JP2008196587A - 摺動部材および摺動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間に渡って静粛性、低振動性を満たすとともに、低摩擦係数で安定した摺動特性を有する摺動部材、および、これを用いた摺動装置を提供する。
【解決手段】軸2と摺動する焼結金属多孔体5と、該焼結金属多孔体5に隣接する部位に配設された潤滑剤供給材6とを備え、軸2の外周面(摺動面)3に摺動案内される摺動部材4であって、上記潤滑剤供給材6は、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を焼成してなり、上記潤滑剤が上記樹脂の焼結体中に含浸されてなり、上記潤滑剤の配合割合は、上記樹脂 100 重量部に対し、10〜150 重量部であり、樹脂は熱可塑性エラストマーであり、特に熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたは、熱可塑性ポリエステルエラストマーであり、1辺が 0.01〜1 mm の樹脂ペレットであり、またそのアスペクト比が 2〜50 であり、摺動装置はこの摺動部材4を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリンターや光学式または光磁気式の電子画像記憶・読み取り装置等に装着されたキャリッジ、その他の電子機器の精密摺動部品等の摺動装置、および、該摺動装置に利用されるすべり軸受等の摺動部材に関する。
コンピュータの入出力手段であるプリンターや光学式または光磁気式の画像記憶・読み取り装置(スキャナ)では、電子画像記憶・読み取り装置の光センサーおよび光源が装着された走査部品や印刷用ヘッドを滑らかに移動させ、かつ精度よく位置決めする必要がある。これらの装置において上記走査部品や印刷用ヘッド等を軌道に沿って滑らかに移動させるのに使用される精密摺動部品(摺動装置)は、キャリッジと呼ばれており、上記精密な位置決めやスムーズな動作を行なうため、非常に高い寸法精度や、常温環境で安定した摺動特性等が要求されている。
例えば、プリンターに装備されるキャリッジは1本または複数本の軸に案内されて直線運動を行なうものであるが、このキャリッジの直線運動を案内するため、キャリッジには上記軸の外周面と摺動する軸受(摺動部材)が装備されている。ここで用いられる精密摺動部材としては、変性ポリフェニレンエーテル樹脂に、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等の固体潤滑剤を配合して得られるもの(特許文献1参照)や金属粉に熱硬化性樹脂を添加して焼結したもの(特許文献2参照)が報告されている。
しかしながら、PTFE樹脂の配合など固体潤滑剤による低摩擦化では十分に低く安定した摩擦係数を得ることが難しいという問題がある。この対策として、通常は摺動面に潤滑油やグリースを塗布して所要の摺動特性を付与しているが、潤滑剤が不足するとスムーズな動きが得られず、プリンターであれば印刷画像品位が低下するという問題がある。一方、グリース塗布を不要にしたキャリッジとしてすべり部に含油焼結軸受を用いたものがある。しかしこの場合では、該軸受と金属製軸との金属接触により、摺動音が発生し易く、静粛な事務所や家庭で使用すると騒音源になるという問題があり、長期間にわたる使用では摩耗の一因となることがある。
特開2001−158855号公報 特開2002−129207号公報
本発明は、このような問題点に対処するためになされたものであり、長期間に渡って静粛性、低振動性を満たすとともに、低摩擦係数で安定した摺動特性を有する摺動部材、および、これを用いた摺動装置を提供することを目的とする。
本発明の摺動部材は、軸と摺動する焼結金属多孔体と、該焼結金属多孔体に隣接する部位に配設された潤滑剤供給材とを備え、上記軸の外周面に摺動案内される摺動部材であって、上記潤滑剤供給材は、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を焼成してなり、上記潤滑剤が上記樹脂の焼結体中に含浸されてなり、上記潤滑剤の配合割合は、上記樹脂 100 重量部に対し、10 重量部〜150 重量部であることを特徴とする。
上記樹脂は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする。
