JP3320468B2 - 転がり軸受およびその製造方法 - Google Patents
転がり軸受およびその製造方法Info
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Description
のである。詳しく述べると、耐食性に優れかつ振動が小
さい転がり軸受に関するものである。
に、内輪1およびその外側に設けられた外輪2とよりな
り、該内輪1と該外輪2との間に、保持器3に保持され
た転動体(例えば、玉、ころ等)4とより構成されてお
り、これらの部材より構成される摺動部分には、潤滑油
が供給されている。
うな構成を有する転がり軸受は、転動体4および保持器
3が外気に開放されているので、外部から水、化学薬品
等と接触して腐食しやすく、このため寿命が短かく、し
かも回転時に隙間音が大きいという欠点があった。
を合体して所望の物品を得ようとする場合には、金型に
インサート部材として該金属部材を挿入したのち、射出
成形法等により加熱溶融して該金型内に注入している。
しかしながら、このような金型を使用するために、その
費用が極めて高くなるという問題があった。
り軸受およびその製造方法を提供することにある。本発
明の他の目的は、耐食性に優れかつ隙間音のない転がり
軸受およびその製造方法を提供することにある。
輪、と該内輪の外側に同軸的に設けられた外輪と、該内
輪と該外輪との間に設けられた保持器と、該保持器内に
保持された転動体とよりなる転がり軸受において、該内
輪と該外輪との間の空間に合成樹脂粉末と金属石けんと
油性物質との配合物の焼結体を充填し、該焼結体に潤滑
油を含浸させてなることを特徴とする転がり軸受により
達成される。
れた位置決め用ボスに、内輪と該内輪の外側に同軸的に
設けられた外輪と該内輪を該外輪との間に設けられた保
持器と該保持器内に保持された転動体とよりなる転がり
軸受の内輪を外嵌して固定して該下側押圧板に当接し、
かつ該転がり軸受の上面に上側押圧板を当接したのち、
該内輪と該外輪との間の空間に合成樹脂粉末と金属石け
んと油性物質との配合物を注入し、ついで該配合物を焼
結したのち、潤滑油を含浸させることと特徴とする転が
り軸受の製造方法によっても達成される。
がら説明する。
受は、内輪11と、該内輪11の外側に同軸的に設けら
れた外輪12と、該内輪11と該外輪12との間に設け
られた保持器13と、該保持器13内に保持された転動
体14とよりなる転がり軸受において、該内輪11と該
外輪12との間の空間に合成樹脂と金属石けんと油性物
質との配合物の焼結体15を充填して密閉し、該焼結体
15に潤滑油を含油させてなるものである。
持器13との間に形成される空間はもちろんのこと、前
記内輪11と保持器13および前記外輪12と保持器1
3との間に形成されて前記転動体14と接する空間にも
潤滑油を含浸させた焼結体15が充填されて、該転動体
14と摺動接触することになる。
て金属製の深溝転がり軸受のオープンタイプであるが、
他のボールベアリング、ローラベアリングに対しても応
用可能である。この場合、オープンタイプであることお
よび自動調心タイプでないことという二つの条件が満た
されなければならない。
まず必要により金属製の転がり軸受を前処理する。前処
理方法としては、オイルコーティング、グリースコーテ
ィング、パラフィンコーティング、その他の活性物質に
よりコーティング等、好ましくはパラフィンコーティン
グ法およびステアリン酸亜鉛等の金属石けんのコーティ
ング法である。
のごとき方法がある。まず、転がり軸受を120〜16
0℃に10〜60分間加熱したのち、活性物質粉末を溶
融付着させ、さらに同様な温度で放置すると、その必要
量が均一に膜状に付着する。ついで、放冷すると、前記
活性物質が固化する。
終的に円滑な摺動をするベアリングが得られ、特に金属
石けんを使用する場合には、次工程で配合物を軸受に充
填する際に、オイルやグリースにより処理する場合より
ワイプアウトの発生が小さく、かつ後述するように、充
填すべき配合物の一成分でもあるので、混入防止の必要
がない。
る合成樹脂としては、粉末状でありかつ焼結可能であ
り、しかも摩擦係数が低くかつ油に対して含浸性の良好
な熱可塑性樹脂であれば、いずれも使用できる。
エチレン(平均分子量300万〜450万)、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の摺動性合
成樹脂粉末があり、好ましくは超高分子量ポリエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサル
ファイド等であり、最も好ましくは超高分子量ポリエチ
