JPH0636099B2 - ポリシルフェニレンシロキサン及びその製造方法ならびにレジスト材料及び半導体装置 - Google Patents

ポリシルフェニレンシロキサン及びその製造方法ならびにレジスト材料及び半導体装置

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JPH0636099B2
JPH0636099B2 JP2306080A JP30608090A JPH0636099B2 JP H0636099 B2 JPH0636099 B2 JP H0636099B2 JP 2306080 A JP2306080 A JP 2306080A JP 30608090 A JP30608090 A JP 30608090A JP H0636099 B2 JPH0636099 B2 JP H0636099B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 有機珪素重合体に関し、 半導体装置の製造等の分野において有用な新規な有機珪
素重合体を提供することを目的とし、 次の分子構造式(I): (上式において、 Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素又
は1価の炭化水素基を表し、そして m及びnは、それぞれ、正の整数を表す)により表さ
れ、 シルフェニレンシロキサンの核と該シルフェニレン核を
取り囲んだトリオルガノシリル基とからなる三次元毬状
構造を有しており、そして 1,000 〜5,000,000 の重量平均分子量を有しているポリ
シルフェニレンシロキサンより構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は新規な有機珪素重合体、なかずく、ポリシルフ
ェニレンシロキサンに関する。本発明はまた、かかる有
機珪素重合体を製造する方法に関する。さらに、本発明
は、レジスト材料、特に二層構造レジスト法において上
層レジストとして有用なレジスト材料、そしてかかるレ
ジスト材料を使用したパターン形成方法及び半導体装置
の製造方法に関する。さらにまた、本発明は、本発明の
新規な有機珪素重合体を層間絶縁膜、耐熱性保護膜とし
て使用した半導体装置に関する。
本発明の有機珪素重合体は、電子線や遠紫外線等の高エ
ネルギー輻射線に対する感度が大であり、高コントラス
トであり(例えばγ=2.8)、現像時の膨潤が小であ
り(例えば、EBレジストとして使用した時に0.2μ
ml/s)、よって高度の解像力を有し、軟化温度が 400
℃以上と高く、しかも高酸素プラズマ耐性(例えば、ノ
ボラックレジストに対して選択比100)を有しているの
で、半導体装置の製造等の分野においてレジストとして
有利に利用することができる。また、本発明の有機珪素
重合体は、耐熱性及び絶縁性にすぐれかつ良好な平坦化
機能を有しているので、各種集積回路等の半導体装置の
製造のうちの多層配線形成工程において有利に使用する
ことができる。例えば、本発明の有機珪素重合体は、I
C,LSI 等の集積密度の高い半導体装置の多層配線を形
成するに際して、スピンコート法により成膜することに
より下地段差を平坦化しつつ優れた絶縁性を有する膜を
形成し、よって、装置の信頼性を高めることができる。
〔従来の技術〕
半導体素子、磁気バブルメモリ素子、表面波フィルタ素
子など、微細パターンを持つ電子回路素子の形成には薄
膜形成技術と写真食刻技術(フォトリソグラフィ)が多
用されている。すなわち、配線パターンについて言え
ば、真空蒸着法、スパッタ法などの物理的方法あるいは
化学気相成長法などの化学的被処理基板上に導電層、絶
縁層などの薄膜を形成した後、スピンコート法などの方
法でレジスト組成物を被覆し、これに紫外線などの光の
照射を行って感光せしめ、露光部が現像液に対して溶解
度の差を生じるのを利用してレジストパターンが形成さ
れている。このレジストパターンをマスクに用いて、ウ
エットエッチング或いはドライエッチングを行って被加
工基板上に微細な導体パターンや絶縁層パターンなどを
形成している。また、レジストパターン形成のための別
法として、電子線の径を微小に絞ってレジスト組成物の
膜上を走査することにより直接描画し、現像を行ってレ
ジストパターンを作り、エッチングにより微細なパター
ンを形成する方法なども使用されている。
しかし、VLSIなどのような半導体素子製造プロセスにお
いては、集積度を上げるため配線の多層化が行われてお
り、基板表面には1〜2μmの段差が生じている。その
ため、先に説明したような単層レジスト法では微細パタ
ーンを高精度で形成することは困難となっている。
高段差を持つ基板上に制度良く微細パターンを形成する
方法として二層構造レジスト法が提案されている。この
方法は、添付の第1A図に示されるように、例えば段差
(ここでは金属配線)2を有する基板1上に有機樹脂を
例えば2μmの膜厚で塗布して下層レジスト(平坦化
層)3を形成することからスタートする。基板面を平坦
化した後、露光輻射線に対して感度を有するレジスト材
料を例えば0.2〜0.3μm程度の膜厚で薄く塗布し
て上層レジスト4を形成する。次いで、第1B図に示さ
れるように、上層レジスト4にパターン露光を施す。使
用するレジスト材料のタイプに依存して、上層レジスト
4の露光域が現像液に対して可溶化もしくは不溶化せし
められる。次いで、露光後の上層レジスト4を選ばれた
現像液で現像して、第1C図に示されたようにパターニ
ングする。このパターニングの完了後、得られた上層レ
ジスト4のパターンをマスクとして、酸素プラズマによ
り下地(下層レジスト)3をエッチングする。第1D図
に示されるように、上層レジスト4のパターンが下層レ
ジスト3に転写される。この二層構造レジスト法では、
下層レジストが基板段差の影響や基板表面からの光の反
射を防止し、また、上層レジストを薄くできることか
ら、単層レジスト法に比べ解像性を著しく向上できる。
この二層構造レジスト法の上層レジストには、従来の単
層レジストに要求される感度、解像性に加え、更に酸素
プラズマ耐性が要求される。ここで、有機珪素重合体は
酸素プラズマ耐性に優れているので、有機珪素重合体に
基づいていて、パターン形成材料として有用なネガ型レ
ジスト材料はすでに知られている。例えば、いわゆるラ
ダー構造のポリシロキサンや、フェニル基を有するポリ
シロキサンが代表的なものであって、これは二層構造レ
ジスト法の上層レジストを構成するネガ型レジストとし
てよく知られている。
ラダー構造のポリシロキサンをレジストとして用いる例
として、例えば、本願発明者らの発明した米国特許第
4,863,833号に記載のパターン形成材料をあげることが
できる。このパターン形成材料は、水酸基を分子中に含
有しないポリシルセスキオキサンからなり、かつ該ポリ
シルセスキオキサンが次式により表されるシリル化ポリ
シルセスキオキサン: (上式において、R1 及びR2 は同一もしくは異なって
いてもよく、それぞれ置換もしくは非置換のアルキル
基、置換もしくは非置換のアリール基又は置換もしくは
非置換のビニル基を表し、そしてmは約25〜4,000 の正
の整数である)であることを特徴とする。このパターン
形成材料には高エネルギー輻射線に対する感度が大であ
り、ドライエッチング耐性が良好であり、解像性が良
く、熱安定性も良いという長所があるけれども、コント
ラストや膨潤の面で改良の余地を残している。
また、フェニル基を有するポリシロキサンをレジストと
して用いる例として、例えば、欧州特許出願公開公報第
0122398号に記載のパターン形成材料をあげることがで
きる。このパターン形成材料は、次式により表されるシ
ロキサン重合: (上式において、R,R′及びR″は同一もしくは異な
っていてもよく、それぞれ水素、アルキル基又はフェニ
ル基を表し、Xはハロゲン又は-CH2Yを表し、Yはハロ
ゲン等であり、そしてl,m及びnはそれぞれ0又は正
の整数である)からなることを特徴とする。この種のパ
ターン形成材料は上記したラダー構造のポリシロキサン
と同様に高エネルギー輻射線に対する感度が大でありか
つドライエッチング耐性が良好であり、また、したがっ
て、例えば東ソー(株)からSNRレジストとして市販
されている。しかし、かかるパターン形成材料は、紫外
線に対する感度が低く、現像時の膨潤が大きく、またコ
ントラスト(γ値)が低いため(例えば、SNRレジス
トではγ=1.2〜1.6)、太いラインパターン間の
スペースなどの、いわゆるスペース(抜き)パターンを
クリアに解像できない。特に0.5μm以下の微細パタ
ーンになると、これは非常に大きな問題となっている。
したがって、VLSIの微細化やスループットの向上のた
め、感度及び酸素プラズマ耐性に優れ、かつ現像時の膨
潤が小さくコントラストが高い、高解像性のレジスト材
料の開発が望まれている。
有機珪素重合体はレジストとして以外にも用いられてい
る。例えば、周知の通り、テトラアルコキシシランを加
水分解及び縮重合して得られる比較的低分子量の重合
体、いわゆる無機SOG(Spin-on-glass)は、半導体装置の
製造において有用な有機珪素重合体であり、その製造方
法も公知である。そしてまた、上記のような有機珪素重
合体の用途の一つとして、多層配線構造をもった半導体
装置の層間絶縁膜がある。
層間絶縁膜は、第一層配線を施した後、絶縁膜を形成
し、絶縁膜に上下配線層間の導通をはかるためのスルー
ホールを形成した後、絶縁膜を介して第二層配線を施
し、順次この工程を繰り返して多層配線を形成する関係
で、必須であった。層間絶縁膜として用いられる材料と
しては、従来より、シランガスや酸素ガス等を用いて気
相成長法により形成した、二酸化珪素、窒化珪素、りん
ガラス(PSG)などの無機材料、あるいはポリイミド、シ
リコーン樹脂などの高分子絶縁材料、または、これらの
材料の積層体が用いられているが、配線パターンの微細
化に伴い信頼性という点でより特性の優れた材料が要求
されてきた。
多層配線を考える場合、第一層配線を施した半導体基板
