JP2841497B2 - ディスクブレーキの分割型キャリパ - Google Patents

ディスクブレーキの分割型キャリパ

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JP2841497B2 JP1174967A JP17496789A JP2841497B2 JP 2841497 B2 JP2841497 B2 JP 2841497B2 JP 1174967 A JP1174967 A JP 1174967A JP 17496789 A JP17496789 A JP 17496789A JP 2841497 B2 JP2841497 B2 JP 2841497B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ディスクブレーキの分割型キャリパの改
良に関し、特に分割型キャリパを結合するボルトの本
数,長さ,太さ及び材質を適宜選択することにより、分
割型キャリパの剛性を適宜設定するとともに、振動モー
ドのチューニングを行い、もって設計時及び経時的変化
をした時の剛性と振動モードのバランスをとり、異音の
発生を無くし、制動性能を向上させるようにしたディス
クブレーキの分割型キャリパに関する。
〔従来の技術〕
従来のディスクブレーキの分割型キャリパとしては、
例えば、実開昭57−49931号公報に記載されたものが知
られている。
この従来のキャリパは、車輪と一体に回転するディス
クの一方側に配置されたブレーキパッドを押圧するピス
トンを、摺動自在に収容するシリンダを有するシリンダ
ボディ部材と、ディスクの反対側に配置されたブレーキ
パッドに当接する爪部を有する爪部材とを、複数本のボ
ルトで結合するものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような従来のディスクブレーキの
分割型キャリパにあっては、シリンダボディ部材と爪部
材とを結合する複数本のボルトは、同一長さ、同一太さ
及び同一材質のものであり、このボルトは、分割型キャ
リパの上記両部材を単に結合する機能を有するに過ぎな
かった。
このため、ブレーキの異音発生を低減し、制動性能を
向上させるためには、シリンダボディ部材と爪部材の形
状を変更することにより対応していたが、分割型キャリ
パの剛性と振動モードのバランスがとれたものができな
いという問題点があった。
また、ブレーキパッドと爪部材の爪部との間にシムを
装着することにより、剛性及び振動モードのバランスを
とるものもあるが、一般の乗用車にあっては、ブレーキ
パッドの裏金の厚さは5〜7mm,パッド厚さは10mm程度で
あり、パッド片減りにより、長さ方向に数mmの段差がで
きた場合等は、シムでは調整し切れず、また、あまり厚
いシムは、制動力の安定性やフィーリングに悪影響を与
えるという問題点もあった。
この発明は、このような従来の問題点に着目してなさ
れたもので、分割型キャリパの剛性を適宜に設定すると
ともに、振動モードをチューニングし、もって剛性と振
動モードのバランスをとり、異音の発生を無くし、制動
性能を向上させるようにしたディスクブレーキの分割型
キャリパを提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
そこで、この発明に係わるディスクブレーキの分割型
キャリパは、ディスクの一方側のブレーキパッドを押圧
するピストンが内在するシリンダを備えた第1シリンダ
ボディ部材と、ディスクの反対側に配置されたブレーキ
パッドに当接する第2シリンダボディ部材とを、ボルト
で結合するディスクブレーキの分割型キャリパにおい
て、第1シリンダボディ部材と第2シリンダボディ部材
とが、ディスク回転中心軸を含むキャリパ中心平面に対
して、ブレーキパッド長さ方向の一方側と他方側とで、
剛性と振動モードのバランスをとるようキャリパの剛性
を適宜設定した不均一な結合状態で結合されていること
を特徴とするものである。
あるいは、第1シリンダボディ部材と第2シリンダボ
ディ部材とを、長さ,太さ及び材質の中の少なくとも一
つを互いに異ならしめた複数本のボルトで結合すること
を特徴とするものである。
