JP2854180B2 - 極薄金属帯の形状矯正方法 - Google Patents
極薄金属帯の形状矯正方法Info
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- JP2854180B2 JP2854180B2 JP33450991A JP33450991A JP2854180B2 JP 2854180 B2 JP2854180 B2 JP 2854180B2 JP 33450991 A JP33450991 A JP 33450991A JP 33450991 A JP33450991 A JP 33450991A JP 2854180 B2 JP2854180 B2 JP 2854180B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間圧延されたり焼鈍
されたりして長手方向の長さが幅方向に不均一に分布し
ている板厚が0.3mm以下の極薄金属帯を連続的に長手方
向に伸ばして形状の矯正を良好に行うことのできる極薄
金属帯の形状矯正方法に関するものである。
されたりして長手方向の長さが幅方向に不均一に分布し
ている板厚が0.3mm以下の極薄金属帯を連続的に長手方
向に伸ばして形状の矯正を良好に行うことのできる極薄
金属帯の形状矯正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に金属帯には冷間圧延されたり焼鈍
されたりしたことにより、金属帯の幅方向中央部が両端
部より部分的に長い“中伸び”,金属帯の幅方向のほぼ
1/4の箇所が両端部及び中央部より部分的に長い“ク
ォーター伸び”,金属帯の両端部が幅方向中央部より部
分的に長い“縁伸び”などのように、長手方向の長さが
部分的に幅方向に不均一に分布している現象が発生して
いる場合が非常に多い。
されたりしたことにより、金属帯の幅方向中央部が両端
部より部分的に長い“中伸び”,金属帯の幅方向のほぼ
1/4の箇所が両端部及び中央部より部分的に長い“ク
ォーター伸び”,金属帯の両端部が幅方向中央部より部
分的に長い“縁伸び”などのように、長手方向の長さが
部分的に幅方向に不均一に分布している現象が発生して
いる場合が非常に多い。
【0003】このような金属帯の長手方向の長さが幅方
向に不均一に分布している形状不良を矯正する手段とし
て、従来は多数のバックアップロールにより曲げロール
を支持するクラスターロールタイプの曲げ装置を有する
テンションレベラーが使用されていた。このテンション
レベラーは、金属帯に張力を付与しながら金属帯の長手
方向と直角な方向に配置した曲げロールにより金属帯を
曲げて形状矯正を行う装置であり、このタイプのテンシ
ョンレベラーによって形状矯正効果を有効に発揮させる
ためには曲げロールの直径を可及的に小さくし更にこの
曲げロールへの金属帯の巻付け角を大きくすることによ
り金属帯に付与する曲げ歪を大きくすることが必要にな
る。
向に不均一に分布している形状不良を矯正する手段とし
て、従来は多数のバックアップロールにより曲げロール
を支持するクラスターロールタイプの曲げ装置を有する
テンションレベラーが使用されていた。このテンション
レベラーは、金属帯に張力を付与しながら金属帯の長手
方向と直角な方向に配置した曲げロールにより金属帯を
曲げて形状矯正を行う装置であり、このタイプのテンシ
ョンレベラーによって形状矯正効果を有効に発揮させる
ためには曲げロールの直径を可及的に小さくし更にこの
曲げロールへの金属帯の巻付け角を大きくすることによ
り金属帯に付与する曲げ歪を大きくすることが必要にな
る。
【0004】しかるに近年、例えばステンレス箔で代表
されるような板厚が0.3mm以下の極薄金属帯の用途が急
速に拡大してきており、このような極薄金属帯の形状矯
正を行おうとすると、極薄金属帯はその板厚が非常に薄
いため必然的に曲げロールの直径も非常に小さなものを
使用せざるを得ない。しかしながら、従来のテンション
レベラーでは曲げロールの直径を小さくすると曲げロー
ルの曲げ剛性が直径の4乗に比例して小さくなってたわ
み易くなるので、曲げロールのたわみを防止するための
バックアップロール群が曲げロールに対して相対的に大
きくなって幾何学的に充分な曲げロールへの極薄金属帯
の巻付け角を確保することができないため曲げロールを
小径にしても極薄金属帯の伸び率を大きくすることがで
きない。また、充分な巻付け角を確保するためにバック
アップロールを小径化すると、曲げロールのたわみが大
きくなるばかりでなく曲げロールの水平方向の支持が不
充分となって曲げロールがバックアップロールから外れ
る危険性が高くなり、更にこのような小径の曲げロール
を後方より多数のバックアップロールで支持する方法で
は板の摩擦抵抗だけで曲げロールを回転させることが困
難であり、有効な手段とは言い難い問題点があった。
されるような板厚が0.3mm以下の極薄金属帯の用途が急
速に拡大してきており、このような極薄金属帯の形状矯
正を行おうとすると、極薄金属帯はその板厚が非常に薄
いため必然的に曲げロールの直径も非常に小さなものを
使用せざるを得ない。しかしながら、従来のテンション
レベラーでは曲げロールの直径を小さくすると曲げロー
ルの曲げ剛性が直径の4乗に比例して小さくなってたわ
み易くなるので、曲げロールのたわみを防止するための
バックアップロール群が曲げロールに対して相対的に大
きくなって幾何学的に充分な曲げロールへの極薄金属帯
の巻付け角を確保することができないため曲げロールを
小径にしても極薄金属帯の伸び率を大きくすることがで
きない。また、充分な巻付け角を確保するためにバック
アップロールを小径化すると、曲げロールのたわみが大
きくなるばかりでなく曲げロールの水平方向の支持が不
充分となって曲げロールがバックアップロールから外れ
る危険性が高くなり、更にこのような小径の曲げロール
を後方より多数のバックアップロールで支持する方法で
は板の摩擦抵抗だけで曲げロールを回転させることが困
難であり、有効な手段とは言い難い問題点があった。
【0005】そこで本出願人は、このような極薄金属帯
の形状矯正を行う場合の致命的な問題点を解消して、容
易にしかも効率良く極薄金属帯の形状矯正を行う方法と
して、先に特願平2−228184号として『板厚tが
0.3mm以下の極薄金属帯に該極薄金属帯の降伏点又は耐
力の0.15倍以上の引力を付与した状態で、それぞれの軸
が互いに平行で且つ双方の間にギャップを設けた同方向
に回転する入側及び出側の円筒形ロールと、この2本の