の表面は配線により凹凸を有するので、これを下地とし
てその上に無機膜を形成すると層間絶縁膜の表面は下地
の凹凸をそのまま再現してしまう。このため、基板の表
面の凹凸はその基板の上に形成される上層配線の断線や
絶縁不良等の原因となる。したがって、凹凸を有する下
地基板を平坦化できる絶縁材料の開発が望まれていた。
そこで、エッチンバック法、バイアススパッタ法などの
絶縁膜製造プロセスから平坦面を得る方法と、樹脂をス
ピンコート法により成膜して平坦な絶縁膜を得る方法が
検討されている。これらの方法のなかでプロセス的に簡
単な樹脂塗布法は、樹脂をスピン塗布した後に加熱硬化
させる必要があるが、この時に上下配線層の導通をはか
るためのスルーホールの形成を行った後に加熱硬化させ
ると、よりプロセスの簡便化が図れる。しかしながら、
半導体製造プロセスには 400℃以上の熱処理工程が含ま
れているために、従来から用いられてきたポリイミド、
シリコーン樹脂等の高分子材料は、熱処理時に膜の酸化
や熱分解を生じたり、硬化反応や膜の酸化、分解等によ
り生じた膜の歪みによりクラックの発生がみられという
欠点を有している。そのため、熱処理工程において変化
の生じない耐熱樹脂材料の開発が望まれていた。
また、層間絶縁膜に要求される特性として低誘電率であ
ることがあげられる。すなわち、層間絶縁膜の誘電率が
低ければ、配線遅延時間が短縮され、高速デバイスの実
現が可能になるからである。しかし、従来から用いられ
てきた、二酸化珪素、窒化珪素、りんガラス(PSG)など
の無機材料の誘電率は4.0ないしそれ以上であり、低
下させることが望ましく、一方、上記無機SOGは、加
熱硬化後の組成が二酸化珪素と類似であるため、誘電率
を低くすることが困難である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の第1の課題は、上記したような従来の技術の欠
点を解消することにかんがみて、半導体装置の製造等の
分野において有用な新規な有機珪素重合体を提供するこ
とにある。
本発明の第2の課題は、このような新規な有機珪素重合
体の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の課題は、感度及び酸素プラズマ耐性に優
れ、かつ現像時の膨潤が小さくコントラストが高い、特
に二層構造レジスト法の上層レジストとして有用な高解
像性レジスト材料を提供することにある。
本発明の第4の課題は、凹凸のある基材に対してもシャ
ープで微細なパターンを形成可能なレジストパターンの
形成方法を提供することにある。
本発明の第5の課題は、凹凸のある下地の上に施しても
その凹凸を再現することなく、かつ耐熱性、絶縁性等に
すぐれた層膜を有する半導体装置を提供することにあ
る。
本発明の第6の課題は、すぐれた層間絶縁膜及び/又は
耐熱性保護膜を有する半導体装置を提供することにあ
る。
本発明の上記以外の課題は、以下の詳細な説明から容易
に理解することができるであろう。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究の結
果、有機珪素重合体を従来のラダー型構造又はそれに類
似の構造となすのではなく、三次元毬状構造、すなわ
ち、シルフェニレンシロキサンの強固な核とこの核を取
り囲んだ官能基:トリオルガノシリル基とからなる三次
元毬状構造となすことによって課題を解決できるという
ことを見い出した。本発明者らにより見い出された有機
珪素重合体はポリシルフェニレンシロキサンであり、そ
の主たる特徴は、 (1) 電子線(EB)や遠紫外線(deep UV)等の高エネル
ギ輻射線に対する感度が大であること; (2) 高コントラストであること(例えばγ=2.
8); (3) 現像時の膨潤が小であること(例えば、EBレジ
ストとして使用した時に0.2μml/s); (4) よって、高度の解像力を有すること; (5) 高い軟化温度(400℃以上)を有すること; (6) 高酸素プラズマ耐性を有すること(例えば、ノボ
ラックレジストに対して選択比100); にある。なお、本願明細書では、このような新規なポリ
シルフェニレンシロキサンのことをTSPS(Three-dimensi
onal Polysilphenylenesiloxaneの略)とも記載する。
本発明は、その1つの面において、次の分子構造式
(I): (上式において、 Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素又
は1価の炭化水素基を表し、そして m及びnは、それぞれ、正の整数を表す)により表さ
れ、 シルフェニレンシロキサンの核と該シルフェニレン核を
取り囲んだトリオルガノシリル基とからなる三次元毬状
構造を有しており、そして 1,000 〜5,000,000 の重量平均分子量を有していること
を特徴とするポリシルフェニレンシロキサンにある。
本発明は、そのもう1つの面において、前記構造式
(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサンを
製造するに当って、次式(II)により表される有機珪素
化合物: (上式において、R1 〜R6 はそれぞれ同一もしくは異
なっていてもよく、水素、1価の炭化水素基、トリクロ
ロシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、但し、
これらの置換基のうち少くとも2個はトリクロロシリル
基及び/又はトリアルコキシシリル基である)を加水分
解し、引き続いて前記加水分解の生成物を脱水縮重合す
ることを特徴とするポリシルフェニレンシロキサンの製
法にある。
本発明は、そのさらにもう1つの面において、前記構造
式(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサン
を製造するに当って、前記製造方法を繰り返し、そして
脱水縮重合により得られた生成物を、次式で示されるト
リオルガノシラン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
アナト基を表す)、次式で示されるヘキサオルガノジシ
ラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、次式で
示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、又はそ
の混合物と反応させて、前記生成物中に残存する前記脱
水縮重合に寄与しなかったシラノール基の水素原子を次
式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
置換することを特徴とするポリシルフェニレンシロキサ
ンの製法にある。
本発明は、そのさらにもう1つの面において、前記構造
式(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサン
を製造するに当って、前記製造方法を繰り返し、そし
て、前記脱水縮重合により得られた生成物を次式で示さ
れるトリオルガノシラン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
アナト基を表す)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物と反応させて(但し、前式(II)のR1
〜R6 と前記Rの総数のうち少くとも5%以上はハロゲ
ン化低級アルキル基又はハロゲン化アリール基であ
る)、前記生成物中に残存する前記脱水縮重合に寄与し
なかったシラノール基の水素原子を次式で示されるトリ
オルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
置換することを特徴とするポリシルフェニレンシロキサ
ンの製法にある。
本発明は、また、そのもう1つの面において、前記構造
式(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサン
を製造するに当って、次式で示されるトリオルガノシラ
ン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
アナト基を表す)、次式で示されるヘキサオルガノジシ
ラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、次式で
示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、又はそ
の混合物を有機溶剤に溶解し、このようにして得られた
溶液に、水の存在下、次式(II)により表される有機珪
素化合物: (上式において、R1 〜R6 はそれぞれ同一もしくは異
なっていてもよく、水素、1価の炭化水素基、トリクロ
ロシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、但し、
これらの置換基のうち少くとも2個はトリクロロシリル
基及び/又はトリアルコキシシリル基である)を徐々に
添加することを特徴とするポリシルフェニレンシロキサ
ンの製法にある。
また、本発明は、そのもう1つの面において、前記構造
式(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサン
からなることを特徴とするレジスト材料にある。このレ
ジスト材料は、好ましくは、ネガ型であり、そして二層
構造レジスト法において上層レジストとして用いられ
る。
さらにまた、本発明は、そのもう1つの面において、前
記構造式(I)により表されるポリシルフェニレンシロ
キサンからなるレジスト材料を基材の表面に塗布し、 得られたレジスト膜を遠紫外線、電子線、X線等の電離
放射線により所望のパターンが得られるよう選択的に露
光し、そして パターン露光後のレジスト膜を現像して未露光域のレジ
スト材料を溶解除去すること、を含んでなることを特徴
とするレジストパターンを形成する方法にある。ここ