これにより、分割型キャリパの剛性を適宜設定すると
ともに、振動モードをチューニングすることができ、剛
性と振動モードのバランスをとり、異音の発生を防止
し、制動性能を向上させる。
あるいは、使用により振動モードが変化した分割型キ
ャリパ式ディスクブレーキにおいて、第1シリンダボデ
ィ部材と第2シリンダボディ部材とを、本数,長さ,太
さ及び材質の中の少なくとも一つを異ならしめたボルト
で再結合するようにしてもよい。
この場合には、経時的に変化した振動モードの変化に
対応してチューニングすることができ、同様に剛性と振
動モードのバランスをとることができる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図において、1は図示しない車輪と一体に回転するデ
ィスクであり、2は車体側に固定されるトルク受け部材
である。このトルク受け部材2は、ディスク1と平行に
延びる基部2aと、ディスク1を跨ぐように延びる腕部2b
とから成る。
3は裏金3aにパッド3bを接着して構成したインナパッ
ド、4は同様に裏金4aにパッド4bを接着して構成したア
ウタパッドであり、これらのインナパッド3とアウタパ
ッド4は、図示しないスプリング部材により、トルク受
け部材2に対してディスク1の回転軸方向に平行に摺動
自在に取り付けられる。
5は第1シリンダボディ部材としてのシリンダボディ
部材であり、このシリンダボディ部材5の内部にはシリ
ンダ5aが形成され、このシリンダ5aにはピストン6がデ
ィスク1の回転軸に平行な方向に摺動自在に収容され、
このピストン6は、インナパッド3の裏金3aを押圧可能
である。また、7は第2シリンダボディ部材としての爪
部材であり、この爪部材7はアウタパッド4の裏金4aに
当接する爪部7aを有する。そして、シリンダボディ部材
5と爪部材7とは、例えば太さが太くかつ長さが短いボ
ルト8と、太さが細くかつ長さが長いボルト9との2本
のボルトで結合されることにより、ディスク1の回転中
心軸を含む分割型キャリパ10の中心平面に対して、パッ
ド3,4の長さ方向の一方側と他方側とで不均一な結合状
態で結合され、これらのシリンダボディ部材5,爪部材7
及びボルト8,9で分割型キャリパ10を構成する。
トルク受け部材2の各腕部2bの内部には、ピン穴2cが
ディスク1の回転軸に平行に形成され、このピン穴2cに
はスライドピン11が摺動自在に嵌合され、このスライド
ピン11の腕部2bから突出する部分に、シリンダボディ部
材5の腕部5bが、ボルト12により固定される。これによ
り、分割型キャリパ10は、トルク受け部材2に対してデ
ィスク1の回転軸に平行に摺動自在に取り付けられる。
13は、トルク受け部材2のピン穴2cとスライドピン11と
の間に塵埃が侵入することを防ぐブーツである。
このディスクブレーキは、シリンダボディ部材5のシ
リンダ5aを加圧すると、ピストン6がインナパッド3の
裏金3aを押圧し、この反作用で分割型キャリパ10がトル
ク受け部材2に対して反対方向に移動し、これにより、
爪部材7の爪部7aにより、アウタパッド4の裏金4aが押
され、かくして、ディスク1の両側をインナパッド3と
アウタパッド4とが押圧して、ディスク1に制動力を与
える。
シリンダボディ部材5と爪部材7とを結合するボルト
8,9は、以下のようにして選択する。
図示の例では、2本のボルト8,9で結合したものを示
したが、例えば3本あるいは4本のボルトで結合するよ
うにしてもよい。このように結合するボルトの本数を適
宜選択することにより、分割型キャリパ10の剛性を適宜
設定し、共振周波数その他の振動モードのチューニング
を行うことができる。これにより、剛性と振動モードの
バランスをとり、従って、異音の発生を防止し、制動性
能を向上することができる。
また、ボルト8と9の長さを互いに異ならしめるよう
に選択する。これによっても、剛性の設定と振動モード
のチューニングを行うことができる。
また、ボルト8と9の太さを互いに異ならしめるよう
に選択しても、剛性の設定と振動モードのチューニング
を行うことができる。
そして、ボルト8と9の材質を互いに異ならしめて
も、剛性を適宜に設定し、振動モードをチューニングす
ることができる。