レンである。
60〜120μm、好ましくは80〜120μmであ
る。
しては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、
オレイン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム等があり、摺動
性前記合成樹脂粉末100重量部当り10〜40重量
部、好ましくは10〜30重量部配合される。混合部材
兼組成物混合時の結合材料として使用される油性物質と
しては、一般鉱物油、パラフィン類、機械用グリース類
があり、摺動性合成樹脂粉末100重量部当り20〜1
60重量部、好ましくは、100〜140重量部配合さ
れる。
低摩擦、低摩耗および含油性材料としてナイロン−6、
ナイロン−6,6、ナイロン−12、ナイロン−11等
の粉末および低摩擦、低摩耗、含油性および強度保持材
料としてフェノール樹脂成形材料(木粉、パルプ、炭素
繊維等を配合したフェノール樹脂)粉末を配合すること
ができる。さらに、含油性向上のために、天然繊維、炭
素繊維等の繊維類を、また熱伝導性、導電性および機械
的強度向上のために銅粉、鉄粉、アルミニウム粉等の金
属粉を配合することができる。
およびフェノール樹脂成形材料粉末の配合割合は、該合
成樹脂粉末100重量部当りナイロン粉末80重量部以
下、好ましくは40〜80重量部、最も好ましくは50
〜70重量部およびフェノール樹脂成形材料粉末80重
量部以下、好ましくは40〜70重量部以下、最も好ま
しくは50〜65重量部である。すなわち、このような
範囲では、合成樹脂焼結体に対する潤滑油の含浸性が極
めて良好となるからである。
対する繊維類の配合割合は10重量部以下、好ましくは
3〜8重量部、最も好ましくは5〜8重量部であり、ま
た金属粉は200重量部以下、好ましくは40〜150
重量部、最も好ましくは40〜100重量部である。
は、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、摺動
性合成樹脂粉末、金属石けん、油性物質および必要によ
り配合されるナイロン粉末、フェノール樹脂成形材料粉
末、繊維類および金属粉を所定量配合して混合して粘土
状混合物を得る。混合は、一般的な密閉式の混合機、例
えばニーダー、インターミキサー等で容易に行なうこと
ができる。この混合物は、内輪11と外輪12と保持器
13とにより形成される空間に充填したのち、所定の温
度に加熱して焼結することにより焼結体15を得る。
すように、成形機下板21に固定された下側押圧板22
に取付けられた位置決め用ボス23に、内輪11と該内
輪11の外側に同軸的に設けられた外輪12と該内輪1
1と該外輪12との間に設けられた保持器(図示せず)
と該保持器内に保持された転動体14とよりなる転がり
軸受の内輪11を外嵌して固定して前記下側押圧板21
に当接し、かつ該転がり軸受の上面に成形機上板25に
固定された上側押圧板24を当接する。
ジャー等(図示せず)を用いて材料射出ノズル26によ
り内輪と外輪との空間に前記配合物を注入する。この場
合、特に加熱する必要はない。
に焼結されて粘土様の混合物が固形物として固定され、
一つの加工品となる。
である。
面に金属板、セラミックス板あるいは耐熱性の樹脂板等
の押圧板を当接し、ボルト締め、クランプ締め等により
固定する。
60〜190℃の温度で、軸受の寸法に応じて30分〜
4時間、好ましくは60分〜2時間程度加熱して焼結を
行なう。この際使用される装置としてはバッチ式電気
炉、連続式トンネル型電気炉等の恒温加熱できる装置で
充分である。また、オイルバス中(例えばタービン油#
90等)で焼結しても問題はない。
ままで、100℃以下、好ましくは20〜50℃の温度
になるまで放冷する。放冷は、常態放置あるいは冷油中
での浸漬放置のいずれも可能である。
(a)の手順は簡易な治具を用いて行うことができる。
例えば、図3に示すように、ナット31が取付け可能な
丸棒または円管32で、その外径が軸受の内輪11にほ
ぼ合致するものおよびこの外径と合致する丸穴の開いた
押圧板33を準備し、これらを交互に挿入し、両端をナ
ット31で固定する。この方法によれば、数個ないし数
十個の単位で転がり軸受を一度に押圧固定できる。
れる転がり軸受は、配合物の焼結部分が多孔質体であ
り、このままでも仕上りに近い状態にある。しかしなが
ら、これをさらに加熱して潤滑油を含浸させることによ
って、より安定な易摺動性の転がり軸受にすることがで
きる。
輪または外輪にバリが発生している場合には、鋭利な刃
物で切除する。これを金網のカゴに入れ、あるいは針状