円筒形ロールに近接して該円筒形ロールの軸と平行に配
置され前記ギャップから曲げられる極薄金属帯の板厚t
の2倍を引いた長さより大きい直径2rを有し且つr/
tが200以下となるフローティングロールとを備えたロ
ール群に、該極薄金属帯を先ず入側の円筒形ロールに沿
わせてから該ギャップを通した後に該フローティングロ
ールに沿わせて曲げてから再び該ギャップを通るように
通帯させる曲げ・曲げ戻し加工を少なくとも該極薄金属
帯の表裏両面共にフローティングロールに当接して曲げ
られるように行って該極薄金属帯に0.1%以上の伸び歪
を与えた後に、曲げ戻しを行うことを特徴とする極薄金
属帯の形状矯正方法』を提案した。
の形状矯正を行う場合の致命的な問題点を解消して、容
易にしかも効率良く極薄金属帯の形状矯正を行う方法と
して、先に特願平2−228184号として『板厚tが
0.3mm以下の極薄金属帯に該極薄金属帯の降伏点又は耐
力の0.15倍以上の引力を付与した状態で、それぞれの軸
が互いに平行で且つ双方の間にギャップを設けた同方向
に回転する入側及び出側の円筒形ロールと、この2本の
円筒形ロールに近接して該円筒形ロールの軸と平行に配
置され前記ギャップから曲げられる極薄金属帯の板厚t
の2倍を引いた長さより大きい直径2rを有し且つr/
tが200以下となるフローティングロールとを備えたロ
ール群に、該極薄金属帯を先ず入側の円筒形ロールに沿
わせてから該ギャップを通した後に該フローティングロ
ールに沿わせて曲げてから再び該ギャップを通るように
通帯させる曲げ・曲げ戻し加工を少なくとも該極薄金属
帯の表裏両面共にフローティングロールに当接して曲げ
られるように行って該極薄金属帯に0.1%以上の伸び歪
を与えた後に、曲げ戻しを行うことを特徴とする極薄金
属帯の形状矯正方法』を提案した。
【0006】この本出願人が提案した極薄金属帯の形状
矯正方法は、例えば図1に示すように板厚tが0.3mm以
下の極薄金属帯Sをアンコイラー1から巻き出し、入側
テンションブライドル2と出側テンションブライドル8
とで極薄金属帯Sの降伏点の0.15倍以上又は耐力の0.15
倍以上の引張応力を付与した状態で、先ずそれぞれの軸
が互いに平行で且つ双方の間にギャップGを設けた同方
向に回転する入側及び出側の円筒形ロール3,4と、こ
れら2本の円筒形ロール3,4に近接して円筒形ロール
3,4の軸とその軸が平行に配置され前記ギャップGか
ら曲げられる極薄金属帯Sの板厚tの2倍を引いた長さ
より大きい直径2rを有し且つr/tが200以下となる
フローティングロール5とを備えたロール群に、極薄金
属帯Sを先ず入側の円筒形ロール3に沿わせ曲げてから
ギャップGを通した後にフローティングロール5に沿わ
せて曲げてから再びギャップGを通して出側の円筒形ロ
ール4に沿わせるように通板させる曲げ・曲げ戻し加工
を少なくとも極薄金属帯Sの表裏両面共にフローティン
グロール5に当接して曲げられるように行って極薄金属
帯Sに0.1%以上のに伸び歪を与えた後にデフレクタロ
ール6を経てコイラー9に巻き取るのである。
矯正方法は、例えば図1に示すように板厚tが0.3mm以
下の極薄金属帯Sをアンコイラー1から巻き出し、入側
テンションブライドル2と出側テンションブライドル8
とで極薄金属帯Sの降伏点の0.15倍以上又は耐力の0.15
倍以上の引張応力を付与した状態で、先ずそれぞれの軸
が互いに平行で且つ双方の間にギャップGを設けた同方
向に回転する入側及び出側の円筒形ロール3,4と、こ
れら2本の円筒形ロール3,4に近接して円筒形ロール
3,4の軸とその軸が平行に配置され前記ギャップGか
ら曲げられる極薄金属帯Sの板厚tの2倍を引いた長さ
より大きい直径2rを有し且つr/tが200以下となる
フローティングロール5とを備えたロール群に、極薄金
属帯Sを先ず入側の円筒形ロール3に沿わせ曲げてから
ギャップGを通した後にフローティングロール5に沿わ
せて曲げてから再びギャップGを通して出側の円筒形ロ
ール4に沿わせるように通板させる曲げ・曲げ戻し加工
を少なくとも極薄金属帯Sの表裏両面共にフローティン
グロール5に当接して曲げられるように行って極薄金属
帯Sに0.1%以上のに伸び歪を与えた後にデフレクタロ
ール6を経てコイラー9に巻き取るのである。
【0007】この本出願人が提案した極薄金属帯の形状
矯正方法は、極薄金属帯に付与する曲げ半径の小径化が
容易で且つ充分な曲げロールへの極薄金属帯の巻付け角
を確保することができるため、極薄金属帯の形状矯正に
対して極めて有効な方法である。しかしながら、この極
薄金属帯の形状矯正方法では、より幅の広い極薄金属帯
に対応するために各ロール3,4,5の胴長を長くしよ
うとすると、その胴長が長くなるのに伴って曲げスタン
ドの各ロールがたわみ易くなることを防止するために
は、フローティングロール5の直径と曲げスタンドの入
側及び出側の円筒形ロール3,4のギャップGを一定に
保った状態においては入側及び出側の円筒形ロール3,
4の直径を大きくする必要がある。このように入側及び
出側の円筒形ロール3,4の直径を大きくすると、必然
的に入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結
ぶ線に対して入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心
とフローティングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角を
それぞれα及びβとしたときに、これらの角度α及びβ
が共に小さくなるために極薄金属帯Sに付与する引張応
力をTとすると、 で表わされる円筒形ロール3,4とフローティングロー
ル5との間に作用する圧下力Pが増大し、円筒形ロール
3,4とフローティングロール5との間で極薄金属帯S
に生ずる圧延効果が大きくなり、圧延に起因する中伸び
や縁伸びなどの形状不良が発生して目標とする平坦度が
得られない場合があり、実用化の障害となる問題点が生
じたのである。
矯正方法は、極薄金属帯に付与する曲げ半径の小径化が
容易で且つ充分な曲げロールへの極薄金属帯の巻付け角
を確保することができるため、極薄金属帯の形状矯正に
対して極めて有効な方法である。しかしながら、この極
薄金属帯の形状矯正方法では、より幅の広い極薄金属帯
に対応するために各ロール3,4,5の胴長を長くしよ
うとすると、その胴長が長くなるのに伴って曲げスタン
ドの各ロールがたわみ易くなることを防止するために
は、フローティングロール5の直径と曲げスタンドの入
