JP2855540B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2855540B2
JP2855540B2 JP18151390A JP18151390A JP2855540B2 JP 2855540 B2 JP2855540 B2 JP 2855540B2 JP 18151390 A JP18151390 A JP 18151390A JP 18151390 A JP18151390 A JP 18151390A JP 2855540 B2 JP2855540 B2 JP 2855540B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は半導体装置、特に半導体パワーデバイスのタ
ーン・オフ時の高速化に関するものである。
(従来技術とその問題点) 電力用半導体素子であるGTOサイリスタ(ゲート・タ
ーン・オフ・サイリスタ)は、電動機の速度制御インバ
ータや、車輌用大容量チョッパ及びインバータ等の大電
力制御への応用が可能なスイッチング素子である。ま
た、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)は低制
御電力でありながら大電力が扱える長所のために、パワ
ーシステムへの応用が試みられている。これらのデバイ
スはバイポーラモードで動作するために、その電流容量
が大きいが、高耐圧化のために、デバイス内部を二つの
トランジスタモデルで表現した場合、一方のトランジス
タのベース幅を大きくするために、そこに少数キャリヤ
がターン・オフ時に蓄積しており、またこれらのデバイ
スはこの蓄積少数キャリヤを積極的には排除しないの
で、ターン・オフに時間がかかるだけでなく、ターン・
オフ期間の特にテイル期間が長くなってターン・オフ損
失も増大するという問題を有している。
このターン・オフ時間の改善のための手段として、例
えばライフタイム制御を用いて幅の広いベース部のライ
フタイムを縮少して、高速化を図る方法もあるが、その
反面この方法ではオン電圧の増大をもたらし、高速化と
オン電圧の間にトレードオフの関係を生じて、その改善
は制約を受ける。従って抜本的な高速ターン・オフ化は
困難である。
(発明の目的) 本発明はターン・オフ時にデバイス内部に存在する、
広いベース幅のトランジスタのベース領域に残留してい
る、少数キャリヤを消減させる手段をターン・オフ動作
に付加することにより、従来のライフタイム制御技術が
もたらしていた、オン電圧の増大と云う問題点を生じさ
せることなく高速ターン・オフを実現して、半導体デバ
イスの大容量化に際しても、高周波化が実現できる半導
体装置の提供による。
(問題点を解決するための本発明の手段) 本発明の特徴とするところの第1点は、pnpn形構造に
おいて、第1図に示すように二つのベース領域のうちの
広いベース領域B1内に、領域B1とは逆の伝導形の高不純
物密度領域C+と、領域B1と同一伝導形であって、高不純
物密度の領域B1 +とをそれぞれ設けることである。
そしてこれにより導通状態においては、C+領域がエミ
ッタ領域E1から領域B1内に注入されてベース領域B1に達
する、殆どの少数キャリヤの通過経由領域となり、B1 +
領域が通過の阻止領域となるようにする一方、B1領域内
の多数キャリヤにとってはB1 +領域が低抵抗であって、 主たる通過領域となる機構を有するようにしていること
である。
第2点はベース幅の狭いトランジスタをオフさせるタ
ーン・オフ動作の開始と同時に、C+領域とB1領域(また
はB1 +領域)を短絡するスイッチング素子TSを設けて、
デバイス内部のベース幅の広いベース領域B1内の少数キ
ャリヤを、ターン・オフ時に積極的に消滅させるように
した点にある。勿論このスイッチング素子Tsは、デバイ
ス内部に集積化しても良い。
そして以上の2点により、従来までのデバイスでは排
除されずに残る、幅の広いベース領域B1における残留少
数キャリヤの積極的な消滅を図って、ターン・オフ時間
の大幅な短縮を図ると同時に、ライフタイム技術の採用
の必要をなくして、低オン電圧を満足させながら高速タ
ーン・オフを実現できるようにしたものである。
以下に本発明によるターン・オフ・デバイスの実施例
について説明する。
(実施例1) 第2図はターン・オフをフォトトランジスタTr2を用
いて行うようにした、本発明における広いベース領域に
おけるターン・オフの際の少数キャリヤの消滅機構を、
GTOサイリスタに適用した本発明の実施例を示す。アノ
ード電極A,カソード電極K,及びゲートGを含む面の単一
