JP2851179B2 - H形鋼のウエブ厚制御装置 - Google Patents

H形鋼のウエブ厚制御装置

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JP2851179B2
JP2851179B2 JP3146137A JP14613791A JP2851179B2 JP 2851179 B2 JP2851179 B2 JP 2851179B2 JP 3146137 A JP3146137 A JP 3146137A JP 14613791 A JP14613791 A JP 14613791A JP 2851179 B2 JP2851179 B2 JP 2851179B2
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藤 忍 斎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タンデムに配置された
ユニバーサルミルスタンド、エッジャーミルスタンド、
ウエブ拡幅ミルスタンド、および仕上ミルスタンドを順
次通してH形鋼を生産する圧延設備におけるH形鋼のウ
エブ厚制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】タンデムに配置されたユニバーサルミル
スタンド、エッジャーミルスタンド、リ、ウエブ拡幅ミ
ルスタンド、および仕上ミルスタンドからなる圧延設備
によって外法(そとのり)一定H形鋼を生産する手法に
ついて図1および図2を参照して説明する。
【0003】H形鋼を生産する圧延設備においては、図
1に示すように、圧延材料Zをタンデムに配置されたユ
ニバーサルミルスタンド(Uミル)、エッジャーミルス
タンド(Eミル)、ウエブ拡幅ミルスタンド(Mミ
ル)、および仕上ミルスタンド(Fミル)を順次通すこ
とによって所望の形状・寸法のH形鋼を製作する。ここ
でMミルは、図2(a)(入側)および同図(b)(出
側)に示すように、同一バ−内でウエブWの寸法をHwo
からHw へと拡幅する機能を持っている。
【0004】部分圧延法または拡幅圧延法と称される圧
延法においては、Mミル入側の圧延材断面形状には図2
(b)に示すようにウエブWの端部に余肉と呼ばれる段
差すなわち余肉部Rが形成されている。これはUミルと
Eミルの圧延過程で故意に付けているものであって、M
ミルでこの余肉部Rを圧下し、その圧下量相当の部分を
ウエブ幅方向にメタルフローさせることにより同一バ−
内でウエブ拡幅を達成する(図2(c):Hw 寸法)。
拡幅後の材料断面形状は図2(b),(c)から分かる
ようにフランジ高さHf は変わらず、ウエブ幅Hw のみ
が広がった状態になる。ただし、この状態ではフランジ
部Hが垂直になっていないので、これを矯正するために
Fミルで圧延する(図2(d)参照)。したがって、F
ミルの圧延では上下水平ロールによる圧下量は、ごくわ
ずかであり、材料表面をならす程度である。
【0005】以上の圧延工程によって製作されたH形鋼
は冷却床を介して検査床に搬送され、そこでサンプル採
取およびマニュアル測定が行われ、その測定データは次
の同種圧延の際にスケジュールデータとして反映され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図2を参照して説明し
た外法(そとのり)一定のH形鋼を部分圧延法(拡幅圧
延法)で製作する場合、従来、次のような問題点が挙げ
られる。
【0007】1. ロールの偏平変形の発生 これはMミルで余肉部Rのみを強圧下することから、長
手方向(材料進行方向)の延伸が拘束され、これがロー
ル偏平など、工具への過負荷を生じさせる原因となる。
【0008】2. 圧延後の板厚回復 外法一定のH形鋼製品シリーズでは、従来に比べウエブ
厚みを極力薄くするように圧延している。このウエブ薄
肉化に比べ、フランジ厚みは従来と変わらないので、材
料部品の体積の違いにより放熱容量も異なる。すなわ
ち、ウエブWの中央部は温度が低く、端部はフランジH
に近いため温度が高い、という現象が発生する。この温
度差は材料に残留応力となってウエブ座屈またはウエブ
波を生じさせる原因となる。温度差による残留応力は、
フランジHの部分をフランジ冷却装置(図示せず)によ
ってフランジ外面から冷却することにより解消させるこ
とができるが、熱が逃げにくいウエブ端部ではその温度
により肉厚回復が生じてしまう。この肉厚回復によりウ
エブWに段差すなわち厚み差が付いてしまうので、仕上
がり製品サイズに悪影響が出る。
【0009】3. 製品の特性および品質を確認する上
での時間ロス 仮に上記2項で述べたような板厚回復を考慮してスケジ
ュール設定を行ったとしても、それを確認し保証しうる
状態にするのに時間がかかる。まして多種のサイズの製
