JP2856734B2 - 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents
高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔発明の目的〕
(産業上の利用分野)
本発明は、緻密で高熱伝導性を有する窒化アルミニウ
ム単相からなる窒化アルミニウム焼結体に関する。 (従来の技術) 窒化アルミニウム(AlN)は高温まで強度低下が少な
く、化学的耐性にも優れているため、耐熱材料として用
いられる一方、その高熱伝導性、高電気絶縁性を利用し
て半導体装置の放熱板材料、回路基板用絶縁体材料とし
ても有望視されている。こうした窒化アルミニウムは常
圧下で融点を持たず、2500℃以上の高温で分解するた
め、薄捲などの用途を除いては焼結体として用いられ
る。 かかる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム
粉末を成形、焼結して得られる。超微粉(0.3μm以下
程度)のAlN粉末を用いた場合には単独でもほぼ緻密な
焼結体が得られるが、原料粉末表面の酸化層中の酸素が
焼結時にAlN格子中に固溶したり、Al−O−N化合物を
生成し、その結果無添加焼結体の熱伝導率はたかだか10
0W/m・K程度である。また粒径0.5μm以上のAlN粉末を
用いた場合は焼結性が良好でないために、ホットプレス
法による以外には無添加では緻密な焼結体を得ることは
困難である。そこで常圧で焼結体を得ようとする場合、
焼結体の緻密化およびAlN原料粉末の不純物酸素のAlN粒
内への固溶を防止するために、焼結助剤として希土類酸
化物、アルカリ土類金属酸化物等を添加することが一般
に行なわれている(特開昭60−127267号公報、特開昭61
−10071号公報、特開昭60−71575号公報等)。これらの
焼結助剤はAlN原料粉末の不純物酸素と反応し液相を生
成し焼結体の緻密化を達成すると共に、この不純物酸素
を粒界相として固定(酸素トラップ)し、高熱伝導率化
をも達成すると考えられている。 このように焼結助剤を添加することにより確かに焼結
体は緻密化、高熱伝導率化するが、他方で、結果的に残
存する粒界相(主相であるAlN相に対し副相)の存在、
完全にトラップしきれなかった酸素等の存在等により、
窒化アルミニウム焼結体のそれは高々190W/m・K程度
と、AlNの論理熱伝導率320W/m・Kに対し、かなり低い
ものであった。 そのため、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上
を目的として種々の試みがなされているが、未だ十分満
足すべきものは得られていない。 (発明が解決しようとする問題点) 現在半導体搭載用の回路基板、放熱基板等ではより高
い熱伝導率を有する材料が望まれている。しかしながら
酸素その他の不純物特に、助剤添加の結果として粒界に
生成する粒界相の存在により、窒化アルミニウム焼結体
の高熱伝導率化には限界があった。 本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、熱伝
導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を提供することを
目的とする。 〔発明の構成〕 (問題点を解決するための手段及び作用) 本発明者等は上記目的を達成すべく窒化アルミニウム
粉末に添加する焼結助剤や焼結条件、焼結体組成、焼結
体微細構造等と熱伝導率の関係について実験・検討を進
めた結果、以下に示す新規事項を発見し、本発明を完成
するに至った。 すなわち、焼結助剤としてイットリウム化合物をAlN
粉末に添加し、窒素を含む還元性雰囲気中で長時間焼成
したところ、粒界相(Y−Al−O系化合物相等)の存在
量が従来の窒化アルミニウム焼結体に比べて減少すると
いうことがかった。そして十分長時間焼結すると実質的
に副相がなくAlN単相からなり、多結晶体としては非常
に高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体が得ら
れるという事実をみいだした。この効果は他の希土類元
素でも同様に認められた。 この事実に基づいて高熱伝導率化を達成する最適条件
を種々検討した結果が本発明であり、そして本発明を得
るための方法は a) 不純物酸素量が3重量%以下であり、平均粒径が
0.05〜3.3μmである窒化アルミニウム粉末と、希土類
元素の重量換算で0.01〜15重量%の希土類元素化合物と
混合したのち成形した成形体、また、希土類元素含有量
が0.01〜15重量%で、酸素含有量が0.01〜3重量%あ
り、AlNを主相とし(希土類元素)−Al−O化合物相お
よび/または(希土類元素)−O化合物相を含む焼結体
を、 b) 還元性雰囲気中で c) 1550〜2050℃で、4時間以上、雰囲気圧下(真空
を含む減圧、加圧および常圧を含む)で焼成する。 この様な方法で得られた窒化アルミニウム焼結体は多
結晶体として非常に高い230W/m・K超えた熱伝導率を有
し、この焼結体をX線回折および電子顕微鏡を用いて構
成相を観察してAlN結晶粒のみ認められ、他の相は観察
されない。また成分分析を行なったところAl,Nが主成分
で、希土類元素0.01〜3000ppm(ほとんど数百ppmで、60
0ppm未満)、不純物酸素800ppm未満でVII a族、VIII族
元素の不純物陽イオン元素は600ppm以下であって、そし
てAlN結晶粒径が10〜26μm、気孔率が1%以下である
新規な窒化アルミニウム焼結体であった。熱伝導率向上
の観点から表に示すように希土類元素は0.01〜1000pp
m、不純物酸素は400〜600ppm程度が好ましい。実用上の
観点からは希土類元素が数百ppmが好ましい。の希土類
元素は結晶粒界では観察されないことから、AlN結晶粒
に固溶しているものと考えられる。酸素元素も同様であ
る。なお本発明焼結体においては不純物酸素量は極力少
ないことが望ましく、また原料粉に起因する不純物陽イ
オンも熱伝導率低下の原因となるため極力少ないことが
望まれる。 また、AlN焼結体の熱伝導率を支配する要因として、
以下のものがある。 AlN格子中に酸素不純物がどの程度の量入っているか
どうか、 AlN焼結体中に気孔が存在するかどうか、 陽イオン不純物(遷移金属不純物)がどの程度の量存
在するかどうか、 粒界が単位長さあたりどの程度存在するか(粒径がど
の程度か)、 希土類元素をどの程度の量含むかどうか、 AlNに結晶の不完全性がどの程度存在するか。 これらの要因が総合的に作用し、AlN焼結体の熱伝導
率が決まってくる。この熱伝導率をレーザーフラッシュ
法で測定することになる。ここで、各要因が単独でいく
ら熱伝導率を低下させているかどうかは定量的になかな
か決定しづらい点があるが、傾向とある程度の数値的予
測は可能なので以下に示した。 酸素含量とAlN焼結体の熱伝導率の関係 単結晶AlNの熱抵抗(熱伝導率の逆数)K-1と酸素含有
量の間には比例の関係があり、酸素量を零に外挿すると
AlNの熱伝導率は320W/m・Kになる。 Δn/n0は酸素の原子濃度(atm/cm3)、Cは定数で0.4
3と実験的に求められた。 多結晶体である、焼結体においても、AlN粒は単結晶
であり、同様のことがいえる。 酸素がAlN格子に固溶して含有されると 3(1−x)AlN+xAl2O3→Al3-x□x(N1-xOx)3 のように格子に変化が起こりAlサイトに点欠陥が生じ
る。 AlNセラミックスでは格子欠陥、転位、粒界、不純物
などによりフォノンが散乱され、その中でも酸素が窒素
と置換固溶し熱伝導率が大きく低下する。 AlN焼結体の気孔率、密度、熱伝導率の関係 完全に緻密化した時の焼結体の密度が理論密度
(DTh)である。気孔率(P)は、 である。 純度100%のAlN焼結体の密度が3.261g/cm3であるか
ら、気孔率が1%である時のAlN焼結体の密度は3.228g/
cm3となる。 従って、気孔率1%以下の純度100%の焼結体の である。 AlN焼結体において、気孔のような低い熱伝導率の相
がランダムに連続的につながった固体相の中に分散して
いる時には、その焼結体の熱伝導率(K)は、 という非常に簡単な式ではあるが、非常に良好な近似式
で表わすことができる。 ここで、気孔率が1%以下のなのでPは 0≦P≦0.01 の範囲で表される体積分率の気孔率である。 AlNが非常に高純度で熱伝導率が高くても、気孔が多
く存在すれば焼結体全体としの熱伝導率は小さな値とな
っていく。 周期律表のVII a、VIII族の元素量とAlN焼結体の熱伝
導率と透光性の関係 高純度のAlN粉末に周期律表のVII a VIII族の元素を
少量添加した後、焼結するとAlN焼結体の熱伝導率は少
量の添加によって急激に低下すると同時に透光性も低下
