JPH0572702B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は螢光管内部における乱反射に起因する
逆光を低減できるようにし、十分な光量コントラ
ストが得られるようにした発光装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の発光装置として、例えば、特開昭59−
46742、特開昭59−49146に示されるものがある。
前者は第４図に示すように、基板ガラス１と、該
ガラス面上に形成される絶縁層２と、該絶縁層２
面上に表面に螢光体が塗布された単一の微少な電
極をアレイ状に配列した電極アレイ３と、該電極
アレイ３上を覆う如くに配設されて通過する熱電
子を制御するメツシユグリツド４と、該グリツド
４上の空間に配設される陰極フイラメント５と、
部材３，４及び５を囲繞し内部を真空状態に保つ
フエースガラス６（透明）とより構成される。

また、後者は第５図に示すように、片面の中央
部に凹部溝１１を有する透明な基板ガラス１０
と、凹部溝１１内に配設されて発光を集光する集
光用球レンズ１２と、基板ガラス１０の他面のレ
ンズ１２に対向する位置に配設される螢光体１３
と、該螢光体１３の上部空間に放射状に配設され
て熱電子を螢光体１３へ集める電子レンズ１４
と、該電子レンズ１４の頂部に配設されて熱電子
を放出する陰極１５と、部材１３，１４および１
５を囲繞し内部を真空状態に保つケーシング１６
とより構成される。

以上の構成において、いずれも陰極に通電する
際に発生するジユール熱により熱電子を発生さ
せ、この熱電子を螢光体の基板ガラス側に設けら
れている陽極に正電圧を印加することによつて、
該陽極へ熱電子を引き寄せ、螢光体に衝突させ、
その際の衝突電子のエネルギーを吸収することに
よつて発光させている。第４図の例では、電極を
形成するに際し、螢光体塗布部の裏面に金属板が
２重に配設される構造となるため、螢光体の冷却
が行われ、発光効率の低下を防止できる。また、
第５図の例では、電子レンズによつて陰極の熱電
子を集めると共に、球レンズによつて螢光体より
発する光を集束するようにしたため、指向性が向
上し、光の利用効率を上げることができる。

更に、従来の発光装置として、特願昭59−
109148号に示されるものがあり、陰極と螢光体の
間に画像表示用ドツトの密度に対応して複数のア
パーチヤーを配設すると共に、該アパーチヤーに
隣接して前記画像表示用ドツトの表示サイズに応
じた電圧が印加される制御電極を設けて構成され
る。

かかる構成によれば、制御電極に印加する電圧
によつてアパーチヤーを通過する熱電子線の流束
径を制御できるため、発光ドツトの密度を低下さ
せることなく階調再現性を向上させることができ
る。

また、特開昭59−49147号公報に示されるよう
に、螢光体を被着した導電膜からなる陽極と該陽
極に対向配置された陰極からなる発光装置におい
て、発光装置からの発光に指向性を持たせるため
に陽極と螢光体の形状を発光パターンの出射方向
に漸開する曲面形状とするものがあるがこれによ
つても、発光素子から出射される完全拡散光の全
てに指向性を持たせることは難しく、隣接する発
光素子間で十分なコントラストを得ることは困難
であつた。

さらに、実公昭46−30455号公報に示されるよ
うに、螢光膜の発光を所要の開口を設けたマスク
を通して所要の表示を得るようにした発光装置に
おいて、マスクの表面を黒色化して所要の表示を
得るようにした発光装置がある。

しかしながら、この発光装置は、グリツドの存
在についてなんら示すものではない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、従来の発光装置にあつては、いずれも
螢光体により発生した光がケーシング又はフエー
スガラスにより形成された密閉空間内で乱反射し
て逆光が発生するため、十分な光量コントラスト
（発光部、非発光部間の光量の差）が得られず、
電子写真技術を用いたプリンタの書き込みデバイ
スとして用いた場合には、鮮明なプリント画像が
得られない不具合がある。

さらに、従来の発光装置で発光量を制御するに
は、陰極と陽極の間にメツシユグリツドを設けな
ければならず、加えて所望の発光パターンを得る
ときには、別途マスクを設けなければならず、発
光装置の構想が複雑となるものであつた。

〔問題点を解決するための手段および作用〕

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、
発光装置において、螢光体からの拡散光をしぼり
込むスリツトにおける逆光の発生を低減して十分
な光量コントラストが得られるようにするととも
に、グリツド機能とスリツト機能の両機能を兼ね
備えた簡単な構造の光量を調整できる発光装置を
提供することを目的とする。