品を生産する場合には、この時間ロスが操業能率の低下
つまりは生産量の低下を来たす。
【0010】したがって本発明は、以上の不都合を解消
し、H形鋼のウエブ拡幅圧延における部位による材料温
度不平衡に基づく厚み回復やロール偏平による厚みバラ
ツキを圧延中に除去し、寸法精度を向上させることの可
能なウエブ厚制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のウエブ厚制御装置は、ウエブ拡幅ミルスタン
ドの出側における材料のウエブ端部およびウエブ中央部
の温度を検出する温度検出手段と、ウエブ拡幅ミルスタ
ンドの出側における材料のウエブ中央部およびウエブ端
部の厚みを測定する厚み測定手段と、温度検出手段の検
出出力に基づきウエブ端部およびウエブ中央部の温度差
を演算する温度偏差演算手段と、厚み測定手段の検出出
力に基づきウエブ中央部およびウエブ端部の厚み差を演
算するウエブ厚偏差演算手段と、温度差および厚み差並
びに設定スケジュールデータに基づいて仕上ミルの圧下
修正量を演算する修正圧下量演算手段と、材料の搬送位
置をトラッキングする材料トラッキング手段と、圧下修
正量およびトラッキング手段の出力に基づき材料圧延位
置に応じた修正圧下量を記憶しておく修正圧下量記憶手
段と、設定スケジュールデータおよび修正圧下量に基づ
いて仕上ミルスタンドの圧下量を設定する圧下量設定手
段と、圧下量設定手段によって設定された圧下量に従っ
て仕上ミルスタンドの圧下量を調整する手段とを備えて
いることを特徴とする。
【0012】
【作用】圧延材が最終パスで拡幅ミルを通過した時に圧
延材のウエブ中央部と端部間の温度差、およびウエブ中
央部と端部の厚み差を演算する。両演算結果に基づいて
修正圧下量を演算する。この修正圧下量を材料トラッキ
ング情報と対応させて修正圧下量記憶手段に記憶させて
おく。この記憶した部分の材料が仕上ミルに達したこと
をトラッキング手段により検出した時に修正圧下量を圧
下量設定手段に出力することにより、仕上ミルの圧下量
をダイナミックに調整し、ウエブ端部の厚み偏差を除去
する。これにより、精度の良いH形鋼製品を得ることが
できる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に
説明する。
【0014】圧延ミルスタンドの構成はすでに述べた通
りであり、タンデムに配置されたユニバーサルミルスタ
ンド(Uミル)、エッジャーミルスタンド(Eミル)、
ウエブ拡幅ミルスタンド(Mミル)、および仕上ミルス
タンド(Fミル)からなっている。Mミルの出側でウエ
ブ中央部温度Tw およびフランジ中央部温度Tf をそれ
ぞれフランジ温度計10およびウエブ温度計11により
検出すると共に、ウエブ幅方向中央部の厚さtwko およ
び端部の厚さtwkを熱間寸法計12により検出する。こ
こで、フランジ中央部温度Tf はウエブ端部温度の代わ
りにその等価部位の温度として測定しているものであ
る。すなわち本来的にはウエブ端部温度の測定が望まし
いのであるが、それは設備的に難しいので、フランジ中
央部の温度をそれに代わる等価温度として測定している
訳である。
【0015】ここで検出されたウエブWの中央部温度T
w 、およびフランジHの中央部温度Tf の差すなわち温
度偏差ΔTを温度差演算器14により、 ΔT=Tf −Tw …(1) として演算する。この温度偏差ΔTはすでに述べた通り
ウエブ板厚回復に影響を及ぼす要因となるものである。
【0016】他方、熱間寸法計12により検出されたウ
エブ幅方向中央部の厚さtwko および端部の厚さtwk
偏差量Δtをウエブ厚偏差演算器15により、 Δt=twk−twko …(2) として演算する。ただし、ウエブ厚偏差演算器15は偏
差量Δtが負の時は出力を生ぜず、正の時のみ出力を生
ずるものとする。すなわち、Δt=twk−twko <0
のときは、結果として Δt=0 を出力し、Δt=t
wk−twko ≧0のときのみ、Δt=twk−twko の値
を出力する。
【0017】以上のようにして求められた厚さ偏差量Δ
tおよび温度偏差ΔTを用いて修正圧下量ΔGを修正圧
下量演算器16により、 ΔG=a(1+Δt)(1+b・ΔT) …(3) として演算する。ただし、a,bは定数である。定数b
は、圧延に必要な設定データを管理しているスケジュー
ル設定器17からその都度の圧延材料の熱膨張係数など
を加味した定数として与えられる。(3)式の右辺中、
Δtを含む項は拡幅用のMミル出側での厚み回復量をも
含む厚み偏差を除去するための項であり、ΔTを含む項
は測定部分が仕上用のFミルに達するまでにウエブ端面
が回復するのを除去するための項である。
【0018】このようにして求められた修正圧下量ΔG
の値を位置確認のためのトラッキング情報Qと共に修正
