JP2696232B2 - 安定化赤リンおよびその製造方法 - Google Patents

安定化赤リンおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、赤リンの粒子表面にジルコニウム−コバル
ト化合物および有機樹脂の沈積被覆を施した安定化赤リ
ンおよびその製造法に関する。
本発明にかかる安定化赤リンは、合成樹脂の難燃剤と
して有用であり、樹脂、塗料あるいは接着剤の分野に利
用できる。また特に高圧電子部品用エポキシ樹脂の難燃
剤として有用な耐湿性及び耐食性が改善されており電子
材料分野へも利用することができる。
[従来の技術] 赤リンが合成樹脂に対しすぐれた難燃効果を付与する
ことは周知のことであり、実際にも難燃剤として使用さ
れている。
しかしながら、赤リンはそのまま使用する場合、水分
と反応してホスフィンガスの発生を伴う加水分解反応を
生ぜしめるので、従来より赤リンを有機又は無機の材料
により被覆して改質赤リンとして使用しており、数多く
の赤リン改質が提案されている。
例えば、硫酸アルミニウムと炭酸水素ナトリウムを用
いて赤リン表面上に水酸化アルミニウムを沈着させる方
法[グメリン著「ハンドブック デル アノルガニシェ
ン ケミエ」8版(1964年)“ホスホラス"B部、83頁
(Gmelin, 「Handbuchder anorganischen Chemie」8 th
Edition(1964),vol Phosphorus, Parts B.Page 8
3)]が報告されている。
しかしながら、この赤リンの改質方法は、赤リンの完
全な安定化のためには大量の水酸化アルミニウムを被覆
しなければならないため、赤リン難燃剤としての効果を
低めるばかりか、用途によっては悪影響を与えることが
ある。
また、赤リンの改質方法の他の例として、水酸化アル
ミニウムと亜鉛又はマグネシウムの水酸化物を複合して
被覆する方法(米国特許第2635953号明細書)、熱硬化
性樹脂で被覆した改質赤リン(特開昭51−105996号公
報)、赤リン表面を金属リン化物化した後に熱硬化性樹
脂で被覆した改質赤リン(特開昭52−125489号公報)、
赤リン表面をチタンの水和酸化物により被覆した改質赤
リン(米国特許第4421782号明細書)、あるいは、赤リ
ン表面をチタンの水和酸化物により被覆した上、更に熱
硬化性樹脂で被覆した改質赤リン等が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] 前述の通り、赤リンの改質による安定化は数多くの提
案がされているが、いずれも一長一短があり、尚いくつ
かの重要な問題がある。特に赤リンは、水分の存在で加
水分解され易く、極く少量であっても有臭有毒であるホ
スフィンガスの発生を伴い、このガスの発生を完全に制
御することは極めて困難であった。
このため発生したホスフィンガスをホスフィンガスと
親和性の高い金属、例えば銅、ニッケル、等の重金属を
共存させる事により抑制しようとする提案がなされてい
るが、重金属の多くは赤リンの加水分解を促進させる欠
点があるが、耐湿性を低下させホスフィンガスの発生を
促す結果となる。
又、これらの改質赤リンをエポキシ樹脂等に添加して
加工した電気部品においては、微量の水分の存在により
長期にわたっては徐々に変質しリンの酸化物を生ぜし
め、これが絶縁不良、腐食等の電子部品の性能劣化を引
き起こすことにもなる。
本発明は、赤リンの分解に伴うホスフィンガスの発生
を実質的に完全に抑制すると同時に、耐湿、耐食性にす
ぐれた安定化赤リンを得るべく種々の安定化方法を探索
して鋭意研究を行ってきたところ、赤リン粒子にジルコ
ニウム−コバルト系複合水和酸化物および有機樹脂の被
覆を施したところ、驚くべきことに安定な赤リン粉末が
得られることを知見し本発明を完成した。
[課題を解決するための手段]および[作用] すなわち、本発明は、赤リンの粒子表面にジルコニウ
ム−コバルト系複合水和酸化物および有機樹脂を沈積被
覆してなることを特徴とする安定化赤リン、およびジル