で、もしも基材の表面に段差がある場合に、前記レジス
ト膜を二層構造となし、その際、平坦化機能を有するレ
ジスト材料から下層レジストを構成しかつ前記構造式
(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサンか
らなるレジスト材料から上層レジストを形成し、よっ
て、上層レジストにおいて形成されたレジストパターン
を酸素プラズマエッチング等により下層レジストに転写
するのが好ましい。
さらにまた、本発明は、そのもう1つの面において、前
記構造式(I)により表されるポリシルフェニレンシロ
キサンからなるレジスト材料から形成されたレジストパ
ターンをマスクとして、その下方の下地をドライエッチ
ングにより選択的に除去する工程を含むことを特徴とす
る半導体装置を製造する方法にある。
そして、本発明は、そのもう1つの面において、前記構
造式(I)により表されるポリシルフェニレンシロキサ
ンからなる層膜を有することを特徴とする半導体装置に
ある。本発明の層膜はいろいろな目的で有利に使用でき
るというものの、好ましくは多層配線の層間絶縁膜とし
て、及び/又は耐熱性保護膜としてである。
〔作 用〕
本発明による有機珪素重合体TSPSは、その分子構造が従
来の線状構造やラダー構造を有する線状ポリマに比ベラ
ンダム架橋したゲルに近いことから、僅かな架橋で速か
にゲル化が生じるためコントラストが高い。また、分子
骨格中にベンゼン環が導入されていることから各原子の
動きは大きく制限されるため、従来の線状構造及びラダ
ー構造を有するポリマに比べ現像時の膨潤が極めて小さ
くなる。従って、従来の有機珪素重合体に基づくネガ型
レジストにおいて解像が困難であった1μm以下の抜き
パターンをクリアに解像することができる。
また、官能基であるトリオルガノシリル基の種類を選定
すれば、可視光、紫外線、遠紫外線、エキシマレーザ、
X線、電子線等に高感度である。更に骨格中の珪素含有
量が高いため酸素プラズマ耐性も充分である。
さらにまた、本発明による有機珪素重合TSPSは、多くの
入手可能な有機溶媒に可溶であり、従来のスピンコート
法にて成膜可能である。従って、凹凸表面を有する半導
体基板表面を容易に平坦化可能である。
また、これらの有機珪素重合体は、耐熱性に優れている
ばかりでなく、従来の無機SOG材料と異なり、膜形成
後にも多くの有機基が存在するため、誘電率が低いとい
う優位性もある。そのため、半導体装置の製造工程で破
損を起こすことなく、かつデバイスの高速化に寄与する
層間絶縁膜として有用である。
さらにまた、本発明による有機珪素重合体であって前式
中の置換基R1 〜R6 及びRの総数のうちの少くとも5
%がハロゲン化低級アルキル基及び/又はハロゲン化ア
リール基であるような重合体は、電離放射線、特に電子
線、X線に対して高感度であるため、ネガ型のパターン
形成が可能であり、レジストなしでスルーホールの形成
が可能である。そのため、半導体装置の製造工程で破損
を起こすことなく、かつデバイスの高速化、工程の簡略
化を寄与する層間絶縁膜として有用である。
本発明のこれらの作用は、添付の図面に示される本発明
の有機珪素重合体TSPS分子構造モデル、その他を参照す
ることにより、より明らかとなるであろう。すなわち: 第2図は、本発明のTSPSの分子構造モデルを示したもの
である。TSPSは、図示される通り、強固なシルフェニレ
ン核とこの核を取り囲んで形成せしめられた官能基、ト
リオルガノシリル基とから構成されている。このTSPS
は、その特殊な三次元毬状構造に由来して従来の線状又
はラダー構造のポリマに比べてより強固で強靭であり、
また、これらの特性に由来して、高コントラスト、低膨
潤、そして熱安定である。
本発明のTSPSは、前記した通り、前記式(II)により表
される有機珪素化合物を加水分解し、引き続いてこの加
水分解の生成物を脱水縮重合することによって合成す
る。シルフェニレン核の周囲の残留シラノール基は、そ
れをトリオルガノシリル基(例えばトリオルガノクロロ
シラン)で置換することによって終端させる。このTSPS
の合成を、6官能性モノマを出発原料として実施した場
合を参照して反応式で示すと、次のようになる: ちなみに、従来のラダー構造のポリマ(ラダー SPS)
は、出発物質としての4官能性モノマから次のような反
応式に従って合成されている: 本発明者らは、上記したTSPSの合成を確認するため、中
間体状態のTSPS及び最終状態のTSPSの構造を29Si-NMRス
ペクトル(JEOL社製のモデルGX500を使用)及びGPC-LAL
LSクロマトグラム(東ソー(株)製のモデルHLC-8020,L
S-8000を使用)によって評価した。得られた結果を第3
図ならびに第4図及び第5図に示す。なお、GPC-LALLS
とは、低角度レーザ光散乱式光度計を装備したゲル透過
クロマトグラフ装置を用いて得られるクロマトグラムを
指す(GPC-LALLS=gel-permeation chromato-graphy eqip
ped with a low-angel laser light scattering photom
eter)。
第3図に示すTSPSのNMRスペクトルにおいて、中間体
状態(加水分解後)のそれは−60ppm 及び−70ppm に中
心を有する2つの幅広なピークを示し、残留せるSiOH及
びSi(OH)2基が分子中に存在していることを示した。と
ころが、合成をさらに進めた結果、シラノール基の脱水
がおこり、合成の最終状態では、図示される通り、シラ
ノール基の存在を示すピークは殆んど完全に除去せしめ
られた。
第4図及び第5図は、それぞれ、TSPS及びラダーSPSのG
PC-LALLS クロマトグラムを示したものである。図示の
溶離曲線は、それぞれ、LALLS光度計(LS)及び屈折
計(RI)を使用することによってもとめた。TSPSのL
S曲線の頂部は、図示される通り、RI曲線のそれより
も短時間側にシフトしているが、第5図に示すラダーS
PSのピークではLSとRIの曲線がほぼ一致してい
る。
本発明者らは、また、TSPS及びラダーSPSの重量平均
分子量(w)を常用のGPC(ポリスチレンで較正)
とGPC-LALLS により測定した。結果を次の第1表に示
す。
上記から明らかなように、GPC-LALLS によって測定した
TSPSのwはラダーSPSのそれよりも大であり、一
方、常用のGPCによって測定したTSPSのwはラダー
SPSのそれよりも小である。この事実は、TSPSは、そ
の分子の大きさがラダーSPSよりも小さにもかかわら
ず、重量平均分子量(w)はラダーSPSのそれより
も大であるということを示している。このことから、TS
PSの分子は、緻密に充填せしめられた三次元網状体の如
き構造を有することがわかる。
本発明者らは、さらにまた、TSPS及びラダーSPSのE
B感度及び酸素プラズマ耐性を次のような手法に従って
測定し、両者を比較した。TSPSをメチルイソブチルケト
ン(MIBK)に溶解し、得られたレジスト溶液を、すでに塗
布してある1.0μm厚の下層レジスト(フェノールノ
ボラック樹脂:シップレー社から商品名MP-1300 として
入手可能)上に膜厚0.2μmでスピンコートした。得
られた上層レジストを80℃で20分間にわたってプリベー
クした。次いで、TSPSのEB感度を評価するため、TSPS
レジストを電子ビーム露光装置(エリオニクス社製のモ
デルELS-3300)を使用して加速電圧20kVでEB露光し
た。露光量は露光時間の変更によってコントロールし
た。また、TPSPの酸素プラズマ耐性を評価するため、E
B露光により得られたTSPSレジストパターンを酸素を用
いた反応性イオンエッチング(O2-RIE)により下層レジス
ト(MP-1300)に転写した。使用したエッチング装置はア
ネルバ社製のモデルDEM-451 、酸素の圧力は2.6Pa、
酸素の流量は10sccm、そして印加電力密度は0.16W/cm
2であった。さらにまた、上記と同じ操作をラダーSP
Sについても繰り返した。得られた結果を第6図及び第
7図に示す。
第6図は、分散度(w/n)=1.6のTSPSのEB
感度曲線と同じ分散度を有するラダーSPSのEB感度
曲線とを比較してプロットしたものである。導入された
官能基は、TSPS及びラダーSPSとも、共通してメチル
基であった。露光量の変化にともなうレジスト膜厚の変
動をα−ステップ(米国、Tencor Instruments)によっ
て測定した。第6図のEB感度曲線からもとめられるTS
PSのγ値は約2.8であり、そしてラダーSPSのそれ
は約1.6である。TSPSの場合、例えば線状又はラダー
構造の如き常用のシロキサンネガレジストに較べて高コ
ントラストが得られる。また、TSPSの場合、残留レジス
ト膜厚50%を与えるEB露光量は28μC/cm2である。
理解されるように、導入する官能基の種類をより高感度
のもの(例えばクロロメチル基)へ変更すれば、より高
感度なレジストを得ることができる。
第7図は、上層レジスト(TSPS)及び下層レジスト(ハー
ドベーク後のMP-1300)をそれぞれ酸素プラズマ中でエ
ッチングした時のエッチングレートをプロットしたグラ
フである。TSPSレジストは約10Å/分でエッチングされ
たのに反してMP-1300は1000Å/分でエッチングされ
た。このことは、すなわち、TSPSの酸素プラズマ耐性は
選択比(ノボラックレジストに対して)で100 であるこ
とを示している。
第8A図及び第8B図は、それぞれ、MP-1300下層レジ
スト上でTSPS上層レジストの0.2μmライン&スペー
スのパターンをEB露光及び現像した結果を示す電子顕
微鏡写真(SEM)である。これらの写真から明らかなよう
に、矩形の微細なプロファイルが良く解像されており、
本発明の三次元分子構造によって現像時の膨潤が抑制さ
れたことを裏付けている。
また、第9A図及び第9B図は、それぞれ、TSPS/MP-1
300 二層構造レジストを用いて得られた二層レジストパ
ターンの電子顕微鏡写真である。第9A図の場合、0.