圧下量記憶器18に記憶しておく。トラッキング情報Q
は材料トラッキング装置19によって得られる。材料ト
ラッキング装置19は圧延材料Zの到来をその特定位
置、例えば先端位置をもって検出する熱塊検出器13の
出力信号と、MミルとFミルの間に材料搬送のために設
けられているテーブルローラ8を駆動する電動機9に取
り付けたパルス発信器20の出力すなわち電動機9の回
転角に比例して発生されるパルス出力に基づいて圧延材
料Zの温度および厚み寸法の測定位置に対応する材料搬
送位置を演算し、それをトラッキング情報Qとして修正
圧下量記憶器18に送出する。修正圧下量記憶器18に
記憶された修正圧下量ΔGは、該当する材料部分が仕上
用Fミルに到達するタイミングをもってレート回路21
を介し圧下量設定器22に対し送出する。圧下量設定器
22は、スケジュール設定器17から与えられる製品ウ
エブ厚さtwoおよびレート回路21からの修正圧下量Δ
Gをもとに仕上用Fミルの修正後の圧下量Gを次式に従
って演算する。
【0019】G=two+ΔG …(4) このようにして求められた修正後の圧下量Gに従い仕上
ミル圧下駆動装置23および圧下駆動電動機24を介し
て仕上用Fミルの圧下量がダイナミックに調整される。
【0020】以上述べた制御装置による仕上用Fミルの
圧下量制御を行うことにより、材料の部位による温度不
平衡に基づく厚み回復やロール偏平による厚みバラツキ
を圧延中に除去することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、H形鋼のウエブ拡幅圧
延における部位による材料温度不平衡に基づく厚み回復
やロール偏平による厚みバラツキを圧延中に除去し、寸
法精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるウエブ厚制御装置の一実施例を示
すブロック図。
【図2】ウエブ拡幅圧延における各部における材料の断
面形状および寸法を説明するために示す材料の横断面
図。
【符号の説明】
U ユニバーサルミルスタンド E エッジャーミルスタンド M ウエブ拡幅ミルスタンド F 仕上ミルスタンド 8 テーブルローラ 9 テーブルローラ駆動電動機 10 フランジ温度計 11 ウエブ温度計 12 熱間寸法計 13 熱塊検出器 14 温度偏差演算器 15 ウエブ厚偏差演算器 16 修正圧下量演算器 17 スケジュール設定器 18 修正圧下量記憶器 19 材料トラッキング装置 20 パルス発信器 21 レート回路 22 圧下量設定器 23 仕上ミル圧下駆動装置 24 圧下駆動電動機

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延材料をタンデムに配置されたユニバー
    サルミルスタンド、エッジャーミルスタンド、ウエブ拡
    幅ミルスタンド、および仕上ミルスタンドを順次通して
    H形鋼を生産する圧延設備におけるH形鋼のウエブ厚制
    御装置であって、前記ウエブ拡幅ミルスタンドの出側に
    おける材料のウエブ端部およびウエブ中央部の温度を検
    出する温度検出手段と、前記ウエブ拡幅ミルスタンドの
    出側における材料のウエブ中央部およびウエブ端部の厚
    みを測定する厚み測定手段と、前記温度検出手段の検出
    出力に基づきウエブ端部およびウエブ中央部の温度差を
    演算する温度偏差演算手段と、前記厚み測定手段の検出
    出力に基づきウエブ中央部およびウエブ端部の厚み差を
    演算するウエブ厚偏差演算手段と、前記温度差および厚
    み差並びに設定スケジュールデータに基づいて前記仕上
    ミルの圧下修正量を演算する修正圧下量演算手段と、前
    記材料の搬送位置をトラッキングする材料トラッキング
    手段と、前記圧下修正量および前記トラッキング手段の
    出力に基づき材料圧延位置に応じた修正圧下量を記憶し
    ておく修正圧下量記憶手段と、前記設定スケジュールデ
    ータおよび前記修正圧下量に基づいて前記仕上ミルスタ
    ンドの圧下量を設定する圧下量設定手段と、前記圧下量
    設定手段によって設定された圧下量に従って前記仕上ミ
    ルスタンドの圧下量を調整する手段とを備えていること
    を特徴とするH形鋼のウエブ厚制御装置。
JP3146137A 1991-06-18 1991-06-18 H形鋼のウエブ厚制御装置 Expired - Lifetime JP2851179B2 (ja)

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JPH04371310A JPH04371310A (ja) 1992-12-24
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