JP2854244B2 - 電着塗装後の鮮映性と塗料密着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造方法 - Google Patents

電着塗装後の鮮映性と塗料密着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造方法

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JP2854244B2 JP17800694A JP17800694A JP2854244B2 JP 2854244 B2 JP2854244 B2 JP 2854244B2 JP 17800694 A JP17800694 A JP 17800694A JP 17800694 A JP17800694 A JP 17800694A JP 2854244 B2 JP2854244 B2 JP 2854244B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電着塗装性、特に電着
塗装後の鮮映性、および塗料密着性に優れ、自動車車体
用鋼板等として好適に使用される有機複合被覆鋼板の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の高耐食性化に対する強い社
会的要請に応えて、各種表面処理鋼板の利用率が年々拡
大している。このような表面処理鋼板として亜鉛めっき
鋼板、亜鉛系合金めっき鋼板などが挙げられる。しかし
ながら、車体組立後に行われる塗装が充分に行き渡りに
くく、高湿潤下に曝される車体内面の袋構造部や曲げ加
工部(ヘミング部)では、さらに高度な耐食性が要求さ
れるようになっている。
【0003】このような要求に対する鋼板として、例え
ば特開平3−130141号や同2−258335号の
各公報に開示される鋼板が知られている。これらは、亜
鉛または亜鉛系合金めっき鋼板上に、クロメート層とシ
リカとを含有する有機高分子樹脂層を施した有機複合被
覆鋼板であり、車体組立後に行われる塗装を施さない状
態でも非常に良好な耐食性を有する。そのため、車体内
面部には、このような有機複合被覆鋼板の使用されてい
る割合が高い。
【0004】一方、自動車車体外面(表面)側は内面側
に比べ低湿潤条件であり、車体組立後の塗装も全面に1
00μm程度(電着塗装、中塗り塗装、上塗り塗装)施
されるので、外面側からの錆によって孔空きまで到る割
合が内面側に比べ少ない。そのため、従来は車体外面側
には冷延面が使用されていた。しかし、自動車車体の高
耐食性化に対する要求がさらに高まる中で、車体外面の
防錆性要求も厳しくなり、外面側にも、前述の亜鉛めっ
き、亜鉛系合金めっきなどの表面処理を施した鋼板の実
用化が進んでいる。また、従来より、自動車の外面側は
内面側に比べ外観に重点が置かれ、内面側とはその評価
方法、評価基準が異なる。最近では、生活レベルの向上
による高級指向を背景として自動車の外観評価基準はさ
らに厳しく、さらに、加工技術等の向上とも相まって、
レーザーで規則正しいダル目をつけたロールで圧延を施
したレーザーダル冷延鋼板、またはこれに亜鉛系メッキ
を施したレーザーダル亜鉛めっき鋼板等も外面用として
用いられるようになってきた。
【0005】ところが、これら亜鉛系めっき鋼板はめっ
き密着性があまり良好でないため、耐低温チッピング性
が劣る。すなわち、亜鉛系めっき層上に塗装を施した場
合には、厚い塗膜の応力がめっき層に加わるため、自動
車の走行中に小石等が当ることによって、その衝撃でめ
っき層等が剥離する、いわゆるチッピングが発生してし
まい、亜鉛の犠牲防錆性が効果を発揮せず、外面錆が進
行する。そこで、有機複合被覆を外面側にも施すことに
より、耐低温チッピング性に優れ、しかも耐外面錆性も
亜鉛系めっき鋼板より優れる鋼板が各種提案されている
(特開平4−27536号、同4−26775号の各公
報参照)。
【0006】ところが、これらの有機複合被覆鋼板は、
電着塗装時の水素ガスの発生跡によるガスピンホール、
クレーターは発生しないが、ゆず肌と呼ばれる、表面凹
凸が激しく不均一な電着塗装被膜が形成されたり、また
ゆず肌とまではいかなくとも、従来外面用に用いられて
いた冷延鋼板や亜鉛系めっき鋼板に比べ、電着塗装被膜
の表面が凹凸で不均一であるため鮮映性が低下し、厳し
い外観評価基準を満足することができなかった。
【0007】従来は鮮映性の評価基準は外観観察による
判定のみであった。ところが、前述のように、最近では
外観の判定基準が厳しくなり、PGDメーターを用いて
測定したPGD値で数値化して判定するようになった。
本発明者らの知見に基づけば、ゆず肌と呼ばれているも
のはPGD値で0.2以下であり、冷延鋼板や亜鉛系め
っき鋼板は0.4〜0.6である。そのため、前述の有
機複合被覆鋼板では、ゆず肌にはならなくとも、冷延鋼
板や亜鉛系めっき鋼板並みの塗装後鮮映性をクリアする
のは非常に困難であった。
【0008】このような有機複合被覆鋼板の電着塗装性
を改善する方法として、特開昭62−283161号、
同63−35798号の各公報に開示される方法が知ら
