JP2845432B2 - 四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方法 - Google Patents

四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、弾性表面波デバイスや振動子に使用して
好適な四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方法に関す
る。 (従来の技術) 最近、チョクラルスキー法によって育成された四ホウ
酸リチウム(Li2B4O7)単結晶からなる四ホウ酸リチウ
ム単結晶基板は、電気機械結合係数が大きくてLiTaO3
度であり、零温度係数を室温近くに持つなど温度特性が
良いために、弾性表面波デバイス用の基板として使用さ
れ始めている。 即ち、四ホウ酸リチウム単結晶は、通常、ルツボの中
に入れた四ホウ酸リチウム原料を加熱融解して融液と
し、その融液の表面に種結晶を接触させ、その後、ルツ
ボを回転させながら種結晶を引上げて単結晶育成を行な
う、いわゆるチョクラルスキー法によって育成されてい
る。 こうして得られた四ホウ酸リチウム単結晶から基板を
形成するには、先ず四ホウ酸リチウム単結晶は所定の方
位を出した後、端面加工、オリエンテーションフラット
加工及び丸め加工を行ない、ウエハ状に加工され、さら
にスライスされる。そして、このウエハ状に加工された
四ホウ酸リチウム単結晶は一面を鏡面加工し、他面を粗
面研磨加工して弾性表面波デバイス用基板となる四ホウ
酸リチウム単結晶基板が出来上がる。 この四ホウ酸リチウム単結晶基板は、通常、厚さは0.
3〜1mm程度、直径は2〜3インチである。そして、この
基板の一面を鏡面加工するのは、この面に弾性表面波デ
バイスの電極を形成するためであり、他面を粗面研磨加
工するのは、バルク波の反射を防止するためである。 (発明が解決しようとする問題点) 四ホウ酸リチウム単結晶は常誘電体であるために、単
分域化の必要もなく、工程が短く加工も簡単であるが、
酸や水に僅かに溶解することが知られ、ウエハ加工工程
では極力酸や水の使用を避けている。特に、鏡面加工後
は水は使用されていない。LiTaO3やLiNbO3ウエハでは、
大口径化されていることもあり、又、バルク波除去の目
的で裏面の凹凸加工も粗いために、反りが発生する。 この反りを除去するために、LiTaO3やLiNbO3ウエハで
は、HFとHNO3の混酸によるエッチング方法が使用されて
いる。一方、四ホウ酸リチウム単結晶基板も、2″口径
から3″口径と大形化されるようになったが、2″口径
基板では反りが20μm以下と殆どデバイス製造上問題が
なかった。しかし、3″大口径になってきたり、四ホウ
酸リチウム単結晶の引上げ成長時に発生し易い気泡の除
去のために、引上げ速度が遅いので、生産性向上化と作
成結晶の有効利用を目的として、基板の厚さを薄形化す
る傾向にある。 そのために、今まで問題となっていなかった基板の反
りが、200μm以上になり、デバイス工程での割れや露
光が出来なくなり、デバイス歩留りが極端に低下する問
題が発生している。 以上のように、従来の方法で得られた四ホウ酸リチウ
ム単結晶基板は、特に3″口径基板は反りが著しく、改
良が求められている。 この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、基板の
反りが小さく、デバイス歩留りの良い四ホウ酸リチウム
単結晶基板の製造方法を提供することを目的とする。 [発明の構成] (問題点を解決するための手段) この発明は、四ホウ酸リチウム単結晶基板にRaが0.1
μm以上の粗い面と鏡面を加工する四ホウ酸リチウム単
結晶基板の製造方法において、上記加工工程は、20〜80
℃の温水または室温の酸性水溶液により基板の反りを20
μm以下にエッチングする工程を備えてなることを特徴
とする四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方法である。 (作用) この発明によれば、四ホウ酸リチウム単結晶基板の反
りを大幅に低減することが出来、且つデバイス歩留りを
著しく向上することが出来る。 (実施例) 以下、図面を参照して、この発明の一実施例を詳細に
説明する。 既述のように、四ホウ酸リチウム単結晶からなる四ホ
ウ酸リチウム単結晶基板の一面に鏡面が形成され、他面
に粗い面(ラッピング面)が形成されるが、一般に四ホ
ウ酸リチウム単結晶は水に対して25℃で〜50μg/cm2・H
rの溶解度を持ち、温度増加により、第1図に示すよう
に溶解速度が増す。従って、ラッピング加工による加工
歪みがある場合や両面に加工精度の差がある場合の歪み
は、反りとなって出てくるが、表面層を水によりエッチ
ングすることにより加工歪みが除去され、反りが修正さ
れる。 第2図は300μmの厚さのウエハの反りと温度の関係
を示す。尚、含浸は5分間である。この第2図から40℃
以上では効果的であり、60℃以上では逆反りとなり、80
℃以上では変化量が飽和した。 そこで、この発明の製造方法では、粗い面と鏡面を加
工する場合、水によりエッチングする工程を備えてい
る。 即ち、以下に、この発明の四ホウ酸リチウム単結晶基
板の製造方法を、5つの具体的な実施例につき説明す
る。 (実施例1) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、直径280mmのガラ
ス板にワックスで接着する。接着したウエハをGC#1000
の研磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工
後、ウエハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハ
に対して、60℃で5分間温水エッチングをして反りを修
正する。すると、250μmあった反りは10μmまで修正
された。このウエハを、再度、直径280mmのガラス板に
ワックスで接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨
材でラッピングし、その後、コロイダルシリカで研磨を
行ない、鏡面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離し、有
機溶剤で洗浄してウエハを真空パックする。洗浄後のウ
エハの反りは、20μm以下と良好であった。 (実施例2) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、直径280mmのガラ
ス板にワックスで接着する。接着したウエハをGC#400
の研磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工
後、ウエハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハ
に対して、60℃で5分間温水エッチングをして反りを修
正する。450μmあった反りは20μmまで修正された。
このウエハを、再度、直径280mmのガラス板にワックス
で接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨材でラッ
ピングし、その後、コロイダルシリカで研磨を行ない、