する。この低下は、周期律表のVII a VIII族の元素がAl
N結晶中に固溶したために起るフォノンの散乱によると
考えられる。但し、希土類元素を除くVII aおよびVIII
族不純物元素量が600ppm以下の時に良好な熱伝導率と透
光性を有する。 粒径とAlN焼結体の熱伝導率の関係 AlN焼結体中では、熱はフォノンによって伝えられ
る。このフォノンの平均自由行程は室温域では約0.1μ
m程度であると考えられている。フォノンの散乱は、Al
N焼結体中の格子欠陥、転位、粒界、不純物などにより
引き起こされる。粒径が0.1μm以下の場合には粒界で
散乱される比率が非常に高くなり、単結晶のような粒界
のない構造では焼結体に対して熱伝導率が高くなる。 しかし、多結晶体である限り、粒界が存在すると粒界
でのフォノンの散乱は存在し、粒径は大きくなるにした
がってその散乱は起こりにくくなる。従って、寄与率は
小さくなるが、粒径が大きい方が高い熱伝導率が得られ
ることになる。 (希土類元素)−Al−O系の粒界相とAlN焼結体の熱
伝導率の関係 (希土類元素)−Al−O系の粒界相がAlN焼結体中に
孤立した形で球状に分散している時のAlN焼結体の伝導
パターンは、2次元の平板の伝導に近似できる。この平
板の場合には、 である。 ここで、v1はAlNの体積分率、v2は粒界相である(希
土類元素)−Al−O化合物の体積分率である。従って、
気孔率0%の時にはv1+v2=1である。また、K1はAlN
部分の熱伝導率、K2は粒界相の熱伝導率である。 ただし、今回の内容は実質的にAlN単相である焼結体
に関するものである。実質的とは、明細書中にも記載が
あるように、SEMによる観察で粒界相が確認できないと
同時に、X線回折を用いてもAlN以外の相が確認出来な
いことを意味する。 しかし、化学分析を行うと、希土類元素は微量である
が、存在が確認される。この希土類元素がどの位置に存
在するかは不明な点であるが、粒界相としてより微視的
に存在しても、AlN格子中に存在しても結果的にはAlN焼
結体の熱伝導率を低下させる方向に作用することにな
る。 AlN中に存在する結晶の不完全性 AlN結晶格子中に存在する不完全な結晶部分によりAlN
の熱伝導率は低下する。不完全な結晶部分とは転位を意
味する。 熱伝導率が230W/m・Kを超える焼結体は、上記記載事
項の累積効果によって得られるものである。熱伝導率が
320W/m・Kを有する完全結晶であり、酸素量が0ppmであ
り、陽イオン不純物も全く含まない巨大AlN粒で構成さ
れた焼結体で、気孔率が1%であるものは316W/m・K程
度であろう。また、気孔率が0%であり、陽イオン不純
物が全くないけれど酸素量が3000ppmである焼結体は熱
伝導率が160W/m・K程度と推測できる。 従って、特許求の範囲第1項の各内容を総合的に満足
してはじて熱伝導率が230W/m・K以上のAlN焼結体とな
る。本発明のAlN焼結体の密度は3.255〜3.285が好まし
い。より好ましくは3.259〜3.264g/cm3である。 ついで、本発明の高熱伝導率化アルミニウム焼結体を
得るための製造方法について述べる。 主成分である窒化アルミニウム原料粉末としては、焼
結性、熱伝導性を考慮して酸素を3重量%以下の1.7〜
0.4重量%が望ましく、平均粒径が0.05〜3.3μmのもの
を使用する。 添加物としては希土類元素化合物(Y,Sc,Ce,Dyが好ま
しく、特にイットリウム化合物が好ましい)を用いる。
希土類元素を化合物としては、酸化物、窒化物、酸窒化
物、もしくは焼成によりこれらの化合物となる物質が最
適である。焼成によって例えば酸化物となる物質として
は、これら元素の炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化
物などをあげることができる。 希土類元素化合物の添加は、希土類元素の重量換算で
0.01〜15重量%の範囲で添加する。この添加量が、0.01
重量%未満であると、添加物の効果が十分に発揮され
ず、焼結体が緻密化されなかったり、AlN結晶中に酸素
が固溶し高熱伝導な焼結体が得られない。また、添加量
が過度に多いと、粒界相が焼結体中に残ったり、熱処理
により除去される粒界相の体積が大きいため、焼結体中
に空孔が残ったりして、収縮率が非常に大きくなり、形
状がくずれる等の不利な点が生ずる。好ましくは、0.1
〜3重量%であり、より好ましくは0.5〜2重量%であ
る。 本発明の窒化アルミニウムを得る方法においてはこの
様なAlN粉と希土類元素化合物の混合された成形体を後
述の条件で焼結しても良いし、また、AlNを主相とし
(希土類元素)−Al−O化合物相および/または(希土
類元素)−O化合物相から成る焼結体を製造し、上記成
形体の代りに用いてもよい。 焼成雰囲気に関しては還元雰囲気、特に窒素ガスを含
む還元性雰囲気中で行なう。還元性雰囲気は、CO、H2ガ
スおよびC(ガスそして固相)などを一種または二種以
上存在させることによって作ることができる。 焼成容器に関しては、窒化アルミニウム、アルミナ、
Mo製等でも可能である(特開昭61−146769号等)。しか
し、これらの容器を用いたものでは、焼結体中に(希土
類元素)−Al−O化合物相などが存在したままの状態と
なり、高熱伝導性は得られない。本発明では、焼成中に
カーボンガス雰囲気をつくり出す容器を用いることが好
ましい。この様な焼成容器としては容器全体がカーボン
製の物、容器全体がカーボン製で試料を設置する箇所に
AlN板、BN板、W板等を敷いたもの、窒化アルミニウム
製の容器で上部蓋がカーボン製の物等を用いることがで
きる。本発明でいうカーボンガス雰囲気とは、1550〜20
50℃の焼結温度範囲で蒸気圧が1×10-6〜5×10-2Pa程
度生成するガスをさす。このカーボンガスが、焼結中の
AlNを還元するという作用が得られ、さらに具体的には
(希土類元素)−Al−O三元系化合物等の粒界相を焼結
体中より除去する作用が働らき、窒化アルミニウム焼結
体はAlN単相となり、高熱伝導性の焼結体に変化してい
く。 この容器の内容積は、その内容積と窒化アルミニウム
成形体との体積の比(内容積/成形体の体積)が1.1×1
00〜1×107が良い。これ以上大きな容積を用いた場
合、試料近傍におけるカーボン蒸気圧が低く、カーボン
による粒界相除去効果が小さくなる。この容積比は5×
100〜1×105が好ましい。 焼結時間については、従来種々の助剤を用い1〜3時
間の単時間で行なわれているが、この程度の時間では、
上記焼成容器中で焼成したとしても、窒化アルミニウム
焼結体の緻密化、そして原料粉末表面の酸素を粒界相に
固定することは可能であるが、AlN粒間の陵および三重
点に粒界相が存在し、AlN単相の焼結体は得られない。
また前述の如くのカーボンガス雰囲気が得られない場
合、長時間の焼成によっても粒界相の除去の効果は現わ
れない。AlN単相にするためには焼結温度および助剤添
加量にもよるが、4時間以上が必要である。より好まし
くは6時間以上で、さらに好ましくは12時間以上であ
る。 焼成温度については、1550〜2050℃程度であるが1700
〜2050℃が好ましい。低温で焼成すると、原料粉末の粒
径、酸素量にもよるが緻密な焼結体が得にくく、またカ
ーボンガスの発生が少なくなり、粒界相を残したままと
なる。また2050℃より高温で焼成すると、AlN自体の蒸
気圧が高くなり、緻密化が困難になると共に、アルミニ
ウムとカーボンとの反応によりアルミニウムの炭化物
(Al4C3)を生じる可能性があり、また(希土類元素)
−O化合物が還元窒化され窒化物と推定される相が生じ
る。焼成温度はより好ましくは1800〜2000℃であるさら
には1800〜1950℃が好ましい。 酸化性雰囲気で焼成するとカーボンの粒界純化効果が
作用しないばかりでなく、酸素の固溶、異相生成により
高熱伝導性は得られない。なお焼結は真空(わずかな還
元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を含む雰囲気
下で行なう。 次いで本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法の
一例を以下に述べる。 まず、AlN粉末に焼結添加物として希土類元素化合物
を所定量添加したのちボールミル等を用いて混合する。
焼結には常圧焼結法を使用する。この場合、混合粉末に
バインダーを加え、混練、造粒、整粒を行なったのち成
形する。成形法としては、金型プレス、静水圧プレス或
いはシート成形などが適用できる。続いて、成形体を非
酸化性雰囲気中、例えば窒素ガス気流中で加熱してバイ
ンダーを除去したのち常圧焼結する。この時用いる焼成
容器は、焼成中カーボンガス雰囲気をつくり出す。例え
ばカーボン製容器で、容器内容積と成形体積の比が、1.