れている。これはバインダー樹脂、シリカ(裸耐食性と
塗膜平滑化のため粒径の小さい1〜100nmのものを
使用)、親水性ポリアミド樹脂、ポリエチレンワックス
を配合してなる塗料から形成される有機複合被覆層をク
ロメート皮膜上に形成したものである。この場合、電着
塗装時の水素ガスの発生跡によるゆず肌やガスピンホー
ル、クレーターの発生といった電着塗装不良は改善され
るが、現在の自動車外面用の鋼板として要求される、冷
延鋼板や亜鉛系めっき鋼板並みの鮮映性基準を満足する
ものではなかった。
【0009】また、これらの方法では、塗料組成物の粘
度が高くなるため、塗膜の厚みを微妙にコントロールす
ることができず、しかも、高価なポリアミド樹脂を多く
必要とし、実用的でない。この改良として、ポリアミド
樹脂の代わりにポリアミン樹脂および/またはポリイミ
ン樹脂を用いる方法も提案されているが(特開平3−2
69067号、同3−268939号の各公報等参
照)、これも電着塗装時の水素ガスの発生跡によるゆず
肌やガスピンホール、クレーターといった電着塗装不良
を改善することはできるが、現在の自動車外面用の鋼板
として要求される鮮映性基準を満足するものではなかっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決することにあり、電着塗装性、
特に電着塗装後の鮮映性、および塗料密着性の双方を満
足することができ、しかも、防錆性、耐低温チッピング
性等も良好な有機複合被覆鋼板を安定して製造できる有
機複合被覆鋼板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の特開平3−269
067号、同3−268939号の各公報に開示される
技術では、塗料中のポリアミン樹脂および/またはポリ
イミン樹脂は、バインダー樹脂100重量部に対して1
0重量部〜150重量部配合するのが好ましいとされて
いる。すなわち、ポリアミン樹脂等の配合量が10重量
部未満では電着塗装性の改善効果が表れず、逆に150
重量部を超えて配合された場合には塗料密着性が低下す
るという理由からである。また、本発明者らの検討にお
いても、ポリアミン樹脂やポリイミン樹脂は、密着性に
悪影響を与えることが解っている。
【0012】そこで、本発明者らがポリアミン樹脂等を
含有する塗料の鮮映性および電着塗装性を改善するため
に鋭意検討を重ねた結果、これらの特性は、バインダー
樹脂およびポリアミン樹脂等の組み合わせや添加量に関
連があることを見出した。すなわち、バインダー樹脂
と、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂およびポリアミド
樹脂の少なくとも1以上(以下、便宜的に添加樹脂とす
る)との組み合わせや添加量によっては、電着塗装性あ
るいは塗料密着性のいずれか一方が劣る場合があること
が見出された。本発明者らは、この原因を追及するため
に、バインダー樹脂や添加樹脂の構造を種々変更して電
着塗装性と塗料密着性との関係を調査した結果、有機複
合被覆鋼板の電着塗装性および塗料密着性は、有機複合
被覆層(以下、有機被覆層とする)における樹脂構造中
の−N+ −基の量と相対的な関係を有することを見出し
た。
【0013】つまり、例えば、バインダー樹脂としてエ
ポキシ樹脂を用い、添加樹脂としてポリアミン樹脂を用
いた場合、ポリアミン樹脂の構造の違いによって樹脂固
形分1g当たりに存在する−N+ −基の量は当然異な
る。ところが、いかなる場合においても、有機被覆層の
樹脂固形分中の−N+ −基の相対的な量が適正となるよ
うにポリアミン等の添加樹脂の配合量を決めれば、バイ
ンダー樹脂や添加樹脂の構造や分子量が全く異なるもの
であっても、電着塗装性と塗料密着性の双方を満足する
有機複合被覆鋼板を安定して製造できることを見出し
た。また、このことは添加樹脂のみならずバインダー樹
脂として−N+ −基を有するものを用いた場合にも全く
同じであり、例えば、エポキシ樹脂であっても、変性等
によって−N+ −基を有する構造の樹脂であれば、樹脂
中の−N+ −基の量が電着塗装性と塗料密着性とに影響
を与え、−N+ −基の相対的な量が適正であれば、電着
塗装性と塗料密着性の双方を満足する有機複合被覆鋼板
を安定して製造できることも同時に見出した。
【0014】本発明は、上記知見を得ることによって成
されたものであり、第1の態様は、亜鉛または亜鉛系合
金めっき鋼板の表面にCr換算で5〜500mg/m2 のク
ロメート層を形成し、その上に、平均粒子径が5〜30
nmの一次粒子が凝集してなる平均凝集粒子径が0.1
〜2μmで凝集体の比表面積が40〜800m2/gの有機
溶剤分散シリカゾルと樹脂固形分のアミン価が40〜1
50の樹脂組成物とを含有する有機複合塗料組成物を、
乾燥重量にして0.1〜3g/m2塗布し、乾燥することを
特徴とする電着塗装後の鮮映性と塗料密着性に優れた有
機複合被覆鋼板の製造方法を提供する。
【0015】また、本発明の第2の態様は、亜鉛または
亜鉛系合金めっき鋼板の表面にCr換算で5〜500mg
/m2 のクロメート層を形成し、その上に、平均粒子径が
5〜30nmの一次粒子が結合してなる平均長さが0.