2μm幅の孤立TSPSレジストパターンがO2-RIEにより、
熱変形を伴うことなくMP-1300 下層レジストに精確に転
写せしめられた。同様にして、0.3μmスペースのTS
PSレジストパターンも、熱変形を伴うことなくMP-1300
下層レジストに精確に転写せしめられた(第9B図参
照)。
また、本発明者らは、TSPSの遠紫外レジストとしての有
用性を次のような手法に従って評価した。先ずTPSPの紫
外線吸収を常法に従って測定したところ、第10図に示す
ような紫外線吸収スペクトルが得られた。図示のスペク
トルから明らかなように、TSPSは、その分子に含まれる
シルフェニレン核が遠紫外線を吸収するので、その分子
に適当な官能基を導入することによって、遠紫外レジス
トとして使用可能である。
第11図は、TSPSの遠紫外感度をプロットしたグラフであ
る。ここで使用したTSPSはその官能基としてビニル/フ
ェニル基を含有した。この遠紫外感度測定のため、先の
EB感度及び酸素プラズマ耐性の測定の項で説明したよ
うにしてTSPS/MP-1300二層構造レジストを形成した
後、波長248nmのバンドパスフィルター付きのXe /Hg
光源を用いて遠紫外露光を行った。また、解像度は、
1:1密着露光により評価し、露光後のレジストをアル
コール混合物中で30秒間にわたってスピン現像し、評価
した、第11図のグラフから明らかなように、残留レジス
ト膜厚50%を与える遠紫外露光量は 100mJ/cm2であ
る。
第12A図及び第12B図は、それぞれ、MP-1300下層レジ
スト上でTSPS上層レジストの0.5μmスペースのパター
ンを遠紫外露光及び現像した結果を示す電子顕微鏡写真
である。これらの写真から明らかなように、殆んど垂直
な側壁を有する0.5μmスペースパターンをきれいに形
成することができた。
〔実施例〕
本発明の有機珪素重合体であるポリシルフェニレンシロ
キサンは、前記した通り、前記分子構造式(I)により
表され、式中、Rは水素又は1価の炭化水素基を表し、
ここで、1価の炭化水素基は、好ましく、低級アルキル
基、ハロゲン化低級アルキル基、低級アルケニル基、ア
リール基、ハロゲン化アリール基などである。この有機
珪素重合体はまた、前記した通り、従来の線状又はラダ
ー構造の有機珪素重合体とは異なって、次のような毬状
の骨格構造: を有している。
本発明の有機珪素重合体は、今までの説明から理解され
るように、第1、第2及び第3の有機珪素重合体を包含
する。ここで、「第1の有機珪素重合体」は、前式(I
I)の有機珪素化合物を加水分解し、引き続いて前記加
水分解の生成物を脱水縮重合して得られたものである。
また、「第2の有機珪素重合体」は、前記の第1の有機
珪素重合体であって、該重合体に含まれるシラノール基
の水素原子が、次式により表されるトリオルガノシリル
基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
置換されているものである。また、「第3の有機珪素重
合体」は、前記の第2の有機珪素重合体であって、前式
中の置換基R1 〜R6 及びRの総数のうちの少くとも5
%がハロゲン化低級アルキル基及び/又はハロゲン化ア
リール基であるようなものである。なお、この第3の重
合体は、第2の重合体と同様の特性を有し、同様の製造
で製造でき、しかも同様の有用性を有するが、しかし、
上記の如くハロゲン化低級アルキル基やハロゲン化アリ
ール基を含むことによって、電子線やX線等の電離放射
線に感光性を有することを特徴とする。ここで、ハロゲ
ン化低級アルキル基は、低級アルキル基をハロゲンで置
換した基であればいずれであってもよいが、C1 〜C3
のアルキル基をハロゲンで置換した基であることが好ま
しく、特に、-CH2Cl,-CHCl2,-C2H4Cl,-C2H3Cl2,-C2
H2Cl3などが有効である。ハロゲン化アリール基は芳香
族化合物のハロゲン置換体であればいずれであってもよ
いが、-C6H4Cl,C6H3Cl2などが便宜である。
本発明による第1、第2及び第3の有機珪素重合体は、
それぞれ、すでに前記したようにいろいろな製法に従っ
て製造することができる。例えば: 前記した第1の有機珪素重合体は次のようにして製造で
きる。すなわち、前式(II)の有機珪素化合物を1種以
上の溶媒に溶解し、水および必要に応じて触媒の存在
下、適温にて加水分解、重縮合する。ここで有機珪素化
合物(II)置換基R1 〜R6 は、前記した通り、そのう
ちの少くとも2個がトリクロロシリル基及び/又はトリ
アルコキシシリル基でなければならないが、特に2個な
いし3個がそれらの基であることが望ましく、残りの置
換基は水素であることが望ましい。また、2個の場合
は、合成の容易さの点からオルト、メタよりもパラ位で
あることが好ましい。さらに、R1 〜R6 は2個以上が
トリクロロシリル基かトリアルコキシシリル基であれあ
よいが、重合の制御の点から、トリアルコキシシリル基
であることが好ましく、特に、トリメトキシシリル基や
トリエトキシシリル基が便宜である。
さらに、第2の有機珪素重合体を得るには、上記の第1
の有機珪素重合体を、次式で示されるトリオルガノシラ
ン: (R)3SiX (上式において、R及びXは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物と反応させて、前記重合体中に残存する
前記脱水縮重合に寄与しなかったシラノール基の水素原
子を次式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
置換する。
また、第2の有機珪素重合体は、以下に記載する方法で
も得られる。すなわち、次式で示されるトリオルガノシ
ラン: (R)3SiX (上式において、R及びXは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物を有機溶剤に溶かし、水の存在下、前式
(II)の化合物を徐々に混合していく。
得られる重合体は、理想的には、3次元にランダムな構
造を有する毬状樹脂である。また、特に第2の有機珪素
重合体の場合は、毬状の骨格構造の外側をトリオルガノ
シリル基が囲んだ構造が理想的である。
さらにまた、前記した第3の有機珪素重合体は次のよう
にして製造できる。すなわち、前式(II)の有機珪素化
合物を1種以上の溶媒に溶解し、水および必要に応じて
触媒の存在下、適温にて加水分解、重縮合する。さら
に、得られた有機珪素重合体を、 次式で示されるトリオルガノシラン: (R)3SiX (式中のR及びXは前記定義に同じであり、但し、前式
(II)のR〜RとRの総数のうち、少なくとも5%
以上がハロゲン化低級アルキル基又はハロゲン化アリー
ル基である)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物と反応させて、前記重合体中に残存する
前記脱水縮重合に寄与しなかったシラノール基の水素原
子を次式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
置換する。
また、この第3の有機珪素重合体は、以下に記載する方
法でも得られる。すなわち、次式で示されるトリオルガ
ノシラン: (R)3SiX (上式において、R及びXは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物を有機溶剤に溶かし、水の存在下、前式
(II)の化合物を徐々に混合していく。
得られる重合体は、前記した第1及び第2の有機珪素重
合体と同じく、理想的には3次元にランダムな構造を有
する毬状樹脂であり、また、特に毬状の骨格構造の外側
をトリオルガノシリル基が囲んだ構造が理想的である。
本発明の実施においてとりわけ好ましい有機珪素重合体
の例をいくつか列挙すると、次の通りである: 前式(II)により示され、式中のR〜Rが-H,-CH3,
-C2H5,-SiCl3,-Si(OCH3)3,-Si(OC2H5)3などである有機
珪素化合物を加水分解し、引続き、脱水縮重合すること
によって得られる、重量平均分子量 1,000〜5,000,000
の有機珪素重合体(第1の有機珪素重合体)。置換基R
〜Rのうち少なくとも2個は-SiCl3,-Si(OCH3)3,-S
i(OC2H5)3などのトリクロロシリル基、トリアルコキシ
シリル基であり、他の水素であることが耐熱性の面から
望ましい。
前記第1の有機珪素重合体中に含まれるシラノール基の
水素原子が、次式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (式中のRは前記定義に同じである)によって置換され
ている有機珪素重合体(第2の有機珪素重合体)。この
第2の有機珪素重合体では、シラノール基の一部または
全てがトリオルガノシリル基で置換されているため、レ
ジスト溶液として用いた場合に架橋によるレジスト特性
の変動が生じにくく、安定性に優れる。また、それを層
間絶縁膜として用いた場合には、形成された膜が亀裂を
生じにくいという点で、先の第1の有機珪素重合体より
優れている。これは、第1の有機珪素重合体が、多くの
シラノール基を含み易く、加熱の際の架橋により、歪み
が招じやすくなるのに対し、第2の有機珪素化合物で
は、シラノール基の一部または全てがトリオルガノシリ
ル基で置換されているため、架橋による歪みが生じにく
いからである。また、第2の有機珪素重合体は、第1の
有機珪素重合体に比べ、有機基を多く含んでおり、より
低誘電率になる。ここで、式中のRは前記したように互
いに同一であっても異なっていてもよく、水素又は1価
の炭化水素基であればいずれであってもかまわない。こ
の1価の炭化水素基について具体的に述べるならば、メ
チル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基;1−ク
ロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピ
ル基等のハロアルキル基;2−フェニルエチル基、2フ
ェニルプロピル基等のアラルキル基;メトキシ基、エト
キシ基等のアルコキシ基;ビニル基、アリル基等のアル
ケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基;パラ
クロロフェニル基等のハロアリール基;エポキシ基など
がある。ここで、もしも層間絶縁膜としての使用が意図
されているならば、前式中のRは、アリール基が最も耐
熱性に優れているため、なかんずくアリール基を含むほ
うが好ましい。具体的に述べるならば、トリフェニルシ
リル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニル
シリル基等である。
本発明の有機珪素重合体は、レジスト材料として有用で
あり、また、したがって、このレジスト材料を使用し
て、レジストパターンの形成及び半導体装置の製造を有
利に実施できる。
本発明のレジスト材料は、以上に詳述したような有機珪
素重合体を例えばアルコール、ケトン、エーテルなどの
有機溶剤に溶解して調製することができる。得られるレ
ジスト溶液は、好ましくは、孔径が約0.1μmのフィ
ルタを用いて濾過し、スピンコートした場合に、0.1
〜0.5μmの所望の膜厚になるように濃度の調節を行
う。このようにして濃度調節を行った塗液は、スピンコ
ート法を含めた任意の塗布技法を用いて適当な被処理物
の上方に、好ましくは二層構造レジスト法の上層レジス
トとして、塗布することができる。
第13A図〜第13D図は、本発明のレジスト材料を二層構
造レジスト法の上層レジストとして使用して、Si ゲー
トPMOSを製造する工程を順を追って断面で示したもので
ある。図示の例の場合、レジストの下地となるポリシリ
コンには段差がある点に留意されたい。
先ず、第13A図に示されるように、ゲート電極(ポリシ
リコン)に用いるためのポリシリコン膜13をn型にシリ
コン基板11上に例えばCVDで形成する。なお、これに
至る前工程として、例えば次のようなものがある。
(1) シリコン基板11の熱酸化によるシリコン酸化膜12
の形成。
(2) チャネルストップ拡散。
(3) フィールド酸化膜の形成。
(4) ゲート酸化膜の形成。
ポリシリコン膜の形成後、第13B図に示されるように、
下層レジスト(平坦化量)3及び上層レジスト(本発明
のTSPS)4からなるレジストパターンをポリシリコン膜
13上に形成する。このレジストパターンの形成は、好ま
しくは、常用の二層構造レジスト法に従って、例えば第
1A図〜第1D図を参照しながら先に説明した方法に従
って、行うことができる。
第13B図のレジストパターンをマスクとして下地のポリ
シリコン膜をエッチングすると、第13C図に示されるよ
うに、ポリシリコンパターン13が得られる。