1×100〜1×107のものを用いる。焼結温度は1550〜205
0℃に、焼結時間は4時間以上に設定する。この様な方
法により本発明焼結体を得ることができる。 次に本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導性の向
上効果および(希土類元素)−Al−O系化合物相等の粒
界の除去による窒化アルミニウム焼結体の純化作用につ
いて説明する。厳密なメカニズムは現在のところ完全に
解明されているわけではないが、本発明者らの研究によ
れば高熱伝導率化の要因として次のように推定される。 まず、希土類元素添加によるAlN原料粉末の不純物濃
度のトラップ効果である。すなわち、希土類元素化合物
を焼結助剤として添加することにより、不純物酸素を
(希土類元素)−Al−O化合物相等の形で、AlN粒界の
陵および三重点に固定するため、AlN格子中への酸素の
固溶が防止され、AlNの酸窒化物(AlON)、そしてAlNの
ポリタイプ(27R型)の生成を防止する。発明者らの研
究結果によれば、AlONそして27R型が生成した焼結体
は、いずれも熱伝導率が低いことがわかっている。この
様な低熱伝導率化の原因を抑制することが高熱伝導率化
の一因として挙げられる。 希土類元素としてYを選んだ場合は原料粉末の不純物
酸素が、3Y2O3・5Al2O3、Y2O3・Al2O3、2Y2O3・Al2O3、
Y2O3などの化合物としてトラップされる。この状態は、
焼結初期、すなわち、焼結時間3時間以内で起こり、熱
伝導率が最高190W/m・K程度に達する。 これ以降の焼結過程で、焼結体表面の(希土類元素)
−O化合物(例えばY2O3)および/または(希土類元
素)−Al−O化合物(例えば、Y2O3・Al2O3)は、雰囲
気中に存在する窒素ガスそしてカーボンガスおよび/ま
たはCOガスなどの還元作用を有する物質により、還元窒
化され(希土類元素)−N化合物(例えばYN)およびま
たはAlNに変化する。 焼結体表面での還元窒化反応により、焼結体内での
(希土類元素)−O化合物および/または(希土類元
素)−Al−O化合物での濃度勾配が生じ、これが駆動力
となってAlN以外の副相は、粒界を経由して、焼結体表
面に移動する。そして最終的に焼結体は他の相を実質的
に含有しないAlN単相となり、熱伝導率は大巾に上昇(2
30W/m・Kを超える)する。これは熱伝導率が小さく熱
抵抗として働いていた粒界相が除去されるためである。
また長時間の焼成により焼結体の粒子が成長する。AlN
粒子が成長すると熱抵抗となる粒界の数が結果的に少な
くなことを意味し、フォノンの散乱が小さな焼結体にな
る。 以上のような理由により高熱伝導性窒化アルミニウム
焼結体を得ることができる。 また本発明の条件を適当な範囲にすることにより、近
紫外光における透光性を有するAlN焼結体を得ることが
できる。 すなわち、窒化アルミニウム原料粉末として、六方晶
系のc軸の結晶格子定数が、498.00pmから498.20pmであ
る窒化アルミニウム粉末を用い、焼結助剤としてイット
リウム化合物を添加して、気体状態の炭素が1×10-6Pa
以上5×10-4Pa以下存在する窒素ガス中で70Torr以上76
0Torr以下の窒素圧の雰囲気等で1850℃〜1950℃で4時
間以上焼成したところ、得られた多結晶体は、粒界の異
相の量が従来の窒化アルミニウム多結晶体に比べて少な
いばかりでなく、結晶粒自体が物理的,化学的に高純度
であり、緻密であるために、少なくとも300nm以上の近
紫外域から850nmの可視域にいたる光に対し透過性の高
い窒化アルミニウム多結晶体が得られるという事実をみ
いだした。 この事実に基づいてAlN焼結体の近紫外線に対する透
光性を達成するのに必要な条件を種々検討したところ、
六方晶窒化アルミニウムの結晶粒から成る多結晶体であ
り、気孔率が1%以下で多結晶体の密度が3.255gcm-3以
上/3.285gcm-3以下でかつ酸素量が800ppm未満周期律表
上のVII a,VIIIに属する遷移金属元素(Mn,Tc,Re,Fe,C
o,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)が600ppm以下であることを特
徴とする窒化アルミニウム焼結体が透光性であることを
見出した。 このAlN焼結体は以下の様にして製造できる。 a)六方晶窒化アルミニウムの結晶格子定数が六方晶系
のc軸方向について498.00pm以上498.20pm以下である窒
化アルミニウム粉末を主成分とし、これに希土類元素化
合物から成る添加物を、各々の元素の重量換算で0.01〜
15重量%添加した成形体を b)気体状態の炭素の分圧が1×10-6Pa以上5×10-4Pa
以下存在し、窒素ガスの圧力が70Torr以上760Torr以下
の雰囲気中で、 c)1850℃〜1950℃で4〜720時間焼成することによっ
て得られる。 この様な方法により得られた窒化アルミニウム多結晶
体は、高い透光性を有し、とりわけ近紫外部においても
透光性を示す。この窒化アルミニウム多結晶体の透光性
は該多結晶体(厚さ0.2mm)についての光の全透過率の
波長依存性は第7図に示す通りである。下記ランベルト
の式により見掛けの吸収係数を求めると、330nmの波長
の光に対して70cm-1以下であり500nmの波長の光に対し
ては50cm-1以下である。 I=In eαl In:入射光の強度 I:透過光の強度 l:多結晶体の厚さ α:見掛けの吸収係数 この窒化アルミニウム多結晶体は、近紫外から赤外に
わたる光に対して、従来公知の窒化アルミニウム焼結体
に比べると著しく高い透光性を有する。とりわけ300nm
〜400nmの近紫外光に対し、透光性を示すという特徴を
持つ。従来可視部から赤外部にわたり透光性を有する窒
化アルミニウムについては公知であるが、本発明におい
ては近紫外光に対しても透光性を示す窒化アルミニウム
多結晶体となる。このように近紫外部を含む光のエネル
ギー領域で高い透光性を持つ窒化アルミニウム焼結体が
得られる理由は 原料粉中の窒化アルミニウム結晶粒内に固溶してい
る酸素および陽イオン不純物の極めて少ない原料粉を用
い 焼結時に窒化アルミニウム結晶粒内に酸素および陽
イオン不純物が固溶せず、さらには固溶した陽イオン不
純物を多結晶体に除去してしまう様な焼結法を発明した
ために 得られた多結晶体の結晶粒の物理的化学的純度、すなわ
ち不純物量,格子欠陥量が極めて少なく従って多結晶体
の格子定数が六方晶系窒化アルミニウムのc軸方向につ
いて497.95pm以上498.20pmという、完全な窒化アルミニ
ウムの格子定数498.16pmに非常に近い緻密な多結晶体が
得られたために、多結晶体の結晶粒内での光の吸収およ
び散乱とりわけ紫外部に存在する結晶粒内の固溶酸素や
その結果生じる格子欠陥による吸収が極めて少ないため
に近紫外光から赤外光の領域で高い透光性を示す多結晶
体が得られたと考えられる。さらに、粒界を存在する異
相が観測されず気孔率が小さいことが透光性の向上に寄
与している。 上述のごとき高い透光性を持つ窒化アルミニウム多結
晶体は前に述べたごとき種々の条件を満たして焼成され
た場合にのみ得られ、かつとりわけ近紫外光に対する透
過性を満足するためには前述のごとき諸条件、全酸素量
が800ppm未満で且つ気孔率が少なくとも1%以下である
多結晶体において始めて達成される。 (実施例) 実施例1 不純物としての酸素を1.0重量%含有し、平均粒径が
0.6μmのAlN粉末に、添加物として平均粒径0.9μmのY
2O3をイットリウム元素の重量換算で4重量%添加し、
ボールミルを用いて混合を行ない原料を調整した。つい
で、この原料に有機系バインダーを4重量%添加して造
粒したのち、500kg/cm2の圧力でプレス成形して38×38
×10mmの圧粉体とした。この圧粉体を窒素ガス雰囲気中
で700℃まで加熱してバインダーを除去した。さらに、B
N粉末を塗布したAlN板を底板としてひいたカーボン製容
器(焼成用容器A)に脱脂体を収容した。このとき容器
Aの形状および大きさは、12cmφ×6.4cmで内容積が720
cm3程度である。すなわちこの容器Aの内容積とAlN成形
体の体積の比が約5×101程度となっている。この容器
を用い窒素ガス雰囲気中(1気圧)1900℃、96時間の条
件で常圧焼結した。得られたAlN焼結体の密度および粒
