JP2851954B2 - テンションレベラーおよび矯正方法 - Google Patents

テンションレベラーおよび矯正方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板状の圧延材の形状を
矯正したり、スケール除去のためのクラック形成のため
に用いられるテンションレベラーおよびそれによる矯正
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、圧延材の形状に対する品質要求は
ますます厳しいものになり、種々の形状制御機能を有す
る圧延機が提案され、実機化されている。しかしなが
ら、圧延機だけでの形状の造り込みには限界があり、各
種の表面処理ラインには形状の矯正を目的とするテンシ
ョンレベラーが配置されているのが現状である。また、
酸洗ラインにおいては、圧延材表面のスケールにクラッ
クを形成させて、酸洗の能力を向上させるとともに形状
の向上のためにテンションレベラーが配置されるケース
が増えている。
【0003】これらのテンションレベラーの代表的な基
本構成は、図1に示すようなものとなっており、このよ
うな構成の場合にはAゾーンは伸長ロールユニット、B
ゾーンはC反り矯正ロールユニットと呼ばれている。A
ゾーンは、材料にテンションを加えながら繰り返し曲げ
を与え、矯正、あるいはクラック形成の主要な仕事を行
うゾーンとなっている。また、Bゾーンは、Aゾーンに
比べて加工度は低いが最終的な形状の矯正に寄与するゾ
ーンとなっている。テンションレベラーには、図1に示
す構成のものだけではなく、矯正ロールの数、ピッチ、
ゾーンの構成など様々な形式のものがあるが、いずれの
場合も圧延材の幅方向には同一の条件で、同一の加工度
を加えるという共通点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
テンションレベラーでは幅方向に均一な仕事を行いなが
ら矯正をするため、被処理材の矯正前の幅方向の歪みの
差を完全に除去することは原理的にできない。とくに、
幅方向の大きな歪み差に起因するC反り、L反りをなく
すには、幅方向にまったく均一な繰り返し曲げを行うだ
けでは限界がある。また、耳波、中延びなどの形状不良
においても、板端部と板中央部で同一の繰り返し曲げを
行うため矯正能力には限界がある。そのために、矯正前
の板形状にあわせて幅方向で矯正の仕事量を変化させ、
板形状にあわせた矯正を行うことができるテンションレ
ベラーが求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明では板材の形状矯正を行うテンションレベ
ラーの被処理材に接触する少なくとも一対のロールを、
被処理材の進行方向に対して直角な方向に各々移動可能
に配設してなるテンションレベラーにおいて、前記一対
のロールを、外径の変化量がロールの中央を基準として
概略点対称で且つ板幅方向に対し3次関数または三角関
数で表されるロール形状とすると共に、該ロールの配置
位置を、前記ロール形状が相反するように配置すること
を特徴とする。
【0006】
【作用】前記のように、少なくとも2本一対のロールを
軸芯方向に直径の異なるロールとし、それらのロールを
被処理材の進行方向に対して直角方向に適宜シフトする
ことにより被処理材の幅方向の張力分布を制御すること
ができる。そして、前記ロールの外径の変化量が幅方向
に対して3次関数で表されるロール形状等にすることに
より、被処理材の通過する長さをロール中央を原点とし
て幅方向に2次関数状に自在に変化せしめることが可能
である。つまり、被処理材の幅方向の張力分布を2次関
数状に変化させることができる。
【0007】また、三角関数で表されるロール形状にす
ると、被処理材の通過する長さをロール中央を原点とし
て幅方向に三角関数状に自在に変化せしめることが可能
である。つまり、被処理材の幅方向の張力分布を三角関
数状に変化させることができる。
【0008】
【実施例】(実施例1) 図1の構成のテンションレベラーにおいて、C反り矯正
ユニット(Bゾーン)の下デフレクターロールに本発明
を適用した場合について本発明の実施例を説明する。図
2は、C反り矯正ユニットをライン進行方向の右側から
眺めた図であり、入り側の下デフレクターロール4とC
反り矯正ロール5および出側の下デフレクターロール
4′の3本のロールで被処理材の矯正がなされる。下デ
フレクターロール4の軸芯の直上部Xともう一つの下デ
フレクターロール4′の直上部Yの間の被処理材の長さ
は、従来のテンションレベラーにおいては下デフレクタ
ーロール4,4′およびC反り矯正ロール5の直径が被
処理材の幅方向に一定であるため、当然一定であった。
【0009】ところが本発明においては、図3に示すよ
うに入側の下デフレクターロール4と出側の下デフレク
ターロール4′の直径を軸方向に変化させたものを用い
