JP2897932B2 - 引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法 - Google Patents

引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法

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【発明の詳細な説明】 (1)発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
定方法に関し、特に、表面のみが鏡面研磨されて裏面は
粗面とされた引上シリコンウェーハに対し平行偏光をブ
リュースター角で入射せしめて測定した光透過特性と表
裏両面が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域シリコン
ウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で入射せし
めて測定した光透過特性とから引上シリコンウェーハの
格子間酸素濃度を算出してなる引上シリコンウェーハの
格子間酸素濃度測定方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種の引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法としては、表面が鏡面研磨されかつ裏面が表
面の鏡面研磨に後続する処理工程において表裏両面の識
別を容易とする目的で粗面とされたまま放置された引上
シリコンウェーハと、表面が鏡面研磨されかつ裏面が引
上シリコンウェーハの裏面と同一の光学的な挙動を確保
するために粗面とされた対照としての浮遊帯域シリコン
ウェーハとに対して赤外光を同時に入射せしめることに
より、引上シリコンウェーハの光透過特性および浮遊帯
域シリコンウェーハの光透過特性を測定して引上シリコ
ンウェーハの格子間酸素濃度を求めてなるものが、提案
されていた。
[解決すべき問題点] しかしながら、従来の引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法では、引上シリコンウェーハの裏面が
表面との識別を容易とする目的で粗面とされていたの
で、(i)光学的な挙動を同一とするために対照として
の浮遊帯域シリコンウェーハの裏面も粗面としなければ
ならない欠点があり、ひいては(ii)測定作業が煩雑と
なる欠点があった。
そこで、本発明は、これらの欠点を除去する目的で、
表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェーハを
そのまま対照として使用可能とすることにより測定作業
を簡潔としてなる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法を提供せんとするものである。
(2)発明の構成 [問題点の解決手段] 本発明により提供される問題点を解決手段は、 「(a)表面のみが鏡面研磨されて裏面は粗面とされた
引上シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター
角で入射せしめることにより引上シリコンウェーハの光
透過特性を測定するための第1の工程と、 (b)表裏両面が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域
シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で
入射せしめることにより浮遊帯域シリコンウェーハの光
透過特性を測定するための第2の工程と、 (c)第1の工程によって測定された引上シリコンウェ
ーハの光透過特性と第2の工程によって測定された浮遊
帯域シリコンウェーハの光透過特性とから引上シリコン
ウェーハの格子間酸素濃度を算出するための第3の工程
と を備えてなる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
定方法」 である。
[作用] 本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法は、上述の[問題点の解決手段]に明示した
ごとく、表面のみが鏡面研磨されて裏面は粗面とされた
引上シリコンウェーハの光透過特性と表裏両面が鏡面研
磨された浮遊帯域シリコンウェーハの光透過特性とから
引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度を算出している
ので、 (i)表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェ
ーハの裏面を粗面とすることなく鏡面のまま使用可能と
する作用 をなし、ひいては (ii)測定作業を簡潔とする作用 をなす。
[実施例] 次に、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法について、その好ましい実施例を挙
