JP2856861B2 - 固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造方法 - Google Patents

固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は潤滑油剤を含有した潤滑性および流動性を有
する固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造方法に関する
ものである。
[従来の技術] 従来、銅系あるいは鉄系合金からなる金属基体に孔も
しくは溝を形成し、該孔もしくは溝に固体潤滑剤を埋設
固定した、所謂固体潤滑剤埋込型摺動部材は各種機械部
品として使用されている。
該固体潤滑剤埋込型摺動部材の製造方法としては、
外周面に螺旋状の凸条部を形成した黒鉛(固体潤滑剤)
丸棒を鋳型の中子とし、該鋳型の溶湯金属を鋳造したの
ち、該中子を切削加工により取り除き、摺動面に固体潤
滑剤(黒鉛)を螺旋状に露出させる方法(特公昭39−25
06号公報所載)、溶湯金属の鋳造時に燃焼焼失する紙
またはプラスチックに固体潤滑剤ペレット(円柱体)を
接着固定し、これをシェル砂型からなる心棒の外周面に
接着固定してこれを鋳型の中子とする(特公昭56−1438
1号公報所載)か、もしくはシェル砂型からなる心棒に
固体潤滑剤ペレットを接着固定してこれらを鋳型の中子
として該鋳型に溶湯金属を鋳造し、摺動面に固体潤滑剤
ペレットを露出させる方法(特公昭52−5449号公報所
載)、金属基体に孔を形成し、該孔に接着剤を塗布し
た固体潤滑剤ペレットを埋設固定する方法、などがあ
る。
[発明が解決しようとする問題点] 上述した従来の製造方法において、の方法は熱伝導
性のよい黒鉛をそのまま中子として使用するため、鋳造
時に溶湯金属が十分に行きわたりにくいという欠点があ
るとともに摺動部材の形状が限定されるという欠点があ
ること、またの方法は鋳造時に固体潤滑剤ペレットが
はげ落ちたり、ずれたりし、固体潤滑剤ペレットが規則
正しく配列された摺動部材が得られ難いという欠点があ
ること、から上記の方法が一般的に使用されている。
しかしながら、上記の方法においても、いくつかの
問題点がある。
すなわち、(a)金属基体の寸法の大小に応じて該基
体に設けられる孔の大きさ(孔径)が異なるため、該孔
に埋込まれる固体潤滑剤ペレットも当該孔径に合致した
各寸法の固体潤滑剤ペレットを取り揃える必要があるこ
と。(b)接着剤を塗布した固体潤滑剤ペレットの金属
基体の孔への埋込み作業は自動化が難しく手作業となる
ため、極めて作業性が悪いこと。(c)金属基体、とく
に円筒状金属基体の内面に設けられた溝、例えば螺旋状
溝、リング状溝に固体潤滑剤を埋設固定するには、固体
潤滑剤ペレットを使用することができないため、別途流
動性を有するペースト状固体潤滑剤を用意する必要があ
ること。などの問題である。
また、副次的ではあるが、上記(b)の固体潤滑剤ペ
レットへの接着剤塗布作業により、当該作業者にカブレ
などの思わぬ事故を誘発するという問題もある。
一方、摺動部材の性能面から検討すると、固体潤滑剤
を埋込んだ摺動部材は埋込まれた固体潤滑剤が少量づつ
摺動面に供給されてそこに固体潤滑被膜が形成されるか
ら、別途グリースなどの潤滑剤を供給することなく長期
間の使用に供し得るが、その用途は低速度高速荷重領域
にほぼ限られているため、上記領域をはずれる用途にお
いてはグリースや潤滑油などの潤滑油剤を併用すること
を余儀なくされている。
したがって、上記領域をはずれる用途に使用される固
体潤滑剤を埋込んだ摺動部材においては、摺動面にグリ
ース溜り用の溝を形成したり、給油装置により摺動面に
潤滑油を供給するなどの手段が必要とされる。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは上述した製造上および性能上の問題点に
対し、金属基体に設けられる孔もしくは溝の大きさ、
形状等に何ら制約されることなく埋込み可能なこと、
潤滑油剤による潤滑作用と固体潤滑剤による潤滑作用の
両作用を兼ね備えていること、金属基体の孔もしくは
溝に接合可能なこと、の3点を技術的課題として挙げ、
これらの課題をすべて満足することにより上述した問題
点は一挙に解決されるものと考え、鋭意研究を行った結
