JP5625301B2 - シリコン含有膜形成用組成物及びシリコン含有膜並びにパターン形成方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、露光工程において光マスクのパターンを正確にレジスト膜に転写することが困難となり、例えば、基板に対する微細加工プロセスにおいて、レジスト膜中に形成される光の定在波の影響により、形成されるパターンの寸法に誤差(狂い)が生じることがある。このような定在波の影響を軽減するために、レジスト膜と基板表面との間に反射防止膜が形成されている。
そして、このような加工用下層膜は、膜厚によって反射率が変化するため、使用される膜厚に応じて反射率が最小になるように、組成等を調整することが必要となる。また、加工用下層膜には、酸化膜や層間絶縁膜を加工する際に十分なマスク性があること、レジスト材料のレジスト下層膜への染み込み量が少なく、レジスト膜/レジスト下層膜におけるエッチング選択性に優れ、裾引き等のないレジストパターンが形成できること等が要求されている。
シリコン含有膜を得るための組成物としては、テトラアルコキシシランを用いたポリシロキサンからなる樹脂組成物等が提案されている(特許文献1、2等参照)。
しかしながら、今後、更なるレジストパターンの微細化が進行した場合、露光条件の高NA化(1.3程度)が進行すると考えられる。その際、シロキサン側鎖にフェニル基やトリル基を含有した膜では反射防止効果が小さく、正確にパターンを転写することができないと考えられる。更に、フェニル基やトリル基等の嵩高い置換基をシロキサン側鎖に導入すると、加工用下層膜の膜密度の低下が引き起こされ、レジストの染み込みに起因して、レジストパターンのボトム形状が裾引き化してしまうと考えられる。
[1]下記一般式(1)で表される化合物由来の構造単位(a1)を含有するポリシロキサンと、有機溶媒と、を含有するシリコン含有膜形成用組成物であって、
前記ポリシロキサンが、更に、テトラアルコキシシラン由来の構造単位(a2)と、下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位(a3)と、を含有しており、
多層レジストプロセス用であることを特徴とするシリコン含有膜形成用組成物。
[2]前記ポリシロキサンにおける前記構造単位(a1)の割合が、原料モノマー基準で、1〜20モル%である前記[1]に記載のシリコン含有膜形成用組成物。
[3]前記[1]に記載のシリコン含有膜形成用組成物を用いて得られることを特徴とするシリコン含有膜。
[4](1)前記[1]に記載のシリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程と、
(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程と、
(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程と、
(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)前記レジストパターンをマスクとして、前記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程と、
(6)前記シリコン含有パターンをマスクとして、前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。
[1]シリコン含有膜形成用組成物
本発明のシリコン含有膜形成用組成物は、ポリシロキサン(A)と、溶媒(B)と、を含有する。
本発明のシリコン含有膜形成用組成物における前記ポリシロキサン(A)は、前記一般式(1)で表される化合物由来の構造単位(a1)を含有するものである。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
また、前記アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
尚、これらのアルキル基やアルコキシル基は、置換されていてもよく、その置換基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−ブチル基であることが好ましい。
なかでも、多層レジストプロセスにおける各層のエッチング選択性の向上のために炭素含有量を抑制する観点から、メチル基、エチル基であることが好ましい。
前記構造単位(a2)を与えるテトラアルコキシシランにおいて、Si原子に結合する4つのアルコキシル基は、全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。このアルコキシル基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。また、このアルコキシル基は、直鎖状のものに限られず、分岐状若しくは環状であってもよい。
具体的なテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン等が挙げられる。
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシランが好ましい。
これらのなかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基が好ましい。
尚、各R5は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
尚、各R7は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
一般式(3)におけるnは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
構造単位(a5)としては、例えば、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルメチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンゾイルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルビニルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルシアノメチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−3−メルカプトプロピル−1−スルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−(2−シアノフェニル)メチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−3,3−ジメチルブチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−2−オキソ−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−2−(2,5−ジオキソイミダゾリン−4−イル)エチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルベンジルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルベンゾイルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルメチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−n−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−iso−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルオクチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルビニルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルアリルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−3−アミノプロピルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−2−シアノエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−3−ニトロフェニルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−4−ニトロフェニルスルホンアミド、
