JP2841517B2 - 入浴剤 - Google Patents

入浴剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は浴湯に投入すると酸と炭酸塩との反応により
炭酸ガスを発生する発泡入浴剤に関する。
〔従来の技術〕
炭酸ガスを発生しながら溶解する入浴剤は従来より酸
と炭酸塩とを混合し打錠しているものが多くこの場合打
錠時の圧力と環境からの水分及び原料中の水分により出
錠障害(スティキング)が発生し成形不能になる。この
スティキングを防止する為種々の滑沢剤を配合し打錠を
行っているが滑沢剤を多く使用すると滑沢剤が浴湯面に
浮いたり、浴湯を濁らせたりする等の問題点を生じ未だ
充分ではない。
また、香料や色素は原料に同時に混合され打錠を行っ
ているため、香料や色素が錠剤全体に均一に配合されて
おり、溶解時の香りや色の変化がなくおもしろみのない
単調なものであった。
さらに従来技術においては、オイルや生薬抽出物、酵
素、ビタミン等の添加物を配合し打錠すると上記に示し
たスティキングがさらに助長されるとともに、これら成
分の劣化を生じるという問題点を有していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、従来技術の有する上記問題点を解消
することにあり、まず多量の滑沢剤を使用せずに打錠時
においてスティキングを有効に防止し得る発泡入浴剤を
提供することにあり、また、浴湯溶解時において色や香
りの変化を楽しめる発泡入浴剤を提供することにあり、
さらに、打錠時においてスティキングを生じることな
く、オイル、生薬抽出物、酵素、ビタミン等を配合し得
るとともにこれら成分の劣化を生じることのない発泡入
浴剤を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、炭酸ガス発泡錠における打錠障害(ス
ティキング)の原因を解明すべく鋭意研究を行った結
果、打錠時の圧力と、環境からの水分及び原料からの水
分により、杵と原料が接触する部分で発泡成分である酸
と炭酸塩の反応が促進されてしまい、この局所的反応に
より微量な水分と炭酸ガスを生成し、この微量水分によ
りスティキングが起こることを確認した。さらに詳細な
検討により、オイルや生薬抽出物、酵素等の添加物を配
合し打錠すると原因は不明であるがスティキングが起こ
りやすくまた錠剤表面でこれらの添加物の変質や失活を
生じることも確認した。
そして、本発明者等はこのような打錠障害(スティキ
ング)の原因を考察して、杵に接触する部分すなわち錠
剤の上下層においては酸と炭酸塩の反応が生じにくい組
成にし、スティキングを防止するための滑沢剤をこれら
の上下層に配合し二層とするか、更にこの二層の間にス
ティキングを生じやすい成分あるいは失活、変質しやす
い成分を中間層の形で組み入れ三層構造をもった錠剤に
すれば多量の滑沢剤を使用せずに打錠時におけるスティ
キングを防止するだけでなく配合成分の劣化変質を有効
に防止し得ることを見い出し本発明を完成するに至った
ものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
錠剤の上下層において酸と炭酸塩を一緒に配合せず、
酸と炭酸塩とを上下層と中間層とに分けて配合すれば、
杵と接触する部分での反応は起こらず、スティキングは
起こりにくくなるが上下層と中間層との結合が弱くな
り、浴湯溶解時に分離(剥離現象)が起こってしまう。
その為、本発明においては各層において酸と炭酸塩を完
全に分けて配合せず、上下層においては酸及び炭酸塩の
いずれか一方の配合量が、他方に対して化学当量に換算
して少なくなるように配合する。この場合、酸及び炭酸
塩の当量比は0.05〜0.5:1又は1:0.05〜0.5が好ましく、
この配合割合の範囲内においては反応が抑制され打錠時
のスティキングは生じない。
しかし、本発明の入浴剤は、酸と炭酸塩との反応によ
り発泡させることを利用するものであるから、適度の発
泡を生じさせるために、三層構造にした場合には上中下
層あわせて、二層構造にした場合には上下層あわせて、
酸と炭酸塩の当量比として0.7〜1.3:1になるように配合
することが好ましい。
例えば三層構造では、上層と下層の組成は同一または
異なって前述の配合割合の範囲内の値をとることがで
き、不足分の酸または炭酸塩は中間組成で補うことにな
る。
そしてこれらのことにより、打錠時のスティキングを
防止するとともに錠剤の浴湯溶解時の剥離現象を防止
し、かつ良好な発泡性を維持できる。
本発明において使用する酸及び炭酸塩としては、例え
ば以下のものが挙げられる。
<酸> クエン酸,コハク酸,リンゴ酸,フマル酸,酒石酸,