1μm以上のチェーン状気相シリカと樹脂固形分のアミ
ン価が40〜150の樹脂組成物とを含有する有機複合
塗料組成物を、乾燥重量にして0.1〜3g/m2塗布し、
乾燥することを特徴とする電着塗装後の鮮映性と塗料密
着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造方法を提供する。
【0016】以下、本発明の電着塗装後の鮮映性と塗料
密着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造方法について詳
細に説明する。本発明は、素材として亜鉛または亜鉛系
合金めっき鋼板を用いる。鋼板に施されるめっきの種類
としては、純Znめっき、あるいはZn−Ni合金めっ
き、Zn−Fe合金めっき、Zn−Cr合金めっきなど
の二元系合金めっき、あるいはZn−Ni−Cr合金め
っき、Zn−Co−Cr合金めっきなどの三元系合金め
っきなどを用いることができ、またZn−SiO2 めっ
き、Zn−Co−Cr−Al2 3 めっきなどの複合分
散めっきも用いることができる。これらのめっきの形成
は電気めっき法、溶融めっき法、あるいは気相めっき法
などいかなる方法でもよい。
【0017】本発明の製造方法においては、これらの亜
鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の上に、後述の有機被覆
層との密着性を向上させ、また耐食性を付与するために
クロメート層を形成する。クロメート付着量としては金
属Cr換算で5〜500mg/m2 、好ましくは10〜15
0mg/m2 の範囲とする。Cr付着量が5mg/m2 未満で
は、耐食性が不充分であるばかりでなく、有機被覆層と
の密着性も劣るので好ましくない。500mg/m2 を超え
てもこれ以上の耐食性改善効果がなく、また絶縁被膜抵
抗が高まり、スポット溶接性を損なうので好ましくな
い。このようなクロメート処理はロールコーター等を用
いる塗布型クロメート法、電解クロメート法、反応型ク
ロメート法などのいずれの方法によってもよい。
【0018】本発明の製造方法においては、このような
クロメート層の上に、樹脂固形分のアミン価が40〜1
50の有機樹脂と、平均粒子径が5〜30nmの一次粒
子が凝集してなる平均凝集粒子径が0.1〜2μmで凝
集体の比表面積が40〜800g/m2の有機溶剤分散シリ
カゾル、あるいは平均粒子径が5〜30nmの一次粒子
が結合してなる平均長さが0.1μm以上のチェーン状
気相シリカとを含有する有機複合塗料組成物(以下、塗
料組成物とする)を、乾燥重量にして0.1〜3g/m2
布し、乾燥することによって、有機被覆層を形成する。
【0019】このような塗料組成物は、基本的に、有機
溶剤と、有機被覆層を形成する樹脂組成物と、前記所定
のシリカとから調製される。ここで、本発明の製造方法
においては、このような樹脂組成物は樹脂固形分のアミ
ン価が40〜150であることが重要である。アミン価
とは、樹脂中における−N+ −基の量を示す値で、試料
1g中に含まれるアミンを中和するのに要する塩酸と当
量の水酸化カリウムの量(mg)である。前述のよう
に、有機被覆層を構成する樹脂固形分の−N+ −基の相
対量、すなわちアミン価は、電着塗装性と塗料密着性と
に影響を与え、これを適正に保つことによって、電着塗
装性および塗料密着性が共に優れた有機複合被覆鋼板を
安定して製造することができる。
【0020】本発明の製造方法に利用される塗料組成物
は、基本的に、樹脂組成物と溶剤とシリカとで構成され
る。ここで、シリカや溶剤の量は塗料組成物によって異
なるが、シリカや溶剤は、樹脂固形分のアミン価には影
響は与えない。そのため、本発明においては、塗料組成
物中の樹脂組成物を樹脂固形分のアミン価が40〜15
0のものとすることにより、電着塗装性、特に塗装後鮮
映性および塗料密着性が共に優れた有機複合被覆鋼板を
安定して製造することを可能としたものである。
【0021】図1に、目付量20g/m2のZn−13%N
i合金めっき鋼板上に、Cr換算で50mg/m2 のクロメ
ート層を形成し、その上層に、乾燥重量にして0.4g/
m2の各種の有機被覆層を形成した有機複合被覆鋼板に電
着塗装を施した際の、有機被覆層を形成する樹脂組成物
の樹脂固形分のアミン価と電着塗装性(PGDによる塗
装後鮮映性)および耐水二次密着性との関係を示す。な
お、図1に示される例においては、有機被覆層は、樹脂
組成物100重量部に対して、平均凝集径0.45μm
で比表面積270m2/gのシリカを20重量部含むものと
した。また、電着塗装(および化成処理)の方法、PG
Dおよび耐水二次密着性の測定方法は、後述する実施例
と同様である。
【0022】図1に示されるように、電着塗装性(鮮映
性)はアミン価が高くなるにしたがって向上し、逆に耐
水二次密着性はアミン価が低くなるに従って向上する。
また、耐水二次密着性および電着塗装性は、共にある領
域で飽和する。すなわち、アミン価を適正な範囲に設定
することにより、電着塗装性と塗料密着性との双方が優
れた有機複合被覆鋼板を実現でき、アミン価を40〜1
50の範囲とすることにより、自動車用鋼板として十分
な電着塗装性および塗料密着性を実現することができ
る。特に、アミン価を60〜110の範囲とすることに
より、電着塗装性および塗料密着性の双方をより良好に
することができる。
【0023】−N+ −基による電着塗装性向上の理由は
明らかではないが、この基は親水性を有するため、電着
塗装液が浸透し易くなり、通電点が多数できるためであ
