JP2848785B2 - フジツボの付着防止方法 - Google Patents

フジツボの付着防止方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、フジツボの付着防止
方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、船舶業や漁業に多大の被害をもたらすフジツボによ
る生物汚損に対する防汚対策として有用な、新しいフジ
ツボの付着防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、フジツボをはじめ
とする付着生物による海洋構造物や船舶の生物汚損は、
船舶業や漁業、特に養殖業に多大な被害を与えている。
そのため、これまでにも、これらの生物の付着による防
汚対策として、各種化学物質を使用した防汚塗料等によ
る付着防止の方法が検討され、実際にも実施されてきた
が、確実な効果が得られる方法はいまだ確立されていな
いのが実情である。そして、さらに、付着生物に対する
防汚効果が大きい場合には、使用する化学物質は毒性の
強いものが多く、フジツボだけでなく、その周囲の環境
や人体に及ぼす影響が無視できないため、その方法を使
用することが難しかった。このような事情が、生物汚損
という形で多大な被害を受けている船舶業や漁業、特に
増養殖業の分野にとって大きな課題となっていた。この
ため、現実的には、フジツボによる汚損への対策として
は、大変な労力と費用とが必要となる人の手による機械
的な除去作業が欠かせないものとなっていた。
【0003】そこで、この発明は、以上の通りの従来技
術の欠点を解消し、人手による機械的な除去作業を必要
とせずに、周囲の環境に対する悪影響を抑え、たとえば
フジツボそのものの死亡をもたらすこともなく、安全な
条件でより効果的に確実にフジツボの付着を防止するこ
とのできる、新しいフジツボの付着防止方法を提供する
ことを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、カルモジュリン阻害剤をフジツ
ボのキプリス幼生に作用させることを特徴とするフジツ
ボの付着防止方法を提供する。さらには、この発明にお
いては、上記のカルモジュリン阻害剤としてアミトリプ
チリン(Amitriptyline) およびイミプラミン(Imipramin
e)の少くとも1種をキプリス幼生に作用させることをそ
の一つの態様としてもいる。
【0005】フジツボなどの付着生物は、付着して群居
することで種の存続を維持できるため、付着しないこと
になれば、自家受精での産卵以外には増殖しにくいと考
えられる。従って、フジツボの付着防止には、本発明に
よる付着しないフジツボが有効である。
【0006】
【作用】この発明においては、カルモジュリン阻害剤を
フジツボのキプリス幼生に作用させることによって、付
着の過程のないまま成体のフジツボへと成長させる。す
なわち、通常は、フジツボのキプリス幼生は付着に適当
な基盤を探索し、これが見つかると第一触覚の付着器官
でセメント物質によって付着する。次にこの状態から脱
皮、変態して、幼体から稚フジツボへと成長する。しか
し、カルモジュリン阻害剤をフジツボのキプリス幼生に
作用させると、付着の過程のないままに変態させること
が可能となる。つまり、付着しないフジツボを育成する
ことになる。
【0007】カルモジュリン阻害剤は、動植物界に広く
分布してCa2+依存性cAMP、Ca2+−Mg2+ATP
ase、さまざまなProtein Kinaseを活性化するほか、
血管平滑筋収縮機構に関与するなどの機能を持つCa2+
受容タンパク質であるカルモジュリンの阻害剤である。
このカルモジュリン阻害剤としては、すでに各種のもの
が知られている。たとえば Amitriptyline、Chlorproma
zine、Imipramine、Promethazine等である。これらは単
独または複数種併用してもよい。
【0008】これらのカルモジュリン阻害剤をキプリス
幼生に作用させると、細胞分裂や分泌現象等の生物現象
に必要とされるCa2+の機能発現が阻害されるため、フ
ジツボの付着過程で重要な働きをする付着器官の機能が
抑制され、付着の過程のないまま成体のフジツボに成長
するものと考えられる。フジツボの付着の抑止は、カル
モジュリン阻害剤をキプリス幼生を対象として作用させ
ることが必要になるが、実際の適用に際しては、フジツ
ボの付着を抑止したい海水域にこの阻害剤を散布する
か、カプセルに入れて徐々に海水中に放散させるように
してもよい。あるいはカルモジュリン阻害剤をあらかじ
め作用させたフジツボのキプリス幼生を海中に戻すよう
にしてもよい。フジツボは付着して群居することで種の
存続を維持しているが付着しないとなれば自家受精での
産卵以外には増殖しにくいと考えられる。このため、カ
ルモジュリン阻害剤を作用させたキプリス幼生により、
付着増殖を抑えることが可能となる。