尚、構造単位(a2)の含有割合は、好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜80モル%、更に好ましくは65〜75モル%である。この含有割合が、55〜85モル%である場合、耐酸素アッシング性に優れたシリコン含有膜が形成でき、保存安定性に優れた組成物を得ることができる。
また、前記構造単位(a3)の含有割合は、好ましくは10〜40モル%、より好ましくは15〜35モル%、更に好ましくは20〜30モル%である。この含有割合が、10〜40モル%である場合、レジストパターン密着性や耐酸素アッシング性に優れた組成物を得ることができる。
また、このような各構造単位の含有割合は、例えば、29Si−NMRスペクトルの解析結果から推定することもできる。
尚、ポリシロキサン(A)を調製する際においては、(1)出発原料である各化合物の混合物を加水分解縮合反応させてもよいし、(2)各化合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方や、選択された化合物の混合物の加水分解物及びその縮合物のうちの少なくとも一方を用いて、加水分解縮合反応又は縮合反応させてもよい。
前記金属キレート化合物としては、例えば、例えば、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−iso−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−iso−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−iso−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、
また、前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
また、前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応副生成物の除去処理の方法としては、加水分解物又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が前記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
本発明のシリコン含有膜形成用組成物における前記溶媒(B)としては、例えば、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、iso−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;
これらの溶媒(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(3−1)酸発生化合物
本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、前記ポリシロキサン及び溶媒以外に、紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物(以下、単に「酸発生剤」ともいう。)が含まれていてもよい。
このような酸発生剤を含有する場合には、レジストを露光することにより、又は露光後に加熱することにより、シリコン含有膜中に酸が発生し、該シリコン含有膜とレジスト膜との界面に酸が供給される。その結果、レジスト膜のアルカリ現像処理において、解像度及び再現性に優れたレジストパターンを形成することができる。
前記酸発生剤としては、加熱処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性熱酸発生剤」ともいう。)及び紫外光照射処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性光酸発生剤」ともいう。)が挙げられる。
この潜在性熱酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。
前記スルホニウム塩の具体例としては、4−アセトフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート等のアルキルスルホニウム塩;ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート等のベンジルスルホニウム塩;
更に、前記以外の熱酸発生剤として、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノンを挙げることもできる。
この光酸発生剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロn−ブタンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンゼンメチルスルホニウムトルエンスルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
尚、これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、形成される塗膜の均一性及び保存安定性の向上を図るため、β−ジケトンが含まれていてもよい。
前記β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオン等が挙げられる。これらのβ−ジケトンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、更に、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
前記コロイド状シリカは、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が10〜40質量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾル、イソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカル等が挙げられる。これらのコロイド状シリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記コロイド状アルミナとしては、例えば、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132等が挙げられる。これらのコロイド状アルミナは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のシリコン含有膜形成用組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、前記ポリシロキサン(A)と、前記溶媒(B)と、必要に応じて前記他の添加剤と、を混合することにより得ることができる。
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物において、樹脂分の固形分濃度は特に限定されないが、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
本発明のシリコン含有膜は、レジスト膜や他のレジスト下層膜との密着性が高く、裾引き等のないボトム形状に優れるレジストパターンが得られる。そのため、多層レジストプロセスにおいて好適に用いることができる。また、多層レジストプロセスのなかでも、90nmよりも微細な領域(ArF、液侵露光でのArF、F2、EUV、ナノインプリント)での多層レジストプロセスを用いたパターン形成において、特に好適に用いることができる。