ユニットの断面構造図である。
ここで第1図のエミッタ領域E1とE2は、それぞれアノ
ードエミッタPEと、カソードエミッタNEに対応し、幅の
広いベース領域B1とはNベースNBが対応し、幅の狭いベ
ース領域B2とはPベースPBが対応している。更に第1図
の領域C+及び領域B1 +は、それぞれ第2図のPC +のNB +
対応しており、電極CとBを設けている。またゲートG
とカソード電極K間に接続したフォトトランジスタTr1
と直流電源Erは、通常のGTOサイリスタのターン・オフ
駆動を光信号により行うようしたゲート回路構成になっ
ている。更に電極CとB間に外部接続したフォトトラン
ジスタTr2は、電極G−K間にあるトランジスタTr1と光
信号とを用いて連動させることにより、ターン・オフ時
にPC +とNB +領域を電気的に短絡して、NベースNBに蓄積
している少数キャリヤの正孔を、PC +領域から引き出す
働きをするものであって、本発明の特徴となっていると
ころである。勿論、BC間の回路に電源を付加することに
より、ターン・オフ動作を加速できることは言うまでも
ない。
次にこの実施例のGTOサイリスタの製作について説明
する。抵抗率約100Ω・cm、厚み約300μmのn形シリコ
ン基板をベース領域とし、n形の選択により下面からNB
+領域を表面密度約5×1018/cm3、深さ約30μmで形成
する。次に、上面からPC +、下面からPE領域を同時にp
形の選択拡散により、表面密度約5×1019/cm3、深さ約
20μmで形成を行う。次に上面のPC +側の表面にn形の
エピタキシャル成長を行い、基板NBと同程度の低不純物
密度で約30μmのN層を形成する。更に、選択拡散技術
により、順次p形拡散、n形拡散を行って、それぞれ表
面密度約1018/cm3、深さ約15μmのPB領域,表面密度約
5×1019/cm3、深さ約5μmのNエミッタNE領域を形成
する。次に、シリコンの選択エッチング技術により、上
面からPC +領域の一部が露出するようにエピタキシャル
成長層を取り除き、最後のプロセスとして各電極を形成
しリード線をとることにより、本発明のデバイスが実現
できる。
このような構成をもつGTOサイリスタの動作機構につ
いて説明すると、次のようになる。
導通状態においては、アノードエミッタから注入され
た正孔は、NB +が正孔に対してポテンシャルが高くなる
ため、NB +領域を通過しないで、NB +領域を迂回するよう
にNベースを走行して、主としてPC +領域を経由するよ
うにPベースに向かうことになる。一方カソードエミッ
タから注入された電子は、電子に対してポテンシャルの
高いPC +領域には流入せずに、Nベースを走行し、低抵
抗領域のNB +領域を通過してアノード側に流れることに
なる。
この導通状態にある素子に、第2図に示してある構成
で、光信号によるターン・オフ動作を以下に説明する。
二つのフォトトランジスタTr1,Tr2に同時に光信号パル
スを照射する、Tr1により通常のゲートGカソードK間
に逆バイアスが印加されるターン・オフ動作が開始さ
れ、ゲートGからPB領域の蓄積キャリヤが引き出される
ことになる。同時に、Tr2は導通し電極CとBは短絡さ
れて、PC +領域からNベース中の少数キャリヤの正孔が
引き出され金属電極C上でNB +領域から引き出される電
子と再結合することになるので、nベース中の少数キャ
リヤは消滅して行くことになる。従ってnベース中の蓄
積少数キャリヤが積極的に消滅して行くので、テイル期
間の短いターン・オフ特性となり、かつターン・オフ損
失も激減して行く。なおここで、フォトトランジスタTr
2は高耐圧であることが動作上望ましい。更に、第2図
には示していないが、電極A及びB間にもフォトトラン
ジスタを外部的に接続して2つのフォトトランジスタTr
1,Tr2で連動させることにより、アノードエミッタから
の正孔注入もくい止められることになるので、より高速
になることは云うまでもない。これに加えてこの例では
光信号により行なえるので、各フォトトランジスタTr1,
Tr2を同時に駆動できるばかりでなく、制御信号用のデ
バイス系との電気的絶縁性が非常によくなり、GTOサイ
リスタも誤動作しにくいと云う長所も加わることにな
る。
(実施例2) 第3図は、本発明における広いベース領域におけるタ
ーン・オフの際の少数キャリヤの消滅機構をMOS制御に
よる縦形構造のGTOサイリスタに実施した例で制御用のM
OSゲートを集積化し、かつ通常のGTOのターン・オフ動
作と本発明の広いベース領域による少数キャリヤの消滅