側及び出側の円筒形ロール3,4のギャップGを一定に
保った状態においては入側及び出側の円筒形ロール3,
4の直径を大きくする必要がある。このように入側及び
出側の円筒形ロール3,4の直径を大きくすると、必然
的に入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結
ぶ線に対して入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心
とフローティングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角を
それぞれα及びβとしたときに、これらの角度α及びβ
が共に小さくなるために極薄金属帯Sに付与する引張応
力をTとすると、 で表わされる円筒形ロール3,4とフローティングロー
ル5との間に作用する圧下力Pが増大し、円筒形ロール
3,4とフローティングロール5との間で極薄金属帯S
に生ずる圧延効果が大きくなり、圧延に起因する中伸び
や縁伸びなどの形状不良が発生して目標とする平坦度が
得られない場合があり、実用化の障害となる問題点が生
じたのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した本
出願人が提案した直径の大きな2本の円筒形ロール3,
4と直径の小さなフローティングロール5とを有するロ
ール群を使用して引張応力Tを付与した状態で極薄金属
帯Sを直径の小さなフローティングロール5に大きな巻
付け角で沿わせて曲げ・曲げ戻しを行って形状矯正する
際に、円筒形ロール3,4とフローティングロール5と
の間に作用する大きな圧下力Pにより極薄金属帯Sに圧
延に起因する中伸びや縁伸びなどの形状不良が発生して
目標とする平坦度が得られないという問題点を解決し
て、優れた形状矯正効果を得ることのできる方法を提供
することを課題とする。
出願人が提案した直径の大きな2本の円筒形ロール3,
4と直径の小さなフローティングロール5とを有するロ
ール群を使用して引張応力Tを付与した状態で極薄金属
帯Sを直径の小さなフローティングロール5に大きな巻
付け角で沿わせて曲げ・曲げ戻しを行って形状矯正する
際に、円筒形ロール3,4とフローティングロール5と
の間に作用する大きな圧下力Pにより極薄金属帯Sに圧
延に起因する中伸びや縁伸びなどの形状不良が発生して
目標とする平坦度が得られないという問題点を解決し
て、優れた形状矯正効果を得ることのできる方法を提供
することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した極薄金属帯の形
状矯正方法では、テンションレベラーの本来の機能であ
る張力と曲げ・曲げ戻しによる長手方向の伸び歪に加え
て、曲げスタンドの入側及び出側の円筒形ロール3,4
とフローティングロール5とによって極薄金属帯Sが圧
延されることによる長手方向の伸び歪が発生する。この
うち後者の圧延による伸び歪は極薄金属帯Sの幅方向に
不均一に分布して形状不良を起こし易いため、高い形状
矯正効果を得るためには圧延による長手方向の伸びは可
能な限り抑制する必要がある。
状矯正方法では、テンションレベラーの本来の機能であ
る張力と曲げ・曲げ戻しによる長手方向の伸び歪に加え
て、曲げスタンドの入側及び出側の円筒形ロール3,4
とフローティングロール5とによって極薄金属帯Sが圧
延されることによる長手方向の伸び歪が発生する。この
うち後者の圧延による伸び歪は極薄金属帯Sの幅方向に
不均一に分布して形状不良を起こし易いため、高い形状
矯正効果を得るためには圧延による長手方向の伸びは可
能な限り抑制する必要がある。
【0010】そこで、図2により極薄金属帯Sの形状矯
正中のロール群3,4,5に働く力を考えてみる。入側
及び出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に対
して入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心とフロー
ティングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角をそれぞれ
α及びβとすると、先ず極薄金属帯Sに付与されている
引張応力Tによりフローティングロール5が2本の円筒
形ロール3,4のギャップG間に2Tcos〔(α+β)/
2〕の応力で引き込まれる。この応力によってフローテ
ィングロール5と円筒形ロール3,4とはP=T/tan
〔(α+β)/2〕の大きさの応力Pで極薄金属帯Sを板
厚方向に圧下することになる。この極薄金属帯Sの板厚
方向の圧下力Pを小さくすることにより圧延による伸び
を抑えることができるため、角度(α+β)は大きいほ
ど有利である。
正中のロール群3,4,5に働く力を考えてみる。入側
及び出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に対
して入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心とフロー
ティングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角をそれぞれ
α及びβとすると、先ず極薄金属帯Sに付与されている
引張応力Tによりフローティングロール5が2本の円筒
形ロール3,4のギャップG間に2Tcos〔(α+β)/
2〕の応力で引き込まれる。この応力によってフローテ
ィングロール5と円筒形ロール3,4とはP=T/tan
〔(α+β)/2〕の大きさの応力Pで極薄金属帯Sを板
厚方向に圧下することになる。この極薄金属帯Sの板厚
方向の圧下力Pを小さくすることにより圧延による伸び
を抑えることができるため、角度(α+β)は大きいほ
ど有利である。
【0011】しかしながら、フローティングロール5の
直径Dは前述したように極薄金属帯Sに付与する曲げ半
径の小径化から可及的に小さいことが好ましく、極薄金
属帯Sの板厚tにもよるが少なくとも極薄金属帯Sの表
層に塑性歪が生じるように3〜100mmの範囲で設定さ
れ、また入側及び出側の円筒形ロール3,4間のギャッ
プGもフローティングロール5の直径Dから曲げられる
極薄金属帯Sの板厚tの2倍を引いた長さより狭いこと
が必要であるので、入側及び出側の円筒形ロール3,4
間のギャップG及びフローティングロール5の直径Dは
大きく変動させることができない。よって、角度(α+
β)を大きくするには、入側及び出側の円筒形ロール
3,4の直径を小さくすれば良いのであるが、入側及び
