JP2880443B2 - アドレナリン作働性α受容体遮断物質を有効成分とする防汚剤 - Google Patents

アドレナリン作働性α受容体遮断物質を有効成分とする防汚剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 フジツボ、イガイ
等の付着を防止するのに有効な防汚剤に関するものであ
る。更に詳しくは、 本発明は、 船舶業や漁業に多大なる
被害をもたらすフジツボ、イガイ等の付着生物による生
物汚損に対する防汚対策として有用な防汚剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、 フジツボ及びイガイをはじめ
とする付着生物による海洋構築物や船舶の生物汚損は、
船舶業や漁業、 特に増養殖業に多大な被害を与えてい
る。そのため、これまでにも、これらの生物の付着によ
る防汚対策として、各種化学物質を使用した防汚塗料等
による付着防止の方法が検討され、実際にも実施されて
きたが、確実な効果が得られる方法はいまだ確立されて
いないのが現状である。そして、更に、付着生物に対す
る防汚効果が大きい場合には、使用する化学物質は毒性
の強いものが多く、例えば対象とするフジツボ及びイガ
イのみならず、その周囲の環境や人体に及ぼす影響が無
視できないため、その方法を使用することが困難であっ
た。このような事情から生物汚損という形で多大な被害
を受けている船舶業や漁業、特に増養殖業の分野にとっ
て大きな課題となっていた。このため、現実的にはフジ
ツボ及びイガイによる汚損への対策としては、大変な労
力と費用が必要となる人の手による機械的な除去作業が
不可欠となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来の技術の欠点を解消し、人手による機械的な除去作業
を必要とせずに、周囲の環境に対する悪影響を抑え、例
えば、フジツボ及びイガイそのものに強い致死毒性は示
さず、安全な条件でより効果的に確実にフジツボ及びイ
ガイの付着を防止することのできる防汚剤を提供するこ
とを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、アドレナリン
作働性α受容体遮断物質を有効成分として含有する防汚
剤である。本発明に用いるアドレナリン作働性α受容体
遮断物質としては、フェントラミン、ヨヒンビン、フェ
ノキシベンザミン、ダイベナミン、プラゾシン、トラゾ
リン、2−(2,6−ジメトキシフェノキシエチル)ア
ミノメチル−1,4−ベンゾジオキサン(WB410
1)、アザペチン、クロルプロマジン、麦角アルカロイ
ド(エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴトキ
シン、ジヒドロエルゴトキシン等)等のα−遮断物質;
ラベタロール等のα,β−遮断物質が挙げられ、これら
は、単独で又は複数種併用して用いられる。これらのア
ドレナリン作働性α受容体遮断物質は、周囲の環境に対
して悪影響を及ぼすことなく安全性の高いものとして効
果的に用いられる。アドレナリン作働性受容体遮断物質
のうち、β−遮断物質はイガイに対してはほとんど効果
を示さず、フジツボでも効果は弱い。
【0005】前記アドレナリン作働性α受容体遮断物質
のうち、フジツボ、イガイの両者に対して顕著な効果を
示す点から、フェントラミン、ヨヒンビン、WB410
1が特に好ましい。フジツボ、イガイ等の付着生物は、
付着によって群居する傾向を示し、これによって種の存
続を維持できるため、付着が抑制されると増殖も抑制さ
れると考えられる。従って、本発明の防汚剤は、フジツ
ボ、イガイ等の付着生物の増殖の抑制にも有効である。
【0006】本発明の防汚剤によれば、アドレナリン作
働性α受容体遮断物質をフジツボのキプリス幼生に作用
させることによって、付着及び変態を抑制することがで
き、そのうち一部は付着の過程のないまま成体のフジツ
ボへと成長させる。即ち、通常は、フジツボのキプリス
幼生は付着に適当な基盤を探索し、これがみつかると第
一触角の付着器官でセメント物質によって付着する。次
に、この状態から脱皮・変態して幼体から稚フジツボへ
と成長する。この付着という現象の情報伝達には、セロ
トニンが重要であり、アドレナリン作働性α受容体遮断