ると考えられる。この点については、後に詳述する。
【0024】このような樹脂組成物としては、アミン価
が40〜150のものであれば特に限定はなく、公知の
各種のものがいずれも利用可能である。例えば、ポリア
ミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミン樹脂等の−N+
−基を有する各種の樹脂;エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等
の各種の樹脂を、アミン、アミド、イミン等で変性して
アミン価を40〜150とした樹脂等が好適に利用され
る。
【0025】さらに、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ア
クリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の各種
の樹脂と、ポリアミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミ
ン樹脂等の−N+ −基を有する樹脂とを混合して、全体
の樹脂固形分のアミン価を40〜150に調整してなる
樹脂組成物も好適に利用可能である。
【0026】具体的には、ビスフェノールAタイプのエ
ポキシ樹脂をジアルカノールアミン等のアミンで変性し
てなるアミン変性エポキシ樹脂と、ヨウ化アルキルおよ
びアンモニアを反応させて生成したピロリジン、ピペリ
ジン等のポリイミン樹脂とを混合してなる樹脂組成物;
ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂をウレタン変性
し、さらに末端をジアルカノールアミン等で変性したウ
レタン変性エポキシ樹脂と、ジアミンおよびジカルボン
酸の重縮合から生成するポリアミド樹脂とを混合してな
る樹脂組成物;メタクリル酸メチル等からなるアクリル
樹脂と、ポリアミン樹脂等とを混合してなる樹脂組成
物;ポリエステルポリオールおよびトリレンジイソシア
ネート等の各種のポリイソシアネートから反応生成した
ウレタン樹脂と、前記ポリイミン樹脂とを混合してなる
樹脂組成物等が例示されるこのような各種の樹脂組成物
としては、公知の手段で合成されたものや、各種の市販
品がいずれも利用可能である。
【0027】本発明の第1の態様においては、有機被覆
層を形成する塗料組成物として、このような樹脂組成物
に加え、平均粒子径が5〜30nmの一次粒子が凝集し
てなる、平均凝集粒子径が0.1〜2μmで凝集体の比
表面積が40〜800g/m2の有機溶剤分散シリカゾルを
含有するものを用いる。この態様においては、電着塗装
性や塗料密着性、特に電着塗装後の鮮映性は、上述の−
+ −基のみならず、この基および凝集したシリカとの
組み合わせによってもたらされる。なお、シリカの一次
粒子とは、シリカ粒子の容易に分割することのできない
最小粒子を示し、本発明においては、この一次粒子が凝
集、あるいはチェーン状に連結してなるものを使用す
る。
【0028】有機溶剤中に一次粒子が分散するシリカゾ
ルを用いた場合には、樹脂組成物として樹脂固形分のア
ミン価が40〜150のものを用いても、電着塗装後の
鮮映性は冷延鋼板や亜鉛系めっき鋼板なみにすることは
できなかった。そればかりか、有機溶剤に前記樹脂組成
物を溶解してなる塗料組成物に、シリカの一次粒子が有
機溶剤中に分散するシリカゾルを混ぜ合せると、塗料組
成物の粘度が上昇し、塗膜厚を微妙にコントロールする
ことができないという問題も発生する。
【0029】有機被覆層の樹脂自身およびシリカには導
電性がほとんどなく、電着塗装時の通電は樹脂の中を通
り抜ける水(電解液)によって起こると考えられる。こ
こで、シリカ自体は通電しないものの、シリカの周りの
シラノール基は非常に吸水性が良く、電着塗装時の通電
点となりうる。ところが、従来の有機複合被覆鋼板にお
いては、シラノール基は通常は樹脂に囲まれているため
に塗膜表面から内部まで連続した水の経路をつくること
は困難である。
【0030】これに対し、有機被覆層中に−N+ −基を
有することによって、この基はシラノール基と結合しや
すいためシリカの周りに存在し、しかも前述のように、
この基自身も親水性を有するため、有機被覆層表面から
内部まで連続した水の経路をつくり、電着塗装時の通電
点が多数でき電着塗装性が向上すると考えられる。しか
も、シリカが凝集している(あるいはチェーン状)場合
には、凝集体の内部にもシリカの一次粒子のシラノール
基による経路がある程度できているため、電着塗装性が
より向上すると考えられる。また、シリカ最表面のシラ
ノール基がすべて−N+ −基と結合したあとの余剰な−
+ −基は、有機被覆層のなかにフリーで存在するた
め、これが有機被覆層中の水の経路となり、電着塗装性
をより向上させると考えられる。
【0031】これに対し、シリカの一次粒子がそのまま
樹脂組成物層中で分散している場合、すなわち凝集(あ
るいはチェーン状に結合)していない場合には、シラノ
ール基による連続した経路が無く、有機被覆層中に−N
+ −基を有しても、電着塗装性の向上効果を顕著に得る
ことができない。さらに、シリカが凝集体を形成してい
ない場合には、樹脂組成物単位量当たりのシラノール基
の量が多くなり、フリーで存在する−N+ −基が少なく
なる。そのため、−N+ −基が相当量必要となり、上記
アミン価の範囲では、電着塗装性の向上効果が顕著に表
れない。しかも、−N+ −基が多量に存在した場合に
は、親水性が高くなるため、水の浸透を早め、図1にも