このように、ボルト8,9の本数,長さ,太さ及び材質
を適宜選択することにより、分割型キャリパ10の剛性を
任意に設定し、振動モードをチューニングすることがで
きる。また、インナパッド3及びアウタパッド4に与え
る力を不均一にすることにより、これらの共振を防止す
ることができ、パッド3b及び4bの摩耗を初期には偏った
ものでありながら、全摩耗時には均一とすることができ
る。
この場合に、長さの短いボルトあるいは材質の軽いボ
ルトを使用すれば、分割型キャリパ10の軽量化を図るこ
ともできる。
さらに、インナパッド3及びアウタパッド4の経時摩
耗により、振動特性が変化した場合にも、ボルト8,9の
本数を減少させたり、あるいは予めボルト穴だけ形成し
てボルトを取り付けないでおいたボルト穴にボルトを取
り付けて本数を増加させる。あるいは、その本数の増減
に伴って太さを増減させたり、あるいは長さを増減させ
たり、あるいは材質を変更させることにより、同様に、
分割型キャリパ10の剛性を変更し、振動モードをチュー
ニングすることができる。これにより、剛性と振動モー
ドとのバランスをとり、異音の発生を防止し、制動性能
を向上させることができる。
なお、本実施例では、第2シリンダボディ部材として
爪部材7を有するものを示したが、ピストン6と対向す
るよう第2シリンダボディ部材がさらにピストンを有す
るものにおいても、この発明を適用することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明に係わるディスクブレ
ーキの分割型キャリパによれば、分離型キャリパの剛性
を適宜設定するとともに、振動モードをチューニングす
ることができ、剛性と振動モードとのバランスをとり、
これにより、異音の発生を防止し、制動性能の向上を図
ることができる。また、パッドに与える力を不均一にす
ることができ、初期にはパッドの摩耗が偏ったものであ
っても、全摩耗時には均一とすることができる。さら
に、ボルトの材質を軽いものに選択したり、あるいはボ
ルトの長さを短くすることにより、分割型キャリパを軽
量化することができるという効果が得られる。
また、パッドの経時摩耗により振動特性が変化した場
合にも、第1シリンダボディ部材と第2シリンダボディ
部材とを、本数,長さ,太さ及び材質の中の少なくとも
一つを異ならしめたボルトで再結合すれば、上記と同様
に、分割型キャリパの剛性を適宜設定し、振動モードの
チューニングを行い、上記と同様の効果を奏することが
できる。
【図面の簡単な説明】
図はこの発明に係わるディスクブレーキの分割型キャリ
パの一実施例を示す部分破断平面図である。 1……ディスク、2……トルク受け部材、3……インナ
パッド、4……アウタパッド、5……シリンダボディ部
材(第1シリンダボディ部材)、5a……シリンダ、6…
…ピストン、7……爪部材(第2シリンダボディ部
材)、7a……爪部、8,9……ボルト、10……分割型キャ
リパ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスクの一方側のブレーキパッドを押圧
    するピストンが内在するシリンダを備えた第1シリンダ
    ボディ部材と、前記ディスクの反対側に配置されたブレ
    ーキパッドに当接する第2シリンダボディ部材とを、ボ
    ルトで結合するディスクブレーキの分割型キャリパにお
    いて、前記第1シリンダボディ部材と前記第2シリンダ
    ボディ部材とが、ディスク回転中心軸を含むキャリパ中
    心平面に対して、ブレーキパッド長さ方向の一方側と他
    方側とで、剛性と振動モードのバランスをとるようキャ
    リパの剛性を適宜設定した不均一な結合状態で結合され
    ていることを特徴とするディスクブレーキの分割型キャ
    リパ。
  2. 【請求項2】第1シリンダボディ部材と第2シリンダボ
    ディ部材とを、長さ,太さ及び材質の中少なくとも一つ
    を互いに異ならしめた複数本のボルトで結合することを
    特徴とする請求項1記載のディスクブレーキの分割型キ
    ャリパ。
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