JP2845643B2 - 磁石装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁石装置に係り、例え
ば、家具の扉の閉鎖状態を保持する吸着具、または掲示
板などに磁石の吸着力により掲示用紙、メモなどを止着
する吸着具などにおいて、永久磁石体の表面磁束密度を
高めた磁石装置の成型性を向上したものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の磁石装置は、例えば、特
開昭６２ー２６３６１４号公報に記載されているよう
に、永久磁石体の一方の例えばＮ極の磁極面を吸着面と
し、この永久磁石体の他方の例えばＳ極の磁極面に鉄板
の基板部を固着し、この鉄板の両側片部をこの永久磁石
体の側面に沿って折曲げて先端縁を前記永久磁石体の一
方のＮ極の磁極面と略同一面とし、Ｎ極およびＳ極を吸
着面に導き、永久磁石体の吸着面の表面磁束密度を約1.
4 〜1.5 倍に高めた構造が採られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の磁石装置で
は、永久磁石体と導磁性体とを個々に成型し、永久磁石
体を導磁性体に接着剤などで固着しなくてはならず、製
造工程数が多く、製造コストを低減することの障害とな
っており、また、鉄板を用いているため、成型性に問題
があり、複雑な形状が得られない問題があった。

【０００４】本発明は上記従来の磁石装置の問題点に鑑
みなされたもので、インサート成型、または、同時成型
などにより成型性を向上し、また、複雑な形状も容易に
得られる磁石装置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の磁石装置は、一
方の磁極面を吸着面とした永久磁石体と、この永久磁石
体の他方の磁極面に基板部を固着し両側片部をこの永久
磁石体の側面に沿って間隙を保持して折曲げ、先端縁を
前記永久磁石体の一方の磁極面と略同一面とした導磁性
体とを備え、前記永久磁石体と導磁性体とのいずれか一
方を焼結成型したハードフェライトにて形成するととも
に、他方をフェライト粉末または粒子を合成樹脂にて成
型したソフトフェライトにて形成したものである。

【０００６】

【作用】本発明の磁石装置は、導磁性体によりこの導磁
性体の基板部に当接される永久磁石体の磁極面の磁極、
例えば、Ｓ極が側片部によって導かれ、永久磁石体の吸
着面のＮ極との間に磁路が形成されて表面磁束密度が高
められる。そして、永久磁石体と導磁性体とのいずれか
を成型後に他方にインサート成型し、または、異質同時
成型によって製造が可能で、製造工程数の低減ができ
る。また、複雑な形状も成型可能となる。

【０００７】

【実施例】本発明の一実施例の構成を図面に基づいて説
明する。

【０００８】図１において、１は一方の面側をＮ極の磁
極面２、他方の面側をＳ極の磁極面３に着磁した細長矩
形状体の永久磁石体で、焼結成型したハードフェライト
にて形成されている。

【０００９】５は導磁性体で、前記永久磁石体１の吸着
面の一方磁極面２に対向する他方の磁極面３を固着する
基板部６と、この基板部６の両側から前記永久磁石体１
の側面に沿って直角に折曲げて先端縁を前記永久磁石体
１の一方の磁極面２と略同一面とした側片部７，７とに
て略コ字状に形成されている。そして、この導磁性体５
はフェライト粉末または粒子を合成樹脂をバインダーと
して成型したソフトフェライトにて形成されている。

【００１０】この永久磁石体１の両側面と導磁性体５の
両側片部７，７との間に間隙８を保持して導磁性体５の
基板部６に他方の磁極面３を当接固着する。

【００１１】そして、この永久磁石体１または導磁性体
５のいずれか一方を先に成型し、先に成型された成型体
を基にしてインサート成型により永久磁石体１と導磁性
体５とを一体に結合する。また、永久磁石体１と導磁性
体５とを異質同時成型によって一体に成型することもで
きる。

【００１２】この実施例の作用を説明する。図２に示す
ように、導磁性体５によりこの導磁性体５の基板部６に
当接固着される永久磁石体１の磁極面３の磁極、例え
ば、Ｓ極が側片部７，７によって導かれ、永久磁石体１
の吸着面のＮ極との間に磁路が形成されて表面磁束密度
が高められる。そして、永久磁石体１と導磁性体５とは
インサート成型し、または、異質同時成型によって互い
に固着された状態で製造が可能で、永久磁石体と導磁性
体とを別個に形成して接着剤などで接着する構成に比べ
て、製造工程数の低減ができる。

【００１３】また、複雑な形状でも成型可能となる。

【００１４】例えば、図３に示すように、永久磁石体１
を円盤形状とし、導磁性体５を扁平有底円筒形状とし、
または、図４に示すように、永久磁石体１を細長矩形状
体とし、導磁性体５はこの永久磁石体１を２本平行状に
配設する基板部６の両側縁および中央部に側片部７，
７，７を形成する。

【００１５】また、図５に示すように、永久磁石体１を
環状盤形状とし、導磁性体５を扁平有底円筒形状とし、
中央部に永久磁石体１の中央穴部９から突出する突部10
を形成し、表面磁束密度をより高める形状とすることも
できる。

【００１６】さらに、図６に示すように、永久磁石体１
を屈曲形状とし、導磁性体５はこの永久磁石体１の周囲
に側片部７を形成した形状、または、図７に示すよう
に、永久磁石体１を星形形状とし、導磁性体５はこの永
久磁石体１の周囲に側片部７を形成した形状など適宜の
形状とすることもできる。

【００１７】前記実施例では、永久磁石体１は焼結成型
したハードフェライトにて形成し、導磁性体５はフェラ
イト粉末または粒子を合成樹脂をバインダーとして成型
したソフトフェライトにて形成した構成について説明し
たが、導磁性体５を焼結成型したハードフェライトにて
形成し、永久磁石体１をフェライト粉末または粒子を合
成樹脂をバインダーとして成型したソフトフェライトに
て形成した構成とすることもできる。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、導磁性体によりこの導
磁性体の基板部に当接される永久磁石体の磁極面の磁極
が側片部によって導かれ、永久磁石体の吸着面の磁極と
の間に磁路が形成されて表面磁束密度が高められる。し
かも、永久磁石体と導磁性体とは、それぞれ焼結成型お
よび合成樹脂をバインダーとして成型され、インサート
成型、または、異質同時成型などにて互いに固着された
状態で製造が可能で、永久磁石体と導磁性体とを別個に
形成して接着剤などで接着する構成に比べて、製造工程
数の低減ができ、任意の複雑な形状も容易に得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す磁石装置の斜視図であ
る。

【図２】同上縦断面図である。

【図３】本発明の他の実施例を示す磁石装置の斜視図で
ある。

【図４】本発明の他の実施例を示す磁石装置の斜視図で
ある。

【図５】本発明の他の実施例を示す磁石装置の斜視図で
ある。

【図６】本発明の他の実施例を示す磁石装置の斜視図で
ある。

【図７】本発明の他の実施例を示す磁石装置の斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 永久磁石体 ５ 導磁性体 ６ 基板部 ７ 側片部 ８ 間隙

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の磁極面を吸着面とした永久磁石体
   と、この永久磁石体の他方の磁極面に基板部を固着し両
   側片部をこの永久磁石体の側面に沿って間隙を保持して
   折曲げ先端縁を前記永久磁石体の一方の磁極面と略同一
   面とした導磁性体とを備え、 前記永久磁石体と導磁性体とのいずれか一方を焼結成型
   したハードフェライトにて形成するとともに、他方をフ
   ェライト粉末または粒子を合成樹脂にて成型したソフト
   フェライトにて形成したことを特徴とする磁石装置。