コニウム塩とコバルト塩との混合塩水溶液中に分散させ
た赤リンの水性懸濁体にアルカリ剤を添加し中和して生
成するジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物の微細
な沈澱を赤リンの粒子表面に沈積処理すると同時に又は
次いで有機樹脂を被覆処理することを特徴とする安定化
赤リンの製造法に係わるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における赤リンの粒子は、大きくとも100μm
以下、好ましくは44μm以下にあり、かつ平均粒子径と
しては5〜30μm、好ましくは10〜20μmの範囲のもの
が好適である。また、微粉末は、粒子の表面積を大きく
し、又不安定になり易いので約1μm以下の粒径のもの
は出来るだけカットしたものがよい。
したがって、本発明における赤リンの粒子は、実質的
に粒径1〜100μmの範囲にあるものが好ましく、また
前記範囲以外の粒径の粒子が含有されていても、粒径1
μm以下および100μm以上のものの含有量が5重量%
以下のものが望ましい。
尚、粒径および平均粒子径は篩分法またはコールター
カウンター法により測定された値を示す。
本発明に係わる安定化赤リンは、前記赤リン粒子の表
面にジルコニウムとコバルトの可溶性塩の加水分解生成
物であるジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物およ
び有機樹脂を被覆してなるものである。
この安定化赤リンの具体的な形態としては、赤リンの
粒子表面にジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物の
沈積被覆層を形成し、その上に有機樹脂層を形成してな
る二重構造からなる被覆層を形成したもの、または赤リ
ンの粒子表面にジルコニウム−コバルト系複合水和酸化
物と有機樹脂との配合物を沈積被覆してなる単一層化ら
なる被覆層を形成したものが挙げられる。
前記ジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物の沈積
物はZrO2・nH2O,CoO・nH2Oと思われるが、共沈物である
ことから、これらの単なる複合物ではないものと推定さ
れる。
また、ジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物の赤
リン粒子への沈積被覆量は、安定化赤リンの用途等によ
り異なるけれども、多くの場合赤リン粒子に対し全重量
当りZr+Coとして0.5〜15重量%、かつCoが0.05重量%
以上、好ましくは1〜6重量%、かつCoが、0.2重量%
以上の範囲にあることが望ましい。この理由は、0.5重
量%未満では、ホスフィンガスの抑制が不十分であり、
15重量%をこえると実用的見地からみて不適当である。
また、ジルコニウム−コバルト系複合水和酸化物中にお
けるコバルトの含有量は、赤リン粒子に対しCoとして0.
05重量%以上であることが望ましい。この理由は、0.05
重量%未満では、ホスフィンガスの抑制が不完全となる
ためである。
つぎに、有機樹脂は熱硬化性樹脂が用いられ、その具
体例を示すと、フェノール樹脂、尿素−ホルムアルデヒ
ド樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等
が挙げられる。
また、有機樹脂の赤リンの粒子表面への沈積被覆量
は、有機樹脂の種類および用途により異なるが、多くの
場合赤リン粒子に対し全重量当り、0.1〜15重量%、好
ましくは1〜10重量%が望ましい。この理由は、0.1重
量%未満では、有機樹脂の被覆量が少ないために赤リン
の粒子表面を十分に被覆することが出来ず、15重量%を
こえると作用効果が飽和し経済的見地より実用的でなく
不適当である。
前記有機樹脂の沈積被覆量は、被覆して得られる安定
化赤リンが赤リンの粒子表面にジルコニウム−コバルト
系複合水和酸化物の沈積被覆層と有機樹脂層とからなる