出側の円筒形ロール3,4の直径はたわみ防止の観点か
ら無制限に小さくすることはできないのである。
直径Dは前述したように極薄金属帯Sに付与する曲げ半
径の小径化から可及的に小さいことが好ましく、極薄金
属帯Sの板厚tにもよるが少なくとも極薄金属帯Sの表
層に塑性歪が生じるように3〜100mmの範囲で設定さ
れ、また入側及び出側の円筒形ロール3,4間のギャッ
プGもフローティングロール5の直径Dから曲げられる
極薄金属帯Sの板厚tの2倍を引いた長さより狭いこと
が必要であるので、入側及び出側の円筒形ロール3,4
間のギャップG及びフローティングロール5の直径Dは
大きく変動させることができない。よって、角度(α+
β)を大きくするには、入側及び出側の円筒形ロール
3,4の直径を小さくすれば良いのであるが、入側及び
出側の円筒形ロール3,4の直径はたわみ防止の観点か
ら無制限に小さくすることはできないのである。
【0012】そこで本発明者らは、フローティングロー
ルとして引張応力の付与された極薄金属帯の少なくとも
表層の伸び歪が塑性歪となるような小径のロールを使用
すると共に、入側及び出側の円筒形ロールを比較的小径
のロールとしてこれを比較的大径のバックアップロール
で支持して曲げスタンドの各ロールのたわみを防止し、
且つ入側及び出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に
対して入側及び出側の円筒形ロールの軸心とフローティ
ングロールの軸心とを結ぶ線のなす角をそれぞれα及び
βとしたときに50°≦α+βを満たすようにすれば、
極薄金属帯の圧延による伸びを抑えて良好に極薄金属帯
の形状矯正を行うことができることを究明して本発明方
法を完成したのである。
ルとして引張応力の付与された極薄金属帯の少なくとも
表層の伸び歪が塑性歪となるような小径のロールを使用
すると共に、入側及び出側の円筒形ロールを比較的小径
のロールとしてこれを比較的大径のバックアップロール
で支持して曲げスタンドの各ロールのたわみを防止し、
且つ入側及び出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に
対して入側及び出側の円筒形ロールの軸心とフローティ
ングロールの軸心とを結ぶ線のなす角をそれぞれα及び
βとしたときに50°≦α+βを満たすようにすれば、
極薄金属帯の圧延による伸びを抑えて良好に極薄金属帯
の形状矯正を行うことができることを究明して本発明方
法を完成したのである。
【0013】即ち本発明は、縦弾性係数がEで降伏点又
は0.2%耐力がYである板厚tが0.3mm以下の極薄金属帯
を、0.1Y≦T<Yを満足する引張応力Tを付与した状
態で、それぞれの軸が互いに平行で且つ双方の間にギャ
ップを設けた同方向に回転する入側及び出側の円筒形ロ
ールとこれら2本の円筒形ロールに近接して該円筒形ロ
ールの軸とその軸が平行に配置され該ギャップから曲げ
られる極薄金属帯の板厚tの2倍を引いた長さより大き
い直径Dを有するフローティングロールとを備えたロー
ル群より成る曲げスタンドに、極薄金属帯を先ず入側の
円筒形ロールに沿わせてからギャップを通した後にフロ
ーティングロールに沿わせて曲げてから再び該ギャップ
を通して出側の円筒形ロールに沿わせるように通板させ
る曲げ・曲げ戻しを行って極薄金属帯の形状矯正を行う
に際し、前記フローティングロールとしてその直径Dが
3〜100mmで且つD<t(E+T−Y)/(Y−T)の
条件を満たす小径ロールを使用し、前記入側及び出側の
円筒形ロールとして入側及び出側の円筒形ロールの軸心
同士を結ぶ線に対して前記入側及び出側の円筒形ロール
の軸心と前記フローティングロールの軸心とを結ぶ線の
なす角をそれぞれα及びβとしたときに50°≦α+β
を満たすロールを使用し、前記入側及び出側の円筒形ロ
ールのうち少なくとも径の小さい円筒形ロールを1本又
は2本以上のバックアップロールで支持することを特徴
とする極薄金属帯の形状矯正方法に関するものである。
は0.2%耐力がYである板厚tが0.3mm以下の極薄金属帯
を、0.1Y≦T<Yを満足する引張応力Tを付与した状
態で、それぞれの軸が互いに平行で且つ双方の間にギャ
ップを設けた同方向に回転する入側及び出側の円筒形ロ
ールとこれら2本の円筒形ロールに近接して該円筒形ロ
ールの軸とその軸が平行に配置され該ギャップから曲げ
られる極薄金属帯の板厚tの2倍を引いた長さより大き
い直径Dを有するフローティングロールとを備えたロー
ル群より成る曲げスタンドに、極薄金属帯を先ず入側の
円筒形ロールに沿わせてからギャップを通した後にフロ
ーティングロールに沿わせて曲げてから再び該ギャップ
を通して出側の円筒形ロールに沿わせるように通板させ
る曲げ・曲げ戻しを行って極薄金属帯の形状矯正を行う
に際し、前記フローティングロールとしてその直径Dが
3〜100mmで且つD<t(E+T−Y)/(Y−T)の
条件を満たす小径ロールを使用し、前記入側及び出側の
円筒形ロールとして入側及び出側の円筒形ロールの軸心
同士を結ぶ線に対して前記入側及び出側の円筒形ロール
の軸心と前記フローティングロールの軸心とを結ぶ線の
なす角をそれぞれα及びβとしたときに50°≦α+β
を満たすロールを使用し、前記入側及び出側の円筒形ロ
ールのうち少なくとも径の小さい円筒形ロールを1本又
は2本以上のバックアップロールで支持することを特徴
とする極薄金属帯の形状矯正方法に関するものである。
【0014】以下、図面により本発明に係る極薄金属帯
の形状矯正方法を図面により詳細に説明する。図3は本
発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を実施している極
薄金属帯の形状矯正ラインの1実施例の説明図、図4〜
7は本発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を実施する
のに好適な曲げスタンドのロール配置例を示す説明図で
ある。
の形状矯正方法を図面により詳細に説明する。図3は本
発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を実施している極
薄金属帯の形状矯正ラインの1実施例の説明図、図4〜
7は本発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を実施する
のに好適な曲げスタンドのロール配置例を示す説明図で
ある。
【0015】本発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法