物質のうちでセロトニンに対する阻害効果も示す物質、
例えばフェントラミン、ヨヒンビンをキプリス幼生に作
用させると、付着の過程のないままに変態させることが
可能になる。つまり、付着しないフジツボを育成するこ
とになる。
【0007】一方、アドレナリン作働性α受容体遮断物
質をイガイのペディベリジャー幼生に作用させることに
よって、付着・変態を抑制することが可能になる。即
ち、イガイのペディベリジャー幼生は付着・変態して稚
貝となり、その後、成貝は足糸によって付着するが、移
動して付着場所を変えることもある。本発明において
は、ペディベリジャー幼生の変態がアドレナリン作働性
物質(エピネフリン等)によって促進されることから、
これらの物質の受容体を遮断する物質を作用させること
により、付着・変態を抑制することになる。
【0008】アドレナリン作働性α受容体遮断物質をイ
ガイのペディベリジャー幼生に対して作用させると付着
・変態が抑制される。また、フジツボのキプリス幼生に
対しても、付着・変態を抑制する効果を示し、そのうち
一部は変態のみが生じて付着しないフジツボとなる。
【0009】フジツボ及びイガイの付着の抑制は、アド
レナリン作働性α受容体遮断物質を、フジツボのキプリ
ス幼生とイガイのペディベリジャー幼生に対して作用さ
せることが必要になるが、実際の適用に際しては、付着
を抑止したい海水域に本発明の防汚剤を散布したり、カ
プセル状のものに封入してやり、有効成分であるアドレ
ナリン作働性α受容体遮断物質を少しずつ溶出させるよ
うにしてもよい。あるいは塗料中に含ませる形で漁網や
船底に塗布するのもよい。フジツボ及びイガイは付着に
よって群居することで、種の存続を維持しているため
に、アドレナリン作働性α受容体遮断物質を幼生に作用
させることによって付着及び増殖を抑えることが可能と
なる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の防汚剤は、塗料、溶液、
乳剤、カプセル剤等の形に調製して使用される。これら
の調製は通常行われる一般的な処方を採用して実施でき
る。例えば、塗料として使用する場合は、アドレナリン
作働性α受容体遮断物質を塗料調製剤に配合して防汚塗
料を調製し、これを船底、水中構築物、冷却用取水路等
に塗布することができる。この際使用される塗膜形成剤
としては、例えば油ワニス、合成樹脂、人造ゴム等が挙
げられる。防汚塗料には所望に応じ更に溶剤、体質顔料
等を加えることができる。この場合、アドレナリン作働
性α受容体遮断物質は塗料の重量に基づき0.1〜50
%、好ましくは1〜30%の割合で配合される。
【0011】本発明の防汚剤を溶液として使用する場合
は、例えば、アドレナリン作働性α受容体遮断物質を塗
膜形成剤に配合し、溶媒に溶解した溶液とし、これを水
中生物の付着繁殖を防止する目的で養殖漁網、定置漁網
等に塗布することができる。塗膜形成剤としては、例え
ば天然樹脂、合成樹脂、人造ゴム等が使用され、溶媒と
してはトルエン、キシレン、クメン、酢酸エチル、メチ
ルイソブチルケトン、メタノール等が使用される。この
溶液には必要に応じ、可塑剤等の添加剤を加えることが
できる。溶液として使用する場合、アドレナリン作働性
α受容体遮断物質は溶液の重量に基づき0.1〜100
%、好ましくは0.1〜30%の割合で配合される。
【0012】乳剤として使用する場合は、溶媒中にアド
レナリン作働性α受容体遮断物質を溶解し、更に界面活
性剤を添加して常法により乳剤を調製する。界面活性剤
としては、普通一般のものが用いられる。乳剤として用
いる場合、アドレナリン作働性α受容体遮断物質は乳剤
の重量に基づき0.1〜80%、好ましくは0.1〜3
0%の割合で配合される。
【0013】カプセル剤として使用する場合は、カプセ
ルの中にmMオーダーのアドレナリン作働性α受容体遮
断物質を包含させ、少しずつ放出、拡散するようにして
漁網等に取り付ける。また、本発明の防汚剤は、養殖漁
網、定置網等水中使用物素材の高分子樹脂に練り込んで
使用することもできる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲は、かかる実施例に限定される
ものではない。 (実施例1)比較的付着しやすいポリスチレンのプレー
ト容器に人工海水(Van't hoff formula)を入れ、これに