アジピン酸,グルタミン酸,ピロリドンカルボン酸 <炭酸塩> 重曹,炭酸ソーダ,炭酸カリウム,炭酸水素カリウ
ム,セスキ炭酸ソーダ 滑沢剤は、スティキングを防止をするために用いられ
るが効果を得る為には多く配合することが必要である
為、溶解時この滑沢剤が浴湯面に浮いたり浴湯を濁らせ
たりする。そこで本発明においては杵面に接触する上層
と下層のみに滑沢剤を配合し、中間層には配合しないで
杵面と接触する部分の滑沢剤濃度を上げ全体的に滑沢剤
濃度を抑えることにより本問題点を解決することが出来
た。上下層の滑沢剤配合率は0.5〜70%であり、全体的
に0.01〜7%の使用が好ましい。
本発明においては、滑沢剤として例えば、ステアリン
酸マグネシウム,ステアリン酸,ステアリン酸ナトリウ
ム,ショ糖脂肪酸エステル,タルク,シリカ,軽質無水
ケイ酸,デンプン,微結晶セルロース,ステアリン酸ア
ルコール,ステアリン酸カルシウム,ポリエチレングリ
コール6000,ポリエチレングリコール8000,ポリエチレン
グリコール10000,ポリエチレングリコール20000,ヒドロ
キシプロピルセルロースあるいはメトキシヒドロキシプ
ロポキシセルロース等を用いることができる。
また、オイル、生薬抽出物、酵素あるいはビタミン類
を配合するとスティキングを生じやすく、また杵と接触
する錠剤表面でこれら配合成分の失活、劣化現象が認め
られたため、本発明においては、これら配合成分を中間
層に配合して、スティキング及び配合成分の失活、劣化
を防止する。
本発明において使用するこれらの配合成分について以
下例示する。
<オイル> イソプロピルパルミテート,イソプロピルミリステー
ト,スクワラン,オリーブ油,ホホバ油,大豆油,流動
パラフィン,ワリセン,テレピン油,ラノリン油,トリ
(カプリル−カプリン酸)グリセリン,マカデミアンナ
ッツ油,ローズヒップ油等 <生薬抽出物> 以下の各生薬の水、アルコール又は多価アルコール若
しくはこれらの混合物を抽出溶媒として抽出した抽出物
及び上記オイルで抽出したもの。
(生薬)ソウジュツ,ビャクジュツ,カノコソウ,ケイ
ガイ,コウボク,センキュウ,トウヒ,トウキ,ショウ
キョウ末,ニンジン,ケイヒ,シャクヤク,ハッカ葉,
オウゴン,サンシシ,ブクリョウ,ドクカツ,ショウ
ブ,ガイヨウ,マツブサ,ビャクシ,ジュウヤク,リュ
ウノウ,サフラン,オウバクエキス,チンピ,ウイキョ
ウ,カンピ末,カミツレ,メリッサ,ローズマリー,マ
ロニエ,西洋ノコギリ草,アルニカ等 <ビタミン> ビタミンA,B,C,D,E及びその誘導体 <酵 素> プロテアーゼ,リパーゼ,アミラーゼ等 さらに本発明においては、上下層と中間層とに各々異
なった色素および/または香料成分を配合する。これに
より、溶湯溶解時においてまず上下層が溶解して上下層
中に配合した色素および/または香料成分が解け出し、
次いで上下層の溶解後、中間層が溶解し始め上下層中の
色素あるいは香料とは異なる中間層中の色素および/ま
たは香料成分が溶け出す。入浴者は経時的に異なった香
りや色を楽しむことができる。
本発明において使用する色素類、香料成分を以下に例
示する。
<色素類> 赤色3号,黄色4号,緑色3号,青色1号,赤104号
の1,赤106号,赤色213号,橙色205号,黄色202号の1,緑
色204号,青色2号等の厚生省令タール色素別表I及びI
Iの色素,クロロフィル,リポフラビン,アンナット,
カンタキサンチン,クロシン,コチニール,べにばな,
アントラキノン等の食品添加剤として認められる天然色
素 <香料成分> レモン系香料,ジャスミン系香料,フローラル系香
料,シプレ系香料,オリエンタル系香料,ローズ系香
料,ラベンダー系香料,フローラルブーケ系香料,フロ
ーラルグリーン系香料,フローラルアルデヒド系香料,
フルーティフローラル系香料,ムスク系香料,バルサム
系香料,アニマルグリーン系香料,シトラスグリーン系
香料,レザー系香料,ハーバル系香料,スパイシー系香
料,フゼア系香料 その他、本発明の三層錠又は二層錠においては通常浴
剤で配合できる成分はいずれも使用できる。これらには
例えば以下の成分を挙げることができる。
<その他溶剤添加物> 無 機 塩:塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,硫酸マ
グネシウム,硝酸カリウム,硝酸ナトリウム,ポリリン
酸ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム,ホウ酸,無水ケイ
酸,ミュウバン,硫酸アルミニウム等 アルコール類:エタノール,ステアリルアルコール,イ
ソプロピルアルコール,セチルアルコール,ヘキサデシ
ルアルコール,オクチルドデカノール,グリセリン,1,3
−ブチレングリコール,プロピレングリコール,ソルビ