は、例えば図3に示すように縦弾性係数がEで降伏点又
は0.2%耐力がYである板厚tが0.3mm以下の極薄金属帯
Sをアンコイラー1から巻き出し、入側テンションブラ
イドル2と出側テンションブライドル8とによるか又は
この入側と出側のテンションブライドル2,8を使用せ
ずにアンコイラー1とコイラー9とにより極薄金属帯S
に0.1Y≦T<Yを満足する引張応力Tを付与した状態
で、それぞれの軸が互いに平行で且つ双方の間にギャッ
プGを設けた同方向に回転する入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4と、これら2本の円筒形ロール3,4に近接
して円筒形ロール3,4の軸とその軸が平行に配置され
前記ギャップGから曲げられる極薄金属帯Sの板厚tの
2倍を引いた長さより大きい直径Dを有するフローティ
ングロール5とを備えたロール群より成る曲げスタンド
に、極薄金属帯Sを先ず入側の円筒形ロール3に沿わせ
て曲げてからギャップGを通した後にフローティングロ
ール5に沿わせて曲げてから再びギャップGを通して出
側の円筒形ロール4に沿わせるように通板させる曲げ・
曲げ戻し加工を好ましくは極薄金属帯Sの表裏両面共に
フローティングロール5に当接して曲げられるように行
って極薄金属帯Sに伸び歪を与えた後に、デフレクタロ
ール6を経て反り修正装置7で反りを修正し、コイラー
9に巻き取るのであるが、この際以下の各条件を満足さ
せることが必要である。
は、例えば図3に示すように縦弾性係数がEで降伏点又
は0.2%耐力がYである板厚tが0.3mm以下の極薄金属帯
Sをアンコイラー1から巻き出し、入側テンションブラ
イドル2と出側テンションブライドル8とによるか又は
この入側と出側のテンションブライドル2,8を使用せ
ずにアンコイラー1とコイラー9とにより極薄金属帯S
に0.1Y≦T<Yを満足する引張応力Tを付与した状態
で、それぞれの軸が互いに平行で且つ双方の間にギャッ
プGを設けた同方向に回転する入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4と、これら2本の円筒形ロール3,4に近接
して円筒形ロール3,4の軸とその軸が平行に配置され
前記ギャップGから曲げられる極薄金属帯Sの板厚tの
2倍を引いた長さより大きい直径Dを有するフローティ
ングロール5とを備えたロール群より成る曲げスタンド
に、極薄金属帯Sを先ず入側の円筒形ロール3に沿わせ
て曲げてからギャップGを通した後にフローティングロ
ール5に沿わせて曲げてから再びギャップGを通して出
側の円筒形ロール4に沿わせるように通板させる曲げ・
曲げ戻し加工を好ましくは極薄金属帯Sの表裏両面共に
フローティングロール5に当接して曲げられるように行
って極薄金属帯Sに伸び歪を与えた後に、デフレクタロ
ール6を経て反り修正装置7で反りを修正し、コイラー
9に巻き取るのであるが、この際以下の各条件を満足さ
せることが必要である。
【0016】第1の条件として、フローティングロール
5として、その直径Dが3〜100mmの小径ロールであっ
て且つ極薄金属帯Sの少なくとも表層の伸び歪が塑性歪
となる条件であるD<t(E+T−Y)/(Y−T)の
小径ロールを使用するのである。即ち、直径Dのフロー
ティングロール5に巻き付けるようにして極薄金属帯S
を通板すると、極薄金属帯Sの外側の表層の伸び歪はt
/(D+t)となるからその外側の応力はtE/(D+
t)+Tとなり、この応力が極薄金属帯Sの降伏点又は
0.2%耐力であるYより大きくなる条件であるY<tE
/(D+t)+Tを書き直すと、上記D<t(E+T−
Y)/(Y−T)の条件となるのである。
5として、その直径Dが3〜100mmの小径ロールであっ
て且つ極薄金属帯Sの少なくとも表層の伸び歪が塑性歪
となる条件であるD<t(E+T−Y)/(Y−T)の
小径ロールを使用するのである。即ち、直径Dのフロー
ティングロール5に巻き付けるようにして極薄金属帯S
を通板すると、極薄金属帯Sの外側の表層の伸び歪はt
/(D+t)となるからその外側の応力はtE/(D+
t)+Tとなり、この応力が極薄金属帯Sの降伏点又は
0.2%耐力であるYより大きくなる条件であるY<tE
/(D+t)+Tを書き直すと、上記D<t(E+T−
Y)/(Y−T)の条件となるのである。
【0017】第2の条件として、入側及び出側の円筒形
ロール3,4として、入側及び出側の円筒形ロール3,
4の軸心同士を結ぶ線に対して入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4の軸心とフローティングロール5の軸心とを
結ぶ線のなす角をそれぞれα及びβとしたときに、50
°≦α+βを満たすことが必要である。これは、本発明
者らの種々の実験の結果、後記する図9に示すように5
0°≦α+β(入側及び出側の円筒形ロール3,4の直
径が共に同一である場合には、α=βとなるから25°
≦αとなる)であれば極薄金属帯Sの圧下力低減効果が
認められるが、50°>α+βとなると極薄金属帯Sの
圧下力の低減効果が少なくなって圧下力Pが急激に増大
することを究明したからである。
ロール3,4として、入側及び出側の円筒形ロール3,
4の軸心同士を結ぶ線に対して入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4の軸心とフローティングロール5の軸心とを
結ぶ線のなす角をそれぞれα及びβとしたときに、50
°≦α+βを満たすことが必要である。これは、本発明
者らの種々の実験の結果、後記する図9に示すように5
0°≦α+β(入側及び出側の円筒形ロール3,4の直
径が共に同一である場合には、α=βとなるから25°
≦αとなる)であれば極薄金属帯Sの圧下力低減効果が
認められるが、50°>α+βとなると極薄金属帯Sの
圧下力の低減効果が少なくなって圧下力Pが急激に増大
することを究明したからである。
【0018】更に第3の条件として、入側及び出側の円
筒形ロール3,4のうち少なくとも直径の小さい円筒形
ロール3及び/又は4を1本又は2本以上のバックアッ
プロール10で支持することが必要である。これは、5
0°≦α+βとする前記第2の条件を満たすようにする
と、必然的に円筒形ロール3及び/又は4の直径が小さ
くなって、これら円筒形ロール3及び/又は4の曲げ剛
性が低下し、極薄金属帯Sの良好な形状矯正ができなく
なるので、バックアップロール10によって円筒形ロー
ル3及び/又は4のたわみを防止させるために必要なの
