JPH053100B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はシヤドウマスク型カラー受像管に係
り、特にそのシヤドウマスクの構造に関するもの
である。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

一般にシヤドウマスク型カラー受像管は第１図
に示すように、外囲器は内面に蛍光体スクリーン
３の形成されたパネル２と、このパネル２からフ
アンネル１を介して連結された複数の電子ビーム
９を射出する電子銃６を内設したネツク５とから
構成される。また蛍光体スクリーン３に近接対向
して多数の細孔７を有するシヤドウマスク４が配
設されている。このようなカラー受像管におい
て、電子銃６から射出された赤、青及び緑に夫々
対応する３本の電子ビーム９はシヤドウマスク４
の細孔７近傍で集中し、シヤドウマスク４と蛍光
体スクリーン３との間隔（以降ｑ値と称す）で再
び発散し、蛍光体スクリーン３の赤、青及び緑に
夫々発光する蛍光体に対応射突してカラー映像を
現出させる。シヤドウマスク型カラー受像管では
その基本的構成からシヤドウマスク４の細孔７を
通過する電子ビーム量は全体の1/3以下であり、
残りの2/3以上の電子ビームはシヤドウマスクに
射突し熱エネルギーに変換されシヤドウマスクを
加熱膨張させる。シヤドウマスク４は厚さ0.1mm
乃至0.3mmの鉄を主成分とする薄板に多数の細孔
７をエツチング等により穿設した後パネル側に突
出する曲面状に成形され、その周縁は厚さ１mm前
後の強固なマスクフレーム８で支持固定される。
従つて第２図に示すように熱膨張率の大きなシヤ
ドウマスク４は電子ビームの射突によつて容易に
熱膨張を生ずるが、その周縁部は強固なマスクフ
レーム８に固定されているためシヤドウマスク４
の中央部１０を主体として点線１１で示すように
変形しドーミング現象を生ずる。その結果シヤド
ウマスク４の細孔７位置及びｑ値が変化し、電子
ビームが対応する蛍光体に正確に射突しなくなり
色純度の劣化を生ずる。また画面上の局部的に高
輝度部分が一定時間継続する場合、局部的なドー
ミングによる色純度劣化を呈することも知られて
いる。このドーミングを改善するために種々の対
策が考えられており、その一つにシヤドウマスク
全体を熱伝導性の高い物質で被覆し局部的な発熱
を拡散させる方式も考えられる。しかし乍らこの
方式では局部的なドーミングにはある程度の効果
を有するが、熱伝導率が高いためにシヤドウマス
ク自体の温度が上昇してしまう問題がある。ま
た、シヤドウマスクを熱輻射率の大きい物質で被
覆することも考えられているが、このような熱輻
射には熱を輻射する側と受ける側が必要であり、
パネル側にはパネル内面とこれに近接しているシ
ヤドウマスクとの間に強い輻射関係があるが、電
子銃側の熱輻射の関係は弱いものである。シヤド
ウマスク全体のドーミングについては稼動初期を
除いてマスクフレームに取り付けたバイメタル支
持片によりシヤドウマスク全体を管軸方向に移動
させて実質的に色純度の劣化を防止する対策を為
されているが、局部的なドーミングについての有
効な対策は見出されていない。

〔発明の目的〕

本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、従
来の製造方法を大幅に変更することなしにシヤド
ウマスクに局部的なドーミングを効率良く抑制し
色純度の劣化を防止したカラー受像管を得ること
を目的とする。

〔発明の概要〕

本発明はシヤドウマスクの少くとも両主面は熱
輻射率の大なる層が形成され、且つ電子銃に対向
する面側にシヤドウマスク素材よりも熱伝導率の
大なる層を形成することによつて、熱エネルギー
を高熱輻射層によつて効果的に発散させ、且つ高
熱伝導層によつて効果的に拡散させて局部的なド
ーミングを抑制するものである。

〔発明の実施例〕

以下本発明について詳細に説明する。尚、本発
明のカラー受像管の構成そのものは第１図に示す
ものと同様であるので構成についての詳細な説明
は省略し繰り返さない。

第３図に示すようにシヤドウマスク４がドーミ
ングを生ずるのはドーミングを生ずる部分１２が
その周囲１３に比べて温度が高いために生ずる。
従つてドーミングを生ずる部分１２とその周囲１
３との温度格差を可及的に速やかに是正し均一な
らしめるようにすれば、ドーミングを生ずる部分
１２のドーミング量は小さく軽減される。またシ
ヤドウマスク４のパネル２側よりも反対の電子ビ
ームが直接射突する側が重要である。