示されるように、耐水二次密着性が低下し、性能的にも
問題となる。
【0032】しかも、一次粒子が有機溶媒中に分散する
シリカゾルを用いた場合には、前述のように塗料組成物
の粘度が増加し、作業性が悪くなる。すなわち、シリカ
が凝集体を形成していない場合には、微細なシリカ同士
が樹脂組成物によってつながれ、これが塗料組成物の粘
度上昇を招くと考えられる。
【0033】このような理由から、本発明の製造方法の
第1の態様においては、塗料組成物に添加するシリカと
して、平均粒子径が5〜30nmの一次粒子が凝集して
なる平均凝集粒子径が0.1〜2μmで凝集体の比表面
積が40〜800m2/gの有機溶剤分散シリカゾルを用い
る。
【0034】利用可能なシリカには特に限定はなく、上
記条件を満たすものであれば、シリカゾルばかりではな
く、四塩化珪素を高温にして得られる気相シリカ等の公
知の各種の有機溶剤分散性のシリカが利用可能である。
【0035】シリカの平均一次粒子径が小さくなるにつ
れて、塗料組成物中でのシリカの凝集が進行する傾向に
あり、平均一次粒子径が5nm未満になると、塗料組成
物の調整や鋼板への塗布作業などに適した適度の凝集サ
イズに安定に保持することが極めて困難となってしま
う。逆に、シリカの平均一次粒子径が30nmを超える
と、耐食性に寄与するために必要なシラノール基を安定
して十分に確保できないので、使用するシリカの平均一
次粒子径としては5〜30nmに限定する。好ましく
は、シリカの平均一次粒子径を7〜15nmの範囲とす
ることにより、塗料としての生産性や耐食性等の点でよ
り好適な結果を得る。
【0036】また、シリカの平均凝集粒子径が0.1μ
m未満となると、シリカ凝集体最表面のシラノール基の
単位塗料組成物当たりの量が多くなるため、シリカの凝
集効果が顕著にあらわれず、電着塗装性の向上が充分で
ないだけでなく、ポリアミド樹脂などの添加によって増
粘し、良好な作業性を確保できない。逆に、平均凝集粒
子径が2μmを超えると、塗膜の均一塗布性を損うた
め、均一電着塗装性、耐食性の点から好ましくない。好
ましくは、シリカの平均凝集粒子径を0.2〜0.7μ
mの範囲とすることにより、電着塗装性や耐食性等の点
でより好適な結果を得る。なお、シリカの凝集形態とし
ては、鎖状、楕円形平板状のものや、網目・帯形平板状
のものがある。
【0037】さらに、シリカの凝集体の比表面積が40
m2/g未満では、シリカ凝集体表面のシラノール基が少な
く、シラノール基による吸水効果は現れず、充分な電着
塗装性が得られない。逆に、シリカの凝集体の比表面積
800m2/gを超えた場合には、シリカ凝集体最表面のシ
ラノール基の量が単位塗料組成物当たり多くなるため、
添加樹脂による電着塗装性の向上効果が現れないばかり
でなく、粘度が上昇し、作業性が悪くなる。好ましく
は、シリカの凝集体の比表面積を50〜500m2/gの範
囲とすることにより、電着塗装性や作業性等の点でより
好適な結果を得る。
【0038】シリカの1次粒子を2次凝集させる方法と
しては、例えば、通常シリカゾル中に含まれるNa2
等のアルカリを0.05重量%以下に低減する方法など
が挙げられる。シリカゾル中にNa2 Oが含まれると、
シリカ粒子表面に対イオンとしてNa + が配位し、さら
にその周りに水和層を持った電気2重層を形成するため
に、シリカ粒子同士の反発によりコロイド状態を維持
し、均一に分散されるが、シリカゾル中に含まれるNa
2 O量を0.05重量%以下に低減することにより、シ
リカ表面に電気2重層を形成させて電荷を持つことを防
止し、ゾルの調製中に1次粒子同士を2次凝集させるも
のである。
【0039】また、シリカの1次粒子表面にAl3+を所
定量付着せしめることによっても2次凝集化は可能であ
る。シリカ表面に、シリカ全重量に対して0.1重量%
以上のAl3+(Al換算)を結合させると、部分的に正
に帯電する部位を生じる。シリカ自身の電荷は負である
ために、シリカ粒子全体としての電荷は相殺される。こ
うしてシリカ表面の電気2重層の形成による電荷を持つ
ことを防止し、ゾルの調製中に1次粒子同士を2次凝集
させ、0.1〜2μmの平均粒度範囲をもつ2次粒子を
好適に得ることができる。なお、Al換算にしてシリカ
全重量の対して20重量%以上の付着は耐食性に有効な
シラノール基の僅少を招来し、望ましくない。
【0040】本発明に利用される有機溶剤分散シリカゾ
ルの分散媒としては、エチレングリコールモノノルマル
プロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、キシレン等の有機溶媒が挙げ
られる。なお、シリカゾルの有機溶媒中の濃度は等に限
定されないが、通常15〜40wt%のものが用いられ
る。
【0041】このような効果は、上記有機溶剤分散シリ
カゾルの代わりにチェーン状の気相シリカを用いても発
揮することができ、本発明の製造方法の第2の態様にお
いては、平均粒子径が5〜30nmの一次粒子が結合し
てなる平均長さが0.1μm以上のチェーン状気相シリ
カを含有する塗料組成物を使用する。
【0042】利用可能な気相シリカには特に限定はな
く、アルキル基を有する疎水性気相シリカ、通常の親水
性気相シリカ等、公知のものがいずれも利用可能であ
る。
【0043】シリカの平均一次粒子径が5nm未満にす
ると、耐アルカリ性が低下してしまい好ましくない。逆
に、30nmを超えると、耐食性に寄与するために必要
なシラノール基を確保できないので、使用するシリカの
平均一次粒子径としては5〜30nmに限定する。好ま