げ、添付図面を参照しつつ、具体的に説明する。
(添付図面の説明) 第1図は、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格
子間酸素濃度測定方法の一実施例を実行する測定装置を
示すための簡略構成図である。
第2図および第3図は、本発明にかかる引上シリコン
ウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施例を説明す
るための説明図である。
(実施例の構成・作用) まず、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法の一実施例について、その構成および
作用を詳細に説明する。
本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃
度測定方法は、表面のみが鏡面研磨されて裏面は粗面と
された引上シリコンウェーハ(“片面研磨引上シリコン
ウェーハ”という)に対し平行偏光をブリュースター角
で入射せしめることにより引上シリコンウェーハ(すな
わち片面研磨引上シリコンウェーハ)の光透過特性(こ
こでは透過光強度IOBS;以下同様)を測定するための第
1の工程と、表裏両面が鏡面研磨された対照としての浮
遊帯域シリコンウェーハ(“両面研磨浮遊帯域シリコン
ウェーハ”という)に対し平行偏光をブリュースター角
φBで入射せしめることにより浮遊帯域シリコンウェー
ハ(すなわち両面研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)の光
透過特性(ここでは透過光強度IO;以下同様)を測定す
るための第2の工程と、第1の工程によって測定された
引上シリコンウェーハ(すなわち片面研磨引上シリコン
ウェーハ)の光透過特性(ここでは透過光強度IOBS)と
第2の工程によって測定された浮遊帯域シリコンウェー
ハ(すなわち両面研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)の光
透過特性(ここでは透過光強度IO)とから引上シリコン
ウェーハの格子間酸素濃度[OiC]を算出するための第
3の工程とを備えている。
第1,第2の工程で、それぞれ、引上シリコンウェーハ
(すなわち片面研磨引上シリコンウェーハ)および浮遊
帯域シリコンウェーハ(すなわち両面研磨浮遊帯域シリ
コンウェーハ)に対してそれぞれブリュースター角φB
で平行偏光を入射せしめる根拠は、引上シリコンウェー
ハ(すなわち片面研磨引上シリコンウェーハ)および浮
遊帯域シリコンウェーハ(すなわち両面研磨浮遊帯域シ
リコンウェーハ)への平行偏光の入射および出射に際し
て反射が生じることを実質的に阻止し、引上シリコンウ
ェーハ(すなわち片面研磨引上シリコンウェーハ)およ
び浮遊帯域シリコンウェーハ(すなわち両面研磨浮遊帯
域シリコンウェーハ)の内部で多重反射が生じることを
防止することにある。ここで、平行偏光とは、入射対象
(ここでは片面研磨引上シリコンウェーハならびに両面
研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)への入射面に平行な成
分のみを有する偏光をいう。また、引上シリコンウェー
ハとは、引上法(いわゆる“チョクラルスキー法”)に
よって製造されたシリコン単結晶から作成されたシリコ
ンウェーハをいい、通常は後続の処理工程において表裏
両面の識別を容易としないしは使用されないために裏面
が鏡面研磨されることなく粗面のまま放置されている。
更に、浮遊帯域シリコンウェーハとは、浮遊帯域溶融法
によって製造されたシリコン単結晶から作成されたシリ
コンウェーハをいう。
第2の工程で、浮遊帯域シリコンウェーハが対照とし
て採用されている根拠は、その格子間酸素濃度[OiF
が引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度[OiC]に比
べて極めて小さいことにある。また、浮遊帯域シリコン
ウェーハの表裏両面が鏡面研磨されている根拠は、入射
光(ここでは平行偏光)が表裏両面で散乱されることを
防止することにある。
第3の工程で、第1の工程によって測定された引上シ
リコンウェーハ(すなわち片面研磨引上シリコンウェー
ハ)の光透過特性(ここでは透過光強度IOBS)と第2の
工程によって測定された浮遊帯域シリコンウェーハ(す
なわち両面研磨浮遊帯域シリコンウェーハ)の光透過特
性(ここでは透過光強度IO)とから引上シリコンウェー
ハの格子間酸素濃度[OiC]を算出する要領は、以下の
とおりである。
まず、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度
[OiC]は、引上シリコンウェーハの格子間酸素の振動
に起因した光吸収係数(“引上シリコンウェーハの光吸
収係数”ともいう)αEと変換係数k(現在3.03×1017
個/cm2と考えられている;以下同様)とを用いて [OiC]=kαE のごとく表現できる。ここで、引上シリコンウェーハの