このシリコン含有膜は、前述の本発明のシリコン含有膜形成用組成物を用いることにより得ることができる。具体的には、例えば、レジスト被膜や他の下層膜(反射防止膜)等の表面に塗布することにより、シリコン含有膜形成用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理することにより、或いは、潜在性光酸発生剤を含有する場合には、紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより、硬化させ、シリコン含有膜(レジスト下層膜)を形成することができる。
シリコン含有膜形成用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法等を利用することができる。
また、形成される塗膜の加熱温度は、通常50〜450℃であり、加熱処理後の膜厚は、通常10〜200nmである。
本発明のパターン形成方法は、(1)シリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程〔以下、単に「工程(1)」という。〕と、(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程〔以下、単に「工程(2)」という。〕と、(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程〔以下、単に「工程(3)」という。〕と、(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程〔以下、単に「工程(4)」という。〕と、(5)前記レジストパターンをマスク(エッチングマスク)として、前記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程〔以下、単に「工程(5)」という。〕と、(6)前記シリコン含有パターンをマスクとして、前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程〔以下、単に「工程(6)」という。〕と、を備える。
本発明のパターン形成方法によれば、ドライエッチングプロセスにおいて、被加工基板にレジストパターンを再現性よく忠実に転写することができる。
前記工程(1)では、前述のシリコン含有膜形成用組成物を用いて、被加工基板上にシリコン含有膜を形成する。これにより、被加工基板上にシリコン含有膜が形成されたシリコン含有膜付き基板を得ることができる。
このレジスト下層膜は、レジストパターン形成において、シリコン含有膜及び/又はレジスト被膜が有する機能を更に補ったり、これらが有していない機能を得るために、必要とされる所定の機能(例えば、反射防止機能、塗布膜平坦性、CF4等のフッ素系ガスに対する高エッチング耐性)が付与された膜のことである。
この露光に用いられる放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。
また、塗膜を加熱する際の温度は、特に限定されないが、90〜550℃であることが好ましく、より好ましくは90〜450℃、更に好ましくは90〜300℃である。
前記工程(2)では、レジスト組成物を用いて、工程(1)にて得られたシリコン含有膜上にレジスト被膜を形成する。
この工程(2)にて用いられるレジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等を好適例として挙げることができる。
また、レジスト組成物としては、孔径0.2μm程度のフィルターを用いてろ過したものを好適に用いることができる。尚、本発明のパターン形成方法においては、このようなレジスト組成物として、市販品のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
プレベークする際の温度は、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
前記工程(3)では、工程(2)において得られたレジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射してレジスト被膜を露光する。
また、露光する方法についても特に制限はなく、従来公知のパターン形成において行われる方法に準じて行うことができる。
前記工程(4)では、工程(3)において露光したレジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する。
前記工程(5)では、工程(4)にて形成したレジストパターンをマスク(エッチングマスク)として、シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する。
また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチ膜の元素組成にもよるが、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、Cl2、BCl4等の塩素系ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。
前記工程(6)では、工程(5)にて形成したシリコン含有パターンをマスク(エッチングマスク)として、被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する。尚、レジスト下層膜が形成された被加工基板を用いた場合には、被加工基板におけるレジスト下層膜部をドライエッチングしてパターンを形成し、得られたパターンをマスク(エッチングマスク)として、被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成することが好ましい。
また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチ膜の元素組成にもよるが、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、Cl2、BCl4等の塩素系ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。
後述の各合成例においては、下記構造の単量体を用いて、重合体の合成を行った。
化合物(M−1);テトラメトキシシラン
化合物(M−2);メチルトリメトキシシラン
化合物(M−3);1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン
化合物(M−4);1,4−ビス(トリエトキシシリルメチル)ベンゼン
化合物(M−5);4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル
化合物(M−6);1,3,5−トリス(トリエトキシシリル)ベンゼン
化合物(M−7);フェニルトリメトキシシラン
化合物(M−8);4−トリルトリメトキシシラン
尚、化合物(M−1)は、本明細書中における構造単位(a2)を与える化合物であり、化合物(M−2)、(M−7)及び(M−8)は構造単位(a3)を与える化合物であり、化合物(M−3)〜(M−6)は構造単位(a1)を与える化合物である。
シュウ酸0.45gを水21.6gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、テトラメトキシシラン〔前記式(M−1)〕10.65g、メチルトリメトキシシラン〔前記式(M−2)〕3.41g、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン〔前記式(M−3)〕2.01g、及びプロピレングリコール−1−エチルエーテル53.5gを入れたフラスコに、冷却管と、調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、反応により生成したメタノールを除去して樹脂溶液45.4gを得た。この樹脂溶液中における固形分をポリシロキサン(A−1)とする。
得られた樹脂溶液中の固形分の含有割合は、焼成法により測定した結果、18.0%であった。また、固形分の重量平均分子量(Mw)は2900であった。
<固形分の含有割合の決定>