第４図は本発明の一実施例を示すもので、第３
図のシヤドウマスクのＡ−Ａ断面の一部を拡大し
て示している。

シヤドウマスク４の両主面には高熱輻射層１６
が形成されている。この高熱輻射層１６は例えば
冷間圧延鋼からなるシヤドウマスク４に細孔７を
穿設し所定の形状に成形した後高温中で水素処理
を行うことにより二酸化鉄或は三酸化鉄を主成分
とする灰色乃至黒色の被膜の高熱輻射層として容
易に形成することができる。尚、第４図では細孔
７の部分の高熱輻射層は省略して示していない。
次に電子銃からの電子ビーム９の入射する側の面
には高熱輻射層１６に重畳してシヤドウマスク４
の素材より熱伝導率の大なる高熱伝導層１７が形
成されている。この高熱伝導層１７はシヤドウマ
スク４の素材が冷間圧延鋼の場合、銀、銅、アル
ミニウム、ニツケルその他から選択されたものを
使用することができ、例えば真空蒸着法により容
易に形成することができる。またその膜厚は用い
る材料との組み合わせによつても異なるが、あま
り厚いと細孔７面積を縮小変形させ、あまり薄い
と後述の熱伝導効果が充分機能しなくなるので最
大でも数μｍ程度で１〜2Mｍ程度が好ましい。

このようなシヤドウマスク構成では電子ビーム
射突により、まず電子銃側で発生した熱エネルギ
ーは高熱伝導層によりマスクフレーム側へ拡散し
全体の温度上昇を緩やかにし、局部的な温度上昇
が抑制される。パネル側は高熱輻射層のみであ
り、シヤドウマスクに近接しているパネル内面へ
の熱幅射機能も充分発揮させることができる。シ
ヤドウマスクの発熱は、まず、電子銃側に起こ
り、熱伝導により蛍光面側や周囲に熱が伝わつて
行くため、電子ビーム射突により最も温度が高く
なる電子銃側に熱伝導率の大きい層を形成するこ
とにより、より速やかに、且つ、効果的に熱拡散
ができる。従つて局部的な温度差による局部的ド
ーミング量を効果的に抑制することができる。

以上の実施例では高熱伝導層と高熱輻射層を重
畳して形成した例について説明したが、シヤドウ
マスク素材よりも熱伝導率の高い例えば金属酸化
物を用いてもよい。この場合、金属酸化物は金属
に比べて表面が粗く金属光沢も少ないので高熱幅
射層としての機能も併せ持たせることができる。
また、けい光体スクリーンの露光処理形成工程で
露光の反射による悪影響を防止する利点をも有す
る。

〔発明の効果〕 以上のように本発明によればシヤドウマスクの
局部的ドーミングによる色純度の劣化を効果的に
抑制したカラー受像管とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はカラー受像管の構成を示す概略断面
図、第２図はシヤドウマスクのドーミングを説明
するための要部の概略模式図、第３図はシヤドウ
マスクの局部的ドーミングを説明するための要部
の概略平面図、第４図は本発明の実施例を説明す
るためのシヤドウマスクの部分概略模式断面図で
ある。 ２……パネル、３……蛍光体スクリーン、４…
…シヤドウマスク、７……細孔、６……電子銃、
９……電子ビーム、１６……高熱輻射層、１７…
…高熱伝導層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ パネル内面に設けられた蛍光体スクリーンと
   このスクリーンに対向して配設され複数の電子ビ
   ームを射出する電子銃と前記スクリーンと前記電
   子銃の間にあつて前記スクリーンに近接対向して
   配設された多数の細孔を有するシヤドウマスクと
   を少なくとも備えたカラー受像管において、前記
   シヤドウマスクの少くとも両主面に熱輻射率の大
   なる層が形成され、且つ前記電子銃に対向する面
   に前記シヤドウマスク素材よりも熱伝導率の大な
   る層が形成されたことを特徴とするカラー受像
   管。 ２ 前記熱幅射率の大なる層が灰色乃至黒色の酸
   化物からなることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のカラー受像管。 ３ 前記熱伝導率の大なる層が金属光択を有さな
   い金属酸化物からなることを特徴とする特許請求
   の範囲第２項記載のカラー受像管。