリオルガノシランは、
たとえばアルコキシ基含有ジシラン化合物を、一般式MR
2M(式中、R2は前述のとおり、Mはアルカリ金属原子を
表す)で示される有機アルカリ金属化合物と反応させ
て、2個のケイ素原子の間にR2基が存在するアルコキシ
基含有ビス(ジシリル)化合物を合成し、該ジシリル化
合物を上記のおよび/または他のアルコキシ基含有ジシ
ラン化合物とともに、上記の反応で副生するシグカリ金
属アルコキシドを触媒として不均化反応を行うことによ
って合成できる。
前述のようなポリオルガノシランを用いて薄膜を形成
する方法としては、適切な溶媒にポリオルガノシランを
溶解し、ついでこれを基板上に塗布し、溶媒を揮散させ
固定状ポリシラン薄膜を得る方法が一般的である。溶媒
としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素
溶媒;およびテトラヒドロフランのような非プロトン性
極性溶媒などが例示される。塗布方法としてはディッピ
ング、スピンコーティングなどが例示されるが、均一な
厚みの薄膜を得るという点でスピンコーティングが好ま
しい。
このようにして得られた固体状ポリシラン薄膜のう
ち、電気絶縁性を付与したい特定の部位を、好ましくは
酸化程度を制御しながら酸化した後に、さらに酸化性物
質をドーピングすることにより、電子回路を形成する。
酸化されたポリシロキサン部分が絶縁性部分として機能
し、遮光し、ドーピングを行なった部分が導電性部分と
して機能する。酸化方法としては、薄膜の特定の部位を
指定して酸化できる方法であれば、どのような方法を用
いても差し支えないが、酸化反応操作の簡便性と、酸化
する部位を微細なパターン状に指定できることから、酸
素の存在下に光、特に紫外線を照射させることによる光
酸化を用いることが好ましい。
固体状ポリシラン薄膜の光酸化は、たとえば空気中
で、低圧または高圧水銀灯のような光源を用い、波長25
4nm、365nmまたはそれを中心としたブロードな波長域の
紫外線を、該薄膜の電気絶縁性を付与したい特定の部位
に必要量を照射させることによって行われる。酸化時の
酸素量は0容量%を超え、50容量%以下の濃度であるこ
とが好ましく、温度は−200〜200℃、紫外線照射量は0
〜20J/cm2であることがそれぞれ好ましい。照射時間は
紫外線強度に依存するので一概には言えないが、0.01秒
〜1時間程度が好ましい。
このような光酸化により、露光部位の固体状ポリシラ
ンのSi−Si結合の一部または全部をSi−O−Si結合に変
換させる。この場合、Si−Si結合の一部がSi−O−Si結
合に変化しただけでも、すなわち、露光部位を完全にポ
リシロキサン化しなくても、薄膜の電気伝導性を低下さ
せて電気絶縁性にすることは可能であり、本発明による
電子回路を形成することができる。
本発明の好ましい実施態様において、固体状ポリシラ
ン薄膜の酸化程度を制御する光酸化反応としては、たと
えば、次に示す2方法が挙げられる。これらの方法は単
独でもしくは組み合わせて使用することができる。
第1の方法は、露光する紫外光の露光量を制御する方
法であり、これにより酸化程度が制御される。この方法
は、たとえば、空気中で、低圧または高圧水銀灯のよう
な光源を用い、波長254nm、365nmまたはそれを中心とし
た波長域の紫外線を、該薄膜の体積抵抗率を変換したい
部位に求める体積抵抗率となるように調節された量を照
射することによって行なわれる。この際、部位により露
光量を変えれば、それにしたがって体積抵抗率の異なる
部位が形成される。
第2の方法は、露光する紫外光の露光波長を選択する
方法で、この方法によっても酸化程度が制御される。こ
の方法は、たとえば、空気中で、172、222または308nm
といった波長の紫外線を、該薄膜の体積抵抗率を変換し
たい部位に求める体積抵抗率となるように照射すること
によって行なわれる。この際、部位により露光波長を変
えれば、それに伴い体積抵抗率の異なる部位が形成され
る。この場合も露光量の制御を行なうことでさらに精密
に体積抵抗率が制御されるようになる。
上記の方法を採用することにより、体積抵抗率の値が
それぞれ異なる部分を3種類以上形成することが可能で
ある。このような3種類以上の異なる体積抵抗率の値を
有する部分を形成することにより、たとえば、抵抗を有
する電子回路を得ることができる。さらに数種類の抵抗
値を持つ抵抗を有する電子回路も、酸化程度を変えた部
位を形成することで可能となる。体積抵抗率が異なる2
種類の部分を形成しただけであると、抵抗値の小さい部
分にだけ電流が流れ、抵抗値の大きい部分は、回路の中
で抵抗として機能するのではなく、単なる不導体部分
(絶縁性部分)として機能することが考えられる。その
ため、体積抵抗率の値がそれぞれ異なる部分を3種類以
上形成することにより、抵抗を有する電子回路の形成が
可能となる。なお、体積抵抗率の値は相対的なものであ
り、この値が他の部位に比べて低いと導電性となり、高
いと絶縁性となる。
ドーピングに用いる酸化性物質としては、五フッ化ア
ンチモン、ヨウ素、塩化第二鉄などが例示されるが、電
荷発生効率がよく、かつポリオルガノシランの低分子量
化を引き起こしにくいという点で、ヨウ素および塩化第
二鉄が好ましい。これらによるドーピングは、これらの
酸化性物質の蒸気中または溶液中に、前述の特定の部位
を酸化したポリオルガノシラン薄膜をばく露または浸漬
することによって達成できる。ドーピング時の酸化性物
質の量に任意であり、温度は−78℃〜200℃であること
が好ましく、さらに好ましくは0℃〜180℃、ドーピン
グ時間は10秒〜36時間であることが好ましく、さらに好
ましくは10秒〜25時間である。ドーピングによりポリオ