物等に通したのち、潤滑油中に浸漬する。使用される潤
滑油としては、通常転がり軸受に使用されるものであれ
ば、いずれも使用できるが、一例を挙げると、例えばタ
ービン油#90、スピンドル油#60等がある。
ましくは95〜105℃で、30分〜4時間、好ましく
は1〜4時間である。ついで、浸漬していた潤滑油ごと
放冷するか、あるいは潤滑油中から取り出して冷油中に
浸漬して放冷し、好ましくは室温程度にまで放冷する。
とによって、充填配合物中の潤滑部材の割合は、配合段
階で40〜50重量%程度のものが、最終的に50〜7
0重量%程度にまで増大する。
せることにより、潤滑油は該焼結体内に保持され、しか
もその一部分は、内輪11と保持器13と転動体14と
により形成される空間または外輪12と保持器13と転
動体14とにより形成される空間において該転動体14
と接するので、該転動体14に潤滑油が常に供給される
ことになる。
に説明する。
軸的に設けられた外輪12と、該内輪11と該外輪12
との間に設けられた保持器と、該保持器13内に保持さ
れた転動体14とよりなる金属製の転がり軸受を160
℃に20分間加熱して粉末状ステアリン酸亜鉛を溶融付
着させ、さらに160℃の温度で20分間空中加熱し、
さらに放冷してステアリン酸亜鉛を固化させることによ
り前処理を行なった。該内輪11と該外輪12と、保持
器13とにより空間に、つぎの表1に示す組成を有する
粉末配合物を図2に示す装置を用いて充填した。
受を160℃で1時間加熱して焼結したのち、タービン
油#90(粘度32センチストークス(40℃)中に浸
漬し、100℃の温度で1時間アニールを行なって、潤
滑油を該焼結体に含浸させて本発明による転がり軸受を
得た。このときのタービン油#90の含油による増加率
は18%であった。
4に示す試験装置を用いて摺動時間と温度との関係を測
定したところ、表2に示す結果が得られた。
台41上に固定されたモータ42と、シャフト支持台4
4上に固定されたシャフト支持用軸受45との間に取付
けられたシャフト43に、荷重46をかけた荷重負荷用
荷重47に試験用の転がり軸受48を取付けた。
回転数で回転させ、49kgの負荷(負荷用外輪の重さ
+荷重の重さ)をかけて1日8時間連続回転させ、総試
験時間102時間であった。このときの温度の測定は、
図中のA〜D点の温度を表面温度計にて測定した。な
お、AおよびD点は、軸受外輪の側面上の一部であり、
BおよびC点は、荷重負荷用外輪の表面上の一部であ
る。
上昇分は、摺動開始当初室温プラス20℃まで上昇して
いる。その後長時間摺動すると、次第に上昇分は小さく
なり、100時間経過までには室温プラス15〜16℃
程度の上昇となっている。
らかに試験後の方が滑らかな摺動になっている(官能確
認)。
最も問題になると予想された摺動熱発生の点において、
問題がないことが確認された。すなわち、材料樹脂の耐
熱範囲(供試配合物の場合、超高分子量ポリエチレンの
長期使用可能温度80℃)に対して、室温が40℃程度
の高温となっても、摺動時の軸受温度は、その範囲内に
充分おさまり、使用にあたって良好に機能を発揮でき
る。
リフェニレンサルファイド粉末を用いたところ、実施例
1と同様な結果が得られた。
リテトラフルオロエチン粉末を用いたところ、実施例1
と同様な結果が得られた。
軸受は、内輪と、外輪と保持器との間の空間に合成樹脂
粉末と金属石けん油性物質との配合物の焼結体を充填
し、該焼結体に潤滑油を含浸させてなるものであるか
ら、金属製転動体および金属製保持器の腐食が防止さ
れ、かつ外部からの異物の混入が防止されるので、外輪
および内輪の転動体溝の摩擦が防止される。また、該焼
結体は多孔質であるので、振動が吸収されるだけでな
く、含油体でもあるので、金属製の摺動面を円滑にす
る。このため、転がり軸受の寿命は向上する。
金型を使用しなくても可能であり、製造コストが低く押
えられる。しかも、充填成形時に加熱工程がないため
に、材料にはほとんど損失がなく、回収できる限りその
まま再利用できるという利点がある。
である。
断面図である。
る焼結時に使用される治具を示す概略断面図である。
図である。
る。
Claims (11)
- 【請求項1】 内輪と、該内輪の外側に同軸的に設けら
れた外輪と、該内輪と該外輪との間に設けられた保持器
と、該外持器内に保持された転動体とよりなる転がり軸
受において、該内輪と該外輪との間の空間に合成樹脂粉
末と金属石けんと油性物質との配合物の焼結体を充填
し、該焼結体に潤滑油を含浸させてなることを特徴とす
る転がり軸受。 - 【請求項2】 合成樹脂粉末100重量部に対する金属
石けんの配合量が10〜40重量部でありかつ油性物質