系を測定した。また焼結体から、直径10mm、厚さ3.3mm
の円板を研削し、これを試験片としてレーザーフラッシ
ュ法により熱伝導率を測定した(真空理工製TC−3000使
用)。測定した温度は25℃である。 さらに、この焼結体の分析を行なった。イットリウム
はCP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A使用)
により、陽イオン不純物の分析は化学分析により行い、
不純物酸素に関しては速中性子放射化分析により行なっ
た(東芝製NAT−200−IC使用)。また焼結体の気孔率は
上昇した(1)式そして助剤及び不純物を考慮して求め
たものである。上記焼結条件および得られた焼結体の特
性を第1表に示した。また、この焼結体のX線回折(理
学電機製ロータフレックスRU−200,ゴニオメータCN2173
D5,線源Cu 50kV,100mA使用)を行なった結果を第1図
に、焼結体破面のSEM写真を第2図に示した(日本電子
製JSM−T20使用)。 実施例2〜4 焼結添加物の添加量を種々に変えて上記実施例1と同
様にしてAlN焼結体を製造し、それぞれについて、同様
に、評価を行なった。 焼結温度1850℃にし、上記実施例1と同様にしてAlN
焼結体を製造した。そして実施例1と同様の評価を行な
った。 実施例6〜8 焼結時間を種々に変えて上記実施例1と同様にしてAl
N焼結体を製造し、それぞれについて、同様の評価を行
なった。 実施例9 BN板を底板としてひいたカーボン製容器(焼成容器
B)を用いたことを除いて、上記実施例1と同様にし
て、AlN焼結体を製造し、同様の評価を行なった(第1
表)。 実施例10 焼結温度および、焼結雰囲気をN2+H2(5%)の減圧
にしたことを除き、上記実施例1と同様にしてAlN焼結
体を製造し、同様の評価を行なった。 実施例11〜71 その他種々の条件を変えたものについて特性を調べた
結果を第2表に示す。 実施例72 六方晶系のc軸方向の格子定数が498.05pmで、不純物
としての酸素を1.7重量%含有し、平均粒径が1.9μmの
AlN粉末に、添加物として平均粒径0.9μmのY2O3を重量
換算で7重量%添加し、ボールミルを用いて混合を行な
い原料を調整した。ついで、この原料に有機系バインダ
ーを4重量%添加して造粒したのち1000kg/cm2の圧力で
プレス成形して38×38×10mmの圧粉体とした。この圧粉
体を窒素ガス雰囲気中で700℃まで加熱してバインダー
を除去した。さらに、BN粉末を塗布したAlN板を底板と
してひいたカーボン製容器(焼成用容器A)に脱脂体を
収容した。このとき容器Aの形状および大きさは、12cm
φ×6.4cmで内容積が720cm3程度である。すなわちこの
容器Aの内容積とAlN成形体の体積の比が5×101程度と
なっている。この容器を用い窒素ガス雰囲気中(700Tor
r)1870℃、100時間の条件で常圧焼成した。得られたAl
N多結晶体の密度および粒径を測定した。また該多結晶
体から、直径10mm、厚さ3.0mmの円板を研削し、これを
試験片としてレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測
定した(真空理工製TC−3000使用)。測定温度は25℃で
ある。 また窒化アルミニウム原料粉末および窒化アルミニウ
ム多結晶体の格子定数は、粉末もしくは粉砕した多晶体
粉末に10〜20重量%のSi粉末(NBSSRM640標準試料)を
混合し理学電機製ロータフレックスRu−200,ゴニオメー
タCN2173D5を用いて、線源Cu Kα1 50kV 150mAに
より測定した100゜<2θ<126゜の範囲にある六方晶窒
化アルミニウムの6本の回折ピークを用い、100゜<2
θ<126゜と範囲のSiの2つの回折ピークの値により角
度補正を行なった後最小自乗法により求めた。測定時の
室温は25℃±1℃であった。求めた格子定数の値には±
0.05pmの誤差が含まれていることが判っている。また多
結晶体中の酸素量は速中性子放射化分析により行なった
(東芝NAT−200−IC使用)。さらにこの多結晶体の元素
分析はICP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A
使用)および湿式化学分析法により行なった。多結晶体
の気孔率,粒径は研磨した多結晶体のSEM写真から求め
た(日本電子製JSM−T20使用)。また光の透過率の測定
は該多結晶体から切り出て光学研磨した厚さ0.1〜0.5mm
の多晶体(外径20mmφ〜12mmφ)を用いてCary17自記分
光光度計に積分球を設置して測定した(第7図)。 多結晶体の密度は見掛け密度として、空気中での重さ
と純水中での重さから浮力を求めて測定した。 該多結晶体の製造条件およびその特性を第3表に示
す。 参考例1〜6 実施例72と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼結用
容器A、およびAlN製容器Dにセットし、1800〜1950
℃、2〜200hr、N2中で常圧焼結し、焼結体を得た。こ
れらの多結晶体の製造条件およびその特性を第3表に示
す。さらに、参考例1の多結晶体の透過率の測定結果を
第8図に示した。格子定数の値も六方晶系のc軸につい
て497.85pm以下と小さくその結果として透光性も悪く熱
伝導率も195W/m・K以下の底い値である。 このように高い透光性を有するAlN焼結体を得るため
には窒化アルミニウム原料粉の格子定数が六方晶系のc
軸について498.00pm以上498.20pm以上でありかつカーボ
ン還元雰囲気中でY2O3助剤を添加して長時間(4時間以
上)焼結することが必要であることがわかる。 比較例1〜3 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼結用
容器A,BおよびC(内側の全体がカーボン製の容器)種
々にセットし、1900℃、2hr、N2気流中で常圧焼結し、
焼結体を得た。これらの焼結体の特性を第4表に示す。
さらに、比較例1の焼結体を用い、X線回折を行なった
結果を第3図に、焼結体の破面のSEM写真を第4図に示
した。これらの結果および同様の評価の結果より、副相
としてイットリウムを含む化合物が観察され、AlN単相
でないことがかり、その結果として熱伝導率も170W/m・
K以下の低い値である。 このように焼結時間が4時間未満と短い場合、カーボ
ン製容器を用いることにより粒界相の除去が十分でない
ことがわかり、高熱伝導率を有するAlN焼結体を得るた
めには長時間(4時間以上)の焼結が必要であることが
わかる。 比較例4〜6 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を、比較
例4では内側の全体がAlN製の容器(焼成容器D)、比
較例5では内側の全体がアルミナ製の容器(焼成容器
E)、比較例6では内側の全体がタングステン製の容器
(焼成容器F)を用い、1900℃、96hr、N2気流中で常圧
焼結し、焼結体を得た。これらの焼結体の特性を第1表
に示す。さらに、比較例4の焼結体を用い、X線回折を
行なった結果を第5図に焼結体の破面のSEM写真を第6
図にそれぞれ示した。これらの結果および、評価の結果
より、副相としてイットリウムを含む化合物が観察さ
れ、AlN単相でないことがわかった。その結果熱伝導率
も168W/m・K以下の比較的低い値である。 この様に少なくとも内部の一部が、カーボンよりなる
焼結容器を用いない場合も高熱伝導率を有するAlN焼結
体が得られず、カーボン雰囲気の有効さがわかる。 〔発明の効果〕 以上述べた如く、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、実質的にAlN単相からなるもので、高純度かつ、高
熱伝導率を示すなど、優れた性質を有するものであり、
その工業的価値は極めて大きいものである。
ム単相からなる窒化アルミニウム焼結体に関する。 (従来の技術) 窒化アルミニウム(AlN)は高温まで強度低下が少な
く、化学的耐性にも優れているため、耐熱材料として用
いられる一方、その高熱伝導性、高電気絶縁性を利用し
て半導体装置の放熱板材料、回路基板用絶縁体材料とし
ても有望視されている。こうした窒化アルミニウムは常
圧下で融点を持たず、2500℃以上の高温で分解するた