しくは、シリカの平均一次粒子径を7〜15nmの範囲
とすることにより、耐アルカリ性や耐食性等の点でより
好適な結果を得る。
【0044】また、シリカによるチェーンの平均長さが
0.1μm未満では、シリカのチェーン形成効果が顕著
にあらわれず、電着塗装性の向上が充分でないだけでな
く、ポリアミド樹脂などの添加によって増粘し、作業性
が悪くなるので、0.1μm以上とした。特に長くても
問題ないが、あまり長すぎた場合には、塗膜の加工性が
悪くなるので、50μm以下が望ましい。好ましくは、
シリカによるチェーンの平均長さを0.2〜2μmの範
囲とすることにより、電着塗装性や加工性等の点でより
好適な結果を得る。なお、気相シリカは、そのシラノー
ル基同士の水素結合によって、塗料組成物中にチェーン
状で存在する。
【0045】本発明の製造方法において、塗料組成物中
のシリカの固形分は、全有機被覆層の乾燥重量に対し1
0〜60wt%、特には20〜40wt%とするのが好
ましい。シリカ量が10wt%未満になると、前述のよ
うに、シリカ凝集体のシラノール基による電着塗装時の
通電点確保が充分でなく、良好な電着塗装性が得られな
い場合があり、また、シラノール基によるクロメート層
との密着性が確保できず、耐水二次密着性が劣化する可
能性が生じる。シリカが60wt%を超えると、樹脂組
成物との相溶性が悪くなり、塗料組成物として鋼板に塗
布することが困難になる可能性が生じる。
【0046】本発明の製造方法は、前述のように、樹脂
固形分のアミン価が40〜150の樹脂組成物と、前記
所定の有機溶剤分散シリカゾルあるいはチェーン状気相
シリカとを含有する塗料組成物を使用して、有機被覆層
を形成する。このような塗料組成物を調製する方法には
特に限定はなく、前記樹脂組成物を適当な有機溶媒に溶
解した後、有機溶剤分散シリカゾルあるいはチェーン状
気相シリカを添加して、混合する、あるいは、適当な有
機溶媒に有機溶剤分散シリカゾルあるいはチェーン状気
相シリカを分散した後、前記樹脂組成物を溶解、混合す
ればよい。なお、塗料組成物の調製に用いる有機溶媒に
は特に限定はなく、前記樹脂組成物の種類等に応じて適
宜選択すればよい。具体的には、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、キシレン、石油系ナフサ等が例示さ
れる。
【0047】また、樹脂組成物の種類や有機溶剤分散シ
リカゾルの分散媒によっては、特に有機溶媒を用いず、
直接樹脂組成物と有機溶剤分散シリカゾルあるいはチェ
ーン状気相シリカとを混合して、塗料組成物を調製して
もよい。さらに、以上の必須成分以外に、本発明に利用
される塗料組成物には、本発明の特性を損わない範囲
で、溶媒、滑材、硬化剤、通常の塗料組成物に添加され
る顔料、防錆剤および分散安定化剤等が添加されていて
もよい。
【0048】全塗料組成物の塗布量は、乾燥重量にして
0.1〜3g/m2である。全塗料組成物の塗布量が、乾燥
重量で0.1g/m2未満では、十分な有機被覆層を形成す
ることができず、防錆性や耐低温チッピング性を十分に
得ることができない。逆に、3g/m2を超えると、被膜抵
抗が高くなり、スポット溶接性が低下してしまう。な
お、塗料組成物の塗布量を乾燥重量で0.2〜1.5g/
m2とすることにより、防錆性、耐低温チッピング性、ス
ポット溶接性等の点でより好ましい結果を得る。
【0049】このような塗料組成物の塗布方法には特に
限定はなく、ロールコータ、スプレーコータ等、公知の
手段がいずれも利用可能である。また、乾燥温度にも特
に限定はなく、樹脂組成物の種類等に応じて適宜決定す
ればよいが、通常90〜200℃程度である。
【0050】以上、本発明の電着塗装後の鮮映性と塗料
密着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造方法について詳
細に説明したが、本発明は上述の例に限定されず、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で、各種の改良および変更を
行ってもよいのはもちろんである。
【0051】
【実施例】次に本発明の効果を実施例に基づいて具体的
に説明する。 <実施例>板厚0.8mmの低炭素鋼板を酸洗、脱脂
後、目付け量30g/m2 のZn−Ni合金めっき(1
2重量%Ni)を施し、次いでロールコータを用いてC
6+/全Cr比50%のクロメート処理液を塗布した
後、最高到達板温120℃で焼き付け、クロメート被覆
層を形成させた。その上層に、下記表1に示される組成
を有する(有機複合)塗料組成物をロールコーターで塗
布し、最高到達板温160℃で焼き付けることにより、
有機被覆層を形成させた。なお、塗料組成物は、溶剤と
してエチレングリコールモノブチルエーテルとプロピレ
ングリコールモノメチルアセテートと石油系ナフサとを
用い、これに、有機樹脂およびシリカ(シリカゾルある
いはチェーン状シリカ)を、混合(分散)して調製し
た。また、表1に示される含有率は、乾燥後のものであ
る。
【0052】表1に示される樹脂組成物およびシリカの
種類は、下記のとおりである。 [樹脂組成物] 1.アミン変性エポキシ樹脂とポリイミン樹脂aとを1
5:1の割合(重量比)で混合した樹脂組成物 アミン変性エポキシ樹脂 還流冷却器、攪拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み
装置を付した反応装置にエピコート1007(シェル化
学社製 エポキシ樹脂:エポキシ当量=2000)20