機構を等価的に単一ゲート駆動で行なえるように工夫を
施した、単一ユニット構造のアノード電極A、カソード
電極K及び各ゲート電極を含む断面図とターン・オフ動
作用のゲート回路及び主電源回路図である。
本構造の各領域については、実施例1の第2図と共通
な領域については同じ記号を用いており、その場合の各
領域の形状,寸法及び不純物密度は第2図と同程度とな
っている。実施例1と異なる点は、PB領域とPC +上にそ
れぞれNチャンネルMOSFETを集積化し、それぞれMOSゲ
ートG1,G2を設けている点であり、両方のMOSゲートの特
性を同等にするために、PC +上にはPB領域と同じプロセ
スでPC +領域と連結するようなPC領域を設ける工程を導
入する必要があり、PC領域表面に最終的にMOSゲートを
形成するプロセスを採用することになる。各MOSゲート
直下に存在するN+領域はカソードエミッタNE +と同じ選
択n形拡散で形成するこになり、更に各々N+領域はその
下にあるP形領域と表面で金属電極を介して短絡するよ
うな構成をとっており、PC上では金属電極CCを介してPC
層とN+領域が、またPB上では金属電極Gを介してPBとN+
領域が短絡している。また、本実施例の構成によれば、
実施例1の電極Bは不要となる。第3図における電源E0
及び抵抗RLは、アノードA,カソードK間に接続する主電
源及び負荷抵抗に相当し、ゲート回路の電源Egは、MOS
ゲートG1,G2に印加するターン・オフ信号電圧に相当す
る。
このような構成をもつMOS制御によるターン・オフ動
作によるGTOサイリスタの、動作について以下説明す
る。導通状態においては、実施例1と同様に、アノード
エミッタPEから注入する正孔でPベースPBに到達するも
のを、ほとんどPC +層を経由させるようにしているのが
特徴である。素子上に集積化したMOSゲートG1は、通常
のMOS制御のターン・オフ・サイリスタと同様にPベー
ス内の正孔を消滅させる制御の働きを持つ。MOSゲートG
2は、本発明の特徴であり、Nベース内の正孔を消滅す
る働きがあり、ターン・オフ期間のみに、正孔が経由し
ているPC層と過剰電子の存在するNB層をそのゲート直下
のnチャンネルMOSFETで短絡させる制御ゲートとして用
いるものであり、実効的にNベース内の正孔と電子の再
結合を促進する。従って、ターン・オフ時にNベース内
の正孔を消滅させて、Pベースへの正孔供給を抑制する
ことにより、高速ターン・オフ動作(テイル期間の短
縮)と可制御電流の増大が期待できる。さらに、この二
つのMOSゲートを結線することにより、NベースとPベ
ースの正孔同時消滅によるターン・オフ動作を3端子動
作により行うことが出来る。この実施例においてはMOS
ゲートG2を使用するにあたって、ターン・オフ動作に悪
影響を与えないために、ターン・オフ時に存在するゲー
ト酸化膜直下の蓄積層に起因する二つのPENB接合及びPC
NB接合の雪崩増倍現象が生じないような条件を採用する
必要がある。第1の条件は、ターン・オフ過程で、素子
の中央接合であるPENB接合から空乏層が伸びてきてPC +
層に達するまではMOSゲートG2直下の蓄積層が存在して
も、雪崩現象が起こらないように、PC +領域とPB領域間
の寸法を設定することである。第2の条件は、ターン・
オフ過程で、PENB接合からの空乏層がPC層に達する直前
には、この蓄積層が消滅して、PCNB接合で雪崩が生じな
い条件で必要である。この条件は、ターン・オフ信号と
してMOSゲートG2に印加する電圧を制限することで満足
させることができる。
この素子ではさらにターン・オフ過程の末期状態にお
いて、PENB接合からの空乏層が伸びてくることにより、
MOSゲートG2の酸化膜直下を空乏化するように設計する
ことにより、この酸化膜にはあまり大きな電圧が印加さ
れないようにすることができ、信頼性の向上が期待でき
る。
以上の実施例2によれば、PベースとNベース内の正
孔消滅が行なえるので、ターン・オフ時間特にテイル時
間の短縮が可能となり、ターン・オフ損失が減少しかつ
可制御電流の増大が期待できる。更に、PベースとNベ
ースの正孔消滅がゲートG1とG2を短絡することにより、
見かけ上一つのゲート駆動で行なえるので、駆動しやす
さも長所となる。
(実施例3) 実施例2は大電力に有利な縦形構造であるが、本発明
はパワーIC系に応用できる横形の素子にも適用できる。
第4図はその適用例を示す断面図であって、この場合第
3図と共通な領域については同一記号を用いている。
素子の作成にあたっては、N形の高不純物密度基板