光吸収係数αEは、波数1106cm-1における肉厚dの引上
シリコンウェーハの吸光度Aとブリュースター角φB
入射された平行偏光の光路長l=1.041dとを用いて、ラ
ンベルト−ベールの法則から、 のごとく表現できる。
引上シリコンウェーハの吸光度Aは、両面鏡面加工さ
れた引上シリコンウェーハ(“両面研磨引上シリコンウ
ェーハ”ともいう)の光透過特性(ここでは透過光強度
I)と浮遊帯域シリコンウェーハ(すなわち両面研磨浮
遊帯域シリコンウェーハ)の光透過特性(ここでは透過
光強度IO)とを用いて のごとく表現できるので、片面研磨引上シリコンウェー
ハの光透過特性(ここでは透過光強度IOBS)と両面研磨
浮遊帯域シリコンウェーハの光透過特性(ここでは透過
光強度IO)と片面研磨引上シリコンウェーハの裏面にお
ける光散乱特性(ここでは散乱光強度IS)とを用いて のごとく表現できる。
したがって、引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度
[OiC]は、 と求められる。
ここで、 は、片面研磨引上シリコンウェーハの光透過特性(ここ
では透過光強度IOBS)およびその裏面における光散乱特
性(ここでは散乱光強度IS)の和と両面研磨浮遊帯域シ
リコンウェーハの光透過特性(ここでは透過光強度IO
との比の逆数の自然対数を示しているが、実際には、裏
面における散乱光強度ISは測定することはできないの
で、上記式の計算によって直接に吸光度Aを求めること
はできない。
本発明において、測定した鏡面研磨浮遊帯域シリコン
ウェーハの透過光強度IOと片面研磨引上シリコンウェー
ハの透過光強度IOBSとから、吸光度Aを求めるには例え
は具体的には以下のようにすれはよい。
両者の差吸光度特性ln(IOBS/IO-1と波数との関係
を示した第2図のグラフにおいて、波数1106cm-1におけ
る差吸光度特性の値(すなわちピーク値)と波数1106cm
-1における前記差吸光度特性の補間線上の値とから第2
図に示したごとく、両者の差がln((IOBS+IS)/IO
-1となることを見出した。
このことは、後述の実施例1〜18で示すように、両面
を鏡面研磨して散乱のない状態にした両面研磨引上シリ
コンウェーハを用いて測定した光透過特性(透過光強度
I)と両面研磨浮遊帯域シリコンウェーハを用いて測定
した光透過特性(透過光強度IO)とを用いて計算した格
子間酸素濃度(k/1042d)・ln(I/IO)/IO-1とよく
一致していることから確認された。
このように平行偏光をブリュースター角で入射するこ
とにより、被測定ウェーハ内での多重反射の影響を除去
できるとともに、ウェーハの裏面(粗面とされた側)で
散乱する散乱光強度ISを測定できなくとも吸光度A=ln
((IOBS+IS)/I0-1を求めることができ、これによ
って格子間酸素濃度を求める方法は本発明者らにより初
めて提供されるものである。
(実施例の実行装置) また、第1図を参照しつつ、本発明にかかる引上シリ
コンウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施例を実
行するための測定装置について、その構成および作用を
詳細に説明する。
10は、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法を実行するための測定装置であって、
グローバー灯などの光源11と、光源11から与えられた光
を半透明鏡12Aによって2つに分けて可動鏡12Bおよび固
定鏡12Cによって反射せしめたのち重ね合わせることに
より干渉光を形成するマイケルソン干渉計12と、マイケ
ルソン干渉計12から与えられた光(すなわち干渉光)を
偏光せしめて得た平行偏光を試料(ここでは片面研磨引
上シリコンウェーハ)Mおよび対照(ここでは両面研磨
浮遊帯域シリコンウェーハ)Rに与えるための偏光子13
と、試料Mの光透過特性(ここでは平行偏光の透過光強
度IOBS)および対照Rの光透過特性(ここでは平行偏光
の透過光強度IO)を検出するための検出器14と、検出器
14に接続されており試料Mの光透過特性(すなわち透過
光強度IOBS)および対照Rの光透過特性(すなわち透過
光強度IO)から差吸光度特性を算出したのち試料Mの格
子間酸素濃度を算出するための計算装置15とを備えてい
る。試料Mおよび対照Rと検出器14との間には、必要に
応じ、反射鏡16A,16Bが挿入されている。
しかして、測定装置10では、光源11から与えられた光
からマイケルソン干渉計12によって作成された干渉光
が、偏光子13によって平行偏光とされたのち、試料Mお
よび対照Rに与えられる。
試料Mおよび対照Rでは、その光学特性に応じて吸収
ならびに散乱が行なわれるので、検出器14による検出結
果から計算装置15によって算出された差吸光度特性は、
第2図に示したごとき形状となる。
計算装置15は、第2図もしくはこれに相当する表から を求めたのち試料(すなわち片面研磨引上シリコンウェ