め、薄捲などの用途を除いては焼結体として用いられ
る。 かかる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム
粉末を成形、焼結して得られる。超微粉(0.3μm以下
程度)のAlN粉末を用いた場合には単独でもほぼ緻密な
焼結体が得られるが、原料粉末表面の酸化層中の酸素が
焼結時にAlN格子中に固溶したり、Al−O−N化合物を
生成し、その結果無添加焼結体の熱伝導率はたかだか10
0W/m・K程度である。また粒径0.5μm以上のAlN粉末を
用いた場合は焼結性が良好でないために、ホットプレス
法による以外には無添加では緻密な焼結体を得ることは
困難である。そこで常圧で焼結体を得ようとする場合、
焼結体の緻密化およびAlN原料粉末の不純物酸素のAlN粒
内への固溶を防止するために、焼結助剤として希土類酸
化物、アルカリ土類金属酸化物等を添加することが一般
に行なわれている(特開昭60−127267号公報、特開昭61
−10071号公報、特開昭60−71575号公報等)。これらの
焼結助剤はAlN原料粉末の不純物酸素と反応し液相を生
成し焼結体の緻密化を達成すると共に、この不純物酸素
を粒界相として固定(酸素トラップ)し、高熱伝導率化
をも達成すると考えられている。 このように焼結助剤を添加することにより確かに焼結
体は緻密化、高熱伝導率化するが、他方で、結果的に残
存する粒界相(主相であるAlN相に対し副相)の存在、
完全にトラップしきれなかった酸素等の存在等により、
窒化アルミニウム焼結体のそれは高々190W/m・K程度
と、AlNの論理熱伝導率320W/m・Kに対し、かなり低い
ものであった。 そのため、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上
を目的として種々の試みがなされているが、未だ十分満
足すべきものは得られていない。 (発明が解決しようとする問題点) 現在半導体搭載用の回路基板、放熱基板等ではより高
い熱伝導率を有する材料が望まれている。しかしながら
酸素その他の不純物特に、助剤添加の結果として粒界に
生成する粒界相の存在により、窒化アルミニウム焼結体
の高熱伝導率化には限界があった。 本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、熱伝
導性に優れた窒化アルミニウム焼結体を提供することを
目的とする。 〔発明の構成〕 (問題点を解決するための手段及び作用) 本発明者等は上記目的を達成すべく窒化アルミニウム
粉末に添加する焼結助剤や焼結条件、焼結体組成、焼結
体微細構造等と熱伝導率の関係について実験・検討を進
めた結果、以下に示す新規事項を発見し、本発明を完成
するに至った。 すなわち、焼結助剤としてイットリウム化合物をAlN
粉末に添加し、窒素を含む還元性雰囲気中で長時間焼成
したところ、粒界相(Y−Al−O系化合物相等)の存在
量が従来の窒化アルミニウム焼結体に比べて減少すると
いうことがかった。そして十分長時間焼結すると実質的
に副相がなくAlN単相からなり、多結晶体としては非常
に高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体が得ら
れるという事実をみいだした。この効果は他の希土類元
素でも同様に認められた。 この事実に基づいて高熱伝導率化を達成する最適条件
を種々検討した結果が本発明であり、そして本発明を得
るための方法は a) 不純物酸素量が3重量%以下であり、平均粒径が
0.05〜3.3μmである窒化アルミニウム粉末と、希土類
元素の重量換算で0.01〜15重量%の希土類元素化合物と
混合したのち成形した成形体、また、希土類元素含有量
が0.01〜15重量%で、酸素含有量が0.01〜3重量%あ
り、AlNを主相とし(希土類元素)−Al−O化合物相お
よび/または(希土類元素)−O化合物相を含む焼結体
を、 b) 還元性雰囲気中で c) 1550〜2050℃で、4時間以上、雰囲気圧下(真空
を含む減圧、加圧および常圧を含む)で焼成する。 この様な方法で得られた窒化アルミニウム焼結体は多
結晶体として非常に高い230W/m・K超えた熱伝導率を有
し、この焼結体をX線回折および電子顕微鏡を用いて構
成相を観察してAlN結晶粒のみ認められ、他の相は観察
されない。また成分分析を行なったところAl,Nが主成分
で、希土類元素0.01〜3000ppm(ほとんど数百ppmで、60
0ppm未満)、不純物酸素800ppm未満でVII a族、VIII族
元素の不純物陽イオン元素は600ppm以下であって、そし
てAlN結晶粒径が10〜26μm、気孔率が1%以下である
新規な窒化アルミニウム焼結体であった。熱伝導率向上
の観点から表に示すように希土類元素は0.01〜1000pp
m、不純物酸素は400〜600ppm程度が好ましい。実用上の
観点からは希土類元素が数百ppmが好ましい。の希土類
元素は結晶粒界では観察されないことから、AlN結晶粒
に固溶しているものと考えられる。酸素元素も同様であ
る。なお本発明焼結体においては不純物酸素量は極力少
ないことが望ましく、また原料粉に起因する不純物陽イ
オンも熱伝導率低下の原因となるため極力少ないことが
望まれる。 また、AlN焼結体の熱伝導率を支配する要因として、
以下のものがある。 AlN格子中に酸素不純物がどの程度の量入っているか
どうか、 AlN焼結体中に気孔が存在するかどうか、 陽イオン不純物(遷移金属不純物)がどの程度の量存
在するかどうか、 粒界が単位長さあたりどの程度存在するか(粒径がど
の程度か)、 希土類元素をどの程度の量含むかどうか、 AlNに結晶の不完全性がどの程度存在するか。 これらの要因が総合的に作用し、AlN焼結体の熱伝導
率が決まってくる。この熱伝導率をレーザーフラッシュ
法で測定することになる。ここで、各要因が単独でいく
ら熱伝導率を低下させているかどうかは定量的になかな
か決定しづらい点があるが、傾向とある程度の数値的予
測は可能なので以下に示した。 酸素含量とAlN焼結体の熱伝導率の関係 単結晶AlNの熱抵抗(熱伝導率の逆数)K-1と酸素含有
量の間には比例の関係があり、酸素量を零に外挿すると
AlNの熱伝導率は320W/m・Kになる。 Δn/n0は酸素の原子濃度(atm/cm3)、Cは定数で0.4
3と実験的に求められた。 多結晶体である、焼結体においても、AlN粒は単結晶
であり、同様のことがいえる。 酸素がAlN格子に固溶して含有されると 3(1−x)AlN+xAl2O3→Al3-x□x(N1-xOx)3 のように格子に変化が起こりAlサイトに点欠陥が生じ
る。 AlNセラミックスでは格子欠陥、転位、粒界、不純物
などによりフォノンが散乱され、その中でも酸素が窒素
と置換固溶し熱伝導率が大きく低下する。 AlN焼結体の気孔率、密度、熱伝導率の関係 完全に緻密化した時の焼結体の密度が理論密度
(DTh)である。気孔率(P)は、 である。 純度100%のAlN焼結体の密度が3.261g/cm3であるか
ら、気孔率が1%である時のAlN焼結体の密度は3.228g/
cm3となる。 従って、気孔率1%以下の純度100%の焼結体の である。 AlN焼結体において、気孔のような低い熱伝導率の相
がランダムに連続的につながった固体相の中に分散して
いる時には、その焼結体の熱伝導率(K)は、 という非常に簡単な式ではあるが、非常に良好な近似式
で表わすことができる。 ここで、気孔率が1%以下のなのでPは 0≦P≦0.01 の範囲で表される体積分率の気孔率である。 AlNが非常に高純度で熱伝導率が高くても、気孔が多
く存在すれば焼結体全体としの熱伝導率は小さな値とな
っていく。 周期律表のVII a、VIII族の元素量とAlN焼結体の熱伝
導率と透光性の関係 高純度のAlN粉末に周期律表のVII a VIII族の元素を
少量添加した後、焼結するとAlN焼結体の熱伝導率は少
量の添加によって急激に低下すると同時に透光性も低下
する。この低下は、周期律表のVII a VIII族の元素がAl
N結晶中に固溶したために起るフォノンの散乱によると
考えられる。但し、希土類元素を除くVII aおよびVIII
族不純物元素量が600ppm以下の時に良好な熱伝導率と透
光性を有する。 粒径とAlN焼結体の熱伝導率の関係 AlN焼結体中では、熱はフォノンによって伝えられ
る。このフォノンの平均自由行程は室温域では約0.1μ
