JP2855473B2 - 引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法 - Google Patents

引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法

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【発明の詳細な説明】 (1)発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
定方法に関し、特に、表裏両面が化学研磨された未鏡面
研磨の引上シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュー
スター角で入射せしめて測定した光透過特性と表裏両面
が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域シリコンウェー
ハに対し平行偏光をブリュースター角で入射せしめて測
定した光透過特性とから引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度を算出してなる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種の引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法としては、表裏両面が化学研磨された未鏡面
研磨の引上シリコンウェーハと、表裏両面が化学研磨に
よってシリコンウェーハの表裏両面と同一の光学的挙動
を確保するよう加工された対照としての浮遊帯域シリコ
ンウェーハとに対して赤外光を同時に入射せしめること
により、引上シリコンウェーハの光透過特性および浮遊
帯域シリコンウェーハの光透過特性を測定して引上シリ
コンウェーハの格子間酸素濃度を求めてなるものが、提
案されていた。
[解決すべき問題点] しかしながら、従来の引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法では、引上シリコンウェーハの表裏両
面が未だ鏡面研磨されていなかったので、(i)光学的
な挙動を同一とするために対照としての浮遊帯域シリコ
ンウェーハの表裏両面も引上シリコンウェーハの表裏両
面と同様に化学研磨しなければならない欠点があり、ひ
いては(ii)測定作業が煩雑となる欠点があり、更に
(iii)測定精度を改善できない欠点もあった。
そこで、本発明は、これらの欠点を除去する目的で、
表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェーハを
そのまま対照として使用可能とすることにより測定作業
を簡潔としかつ測定精度を改善してなる引上シリコンウ
ェーハの格子間酸素濃度測定方法を提供せんとするもの
である。
(2)発明の構成 [問題点の解決手段] 本発明により提供される問題点の解決手段は、 「(a)表裏両面が化学研磨された未鏡面研磨の引上シ
リコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で入
射せしめることにより引上シリコンウェーハの光透過特
性を測定するための第1の工程と、 (b)表裏両面が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域
シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で
入射せしめることにより浮遊帯域シリコンウェーハの光
透過特性を測定するための第2の工程と、 (c)第1の工程によって測定された引上シリコンウェ
ーハの光透過特性と第2の工程によって測定された浮遊
帯域シリコンウェーハの光透過特性とから引上シリコン
ウェーハの格子間酸素濃度を算出するための第3工程と を備えてなる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
定方法」 である。
[作用] 本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法は、上述の[問題点の解決手段]の欄に明示
したごとく、表裏両面が化学研磨された未鏡面研磨の引
上シリコンウェーハの光透過特性と表裏両面が鏡面研磨
された浮遊帯域シリコンウェーハの光透過特性とから引
上シリコンウェーハの格子間酸素濃度を算出しているの
で、 (i)表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェ
ーハを化学研磨することなく鏡面のままで使用可能とす
る作用 をなし、ひいては (ii)測定作業を簡潔とする作用をなし、更に (iii)測定精度を改善する作用 をなす。
[実施例] 次に、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法について、その好ましい実施例を挙
げ、添付図面を参照しつつ、具体的に説明する。
(添付図面の説明) 第1図は、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格
子間酸素濃度測定方法の一実施例を実行する測定装置を
示すための簡略構成図である。
第2図および第3図は、本発明にかかる引上シリコン
ウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施例を説明す
るための説明図である。
(実施例の構成・作用) まず、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法の一実施例について、その構成および
作用を詳細に説明する。
本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法は、表裏両面が化学研磨された未鏡面研磨の
シリコンウェーハ(“化学研磨引上シリコンウェーハ”
という)に対し平行偏光をブリュースター角で入射せし
めることにより引上シリコンウェーハ(すなわち化学研
磨引上シリコンウェーハ)の光透過特性(ここでは透過
光強度IOBS;以下同様)を測定するための第1の工程
と、表裏両面が化学研磨ののちに鏡面研磨された対照と
しての浮遊帯域シリコンウェーハ(“鏡面研磨浮遊帯域
シリコンウェーハ”という)に対し平行偏光をブリュー
スター角φで入射せしめることにより浮遊帯域シリコ
ンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮遊帯域シリコンウェー