の配合量が20〜160重量部である請求項1に記載の
転がり軸受。 - 【請求項3】 合成樹脂粉末の平均粒径が60〜120
μmである請求項1または2に記載の転がり軸受。 - 【請求項4】 合成樹脂粉末100重量部当りナイロン
粉末80重量部以下、フェノール樹脂成形材料粉末80
重量部以下、金属粉末200重量部以下および繊維類1
0重量部以下を含有してなる請求項2または3に記載の
転がり軸受。 - 【請求項5】 合成樹脂粉末が超高分子量ポリエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリフェニレン
サルファイドよりなる群から選ばれた少なくとも1種の
ものである請求項1ないし4のいずれか一つに記載の転
がり軸受。 - 【請求項6】 合成樹脂粉末が超高分子量ポリエチレン
である請求項1ないし4のいずれか一つに記載の転がり
軸受。 - 【請求項7】 下側押圧板に取付けられた位置決め用ボ
スに、内輪と該内輪の外側に同軸的に設けられた外輪と
該内輪を該外輪との間に設けられた保持器と該保持器内
に保持された転動体とよりなる転がり軸受の内輪を外嵌
して固定して該下側押圧板に当接し、かつ該転がり軸受
の上面に上側押圧板を当接したのち、該内輪と該外輪と
の間の空間に合成樹脂粉末と金属石けんと油性物質との
配合物を注入し、ついで該配合物を焼結したのち、潤滑
油を含浸させることと特徴とする転がり軸受の製造方
法。 - 【請求項8】 該配合物の焼結は、140〜190℃の
温度で30分〜4時間行われる請求項7に記載の転がり
軸受の製造方法。 - 【請求項9】 該潤滑油の含浸は、液温90〜110℃
の潤滑油に前記焼結後の転がり軸受を浸漬して行われる
請求項7または8に記載の転がり軸受の製造方法。 - 【請求項10】 合成樹脂100重量部に対する金属石
けんの配合量が10〜40重量部であり、かつ油性物質
の配合量が20〜160重量部である請求項7ないし9
のいずれか一つに記載の転がり軸受の製造方法。 - 【請求項11】 合成樹脂粉末100重量部当りナイロ
ン粉末80重量部以下、フェノール樹脂成形材料80重
量部以下、金属粉末200重量部以下および繊維類10
重量部以下を含浸してなる請求項10に記載の転がり軸
受の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP32347292A JP3320468B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 転がり軸受およびその製造方法 |
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JP32347292A JP3320468B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 転がり軸受およびその製造方法 |
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JPH06173961A JPH06173961A (ja) | 1994-06-21 |
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Family Applications (1)
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JP32347292A Expired - Fee Related JP3320468B2 (ja) | 1992-12-02 | 1992-12-02 | 転がり軸受およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3320468B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008144034A (ja) * | 2006-12-11 | 2008-06-26 | Ntn Corp | 潤滑システム |
EP2119762A4 (en) * | 2007-02-27 | 2011-10-26 | Ntn Toyo Bearing Co Ltd | LUBRICATION SYSTEM AND UNIVERSAL JOINTS WITH THE SYSTEM |
-
1992
- 1992-12-02 JP JP32347292A patent/JP3320468B2/ja not_active Expired - Fee Related
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