果、固体潤滑材粉末に潤滑油剤と合成樹脂結合剤を配合
した固体潤滑剤は、湿潤性および流動性を有し、潤滑油
剤が含有されているにもかかわらず金属基体に設けられ
た孔もしくは溝の大きさ、形状等に何ら制約されること
なく埋込み可能で、かつ該孔もしくは溝への接合が可能
であることを見出し、上述した技術的課題をすべて満足
することを確認した。
本発明は固体潤滑材粉末を主成分とし、これに常温で
液状もしくはペースト状を呈する潤滑油剤および合成樹
脂結合剤が配合されてなる湿潤性および流動性を有する
固体潤滑剤を金属基体に設けられた孔もしくは溝に埋込
んだ摺動部材の製造方法を提供するものである。
上述した構成において、主成分をなす固体潤滑材粉末
はそれ自体単独で固体潤滑作用をなす物質をいい、本発
明では天然黒鉛、コークス粉末などの骨材をそれ自
身が加熱燃焼により炭化・黒鉛化するコールタールピッ
チなどのバインダを使用して成形し、これを700〜1100
℃の温度で焼成したのち、ピッチなどの含浸剤を浸透さ
せ、これを2500〜3000℃で熱処理し黒鉛化させて得られ
る人造黒鉛、天然鱗状黒鉛、キッシュ黒鉛、焼成させ
たあと水洗し、高温で瞬間的にC軸方向に膨張処理した
膨張黒鉛、二硫化モリブテン、ポリテトラフルオロ
エチレン樹脂(PTFE)、窒化ホウ素(BN)の一種もし
くは二種以上が選択されて使用される。
これら固体潤滑材は平均粒度100メッシュ(150μm)
の粉末が使用される。
常温で液状もしくはペースト状を呈する潤滑油剤とし
ては、機械油、エンジン油などの鉱油、ヒマシ油などの
植物油、エステル油、シルコーン油などの合成油、グリ
ースなどが挙げられ、これらはその一種もしくは二種以
上が選択されて使用される。
潤滑油剤の配合割合は5〜20重量%が適当で、20重量
%を超えて配合すると後述する金属基体の孔もしくは溝
への流動充填のさい、潤滑油剤がブリードアウト(流
失)する量が多くなり、これが固体潤滑剤と金属基体の
孔もしくは溝との接合界面に介在して該固体潤滑剤の該
金属基体の孔もしくは溝からの固体潤滑剤の抜け出しを
惹起するなどの欠点として現れる。また、5重量%未満
の配合量では固体潤滑剤自体の強度が高められる反面、
固体潤滑剤に含有された潤滑油剤の摺動面への滲み出し
量が少なく、潤滑油剤による摺動性能の向上を期待し難
い。
合成樹脂結合剤は固体潤滑剤粉末同士を接合する役割
と潤滑油剤を含有した固体潤滑剤を金属基体の孔もしく
は溝に接合する役割を担うもので、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性合成樹脂
が挙げられ、本発明でとくにエポキシ樹脂が好ましいも
のとして使用される。
エポキシ樹脂は常温硬化型の液状エポキシ樹脂および
熱硬化型の液状あるいは粉末状エポキシ樹脂を使用する
ことができる。
具体的には、常温硬化型の液状エポキシ樹脂として
は、セメダイン社から市販されている「セメダイン」
(商品名)が挙げられる。また、熱硬化型の液状エポキ
シ樹脂としては、田岡化学社から市販されている「テク
ノダイン」(商品名)、油化シェルエポキシ社から市販
されている液状エポキシ樹脂「エピコート」(商品名)
に旭化成工業社の潜在性硬化剤「ノバキュア」(商品
名)あるいは味の素社の「アミキュア」(商品名)を加
えた一液性エポキシ樹脂などが挙げられる。
熱硬化型の粉末状エポキシ樹脂としては、ソマール社
の「エピフォーム」(商品名)が挙げられ、この粉末状
エポキシ樹脂は上記液状エポキシ樹脂の流動調整用とし
ても使用することができる。
この合成樹脂結合剤の配合割合は15〜50重量%が適当
である。
上述した構成(成分組成)からなる固体潤滑剤および
この潤滑剤を埋込んだ摺動部材は、つぎのようにして作
製される。
平均粒度150メッシュに調整した固体潤滑材粉末を主
成分とし、これに常温で液状もしくはペースト状を呈す
る潤滑油剤を加えて混合し、該固体潤滑材粉末と、潤滑
油剤の混合物を得た後、この混合物に合成樹脂結合剤を
加えて混練することにより、湿潤性および流動性を有す
る固体潤滑剤が得られる。
このようにして得た湿潤性および流動性を有する固体
潤滑剤を金属基体に設けられた孔もしくは溝に常温下
で、もしくは加熱したで流動充填せしめ、ついで常温も
しくは加熱により該結合剤を硬化させるとともに潤滑油
剤を含有した固体潤滑剤を該金属基体の孔もしくは溝に