ハ)の光透過特性(ここでは透過光強度IO;以下同様)
を測定するための第2の工程と、第1の工程によって測
定された引上シリコンウェーハ(すなわち化学研磨引上
シリコンウェーハ)の光透過特性(ここでは透過光強度
IOBS)と第2の工程によって測定された浮遊帯域シリコ
ンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮遊帯域シリコンウェー
ハ)の光透過特性(ここでは透過光強度IO)とから引上
シリコンウェーハの格子間酸素濃度[OiC]を算出する
ための第3工程とを備えている。
第1,第2の工程で、それぞれ、引上シリコンウェーハ
(すなわち化学研磨引上シリコンウェーハ)および浮遊
帯域シリコンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮遊帯域シリ
コンウェーハ)に対してそれぞれブリュースター角φ
で平行偏光を入射せしめる根拠は、引上シリコンウェー
ハ(すなわち化学研磨引上シリコンウェーハ)および浮
遊帯域シリコンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮遊帯域シ
リコンウェーハ)への平行偏光の入射および出射に際し
て反射が生じることを実質的に阻止し、引上シリコンウ
ェーハ(すなわち化学研磨引上シリコンウェーハ)およ
び浮遊帯域シリコンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮遊帯
域シリコンウェーハ)の内部で多重反射が生じることを
防止することにある。ここで、平行偏光とは、入射対照
(ここでは化学研磨引上シリコンウェーハならびに鏡面
研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)への入射面に平行な成
分のみを有する偏光をいう。また、引上シリコンウェー
ハとは、引上法(いわゆる“チョクラルスキー法”)に
よって製造されたシリコン単結晶から作成されたシリコ
ンウェーハをいい、通常はシリコン単結晶の切断工程に
よって発生した表裏両面の破砕層を除去するために機械
研磨工程ののちに化学研磨されている。更に、浮遊帯域
シリコンウェーハとは、浮遊帯域溶融法によって製造さ
れたシリコン単結晶から作成されたシリコンウェーハを
いう。
第2の工程で、浮遊帯域シリコンウェーハが対照とし
て採用されている根拠は、その格子間酸素濃度[OiF
が引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度[OiC]に比
べて極めて小さいことにある。また、浮遊帯域シリコン
ウェーハの表裏両面が鏡面研磨されている根拠は、入射
光(ここでは、平行偏光)が表裏両面で散乱されること
を防止することにある。
第3の工程で、第1の工程によって測定された引上シ
リコンウェーハ(すなわち化学研磨引上シリコンウェー
ハ)の光透過特性(ここでは透過光強度IOBS)と第2の
工程によって測定された浮遊帯域シリコンウェーハ(す
なわち鏡面研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)の光透過特
性(ここでは透過光強度IO)とから引上シリコンウェー
ハの格子間酸素濃度[OiC]を算出する要領は、以下の
とおりである。
まず、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度
[OiC]は、引上シリコンウェーハの格子間酸素の振動
に起因した光吸収係数(“引上シリコンウェーハの光吸
収係数”ともいう)αと変換係数k(現在3.03×1017
個/cm2と考えられている;以下同様)とを用いて [OiC]=kα のごとく表現できる。ここで、引上シリコンウェーハの
光吸収係数αは、格子間酸素の振動に起因した波数11
06cm-1における肉厚dの引上シリコンウェーハの吸光度
Aとブリュースター角φで入射された平行偏光の光路
長l=1.042dとを用いて、ランベルト−ベールの法則か
ら、 とごとく表現できる。
引上シリコンウェーハの吸光度Aは、両面鏡面加工さ
れた引上シリコンウェーハ(“鏡面研磨引上シリコンウ
ェーハ”ともいう)の光透過特性(ここでは透過光強度
I)と浮遊帯域シリコンウェーハ(すなわち鏡面研磨浮
遊帯域シリコンウェーハ)の光透過特性(ここでは透過
光強度IO)とを用いて のごとく表現できるので、化学研磨引上シリコンウェー
ハの光透過特性(ここでは透過光強度IOBS)と鏡面研磨
浮遊帯域シリコンウェーハの光透過特性(ここでは透過
光強度IO)と化学研磨引上シリコンウェーハの表面にお
ける光散乱特性(ここでは散乱光強度IS1)と化学研磨
引上シリコンウェーハの裏面における光散乱特性(ここ
では散乱光強度IS2)とを用いて のごとく表現できる。
したがって、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度
[Oic]は、 と求められる。
ここで、 は、化学研磨引上シリコンウェーハの光透過特性(ここ
では透過光強度IOBS)およびその表裏両面における光散
乱特性(ここでは散乱光強度IS1,IS2)の和と鏡面研磨
浮遊帯域シリコンウェーハの光透過特性(ここでは透過
光強度IO)との比の逆数の自然対数である吸光度から算
出されるが、具体的には格子間酸素濃度[Oic]が0で
ない場合の吸光度特性(実線で示す)の波数1106cm-1
おける値(すなわちピーク値)と格子間酸素濃度
[Oic]が0である場合の吸光度特性(破線で示す)の
波数1106cm-1における値とから第2図に示したごとく求
められる。
(実施例の実行装置) また、第1図を参照しつつ、本発明にかかる引上シリ
コンウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施例を実
行するための測定装置について、その構成および作用を
詳細に説明する。
10は、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法を実行するための測定装置であって、
グローバー灯などの光源11と、光源11から与えられた光
を半透明鏡12Aによって2つに分けて可動鏡12Bおよび固
定鏡12Cによって反射せしめたのち重ね合わせることに
より干渉光を形成するマイケルソン干渉計12と、マイケ
ルソン干渉計12から与えられた光(すなわち干渉光)を
偏光せしめて得た平行偏光を試料(ここでは化学研磨引
合シリコンウェーハ)Mおよび対照(ここでは鏡面研磨