二層構造とからなる場合には有機樹脂層の形成に用いら
れるものを、或は単一層からなる被覆層の場合にはジル
コニウム−コバルト系複合水和酸化物との配合物に含有
されるものを示す。
本発明にかかる安定化赤リンは、顕微鏡観察により、
沈積被覆が粒子表面に形成されていることを確認でき、
原体の赤リンと比較して容易に識別することが出来る。
本発明にかかる安定化赤リンは、ほぼ完全にホスフィ
ンガスの発生を抑制した改質、安定化された赤リンであ
るが、その抑制機構の詳細については不明である。
また、本発明にかかる安定化赤リンは、主としてジル
コニウム−コバルトの組合せによりホスフィンガスの発
生が抑制され、有機樹脂はその皮膜の機械的強度を増加
させるなど補足的作用を行うばかりでなく、安定化赤リ
ンの耐水性の向上に重要な効果が期待される。ジルコニ
ウム−コバルトの組合せが何故に良好な結果を示すのか
については明かではない。この組合せは数多くの実験結
果から見出されたものであり、他の元素と組み合わせた
場合では到達できない特異な効果が、ジルコニウム−コ
バルトの組合せにおいては得ることが出来る。
次に、本発明に係わる安定化赤リンを製造する方法を
説明する。
まず、第一の方法として、ジルコニウム塩とコバルト
塩との混合塩水溶液に赤リンを分散させ、獲られた赤リ
ンの懸濁体に攪拌しながらアルカリ剤を添加して中和
し、pH6.5〜8.5に調整する。中和後、さらに攪拌しなが
ら加熱し、生成するジルコニウム−コバルト系複合水和
酸化物の微細な沈澱を赤リンの粒子表面に沈積処理した
後、分離、洗浄を行いジルコニウム−コバルト被覆赤リ
ンスラリーを得る。このジルコニウム−コバルト被覆赤
リンスラリーに液状の有機樹脂を添加し、必要に応じpH
を調整した後、攪拌下で加熱して有機樹脂を硬化せしめ
て赤リン粒子表面に有機樹脂層を形成させた後、分離、
回収することにより工業的に有利に均質で安定な安定化
赤リンを製造することが出来る。
本発明において、赤リンの水性懸濁体は、重量比で、
赤リンの少なくとも2倍量以上、好ましくは、5〜10倍
量以上の水に所定量のジルコニウム塩およびコバルト塩
を溶解した混合塩水溶液に、攪拌下で赤リン粒子を添加
して調製することにより得ることが出来る。この場合、
混合塩水溶液の水量が赤リンの2倍量未満では、赤リン
濃度が高く攪拌が不可能となる。
また、赤リンの水性懸濁体のほかの調製方法として、
前記とは反対に、予め赤リンを水に分散して調製した赤
リンスラリーに、ジルコニウム塩およびコバルト塩の混
合水溶液を添加するか、或は所定のジルコニウム塩およ
びコバルト塩の結晶を添加して溶解することにより水性
懸濁体を得ることが出来る。ただし、赤リンのアルカリ
スラリーにジルコニウム塩およびコバルト塩の混合塩の
水溶液または結晶を添加すると赤リンの加水分解が行わ
れる危険性があるので避けた方がよい。
また、混合塩水溶液の調製に用いられるジルコニウム
塩およびコバルト塩は、水溶性のジルコニウムおよびコ
バルトの塩であれば特に限定することなく使用すること
ができるが、それ等の中で特に硫酸塩、塩酸塩または硝
酸塩から選ばれた少なくとも一種以上が望ましい。
ジルコニウム塩およびコバルト塩の混合塩水溶液の濃
度は、特に限定する必要ないが、各塩の室温における溶
解度以下であればよい。
赤リンの水性懸濁体の調製に使用する装置としては、
赤リン粒子を均質に分散させるものであれば如何なるも
のでも用いることが出来るが、具体的には適宜所望の手
段、例えば、低速攪拌から高速攪拌、あるいはコロイド
ミルまたはホモジナイザーの如きせん断分散装置等を用
い、赤リンの粒子のアグロメレートをできるだけ除去し
た一次粒子に近い分散状態の懸濁体を調製することが望
ましい。
また、赤リン粒子を分散させるに際し、例えば界面活
性剤やヘキサメタリン酸ソーダ等の分散剤を、必要に応
じて被覆条件を損なわない程度に少量用いることが出来
る。
赤リンの水性懸濁体中の赤リン濃度は、特に限定する
理由はないが、多くの場合、50g/l〜500g/l、好ましく