m程度であると考えられている。フォノンの散乱は、Al
N焼結体中の格子欠陥、転位、粒界、不純物などにより
引き起こされる。粒径が0.1μm以下の場合には粒界で
散乱される比率が非常に高くなり、単結晶のような粒界
のない構造では焼結体に対して熱伝導率が高くなる。 しかし、多結晶体である限り、粒界が存在すると粒界
でのフォノンの散乱は存在し、粒径は大きくなるにした
がってその散乱は起こりにくくなる。従って、寄与率は
小さくなるが、粒径が大きい方が高い熱伝導率が得られ
ることになる。 (希土類元素)−Al−O系の粒界相とAlN焼結体の熱
伝導率の関係 (希土類元素)−Al−O系の粒界相がAlN焼結体中に
孤立した形で球状に分散している時のAlN焼結体の伝導
パターンは、2次元の平板の伝導に近似できる。この平
板の場合には、 である。 ここで、v1はAlNの体積分率、v2は粒界相である(希
土類元素)−Al−O化合物の体積分率である。従って、
気孔率0%の時にはv1+v2=1である。また、K1はAlN
部分の熱伝導率、K2は粒界相の熱伝導率である。 ただし、今回の内容は実質的にAlN単相である焼結体
に関するものである。実質的とは、明細書中にも記載が
あるように、SEMによる観察で粒界相が確認できないと
同時に、X線回折を用いてもAlN以外の相が確認出来な
いことを意味する。 しかし、化学分析を行うと、希土類元素は微量である
が、存在が確認される。この希土類元素がどの位置に存
在するかは不明な点であるが、粒界相としてより微視的
に存在しても、AlN格子中に存在しても結果的にはAlN焼
結体の熱伝導率を低下させる方向に作用することにな
る。 AlN中に存在する結晶の不完全性 AlN結晶格子中に存在する不完全な結晶部分によりAlN
の熱伝導率は低下する。不完全な結晶部分とは転位を意
味する。 熱伝導率が230W/m・Kを超える焼結体は、上記記載事
項の累積効果によって得られるものである。熱伝導率が
320W/m・Kを有する完全結晶であり、酸素量が0ppmであ
り、陽イオン不純物も全く含まない巨大AlN粒で構成さ
れた焼結体で、気孔率が1%であるものは316W/m・K程
度であろう。また、気孔率が0%であり、陽イオン不純
物が全くないけれど酸素量が3000ppmである焼結体は熱
伝導率が160W/m・K程度と推測できる。 従って、特許求の範囲第1項の各内容を総合的に満足
してはじて熱伝導率が230W/m・K以上のAlN焼結体とな
る。本発明のAlN焼結体の密度は3.255〜3.285が好まし
い。より好ましくは3.259〜3.264g/cm3である。 ついで、本発明の高熱伝導率化アルミニウム焼結体を
得るための製造方法について述べる。 主成分である窒化アルミニウム原料粉末としては、焼
結性、熱伝導性を考慮して酸素を3重量%以下の1.7〜
0.4重量%が望ましく、平均粒径が0.05〜3.3μmのもの
を使用する。 添加物としては希土類元素化合物(Y,Sc,Ce,Dyが好ま
しく、特にイットリウム化合物が好ましい)を用いる。
希土類元素を化合物としては、酸化物、窒化物、酸窒化
物、もしくは焼成によりこれらの化合物となる物質が最
適である。焼成によって例えば酸化物となる物質として
は、これら元素の炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化
物などをあげることができる。 希土類元素化合物の添加は、希土類元素の重量換算で
0.01〜15重量%の範囲で添加する。この添加量が、0.01
重量%未満であると、添加物の効果が十分に発揮され
ず、焼結体が緻密化されなかったり、AlN結晶中に酸素
が固溶し高熱伝導な焼結体が得られない。また、添加量
が過度に多いと、粒界相が焼結体中に残ったり、熱処理
により除去される粒界相の体積が大きいため、焼結体中
に空孔が残ったりして、収縮率が非常に大きくなり、形
状がくずれる等の不利な点が生ずる。好ましくは、0.1
〜3重量%であり、より好ましくは0.5〜2重量%であ
る。 本発明の窒化アルミニウムを得る方法においてはこの
様なAlN粉と希土類元素化合物の混合された成形体を後
述の条件で焼結しても良いし、また、AlNを主相とし
(希土類元素)−Al−O化合物相および/または(希土
類元素)−O化合物相から成る焼結体を製造し、上記成
形体の代りに用いてもよい。 焼成雰囲気に関しては還元雰囲気、特に窒素ガスを含
む還元性雰囲気中で行なう。還元性雰囲気は、CO、H2ガ
スおよびC(ガスそして固相)などを一種または二種以
上存在させることによって作ることができる。 焼成容器に関しては、窒化アルミニウム、アルミナ、
Mo製等でも可能である(特開昭61−146769号等)。しか
し、これらの容器を用いたものでは、焼結体中に(希土
類元素)−Al−O化合物相などが存在したままの状態と
なり、高熱伝導性は得られない。本発明では、焼成中に
カーボンガス雰囲気をつくり出す容器を用いることが好
ましい。この様な焼成容器としては容器全体がカーボン
製の物、容器全体がカーボン製で試料を設置する箇所に
AlN板、BN板、W板等を敷いたもの、窒化アルミニウム
製の容器で上部蓋がカーボン製の物等を用いることがで
きる。本発明でいうカーボンガス雰囲気とは、1550〜20
50℃の焼結温度範囲で蒸気圧が1×10-6〜5×10-2Pa程
度生成するガスをさす。このカーボンガスが、焼結中の
AlNを還元するという作用が得られ、さらに具体的には
(希土類元素)−Al−O三元系化合物等の粒界相を焼結
体中より除去する作用が働らき、窒化アルミニウム焼結
体はAlN単相となり、高熱伝導性の焼結体に変化してい
く。 この容器の内容積は、その内容積と窒化アルミニウム
成形体との体積の比(内容積/成形体の体積)が1.1×1
00〜1×107が良い。これ以上大きな容積を用いた場
合、試料近傍におけるカーボン蒸気圧が低く、カーボン
による粒界相除去効果が小さくなる。この容積比は5×
100〜1×105が好ましい。 焼結時間については、従来種々の助剤を用い1〜3時
間の単時間で行なわれているが、この程度の時間では、
上記焼成容器中で焼成したとしても、窒化アルミニウム
焼結体の緻密化、そして原料粉末表面の酸素を粒界相に
固定することは可能であるが、AlN粒間の陵および三重
点に粒界相が存在し、AlN単相の焼結体は得られない。
また前述の如くのカーボンガス雰囲気が得られない場
合、長時間の焼成によっても粒界相の除去の効果は現わ
れない。AlN単相にするためには焼結温度および助剤添
加量にもよるが、4時間以上が必要である。より好まし
くは6時間以上で、さらに好ましくは12時間以上であ
る。 焼成温度については、1550〜2050℃程度であるが1700
〜2050℃が好ましい。低温で焼成すると、原料粉末の粒
径、酸素量にもよるが緻密な焼結体が得にくく、またカ
ーボンガスの発生が少なくなり、粒界相を残したままと
なる。また2050℃より高温で焼成すると、AlN自体の蒸
気圧が高くなり、緻密化が困難になると共に、アルミニ
ウムとカーボンとの反応によりアルミニウムの炭化物
(Al4C3)を生じる可能性があり、また(希土類元素)
−O化合物が還元窒化され窒化物と推定される相が生じ
る。焼成温度はより好ましくは1800〜2000℃であるさら
には1800〜1950℃が好ましい。 酸化性雰囲気で焼成するとカーボンの粒界純化効果が
作用しないばかりでなく、酸素の固溶、異相生成により
高熱伝導性は得られない。なお焼結は真空(わずかな還
元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を含む雰囲気
下で行なう。 次いで本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法の
一例を以下に述べる。 まず、AlN粉末に焼結添加物として希土類元素化合物
を所定量添加したのちボールミル等を用いて混合する。
焼結には常圧焼結法を使用する。この場合、混合粉末に
バインダーを加え、混練、造粒、整粒を行なったのち成
形する。成形法としては、金型プレス、静水圧プレス或
いはシート成形などが適用できる。続いて、成形体を非
酸化性雰囲気中、例えば窒素ガス気流中で加熱してバイ
ンダーを除去したのち常圧焼結する。この時用いる焼成
容器は、焼成中カーボンガス雰囲気をつくり出す。例え
ばカーボン製容器で、容器内容積と成形体積の比が、1.