トール,マルチノール等 界面活性剤:アルキル硫酸ナトリウム,ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル,硫酸塩,ラウリン酸ジエタノー
ルアミド,両性界面活性剤等 〔実施例〕 以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1〜5 以下の第1表の各層の成分配合比にしたがって成分を
調合し、第2表に示した各層の重量比にしたがい、直径
φ20mm,総重量5gの三層錠を作成した。
三層錠の作成は、菊水製作所製三層錠機RT−3L−36を
使用して打錠することにより行った。
次に比較例として、第1表及び第2表から算出される
各実施例の配合成分量のトータルと配合成分量が同一に
なる様に以下の第3表の処方を組み、打錠機No.8F−3B
を使用してφ20mm重量5gの単層錠を打錠した。なお、各
比較例の番号と各実施例の番号とは対応し、トータルの
配合成分量は同一のものである。
本三層錠と比較例の単層錠を各々3000錠打錠し、打錠
障害を調べた。
結果を以下、第4表に示す。
次に溶解時の色や香りの変化の評価を以下の様に行っ
た。
第1表,第2表(実施例3〜5)に示した各層の成分
配合比及び各層の重量比にしたがい直径φ40〜50mm,重
量30〜50gの三層錠を作成した。
この三層錠の打錠は、上下杵臼を独自に作り臼に下杵
をセットしあらかじめ混合された下層,中間層,上層の
所定量を静かに流し込み上杵をセットし上下方向にIR用
プレス機を用いプレスすることにより行った。
得られた三層錠を42℃,200の浴湯に投入し色や香り
の変化を調べた結果を表5に示す。
実施例6 以下、第6表に二層錠における各層の成分配合比及び
そのスティッキング効果を比較例と共に示す。
〔発明の効果〕 以上の実施例に示した通り、本発明の三層錠又は二層
錠においては打錠障害(スティキング)の発生が極めて
効果的に防止されている。そしてこのことにより打錠障
害を防止するための滑沢剤の使用量を減らすことが可能
となり、浴湯を汚すことがない。しかも、本発明の三層
錠においてはオイル、生薬抽出物、ビタミン、酵素等も
打錠障害を生ずる恐れなく配合できまた、これらの成分
の劣化、変質も抑制し得るものである。
さらに、三層錠の上下層及び中間層の各々の異なる色
素あるいは香料成分を配合でき入浴時において色や香り
の変化も楽しむことができるものであって本発明により
画期的な入浴剤を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−93222(JP,A) 特開 昭63−174921(JP,A) 特開 平2−142722(JP,A) 特開 平2−218608(JP,A) 特開 昭62−33114(JP,A) 特公 昭63−13403(JP,B2) 特公 昭56−12611(JP,B2) 特公 昭58−5695(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/50 A61K 9/20 - 9/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸及び炭酸塩を含有する三層構造を有する
    発泡入浴剤において、上下層における酸及び炭酸塩のい
    ずれか一方の配合量が、他方に対して化学当量に換算し
    て少なくなるように配合するとともに中間層において酸
    または炭酸塩のいずれか一方の不足分を配合することを
    特徴とする発泡入浴剤。
  2. 【請求項2】上下層における酸と炭酸塩が当量比として
    0.05〜0.5:1または1:0.05〜0.5になるように配合すると
    ともに上中下層全体の酸と炭酸塩の当量比が0.7〜1.3:1
    になるように酸あるいは炭酸塩の不足分を中間層に配合
    せしめた請求項1記載の発泡入浴剤。
  3. 【請求項3】上下層に滑沢剤を配合した請求項1又は2
    記載の発泡入浴剤。
  4. 【請求項4】各層に異なる色素及び/又は香料成分を配
    合した請求項1〜3いずれか記載の発泡入浴剤。
  5. 【請求項5】中間層にオイル、生薬抽出物、酵素、ビタ
    ミンから選ばれた1種以上を配合した請求項1〜4いず
    れか記載の発泡入浴剤。
  6. 【請求項6】酸及び炭酸塩を含有する二層構造を有する
    発泡入浴剤において、上下層における酸及び炭酸塩のい
    ずれか一方の配合量が、他方に対して化学当量に換算し
    て少なくなるように配合することを特徴とする発泡入浴
    剤。
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