接合させることにより、該潤滑油剤を含有した固体潤滑
剤を埋込んだ摺動部材が得られる。
固体潤滑剤を金属基体の孔もしくは溝に流動充填する
方法としては、圧縮成形、トランスファー成形、インジ
ェクション成形などの方法が使用される。摺動部材が板
状を呈するものにおいては、該固体潤滑剤を予め板状に
成形し、これを孔もしくは溝が設けられた板状摺動部材
(金属基体)上に載置し、プレス成形により流動充填す
る方法を採ることができる。
第1図は、固体潤滑剤の流動充填装置の一例を示す断
面図であり、図中符号1は円筒部11を備えた保持具、2
は該保持具1の円筒部11内にその外周面が拘束されて嵌
挿され、その円周方向に互いに重畳するように形成され
た複数個の孔21を有する摺動部材素材、3は該素材2の
内面に該素材の内径面との間に微小環状隙間Sをもって
挿入された流通路31を有する案内具、4は該素材2を保
持した保持具1の円筒部11上端部に嵌合され、前記流通
路31と連通する流通路41を備えた容器、5は該容器4内
に装填された湿潤性および流動性を有する固体潤滑剤、
6は該容器4内にその上下方向に移動可能に嵌合された
押圧具である。
第2図は、固体潤滑剤を埋込んだ円筒状摺動部材を示
す縦断面図であり、図中符号7は円筒状摺動部材、71は
該摺動部材7に形成された複数個の孔、72は該孔71に流
動装填され、かつ接合された固体潤滑剤である。
[作 用] 固体潤滑剤は湿潤性および流動性を有するので、摺動
部材の製造方法においては該摺動部材に設けられる孔も
しくは溝の大きさ、形状等に何ら制約されることなく当
該孔もしくは溝への埋込みが可能である。
固体潤滑剤にはそれ自体に潤滑油剤が含有されている
ので、該固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材においては相手
材との摺動において、その摺動面には該固体潤滑剤に含
有された潤滑油剤が供給されるから、該潤滑油剤による
湿潤性が保たれ、該固体潤滑剤と潤滑油剤による潤滑作
用が行われ、固体潤滑剤埋込型摺動部材の適正用途であ
る低速度高荷重条件下での使用はもちろん、当該条件を
はずれる用途においても別途潤滑剤を供給することなく
その使用を可能とする。
[実施例] 以下、本発明の固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造
方法について、その実施例に基づき詳細に説明する。
<実施例I> 固体潤滑材粉末として、かさ比重1.55g/cm3、気孔
率45%の多孔質人造黒鉛成形体(イビデン社製)を粉砕
し、平均粒度100メッシュに調整した人造黒鉛粉末58重
量%、該人造黒鉛粉末43重量%とポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)樹脂粉末(日本バルカー社製)「ユノ
ン(商品名)」15重量%、該人造黒鉛粉末43重量%と
二硫化モリブテン粉末15重量%、を使用し、これら固体
潤滑材粉末に潤滑油剤として鉱油(出光興産社製「ダフ
ニースーパーマルチ(商品名)」)15重量%を加えて混
合し、固体潤滑材粉末と潤滑油剤との混合物を得た。
ついで、これら混合物に合成樹脂結合剤として熱硬化
型液状エポキシ樹脂(昭和シェル化学社製「エピコート
(商品名)」)16重量%と潜在型硬化剤(旭化成工業社
製「ノバキュア(商品名)」)5重量%と流度調整用と
して粉末状エポキシ樹脂(ソマール社製「エピフォーム
(商品名)」)6重量%を配合し、混練して湿潤性およ
び流動性を有する固体潤滑剤を得た。
金属基体として高力黄銅鋳物(JIS−H2205)を使用
し、これを切削加工して内径60mm、外径80mm、長さ80mm
の円筒基体を得るとともに該円筒基体に直径10mmの孔を
該円筒基体の円周方向に互いに重畳するように54個形成
し、これを摺動部材素材(軸受ブッシュ素材)とした。
該摺動部材の外周面を拘束し、前記第1図に示した流
動充填装置により該素材の内面側から上記成分組成の固
体潤滑剤を常温で50kg/cm2の圧力で加圧しながら流動さ
せ、該素材の孔に密に充填した。
該素材の孔に固体潤滑剤を保持した摺動部材素材を80
℃の温度に加熱した加熱炉内に60分間保持して該合成樹
脂結合剤の一次硬化を行ったのち、140℃の温度に加熱
した加熱炉内に30分間保持し、該合成樹脂結合剤の二次
硬化を行うとともに該潤滑油を含有した固体潤滑剤を該