00重量部(エポキシ基1当量)とトルエン1000重
量部を加え、80℃まで昇温し、均一溶液とした。次に
この溶液にジエタノールアミン52.5重量部を30分
かけて滴下後1時間反応させた。続いて、この溶液にγ
−アミノプロピルトリメトキシシラン110.5重量部
(日本ユニカー社製、商品名A−1100)を30分か
けて滴下し、さらに80℃で2時間反応させた。このよ
うにして得られた複合体に硬化剤としてメチル化メラミ
ン樹脂(大日本インキ化学工業社製、スーパーベッカミ
ン L−105−60)を上記複合体樹脂100重量部
(固形分)に対し、40重量部混合した。 ポリイミン樹脂a 日本触媒(株)社製 エポミンSP−018
【0053】2.ウレタン変性樹脂とポリアミド樹脂と
を4:1の割合(重量比)で混合した樹脂組成物 ウレタン変性樹脂 還流冷却器、攪拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み
装置を付した反応装置にヘキサメチレンジイソシアネー
ト:528重量部、メチルイソブチルケトン:620重
量部を取り均一に溶解し、80℃に昇温後、グリセリ
ン:92重量部を1時間で徐々に滴下し、さらに100
℃、4時間反応させ、不揮発分50%のイソシアネート
化合物Aを得た。この化合物Aのイソシアネート当量は
固形分値で207であった。還流冷却器、攪拌装置、温
度計および窒素ガス吹き込み装置を付した反応装置にエ
ピコート1007(シェル化学社製 エポキシ樹脂:エ
ポキシ当量=2000)2000重量部とトルエン10
00重量部を加え、80℃まで昇温し、均一溶液とし
た。次に前記イソシアネート化合物A600重量部(固
型分)を1時間で徐々に滴下し、さらに80℃で3時間
反応させた。反応の終点は赤外分光光度計によりイソシ
アネート基の吸収(2270cm-1)が消滅する点とし
た。このようにしてエポキシ当量が2600のウレタン
変性エポキシ樹脂が得られた。続いて、このウレタン化
エポキシ樹脂にジエタノールアミン105重量部を添加
し、80℃で2時間反応させた。 ポリアミド樹脂 ケーシー有限会社製 ニューマイド505−65
【0054】3.アクリル樹脂とポリアミン樹脂とを3
0:1の割合(重量比)で混合した樹脂組成物 アクリル樹脂 三菱レイヨン(株)社製 ダイアナールHR633 ポリアミン樹脂 大塚化学(株)社製 PAH−L
【0055】4.アミン変性エポキシ樹脂とポリイミン
樹脂bとを15:1の割合(重量比)で混合した樹脂組
成物 アミン変性エポキシ樹脂 同上 ポリイミン樹脂b 日本触媒(株)社製 エポミンSP−200
【0056】5.アミン変性エポキシ樹脂とポリイミン
樹脂aとを4:1の割合(重量比)で混合した樹脂組成
物 アミン変性エポキシ樹脂 同上 ポリイミン樹脂a 同上
【0057】[シリカ] A.平均一次粒子径10nmのものを凝集して、平均凝
集粒子径0.4μm、比表面積300m2/gとした凝集形
態シリカを、エチレングリコールモノノルマルプロピル
エーテル中に25重量%の割合で分散た有機溶剤分散シ
リカゾル。
【0058】B.平均一次粒子径10nmのものがつな
がった、平均長さ0.5μmのチェーン状の疎水性ヒュ
ームドシリカ。
【0059】C.凝集していない平均粒径10nmの上
記と同様の有機溶剤分散シリカゾル(比表面積200m2
/g)。なお、シリカの比表面積は、凝集していないシリ
カの場合BET法で、凝集粒子の場合はシアーズ法で測
定した。また、粒子径は遠心沈降法による測定を行っ
た。
【0060】また、樹脂組成物のアミン価は、下記の方
法で測定したものである。塗料組成物を5g程度秤量
し、pHメータを使用して0.05N HCl溶液で電
位差滴定を行い、下記式によって算出した。なお、滴定
は変曲点を中和の終点として行った。 アミン価=0.05×f×A×56.108÷(S×N
V) f;0.05N HCl溶液のファクター A;滴定量 56.108;KOHの分子量 S;塗料組成物の重量 NV;塗料組成物中の樹脂固形分割合(シリカを除く量
の割合)
【0061】このようにして得られた各種の鋼板につい
て、下記の各種の試験を行った。なお、化成処理および
電着塗装の条件は下記のとおりである。 [化成処理]通常のアルカリ脱脂を行った後、表面調整
を行って、リン酸塩処理液(日本ペイント社製 SD2
500)に120秒浸漬した。 [電着塗装]日本ペイント社製U−53を浴温度28〜
30℃で、電着電圧250Vで180秒間通電して電着
塗装を施し、165℃で20分間焼き付けた。
【0062】(電着塗装性)化成処理を行った後に電着
塗装し、ガスピンホール、クレーターの有無、電着塗装
膜厚、鮮映性によって電着塗装性を評価した。ガスピン
ホール、クレーターの有無は観察により評価した。電着
塗装膜厚は、Zn−Niめっきと同じであるのが良好で
ある。膜厚が多くなった場合には経済的に不利となるた
め悪い。鮮映性は、電着塗装後の試料にポリエステル粘
着テープNo.31B(日東電工社製)を貼り、財団法
人日本色彩研究所製の携帯用鮮明度光沢度計PGD−I
V型を用いてPGD値を測定した。なお、PGD(鮮明
度光沢度計)は自動車技術Vol.141(198
7),No.279,P.1394に記載される塗装面
の光沢度を簡便に測定する装置である。PGD値は高い
方が鮮映性は良好である。なお、本発明者らの知見に基
けば、従来の電着塗装性の評価基準であったゆず肌の場
合はPGD値0.2以下であることがわかった。PGD
値0.3以上0.5未満ではゆず肌にはならないが、電
着塗装被膜にわずかに凹凸が観察される。PGD値0.
