JP2846512B2 - カラー受像管のシャドウマスク - Google Patents

カラー受像管のシャドウマスク

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカラー受像管のシャド
ウマスク、特にその熱変形の減少を図るための構成に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のシャドウマスク式カラー受像管に
おいては、電子ビームの射突によってシャドウマスクの
温度が上昇し、熱変形を生じることが知られている。こ
の熱変形は、一般にミスレジスターといわれる色ずれを
起こすため、原因別に対策を施すことが望まれる。
【0003】上記熱変形の一つに、局部ドーミングとい
われるものがあり、これはカラー受像管の動作中に、画
像再生画面の一部分(一般に全有効画面面積の数分の一
ないし数十分の一の広さを有する比較的まとまった部
分)だけが他の部分に比べて著しく明るくてほぼ静止し
た画像が長く続くと、この明るい部分に対応した部分の
シャドウマスクが局部的に熱変形をおこす現象である。
【0004】図6(a),(b)は、カラー受像管の画
面上に再生された映像と、シャドウマスクの局部ドーミ
ングとの関係を示す図で、1は内面に蛍光面が塗布され
たパネル、2は鉄などの金属板からなるシャドウマスク
で、無数の整列した電子ビーム透過用の小孔3を有す
る。なお、シャドウマスク2の保持機構、電子銃等の部
分の表示は省略している。
【0005】10は、例えば青空の中の白雲のように、
他の部分に比べて著しく明るい映像部分を示し、このよ
うな状態が少し長く(5秒以上)殆ど静止したまま続く
と、シャドウマスク2の映像10に対応する部分は、他
の部分に比較して電子ビームの射突量が多いため、温度
が局部的に上昇し、本来、破線11の形状であるものが
実線12のように変形する。
【0006】このため、シャドウマスク2にある小孔3
が定位置を保つことができなくなり、したがって、小孔
3を通過した電子ビームの蛍光体ドットへの照射点が移
動し(ミスレジスター)、色ずれが発生する。この変形
は、一般のシャドウマスクでは、明るい画面に対応する
シャドウマスク部分が蛍光面側へ膨れる方向に生ずる。
【0007】この現象は、偏向角が大きくなると急速に
目立つもので、近年のように110°偏向のように広角
化したり、画面の平坦化したカラー受像管にあっては非
常に大きな問題となる。
【0008】かかる局部ドーミング現象を減少させるた
め、種々の方法が工夫されている。この代表的なもの
に、従来はほとんど純鉄に近い材料から作られていたシ
ャドウマスク2を、熱膨張係数の小さいインバーと呼ば
れるニッケル約36%残部が鉄の合金で作る方法が知ら
れている。
【0009】ドーミング現象を減少させる別の方法とし
て、例えば特公昭61ー6969号公報に開示されてい
るように、シャドウマスクに電子ビームが射突したと
き、シャドウマスクの温度が上昇しないように、シャド
ウマスクの表面に電子を反射させる物を塗布する方法
が知られており、その代表的なものとして、シャドウマ
スクの電子ビーム入射側に、鉛やビスマス等の貴金属の
酸化物を塗布する方法がある。
【0010】これは、原子量の大きい物は電子を反射
する性質が強いことを利用したもので、酸化物を用いる
のは、単体金属は空気中の加熱に対して不安定であった
り、溶解して定位置にとめておくのが困難であったりし
て、カラー受像管の工程後に所定の性能を発揮させるの
が困難であるのを解消するためである。
【0011】これらとは別に、例えば特公昭50ー40
980号公報のように、シャドウマスク材を板厚一定の
まま小さい凹凸のある画面部分の集合体に加工する方法
や、例えば米国特許4,727,280のように、シャ
ドウマスク面に小孔の間隔単位での小さい板厚の変化を
持たせる方法が知られている。
【0012】ドーミング対策として先に述べたインバー
合金は、熱膨張係数が従来の鉄の約1/9であり、シャ
ドウマスクが局部的に電子ビームの射突によって昇温し
ても、その部分の膨張量が小さいためドーミング量が小
さく、従来の鉄の場合のドーミング量を100とする
と、約30程度の値に抑えることができる。ここで、ド
ーミング量が従来の鉄の場合に比べて熱膨張係数の比と
同じように小さくならないのは、この材料は熱伝導率が
鉄の約1/5であり、したがって電子ビーム射突による
熱が材料中を伝導によって逃げる量が少なく、電子ビー
ム射突部の温度が鉄の場合に比べて高くなるためであ
る。
【0013】また、ドーミング対策として先に述べた電