素材の孔に接合せしめ、該固体潤滑剤を埋込んだ摺動部
材(軸受ブッシュ)を得た。
<実施例II> 固体潤滑材として、かさ比重0.7g/cm3、厚さ0.5mm
の膨張黒鉛シート(日本カーボン社製「ニカフィルム
(商品名)」)を粉砕し、平均粒度100メッシュに調整
した膨張黒鉛粉末58重量%、上記膨張黒鉛粉末43重量
%とPTFE樹脂粉末(前記実施例Iと同じ)15重量%、
上記膨張黒鉛粉末43重量%と人造黒鉛粉末(前記実施例
Iと同じ)15重量%、を使用し、これら固体潤滑材粉末
に潤滑油剤として鉱油(前記実施例Iと同じ)15重量%
を加えて混合し、固体潤滑材粉末と潤滑油との混合物を
得た。
ついで、これら混合物に合成樹脂結合剤として熱硬化
型液状エポキシ樹脂(前記実施例Iと同じ)16重量%と
潜在型硬化剤(前記実施例Iと同じ)5重量%と流度調
整用として粉末状エポキシ樹脂(前記実施例Iと同じ)
6重量%を配合し、混練して湿潤性および流動性を有す
る固体潤滑剤を得た。
金属基体として、前記実施例Iと同様の高力黄銅鋳物
を前記実施例Iと同じ寸法の摺動部材素材を作製したの
ち、前記実施例Iと同様に方法で該固体潤滑剤を該素材
の孔に密に流動充填した。以下前記実施例Iと同様の方
法で固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材を得た。
<実施例III> 固体潤滑材粉末として、二硫化モリブテン粉末70重
量%、二硫化モリブテン粉末60重量%とPTFE樹脂粉末
(前記実施例Iと同じ)10重量%、二硫化モリブテン
粉末60重量%と窒化ホウ素粉末10重量%、を使用し、こ
れら固体潤滑材粉末に潤滑油剤として鉱油(前記実施例
Iと同じ)8重量%を加えて混合し、固体潤滑材粉末と
潤滑油との混合物を得た。
ついで、これらの混合物に合成樹脂結合剤として熱硬
化型液状エポキシ(前記実施例Iと同じ)16重量%と潜
在型硬化剤(前記実施例Iと同じ)5重量%と流度調整
用として粉末状エポキシ樹脂(前記実施例Iと同じ)6
重量%を配合し、混練して湿潤性および流動性を有する
固体潤滑剤を得た。
金属基体として、前記実施例Iと同様の高力黄銅鋳物
を前記実施例Iと同じ寸法の摺動部材素材を作製したの
ち、前記実施例Iと同様に方法で該固体潤滑剤を該素材
の孔に密に流動充填した。以下前記実施例Iと同様の方
法で固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材を得た。
つぎに、上述した実施例で得た固体潤滑剤を埋込んだ
摺動部材について、該固体潤滑剤の孔への接合強度およ
び摺動特性を試験した結果を述べる。
(接合強度試験) 接合強度は摺動部材の孔に埋込まれた固体潤滑剤にプ
ッシュ・プルゲージを当てて該固体潤滑剤の孔からの抜
出し力(kgf/cm2)を測定し、その測定値をもって接合
強度とした。
(摺動特性試験) 摺動特性は、つぎの試験条件により摩擦係数および摩
耗量を測定した。
試験条件:荷 重 500kgf/cm2 速 度 1m/min 相手材 機械構造用炭素鋼(S45C) 往復揺動試験 ストローク200mm 試験サイクル 100×104(400km) 試験条件:荷 重 10kgf/cm2 速 度 40m/min 相手材 機械構造用炭素鋼(S45C) 往復揺動試験 ストローク200mm 試験サイクル 100×104(400km) 試験結果を下表に示す。
試験結果から、実施例からなる固体潤滑剤を埋込んだ
摺動部材の孔への接合強度(抜出し力)は比較例で示し
た従来技術のものよりも低い値を示した。この試験結果
は予想されたもので、潤滑油剤を含有した固体潤滑剤を
接合強度50kgf/cm2の値で接合することができたこと
は、摺動特性の試験結果、すなわち固体潤滑剤埋込型摺
動部材の適正用途である低速度高荷重(前記試験条件
)領域ばかりでなく当該領域をはずれる(前記試験条
件)用途の使用においても、従来技術と同等もしくは
それ以上の性能を発揮したことを考えると、実施例にお
ける接合強度は摺動部材をしようする上で何ら支障を来
さないことを意味するものである。
比較例の摺動部材は、試験条件の試験において試
験時間の経過とともに徐々に摩擦係数が高くなり、試験
ストローク30kmで摩耗量が急激に増大した。また、試験
条件の試験においては試験開始直後、試験ストローク
