JP2855331B2 - 安定化赤リンおよびその製造方法 - Google Patents

安定化赤リンおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、安定化赤リンおよびその製造方法に関し、
更に詳しくは赤リンの表面にジルコニウムとアルミニウ
ムとの複合水酸化物の共沈積被覆層を形成し、その上に
熱硬化性樹脂を被覆形成してなることを特徴とする安定
化赤リンおよびその製造方法に関する。
本発明にかかる安定化赤リンは、合成樹脂の難燃剤と
して有用であり、樹脂、塗料あるいは接着剤の分野に利
用できる。また、特に高圧電子部品用エポキシ樹脂の難
燃剤として有用な耐湿性及び耐食性が改善されており電
子材料分野へも利用できる。
[従来の技術] 赤リンが合成樹脂に対し、すぐれた難燃効果を付与す
ることは周知のことであり、実際にも難燃剤として使用
されている。
しかしながら、赤リンはそのまま使用する場合、水分
と反応してホスフィンガスの発生を伴う加水分解反応を
生じせしめるので、従来より赤リンを有機又は無機の材
料により被覆して改質赤リンとして使用しており、数多
くの赤リン改質が提案されている。
例えば、硫酸アルミニウムと炭酸水素ナトリウムを用
いて赤リン表面上に水酸化アルミニウムを沈着させる方
法[グメリン著「ハンドブック デル アノルガニシエ
ン ケミエ]8版(1964年)“ホスホラス"B部、83頁
(Gmelin.「Handbuch der anorganishen Chemie」8th E
dition(1964),vol Phosphorus,Parts B.Page 83)] が報告されている。
しかしながら、この赤リンの改質方法は、赤リンの完
全な安定化のためには大量の水酸化アルミニウムを被覆
しなければならないため、赤リン難燃剤としての効果を
低めるばかりか、用途によっては悪影響を与えることが
ある。
また、赤リンの改質方法の他の例として、水酸化アル
ミニウムと亜鉛又はマグネシウムの水酸化物を複合して
被覆する方法(米国特許第2635953号明細書)、熱硬化
性樹脂で被覆した改質赤リン(特開昭51−105996号公
報)、赤リン表面を金属リン化物化した後に熱硬化性樹
脂で被覆した改質赤リン(特開昭52−125489号公報)、
赤リン表面をチタンの水和酸化物により被覆した改質赤
リン(米国特許第4421782号明細書)、あるいは、赤リ
ン表面をチタンの水和酸化物により被覆した上、更に熱
硬化性樹脂で被覆した改質赤リン等が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] 前述の通り、赤リンの改質による安定化は数多くの提
案がなされているが、いずれも一長一短があり、尚いく
つかの重要な問題がある。特に赤リンは、水分の存在で
加水分解され易く、極く少量であっても有臭有毒である
ホスフィンガスの発生を伴い、このガスの発生を完全に
制御することは極めて困難であった。
このため発生したホスフィンガスをホスフィンガスと
親和性の高い金属、例えば銅、ニッケル等の重金属を共
存させる事により抑制しようとする提案がなされている
が、重金属の多くは赤リンの加水分解を促進させる欠点
があるため、耐湿性を低下させホスフィンガスの発生を
促す結果となる。
又、これらの改質赤リンをエポキシ樹脂等に添加して
加工した電気部品においては、微量の水分の存在により
長期にわたって、徐々に変質しリンの酸化物を生ぜし
め、これが絶縁不良、腐食等の電子部品の性能劣化を引
き起こすことにもなる。
本発明は、赤リンの分解に伴うホスフィンガスの発生
を実質的に完全に抑制すると同時に、耐湿、耐食性にす
ぐれた安定化赤リンを得るべく種々の安定化方法を探索
して鋭意研究を行ってきたところ、赤リン粒子にジルコ
ニウムとアルミニウムとの複合水酸化物の共沈積被覆層
を形成し、その上に熱硬化性樹脂被覆を施したところ、
驚くべきことに安定な赤リン粉末が得られることを知見
し、本発明を完成した。
[課題を解決するための手段]および[作用] すなわち、本発明は、赤リンの粒子表面にジルコニウ
ムとアルミニウムとの複合水酸化物の共沈積被覆層を形
成し、その上に熱硬化性樹脂を被覆形成してなることを
特徴とする安定化赤リンに係るものである。
また、本発明は、ジルコニウム塩とポリ塩化アルミニ
ウムとの混合水溶液中に分散させた赤リンの水性懸濁体