は70g/l〜300g/lの範囲が望ましく、50g/l未満ではスラ
リー濃度が低く沈積被覆濃度が低下するので処理容易が
大となるために経済的でなく、また500g/lをこえると赤
リン粒子の分散性が悪くなるので好ましくない。
また、この水性懸濁体中の赤リン粒子を沈積被覆する
に当たり、沈積処理を効果的に実施するために昇温する
が、水性懸濁体の温度を沈積処理前に予め調節してお
き、その後にアルカリ剤を添加して沈積処理を行っても
差し支えはない。
アルカリ剤としてはアンモニアガス、アンモニア水、
可性ソーダ、可性カリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸ソー
ダ、炭酸水素カリ、消石灰等の無機アルカリ剤、または
エタノールアミン等の有機アルカリ剤から選ばれた少な
くとも1種以上のものが用いられるが、副生物の洗浄除
去が容易なアンモニアガス、アンモニア水が好ましい。
中和の終点pHとしては、沈積処理終了時に液中にジル
コニウムおよびコバルトイオンの残存の少ないpHを設定
する必要がある。このpHは使用するジルコニウム塩、コ
バルト塩の組合せにより異なるが、沈積処理終了時の液
性として、6〜8、好ましくは7.0±0.5の範囲に入るこ
とが被覆を完全に行うために望ましい。また、加勢によ
りpHは1〜1.5下がるので、加勢前にpHを調整する場合
には、6.5〜8.5、好ましくは8.0±0.5の液性とする。こ
の際、赤リンはアルカリ性において加水分解し易いため
にpHは9をこえない方がよい。
赤リンの水性懸濁体にアルカリを添加すると、速やか
に沈積反応が始まるが、その際液濃度と共に添加速度が
反応に直接的に影響し、また、これらの要素は赤リンの
物性、特に表面特性にも著しく関係するのでこれらの要
素を十分に考慮した上で、沈積皮膜のむらの生じないよ
うアルカリ剤の添加速度を設定、制御し添加することが
必要である。多くの場合徐々に定量的に添加する方がよ
い。
このような攪拌下における中和にともなって常温或は
加熱のいずれの場合でも、ジルコニウム−コバルト系複
合水和酸化物の沈澱がアルカリ粒子表面に沈着し、均一
かつ強固な沈着皮膜が形成されてゆく。この際、液中の
ジルコニウム塩とコバルト塩の存在量に応じて沈積皮膜
の膜厚が変わるので、これを前記の被覆量になるような
範囲において調節することにより各種の用途に適応した
被覆を設定することが出来る。
なお、沈積する際のスラリー温度は、好ましくは60℃
以上で、さらに好ましくは80〜90℃の範囲が望ましい。
沈積処理の終了後は、常法により母液を分離して、ジ
ルコニウム−コバルト系複合水和酸化物を沈積被覆した
赤リンを濾過し、さらに必要に応じ水洗した後、水に分
散したジルコニウム−コバルト被覆赤リンスラリーを得
る。
次いで、得られたジルコニウム−コバルト被覆赤リン
スラリーに液状の有機樹脂、主として熱硬化性樹脂を前
記の被覆量の範囲になるような量をもって添加し、その
樹脂の硬化条件に応じた処理を施した後、攪拌下で加熱
し有機樹脂を硬化せしめて赤リン粒子表面に有機樹脂層
を形成させる。
このようにして、有機樹脂の皮膜を赤リン粒子表面に
被覆した後、常法により濾過、必要に応じ水洗し、分
離、加熱処理して回収する。
なお、有機被覆に際し適量のカップリング剤や界面活
性剤などの補助薬剤を使用することは差し支えなく多く
の場合好ましい結果を与える。
次ぎに、第二の方法として、赤リン粒子表面にジルコ
ニウム−コバルト系複合水和酸化物と有機樹脂との配合
物を沈積被覆してなる単一層からなる沈積被覆層を形成
した安定か赤リンの製造法について説明する。
この方法は、ジルコニウム塩とコバルト塩との混合塩
水溶性に液状の有機樹脂を添加し均一に混合した後、赤
リンを均一に分散させ、得られた赤リンの水性懸濁体に
攪拌しながらアルカリ剤、さらには必要に応じて樹脂硬
化剤等を添加し、pH6.5〜8.5に調整する。中和後、さら
に攪拌しながら加熱し、生成するジルコニウム−コバル
ト系複合水和酸化物の微細な沈澱と有機樹脂とを同時に