る。ロールの径の変化量、変化形状の取り方はその目的
に応じて随意でよいが、一般的には径の変化がロール中
央(ラインセンター)を中心として点対称になるのが望
ましい。すなわち、図3中に示すようにロール中央を基
準位置(x=0)としライン入側からみて右側を正方向
とする座標xを考えるとき、ロール半径を r=r0 +f(x) ここでf(0)=0 で表すとき f(x)=−f(−x) なる関数で表されることが望ましい。また、出側の下デ
フレクターロール4′はロール半径を表す関数を同様
に、 r=r0 +g(x) ここでg(0)=0 とするとき g(x)=−f(x) なる関数をもつよう形状が決められていることが望まし
い。
【0010】図3の例では、入側の下デフレクターロー
ル4の半径を r=r0 +f(x) ここで、f(x)=−ax3 +aL2 x/4 L:ロール胴長、a:定数 とし、出側の下デフレクターロール4′の半径を r=r0 +g(x) ここで、g(x)=ax3 −aL2 x/4 としている。
【0011】このような形状のロールを入側の下デフレ
クターロール4をx方向にδ、出側の下デフレクターロ
ール4′をxの負の方向に−δそれぞれ移動すると図4
のようになり、そのときのロールの形状は、入側の下デ
フレクターロール4が、 r=r0 +f(x−δ) ここで、f(x−δ)=−a(x−δ)3 +aL2 (x−δ)/4 と表され、出側の下デフレクターロール4′の半径が r=r0 +g(x+δ) ここで、g(x+δ)=a(x+δ)3 −aL2 (x+δ)/4 となる。
【0012】この場合には、図2で考えた入側の下デフ
レクターロール4の直上部Xと出側の下デフレクターロ
ールの直上部Yの板長さは幅方向にもはや均一とはなら
ず、概略以下の関数で表される。
【0013】ここで、定数Aは下デフレクターロール
4,4′およびC反り矯正ロール5の径、ロール間距
離、インターメッシュなどにより決まる影響係数であ
る。この式は、本発明の作用を定量的に示すものであ
り、その意味するところは、本発明のこの例の場合には
被処理材の通過する長さをロール中央を原点として幅方
向に2次関数状に自在に変化せしめることが可能である
ということである。そして、その2次関数の係数の大き
さは、ロールの形状、すなわち直径の変化量を規定する
係数a、移動量δにそれぞれ比例する。つまり、図4の
ように下デフレクターロールをδ移動した場合には、中
央より両端の板の通過距離が長くなり、したがって両端
部に張力をより大きく作用させながら矯正作業をするこ
とができる。この場合、移動量δを大きくすると中央部
に比し両端部の張力を大きくとることができる。
【0014】また、逆に図5のように入側の下デフレク
ターロールを負の方向に移動し、出側の下デフレクター
ロールを正の方向に移動した場合には、上式においてδ
が負となり、したがって2次関数の係数が負となるた
め、板中央部のXーY間長さが両端部のXーY間長さに
比べて長くなるため逆に中央部の張力を大きくすること
ができる。この場合もその制御量の大きさは、移動量δ
により自在にかえることができることはいうまでもな
い。
【0015】このように、本発明では、直径が軸心方向
(板幅方向)に異なる少なくとも一対のロールをテンシ
ョンレベラー内にて互いにロール形状が相反するように
設置し、それらを軸心方向に相対的に移動させることに
より、被処理材の通過する長さを変化せしめ、そのこと
により被処理材の幅方向の張力分布を自在に制御するこ
と可能となっている。
【0016】(実施例2) 以上、図3〜図5を用いて下デフレクターロール4,
4′が3次関数カーブをもつ場合を説明したが、他の実
施例として他のカーブを持つ場合について説明する。下
デフレクターロール4のロール半径が、 r=r0 +a sin(πx/L)−2ax/L で、出側の下デフレクターロール4′のロール半径が、 r=r0 −a sin(πx/L)+2ax/L ここで、L:胴長、a:定数 の場合は、3次関数カーブの場合と同様に入側のデフレ
クターロールをx方向にδ、出側の下デフレクターロー
ル4′を−δそれぞれ移動すると図4と同様の状態とな
り、そのときのロール半径は、入側の下デフレクターロ
ールが r=r0 +a sin(π(x−δ)/L)−2a(x−δ)/L となり、出側の下デフレクターロールは r=r0 −a sin(π(x+δ)/L)+2a(x+δ)/L となる。
【0017】この場合は、図2の入側の下デフレクター
ロールの直上部Xと出側の下デフレクターロールの直上
部Yの板長さは概略次の関数で表される。 G(x)=C2 −Ba× sin(2πδ/L)× cos(2πx/L) C2 ,B:定数 ここで、定数Bは3次関数カーブの場合と同様に下デフ
レクターロール4,4′の径、C反り矯正ロール5の
径、ロール間距離、インターメッシュなどにより決まる