子反射物質を塗布する方法は、シャドウマスクに射突し
た電子ビームのうち、大部分が相当に大きいエネルギを
持ったまま塗布物質によってはねかえされるため、射突
部分の昇温が減少し、例えば鉄から成るシャドウマスク
の面上に前述の酸化鉛や酸化ビスマスを適当量塗布した
場合は、これを塗布しない単なる鉄から成るシャドウマ
スクのドーミングを100とすると、約70程度まで減
少させることができる。
【0014】また、シャドウマスク材を板厚一定のまま
小さい凹凸曲面の集合した曲面に成形するものや、それ
自身に板厚の小さい変化を持たせるものは、局部ドーミ
ング現象は材料である板の局部的な曲率半径にほぼ比例
して生ずることに関連して考え出されたもので、局部的
に実効的な曲率半径をなるべく小さくしようとするもの
である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ドーミング対策として
インバー合金を用いる方法は、高価なニッケルを多く用
いるため材料費が高く、また、シャドウマスクとして加
工するためのエッチングによる孔明け、プレスによる成
形などが困難で、加工費が高価になるとともに、歩留り
が悪いという欠点があり、結局いちじるしいコストアッ
プを伴うものであった。しかも、これを実施してみる
と、熱膨張係数から予想される程の局部ドーミング減少
1/9には相当に不足する効果しか得られなかった。
【0016】また、電子放射物質を塗布する方法は、効
果が充分でないのみでなく、特殊な物質をシャドウマス
クに塗布するために、小孔3の目詰まりが生じやすいな
ど製造上の問題があり、結局コストが割高となる。
【0017】また、シャドウマスクを板厚一定のまま小
さい凹凸曲面の集合体に成形する方法は、カラー受像管
の動作上必要なシャドウマスクの曲面を、始めから理想
的でない状態に設定することになり、画質や輝度の損失
を避けることができない。また、シャドウマスクに小さ
い板厚の変化を持たせるものは、これまで知られている
ものではある条件下でしか効果がなく、いずれも製造コ
スト上の問題もあって実用化されているとは言い難かっ
た。
【0018】本発明はかかる状況に鑑み、電子ビームが
局部的に射突してもドーミング現象の生じにくい実用性
のあるシャドウマスクを得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明によるカラー受像
管用シヤドウマスクは、カラー受像管のパネルの内面に
対向して設けられ、全面にわたって上記パネル側に凸と
なる曲面に形成されたシャドウマスク、及びこのシャド
ウマスクの反パネル側の面に設けられ、昇温速度を遅く
する昇温速度制御手段を備え、上記シャドウマスクの垂
直断面上における上記昇温速度制御手段の巾と間隔を、
ともに上記シャドウマスクの板厚の平方根の20〜20
0倍とすることにより、上記シャドウマスクへの電子ビ
ームの射突時に、上記シャドウマスクの上記昇温速度制
御手段設けられていない部分上記パネル側に対して
局部的に膨出、上記膨出した部分と上記昇温速度制御
手段設けられている部分との間上記パネル側に対し
て局部的凹部形成るようにしたことを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明によるカラー受像管用シャドウマスク
は、電子ビーム射突開始直後は昇温速度の速い部分、即
ち昇温速度制御手段の設けられていない部分がまず熱膨
張して局部ドーミングを生じ、もともとパネル側に対し
凸であった曲面が局部的により凸になるようにふくら
み、その結果、昇温速度の遅い部分、即ち昇温速度制御
手段の設けられている部分はもともと凸であった方向に
対して凹に変形する。その後、昇温速度の遅い部分も温
度は上昇するが、いったん凹に変形した部分は温度上昇
によってより凹になるように変形するので、結果として
シャドウマスクの局部昇温変形による元の冷却状態から
の変移量が少なくなり、色純度を損なうことが少なくな
る。
【0021】
【実施例】図1(a)は本発明の一実施例の一部拡大正
面図、図1(b)はY−Y線矢視断面図で、シャドウマ
スク2は厚さ0.15〜0.25mmの鉄板からなり、
図に示されていないパネルの方からみて全面にわたって
な曲面に成形されており、この曲面の平均断面半径は
約2500mmである。シャドウマスク2は無数の電子
ビーム透過用の小孔3を有しており、小孔3は、個々に
はほぼ長方形状をなしたものがその長方向に非孔部で
あるブリッジ4を介して連なって列をなし、この列が等
間隔に平行にならんでいる。かかる小孔3は、シャドウ