また、上記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、または、熱可塑性ポリエステルエラストマーであることを特徴とする。
また、上記樹脂は1辺が 0.01 mm〜1 mm の樹脂ペレットであることを特徴とする。
また、上記樹脂ペレットは、そのアスペクト比が 2〜50 であることを特徴とする。
本発明の摺動装置は、軸の外周面に摺動案内される摺動部材を備えてなり、上記軸の軸方向に直線移動する摺動装置であって、上記摺動部材は、上記本発明の摺動部材であることを特徴とする。
また、上記摺動装置は、電子画像の走査部品、または、印刷用ヘッドのキャリッジであることを特徴とする。
本発明の摺動部材に用いる潤滑剤供給材は、潤滑剤が樹脂の焼結体中に含浸されて成形されているので潤滑剤保持力に優れる。
また、樹脂自身に含浸された潤滑剤と気孔内(粉体ペレット間の空孔)に存在する潤滑剤という染み出し速度の異なる潤滑剤保持機構で形成されるため、摺動部に対し潤滑剤を比較的多量に必要とする潤滑初期には十分な潤滑剤が供給され、その後は潤滑剤を適当な速度で徐放し、摺動部に対し長時間に渡って潤滑剤を供給することができる。
この潤滑剤供給材は、樹脂が熱可塑性エラストマーであり、焼結した粉体状の樹脂内部や樹脂ペレット間隙に潤滑剤を含浸するので、潤滑剤保持力に優れ、外力による変形を受けても破壊することなく、かつ確実に摺動部に潤滑剤を供給することができる。
これらの結果、この潤滑剤供給材を用いた摺動部材は、高温・高速下でも優れた潤滑性および耐久性を有し、長期間に渡って静粛性、低振動性を満たすとともに、低摩擦係数で安定した摺動特性を有する。
また、潤滑剤を必要とする場所にのみ潤滑剤を配置することができるので、潤滑剤の軽量化にも寄与することができる。
本発明の摺動装置は、上記摺動部材を備えてなるので、長期間に渡って摺動部の潤滑を良好な状態に保つことができ、異常摩耗や騒音・振動を防止でき、長寿命である。
潤滑剤保持力に優れ、潤滑剤染み出し量を必要最小限に抑制できる潤滑剤供給材について鋭意検討の結果、潤滑剤と、粉体状樹脂との混合物を焼成した潤滑剤供給材を用いた摺動部材を得た。
この摺動部材を構成する潤滑剤供給材は、樹脂粉体同士の一部が溶融・固着して多孔質化された焼結体であり、かつ潤滑剤を樹脂粉体内部や樹脂ペレット間隙に含浸してなる潤滑剤供給材である。なお、本発明において潤滑剤を樹脂粉体内部や樹脂ペレット間隙に含浸してなるとは、潤滑剤が化合物とならないで、樹脂粉体内部や樹脂ペレット間隙に含まれることをいう。
この潤滑剤供給材は潤滑剤保持力に優れ、樹脂自身に含浸された潤滑剤と気孔内(粉体ペレット間の空孔)に存在する潤滑剤の染み出し速度の異なる潤滑剤保持機構を有し、摺動部材の回転等の外力による変形を受けても潤滑剤染み出し量を必要最小限に抑制できることがわかった。また、焼結体への潤滑剤の後含浸工程が不要であり、特に混合物をすべり軸受等の摺動部材に充填した後に焼成することで、混合物から焼結体を得るための金型等も不要であり、生産効率が向上し、安価に製造できる。
本発明は以上のような知見に基づくものである。
本発明の摺動部材に用いる潤滑剤供給材は、樹脂内や焼結した樹脂ペレット間隙に潤滑剤を含浸させるので、樹脂自身に含浸された潤滑剤と気孔内(粉体ペレット間の空孔)に存在する潤滑剤の染み出し速度の異なる潤滑剤保持機構を有し、潤滑剤を比較的多量に必要とする潤滑初期には十分な潤滑剤が供給され、その後は潤滑剤を必要最小限の速度で徐放することで、潤滑剤の染み出し量が最適化される。また、樹脂の柔軟性により、例えば圧縮、膨張、屈曲、ねじりなどの外力による変形により潤滑剤を染み出させて外部に徐放できる。この際、染み出す潤滑剤量は、外力の大きさに応じて弾性変形する程度を樹脂の選択や焼結した樹脂ペレット間隙の大きさなどによって変えることにより、必要最小限にすることができる。
また、本発明において樹脂は、粉体状ペレット同士の一部が溶融・固着し多孔質化しているので表面積が大きくなっており、染み出した余剰の潤滑剤を再び樹脂ペレット間隙に一時的に保持することもできて染み出す潤滑剤は安定しており、また樹脂内に潤滑剤を含浸させるとともに焼結した樹脂ペレット間隙に含浸させることによって非多孔質の状態より潤滑剤の保持量も多くなる。
その上、本発明における潤滑剤供給材は、非多孔質体と比較して屈曲時に必要なエネルギーが非常に小さく、潤滑剤を高密度に保持しながら柔軟な変形が可能である。また、多孔質な部分を多く持つため、軽量化の点でも有利である。