1×100〜1×107のものを用いる。焼結温度は1550〜205
0℃に、焼結時間は4時間以上に設定する。この様な方
法により本発明焼結体を得ることができる。 次に本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導性の向
上効果および(希土類元素)−Al−O系化合物相等の粒
界の除去による窒化アルミニウム焼結体の純化作用につ
いて説明する。厳密なメカニズムは現在のところ完全に
解明されているわけではないが、本発明者らの研究によ
れば高熱伝導率化の要因として次のように推定される。 まず、希土類元素添加によるAlN原料粉末の不純物濃
度のトラップ効果である。すなわち、希土類元素化合物
を焼結助剤として添加することにより、不純物酸素を
(希土類元素)−Al−O化合物相等の形で、AlN粒界の
陵および三重点に固定するため、AlN格子中への酸素の
固溶が防止され、AlNの酸窒化物(AlON)、そしてAlNの
ポリタイプ(27R型)の生成を防止する。発明者らの研
究結果によれば、AlONそして27R型が生成した焼結体
は、いずれも熱伝導率が低いことがわかっている。この
様な低熱伝導率化の原因を抑制することが高熱伝導率化
の一因として挙げられる。 希土類元素としてYを選んだ場合は原料粉末の不純物
酸素が、3Y2O3・5Al2O3、Y2O3・Al2O3、2Y2O3・Al2O3、
Y2O3などの化合物としてトラップされる。この状態は、
焼結初期、すなわち、焼結時間3時間以内で起こり、熱
伝導率が最高190W/m・K程度に達する。 これ以降の焼結過程で、焼結体表面の(希土類元素)
−O化合物(例えばY2O3)および/または(希土類元
素)−Al−O化合物(例えば、Y2O3・Al2O3)は、雰囲
気中に存在する窒素ガスそしてカーボンガスおよび/ま
たはCOガスなどの還元作用を有する物質により、還元窒
化され(希土類元素)−N化合物(例えばYN)およびま
たはAlNに変化する。 焼結体表面での還元窒化反応により、焼結体内での
(希土類元素)−O化合物および/または(希土類元
素)−Al−O化合物での濃度勾配が生じ、これが駆動力
となってAlN以外の副相は、粒界を経由して、焼結体表
面に移動する。そして最終的に焼結体は他の相を実質的
に含有しないAlN単相となり、熱伝導率は大巾に上昇(2
30W/m・Kを超える)する。これは熱伝導率が小さく熱
抵抗として働いていた粒界相が除去されるためである。
また長時間の焼成により焼結体の粒子が成長する。AlN
粒子が成長すると熱抵抗となる粒界の数が結果的に少な
くなことを意味し、フォノンの散乱が小さな焼結体にな
る。 以上のような理由により高熱伝導性窒化アルミニウム
焼結体を得ることができる。 また本発明の条件を適当な範囲にすることにより、近
紫外光における透光性を有するAlN焼結体を得ることが
できる。 すなわち、窒化アルミニウム原料粉末として、六方晶
系のc軸の結晶格子定数が、498.00pmから498.20pmであ
る窒化アルミニウム粉末を用い、焼結助剤としてイット
リウム化合物を添加して、気体状態の炭素が1×10-6Pa
以上5×10-4Pa以下存在する窒素ガス中で70Torr以上76
0Torr以下の窒素圧の雰囲気等で1850℃〜1950℃で4時
間以上焼成したところ、得られた多結晶体は、粒界の異
相の量が従来の窒化アルミニウム多結晶体に比べて少な
いばかりでなく、結晶粒自体が物理的,化学的に高純度
であり、緻密であるために、少なくとも300nm以上の近
紫外域から850nmの可視域にいたる光に対し透過性の高
い窒化アルミニウム多結晶体が得られるという事実をみ
いだした。 この事実に基づいてAlN焼結体の近紫外線に対する透
光性を達成するのに必要な条件を種々検討したところ、
六方晶窒化アルミニウムの結晶粒から成る多結晶体であ
り、気孔率が1%以下で多結晶体の密度が3.255gcm-3以
上/3.285gcm-3以下でかつ酸素量が800ppm未満周期律表
上のVII a,VIIIに属する遷移金属元素(Mn,Tc,Re,Fe,C
o,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)が600ppm以下であることを特
徴とする窒化アルミニウム焼結体が透光性であることを
見出した。 このAlN焼結体は以下の様にして製造できる。 a)六方晶窒化アルミニウムの結晶格子定数が六方晶系
のc軸方向について498.00pm以上498.20pm以下である窒
化アルミニウム粉末を主成分とし、これに希土類元素化
合物から成る添加物を、各々の元素の重量換算で0.01〜
15重量%添加した成形体を b)気体状態の炭素の分圧が1×10-6Pa以上5×10-4Pa
以下存在し、窒素ガスの圧力が70Torr以上760Torr以下
の雰囲気中で、 c)1850℃〜1950℃で4〜720時間焼成することによっ
て得られる。 この様な方法により得られた窒化アルミニウム多結晶
体は、高い透光性を有し、とりわけ近紫外部においても
透光性を示す。この窒化アルミニウム多結晶体の透光性
は該多結晶体(厚さ0.2mm)についての光の全透過率の
波長依存性は第7図に示す通りである。下記ランベルト
の式により見掛けの吸収係数を求めると、330nmの波長
の光に対して70cm-1以下であり500nmの波長の光に対し
ては50cm-1以下である。 I=In eαl In:入射光の強度 I:透過光の強度 l:多結晶体の厚さ α:見掛けの吸収係数 この窒化アルミニウム多結晶体は、近紫外から赤外に
わたる光に対して、従来公知の窒化アルミニウム焼結体
に比べると著しく高い透光性を有する。とりわけ300nm
〜400nmの近紫外光に対し、透光性を示すという特徴を
持つ。従来可視部から赤外部にわたり透光性を有する窒
化アルミニウムについては公知であるが、本発明におい
ては近紫外光に対しても透光性を示す窒化アルミニウム
多結晶体となる。このように近紫外部を含む光のエネル
ギー領域で高い透光性を持つ窒化アルミニウム焼結体が
得られる理由は 原料粉中の窒化アルミニウム結晶粒内に固溶してい
る酸素および陽イオン不純物の極めて少ない原料粉を用
い 焼結時に窒化アルミニウム結晶粒内に酸素および陽
イオン不純物が固溶せず、さらには固溶した陽イオン不
純物を多結晶体に除去してしまう様な焼結法を発明した
ために 得られた多結晶体の結晶粒の物理的化学的純度、すなわ
ち不純物量,格子欠陥量が極めて少なく従って多結晶体
の格子定数が六方晶系窒化アルミニウムのc軸方向につ
いて497.95pm以上498.20pmという、完全な窒化アルミニ
ウムの格子定数498.16pmに非常に近い緻密な多結晶体が
得られたために、多結晶体の結晶粒内での光の吸収およ
び散乱とりわけ紫外部に存在する結晶粒内の固溶酸素や
その結果生じる格子欠陥による吸収が極めて少ないため
に近紫外光から赤外光の領域で高い透光性を示す多結晶
体が得られたと考えられる。さらに、粒界を存在する異
相が観測されず気孔率が小さいことが透光性の向上に寄
与している。 上述のごとき高い透光性を持つ窒化アルミニウム多結
晶体は前に述べたごとき種々の条件を満たして焼成され
た場合にのみ得られ、かつとりわけ近紫外光に対する透
過性を満足するためには前述のごとき諸条件、全酸素量
が800ppm未満で且つ気孔率が少なくとも1%以下である
多結晶体において始めて達成される。 (実施例) 実施例1 不純物としての酸素を1.0重量%含有し、平均粒径が
0.6μmのAlN粉末に、添加物として平均粒径0.9μmのY
2O3をイットリウム元素の重量換算で4重量%添加し、
ボールミルを用いて混合を行ない原料を調整した。つい
で、この原料に有機系バインダーを4重量%添加して造
粒したのち、500kg/cm2の圧力でプレス成形して38×38
×10mmの圧粉体とした。この圧粉体を窒素ガス雰囲気中
で700℃まで加熱してバインダーを除去した。さらに、B
N粉末を塗布したAlN板を底板としてひいたカーボン製容
器(焼成用容器A)に脱脂体を収容した。このとき容器
Aの形状および大きさは、12cmφ×6.4cmで内容積が720
cm3程度である。すなわちこの容器Aの内容積とAlN成形
体の体積の比が約5×101程度となっている。この容器
を用い窒素ガス雰囲気中(1気圧)1900℃、96時間の条
件で常圧焼結した。得られたAlN焼結体の密度および粒
系を測定した。また焼結体から、直径10mm、厚さ3.3mm
の円板を研削し、これを試験片としてレーザーフラッシ
ュ法により熱伝導率を測定した(真空理工製TC−3000使
用)。測定した温度は25℃である。 さらに、この焼結体の分析を行なった。イットリウム
はCP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A使用)
により、陽イオン不純物の分析は化学分析により行い、
不純物酸素に関しては速中性子放射化分析により行なっ
た(東芝製NAT−200−IC使用)。また焼結体の気孔率は
上昇した(1)式そして助剤及び不純物を考慮して求め
たものである。上記焼結条件および得られた焼結体の特
性を第1表に示した。また、この焼結体のX線回折(理
学電機製ロータフレックスRU−200,ゴニオメータCN2173
D5,線源Cu 50kV,100mA使用)を行なった結果を第1図
に、焼結体破面のSEM写真を第2図に示した(日本電子
製JSM−T20使用)。 実施例2〜4 焼結添加物の添加量を種々に変えて上記実施例1と同
様にしてAlN焼結体を製造し、それぞれについて、同様
に、評価を行なった。 焼結温度1850℃にし、上記実施例1と同様にしてAlN
焼結体を製造した。そして実施例1と同様の評価を行な
った。 実施例6〜8 焼結時間を種々に変えて上記実施例1と同様にしてAl
N焼結体を製造し、それぞれについて、同様の評価を行
なった。 実施例9 BN板を底板としてひいたカーボン製容器(焼成容器
B)を用いたことを除いて、上記実施例1と同様にし
て、AlN焼結体を製造し、同様の評価を行なった(第1
表)。 実施例10 焼結温度および、焼結雰囲気をN2+H2(5%)の減圧