数〜20個程度(1〜3個体/ml )のフジツボのキプリス
幼生を収容した。アドレナリン作働性α受容体遮断物質
のフェントラミンをフジツボのキプリス幼生に作用させ
た。
【0015】表1はアドレナリン作働性α受容体遮断物
質であるフェントラミンを作用させたキプリス幼生の付
着・変態の様子を観察した結果を示したものである。
【0016】
【表1】
【0017】(実施例2)ガラスのシャーレ(6cm径)
に人工海水を入れ、およそ20個体(1個体/ml )のイガ
イのペディベリジャー幼生を収容する。アドレナリン作
働性α受容体遮断物質のフェントラミンをイガイのペデ
ィベリジャー幼生に20〜40分作用させた後、変態を促進
するエピネフリンを作用させた。3時間後、洗浄して海
水に移した。表2は、アドレナリン作働性α受容体遮断
物質のフェントラミンを作用させたペディベリジャー幼
生の付着・変態の様子を観察した結果を示したものであ
る。
【0018】
【表2】
【0019】加えたアドレナリン作働性α受容体遮断物
質の濃度に依存して付着・変態が抑制された。作用は1
時間という短時間でも示された。また、μM オーダーで
効果が示され、付着していない状態の幼生で死亡するも
のはごくわずかであり(5〜6日間)、強い致死毒性を
示すことはなかった。
【0020】(実施例3)本発明の防汚剤を防汚塗料と
して使用する場合の処方例を以下に示す。 処方例
【0021】
【発明の効果】本発明の防汚剤により、フジツボ及びイ
ガイの海洋構築物等への付着を防止することが可能とな
る。また、本発明の防汚剤は周囲の環境に与える影響が
少なく、人手によるフジツボ及びイガイの除去作業が大
幅に軽減される。更には、大型付着汚損生物のフジツボ
とイガイの付着を同時に防止することが可能となるう
え、有効成分であるアドレナリン作働性α受容体遮断物
質の濃度は、数μM オーダーで効果が示されるため、少
ない費用で大きな効果が得られる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−116004(JP,A) 特開 平9−124415(JP,A) 特開 平9−124410(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 43/50 A01N 43/90 A01N 33/02 - 33/10 A01N 43/54 A01N 43/32 A01N 43/84 A01N 37/18 C09D 5/14 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アドレナリン作働性α受容体遮断物質を
    有効成分として含有する防汚剤。
  2. 【請求項2】 アドレナリン作働性α受容体遮断物質が
    フェントラミンである請求項1記載の防汚剤。
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SE513474C2 (sv) 1999-01-25 2000-09-18 Hans Elwing Instutionen Foer C Metod för att förhindra kräftdjurs, särskilt havstulpaners, etablering på fasta ytor med hjälp av en substans som stör nervsignaler, varvid substansen är medetomidin, dvs (+)-4-/1- (2,3-dimetylfenyl)-etyl/-IH-imidazol
US6544927B2 (en) * 2001-04-28 2003-04-08 University Of Florida Use of α2-adrenergic receptor agonists and adrenergic inhibitors in reducing defoliation
WO2009134303A2 (en) * 2008-03-24 2009-11-05 Clemson University Method and compositions for biofouling deterrence

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