浮遊帯域シリコンウェーハ)Rに与えるための偏光子13
と、試料Mの光透過特性(ここでは平行偏光の透過光強
度IOBS)および対照Rの光透過特性(ここでは平行偏光
の透過光強度IO)を検出するための検出器14と、検出器
14に接続されており試料Mの光透過特性(すなわち透過
光強度IOBS)および対照Rの光透過特性(すなわち透過
光強度IO)から吸光度特性を算出したのち試料Mの格子
間酸素濃度を算出するための計算装置15とを備えてい
る。試料Mおよび対照Rと検出器14との間には、必要に
応じ、反射鏡16A,16Bが挿入されている。ちなみに、マ
イケルソン干渉計12と偏光子13との間には、必要に応
じ、反射鏡(図示せず)が挿入されていてもよい。
しかして、測定装置10では、光源11から与えられた光
からマイケルソン干渉計12によって作成された干渉光
が、偏光子13によって平行偏光とされたのち、試料Mお
よび対照Rに与えられる。
試料Mおよび対照Rでは、その光学特性に応じて吸収
ならびに散乱が行なわれるので、検出器14による検出結
果から計算装置15によって算出された吸光度特性は、第
2図に示したごとき形状となる。
計算装置15は、第2図もしくはこれに相当する表から を求めたのち試料(すなわち化学研磨引上シリコンウェ
ーハ)Mの光吸収係数αのごとく算出し、更に試料(すなわち化学研磨引上シリ
コンウェーハ)Mの格子間酸素濃度[Oic]を のごとく算出する。
(具体例) 加えて、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子
間酸素濃度測定方法の理解を促進する目的で、具体的な
数値などを挙げて説明する。
実施例1〜22 引上シリコンウェーハは、まず、表裏両面が化学研磨
されかつ表裏両面がともに鏡面研磨されていない状態
(すなわち化学研磨引上シリコンウェーハの状態)で、
本発明にかかる格子間酸素濃度測定方法にしたがって格
子間酸素濃度[Oic]が測定された(第1表参照)。
そののち、引上シリコンウェーハは、表裏両面が鏡面
研磨され、この状態(すなわち鏡面研磨引上シリコンウ
ェーハの状態)で、本発明にかかる格子間酸素濃度測定
方法にしたがって格子間酸素濃度[Oicが測定され
た(第1表参照)。
化学研磨引上シリコンウェーハについて測定された格
子間酸素濃度[Oic]と鏡面研磨引上シリコンウェーハ
について測定された格子間酸素濃度[Oicとは、そ
れぞれを縦軸Yおよび横軸Xとするグラフ上にプロット
したところ、第3図に示すとおり、直線Y=X上にあっ
て十分に一致していた。
これにより、本発明によれば、化学研磨引上シリコン
ウェーハおよび鏡面研磨浮遊帯域シリコンウェーハをそ
のまま試料および対照として採用することにより、引上
シリコンウェーハの格子間 酸素濃度[Oic]を直接に測定できることが判明した。
(変形例) なお、上述では、マイケルソン干渉計12を利用した場
合についてのみ説明したが、本発明は、これに限定され
るものではなく、マイケルソン干渉計に代え分光器を利
用する場合をも包摂している。
(3)発明の効果 上述より明らかなように、本発明にかかる引上シリコ
ンウェーハの格子間酸素濃度測定方法は、上述の[問題
点の解決手段]の欄に開示したごとく、表裏両面が化学
研磨された未鏡面研磨の引上シリコンウェーハの光透過
特性と表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェ
ーハの光透過特性とから引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度を算出しているので、 (i)表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェ
ーハを化学研磨することなく鏡面のままで使用可能とで
きる効果 を有し、ひいては (ii)測定作業を簡潔とできる効果 を有し、更に (iii)測定精度を改善できる効果 を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法の一実施例を実行するための装置を示
す簡略構成図、第2図および第3図は本発明にかかる引
上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施
例を説明するための説明図である。10 ……格子間酸素濃度測定装置 11……光源 12……マイケルソン干渉計 12A……半透明鏡 12B……可動鏡 12C……固定鏡 13……偏光子 14……検出器 15……計算装置 16A,16B……反射鏡 M……試料 R……対照
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/66 H01L 21/66 Z (56)参考文献 特開 昭56−160643(JP,A) 特開 昭56−154648(JP,A) 特開 平1−132935(JP,A) 特開 昭64−83135(JP,A) 特開 昭55−71934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/66 G01N 21/21 G01N 21/59 G01R 31/26 H01L 21/304

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)表裏両面が化学研磨された未鏡面研
    磨の引上シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュース
    ター角で入射せしめることにより引上シリコンウェーハ
    の光透過特性を測定するための第1の工程と、 (b)表裏両面が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域
    シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で
    入射せしめることにより浮遊帯域シリコンウェーハの光
    透過特性を測定するための第2の工程と、 (c)第1の工程によって測定された引上シリコンウェ
    ーハの光透過特性と第2の工程によって測定された浮遊
    帯域シリコンウェーハの光透過特性とから引上シリコン
    ウェーハの格子間酸素濃度を算出するための第3の工程
    と を備えてなる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
    定方法。
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