マスク2の全面にわたって設けられているが、図1
(a)にはその一部のみしか画いてない。
【0022】5は昇温速度制御手段で、図に示すよう
に、シャドウマスク2の全面積の半分を、複数本のジグ
ザグの帯状に覆うように設けられている。この様子を一
層詳しく説明するために、小孔3の列に平行なY−Y線
断図で見ると、Y−Y線に平行な方向で測った幅Aは3
0mm、シャドウマスク2の面がそのままの状態にある
部分(以下「無処置部」という)6の幅Bも30mmに
形成されており、ジグザグの振幅は、Y−Y線に平行な
方向にあらわれるように配置されており、その振幅Cは
60mmである。更に、ジグザグの中心線はY−Y線に
垂直な方向に延在しており、そのピッチDは60mmで
ある。
【0023】かかる構造模様が図2のように(但し図2
にはこの模様は一部しか画いておらず残りは省略してい
る)シャドウマスク全体、またはドーミングの最も問題
になる部分に設けられている。昇温速度制御手段5は、
シャドウマスク2の小孔3を通過する電子ビームは防げ
ず、かつ、単位面積当たりの一定量の電流密度の電子ビ
ームの射突に対して、それが配置されているシャドウマ
スク部分の昇温速度が遅くなり、さらに、シャドウマス
ク2の機械的な強度をあまり変化させないような性質を
有している。
【0024】昇温速度制御手段5のについては後に述
べるが、上に述べたような性質の昇温速度制御手段5が
配置されていると、先に述べた局部ドーミングによる色
ズレ現象が減少する理由を以下に説明する。
【0025】いま、図1に示したような昇温速度制御手
段5を有するカラー受像管を動作させて、局部ドーミン
グが起こるような画像を映出させる。この画像が、例え
ば図3(a)に示すような直径が100mmの円形部5
0であり、このカラー受像管の蛍光面は充分大きく、例
えば480mm×360mm程度あるものとすると、こ
の円形のビーム射突部50は昇温を始めるが、シャドウ
マスク2の面に設けられている昇温速度制御手段5の部
分の昇温が遅く、結果として昇温速度制御手段5の設け
られていない無処置部6がまず局部ドーミングを起こ
す。
【0026】この状況を図3(b)に示す。すなわち、
無処置部6の部分は小さい局部ドーミングを起こし、も
とのシャドウマスク面の凸の方向をより凸とする方向に
小さくふくれあがって凸部51が形成されるが、このと
き、昇温速度制御手段5の設けられている部分53は、
昇温がおそいためまだ局部ドーミング現象を示さない。
その結果、凸部51のすその部分に、もとのシャドウマ
スク面の凸の方向とは逆にまがった凹部52が生ずる。
【0027】この状態で引きつづきビーム射突を続ける
と、昇温速度制御手段5の部分も次第に昇温してきて膨
張しようとするが、その近くに凹部52がすでに形成さ
れているためにこれに打ち勝ってまでもと凸であった方
向にふくれることが出来ず、図3(c)のように、もと
の凸とは逆の方向にひとつのまとまった凹部52を形成
する。このため、その後シャドウマスク材が昇温を続け
ても、凸部51および凹部52は、それぞれの方向に一
層ふくらむのみである。
【0028】もし、昇温速度制御手段5が設けられてい
なければ、図3(c)に太い2点鎖線2aで示したよう
に、大きくもとの位置から変移した局部ドーミングが生
じるが、この実施例では、小さい変移の凹凸のくりかえ
しに置きかわってしまう。すなわち、局部ドーミングに
よるシャドウマスク2の破線で示したもとの位置からの
変移が少なくなり、それだけ色ずれの程度が改善され
る。
【0029】図4は、昇温速度制御手段5の他の実施例
を示す断面図で、この実施例は、シャドウマスク2の面
上に、電子ビーム透過用の小孔3aを設けた巾AのW形
に形成された補助マスク5aを貼りつけて、昇温速度制
御手段5を構成したものである。補助マスク5aは、シ
ャドウマスク2と同じ金属材料から成り、シャドウマス
ク2の有する電子ビーム透過用の小孔3と一致した位置
に小孔3aを設けておき、これをレーザー等で溶接して
(溶接点を7とする)シャドウマスク2に固着させたも
のである。
【0030】原理から明らかなように、補助マスク5a
を取り付けたことによってその部分のシャドウマスク2
が補強されたようになるのは一般に好ましくないので、
溶接点7は、局部的に設けられる補助マスク5aの巾A
の中央部付近で、できるだけ少ない個所で溶接するのが
望ましい。
【0031】ところで、図1の実施例は、昇温速度制御
手段5の幅を30mm、無処置部6の幅Bを30mmと
したが、すでに述べたように、昇温速度制御手段5の設
けられている部分が凹部52を形成して熱変形の影響を