にアルカリ剤を添加し、中和して生成するジルコニウム
とアルミニウムとの複合水和酸化物の微細な共沈殿を赤
リンの粒子表面に沈積処理し、次いで熱硬化性樹脂を被
覆処理することを特徴とする安定化赤リンの製造方法に
係るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における赤リン粒子は、大きくとも100μm以
下、好ましくは44μm以下にあり、かつ平均粒子径とし
ては5〜30μm、好ましくは10〜20μmの範囲のものが
好適である。また、微粉末は、粒子の表面積を大きく
し、又不安定になり易いので1μm以下の粒径のものは
出来るだけカットしたものがよい。
したがって、本発明における赤リンの粒子は、実質的
に粒径1〜100μmの範囲にあるものが好ましく、また
前記範囲以外の粒径の粒子が含有されていても、粒径1
μm以下および100μm以上のものの含有量が5重量%
以下のものが望ましい。
尚、粒径および平均粒子径は篩分法またはコールター
カウンター法により測定された値を示す。
本発明に係わる安定化赤リンは、前記赤リン粒子の表
面にジルコニウムとポリ塩化アルミニウムの可溶性塩の
加水分解生成物であるジルコニウムとアルミニウムとの
複合水酸化物の共沈積被覆層と、その上に熱硬化性樹脂
を被覆してなる二重構造からなる被覆層を形成したもの
である。
前記ジルコニウムとアルミニウムとの複合水酸化物の
共沈積物は、ZrO2・xH2O,(Al2O3・yH2O)mと思われる
が、共沈物であることから、これらの単なる混合物では
ない。
また、ジルコニウムとアルミニウムとの複合水酸化物
の赤リン粒子への共沈積被覆量は、安定化赤リンの用途
等により異なるけれども,多くの場合赤リン粒子に対し
全重量当りZr+Alとして0.5〜15重量%かつAlが0.05重
量%以上、好ましくはZr+Alが1.0〜6重量%かつAlが
0.2重量%以上の範囲にあることが望ましい。この理由
は、Zr+Alが0.5重量%未満では、ホスフィンガスの抑
制が不十分であり、15重量%を越えると実用的見地から
みて不適当である。また、Alが0.05重量%未満では、ホ
スフィンガスの抑制が不完全となるためである。
つぎに、熱硬化性樹脂の具体例を示すと、フェノール
樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポ
リエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
アミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂の赤リンの粒子表面への沈積被覆
量は、熱硬化性樹脂の種類および用途により異なるが、
多くの場合赤リン粒子に対し全重量当り,1〜30重量%、
好ましくは5〜20重量%が望ましい。この理由は、1.0
重量%未満では、熱硬化性樹脂の被覆量が少ないために
赤リンの粒子表面を十分に被覆することが出来ず、30重
量%を越えると作用効果が飽和し経済的見地より実用的
でなく不適当である。
前記熱硬化性樹脂の沈積被覆量は、被覆して得られる
安定化赤リンが赤リンの粒子表面にジルコニウムとアル
ミニウムとの複合水酸化物の共沈積被覆層と熱硬化性樹
脂層とからなる二層構造とからなる熱硬化性樹脂層の形
成に用いられるものを示す。
本発明にかかる安定化赤リンは、顕微鏡観察により沈
積被覆が粒子表面に形成されていることが確認でき、原
体の赤リンと比較して容易に識別することができる。
本発明にかかる安定化赤リンは、ほぼ完全にホスフィ
ンガスの発生を抑制した改質、安定化された赤リンであ
るが、その抑制構造の詳細については不明である。
また、本発明にかかる安定化赤リンは、主としてジル
コニウムとアルミニウムとの複合水酸化物の組合せによ
りホスフィンガスの発生が抑制され、熱硬化性樹脂はそ
の皮膜の機械的強度を増加させるなど補足的作用を行う
ばかりでなく、安定化赤リンの耐水性の向上に重要な効
果が期待される。ジルコニウムとアルミニウムとの複合
水酸化物の組合せが何故に良好な結果を示すのかについ
ては明らかではない。この組合せは数多くの実験結果か
ら見いだされたものであり、他の元素と組合せた場合で
は到達できない特異な効果が、ジルコニウムとアルミニ
ウムとの複合水酸化物の組合せにおいては得ることがで
きる。
次に、本発明に係わり安定化赤リンを製造する方法を
説明する。