影響係数である。この式は、三角関数状にロールカーブ
を持たせた場合の本発明の効果を定量的に示すものであ
り、その意味するところは、本発明のこの例の場合には
被処理材の通過する長さをロール中央を原点として幅方
向に三角関数状に自在に変化せしめることが可能である
ということである。そして、その三角関数の係数の大き
さは、ロールの形状、すなわち直径の変化量を規定する
係数a、 sin(2πδ/L)にそれぞれ比例する。つま
り、図4のように下デフレクターロールをδ移動した場
合には、中央より両端の板の通過距離が長くなり、した
がって両端部に張力をより大きく作用させながら矯正作
業をすることができる。この場合、移動量δを大きくす
ると中央部に比し両端部の張力を大きくとることができ
る。
【0018】(実施例3) 以上の例では、C反り矯正ユニットを構成する下デフレ
クターロール4,4′に本発明を適用した場合を説明し
たが、たとえば図1中の伸長ユニット(Aゾーン)のデ
フレクターロール6,9に適用しても同様の効果がえら
れる。また、伸長ロール1,1′あるいは2,2′に本
発明を適用した場合にも同様の効果がえられることは明
らかである。このように、テンションレベラーに設置さ
れるロールの2本以上のロールを用いて本発明を実施す
ることができる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、被処理材のテンション
を板幅方向に任意に制御することができ、その結果、幅
方向で繰り返し曲げによる矯正効果をかえることができ
る。たとえば、耳波傾向の強い被処理材があり、両端部
は伸び率を少なめに、中央部はより高い張力を与えて伸
び率を大きくとりたい場合には、図3〜図5の実施例で
は入側の下デフレクターロールを図5のように負の方向
に移動し、出側の下デフレクターロールを正の方向に移
動することにより、板中央部の張力を相対的に大きくと
って中央部の伸び率を相対的に大きくすることができ
る。
【0020】このように、従来のテンションレベラーで
は板幅方向には均一な矯正仕事しかできず、したがっ
て、板幅方向には均一な伸び率しかとれなかったのに対
し、本発明では被処理材の形状に応じて自在に板幅方向
の伸び率をかえることにより、従来のテンションレベラ
ーでは実現不可能であった平坦度の板をうることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するテンションレベラーの構成
例。
【図2】C反り矯正ユニットの側面図で図1のBゾーン
の詳細図。
【図3】図2の矢視I−Iで入側よりみた矯正ユニット
の正面図。
【図4】図2の矢視I−Iで入側よりみた矯正ユニット
の正面図。
【図5】図2の矢視I−Iで入側よりみた矯正ユニット
の正面図。
【符号の説明】
1,1′,2,2′ 伸長ロール 3 バックアップロール(矯正ロール
および伸長ロールを支持するロール) 4,4′,9 下デフレクターロール 5 C反り矯正ロール 6 上デフレクターロール 7,8 ピンチロール

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板材の形状矯正を行うテンションレベラ
    ーの被処理材に接触する少なくとも一対のロールを、被
    処理材の進行方向に対して直角な方向に各々移動可能に
    配設してなるテンションレベラーにおいて、 前記一対のロールを、外径の変化量がロールの中央を基
    準として概略点対称で且つ板幅方向に対し3次関数また
    は三角関数で表されるロール形状とすると共に、該ロー
    ルの配置位置を、前記ロール形状が相反するように配置
    する ことを特徴とするテンションレベラー。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のテンションレベラーによ
    り板材の形状矯正を行うに際し、前記一対のロールを、
    被処理材の進行方向に対して直角な方向に各々相対的に
    移動し、被処理材の幅方向の張力分布を変化させること
    を特徴とするテンションレベラーによる矯正方法。
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FR2937267B1 (fr) * 2008-10-17 2010-11-12 Dimeco Alipresse Dispositif de redressage et d'amenee d'une bande de matiere semi-rigide dans une machine.
JP5856535B2 (ja) * 2012-04-26 2016-02-09 スチールプランテック株式会社 ローラレベラおよびそれを用いた板材の矯正方法

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