ルガノシランの酸化した部分は変化せず、マスクした部
分は導電性となる。ヨウ素を酸化性物質として使用して
ドーピングした場合、明確ではないが、Si−Si結合に対
し、0.5〜5.0個のI2が入ると言われている。
産業上の利用可能性 本発明によれば、基本的に、特定の構造を有するポリ
オルガノシランを用いて基板上に固体状ポリシラン薄膜
を形成し、そしてのその一部の部位を露光により、酸化
程度を制御して酸化した後に、さらに酸化性物質をドー
ピングするという3段階の工程によって、電子回路を形
成することができる。このようにして得られる電子回路
は、電子伝導回路として用いることができる。さらに、
回路内に所望の抵抗値の抵抗を酸化程度を制御するだけ
で作り込むことが可能になる。すなわち、エレクトロニ
クス、マイクロエレクトロニクス用の導電回路などの受
動的回路として用いることができるだけでなく、発光機
能などを付与すれば、能動的電子回路としての使用も可
能である。
本発明による電子回路の形成方法は、導電体の特定の
部位を絶縁体に変換して、電子伝導特性の境界を形成す
ることによってパターンを形成するものであり、材料に
無駄を生じない。
そればかりでなく、電子回路の形成に至る加工ステッ
プが、導体形成、レジスト塗布、露光、エッチング、残
留レジストの剥離除去という従来の電子回路形成方法よ
りも少なく、加工によるパターン精度の低下や材料汚染
のおそれが少ないことから、きわめて優れた電子回路定
方法である。
実施例 以下、合成例、実施例および比較例によって、本発明
をさらに詳細に説明する。これらの例において、部は重
量部を表し、物性値は25℃における値を示す。以下の実
施例は単に例示であって、本発明はこれらの実施例によ
って制約を受けるものではない。
合成例1(網状骨格ポリオルガノシランの合成) 冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、乾燥アルゴ
ン気流下で1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジ
シラン50部を仕込み、これにナトリウムエトキシド10mo
l%を加え、100℃で20時間加熱撹拌した。冷却後、吸引
濾過により固形分を除き、濾液を1,000部の無水エタノ
ールにゆっくりと注ぎ、白色固体を再沈殿させた。吸引
濾過により濾別して集めた固体を、無水エタノールで洗
浄し、減圧下に乾燥させ、5部の網状構造ポリオルガノ
シランを得た。得られたポリオルガノシランの1H NMRを
測定した結果、メチル基とエトキシ基の存在が確認さ
れ、その比率は10:1であった。GPCによるポリスチレン
換算重量平均分子量は3,300であった。
合成例2(網状骨格ポリオルガノシランの合成) 合成例1と同様な操作により、1,2−ジメチル−1,1,
2,2−テトラエトキシジシラン50部とフェニルトリエト
キシシラン45部から、メチル基、フェニル基、エトキシ
基を3:1:2で含み、GPCによるポリスチレン換算重量平均
分子量が2,400である固体の網状構造ポリオルガノシラ
ン18部を得た。
合成例3(チエニレン基含有網状骨格ポリオルガノシラ
ンの合成) 合成例1と同様な操作により、1,2−ジメチル−1,1,
2,2−テトラエトキシジシラン50部と2,5−ビス(トリエ
トキシシリル)チオフェン20部から、メチル基、チエニ
レン基、エトキシ基を66:6:28割合で含み、GPCによるポ
リスチレン換算重量平均分子量が16,900である固体の網
状構造ポリオルガノシラン5部を得た。
合成例4(ビフェニレン基含有網状骨格ポリオルガノシ
ランの合成) 合成例1と同様な操作により、ただしナトリウムエト
キシドの代わりに10mol%の4,4′−ジリオチビフェニル
を用い、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラエトキシジシ
ラン50部を不均化重合させることで、メチル基、ビフェ
ニレン基、エトキシ基を80:6、14の割合で含み、GPCに
よるポリスチレン換算重量平均分子量が10,600である固
体の網状構造がポリオルガノシラン6部を得た。
合成例5(網状骨格ポリオルガノシランの合成) 冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、窒素気流下
で乾燥トルエン400部と金属ナトリウム14部を入れ、還
流状態となるまで加熱し、激しく撹拌して、ナトリウム
ディスパージョンを調製した。ついで、該ディスパージ
ョン中に、フェニルトリクロロシラン21部とメチルシク
ロヘキシルジクロロシラン20部の混合物をゆっくりと滴
下した。加熱還流のまま8時間反応を行なった。得られ
た反応混合物を100部のメタノールの中に加え、室温で
1時間撹拌後、反応混合物を濾過し、濃縮した。これを
トルエン20部に溶解し、メタノール1,000部に注ぎ込む
ことにより再沈殿させた。固形物を濾別し、別のメタノ
ールで洗浄し、乾燥させることによって、粉末状の網状
骨格ポリオルガノシラン6部を得た。生成物の1H NMRの
結果から、フェニル基とシクロヘキシル基の比率は1:1
であった。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量
は2,000であった。
合成例6(網状骨格ポリオルガノシランの合成) 合成例5と同様な操作により、メチルシクロヘキシル
ジクロロシラン30部、フェニルトリクロロシラン11部お
よび金属ナトリウム12部から、フェニル基とシクロヘキ
シル基の比率が0.9:3で、ポリスチレン換算重量平均分
子量が1,200である固体の網状骨格ポリオルガノシラン
を得た。