5では電着塗装被膜は均一となり、電着塗装被膜下地の
形状の凹凸がそのまま現れる。なお、目標であるZn−
Ni合金めっき鋼板のPGD値は、電着塗装条件により
0.4〜0.6を示すので、鮮映性の合格基準は0.4
〜0.6とした。PGD値が0〜0.2ではゆず肌であ
る。
【0063】(耐低温チッピング性)化成処理を行った
後に電着塗装し、さらに自動車用中塗り塗装(日本ペイ
ント社製 TO−4830、塗膜厚40μm)、上塗り
塗装(日本ペイント社製 TO−4640−2、塗膜厚
40μm)をスプレー塗装した。得られたサンプルを以
下の条件でダイヤモンドショット試験を行った。試験後
はテープによって剥離試験を行った。評価方法は、ショ
ット10点の塗膜剥離面積の合計面積である。なお、2
10km/hのショットスピードは日本国内における通
常の試験条件よりも厳しいものである(通常のショット
スピード170km/h以下)。 ダイヤモンド:10mg 試験温度:−20℃ ショットスピード:210km/h
【0064】(耐外面錆性)化成処理を行った後に電着
塗装し、さらに自動車用中塗り塗装(日本ペイント社製
TO−4830、塗膜厚40μm)、上塗り塗装(日
本ペイント社製 TO−4640−2、塗膜厚40μ
m)をスプレー塗装した。塗装後にのこ刃傷を入れ、試
料とした。得られた試料を海岸に暴露し、週2回の海水
散布をおこなうVolvo試験を3ヶ月間行った。暴露
地は東京湾海岸である。評価は、傷部からの最大塗膜膨
れ巾(または腐食巾)を測定し、以下の基準で判定し
た。 ◎:塗膜膨れ(または腐食)無し ○:最大塗膜膨れ巾(または腐食巾)0超え1mm以下 △:最大塗膜膨れ巾(または腐食巾)1超え2mm以下 ×:最大塗膜膨れ巾(または腐食巾)2mm超え
【0065】(耐水二次密着性)化成処理を行った後電
着塗装し、さらに自動車用中塗り塗装(日本ペイント社
製 TO−4830、塗膜厚40μm)、上塗り塗装
(日本ペイント社製 TO−4640−2、塗膜厚40
μm)をスプレー塗装した。得られたサンプルを50℃
の純水に240時間浸漬した。各サンプルを取り出し、
10分以内に碁盤目テープ剥離試験を行った(2mm間
隔の碁盤目を100個)。評価は、塗膜剥離面積率を測
定することによって行った。 剥離面積率 ◎: 0% ○: 1〜5% △: 6〜15% ×:16〜35% ××: 35%以上
【0066】(耐クロム溶出性)化成処理前後のクロム
量を蛍光X線分析によって測定し、その差をクロム溶出
量とみなし、以下の基準にて評価した。 ◎:1mg/m2 未満 ○:1以上2mg/m2 未満 △:2以上5mg/m2 未満 ×:5mg/m2 以上 以上の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1に示されるように、本発明の製造方法
による有機複合被覆鋼板は、特に電着塗装性に優れ、ま
た、自動車車体外面用鋼板に要求される耐低温チッピン
グ性等の性能も具備している。以上の結果より、本発明
の効果は明らかである。
【0069】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に従
って有機複合被覆鋼板を製造することによって、電着塗
装性、特に電着塗装後の鮮映性に優れ、従来の亜鉛系め
っき鋼板や冷延鋼板と同等の外観を示し、さらに耐水二
次密着性、防錆性、耐低温チッピング性およびスポット
溶接性等にも優れた性能を示す優れた自動車車体用素材
を提供することができる。これにより自動車車体の耐久
性向上、ひいては地球資源の節約に、貢献するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機被覆層のアミン価と塗装後の鮮映性および
耐水二次密着性との関係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B05D 7/24 301 B05D 7/24 301H C09D 5/44 C09D 5/44 C25D 11/38 305 C25D 11/38 305 13/00 308 13/00 308B // C23C 22/24 C23C 22/24 (72)発明者 日下部 隆 宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研 究所内 (72)発明者 筋 田 成 子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研 究所内 (72)発明者 向 亮 一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研 究所内 (72)発明者 望 月 一 雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研 究所内 (72)発明者 田 辺 弘 往 栃木県那須郡西那須野町朝日町8−15 (72)発明者 永 井 昌 憲 栃木県大田原市薄葉1926−9 (72)発明者 加 藤 伸 佳 栃木県那須郡西那須野町下永田3−1172 −4 A104号 (72)発明者 小 川 修 栃木県那須郡西那須野町下永田3−1172 −4 A105号 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05D 7/14 B05D 1/36 B05D 5/00 B05D 7/24 301 C09D 5/44 C25D 11/38 305 C25D 13/00 308 C23C 22/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の表面に
    Cr換算で5〜500mg/m2 のクロメート層を形成し、
    その上に、平均粒子径が5〜30nmの一次粒子が凝集
    してなる平均凝集粒子径が0.1〜2μmで凝集体の比
    表面積が40〜800m2/gの有機溶剤分散シリカゾルと
    樹脂固形分のアミン価が40〜150の樹脂組成物とを
    含有する有機複合塗料組成物を、乾燥重量にして0.1
    〜3g/m2塗布し、乾燥することを特徴とする電着塗装後
    の鮮映性と塗料密着性に優れた有機複合被覆鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の表面に
    Cr換算で5〜500mg/m2 のクロメート層を形成し、
    その上に、平均粒子径が5〜30nmの一次粒子が結合
    してなる平均長さが0.1μm以上のチェーン状気相シ
    リカと樹脂固形分のアミン価が40〜150の樹脂組成
    物とを含有する有機複合塗料組成物を、乾燥重量にして
    0.1〜3g/m2塗布し、乾燥することを特徴とする電着
    塗装後の鮮映性と塗料密着性に優れた有機複合被覆鋼板
    の製造方法。
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