本発明の製造方法は、ジルコニウム塩とポリ塩化アル
ミニウムとの混合塩水溶液に赤リンを分散させ、得られ
た赤リン懸濁体に攪拌しながらアルカリ剤を添加して中
和し、pH6.5〜8.5に調整する。中和後、さらに撹拌しな
がら加熱し、生成するジルコニウムとアルミニウムとの
複合水酸化物の微細な共沈殿物を赤リンの粒子表面に沈
積処理した後、分離、洗浄を行いジルコニウムとアルミ
ニウムとの複合水酸化物被覆赤リンスラリーを得る。こ
のジルコニウムとアルミニウムとの複合水酸化物被覆ス
ラリーに液状の熱硬化性樹脂を添加し、必要に応じpHを
調整した後、撹拌下で加熱して熱硬化性樹脂を硬化せし
めて赤リン粒子表面に熱硬化性樹脂層を形成させた後、
分離、回収することにより工業的に有利に均質で安定な
安定化赤リンを製造することができる。
本発明において、赤リンの水性懸濁体は、重量比で、
赤リンの少なくとも2倍量以上、好ましくは、5〜10倍
量以上の水に所定量のジルコニウム塩およびポリ塩化ア
ルミニウムを溶解した混合塩水溶液に、攪拌下で赤リン
粒子を添加して調製することにより得ることができる。
この場合、混合塩水溶液の水量が赤リンの2倍量未満で
は、赤リン濃度が高く攪拌が不可能となる。
また、赤リンの水性懸濁体のほかの調製方法として、
前記とは反対に、予め赤リンを水に分散して調製した赤
リンスラリーに、ジルコニウム塩およびポリ塩化アルミ
ニウムの混合水溶液を添加するか、或は所定のジルコニ
ウム塩およびポリ塩化アルミニウムの結晶を添加して溶
解することにより、水性懸濁体を得ることができる。
ただし、赤リンのアルカリスラリーにジルコニウム塩
およびポリ塩化アルミニウムの混合塩の水溶液または結
晶を添加すると赤リンの加水分解が行われる危険がある
ので避けたほうがよい。
また、混合塩水溶液の調製に用いられるジルコニウム
塩は、水溶性のジルコニウム塩であれば特に限定するこ
となく使用することができるが、それ等の中で特に硫酸
塩、塩酸塩または硝酸塩から選ばれた少なくとも一種以
上が望ましい。
ジルコニウム塩およびポリ塩化アルミニウムの混合塩
水溶液の濃度は、特に限定する必要がないが、各塩の室
温における溶解度以下であればよい。
赤リンの水性懸濁体の調製に使用する装置としては、
赤リン粒子を均質に分散させるものであれば如何なるも
のでも用いることができるが、具体的には適宜所望の手
段、例えば、低速攪拌から高速攪拌、あるいはコロイド
ミルまたはホモジナイザーの如きせん断分散装置等を用
い、赤リンの粒子のアグロメレートをできるだけ除去し
た一次粒子に近い分散状態の懸濁体を調製することが望
ましい。
また、赤リン粒子を分散させるに祭し、例えば界面活
性剤やヘキサメタリン酸ソーダ等の分散剤を、必要に応
じて被覆条件を損なわない程度に少量用いることができ
る。
赤リンの水性懸濁体中の赤リン濃度は、特に限定する
理由はないが、多くの場合、50g/l〜500g/l、好ましく
は70g/l〜300g/lの範囲が望ましく、50g/l未満ではスラ
リー濃度が低く沈積被覆濃度が低下するので処理容量が
大となるために経済的でなく、また500g/lを越えると赤
リン粒子の分散性が悪くなるので好ましくない。
また、この水性懸濁体中の赤リン粒子を沈積被覆する
に当り、沈積処理を効果的に実施するために昇温する
が、水性懸濁体の温度を沈積処理前に予め調節してお
き、その後にアルカリ剤を添加して沈積処理を行っても
差し支えはない。
アルカリ剤としてはアンモニアガス、アンモニア水、
苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸ソー
ダ、炭酸水素カリ、消石灰等の無機アルカリ剤、または
エタノールアミン等の有機アルカリ剤から選ばれた少な
くとも1種以上のものが用いられるが、副生物の洗浄除
去が容易なアンモニアガス、アンモニア水が好ましい。
中和の終点pHとしては、沈積処理終了時に液中にジル
コニウムおよびアルミニウムイオンの残存の少ないpHを
設定する必要がある。このpHは使用するジルコニウム
塩、ポリ塩化アルミニウムの組合せにより異なるが、沈
積処理終了時の液性として、6〜8、好ましくは7.0±
0.5の範囲に入ることが被覆を完全に行うために望まし
い。また、加熱によりpHは1〜1.5下がるので、加熱前
にpHを調整する場合には、6.5〜8.5、好ましくは8.0±
0.5の液性とする。この際、赤リンはアルカリ性におい