また、粉体状の樹脂と潤滑剤とを混合して所定の温度で焼成するだけであるので、特別な設備も不要であり、任意の場所に充填することが可能である。
また、焼成温度をコントロールすることにより多孔質の密度を変化させることができる。
本発明の摺動部材および摺動装置の一例を図1および図2に基づいて説明する。図1はプリンターの駆動部を示す斜視図であり、図2(a)および図2(b)は摺動部材(すべり軸受)を示す断面図である。
図1に示すようにプリンターの駆動部は、軸2と、摺動部材であるすべり軸受4と、すべり軸受4によって軸支され、軸2上を直線移動するキャリッジ1とを備えてなる。このキャリッジ1が本発明における摺動装置である。
図2(a)および図2(b)に示すように、摺動部材であるすべり軸受4は、軸2と摺動する焼結金属多孔体5と、該焼結金属多孔体5に隣接する部位に配設された潤滑剤供給材6とを備え、摺動面3(軸2の外周面)で摺動案内される。
焼結金属多孔体5としては、Fe系焼結金属、Cu系焼結金属、Fe−Cu系焼結金属等が挙げられ、成分としてC、Zn、Sn等を含んでもよい。また、成形性や離型性を向上させるためバインダーを少量添加してもよい。さらに、アルミニウム系でCu、Mg、Si等を配合した材料や金属−合成樹脂で鉄粉をエポキシ系の合成樹脂で結合させた材料でもよい。さらにまた、潤滑剤供給材6との密着性を向上させるため、成形を阻害しない程度であれば表面処理を行なうことも可能である。
潤滑剤供給材6は、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を焼成してなり、上記潤滑剤が上記樹脂の焼結体中に含浸されてなる。潤滑剤供給材6から染み出した潤滑剤は、遠心力などの外力や毛細管現象により焼結金属多孔体5の気孔部を介して摺動面3に徐放される。この結果、摺動面3を常に適度な潤滑状態に長期間に渡って保つことができる。
潤滑剤供給材6は、焼結金属多孔体5に連接して焼結金属多孔体5を介して摺動面3に潤滑剤の供給を行なう形状であれば、焼結金属多孔体5の任意の位置に取り付けることができる。取り付け位置としては、例えば図2(a)、図2(b)に示すように焼結金属多孔体5の外周面の任意箇所等を例示できる。
本発明において潤滑剤供給材を得るために用いる樹脂は、熱可塑性エラストマーであることが望ましい。熱可塑性エラストマーであれば、構造体としての強度を保ちながら柔軟性を付与できるので、圧縮や屈曲などの外部応力が高い頻度で繰り返し加わる部位に使用すると、圧縮や屈曲に追従して変形しやすくなる。本発明に用いることができるエラストマーとしては、ポリオレフィン系(TPO)(例えば、三井化学社製ミラストマー)、ポリスチレン系(TPS)(例えば、三菱化学社製ラバロン)、ポリ塩化ビニル系(TPCV)(例えば、アプコ社製サンプレーン)、ポリエステル系(TPEE)(例えば、東レデュポン社製ハイトレル)、ポリウレタン系(TPU)(例えば、BASF社製エラストラン)、ポリアミド系(TPEA)(例えば、アルケマ社製ペバックス) 等を挙げることができる。これらの中で柔軟性と強度のバランスのとれた熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いることが好ましい。
本発明に用いる樹脂は1辺が 0.01 mm〜1 mm の樹脂ペレットであることが好ましい。ここで樹脂ペレットは球状体もしくは短繊維状であり、この球状体もしくは短繊維状を平面視したときその最長径もしくは最長長さの平均長さを1辺とする。1辺が 1 mm より大きい樹脂ペレットの場合は多孔質の空間体積が小さくなり、保持できる潤滑剤が減少する。また、樹脂ペレット同士の接着点も減少するために、強度的に不利である。
また、1辺が 0.01 mm 未満の樹脂ペレットでは、ペレット同士が密着し過ぎて多孔質化の割合が小さくなり保油力が低下する。さらに、製造コストが高くなる。
本発明に用いる樹脂ペレットはアスペクト比が 2〜50 の樹脂ペレットであることが好ましい。ここでアスペクト比は球状体もしくは短繊維状の樹脂ペレットを平面視したときの最長径もしくは最長長さの平均長さを最小径もしくは最短長さの平均長さで除した数値とする。アスペクト比が 2 より小さいと、多孔質の空間体積が小さくなり、保持できる潤滑剤が減少する。また、樹脂ペレット同士の接着点も減少するために、強度的に不利である。