小さくする原因を形成するので、シャドウマスク2の無
処置部6に挟まれた昇温速度制御手段5が少なくとも一
箇所設けられていることが重要である。
【0032】しかし、実際問題として、局部ドーミング
のような現象は、画面のどこにでもあらわれる可能性が
あるので、前述のようなくりかえし模様をシャドウマス
クの主要部に設ける必要があり、さらに、シャドウマス
ク2をその板材の面に垂直な面で切った場合に、その断
面上での昇温速度制御手段5の設けられている部分の巾
Aと、無処置部6の巾Bには最適値がある。
【0033】一般に、シャドウマスクのような板材で
は、局部的な温度の不均一があっても、その不均一の面
積が相当に小さく板厚に近くなってくると、不均一に応
じて変形する現象は起きない。つまり、この種の熱変形
は、板の厚さと物理的な性質できまる最少巾のようなも
のがあり、それより小さい局部的な温度差はあってもこ
れは無視され、その付近一帯がある平均的な値に昇温し
たと同じようなある巾以上にわたる変形が生ずる。
【0034】このように、小さい領域の昇温が無視され
るかどうかの目安を示す物理定数に、特性長と呼ばれる
ものがある。この特性長については、例えば雑誌「テレ
ビジョン」1977年6月号第46ページから52ペー
ジ「シャドウマスク管のドーミング現象に関する理論検
討」に、鉄を用いた場合の特長について次式が示され
ている。 (特性長の平方)=0.37×(シャドウマスクの曲率
半径)×(シャドウマスクの板厚) このうち、係数0.37は、小孔3の形状や大きさ(透
過率)で変更されるべきであるが、大ざっぱには一定と
見て良い。
【0035】ところで、本発明の適用に際して望ましい
シャドウマスクの曲率半径は、1000mm以上である
ので、特性長の最小値(mm)は、おおよそ (特性長の最小値)=20×(シャドウマスクの板厚(mm) 1/2 となる。特性長の定義は、先の昇温速度制御手段5や、
無処置部6の巾とは異なっており、大ざっぱにみても、
これらの巾が特性長の2倍に対応するべきであると考え
られるが(特性長の用語は変形範囲の半径に対応し
り、この意味で上記幅は特性長の2倍に対応する)、特
性長そのものも大ざっぱな目安であり、これ以下の単位
でもわずかな変形は起こり得るので、大まかなこれらの
巾(mm)の選択の範囲の最小値は 20×(シャドウマスクの板厚(mm))1/2 と言える。
【0036】次に、これらの巾の上限値は、この巾があ
まり大きくなると、図3(b)における凸部51の巾が
大きくなり、結局、従来の局部ドーミングと同じような
症状を呈することになって本発明の効果がなくなってし
まうので、実際問題として巾(mm)は 200×(シャドウマスクの板厚(mm))1/2 より大きくとっても意味がない。
【0037】結局、先に述べた昇温速度制御手段5の巾
A(mm)と、無処置部6の巾B(mm)の好ましい範
囲は、それぞれ (20〜200)×(シャドウマスクの板厚(mm))1/2 である。本発明は、適当な巾の昇温速度制御手段5を設
けることを特の一つとしており、その意味で昇温速度
制御手段5の巾A重要な要素の一つである。
【0038】次に、図1(a)において、昇温速度制御
手段5の配置を、シャドウマスク2の面上でジグザグ模
様に形成したのは、このシャドウマスク2を、板材に垂
直な面でどの方向に切っても、断面に昇温速度制御手段
5のある部分とない部分が混在した状態があらわれるよ
うにするためである。
【0039】しかし、この場合、Y−Y線断面と同じ模
様を、他の断面でも常に同じように作ることは事実上不
可能である。そのため、理論的に好ましい昇温速度制御
手段の配置模様は、材料力学的に最も重要な方向の断面
上でこれを実現するようにすべきである。
【0040】一般に、ここに述べるシャドウマスク2の
ような曲面板のある点における局部的な材料力学的特性
は、その点を通るすべての方向の断面についての重みを
考慮した平均で決定されるのが普通である。ここで重み
と言うのは、いま考えている方向に平行な一定の帯状材
を切りとって、この特性を比較することによって決定さ
れる。
【0041】例えば、ここに述べる熱変形のような場
合、一定巾の帯状材を切りとって、面に垂直なゆるい曲
率でわずかにたわませようとしたときのたわみにくさ、
(一定のたわみを得るために必要な荷重)を比較する
と、図1に示したような長方形の孔が、その長手方向
をY−Y線に平行に配置ているシャドウマスク2のよ
うな場合は、Y−Y線に平行な方向が最もたわみにく
い、すなわち、シャドウマスク2の熱変形に最も支配的