このようにしてポリシリコンパターンを形成した後、ソ
ース・ドレイン部の酸化膜除去、ソース・ドレイ拡散、
例えばCVDによるシリコン酸化膜の形成、コンタクト
ホールの形成、配線のためのアルミニウムの蒸着、アル
ミニウムのパターニングなどの工程を常法に従って行
う。第13D図に示されるように、目的とするSi ゲート
PMOSが得られる。なお、図中の14はシリコン酸化膜から
なる層間絶縁膜であり、そして15はアルミニウム配線で
ある。
本発明の有機珪素重合体は、レジスト材料としての使用
のほか、半導体装置等において種々の層膜として有利に
用いることができる。本発明の有機珪素重合体はとりわ
け層間絶縁膜として有用であり、その際、かかる有機珪
素重合体は、単独で層間絶縁膜を形成しても、あるい
は、二酸化珪素、窒化珪素、りんガラス(PSG) 等の無機
膜として併用して層膜絶縁膜を形成してもよい。本発明
の有機珪素重合体を層間絶縁膜として用いる際のメリッ
トとしては、すぐれた耐熱性、スピンコートの容易
性、良好な平坦化機能、通常のレジストとの良好な
適合性、SiO2,PSG,配線に対する良好な付着力、
低吸湿性、低誘電率、その他があげられる。
また、特に第3の有機珪素重合体を層間絶縁膜の形成に
使用する場合には、次のような点が重要である。層間絶
縁膜の形成に使用できる有機珪素重合体は、好ましく
は、前式(II)により示され、式中のR〜Rが-H,
-CH3,-CH2Cl,-C2H5,-C2H4Cl,-SiCl3,-Si(OCH3)3,-
Si(OC2H5)3などである有機珪素化合物を加水分解し、引
続き、脱水縮重合することによって得られる、重量平均
分子量1,000 〜5,000,000 の有機珪素重合体であって、
該有機珪素重合体中に含まれるシラノール基の水素原子
が、次式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (式中のRは前記定義に同じであり、但し、前記した通
り、R〜RとRの総数のうち、少なくとも5%以上
がハロゲン化低級アルキル基又はハロゲン化アリール基
である)によって置換されている有機珪素重合体であ
る。置換基R〜Rのうち少なくとも2個は-SiCl3
-Si(OCH3)3,-Si(OC2H5)3などのトリクロロシリル基、
トリアルコキシシリル基であり、他は水素であることが
耐熱性の面から望ましい。この有機珪素重合体は、それ
を層間絶縁膜として用いた場合に、形成された膜が亀裂
を生じにくいという点で、優れている。これは、シラノ
ール基を多く含む有機珪素重合体が、加熱の際の架橋に
より、歪みが生じやすくなるのに対し、この有機珪素化
合物ではシラノール基の一部または全てがトリオルガノ
シリル基で置換されているため、架橋による歪みが生じ
にくいからである。また、この有機珪素重合体は、有機
基を多く含んでおり、より低誘電率になる。ここで、式
中のRは前記したように互いに同一であっても異なって
いてもよく、水素、低級アルキル基、ハロゲン化低級ア
ルキル基、低級アルケニル基、アリール基又はハロゲン
化アリール基であればいずれであってもかまわないが、
上下配線層間の導通を行うためのスルーホールの形成を
樹脂へのX線、電子線等の電離放射線の照射により行う
ために、前記R〜Rを含め、ハロゲン化低級アルキ
ル基とハロゲン化アリール基が全体の5%以上含まれて
いなければならない。即ち、電離放射線でネガ型のパタ
ーンが形成可能となる。さらに、Rはアリール基、ハロ
ゲン化アリール基が最も耐熱性に優れているため、アリ
ール基を含むほうが好ましい。具体的に述べるならば、
パラクロロフェニルジフェニルシリル基、メチルジパラ
フェニルシリル基、ジクロロメチルフェニルシリル基等
である。
第14A図〜第14G図は、本発明の有機珪素重合体を層間
絶縁膜として使用して、Si ゲートNMOSを製造する工程
を順を追って断面で示したものである。
先ず、フィールド酸化膜を形成する。第14A図に示され
るように、p型シリコン(Si)基板21上にLOCOS 用
に、シリコン酸化膜(SiO2)22及びシリコン窒化膜(Si
3N4)26 を順次被着する。次いで、第14B図に示される
ように、フォトレジストパターン27をマスクとして使用
したフォトエッチングにより、後にトランジスタを形成
する領域についてのみ Si3N4膜26を残す。フォトレジス
トパターン27を除去した後に水蒸気を用いた湿式酸化を
行うと、第14C図に示されるように、 Si3N4膜26を表面
に有しない領域のSi 基板21が選択的に酸化されてフィ
ールドSiO2膜22が形成される。
次いで、Si ゲートを形成する。先のLOCOS に用いたSi
3N膜及びSiO2膜を除去した後、下地のSi 基板で再び酸
化してゲートSiO2膜を形成する。次いで、ゲート電極に
用いるポリシリコンをCVDにより被着する。第14D図
に示されるように、ゲートSiO2膜/フィールドSiO2膜22
上にポリシリコンの薄膜28が形成される。このポリシリ
コン薄膜28を選択的にエッチングすると、シリコン(S
i)ゲートが得られる(第14E図のSi ゲート28を参照さ
れたい)。
Si ゲートの形成後、ソース・ドレインを形成する。先
ず、第14E図に示されるように、Si ゲート28をマスク
としてAs イオンをイオン注入(II)する。次いで、
層間絶縁膜とするため、本発明の有機珪素重合体(TSP
S)を被着する。
TSPSには平坦化可能があるので、得られる層間絶縁膜29
は、第14F図に示されるように、フィールド酸化膜22や
Si ゲート28が下地に存在するにもかかわらず平坦な表
面を有している。さらに、形成された層間絶縁膜にドラ
イエッチングによってスルーホールを形成し、ソース・
ドレインへの接続孔とする(図示せず)。
最後に、配線となるAl電極を形成する。これは、Si
入りのAlをスパッタリングした後、形成されたAl薄
膜を選択的にエッチングすることによって行うことがで
きる。第14G図に示されるように、目的とするSi ゲー
トNMOSが得られる。なお、図中の25がAl配線である。
本発明の有機珪素重合体は、また、耐熱性保護膜として
も有用である。より具体的には、本発明の重合体は半導
体装置の界面保護用パッシベーション、配線保護用パッ
シベーション、その他として有用である。本発明の重合
体は、高温でも軟化しないばかりでなく、例えば従来用
いられているポリイミドと比較すると、加工性が良い、
吸湿性が少い、スルーホールをける時にエッチングガス
を変更する必要がない、などの利点を有している。
引き続いて、本発明を有機珪素重合体の合成例を含めた
実施例により詳しく説明する。
例1(合成例) メチルイソブチルケトン(MIBK)50cc、アセトン25cc及び
メタノール25ccの混合溶媒に1,4−ビス(トリメトキ
シシリル)ベンゼン16gを溶かし、水5.4ccを加え
て、室温にて30分攪拌した。減圧下で系を濃縮し、約20
重量%の樹脂溶液を得た。この樹脂のゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフ(GPC) により測定した重量平均分子
量は標準ポリスチレン換算で5.2×103 、分散は2.
8であった。
例2(合成例) メチルイソブチルケトン(MIBK)50cc、アセトン25cc及び
メタノール25ccの混合溶媒に1,4−ビス(トリメトキ
シシリル)ベンゼン16gを溶かし、水5.4ccを加え
て、室温にて30分攪拌した。減圧下で系を濃縮し、約20
重量%の樹脂溶液を得た。その後、フェニルジメチルク
ロロシラン90g及びピリジン90gを加え、80℃にて2時
間攪拌した。冷却し、MIBK及び水を各 100cc加え、分液
漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した後、
共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応溶液
を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。冷凍乾
燥を施し、約10gの白色粉末を得た。この樹脂のゲルパ
ーミエーションクロマトグラフ(GPC) により測定した重
量平均分子量は標準ポリスチレン換算で5.3×103
分散は2.8であった。
例3(合成例) 500ccの四つ口フラスコにメチルイソブチルケトン40c
c、メタノール25cc、アセトン25cc、水50cc、濃塩酸5c
c及びトリメチルクロルシラン4.05gを仕込み、加熱攪
拌して還流状態とした。1,4−ビス(トリメトキシシ
リル)ベンゼン15.9gをMIBK35ccに溶かし、先のフラス
コ内に20分かけて滴下した。その後60分攪拌を続けた
後、冷却し、MIBK及び水を各50cc加え、分液漏溶を用い
て上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した後、共沸により
残存した水を取り除いた。その後、反応溶液を多量の水
に投入して樹脂を析出させ回収した。凍結乾燥を施し、
12gの白色粉末を得た。この樹脂のゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフ(GPC) により測定した重量平均分子量
は標準ポリスチレン換算で3.6×104 、分散は4.0
であった。
例4(合成例) 前記例3で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにトリメ
チルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃で2
時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、分液
漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した後、
共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応溶液
を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍結乾
燥を施し、4.17gの白色粉末を得た。その後、エタノー
ル、アセトニトリルを用いて、低分子量オリゴマや不純
物を洗浄して除き、最終的に2.16gの白色粉末を得た。
この粉末をイソプロピルアルコールとエタノールの混合
溶液に70℃で溶解し、恒温槽内で温度を制御しながら低
下させることにより樹脂を析出させて、分子量分別を行
った。得られた樹脂のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフ(GPC)により測定した重量平均分子量は標準ポリス
チレン換算で4.5×104 、分散は1.6であった。
例5(合成例) 前記例3で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにビニル
ジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃
で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、
分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応
溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍
結乾燥を施し、4.0gの白色粉末を得た。その後、エ
タノール、アセトニトリルを用いて、低分子量オリゴマ
や不純物を洗浄して除き、最終的に1.24gの白色粉末を
得た。この粉末をイソプロピルアルコールに70℃で溶解
し、恒温槽内で温度を制御しながら低下させることによ
り樹脂を析出させ、分子量分別を行った。得られた樹脂
のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC) により測
定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で4.2
×104 、分散は1.5であった。
例6(合成例) 前記例3で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにフェニ
ルジメチルクロロシラン及びプリジン各10ccを加え、80
℃で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加
え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄
した後、共沸により残存した水を取り除いた。溶液を濃
縮し、多量のアセトニトリルを加え、樹脂を析出させ濾
過回収した。凍結乾燥を施し、3.1gの白色粉末を得
た。その後、エタノール、アセトニトリルを用いて、低