また、アスペクト比が 50 をこえる樹脂ペレットは、粗になり過ぎるので、多孔質体となった時の保油力が低下する。さらに、製造コストが高くなる。
本発明において潤滑剤供給材を得るために用いる潤滑剤としては、多孔質体を形成する樹脂を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができるが、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独もしくは混合して用いてもよい。
本発明に使用する潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等の普通に使用されている潤滑油またはそれらの混合油が挙げられる。
本発明に使用できるグリースは基油に増ちょう剤を加えたものであり、基油としては上述の潤滑油を挙げることができ、増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えばジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、へキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、へキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
本発明に使用するワックスとしては炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを用いることができる。これらのワックスに油を混合してもよく、使用する油成分としては上述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
本発明に用いる潤滑剤の配合量は、樹脂 100 重量部に対し、潤滑剤は 10〜150 重量部である。好ましくは、15〜120 重量部である。潤滑剤が 10 重量部より少ないと染み出さず、潤滑剤として機能しない。潤滑剤が 150 重量部より多いと、樹脂ペレットが潤滑剤に囲まれて、樹脂ペレット間での融着が不十分となり、焼結体として成立しない。
潤滑剤には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を混合する方法は、特に限定されることなく、例えばヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ジューサーミキサー等、一般に用いられる撹拌機を使用することができる。
また焼成温度は、樹脂の融点〜融点 +30℃の範囲で選択することが望ましい。樹脂の融点より低いと樹脂ペレットが溶融せず焼結体にならないし、樹脂の融点より高いと必要以上に溶融してしまい多孔質体になりにくい。また、ペレットの融点なき場合には、固形潤滑剤の焼成温度は軟化開始温度 +10℃〜軟化開始温度 +50℃の範囲で選択することが望ましい。
本発明において潤滑剤供給材を成形する方法としては、一般に樹脂成形に用いられる方法を含めて特に制限なく採用できる。例えば、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を成形金型内に流し込んだ後、焼成させる方法、また常圧で焼成した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工する方法等を挙げることができる。
これらの方法の中で裁断や研削等の後加工の必要がなく、樹脂の焼成と潤滑剤の含浸とが一度に実施可能な成形金型内に流し込んで焼成させる方法を採用することが好ましい。
また、特に好ましい方法としては潤滑剤供給材を組み込む摺動部材の所定の部位を加工する等により、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を充填できるスペースを確保して、上述の成形用金型を使用せずに、直接摺動部材の所定の部位にこの混合物を充填し、焼成する方法がある。この方法は上記成形金型内で焼成する方法に比べて潤滑剤供給材を摺動部材へ組み付ける手間が省けるという利点がある。
本発明において、摺動部材の有する潤滑剤供給材中に含浸された状態で含まれる潤滑剤は、外力による潤滑剤供給材の変形によっても急激に染み出すことがなく、潤滑剤を効率よく軸摺動面に染み出させて用いることができる。
実施例1〜実施例3