にしたことを除き、上記実施例1と同様にしてAlN焼結
体を製造し、同様の評価を行なった。 実施例11〜71 その他種々の条件を変えたものについて特性を調べた
結果を第2表に示す。 実施例72 六方晶系のc軸方向の格子定数が498.05pmで、不純物
としての酸素を1.7重量%含有し、平均粒径が1.9μmの
AlN粉末に、添加物として平均粒径0.9μmのY2O3を重量
換算で7重量%添加し、ボールミルを用いて混合を行な
い原料を調整した。ついで、この原料に有機系バインダ
ーを4重量%添加して造粒したのち1000kg/cm2の圧力で
プレス成形して38×38×10mmの圧粉体とした。この圧粉
体を窒素ガス雰囲気中で700℃まで加熱してバインダー
を除去した。さらに、BN粉末を塗布したAlN板を底板と
してひいたカーボン製容器(焼成用容器A)に脱脂体を
収容した。このとき容器Aの形状および大きさは、12cm
φ×6.4cmで内容積が720cm3程度である。すなわちこの
容器Aの内容積とAlN成形体の体積の比が5×101程度と
なっている。この容器を用い窒素ガス雰囲気中(700Tor
r)1870℃、100時間の条件で常圧焼成した。得られたAl
N多結晶体の密度および粒径を測定した。また該多結晶
体から、直径10mm、厚さ3.0mmの円板を研削し、これを
試験片としてレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測
定した(真空理工製TC−3000使用)。測定温度は25℃で
ある。 また窒化アルミニウム原料粉末および窒化アルミニウ
ム多結晶体の格子定数は、粉末もしくは粉砕した多晶体
粉末に10〜20重量%のSi粉末(NBSSRM640標準試料)を
混合し理学電機製ロータフレックスRu−200,ゴニオメー
タCN2173D5を用いて、線源Cu Kα1 50kV 150mAに
より測定した100゜<2θ<126゜の範囲にある六方晶窒
化アルミニウムの6本の回折ピークを用い、100゜<2
θ<126゜と範囲のSiの2つの回折ピークの値により角
度補正を行なった後最小自乗法により求めた。測定時の
室温は25℃±1℃であった。求めた格子定数の値には±
0.05pmの誤差が含まれていることが判っている。また多
結晶体中の酸素量は速中性子放射化分析により行なった
(東芝NAT−200−IC使用)。さらにこの多結晶体の元素
分析はICP発光分光法(セイコー電子工業製SPS−1200A
使用)および湿式化学分析法により行なった。多結晶体
の気孔率,粒径は研磨した多結晶体のSEM写真から求め
た(日本電子製JSM−T20使用)。また光の透過率の測定
は該多結晶体から切り出て光学研磨した厚さ0.1〜0.5mm
の多晶体(外径20mmφ〜12mmφ)を用いてCary17自記分
光光度計に積分球を設置して測定した(第7図)。 多結晶体の密度は見掛け密度として、空気中での重さ
と純水中での重さから浮力を求めて測定した。 該多結晶体の製造条件およびその特性を第3表に示
す。 参考例1〜6 実施例72と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼結用
容器A、およびAlN製容器Dにセットし、1800〜1950
℃、2〜200hr、N2中で常圧焼結し、焼結体を得た。こ
れらの多結晶体の製造条件およびその特性を第3表に示
す。さらに、参考例1の多結晶体の透過率の測定結果を
第8図に示した。格子定数の値も六方晶系のc軸につい
て497.85pm以下と小さくその結果として透光性も悪く熱
伝導率も195W/m・K以下の底い値である。 このように高い透光性を有するAlN焼結体を得るため
には窒化アルミニウム原料粉の格子定数が六方晶系のc
軸について498.00pm以上498.20pm以上でありかつカーボ
ン還元雰囲気中でY2O3助剤を添加して長時間(4時間以
上)焼結することが必要であることがわかる。 比較例1〜3 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を焼結用
容器A,BおよびC(内側の全体がカーボン製の容器)種
々にセットし、1900℃、2hr、N2気流中で常圧焼結し、
焼結体を得た。これらの焼結体の特性を第4表に示す。
さらに、比較例1の焼結体を用い、X線回折を行なった
結果を第3図に、焼結体の破面のSEM写真を第4図に示
した。これらの結果および同様の評価の結果より、副相
としてイットリウムを含む化合物が観察され、AlN単相
でないことがかり、その結果として熱伝導率も170W/m・
K以下の低い値である。 このように焼結時間が4時間未満と短い場合、カーボ
ン製容器を用いることにより粒界相の除去が十分でない
ことがわかり、高熱伝導率を有するAlN焼結体を得るた
めには長時間(4時間以上)の焼結が必要であることが
わかる。 比較例4〜6 実施例1と同様な方法により得たAlN脱脂体を、比較
例4では内側の全体がAlN製の容器(焼成容器D)、比
較例5では内側の全体がアルミナ製の容器(焼成容器
E)、比較例6では内側の全体がタングステン製の容器
(焼成容器F)を用い、1900℃、96hr、N2気流中で常圧
焼結し、焼結体を得た。これらの焼結体の特性を第1表
に示す。さらに、比較例4の焼結体を用い、X線回折を
行なった結果を第5図に焼結体の破面のSEM写真を第6
図にそれぞれ示した。これらの結果および、評価の結果
より、副相としてイットリウムを含む化合物が観察さ
れ、AlN単相でないことがわかった。その結果熱伝導率
も168W/m・K以下の比較的低い値である。 この様に少なくとも内部の一部が、カーボンよりなる
焼結容器を用いない場合も高熱伝導率を有するAlN焼結
体が得られず、カーボン雰囲気の有効さがわかる。 〔発明の効果〕 以上述べた如く、本発明の窒化アルミニウム焼結体
は、実質的にAlN単相からなるもので、高純度かつ、高
熱伝導率を示すなど、優れた性質を有するものであり、
その工業的価値は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図,第3図および第5図は焼結体のX線回折パター
ン図、第2図,第4図および第6図は焼結体破面の結晶
構造を(SEM写真により)表した図、第7図および第8
図は透過率特性図である。 1……AlNの回折ピーク 2……Y−Al−O化合物の回折ピーク 3……Al−O−N化合物ピーク 4……AlN粉 5……Y−Al−O化合物(粒界相)
ン図、第2図,第4図および第6図は焼結体破面の結晶
構造を(SEM写真により)表した図、第7図および第8
図は透過率特性図である。 1……AlNの回折ピーク 2……Y−Al−O化合物の回折ピーク 3……Al−O−N化合物ピーク 4……AlN粉 5……Y−Al−O化合物(粒界相)
フロントページの続き
(72)発明者 上野 文雄
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(72)発明者 佐藤 佳子
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(72)発明者 柘植 章彦
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(72)発明者 遠藤 博
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(72)発明者 林 勝
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(72)発明者 篠崎 和雄
川崎市幸区小向東芝町1 株式会社東芝
総合研究所内
(56)参考文献 特開 昭62−132776(JP,A)
特開 昭62−41766(JP,A)
特開 昭62−105960(JP,A)
特開 昭60−127267(JP,A)
特開 昭59−50078(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.実質的にAlN単相からなり、希土類元素を0.01〜300
0ppm、不純物酸素量が800ppm未満、希土類元素を除くVI
I aおよびVIII族不純物元素量が600ppm以下、AlN結晶粒
径が10〜26μm、気孔率1%以下であって、320W/m・K
を超える熱伝導率を有することを特徴とする高熱伝導性
窒化アルミニウム焼結体。 2.希土類元素を10〜1300ppm含むことを特徴とする特
許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミニウム
焼結体。 3.希土類元素がY,Ce,ScおよびDyから選ばれた少なく
とも一種であることを特徴とした特許請求の範囲第1項
記載の高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体。 4.密度が3.255〜3.285g/cm3であることを特徴とした
特許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミニウ
ム焼結体。 5.密度が3.259〜3.264g/cm3であることを特徴とする
特許請求の範囲第1項記載の高熱伝導性窒化アルミニウ
ム焼結体。 6.500nmにおける見掛けの吸収係数が50cm-1以下であ
り、330nmにおける見掛け吸収係数が70cm-1以下である
ことを特徴とする特許求の範囲第1項記載の高熱伝導性
窒化アルミニウム焼結体。 7.500nmにおける見掛けの吸収係数が20cm-1以下で、
かつ330nmにおける見掛けの吸収係数が50cm-1以下であ
ることを特徴とした特許請求の範囲第1項記載の高熱伝
導性窒化アルミニウム焼結体。
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1987
- 1987-05-08 JP JP62110813A patent/JP2856734B2/ja not_active Expired - Lifetime
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