合成例7(鎖状骨格ポリオルガノシランの合成) 合成例5と同様な操作により、メチルフェニルジクロ
ロシラン38部と金属ナトリウム10部から、ポリスチレン
換算重量平均分子量が7,900でしぐ固体のポリ(メチル
フェニルシラン)を得た。
実施例1 合成例1で得たポリオルガノシラン5部をクロロホル
ム100部に溶解させ、これを石英ガラスにスピンコート
した後、室温で溶媒を蒸散させ、その後減圧下で100℃
に1時間保って、石英ガラスの表面に厚さ0.7μmのポ
リオルガノシラン膜を形成させた。このポリオルガノシ
ラン膜をコートした石英ガラス板の一部の部位をアルミ
ホイルで遮光し、空気中で80W高圧水銀灯を用いて9,600
mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射した。ついでこの
石英ガラス板をヨウ素蒸気に24時間さらし、試験体を得
た。このものの体積抵抗率を測定したところ、遮光部は
3×106Ω・cmの体積抵抗率を示したのに対し、露光部
は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示した。これによっ
て、半導電回路が形成できることが明らかとなった。こ
のように部分遮光して紫外線照射したポリオルガノシラ
ン膜コート石英ガラス板の紫外スペクトルを測定したと
ころ、遮光部では光照射前と比べてスペクトルの変化が
なかったのに対し、露光部では250〜400nmのポリオルガ
ノシランによる吸収スペクトルは消失していた。
実施例2 実施例1と同様にして、合成例2で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.5μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
9,600mK(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に48時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は6×106Ω・cmの体積抵抗率を示した
のに対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例3 実施例1と同様にして、合成例3で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.6μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
6,000mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に24時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は2×104Ω・cmの体積抵抗率を示した
のに対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例4 実施例1と同様にして、合成例4で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.3μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
9,600mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に24時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は3×14Ω・cmの体積抵抗率を示したの
に対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例5 実施例1と同様にして、合成例5で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.9μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
9,600mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に24時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は8×105Ω・cmの体積抵抗率を示した
のに対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例6 実施例1と同様にして、合成例6で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.6μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
9,600mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に24時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は2×105Ω・cmの体積抵抗率を示した
のに対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例7 実施例1と同様にして、合成例7で得たポリオルガノ
シランから、厚さ0.7μmのポリオルガノシラン膜を形
成させた。実施例1と同様に、一部を遮光して空気中で
9,600mJ(波長350mm換算)の紫外線を照射し、ついでヨ
ウ素蒸気に24時間さらしたものの体積抵抗率を測定した
ところ、遮光部は2×106Ω・cmの体積抵抗率を示した
のに対し、露光部は1013Ω・cm以上の体積抵抗率を示し
た。