〔実施例〕

以下、本発明による発光装置を詳細に説明す
る。

第１図は本発明の一実施例を示し、ベースとな
るガラス基板２０と、ガラス基板２０の表面の所
定位置に設けられる陽極２１と、該陽極２１の表
面に設けられる螢光体２２と、該螢光体２２の表
面のみが露出する開口が設けられて該螢光体２２
を含む所定の領域を覆うと共にグリツドの機能を
兼ねるスリツト２３と、該スリツト２３の上部で
且つ螢光体２２に対向する位置に配設される陰極
フイラメント２４と、部材２１，２２，２３及び
２４を覆うと共に内部が真空状態に保たれるシー
ルガラス２５と、螢光体２２によつて発生した光
を集光するセルフオツクレンズ２６とより構成さ
れる。スリツト２３の内面は黒色に塗装され、再
反射を防止する対策がとられている。

以上の構成において、陰極フイラメント２４に
発生した熱電子は、陽極２１に正電圧が印加され
るときに螢光体２２側へ引き寄せられる。その途
中で、グリツド電圧が印加されたスリツト２３に
よつて加速され、その一部はスリツト２３の開口
を通過し螢光体２２に衝突し、該螢光体２２を励
起し、発光させる。開口を通過しなかつた電子は
スリツト２３に捕捉され、発光には寄与しない。
螢光体２２によつて発光した光は、指向性が無い
ため、あらゆる方向に進行するが、発光面に垂直
な方向に向かう光以外は、スリツト２３の内面で
遮光されるため、逆光を発生させることが無い。

次に、本発明の具体的な実施例を説明する。

発明者らは、陽極をガラス基板上に10ドツト／
mmに形成し、この陽極上に螢光体（ZnO）を２〜
３層に塗布し、この螢光体と陰極の間に、第１図
に示す如くに黒色処理を施した100μｍ幅の導電
材料によるスリツトを設けて発光装置を作成し
た。

陰極に対しては6V、スリツトに対してはグリ
ツド電圧V_Gとして15V及び陽極に対してはアノ
ード電圧V_Aとして50Vを各々印加した。また、
スリツトの黒色処理部分は、10¹⁰Ω−cm以下の抵
抗値となるように設定し、チヤージアツプの防止
を図つた。

この結果、第２図に示すような相対光量が得ら
れた。

図より明らかなように発光部と非発光部の光量
差は、第３図に示す従来装置（第１図の構成に於
いてスリツト２３を設けず、第４図に示すような
メツシユグリツドを設けたもの）に比べて大きく
なり、光量コントラストの向上したことがわか
る。即ち、スリツト２３を設けたことによつて、
殆ど逆光を生じなくなつたことがわかる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明は、螢光体を被着
した陽極と、前記陽極に対向配置された陰極と、
前記陰極と前記陽極との間に配置され前記陰極か
ら放射された電子線を制御するグリツド電極とを
備えた発生装置において、前記グリツド電極を、
前記螢光体からの発光散乱光の通過を阻止するス
リツトに構成するとともに、前記螢光体側の面に
反射防止処理を施したので、螢光体が発生する拡
散光のうちスリツト開口方向へ発光された光のみ
を取りだすことができるので、発光部と非発光部
との光量の差を大きくすることができ、光量コン
トラストを高め、鮮明なプリント画像を得ること
ができるとともに、スリツトとグリツドを兼用し
たので、構造が簡単で発光を制御できる発光素子
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２
図及び第３図は本発明と従来の光量コントラスト
特性図、第４図及び第５図は従来の第１、第２の
発光装置を示す断面図。 符号の説明、２０……ガラス基板、２１……陽
極、２２……螢光体、２３……スリツト、２４…
…陰極フイラメント、２５……シールガラス、２
６……セルフオツクレンズ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 螢光体を被着した陽極と、前記陽極に対向配
   置された陰極と、前記陰極と前記陽極との間に配
   置され前記陰極から放射された電子線を制御する
   グリツド電極とを備えた発光装置において、 前記グリツド電極は、前記螢光体からの発光散
   乱光の通過を阻止するスリツトであるとともに、
   前記螢光体側の面には反射防止処理を施したこと
   を特徴とする発光装置。