シロキサン樹脂溶液0.5gを30分間250℃で焼成することで、樹脂溶液0.5gに対する固形分の重量を測定し、シロキサン樹脂溶液の固形分の含有割合を決定した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド3.65gを水10.94gに加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液14.59g、水4.53g、及びメタノール40gを入れたフラスコに、冷却管と、テトラメトキシシラン〔前記式(M−1)〕10.65g、メチルトリメトキシシラン〔前記式(M−2)〕3.41g、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン〔前記式(M−3)〕2.01g、及びメタノール50gを入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、モノマーのメタノール溶液をゆっくり滴下し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸5.10gを、水18.72g、及びメタノール18.72gに溶解させて別途調製したマレイン酸メタノール溶液42.54gに対し、上述のように放冷した反応液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン50gを添加してからエバポレーターにセットし、反応溶媒及び反応により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水40gを添加して1回目の水洗を行い、水20gを添加して2回目の水洗を行った。その後、分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、プロピレングリコール−1−エチルエーテル50gを添加してからエバポレーターにセットし、4−メチル−2−ペンテノンを除去して樹脂溶液51gを得た。この樹脂溶液中における固形分をポリシロキサン(A−2)とする。
<ポリシロキサン(A−3)、(A−5)、(A−7)、(A−9)、(A−11)及び(A−13)>
表1に示す各単量体を、表1に示す配合量で用いた以外は、合成例1と同様の手法にて、ポリシロキサン(A−3)、(A−5)、(A−7)、(A−9)、(A−11)及び(A−13)を合成した。
<ポリシロキサン(A−4)、(A−6)、(A−8)、(A−10)及び(A−12)>
表1に示す各単量体を、表1に示す配合量で用いた以外は、合成例2と同様の手法にて、ポリシロキサン(A−4)、(A−6)、(A−8)(A−10)及び(A−12)を合成した。
前述の各合成例で得られたポリシロキサン(A)[ポリシロキサン(A−1)〜(A−13)]、及び有機溶媒(B)[有機溶媒(B−1)〜(B−3)]を用いて、下記のように、実施例1〜9及び比較例1〜4のシリコン含有膜形成用組成物を調製した。
表2に示すように、合成例1で得られたポリシロキサン(A−1)11部を、有機溶媒(B−1)74部、及び有機溶媒(B−2)15部に溶解させた後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、実施例1のシリコン含有膜形成用組成物を得た。
尚、表2における有機溶媒(B)の詳細は以下の通りである。
B−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
B−2:プロピレングリコール−1−エチルエーテル
B−3:プロピレングリコール−1−プロピルエーテル
表2に示す割合で各成分を用いる以外は実施例1と同じ要領にて、実施例2〜9及び比較例1〜4のシリコン含有膜形成用組成物を調製した。
前述のようにして得られた実施例1〜9及び比較例1〜4の各シリコン含有膜形成用組成物について、以下の各種評価を行った。それらの結果を表3に示す。
シリコンウェハ上に、下層膜形成用組成物(商品名「NFC HM8005」、JSR(株)製)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚が300nmの下層膜を形成した。
その後、この下層膜上に、シリコン含有膜形成用組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することによりシリコン含有膜を形成した。
次いで、前記シリコン含有膜上にレジスト材料「ARX2014J」〔JSR(株)製〕を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときのレジストの膜厚は100nmに制御した。更に、形成したレジスト膜上に液浸上層膜材料「NFC TCX091−7」〔JSR(株)製〕を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときの液浸上層膜の膜厚は30nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザー照射装置「S610C」〔(株)ニコン製〕を用い、16mJ/cm2の条件で照射した後、基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理し、50nmのライン・アンド・スペースパターンのレジストパターンを形成した。
前記のようにして基板上に形成されたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)〔日立ハイテク(株)製〕で観察し、光マスクの50nmのライン・アンド・スペースのパターンにおいて、レジストパターンのボトムに裾引きがない場合を「○」、裾引きがある場合を「×」と評価した。
各シリコン含有膜を、エッチング装置「EXAM」(神鋼精機社製)を用いて、300Wで15秒間酸素アッシング処理を行い、処理前のシリコン含有膜の膜厚と処理後のシリコン含有膜の膜厚との差を算出した。両者の差が5nmよりも小さい場合は、良好なシリコン含有膜であり、評価を「○」とした。一方、この差が5〜6nmの範囲内である場合を「△」、6nmを超える場合を「×」とした。
各シリコン含有膜、下層膜形成用組成物(商品名「NFC HM8005」、JSR(株)製)、レジスト材料「ARX2014J」〔JSR(株)製〕の屈折率パラメーター(n)及び消衰係数(k)を高速分光エリプソメーター「M−2000」(J.A.Woollam社製)により測定し、この測定値を元にシュミレーションソフト「プロリス」(KLA−Tencor社製)を用いて、NA1.3、Dipole条件下におけるレジスト材料/各シリコン含有膜/下層膜形成用組成膜を積層させた膜の基板反射率を求めた。反射率が1%以下は「○」、1%を超える場合を「×」とした。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物由来の構造単位(a1)を含有するポリシロキサンと、有機溶媒と、を含有するシリコン含有膜形成用組成物であって、
前記ポリシロキサンが、更に、テトラアルコキシシラン由来の構造単位(a2)と、下記一般式(2)で表される化合物由来の構造単位(a3)と、を含有しており、
多層レジストプロセス用であることを特徴とするシリコン含有膜形成用組成物。
- 前記ポリシロキサンにおける前記構造単位(a1)の割合が、原料モノマー基準で、1〜20モル%である請求項1に記載のシリコン含有膜形成用組成物。
- 請求項1に記載のシリコン含有膜形成用組成物を用いて得られることを特徴とするシリコン含有膜。
- (1)請求項1に記載のシリコン含有膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してシリコン含有膜を形成する工程と、
(2)得られた前記シリコン含有膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程と、
(3)得られた前記レジスト被膜に、フォトマスクを透過させることにより選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する工程と、
(4)露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程と、
(5)前記レジストパターンをマスクとして、前記シリコン含有膜をドライエッチングしてシリコン含有パターンを形成する工程と、
(6)前記シリコン含有パターンをマスクとして、前記被加工基板をドライエッチングしてパターンを形成する工程と、を備えることを特徴とするパターン形成方法。
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