て加水分解し易いためにpHは9を越えない方がよい。
赤リンの水性懸濁体にアルカリを添加すると、速やか
に沈積反応が始まるが、その際液濃度と共に添加速度が
反応に直接的に影響し、また、これらの要素は赤リンの
物性、特に表面特性にも著しく関係するのでこれらの要
素を十分に考慮した上で、沈積被膜のむらの生じないよ
うにアルカリ剤の添加速度を設定、制御し添加すること
が必要である。多くの場合徐々に定量的に添加する方が
よい。このような撹拌下における中和にともなって常温
或は加熱のいずれの場合でも、ジルコニウムとアルミニ
ウムとの複合水酸化物の共沈殿が赤リン粒子表面に沈積
し、均一かつ強固な沈積皮膜が形成されてゆく。この
際、液中のジルコニウム塩とポリ塩化アルミニウムの存
在量に応じて沈積皮膜の膜厚が変わるので、これを前記
の被覆量になるような範囲において調節することによ
り、各種の用途に適応した被覆を設定することができ
る。
なお、沈積する際のスラリー温度は、好ましくは60℃
以上で、さらに好ましくは80〜90℃の範囲が好ましい。
沈積処理の終了後は、常法により母液を分離して、ジ
ルコニウムとアルミニウムとの複合水酸化物を共沈積被
覆した赤リンを濾過し、さらに必要に応じ水洗した後、
水に分散したジルコニウムとアルミニウムとの複合水酸
化物被覆赤リンスラリーを得る。
次いで、得られるジルコニウムとアルミニウムとの複
合水酸化物被覆赤リンスラリーに液状の熱硬化性樹脂を
前記の被覆量の範囲になるような量を添加し、その樹脂
の硬化条件に応じた処理を施した後、攪拌下で加熱し熱
硬化性樹脂を硬化せしめて赤リン粒子表面に熱硬化性樹
脂層を形成させる。
このようにして、熱硬化性樹脂の皮膜を赤リン粒子表
面に被覆した後、常法により濾過、必要に応じ水洗し、
分離、加熱処理して回収する。
なお、有機被覆に際し適量のカップリング剤や界面活
性剤などの補助薬剤を使用することは差しつかえなく多
くの場合、好ましい結果を与える。
[実施例] 以下、本発明を実施例によって更に説明する。
実施例1 硫酸ジルコニウム溶液(試薬ZrO2として28.03wt%、
第一稀元素化学工業製)1.2g(赤リンにZrとして5wt
%)とポリ塩化アルミニウム(商品名、タイバック、大
明化学社製)0.57g(赤リンに対しAlとして2.0wt%)を
水50gに溶解した。
これに予め水洗した赤リン(粒径3〜44μm、平均粒
子径15μm)5gを添加し、攪拌しながら3wt%NH4OH溶液
を添加しpH7.0に調整した。
次いで、加熱して温度を90℃とし2時間、加熱攪拌を
続けた後、濾過、洗浄後、被覆赤リンを得た。該被覆赤
リンを水50gに投入しジルコニウムとアルミニウムとの
複合水酸化物被覆赤リンスラリーとした。
このスラリーにフェノール樹脂(群栄化学製、レヂト
ップPL−2771)0.5g加え、95℃で1時間加熱攪拌後、濾
過、水洗、減圧乾燥(130℃、5時間)し安定化赤リン
5.6gを得た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一表
に示す通りであった。
実施例2 実施例1と同様に操作してジルコニウムとアルミニウ
ムとの複合水酸化物被覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーにエポキシ樹脂(シェル油化エポキシ
製、エポコート801)0.5g、界面活性剤(三洋化成製、
イオネットS−20)0.5g及び硬化剤(ヘンケル白水製、
バーサミド−150)0.25gを加え5wt%リン酸でpH5とし
た。
60℃に加熱して、2時間、加熱攪拌後、濾過、洗浄、
110℃の減圧乾燥を16時間行い安定化赤リン5.5gを得
た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一表に示す通
りであった。
実施例3 実施例1と同様に操作してジルコニウムとアルミニウ
ムとの複合水酸化物被覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーに5wt%リン酸を加えpH3とし、メラミン
樹脂エマルジョン(大日本インキ化学製、ウォータ・ゾ
ルS−695)0.5gを加え、95℃にて加熱攪拌し1時間反
応させた。反応中、液性は5wt%リン酸を必要に応じ添
加しpH3に保った。
反応終了後、濾過、洗浄、110℃の減圧乾燥を16時間