なのは、Y−Y線に平行な帯状部の性質であって、した
がって、ここで述べる昇温速度制御手段5の寸法に関す
る条件は、Y−Y線に平行な断面上で優先的に満足させ
るのが望ましい。
【0042】したがって、昇温速度制御手段5の巾は、
必ずしも図1(a)に示したようなジグザグである必要
はなく、例えば、図5に示すように、昇温速度制御手段
をX方向に平行な複数本の帯状としてもよい。この実
施例では、Y−Y線に平行な方向の断面上での昇温速度
制御手段5と無処置部6の配置は、以上述べた特長を有
しているが、X−X線に平行な方向の断面では、かかる
特徴が全くあらわれていない。
【0043】しかし、小孔3が、Y−Y線方向に細長い
図1(a)に示すようなシャドウマスクにあっては、X
−X線方向に平行な方向の強度(この方向に平行な帯状
部の曲げ強度)は非常に弱く、したがってX−X線方向
に平行な断面での構造を無視しても、全体としての効果
にはそれほど影響が生じない。
【0044】また、昇温速度制御手段5は、図4に示し
たような補助マスク5aに限るものではなく、シャドウ
マスク2の単位面積当たりの比熱を大きくするか、電子
射突によるエネルギー吸収量を減少させ、結果的に昇温
速度がくなるようなものであれば他の手段でもよい。
【0045】また、補助マスク5a以外の例として、酸
化ビスマスの塗布があげられる。酸化ビスマスを塗布
し、この電子反射効果を利用してドーミングを減少させ
ることは知られているが、このような物質の塗布は、塗
布された部分の昇温速度を遅くする効果があり本発明に
利用できる。
【0046】また、ある種の蛍光体の塗布も有効であ
る。蛍光体は入射電子のエネルギーを波長の短い光線の
エネルギーに変換して外へ逃がす働きがあり、やはり昇
温速度を遅くする効果がある。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、全
面にわたって受像管のパネル側に凸となる曲面に形成さ
れているシャドウマスクに、昇温速度を遅くする昇温速
度制御手段を配置し、上記シャドウマスクの垂直断面上
における昇温速度制御手段の巾と間隔を、ともにシャド
ウマスクの板厚の平方根の20〜200倍とすることに
より、シャドウマスクへの電子ビームの射突時に、シャ
ドウマスクの昇温速度制御手段設けられていない部分
パネル側に対して局部的に膨出し、膨出した部分と
温速度制御手段設けられている部分との間がパネル側
に対して局部的凹部形成るようにしたので、色ずれ
の少ない高性能のカラー受像管が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のカラー受像管用シャドウマ
スクの一部拡大正面図およびそのY−Y線矢視断面図で
ある。
【図2】図1の実施例のカラー受像管用シャドウマスク
の平面図である。
【図3】この実施例の作用を説明するためのシャドウマ
スクの一部拡大正面図およびY−Y線矢視断面図であ
る。
【図4】この実施例の昇温速度制御手段の具体例を示す
断面図である。
【図5】本発明の他の実施例の平面図である。
【図6】従来のシャドウマスクで生じる局部ドーミング
を説明するための図である。
【符号の説明】
1 パネル 2 シャドウマスク 3,3a 小孔 5 昇温速度制御手段 5a 補助マスク 6 無処置部 7 溶接点
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 29/00 - 29/45 H01J 9/14 - 9/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラー受像管のパネルの内面に対向して
    設けられ、全面にわたって上記パネル側に凸となる曲面
    に形成されたシャドウマスク、及びこのシャドウマスク
    の反パネル側の面に設けられ、昇温速度を遅くする昇温
    速度制御手段を備え、上記シャドウマスクの垂直断面上
    における上記昇温速度制御手段の巾と間隔を、ともに上
    記シャドウマスクの板厚の平方根の20〜200倍とす
    ることにより、上記シャドウマスクへの電子ビームの射
    突時に、上記シャドウマスクの上記昇温速度制御手段
    設けられていない部分上記パネル側に対して局部的に
    膨出し、上記膨出した部分と上記昇温速度制御手段
    けられている部分との間上記パネル側に対して局部的
    凹部形成るようにしたことを特徴とするカラー受像
    管のシャドウマスク。
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