にして1kmで摩擦係数、摩耗量とも急激に増大したた
め、試験を中止した。
比較例の摺動部材は、試験条件の試験においては
実施例Iないし実施例IIIの摺動部材とほぼ同等の性能
を示したが、試験条件の試験においては試験ストロー
ク200kmで摺動面に塗布したグリースがスクイズアウト
(掻き出され)され始め、試験ストローク300kmで軸受
温度、摩擦係数、摩耗量が急激に増大したため、試験を
中止した。
一方、実施例の摺動部材に埋込まれた固体潤滑剤には
潤滑油が含有されているから、固体潤滑剤埋込型摺動部
材の適正用途である低速度高荷重領域ばかりでなく当該
領域をはずれる用途の使用においても、別途潤滑油剤を
供給することなく安定した性能を発揮した。
[効 果] 上述した本発明の固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製
造方法は、以下の特有の効果を有する。
固体潤滑剤は湿潤性および流動性を有するため、金属
基体に設けられた孔もしくは溝の形状に何ら制約を受け
ることなく埋込むことができ、摺動部材の用途範囲を大
幅に拡大することができる。
固体潤滑剤にはそれ自体に潤滑油剤が含有されている
ので、固体潤滑剤埋込型摺動部材の適正用途である低速
度高荷重領域ばかりでなく当該領域をはずれる用途の使
用においても、摺動面に別途グリース等の潤滑剤を供給
する必要がなく、広範囲の条件下での使用が可能であ
る。
金属基体に設けられた孔もしくは溝に固体潤滑剤を流
動充填させて埋込むため、従来の接着剤塗布作業、埋込
み作業を必要とせず、作業性が大幅に向上されるととも
に接着剤塗布作業に起因する作業者のカブレなどの問題
は全く解消される。
【図面の簡単な説明】
第1図は固体潤滑剤の流動充填装置の一例を示す縦断面
図、第2図は固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材を示す縦断
面図である。 7……摺動部材、71……孔、72……固体潤滑剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 103/06 C10M 103/06 C 107/32 107/32 // C10N 10:12 40:02 50:08 (56)参考文献 特開 昭51−126473(JP,A) 特開 昭58−160398(JP,A) 実開 昭52−49277(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 111/04 C10M 103/00 - 103/06 C10M 101/02 - 101/04 C10M 107/32 - 107/38 C10N 40:02 C10N 50:08 WPI/L(QUESTEL)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】黒鉛、二硫化モリブテン、ポリテトラフル
    オロエチレン樹脂、窒化ホウ素の一種もしくは二種以上
    から選択される固体潤滑材粉末を主成分とし、これに常
    温で液状もしくはペースト状を呈する機械油、エンジン
    油などの鉱油、ヒマシ油などの植物油、エステル油、シ
    リコーン油などの潤滑油剤を加えて混合し、該固体潤滑
    材粉末と潤滑油剤との混合物を得た後、この混合物に熱
    硬化性合成樹脂結合剤を加えて混練し、潤滑油剤5〜20
    重量%、熱硬化性合成樹脂結合剤15〜50重量%、残部固
    体潤滑材からなる湿潤性および流動性を有する固体湿潤
    剤を得る工程と、該固体湿潤滑を金属基体に設けられた
    孔もしくは溝に常温下もしくは加熱下で流動充填せしめ
    る工程と、ついで常温もしくは加熱により該結合剤を硬
    化させるとともに潤滑油剤を含有した該固体潤滑剤を該
    金属基体の孔もしくは溝に接合させる工程と、からなる
    固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造方法。
  2. 【請求項2】孔もしくは溝が設けられた金属基体の摺動
    面は、平面、円筒面もしくは球面を呈する請求項1に記
    載の固体潤滑剤を埋込んだ摺動部材の製造方法。
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