である。このバックアップロール10によるたわみ防止
効果をより効果的に発揮させる手段として、図4に示す
ように各1本のバックアップロール10の軸心を円筒形
ロール3,4の軸心同士を結ぶ線上に配置する場合や、
図5に示すように各1本のバックアップロール10の軸
心を円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線上よりもフ
ローティングロール5の反対側にシフト角δで配置する
場合や、図6に示すように各2本のバックアップロール
10の軸心を円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に
対して対称に配置する場合や、図7に示すように各2本
のバックアップロール10の軸心を円筒形ロール3,4
の軸心同士を結ぶ線に対してフローティングロール5の
反対側にシフト角δで配置する場合がある。
筒形ロール3,4のうち少なくとも直径の小さい円筒形
ロール3及び/又は4を1本又は2本以上のバックアッ
プロール10で支持することが必要である。これは、5
0°≦α+βとする前記第2の条件を満たすようにする
と、必然的に円筒形ロール3及び/又は4の直径が小さ
くなって、これら円筒形ロール3及び/又は4の曲げ剛
性が低下し、極薄金属帯Sの良好な形状矯正ができなく
なるので、バックアップロール10によって円筒形ロー
ル3及び/又は4のたわみを防止させるために必要なの
である。このバックアップロール10によるたわみ防止
効果をより効果的に発揮させる手段として、図4に示す
ように各1本のバックアップロール10の軸心を円筒形
ロール3,4の軸心同士を結ぶ線上に配置する場合や、
図5に示すように各1本のバックアップロール10の軸
心を円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線上よりもフ
ローティングロール5の反対側にシフト角δで配置する
場合や、図6に示すように各2本のバックアップロール
10の軸心を円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に
対して対称に配置する場合や、図7に示すように各2本
のバックアップロール10の軸心を円筒形ロール3,4
の軸心同士を結ぶ線に対してフローティングロール5の
反対側にシフト角δで配置する場合がある。
【0019】図5及び図7に示すようにバックアップロ
ール10をシフト角δで配置する場合に、バックアップ
ロール10の直径がほぼ同一の場合にはシフト角δは角
αと同程度が最も効果的と考えられるが、ロールスタン
ドの構造等の制約によりシフト角δが角αと同じ値にな
らなくても、図4の場合よりはたわみ防止効果は大きく
なる。図8に極薄金属帯Sの板厚tが0.1mmでギャップ
Gが0.5mmの場合の種々の円筒形ロール3,4の直径
(入側と出側の円筒形ロール3,4の直径は同一)にお
けるフローティングロール5の直径Dと角αとの関係
を、また図9に極薄金属帯Sの板厚tが0.1mmでギャッ
プGが0.5mmの場合の種々の円筒形ロール3,4の直径
(入側と出側の円筒形ロールの直径3,4は同一)にお
ける引張応力Tが1KNの場合の角αと極薄金属帯の板
厚方向の圧下力の関係を示す。極薄金属帯Sの板厚tや
材質等の条件により一概には言えないが、この図8及び
9から判るように、例えば極薄金属帯Sがステンレス鋼
帯の場合に角αが25°以上であれば板厚方向の圧下力
Pは形状不良の原因となる圧延効果を生じない程度に低
い値となり、角αが25°以上を満足するための円筒形
ロール3,4の直径はフローティングロール5の直径D
の大凡10倍以下の範囲において達成できる。
ール10をシフト角δで配置する場合に、バックアップ
ロール10の直径がほぼ同一の場合にはシフト角δは角
αと同程度が最も効果的と考えられるが、ロールスタン
ドの構造等の制約によりシフト角δが角αと同じ値にな
らなくても、図4の場合よりはたわみ防止効果は大きく
なる。図8に極薄金属帯Sの板厚tが0.1mmでギャップ
Gが0.5mmの場合の種々の円筒形ロール3,4の直径
(入側と出側の円筒形ロール3,4の直径は同一)にお
けるフローティングロール5の直径Dと角αとの関係
を、また図9に極薄金属帯Sの板厚tが0.1mmでギャッ
プGが0.5mmの場合の種々の円筒形ロール3,4の直径
(入側と出側の円筒形ロールの直径3,4は同一)にお
ける引張応力Tが1KNの場合の角αと極薄金属帯の板
厚方向の圧下力の関係を示す。極薄金属帯Sの板厚tや
材質等の条件により一概には言えないが、この図8及び
9から判るように、例えば極薄金属帯Sがステンレス鋼
帯の場合に角αが25°以上であれば板厚方向の圧下力
Pは形状不良の原因となる圧延効果を生じない程度に低
い値となり、角αが25°以上を満足するための円筒形
ロール3,4の直径はフローティングロール5の直径D
の大凡10倍以下の範囲において達成できる。
【0020】
【実施例】入側及び出側の円筒形ロール3,4の直径が
50mm,フローティングロール5の直径Dが10mm,円筒形
ロール3,4間のギャップGが0.5mm,バックアップロ
ール10の直径が150mmであり入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4の軸心同士を結ぶ線に対して入側及び出側の
円筒形ロール3,4の軸心とフローティングロール5の
軸心とを結ぶ線のなす角αが33°である図4に示す構
成の曲げスタンドを有する設備を用いて、板厚が0.1m
m,板幅が600mm,0.2%耐力Yが1100MPaで長手方向の長
さが部分的に幅方向にかなり激しく不均一に分布してい
るステンレス鋼帯(SUS304)に、前記曲げスタン
ドの前後におけるステンレス鋼帯Sの長手方向の伸び率
が0.5%になるように引張応力Tを0.2%耐力Yの約40%
に相当する約440MPaに制御しながら通板して曲げ・曲げ
戻しを行った結果、比較的小径の円筒形ロール3,4を
たわむことなく使用できたため、フローティングロール
5と円筒形ロール3,4との間で生ずる圧延による伸び
が制御され、ステンレス鋼帯Sの形状不良を完全に矯正
することができた。
50mm,フローティングロール5の直径Dが10mm,円筒形
ロール3,4間のギャップGが0.5mm,バックアップロ
ール10の直径が150mmであり入側及び出側の円筒形ロ
ール3,4の軸心同士を結ぶ線に対して入側及び出側の
円筒形ロール3,4の軸心とフローティングロール5の