分子量オリゴマや不純物を洗浄して除き、最終的に2.20
gの白色粉末を得た。この粉末をイソプロピルアルコー
ルとメチルイソブチルケトンの混合溶媒に70℃で溶解
し、恒温槽内で温度を制御しながら低下させることによ
り樹脂を析出させ、分子量分別を行った。得られた樹脂
のゲルアーミエーションクロマトグラフ(GPC) により測
定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で5.4
×104 、分散は2.9であった。
例7(合成例) 300ccの四つ口フラスコにメチルイソブチルケトン50c
c、メタノール25cc、アセトン25cc、水50cc、濃塩酸5c
c及びトリビニルクロルシラン7.15gを仕込み、加熱攪
拌して還流状態とした。1,4−ビス(トリエトキシシ
リル)ベンゼン20.1gをフラスコ内に20分かけて滴下し
た。その後20分攪拌を続けた後、冷却し、MIBK及び水を
各50cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で
数回洗浄した後、共沸により残存した水を取り除いた。
その後、反応溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ
回収した。凍結乾燥を施し、約15gの白色粉末を得た。
この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
により測定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算
で4.1×104 、分散は5.6であった。
例8(合成例) 前記例7で得た白色粉末の14%MIBK溶液85gにフェニル
ジビニクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃で
2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、分
液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。溶液を濃縮
し、多量のアセトニトリルを加え、樹脂を析出させ濾過
回収した。凍結乾燥を施し、10.4gの白色粉末を得た。
この粉末をイソプロピルアルコールとメチルイソブチル
ケトンの混合溶媒に70℃に溶解し、恒温槽内で温度を制
御しながら低下させることにより樹脂を析出させ、分子
量分別を行った。得られた樹脂の重量分子量をゲルパー
ミエーションクロマトグラフ(GPC) により測定したとこ
ろ、w=3.5×104 、w/n=1.5であっ
た。
例9(合成例) 前記例2に記載の手法を繰り返したが、本例では、フェ
ニルジメチルクロロシランに代えてクロロメチルフェニ
ルジメチルクロロシラン90gを使用した。得られた約10
gの白色粉末のゲルパーミエーションクロマトグラフ(G
PC) により測定した重量平均分子量は標準ポリスチレン
換算で6.3×103 、分散は2.8であった。
例10(合成例) 500ccの四つ口フラスコメチルイソブチルケトン40cc、
メタノール25cc、アセトン25cc、水50cc、濃塩酸5cc及
びクロロメチルジメチルクロルシラン4.05gを仕込み、
加熱攪拌して還流状態とした。1,4−ビス(トリメト
キシシリル)ベンゼン15.9gをMIBK35ccに溶かし、フラ
スコ内に20分かけて滴下した。その後30分後攪拌を続け
た後、冷却し、MIBK及び水を各50cc加え、分液漏斗を用
いて上層のMIBK槽を得、水で数回洗浄した後、共沸によ
り残存した水を取り除いた。その後、反応溶液を多量の
水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍結乾燥を施
し、12gの白色粉末を得た。この樹脂のゲルパーミエー
ションクロマトグラフ(GPC) により測定した重量平均分
子量は標準ポリスチレン換算で3.0×104 、分散は
4.0であった。
例11(合成例) 前記例10で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにビニル
ジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃
で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、
分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応
溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍
結乾燥を施し、4.17gの白色粉末を得た。その後、エタ
ノール、アセトニトリルを用いて、低分子量オリゴマや
不純物を洗浄して除き、最終的に2.16gの白色粉末を得
た。この粉末をイソプロピルアルコールに70℃で溶解
し、恒温槽内で温度を制御しながら低下させることによ
り樹脂を析出させ、分子量分別を行った。得られた樹脂
のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC) により測
定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で5.2
×104 、分散は1.7であった。
例12(合成例) 前記例10で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにクロロ
メチルジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加
え、80℃で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50
cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回
洗浄した後、共沸により残存した水を取り除いた。その
後、反応溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収
した。凍結乾燥を施し、4.0gの白色粉末を得た。そ
の後、エタノール、アセトニトリルを用いて、低分子量
オリゴマや不純物を洗浄して除き、最終的に1.24gの白
色粉末を得た。この粉末をイソプロピルアルコールとエ
タノールの混合溶液に70℃で溶解し、恒温槽内で温度を
制御しながら低下させることにより樹脂を析出させて、
分子量分別を行った。得られた樹脂のゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフ(GPC) により測定した重量平均分子
量は標準ポリスチレン換算で4.8×104 、分散は1.
5であった。
例13(合成例) 前記例10で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにp−ク
ロロフェニルジメチルクロロシラン及びピリジン各10cc
を加え、80℃で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を
各50cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で
数回洗浄した後、共沸により残存した水を取り除いた。
溶液を濃縮し、多量のアセトニトリルを加え、樹脂を析
出させ濾過回収した。凍結乾燥を施し、3.1gの白色
粉末を得た。その後、エタノール、アセトニトリルを用
いて、低分子量オリゴマや不純物を洗浄して除き、最終
的に2.20gの白色粉末を得た。この粉末をイソプロピル
アルコールとメチルイソブチルケトンの混合溶媒に70℃
で溶解し、恒温槽内で温度を制御しながら低下させるこ
とにより樹脂を析出させ、分子量分別を行った。得られ
た樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC) に
より測定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で
5.2×104 、分散は1.5であった。
例14(合成例) 前記例10で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにアリル
ジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃
で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、
分液漏斗を用いて上層のMIBKを得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応
溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍
結乾燥を施し、4.0gの白色粉末を得た。その後、エ
タノール、アセトニトリルを用いて、低分子量オリゴマ
や不純物を洗浄して除き、最終的に1.24gの白色粉末を
得た。この粉末をイソプロピルアルコールに70℃で溶解
し、恒温槽内で温度を制御しながら低下させることによ
り樹脂を析出させ、分子量分別を行った。得られた樹脂
のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC) により測
定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で5.5
×104 、分散は1.7であった。
例15 本例では電子線レジストとしての使用を説明する。
前記例4で得られた勇気珪素重合体の13重量%MIBK溶液
を作り、孔径が0.1μmのメンブランフィルタで濾過
してレジスト溶液とした。次に、シリコン基板上に2.
0μmの厚さになるようにフェノールノボラック樹脂
(品名MP-1300、シップレー社)をスピンコートで塗布
し、ハードベークして下層レジストとし、この上に上記
レジスト溶液を0.2μmの膜厚になるようにスピンコ
ートで塗布し、80℃で20分間ベーキングした。こうして
得られた二層レジスト膜に加速電圧20kVで電子線の走査
を行った後、イソプロピルアルコールで60秒間現像し、
次にエタノールで30秒間リンス処理を行った。80℃で20
分間ベーキングした後、試料を平行平板型のドライエッ
チング装置に入れ、酸素プラズマ(2Pa、0.22W/c
m2)で15分間ドライエッチングを行い、上層パターンを
下層に転写した。
この結果、本レジストはコントラストがγ=2.3と高
く、また膨潤が小さいため、0.3μmの抜きパターン
を解像することができた。また、感度の目安となる初期
膜厚50%が残る電子線露光量▲DEB 50▼をもとめたとこ
ろ、50μC/cm2であった。
例16 前記15に記載の手法を繰り返した。但し、本例では、前
記例4で得られた有機珪素重合体に代えて前記例1〜例
3、例5〜例14で得られた重合体を使用した。解像でき
た最小スペースパターンと▲DEB 50▼(μC/cm2)を
もとめた結果を次表に示す。
例17 本例ではフォトレジストとしての使用を説明する。
前記例8で得られた有機珪素重合体の13重量%MIBK溶液
を作り、孔径が0.1μmのメンブランフィルタで濾過
してレジスト溶液とした。次に、シリコン基板上に2.
0μmの厚さになるようにフェノールノボラック樹脂
(品名MP-1300、シッップレー社)をスピンコートで塗
布し、ハードベークして下層レジストとし、この上に上
記レジスト溶液を0.2μmの膜厚になるようにスピン
コートで塗布し、80℃で20分間ベーキングした。こうし
て得られた二層レジスト膜に、波長が248nm の遠紫外光
を照射した後、MIBKで60秒間現像し、次にイソプロピル
アルコールで30秒間リンス処理を行った。80℃で20分間
ベーキングした後、試料を平行平板型のドライエッチン
グ装置に入れ、酸素プラズマ(2Pa、0.22W/cm2)で1
5分間ドライエッチングを行い、上層パターンを下層に
転写した。
この結果、本レジストはコントラストがγ=2.5と高
く、また膨潤が小さいため、0.5μmのスペースパタ
ーンを改造することができた。また、感度の目安となる
初期膜厚50%が残る遠紫外線露光量▲DDUV 50▼をもと
めたところ、240mJ/cm2であった。
例18 前記例17に記載の手法を繰り返した。但し、本例では、
前記例8で得られた有機珪素重合体に代えて前記例5、
例7、例11又は例14で得られた重合体を使用した。解像
できた最小スペースパターンと▲DDUV 50▼をもとめた
結果を次表に示す。
例19 本例ではX線レジストとしての使用を説明する。
前記例13で得られた有機珪素重合体の13重量%MIBK溶液
を作り、孔径が0.1μmのメンブランフィルタで濾過
してレジスト溶液とした。次に、シリコン基板上に2.