鏡面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離し、有機溶剤で
洗浄してウエハを真空パックする。洗浄後のウエハの反
りは、30μm以下と良好であった。 (実施例3) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、直径280mmのガラ
ス板にワックスで接着する。接着したウエハをGC#400
の研磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工
後、ウエハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハ
の反りは、400μmであった。 このウエハを、再度、直径280mmのガラス板にワック
スで接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨材でラ
ッピングし、その後、コロイダルシリカで研磨を行な
い、鏡面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離して60℃で
3分間温水エッチングした後、有機溶剤で洗浄し、ウエ
ハを真空パックする。このウエハの反りは、20μm以下
と良かった。 (実施例4) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、直径280mmのガラ
ス板にワックスで接着する。接着したウエハをGC#400
の研磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工
後、ウエハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハ
の反りは、400μmであった。 このウエハを、再度、直径280mmのガラス板にワック
スで接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨材でラ
ッピングし、その後、コロイダルシリカで研磨を行な
い、鏡面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離して有機溶
剤で洗浄し、ウエハを真空パックする。洗浄後のウエハ
の反りは、100μm以上と大きく、ウエハ歩留も50%と
悪かった。 即ち、この実施例4は、この発明の特徴である水によ
るエッチングを行なっていない例である。 (実施例5) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、直径280mmのガラ
ス板にワックスで接着する。接着したウエハをGC#400
の研磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工
後、ウエハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハ
を室温で0.5N塩酸で15秒間エッチングし、反りを修正し
た。すると、400μmあった反りは、10μmと小さくな
った。 このウエハを、再度、直径280mmのガラス板にワック
スで接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨材でラ
ッピングし、その後、コロイダルシリカで研磨を行な
い、鏡面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離して有機溶
剤で洗浄し、ウエハを真空パックする。洗浄後のウエハ
の反りは、20μm以下と良好であった。 (実施例6) 先ず、ワイヤーソーにより切断された500μmの3″
四ホウ酸リチウム単結晶のウエハを、2800mmのガラス板
にワックスで接着する。接着したウエハをGC#400の研
磨材でラッピング加工を行なう。ラッピング加工後、ウ
エハを剥離し、ワックスを除去する。このウエハを室温
で0.5N硝酸で20秒間エッチングし、反りを修正した。す
ると、350μmあった反りは、5μmと小さくなった。 このウエハを、再度、2800mmのガラス板にワックスで
接着する。接着したウエハをGC#2000の研磨材でラッピ
ングし、その後、コロイダルシリカで研磨を行ない、鏡
面にする。鏡面加工後、ウエハを剥離し、有機溶剤で洗
浄し、ウエハを真空パックする。洗浄後のウエハの反り
は、10μm以下と良好であった。 (変形例) エッチングにおける温水は、60℃に限定されることな
く、20℃〜80度の温水を使用すれば良い。又、エッチン
グにおける水の溶液は温水に限らずHCl水溶液やHNO3
溶液やH2SO4水溶液を使用しても良い。 [発明の効果] この発明によれば、反りの少ない大口径3″で薄形の
四ホウ酸リチウム単結晶基板を得ることが出来る。そし
て、高周波化対応も可能となり、デバイス歩留を大幅に
向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】 第1図は水温と四ホウ酸リチウム単結晶の溶解度速度と
の関係を示す特性曲線図、第2図は3″×300μmウエ
ハの反り量と温水5分間エッチング後の反りを示す特性
曲線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 禎夫 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式 会社東芝堀川町工場内 (56)参考文献 特開 昭62−64110(JP,A) 特開 昭59−47822(JP,A) 特開 昭56−56020(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.四ホウ酸リチウム単結晶基板にRaが0.1μm以上の
    粗い面と鏡面を加工する四ホウ酸リチウム単結晶基板の
    製造方法において、 上記加工工程は、20〜80℃の温水または室温の酸性水溶
    液により上記基板の反りを20μm以下にエッチングする
    工程を備えてなることを特徴とする四ホウ酸リチウム単
    結晶基板の製造方法。 2.上記酸性水溶液は、HCl水溶液である特許請求の範
    囲第1項記載の四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方
    法。 3.上記酸性水溶液は、HNO3水溶液である特許請求の範
    囲第1項記載の四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方
    法。 4.上記酸性水溶液は、H2SO4水溶液である特許請求の
    範囲第1項記載の四ホウ酸リチウム単結晶基板の製造方
    法。 5.上記温水によりエッチングする工程を、上記Raが0.
    1μm以上の粗い面の加工工程と鏡面加工工程との間に
    入れる特許請求の範囲第1項記載の四ホウ酸リチウム単
    結晶基板の製造方法。
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JP2545779B2 (ja) * 1985-09-13 1996-10-23 富士通株式会社 圧電結晶デバイスの製造方法

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