ーハ)Mの光吸収係数αEのごとく算出し、更に試料(すなわち片面研磨引上シリ
コンウェーハ)Mの格子間酸素濃度[OiC]を のごとく算出する。
(具体例) 加えて、本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子
間酸素濃度測定方法の理解を促進する目的で、具体的な
数値などを挙げて説明する。
実施例1〜18 引上シリコンウェーハは、まず、表面のみが鏡面加工
された状態(すなわち片面研磨引上シリコンウェーハの
状態)で、本発明にかかる格子間酸素濃度測定方法にし
たがって格子間酸素濃度[OiC]が測定された(第1表
参照)。
そののち、[OiC]を測定された各々の引上シリコン
ウェーハは、裏面が鏡面加工され、この状態(すなわち
両面研磨引上シリコンウェーハの状態)で、格子間酸素
濃度[OiC*が測定された(第1表参照)。
この場合には、両者のウェーハに散乱がないため、前
述のように両者の透過光強度IおよびIOを測定するのみ
で、[OiC]*=(k/1042d)・ln(I/IO-1によって格
子間酸素濃度が算出できる。
片面研磨引上シリコンウェーハについて測定された格
子間酸素濃度[OiC]と両面研磨引上シリコンウェーハ
について測定された格子間酸素濃度[OiC*とは、それ
ぞれを縦軸Yおよび横軸Xとするグラフ上にプロットし
たところ、第3図に 示すとおり、直線Y=X上にあって十分に一致してい
た。
これにより、本発明によれば、片面研磨引上シリコン
ウェーハおよび両面研磨浮遊帯域シリコンウェーハをそ
のまま試料および対照として採用することにより、引上
シリコンウェーハの格子間酸素濃度[OiC]を直接に測
定できることが判明した。
(変形例) なお、上述では、マイケルソン干渉計12を利用した場
合についてのみ説明したが、本発明は、これに限定され
るものではなく、マイケルソン干渉計に代え分光器を利
用する場合をも包摂している。
(3)発明の効果 上述より明らかなように、本発明にかかる引上シリコ
ンウェーハの格子間酸素濃度測定方法は、上述の[問題
点の解決手段]に開示したごとく、表面のみが鏡面研磨
されて裏面は粗面とされた引上シリコンウェーハの光透
過特性と表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウ
ェーハの光透過特性とから引上シリコンウェーハの格子
間酸素濃度を算出しているので、 (i)表裏両面が鏡面研磨された浮遊帯域シリコンウェ
ーハの裏面を粗面とすることなく鏡面のままで使用可能
とできる効果を有し、ひいては (ii)測定作業を簡潔とできる効果 を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる引上シリコンウェーハの格子間
酸素濃度測定方法の一実施例を実行するための装置を示
す簡略構成図、第2図および第3図は本発明にかかる引
上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測定方法の一実施
例を説明するための説明図である。10 ……格子間酸素濃度測定装置 11……光源 12……マイケルソン干渉計 12A……半透明鏡 12B……可動鏡 12C……固定鏡 13……偏光子 14……検出器 15……計算装置 16A,16B……反射鏡 M……試料 R……対照
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 21/66 H01L 21/66 Z (56)参考文献 特開 昭56−160643(JP,A) 特開 昭56−154648(JP,A) 特開 平1−132935(JP,A) 特開 昭64−83135(JP,A) 特開 昭55−71934(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/66 G01N 21/21 G01N 21/59 G01R 31/26 H01L 21/304

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)表面のみが鏡面研磨されて裏面は粗
    面とされた引上シリコンウェーハに対し平行偏光をブリ
    ュースター角で入射せしめることにより引上シリコンウ
    ェーハの光透過特性を測定するための第1の工程と、 (b)表裏両面が鏡面研磨された対照としての浮遊帯域
    シリコンウェーハに対し平行偏光をブリュースター角で
    入射せしめることにより浮遊帯域シリコンウェーハの光
    透過特性を測定するための第2の工程と、 (c)第1の工程によって測定された引上シリコンウェ
    ーハの光透過特性と第2の工程によって測定された浮遊
    帯域シリコンウェーハの光透過特性とから引上シリコン
    ウェーハの格子間酸素濃度を算出するための第3の工程
    と を備えてなる引上シリコンウェーハの格子間酸素濃度測
    定方法。
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