行い安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リンの
試験結果は第一表に示す通りであった。
実施例4 実施例1と同様に操作してジルコニウムとアルミニウ
ムとの複合水酸化物被覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーに5wtリン酸を加えpH3とし、尿素−ホル
ムアルデヒド樹脂エマルジョン(昭和高分子製、ポリフ
ィックスUS−30M)0.5gを加え、95℃、1時間加熱攪拌
し反応させた。反応中、液性は5wt%リン酸を必要に応
じ添加しpH3に保った。
反応終了後、濾過、水洗、100℃の減圧乾燥を16時間
行い安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リンの
試験結果は第一表に示す通りであった。
比較例1 実施例1と同様の操作してジルコニウムとアルミニウ
ムとの複合水酸化物被覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーを濾過、洗浄後、減圧乾燥(130℃、5
時間)し安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リ
ンの試験結果は第一表に示す通りであった。
比較例2 予め水洗した赤リン(粒径3〜44μm、平均粒子径15
μm)5gを水50gに懸濁させ赤リンスラリーを調製し
た。これに、フェノール樹脂(群栄化学製、レヂトップ
PL−2771)0.1gを加え、95℃で1時間加熱攪拌後、濾
過、水洗、減圧乾燥(130℃、5時間)し安定化赤リン
5.5gを得た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一表
に示す通りであった。
○ホスフィンの発生量の測定 温度30℃,相対湿度83%の恒温恒湿器中に48時間保存
した試料を0.5g採取し、N2ガス中で加熱(150℃、3時
間)する。
発生したホスフィン量をガスクロマトグラフにより測
定しサンプル1g当りの発生ホスフィン量に換算した。
○安定化赤リンの被覆の耐熱試験 還流冷却器付の三角フラスコに、上記の第一表に示す
各実施例及び比較例で得られた安定化赤リンのサンプル
1gと水180mlを入れ、煮沸状態8時間加熱した。その上
澄液の加熱前後のpHおよび電気伝導度を測定する。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明の安定化赤リンは従来考え
られなかった耐熱分解性、耐加水分解性を示すことが見
出された。このジルコニウムとアルミニウムとの複合水
酸化物被覆層の上に、さらに熱硬化性樹脂被覆されてい
る赤リンは、水分の存在下での加水分解反応はほぼ完全
に抑制されるので各種合成樹脂の難燃剤として極めて有
用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 25/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤リンの粒子表面にジルコニウムとアルミ
    ニウムとの複合水酸化物の共沈積被覆層を形成し、その
    上に熱硬化性樹脂を被覆形成してなることを特徴とする
    安定化赤リン。
  2. 【請求項2】赤リンの粒子表面への沈積被覆量が、赤リ
    ン粒子に対し全重量当たり、ジルコニウムとアルミニウ
    ムとの複合水和酸化物量がZr+Alと0.5〜15重量%、か
    つAlが0.05重量%以上および熱硬化性樹脂量が1〜30重
    量%である請求項1記載の安定化赤リン。
  3. 【請求項3】ジルコニウム塩とポリ塩化アルミニウムと
    の混合水溶液中に分散させた赤リンの水性懸濁体にアル
    カリ剤を添加し、中和して生成するジルコニウムとアル
    ミニウムとの複合水和酸化物の微細な共沈殿を赤リンの
    粒子表面に沈積処理し、次いで熱硬化性樹脂を被覆処理
    することを特徴とする安定化赤リンの製造方法。
  4. 【請求項4】赤リンの粒子表面へのジルコニウムとアル
    ミニウムとの複合水酸化物の共沈積処理は、反応系の最
    終pHが6〜8で、かつ温度60℃以上で行う請求項3記載
    の安定化赤リンの製造方法。
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