軸心とを結ぶ線のなす角αが33°である図4に示す構
成の曲げスタンドを有する設備を用いて、板厚が0.1m
m,板幅が600mm,0.2%耐力Yが1100MPaで長手方向の長
さが部分的に幅方向にかなり激しく不均一に分布してい
るステンレス鋼帯(SUS304)に、前記曲げスタン
ドの前後におけるステンレス鋼帯Sの長手方向の伸び率
が0.5%になるように引張応力Tを0.2%耐力Yの約40%
に相当する約440MPaに制御しながら通板して曲げ・曲げ
戻しを行った結果、比較的小径の円筒形ロール3,4を
たわむことなく使用できたため、フローティングロール
5と円筒形ロール3,4との間で生ずる圧延による伸び
が制御され、ステンレス鋼帯Sの形状不良を完全に矯正
することができた。
【0021】
【比較例】入側及び出側の円筒形ロール3,4の直径が
150mm,フローティングロール5の直径Dが10mm,円筒
形ロール3,4間のギャップGが0.5mmであり入側及び
出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に対して
入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心とフローティ
ングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角αが20°であ
る図2に示す構成の曲げスタンドを有する設備を用い
て、板厚tが0.1mm,板幅が600mm、0.2%耐力Yが1100M
Paで長手方向の長さが部分的に幅方向にかなり激しく不
均一に分布しているステンレス鋼帯(SUS304)
に、前記曲げスタンドの前後における鋼帯の長手方向の
伸び率が0.5%になるように引張応力Tを0.2%耐力Yの
約25%に相当する約275MPaに制御しながら通板して曲げ
・曲げ戻しを行った結果、比較的大径の円筒形ロール
3,4を使用したためフローティングロール5と円筒形
ロール3,4との間で生ずる圧延による伸びを抑制する
ことができず、伸び率0.5%の大半が圧延による伸びに
よって占められたため、この圧延により新たな形状不良
を引き起こし、ステンレス鋼帯Sの形状不良を完全に矯
正することはできなかった。
150mm,フローティングロール5の直径Dが10mm,円筒
形ロール3,4間のギャップGが0.5mmであり入側及び
出側の円筒形ロール3,4の軸心同士を結ぶ線に対して
入側及び出側の円筒形ロール3,4の軸心とフローティ
ングロール5の軸心とを結ぶ線のなす角αが20°であ
る図2に示す構成の曲げスタンドを有する設備を用い
て、板厚tが0.1mm,板幅が600mm、0.2%耐力Yが1100M
Paで長手方向の長さが部分的に幅方向にかなり激しく不
均一に分布しているステンレス鋼帯(SUS304)
に、前記曲げスタンドの前後における鋼帯の長手方向の
伸び率が0.5%になるように引張応力Tを0.2%耐力Yの
約25%に相当する約275MPaに制御しながら通板して曲げ
・曲げ戻しを行った結果、比較的大径の円筒形ロール
3,4を使用したためフローティングロール5と円筒形
ロール3,4との間で生ずる圧延による伸びを抑制する
ことができず、伸び率0.5%の大半が圧延による伸びに
よって占められたため、この圧延により新たな形状不良
を引き起こし、ステンレス鋼帯Sの形状不良を完全に矯
正することはできなかった。
【0022】
【発明の効果】以上に詳述したように本発明に係る極薄
金属帯の形状矯正方法によれば、板厚が0.3mm以下の極
薄金属帯の形状矯正を行うに際し、入側及び出側の円筒
形ロールの曲げ剛性を大きくしておくためにその直径を
大きくすると入側及び出側の円筒形ロールとフローティ
ングロールとの間に作用する大きな圧下力がその幾何学
的形状に起因して大きくなって極薄金属帯に圧延に起因
する中伸びや縁伸びなどの形状不良が発生して目標とす
る平坦度が得られないという問題点を解決するため、入
側及び出側の円筒形ロールとフローティングロールとの
間の幾何学的関係を極薄金属帯の縦弾性係数,降伏点又
は0.2%耐力,板厚,付与する引張応力等を考慮して規
定して入側及び出側の円筒形ロールの直径を小さくし、
その結果入側及び出側の円筒形ロールがたわみ易くなる
欠点を入側及び出側の円筒形ロールのうち少なくとも径
の小さい円筒形ロールを1本又は2本以上のバックアッ
プロールで支持することによって解消させたため、板形
状を悪化させる原因となる円筒形ロールとフローティン
グロールとの間で生ずる圧延による長手方向伸びが抑制
され、曲げ・曲げ戻しによる長手方向の伸びによる形状
矯正効果を有効に発揮させることができるようになった
のである。
金属帯の形状矯正方法によれば、板厚が0.3mm以下の極
薄金属帯の形状矯正を行うに際し、入側及び出側の円筒
形ロールの曲げ剛性を大きくしておくためにその直径を
大きくすると入側及び出側の円筒形ロールとフローティ
ングロールとの間に作用する大きな圧下力がその幾何学
的形状に起因して大きくなって極薄金属帯に圧延に起因
する中伸びや縁伸びなどの形状不良が発生して目標とす
る平坦度が得られないという問題点を解決するため、入
側及び出側の円筒形ロールとフローティングロールとの
間の幾何学的関係を極薄金属帯の縦弾性係数,降伏点又
は0.2%耐力,板厚,付与する引張応力等を考慮して規
定して入側及び出側の円筒形ロールの直径を小さくし、
その結果入側及び出側の円筒形ロールがたわみ易くなる
欠点を入側及び出側の円筒形ロールのうち少なくとも径
の小さい円筒形ロールを1本又は2本以上のバックアッ
プロールで支持することによって解消させたため、板形
状を悪化させる原因となる円筒形ロールとフローティン
グロールとの間で生ずる圧延による長手方向伸びが抑制
され、曲げ・曲げ戻しによる長手方向の伸びによる形状
矯正効果を有効に発揮させることができるようになった
のである。
【0023】従って、本発明方法は極薄広幅金属帯の形
状矯正に対応すべくロールの胴長を長くした場合におい
ても小径の円筒形ロールを使用することが可能となるた
め、特に極薄広幅金属帯の形状矯正に際して効果的な方
法であり、その工業的価値が非常に大きいものである。
状矯正に対応すべくロールの胴長を長くした場合におい
ても小径の円筒形ロールを使用することが可能となるた
め、特に極薄広幅金属帯の形状矯正に際して効果的な方
法であり、その工業的価値が非常に大きいものである。
【図1】本出願人が先に提案した極薄金属帯の形状矯正
方法の概要を示す説明図である。
方法の概要を示す説明図である。
【図2】本出願人が先に提案した極薄金属帯の形状矯正