赤リンの粒子表面に沈積処理した後、分離、回収するこ
とにより工業的に有利に均質で安定な安定化赤リンを製
造することが出来る。
しかし、この製造法は、前記の第一の方法と同様の赤
リン被覆物を得ることが出来るが副生する硫酸アンモニ
ウム等の不純物が皮膜内に残ることがあるので用途が限
定される。
実施例1 硫酸ジルコニル溶液(ZrO2として28.03wt%、第一稀
元素化学工業製)1.2g(赤リンに対しZrとして5wt%)
と硫酸コバルト(試薬、関東化学社製)0.073g(赤リン
に対しCoとして0.3wt%)を水50gに溶解した。
これに予め水洗した赤リン(粒径3〜44μm、平均粒
子径15μm)5gを添加し、攪拌しながら3wt%NH4OH溶液
を添加しpH7.0に調整した。
次いで、加熱して温度を90℃とし2時間、加熱攪拌を
続けた後、濾過、洗浄後、被覆赤リンを水50gに投入し
ジルコニウム−コバルト被覆赤リンスラリーとした。
このスラリーにフェノール樹脂(群栄化学製、レヂト
ップPL−2771)0.5gを加え、95℃で1時間加熱攪拌後、
濾過、水洗、減圧乾燥(130℃、5時間)し安定化赤リ
ン5.6gを得た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一
表に示す通りであった。
実施例2 実施例1と同様に操作してジルコニウム−コバルト被
覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーにエポキシ樹脂(シェル油化エポキシ
製、エビコート801)0.3g、界面活性剤(三洋化成製、
イオネットS−20)0.3g及び硬化剤(ヘンケル白水製、
バーサミドー150)0.15gを加え5wt%リン酸でpH5とし
た。
60℃に加熱して、2時間、加熱攪拌後、濾過、洗浄、
110℃の減圧乾燥を16時間行い安定化赤リン5.5gを得
た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一表に示す通
りであった。
実施例3 実施例1と同様に操作してジルコニウム−コバルト被
覆赤リンスラリーを得た。このスラリーに5wt%リン酸
を加えpH3としメラミン樹脂エマルジョン(大日本イン
キ化学製、ウォータ・ゾルS−695)0.15gを加え、95℃
にて加熱攪拌し1時間反応させた。反応中、液性は5wt
%リン酸を必要に応じ添加しpH3に保った。
反応終了後、濾過、水洗、100℃の減圧乾燥を16時間
行い安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リンの
試験結果は第一表に示す通りであった。
実施例4 実施例1と同様に操作してジルコニウム−コバルト被
覆赤リンスラリーを得た。このスラリーに5wt%リン酸
を加えpH3とし尿素−ホルムアルデヒド樹脂エマルジョ
ン(昭和高分子製、ポリフィックスUC−30M)0.15gを加
え、95℃、1時間、加熱攪拌し反応させた。反応中、液
性は5wt%リン酸を必要に応じ添加しpH3に保った。
反応終了後、濾過、水洗、110℃の減圧乾燥を16時間
行い安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リンの
試験結果は第一表に示す通りであった。
実施例5 硫酸ジルコニル溶液(ZrO2として28.03wt%、第一稀
元素化学工業製)1.2g(赤リンに対しZrとして5wt%)
と硫酸コバルト(試薬、関東化学社製)0.073g(赤リン
に対しCoとして0.3wt%)及びフェノール樹脂(群栄化
学製、レヂトップPL−2771)0.5gを水50gに溶解した。
これに予め水洗し真空乾燥(100℃)した赤リン(粒
径3〜44μm、平均粒子径20μm)5gを添加し、攪拌し
ながら3wt%NH4OH溶液を添加しpH7.5に調整した。
次いで、攪拌しながら加熱し、温度を95℃とし、2時
間加熱攪拌を続けた。この時の最終pHは6.8であった。
冷却後濾別し濾さいを脱イオン水で濾液の電気伝導度が