表1に示す組成で、樹脂ペレットと潤滑剤とを混合して混合物を得た。次にφ6 mm×φ12 mm×10 mm の焼結金属製円筒(気孔率 30 体積%、Cu−Sn系)に潤滑油(ISO規格VG68)を真空含浸させた後、この焼結金属製円筒の外周面に、幅 5 mm×深さ 3 mm の加工を施して溝を作製した。作製した溝に上記混合物を充填し、180℃で30 分間焼成して、図2(a)のような摺動部材であるすべり軸受の試験片を得た。得られた試験片について、以下に示す摩擦摩耗特性試験を行ない、(a)試験終了時の動摩擦係数、(b)摩耗による直径の変化、(c)摺動音の有無の測定を行なった。測定結果を表1に併記する。
<摩擦摩耗特性試験>
図3に示す試験形態において、荷重をすべり軸受4にかけた状態で、下記速度およびストロークで図中に示す水平矢印方向に摺動させた。なお軸2と焼結金属多孔体5との隙間は、10〜14μm (25℃で測定)とした。該試験により、(a)試験終了時の動摩擦係数、(b)摩耗による直径の変化、(c)摺動音の有無の測定を行なった。試験条件は以下のとおりである。
相手材:軸(φ6 mm、SUS420J2、Ra=0.2μm )
荷重:0.98 N
速度:12 m/分
温度:25℃
ストローク:200 mm
比較例1
φ6 mm×φ12 mm×10 mm の焼結金属製円筒(気孔率 30 体積%、Cu−Sn系)に、潤滑油(ISO規格VG68)を真空含浸して摺動部材であるすべり軸受の試験片とした。
得られた試験片について、実施例1と同様の測定を行なった。測定結果を表1に併記する。
Figure 2008196587
表1に示すように、実施例1〜実施例3では長期間の試験においても潤滑剤量が十分であったため、摺動音がなく、摩耗による直径変化が少なかったのに対し、比較例1では長期間の試験では摩擦係数が上昇し、摩耗の進行が見られ、また、摺動音も確認された。以上のことから潤滑剤供給材によって摺動部材の長寿命化が達成されたといえる。
本発明の摺動部材は、長期間に渡って静粛性、低振動性を満たすとともに、低摩擦係数で安定した摺動特性を有するため、電子画像の走査部品や精密摺動部品の摺動部に好適に用いることができる。特に、精密な位置決めやスムーズな動作を要求されるキャリッジ用のすべり軸受等として好適に用いることができる。
プリンターの駆動部を示す斜視図である。 摺動部材を示す断面図である。 摩擦摩耗特性試験の試験形態を示す断面図である。
符号の説明
1 キャリッジ
2 軸
3 摺動面
4 摺動部材(すべり軸受)
5 焼結金属多孔体
6 潤滑剤供給材

Claims (7)

  1. 軸と摺動する焼結金属多孔体と、該焼結金属多孔体に隣接する部位に配設された潤滑剤供給材とを備え、前記軸の外周面に摺動案内される摺動部材であって、
    前記潤滑剤供給材は、樹脂と潤滑剤とを少なくとも含む混合物を焼成してなり、前記潤滑剤が前記樹脂の焼結体中に含浸されてなり、前記潤滑剤の配合割合は、前記樹脂 100 重量部に対し、10〜150 重量部であることを特徴とする摺動部材。
  2. 前記樹脂は、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
  3. 前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、または、熱可塑性ポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項2記載の摺動部材。
  4. 前記樹脂は1辺が 0.01 mm〜1 mm の樹脂ペレットであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の摺動部材。
  5. 前記樹脂ペレットは、そのアスペクト比が 2〜50 であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の摺動部材。
  6. 軸の外周面に摺動案内される摺動部材を備えてなり、前記軸の軸方向に直線移動する摺動装置であって、
    前記摺動部材は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の摺動部材であることを特徴とする摺動装置。
  7. 前記摺動装置は、電子画像の走査部品、または、印刷用ヘッドのキャリッジであることを特徴とする請求項6記載の摺動装置。
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