方法のロール配置を示す図である。
方法のロール配置を示す図である。
【図3】本発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を実施
している極薄金属帯の形状矯正ラインの1実施例の説明
図である。
している極薄金属帯の形状矯正ラインの1実施例の説明
図である。
【図4〜7】本発明に係る極薄金属帯の形状矯正方法を
実施するのに好適な曲げスタンドのロール配置例を示す
説明図である。
実施するのに好適な曲げスタンドのロール配置例を示す
説明図である。
【図8】極薄金属帯の板厚が0.1mmでギャップが0.5mmの
場合の種々の円筒形ロールの直径(入側と出側の円筒形
ロールの直径は同一)におけるフローティングロールの
直径と角αとの関係を示す図である。
場合の種々の円筒形ロールの直径(入側と出側の円筒形
ロールの直径は同一)におけるフローティングロールの
直径と角αとの関係を示す図である。
【図9】極薄金属帯の板厚が0.1mmでギャップが0.5mmの
場合の種々の円筒形ロールの直径(入側と出側の円筒形
ロールの直径は同一)における引張応力が1KNの場合
の角αと極薄金属帯の板厚方向の圧下力の関係を示す図
である。
場合の種々の円筒形ロールの直径(入側と出側の円筒形
ロールの直径は同一)における引張応力が1KNの場合
の角αと極薄金属帯の板厚方向の圧下力の関係を示す図
である。
1 アンコイラー 2 入側テンションブライドル 3 入側の円筒形ロール 4 出側の円筒形ロール 5 フローティングロール 6 デフレクタロール 7 反り修正装置 8 出側テンションブライドル 9 コイラー 10 バックアップロール G ギャップ P 円筒形ロールとフローティングロールとの間に作用
する圧下力 S 極薄金属帯 T 極薄金属帯に付与する引張応力 α 入側と出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に対
して入側の円筒形ロールの軸心とフローティングロール
の軸心とを結ぶ線のなす角 β 入側と出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に対
して出側の円筒形ロールの軸心とフローティングロール
の軸心とを結ぶ線のなす角 δ シフト角
する圧下力 S 極薄金属帯 T 極薄金属帯に付与する引張応力 α 入側と出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に対
して入側の円筒形ロールの軸心とフローティングロール
の軸心とを結ぶ線のなす角 β 入側と出側の円筒形ロールの軸心同士を結ぶ線に対
して出側の円筒形ロールの軸心とフローティングロール
の軸心とを結ぶ線のなす角 δ シフト角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21D 1/05
Claims (1)
- 【請求項1】 縦弾性係数がEで降伏点又は0.2%耐力
がYである板厚(t)が0.3mm以下の極薄金属帯(S)を、
0.1Y≦T<Yを満足する引張応力(T)を付与した状態
で、それぞれの軸が互いに平行で且つ双方の間にギャッ
プ(G)を設けた同方向に回転する入側及び出側の円筒形
ロール(3,4)とこれら2本の円筒形ロール(3,4)に
近接して該円筒形ロール(3,4)の軸とその軸が平行に
配置され該ギャップ(G)から曲げられる極薄金属帯(S)
の板厚(t)の2倍を引いた長さより大きい直径(D)を有
するフローティングロール(5)とを備えたロール群より
成る曲げスタンドに、極薄金属帯(S)を先ず入側の円筒
形ロール(3)に沿わせてからギャップ(G)を通した後に
フローティングロール(5)に沿わせて曲げてから再び該
ギャップ(G)を通して出側の円筒形ロール(4)に沿わせ
るように通板させる曲げ・曲げ戻しを行って極薄金属帯
(S)の形状矯正を行うに際し、前記フローティングロー
ル(5)としてその直径(D)が3〜100mmで且つD<t
(E+T−Y)/(Y−T)の条件を満たす小径ロール
を使用し、前記入側及び出側の円筒形ロール(3,4)と
して入側及び出側の円筒形ロール(3,4)の軸心同士を
結ぶ線に対して入側及び出側の円筒形ロール(3,4)の
軸心と前記フローティングロール(5)の軸心とを結ぶ線
のなす角をそれぞれα及びβとしたときに50°≦α+
βを満たすロールを使用し、前記入側及び出側の円筒形
ロール(3,4)のうち少なくとも径の小さい円筒形ロー
ル(3及び/又は4)を1本又は2本以上のバックアップ
ロール(10)で支持することを特徴とする極薄金属帯の
形状矯正方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33450991A JP2854180B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 極薄金属帯の形状矯正方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33450991A JP2854180B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 極薄金属帯の形状矯正方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05138250A JPH05138250A (ja) | 1993-06-01 |
JP2854180B2 true JP2854180B2 (ja) | 1999-02-03 |
Family
ID=18278200
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33450991A Expired - Lifetime JP2854180B2 (ja) | 1991-11-25 | 1991-11-25 | 極薄金属帯の形状矯正方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2854180B2 (ja) |
-
1991
- 1991-11-25 JP JP33450991A patent/JP2854180B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05138250A (ja) | 1993-06-01 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19981110 |