10μs/cm以下を示すまで洗浄した後、130℃の減圧乾燥
器中で5時間乾燥して安定化赤リン6.2gを得た。得られ
た安定化赤リンの試験結果は第一表に示す通りであっ
た。
比較例1 実施例1と同様に操作してジルコニウム−コバルト被
覆赤リンスラリーを得た。
このスラリーを濾過、洗浄後、減圧乾燥(130℃、5
時間)し安定化赤リン5.5gを得た。得られた安定化赤リ
ンの試験結果は第一表に示す通りであった。
比較例2 予め水洗した赤リン(粒径3〜44μm、平均粒子径15
μm)5gを水50gに懸濁させ赤リンスラリーを調製し
た。これに、フェノール樹脂(群栄化学製、レヂトップ
PL−2771)0.1gを加え、95℃、1時間加熱攪拌後、濾
過、水洗、減圧乾燥(130℃、5時間)し安定化赤リン
5.5gを得た。得られた安定化赤リンの試験結果は第一表
に示す通りであった。
○ホスフィン発生量の測定 温度30℃、相対湿度83%の恒温恒湿器中に48時間保存
した試料を0.5g採取し、N2ガス中で加熱(150℃、3時
間)する。
発生したホスフィン量をガスクロマトグラフにより測
定しサンプル1g当りの発生ホスフィン量に換算した。
○安定化赤リンの被覆の耐熱試験 還流冷却器付の三角フラスコに、上記の第1表に示す
各実施例及び比較例で得られた安定化赤リンのサンプル
1gと水180mlをいれ、煮沸状態8時間加熱した。その上
澄液の加熱前後のpHおよび電気伝導度を測定する。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明の安定化赤リンは従来考え
られなかった耐熱分解性、耐加水分解性を示すことが見
出された。このジルコニウム−コバルト複合水和酸化物
被覆及び有機樹脂被覆により赤リンの水分の存在下での
加水分解反応はほぼ完全に抑制されるので各種合成樹脂
の難燃剤として極めて有用なものとすることが出来る。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤リンの粒子表面にジルコニウム−コバル
    ト系複合水和酸化物および有機樹脂を沈積被覆してなる
    ことを特徴とする安定化赤リン。
  2. 【請求項2】赤リンの粒子表面にジルコニウム−コバル
    ト系複合水和酸化物の沈積被覆層を形成し、その上に有
    機樹脂層を形成してなる請求項1記載の安定化赤リン。
  3. 【請求項3】赤リンの粒子表面にジルコニウム−コバル
    ト系複合水和酸化物と有機樹脂からなる沈積被覆層を形
    成してなる請求項1記載の安定化赤リン。
  4. 【請求項4】赤リンの粒子表面への沈積被覆量が、赤リ
    ン粒子に対し全重量当り、ジルコニウム−コバルト系複
    合水和酸化物量がZr+Coとして、0.5〜10重量%、かつC
    oが0.05重量%以上および有機樹脂量が0.1〜15重量%で
    ある請求項1、2または3記載の安定化赤リン。
  5. 【請求項5】有機樹脂が熱硬化性樹脂である請求項1、
    2、3または4記載の安定化赤リン。
  6. 【請求項6】ジルコニウム塩とコバルト塩との混合水溶
    液中に分散させた赤リンの水性懸濁体にアルカリ剤を添
    加し中和して生成するジルコニウム−コバルト系複合水
    和酸化物の微細な沈澱を赤リンの粒子表面に沈積処理す
    ると同時にまたは、次いで有機樹脂を被覆処理すること
    を特徴とする安定化赤リンの製造法。
  7. 【請求項7】赤リンの粒子表面へのジルコニウム−コバ
    ルト系複合水和酸化物の沈積処理は、反応系の最終pHが
    6〜8で、かつ温度60℃以上で行う請求項6記載の安定
    化赤リンの製造法。
JP63262695A 1988-10-20 1988-10-20 安定化赤リンおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP2696232B2 (ja)

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