(約1019/cm3程度、厚み約300μm)上にN形の低不純
物密度のエピタキシャル成長層(約5×1014/cm3、厚み
約30μm)をもつシリコン基板を用いる。最初に表面か
らアノードエミッタPE及びPC +層を同時にP形の選択拡
散により、表面密度約1019/cm3、深さ10μmになるよう
に形成し、次にP形拡散により(表面密度約5×1017/c
m3、深さ約5μm)PCとPB領域を形成する。次にN形拡
散(表面密度約5×1019/cm3、厚み約3μm)によりカ
ソードエミッタNEとN+層を形成し、MOSゲートG1,G2を形
成し、最後に各電極を形成することで実現できる。
この第4図に示す横形素子の設計上において留意する
点については、第3図に示した縦形構造の素子の場合と
殆ど同様であり、ターン・オフ方式についても同様とな
ることは言うまでもな。
(発明の効果) 以上のように本発明は、ターン・オフ期間に幅の広い
ベースに蓄積している少数キャリヤを消滅させる手段
を、通常のターン・オフ動作に付加させたものであるの
で、高速ターン・オフを実現でき、従来のライフタイム
制御技術と異ない、高速化を図ってもオン電圧の増大を
もたらすことはない。従って大電力においても、高周波
化を必要とするパワーシステムの応用への手段を提供で
きるもので、その効果は大きい。
また以上の説明では本発明を、GTOサイリスタに適用
した場合について述べたが、本発明はIGBTなどのように
pnpn4層構造を有し、二つの等価回路モデルで表現され
るバイポーラ形のデバイス全般に適用して前記と同様の
効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるターン・オフデバイスの基本的説
明図、第2図は本発明のターン・オフデバイスを光信号
によるターン・オフ動作に適用した実施例の説明図、第
3図は本発明ターン・オフデバイスをMOS制御による縦
形構造のターン・オフ動作に適用した実施例の説明図、
第4図は第3図の実施例を横形構造とした本発明の実施
例の説明図である。 E1,PE……幅の広いトランジスタ部のエミッタ領域、A
……その電極、B1,NB……幅の広いトランジスタ部のベ
ース領域、B1 +,NB +……ベース領域B1(NB)に設けたB1
(NB)と同一伝導形の高不純物密度領域、B……その電
極、C+,PC +……ベース領域B1(NB)に設けたB1(NB)と
逆の伝導形の高不純物密度領域、C……その電極、E
2(NE)……幅の狭いトランジスタ部のエミッタ領域、
K……その電極、B2,(PB)……幅の狭いトランジスタ
部のベース領域、G……その電極、PC……ベース領域、
TS……領域C+とB1 +をターン・オフ時−短絡するスイッ
チング素子、Tr1,Tr2……フォトトランジスタ、Er,Eg,E
0……直流電源、G1,G2……デバイス内に作製したMOSゲ
ート、RL……負荷抵抗。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 光照 宮城県宮城郡七ケ浜町汐見台3丁目2番 地の56 (72)発明者 平井 実 埼玉県飯能市南町10番13号 新電元工業 株式会社工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/332 H01L 29/74 - 29/749

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pnpn4層構造を有し二つのトランジスタの
    等価回路モデルで表現されるバイポーラ形のデバイスで
    あって、ベース幅の広いトランジスタのエミッタ領域を
    E1、ベース領域をB1、他方のベース幅の狭いトランジス
    タのエミッタ領域をE2、ベース領域をB2とし、このB2
    域から過剰キャリヤを引出すか、またエミッタ領域E2
    らのキャリヤ注入を止めることにより、ベース幅の狭い
    即ち電流増幅率の高いトランジスタをオフさせる通常の
    ターン・オフ動作により、導通状態から阻止状態に移行
    させるターン・オフ・デバイスにおいて、 前記ベース領域B1内に領域B1とは逆の伝導形の高不純物
    密度領域C+及び領域B1と同一伝導形であって高不純物密
    度の領域B1 +を設け、また通常のターン・オフ動作の開
    始と同時に、前記C+領域とB1またはB1 +領域を短絡する
    スイッチング素子を設けたことを特徴とする半導体装
    置。
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