0μmの厚さになるようにフェノールノボラック樹脂
(品名MP-1300、シップレー社)をスピンコートで塗布
し、ハードベークして下層レジストとし、この上に上記
レジスト溶液を0.2μmの膜厚になるようにスピンコ
ートで塗布し、80℃で20分間ベーキングした。こうして
得られた二層レジスト膜に、X線マスクを介して PdLα
線(4.37Å)を露光し、MIBKで60秒間現像し、イソプロ
ピルアルコールで30秒間リンス処理を行った。80℃で20
分間ベーキングした後、試料を平行平板型のドライエッ
チング装置に入れ、酸素プラズマ(2Pa、0.22W/c
m2)で15分間ドライエッチングを行い、上層パターンを
下層に転写した。
この結果、本レジストはコントラストがγ=2.3と高
く、また膨潤が小さいため、0.4μmのスペースパタ
ーンを解像することができた。また、感度の目安となる
初期膜厚50%が残るX線露光量▲DX 50▼をもとめたと
ころ、 350mJ/cm2であった。
例20 前記例19に記載の手法を繰り返した。但し、本例では、
前記例13で得られた有機珪素重合体に代えて前記例5〜
例6、例8、例11、例12又は例14で得られた重合体を使
用した。解像できた最小スペースパターンと▲DX 50
(mJ/cm2)をもとめた結果を次表に示す。
例21(合成例) 300ccの四つ口フラスコにメチルイソブチルケトン50c
c、メタノール25cc、アセト25cc、水50cc、濃塩酸5cc
及びフェニルジメチルクロルシラン7.15gを仕込み、加
熱攪拌して還流状態とした。1,4−ビス(トリエトキ
シシリル)ベンゼン20.1gをフラスコ内に20分かけて滴
下した。その後20分攪拌を続けた後、冷却し、MIBK及び
水を各50cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBKを得、水
で数回洗浄した後、共沸により残存した水を取り除い
た。その後、反応溶液を多量の水に投入して樹脂を析出
させ回収した。凍結乾燥を施し、約15gの白色粉末を得
た。この樹脂のゲルパーミエーションクマトグラフ(GP
C) により測定した重量平均分子量は標準ポリスチレン
換算で4.1×104 、分散は5.6であった。
例22(合成例) 前記例21で得た白色粉末の14%MIBK溶液85gにフェニル
ジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃
で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、
分液漏斗を用いて上層のMIBKを得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。溶液を濃縮
し、多量のアセトニトリルを加え、樹脂を析出させ濾過
回収した。凍結乾燥を施し、10.4gの白色粉末を得た。
この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
により測定した重量平均分子量は標準ポリスチレン換算
で5.1×104 、分散は5.3であった。
例23(合成例) 500ccの四つ口フラスコにメチルイソブチルケトン40c
c、メタノール25cc、アセトン25cc、水50cc、濃塩酸5c
c及び1,3−ジクロロメチル−1,1,3,3,−テ
トラメチルジシロキサン4.05gを仕込み、加熱攪拌して
還流状態とした。1,4−ビス(トリメトキシシリル)
ベンゼン15.9gをMIBK35ccに溶かし、フラスコ内に20分
かけて滴下した。その後30分攪拌を続けた後、冷却し、
MIBK及び水を各50cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK
層を得、水で数回洗浄した後、共沸により残存した水を
取り除いた。その後、反応溶液を多量の水に投入して樹
脂を析出させ回収した。凍結乾燥を施し、12gの白色粉
末を得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフ(GPC) により測定した重量平均分子量は標準ポリス
チレン換算で1.2×104 、分散は4.0であった。
例24(合成例) 前記例23で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにクロロ
メチルジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加
え、80℃で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50
cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回
洗浄した後、共沸により残存した水を取り除いた。その
後、反応溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収
した。凍結乾燥を施し、4.17gの白色粉末を得た。その
後、エタノール、アセトニトリルを用いて、低分子量オ
リゴマや不純物を洗浄して除き、最終的に2.16gの白色
粉末を得た。この樹脂のゲルパーミエージョンクロマト
グラフ(GPC) により測定した重量平均分子量は標準ポリ
スチレン換算で4.3×104 、分散は3.5であった。
例25(合成例) 前記例23で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにビニル
ジメチルクロロシラン及びピリジン各10ccを加え、80℃
で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を各50cc加え、
分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で数回洗浄した
後、共沸により残存した水を取り除いた。その後、反応
溶液を多量の水に投入して樹脂を析出させ回収した。凍
結乾燥を施し、4.0gの白色粉末を得た。その後、エ
タノール、アセトニトリルを用いて、低分子量オリゴマ
や不純物を洗浄して除き、最終的に1.24gの白色粉末を
得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフ
(GPC) により測定した重量平均分子量は標準ポリスチレ
ン換算で4.8×104 、分散は4.2であった。
例26(合成例) 前記例23で得た白色粉末の4%MIBK溶液 100gにp−ク
ロロフェニルジメチルクロロシラン及びピリジン各10cc
を加え、80℃で2時間攪拌した。冷却後、MIBK及び水を
各50cc加え、分液漏斗を用いて上層のMIBK層を得、水で
数回洗浄した後、共沸により残存した水を取り除いた。
溶液を濃縮し、多量のアセトニトリルを加え、樹脂を析
出させ濾過回収した。凍結乾燥を施し、3.1gの白色
粉末を得た。その後、エタノール、アセトニトリルを用
いて、低分子量オリゴマや不純物を洗浄して除き、最終
的に2.20gの白色粉末を得た。この樹脂のゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ(GPC) により測定した重量平均
分子量は標準ポリスチレン換算で4.4×104、分散は
2.7であった。
例27 前記例1において得られた樹脂溶液を、MIBKにより15重
量%に希釈し、半導体素子を形成し第一層ポリシリコン
配線を施したシリコン基板(ポリシリコンの厚さは1μ
m、最小線幅1μm、最小線間隔は1.5μm)上に20
00rpm 、45秒の条件でスピンコート法により塗布した。
塗布後、80℃で20分間溶剤乾燥した後、さらに大気中で
60分間、 450℃の熱処理を施した。熱処理後の基板表面
の段差は約0.3μmであり、配線によって生じた段差
は平坦化されていた。次いで、スルーホールを形成し、
二層間のアルミニウム配線を行い、保護層として1μm
厚のPSG膜を常圧CVD法により堆積した後、電極取
り出し用窓あけを行って半導体装置を得た。この装置
は、大気中 450℃で1時間の加熱試験、−65→ 150℃で
10回の熱サイクル試験後も全く不良は見られなかった。
例28 前記例2および例4において得られた白色粉末を各々メ
チルイソブチルケトンに溶解し、25重量%の樹脂溶液を
得た。上記のようにして調製した各樹脂溶液を、半導体
素子を形成し第一層ポリシリコン配線を施したシリコ基
板(ポリシリコンの厚さは1μm、最小線幅1μm、最
小線間隔は1.5μm)上に2000rpm 、45秒の条件でス
ピンコート法により塗布した。塗布後、80℃で20分間溶
剤乾燥した後、 400℃で60分間の熱処理を施した。熱処
理後の基板表面の段差は約0.2μmであり、配線によ
って生じた段差は平坦化されていた。次いで、スルーホ
ールを形成し、二層目のアルミニウム配線を行い、保護
層として1μm厚のPSG膜を常圧CVD法により堆積
した後、電極取り出し用窓あけを行って半導体装置を得
た。この装置は、窒素中 450℃で1時間の加熱試験、−
65→ 150℃で10回の熱サイクル試験後も全く不良は見ら
れなかった。
例29 前記例3および例21において得られた白色粉末を各々メ
チルイソブチルケトンに溶解し、15重量%の樹脂溶液を
得た。上記のようにして調製した各樹脂溶液を、半導体
素子を形成し第一層ポリシリコン配線を施したシリコン
基板(ポリシリコンの厚さは1μm、最小線幅1μm、
最小線間隔は1.5μm)上に2000rpm 、45秒の条件で
スピンコート法により塗布した。塗布後、80℃で20分間
溶剤乾燥した後、 400℃で60分間の熱処理を施した。熱
処理後の基板表面の段差は約0.3μmであり、配線に
よって生じた段差は平坦化されていた。次いで、スルー
ホールを形成し、二層目のアルミニウム配線を行い、保
護層として1μm厚のPSG膜を常圧CVD法により堆
積した後、電極取り出し用窓あけを行って半導体装置を
得た。この装置は、窒素中 450℃で1時間の加熱試験、
−65→ 150℃で10回の熱サイクル試験後も全く不良は見
られなかった。
例30 前記例6において得られた白色粉末をメチルイソブチル
ケトンに溶解して、25重量%の樹脂溶液を得た。上記の
ようにして調製した樹脂溶液を、半導体素子を形成し第
一層ポリシリコン配線を施したシリコン基板(ポリシリ
コンの厚さは1μm、最小線幅1μm、最小線間隔は
1.5μm)上に2000rpm 、45秒の条件でスピンコート
法により塗布した。塗布後、80℃で20分間溶剤乾燥した
後、さらに大気中において、 400℃で60分間の熱処理を
施した。熱処理後の基板表面の段差は約0.1μmであ
り、配線によって生じた段差は平坦化されていた。次い
で、スルーホールを形成し、二層目のアルミニウム配線
を行い、保護層として1μm厚のPSG膜を常圧CVD
法により堆積した後、電極取り出し用窓あけを行って半
導体装置を得た。この装置は、窒素中 450℃で1時間の
加熱試験、−65→ 150℃で10回の熱サイクル試験後も全
く不良は見られなかった。
例31 前記例22において得られた白色粉末をメチルイソブチル
ケトンに溶解して、25重量%の樹脂溶液を得た。上記の
ようにして調製した樹脂溶液を、半導体素子を形成し第
一層ポリシリコン配線を施したシリコン基板(ポリシリ
コンの厚さは1μm、最小線幅1μm、最小線間隔は
1.5μm)上に2000rpm 、45秒の条件でスピンコート
法により塗布した。塗布後、80℃で20分間溶剤乾燥した
後、さらに大気中において、 450℃で60分間の熱処理を
施した。熱処理後の基板表面の段差は約0.1μmであ
り、配線によって生じた段差は平坦化されていた。次い
で、スルーホールを形成し、二層目のアルミニウム配線
を行い、保護層として1μm厚のPSG膜を常圧CVD
法により堆積した後、電極取り出し用窓あけを行って半
導体装置を得た。この装置は、窒素中 450℃で1時間の
加熱試験、−65→ 150℃で10回の熱サイクル試験後も全
く不良は見られなかった。
例32(誘電率測定の例) 2インチのシリコン基板上にCVD法により下層アルミ
ニウムを堆積し、前記例4で得た樹脂をスピンコート法
により0.5μm厚又は1.0μm厚に塗布し、80℃で
20分間溶剤乾燥した後、 400℃で60分間の熱処理を施し
た。その後CVD法により堆積した上層アルミニウム1
φ,2φ,3φ,4φ及び5φにパターニングし、上下
層からそれぞれ電極を取り出し、交流電圧20kVにおいて
キャパシタンスを測定した。結果を比誘電率に換算した
ところ、各々の膜厚及び測定点において2.9〜3.1
という満足し得る値が得られた。
例33 前記例9において得られた白色粉末をメチルイソブチル
ケトンに溶解し、25重量%の樹脂溶液を得た。上記のよ
うにして調製した樹脂溶液を、半導体素子を形成し第一
ポリシリコン配線を施したシリコン基板(ポリシリコン
の厚さは1μm、最小線幅1μm、最小線間隔は1.5
μm)上に2000rpm 、45秒の条件でスピンコート法によ