【0009】この発明においてより好適に使用されるカ
ルモジュリン阻害剤としては、たとえば次式
【0010】
【化1】
【0011】で表わされるアミトリプチリン(Amitripty
line) や、次式
【0012】
【化2】
【0013】で表わされるイミプラミン(Imipramine)が
挙げられる。これらのカルモジュリン阻害剤は、周囲の
環境に対して悪影響を及ぼすことなく、安全性の高いも
のとして効果的に用いられる。以下、実施例を示し、さ
らに詳しくこの発明について説明する。
【0014】
【実施例】比較的付着しやすいポリエチレンのプレート
容器に人工海水(Van't hoff formula)を入れ、これに数
〜20個程度のキプリス幼生を収容する。カルモジュリ
ン阻害剤で Amitriptyline、およびImipramineをフジツ
ボのキプリス幼生に作用させた。
【0015】表1はカルモジュリン阻害剤であるAmitri
ptyline を、表2はImipramineを作用させたキプリス幼
生の付着、変態の様子を観察した結果を示したものであ
る。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】加えた阻害剤の濃度に依存して、付着およ
び変態が抑制されたり、付着のみが抑制されるという現
象が確認された。付着のみが抑制された場合とは、付着
の過程のないまま成体のフジツボへ変態することを意味
している。阻害剤の作用は、一時間という短時間でも同
様な現象を観察することができた。また、10μM以下
の阻害剤を作用させた場合でも、付着しないで変態した
幼体は、ほとんどが付着しないままで正常に成体のフジ
ツボに成長することが確認された。
【0019】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したと
おり、カルモジュリン阻害剤をフジツボのキプリス幼生
に作用させることによって、フジツボの海洋構築物等へ
の付着を防止することが可能となる。周囲の環境に与え
る影響が少なく、人の手によるフジツボの除去作業が大
幅に軽減される。また、カルモジュリン阻害剤は数μM
オーダーで効果が示されるため、少ない費用で大きな効
果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−221305(JP,A) 特開 平1−197407(JP,A) 特公 昭48−37036(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 33/04 A01N 43/46 A01N 43/84 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルモジュリン阻害剤をフジツボのキプ
    リス幼生に作用させることを特徴とするフジツボの付着
    防止方法。
  2. 【請求項2】 アミトリプチリン(Amitriptyline) およ
    びイミプラミン(Imipramine)の少くとも1種を作用させ
    る請求項1のフジツボの付着防止方法。
  3. 【請求項3】 カルモジュリン阻害剤であって、フジツ
    ボのキプリス幼生に作用させることを特徴とするフジツ
    ボの付着防止剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106845870A (zh) * 2017-03-03 2017-06-13 中国水产科学研究院黄海水产研究所 基于灰色关联的模糊层次电厂温排水渔业损害评估方法
KR20200051246A (ko) 2018-11-05 2020-05-13 광주과학기술원 케이블 꼬임 및 따개비의 부착을 방지하는 해상 기상 관측용 부이
KR20200051237A (ko) 2018-11-05 2020-05-13 동강엠텍(주) 따개비의 부착을 방지하는 해상 기상 관측용 부이
KR102193216B1 (ko) 2019-10-11 2020-12-18 동강엠텍(주) 해상 기상 관측용 부이의 파손 방지 및 진단 장치

Cited By (5)

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CN106845870A (zh) * 2017-03-03 2017-06-13 中国水产科学研究院黄海水产研究所 基于灰色关联的模糊层次电厂温排水渔业损害评估方法
CN106845870B (zh) * 2017-03-03 2020-11-24 中国水产科学研究院黄海水产研究所 基于灰色关联的模糊层次电厂温排水渔业损害评估方法
KR20200051246A (ko) 2018-11-05 2020-05-13 광주과학기술원 케이블 꼬임 및 따개비의 부착을 방지하는 해상 기상 관측용 부이
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