実施例8 合成例1で得たポリトルガノシラン5部をクロロホル
ム100部に溶解させ、これを石英ガラスにスピンコート
した後、室温で溶媒を蒸散させ、その後減圧下で100℃
に1時間保って、石英ガラスの表面に厚み0.7μmのポ
リオルガノシラン膜を形成させた。このポリオルガノシ
ラン膜をコートした石英ガラス板の一部の部位をアルミ
ホイルで遮光し、空気中で80W高圧水銀灯を用いて一部
には1,200mJ/cm2,またもう一部には9,600mJ/cm2(波長
350mm換算)の紫外線を照射した。ついでこの石英ガラ
ス板をヨウ素蒸気に1時間さらし、試験体を得た。この
ものの体積抵抗率を2探針法を用いて測定した。結果を
表1にまとめて記載した。結果から明らかなように、露
光量の制御により、体積抵抗率が異なる部位が形成され
ることが確認された。
実施例9および10 実施例1と同様にして、合成例3および5で合成した
ポリオルガノシランから、それぞれ薄膜を得て、適当量
を露光した後、ヨウ素ドーピングして体積抵抗率を測定
した。結果を表2に示す。
実施例11 実施例1と同様にして、合成例1で合成したポリオル
ガノシランから厚さ0.7μmのポリオルガノシラン膜を
得た。このものに、アルミホイルを用いて部分的に遮光
しながら、誘電体パリア放電エキシマランプ(ウシオ電
機株式会社製)を用いて、172、222または308nmの波長
の光を露光した。露光はランプ表面から1mm離れたとこ
ろにポリオルガノシラン膜を置くようにして行ない、露
光量はランプ放射強度と露光時間から1000mJ/cm2となる
ように調節した。その後、ヨウ素ドーピングを1時間行
ない、各部の体積抵抗率を測定した。結果を表3に示
す。これにより、露光波長の選択で体積抵抗率を制御で
きることが明かとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若松 茂 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝 シリコーン株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−48515(JP,A) 特公 平5−79695(JP,B2) 特公 昭46−18057(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 3/02 H05K 3/10 C08G 77/60 JOIS

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子回路形成用基板の少なくとも一方の表
    面にポリオルガノシランを塗布し、乾燥させて固体状ポ
    リシラン薄膜を形成し、該薄膜の回路形成用部分をマス
    キングして残りの部分を酸化することにより絶縁性部分
    を形成し、次いで、マスキング部分に酸化性物質をドー
    ピングすることにより、導電性部分を形成することを特
    徴とする電子回路の形成方法。
  2. 【請求項2】薄膜の一部の部位を酸化するために、酸素
    の存在下で該薄膜に紫外光を照射する請求の範囲第1項
    記載の電子回路の形成方法。
  3. 【請求項3】酸化工程において、酸化程度を制御しなが
    ら部分酸化することにより、3種類以上の体積抵抗率が
    異なる部分に変換する請求の範囲第2項記載の電子回路
    の形成方法。
  4. 【請求項4】酸化程度の制御が、紫外線の露光量を変え
    ることにより体積抵抗率を制御するものである請求の範
    囲第3項記載の電子回路の形成方法。
  5. 【請求項5】酸化程度の制御が、紫外線の露光波長を変
    えることにより体積抵抗率を制御するものである請求の
    範囲第3項記載の電子回路の形成方法。
  6. 【請求項6】酸化性物質が、ヨウ素、塩化第二鉄または
    五フッ化アンチモンである請求の範囲第1項記載の電子
    回路の形成方法。
  7. 【請求項7】固体状ポリシランが、網状骨格を有する請
    求の範囲第1項記載の電子回路の形成方法。
  8. 【請求項8】固体状ポリシランのケイ素原子に結合した
    1価の有機基(R1)が、たがいに同一または異なってい
    てもよい、置換または非置換の1価の炭化水素基または
    複素環基であり、一部が置換または非置換のアルコキシ
    基であってもよい請求の範囲第1項記載の電子回路の形
    成方法。
  9. 【請求項9】R1が、たがいに同一または異なっていても
    よい、炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル基ま
    たはフェニル基であり、一部が炭素数1〜4のアルコキ
    シ基であってもよい請求の範囲第8項記載の電子回路の
    形成方法。
  10. 【請求項10】ケイ素原子に結合した全有機基R1および
    R2の1〜30%が複素環含有基である請求の範囲第8項記
    載の電子回路の形成方法。
  11. 【請求項11】固体状ポリシランのケイ素原子に、2価
    の芳香族炭化水素または2価の複素環基(R2)が、R1
    R2の合計量の30%以下の量結合した請求の範囲第8項記
    載の電子回路の形成方法。
  12. 【請求項12】R2が、フェニレン、ビフェニレン、チエ
    ニレンまたはピロリレンである請求の範囲第11項記載の
    電子回路の形成方法。
  13. 【請求項13】電子回路が電気伝導回路である請求の範
    囲第1項記載の電子回路の形成方法。
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