り塗布した。塗布後、80℃で20分間溶剤乾燥した後、マ
スクを介してX線露光を行い、スルーホールを形成し
た。次いで、 400℃で60分間の熱処理を施した。熱処理
後の基板表面の段差は約0.2μmであり、配線によっ
て生じた段差は平坦化されていた。次いで二層目のアル
ミニウム配線を行い、保護膜として1μm厚のPSG膜
を常圧CVD法により堆積した後、電極取り出し用窓あ
けを行って半導体装置を得た。この装置は、窒素中 450
℃で1時間の加熱試験、−65→ 150℃で10回の熱サイ
クル試験後も全く不良は見られなかった。
例34 前記例23において得られた白色粉末をメチルイソブチル
ケトンに溶解し、15重量%の樹脂溶液を得た、上記のよ
うにして調製した樹脂溶液を、半導体素子を形成し第一
ポリシリコン配線を施したシリコン基板(ポリシリコン
の厚さは1μm、最小線幅1μm、最小線間隔は1.5
μm)上に2000rpm 、45秒の条件でスピンコート法によ
り塗布した。塗布後、80℃で20分間溶剤乾燥した後、マ
スクを介してX線露光を行い、スルーホールを形成し
た。次いで、 400℃で60分間の熱処理を施した。熱処理
後の基板表面の段差は約0.3μmであり、配線によっ
て生じた段差は平坦化されていた。次いで、二層目のア
ルミニウム配線を行い、保護膜として1μm厚のPSG
膜を常圧CVD法により堆積した後、電極取り出し用窓
あけを行って半導体装置を得た。この装置は、窒素中 4
50℃で1時間の加熱試験、−65→ 150℃で10回の熱サイ
クル試験後も全く不良は見られなかった。
例35 前記例24、例25及び例26において例えば白色粉末を各々
メチルイソブチルケトンに溶解し、25重量%の樹脂溶液
を得た。上記のようにして調製した各樹脂溶液を、半導
体素子を形成し第一ポリシリコン配線を施したシリコン
基板(ポリシリコンの厚さは1μm、最小線幅1μm、
最小線間隔は1.5μm)上に2000rpm 、45秒の条件で
スピンコート法により塗布した。塗布後、80℃で20分間
溶剤乾燥した後、マスクを介してX線露光を行い、スル
ーホールを形成した。次いで 400℃で60分間の熱処理を
施した。熱処理後の基板表面の段差は各各約0.2μm
であり、配線によって生じた段差は平坦化されていた。
次いで、二層目のアルミニウム配線を行い、保護膜とし
て1μm厚のPSG膜を常圧CVD法により堆積した
後、電極取り出し用窓あけを行って半導体装置を得た。
この装置は、窒素中 450℃で1時間の加熱試験、−65→
150℃で10回の熱サイクル試験後も全く不良は見られな
かった。
例36(誘電率測定の例) 2インチのシリコン基板上にCVD法により下層アルミ
ニウムを堆積し、前記例24で得た樹脂をスピンコート法
により0.5μm厚又は1.0μm厚に塗布し、80℃で
20分間溶剤乾燥した後、全面にX線露光を施し、 400℃
で60分間の熱処理を施した。その後、CVD法により堆
積した上層アルミニウムを1φ,2φ,3φ,4φ及び
5φにパターニングし、上下層からそれぞれ電極を取り
出し、交流電圧20kVにおいてキャパシタンスを測定し
た。結果を比誘電率に換算したところ、各々の膜厚及び
測定点において2.9〜3.1という満足し得る値が得
られた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、新規で有用な有機珪素重合体を得るこ
とができるばかりでなく、感度及び酸素プラズマ耐性に
優れ、かつ現像時の膨潤が小さくコントラスト(γ値)
の高い、高解像性の特に二重構造レジスト法用上層レジ
ストを得ることができ、これにより集積回路の精度向上
が可能となる。また、本発明によれば、パターニング可
能で、平坦化機能を有し、低誘電率、かつ高温で使用し
てもクラックを生じない信頼性の高い層間絶縁膜をもっ
た半導体装置などを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1A図〜第1D図は、二層構造レジスト法の処理工程
を順を追って示した断面図、 第2図、本発明によるTSPSの分子構造モデルを示した略
示図、 第3図は、TSPSの29Si-NMRスペクトルを示したグラフ、 第4図は、TSPSのGPC-LALLS クロマトグラムを示したグ
ラフ、 第5図は、ラダーSPS のGPC-LALLS クロマトグラムを示
したグラフ、 第6図は、TSPS及びラダーSPS のEB感度を示したグラ
フ、 第7図は、TSPS及びMP-1300 のO2-RIE時のエッチングレ
ートを示したグラフ、 第8A図及び第8B図は、TSPS上層レジストパターンの
電子顕微鏡写真(図面に代る写真)、 第9A図及び第9B図は、TSPS/MP-1300 二層構造レジ
ストパターンの電子顕微鏡写真(図面に代る写真)、 第10図は、TSPSの紫外線吸収スペクトルを示したグラ
フ、 第11図は、TSPSの遠紫外感度を示したグラフ、 第12A図及び第12B図は、TSPS上層レジストパターンの
電子顕微鏡写真(図面に代る写真)、 第13A図〜第13D図は、Si ゲートPMOSの製造工程を順
を追って示した断面図、そして 第14A図〜第14G図は、Si ゲートNMOSの製造工程を順
を追って示した断面図である。 図中、1は基板、2は配線、3は下層レジスト(平坦化
層)、そして4は上層レジストである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福山 俊一 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 山上 雅昭 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−65857(JP,A) 特開 平2−264956(JP,A) 特開 平3−166230(JP,A)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の分子構造式(I): (上式において、 Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素又
    は1価の炭化水素基を表し、そして m及びnは、それぞれ、正の整数を表す)により表さ
    れ、 シルフェニレンシロキサンの核と該シルフェニレン核を
    取り囲んだトリオルガノシリル基とからなる三次元毬状
    構造を有しており、そして 1,000 〜5,000,000 の重量平均分子量を有していること
    を特徴とするポリシルフェニレンシロキサン。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリシルフェニレンシロ
    キサンを製造するに当って、次式(II)により表される
    有機珪素化合物: (上式において、R〜Rはそれぞれ同一もしくは異
    なっていてもよく、水素、1価の炭化水素基、トリクロ
    ロシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、但し、
    これらの置換基のうち少くとも2個はトリクロロシリル
    基及び/又はトリアルコキシシリル基である)を加水分
    解し、引き続いて前記加水分解の生成物を脱水縮重合す
    ることを特徴とするポリシルフェニレンシロキサンの製
    法。
  3. 【請求項3】前記脱水縮重合により得られた生成物を、
    次式で示されるトリオルガノシラン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
    はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
    アナト基を表す)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物と反応させて、前記生成物中に残存する
    前記脱水縮重合に寄与しなかったシラノール基の水素原
    子を次式で示されるトリオルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
    置換することを特徴とする請求項2に記載のポリシルフ
    ェニレンシロキサンの製法。
  4. 【請求項4】前記脱水縮重合により得られた生成物を、
    次式で示されるトリオルガノシラン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
    はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
    アナト基を表す)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物と反応させて(但し、前式(II)のR
    〜Rと前記Rの総数のうち少くとも5%以上はハロゲ
    ン化低級アルキル基又はハロゲン化アリール基であ
    る)、前記生成物中に残存する前記脱水縮重合に寄与し
    なかったシラノール基の水素原子を次式で示されるトリ
    オルガノシリル基: (R)3Si- (上式において、Rは前記定義に同じである)によって
    置換することを特徴とする請求項2に記載のポリシルフ
    ェニレンシロキサンの製法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のポリシルフェニレンシロ
    キサンを製造するに当って、次式で示されるトリオルガ
    ノシラン: (R)3SiX (上式において、Rは前記定義に同じであり、そしてX
    はハロゲン、シアノ基、イソシアナト基又はイソチオシ
    アナト基を表す)、 次式で示されるヘキサオルガノジシラザン: (R)3SiNHSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 次式で示されるヘキサオルガノジシロキサン: (R)3SiOSi(R)3 (上式において、Rは前記定義に同じである)、 又はその混合物を有機溶剤に溶解し、このようにして得
    られた溶液に、水の存在下、次式(II)により表される
    有機珪素化合物: (上式において、R〜Rはそれぞれ同一もしくは異
    なっていてもよく、水素、1価の炭化水素基、トリクロ
    ロシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、但し、
    これらの置換基のうち少くとも2個はトリクロロシリル
    基及び/又はトリアルコキシシリル基である)を徐々に
    添加することを特徴とするポリシルフェニレンシロキサ
    ンの製法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のポリシルフェニレンシロ
    キサンからなることを特徴とするレジスト材料。
  7. 【請求項7】ネガ型であり、そして二層構造レジスト法
    において上層レジストとして用いられることを特徴とす
    る請求項6に記載のレジスト材料。
  8. 【請求項8】下記の工程: 請求項1に記載のポリシルフェニレンシロキサンからな
    るレジスト材料を基材の表面に塗布し、 得られたレジスト膜を遠紫外線、電子線、X線等の電離
    放射線により所望のパターンが得られるよう選択的に露
    光し、そして パターン露光後のレジスト膜を現像して未露光域のレジ
    スト材料を溶解除去すること、を含んでなることを特徴
    とするレジストパターンを形成する方法。
  9. 【請求項9】基材の表面に段差がある場合に、前記レジ
    スト膜を二層構造となし、その際、平坦化機能を有する
    レジスト材料から下層レジストを構成しかつ請求項1に
    記載のポリシルフェニレンシロキサンからなるレジスト
    材料から上層レジストを形成すること、そして上層レジ
    ストにおいて形成されたレジストパターンを下層レジス
    トに転写することを特徴とする請求項8に記載のレジス
    トパターンを形成する方法。
  10. 【請求項10】請求項1に記載のポリシルフェニレンシ
    ロキサンからなるレジスト材料から形成されたレジスト
    パターンをマスクとして、その下方の下地をドライエッ
    チングにより選択的に除去する工程を含むことを特徴と
    する半導体装置を製造する方法。
  11. 【請求項11】請求項1に記載のポリシルフェニレンシ
    ロキサンからなる層膜を有することを特徴とする半導体
    装置。
  12. 【請求項12】前記層膜が多層配線の層間絶縁膜である
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
  13. 【請求項13】前記層膜が耐熱性保護膜であることを特
    徴とする請求項11に記載の半導体装置。
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