JP2840724B2 - 虹彩色を有する透かし文様作成法及びその製品 - Google Patents
虹彩色を有する透かし文様作成法及びその製品Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 有価証券類、貴重印刷物等の用紙類には、その偽造を
防止するためすき入れを施した用紙が用いられている場
合が多いが、本発明においては、そのすき入れのない通
常の用紙やフィルム類を用いて、それらの光透過性に差
を設けることによって透かし文様を作り、更に透明薄膜
を積層せしめて虹彩色を付与して独特で美しい透かし文
様を作る技術に関するものである。
防止するためすき入れを施した用紙が用いられている場
合が多いが、本発明においては、そのすき入れのない通
常の用紙やフィルム類を用いて、それらの光透過性に差
を設けることによって透かし文様を作り、更に透明薄膜
を積層せしめて虹彩色を付与して独特で美しい透かし文
様を作る技術に関するものである。
(従来の技術) 従来のすき入れ紙は、それ自体重要な偽造防止効果を
もっているが、多種少量のすき入れ紙を製造するには多
数のすき入れ型を要し、抄紙原料の交換、抄き出し時の
損失等その製造工程上非常に困難な問題がある。そのう
え通常の用紙に油等で文様を付し、一見すき入れ紙に似
た文様紙を作られる危険性がある。
もっているが、多種少量のすき入れ紙を製造するには多
数のすき入れ型を要し、抄紙原料の交換、抄き出し時の
損失等その製造工程上非常に困難な問題がある。そのう
え通常の用紙に油等で文様を付し、一見すき入れ紙に似
た文様紙を作られる危険性がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は紙、フィルム等の文様支持体の光透過性の文
様部の光透過性に差を与えて透かし文様とするもので、
文様部の光透過性の付与法には描画等の手工的な技法を
用いることも可能なため、抄紙法に比べて多種少量生産
が遥かに容易であるうえに、文様部に透明薄膜の積層に
よる虹彩色干渉膜を設けることによって、表面及び裏面
からそれぞれ異なった虹彩色を観察することが可能であ
るため、独特で美しい文様となり、併せて偽造防止効果
をあげることができる。
様部の光透過性に差を与えて透かし文様とするもので、
文様部の光透過性の付与法には描画等の手工的な技法を
用いることも可能なため、抄紙法に比べて多種少量生産
が遥かに容易であるうえに、文様部に透明薄膜の積層に
よる虹彩色干渉膜を設けることによって、表面及び裏面
からそれぞれ異なった虹彩色を観察することが可能であ
るため、独特で美しい文様となり、併せて偽造防止効果
をあげることができる。
(課題を解決するための手段) 紙又はマット(粗面)な表面状態の無色透明フィルム
を文様支持体とし、紙の場合は紙層に浸透して乾燥する
ような無色透明の液状物質例えばアクリルラッカー等を
用いて文様を作り、該文様部の光透過性を他の部分の光
透過性よりも増大せしめて透かし文様とする。マットな
表面状態の無色透明なフィルムの場合は、マット面に無
色透明な物質で文様を作り、該文様部の光透過性を増大
せしめて透かし文様とする。また、逆に文様部以外の部
分の光透過性を増大せしめてもよい。更に、無色透明な
液状物質に代わり凸型文様を用いて圧縮法によって文様
支持体の文様部の密度を増大させて光透過性を増大せし
めてもよい。従って、透かし文様作製法としてはスプレ
ー法、描画法、押印法、プレス法等いずれの方法をも用
いることができる。上記によって得られた文様部に、無
機化合物の透明薄膜の積層による虹彩色干渉膜を付与す
ることにより、干渉膜側から反射光を観察すると美麗な
虹彩色が見られ、これは観察する角度を変えることによ
って変色するいわゆるフロップ効果が得られる。また、
裏側から透過光として観察すると表側の正反射光の補色
が見える。このように、透かし文様と虹彩色干渉膜の組
み合わせによって作られた製品は、美しく、かつ、独特
のものとなり容易に真似ることができない等偽造防止効
果が著しく増大する。
を文様支持体とし、紙の場合は紙層に浸透して乾燥する
ような無色透明の液状物質例えばアクリルラッカー等を
用いて文様を作り、該文様部の光透過性を他の部分の光
透過性よりも増大せしめて透かし文様とする。マットな
表面状態の無色透明なフィルムの場合は、マット面に無
色透明な物質で文様を作り、該文様部の光透過性を増大
せしめて透かし文様とする。また、逆に文様部以外の部
分の光透過性を増大せしめてもよい。更に、無色透明な
液状物質に代わり凸型文様を用いて圧縮法によって文様
支持体の文様部の密度を増大させて光透過性を増大せし
めてもよい。従って、透かし文様作製法としてはスプレ
ー法、描画法、押印法、プレス法等いずれの方法をも用
いることができる。上記によって得られた文様部に、無
機化合物の透明薄膜の積層による虹彩色干渉膜を付与す
ることにより、干渉膜側から反射光を観察すると美麗な
虹彩色が見られ、これは観察する角度を変えることによ
って変色するいわゆるフロップ効果が得られる。また、
裏側から透過光として観察すると表側の正反射光の補色
が見える。このように、透かし文様と虹彩色干渉膜の組
み合わせによって作られた製品は、美しく、かつ、独特
のものとなり容易に真似ることができない等偽造防止効
果が著しく増大する。
虹彩色干渉膜を形成する方法は公知のものであり、す
なわち、干渉膜形成物質としては無機化合物の中の酸化
物、硫化物、弗化物例えばSiO2、ZrO2、Al2O3、CeO2、T
iO2、ZnS、CaS、MgF2、CeF3などが挙げられる。これら
の中から1種類又は数種類を交互に、それぞれ可視光波
長の1/4の奇数倍の厚さに積層させることによって虹彩
色干渉膜が得られるが、特に効果的なものは屈折率の大
きく異なる二種類の物質を交互に複数回、積層させるこ
とである。虹彩色干渉膜作製の手段としては真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等いず
れの方法でもよい。
なわち、干渉膜形成物質としては無機化合物の中の酸化
物、硫化物、弗化物例えばSiO2、ZrO2、Al2O3、CeO2、T
iO2、ZnS、CaS、MgF2、CeF3などが挙げられる。これら
の中から1種類又は数種類を交互に、それぞれ可視光波
長の1/4の奇数倍の厚さに積層させることによって虹彩
色干渉膜が得られるが、特に効果的なものは屈折率の大
きく異なる二種類の物質を交互に複数回、積層させるこ
とである。虹彩色干渉膜作製の手段としては真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等いず
れの方法でもよい。
(作用) 通常の用紙やフィルムに前述の方法で透かし文様を付
与せしめ、虹彩色干渉膜を付与することにより、表側か
らは虹彩色が観察され、これは見る角度又は光源の入射
角度を変えることにより変色するいわゆるフロップ効果
が得られ、裏側から透かして見ると表側の正反射光の補
色が観察されるという複雑で偽造の困難なカラー透かし
文様が形成できる。
与せしめ、虹彩色干渉膜を付与することにより、表側か
らは虹彩色が観察され、これは見る角度又は光源の入射
角度を変えることにより変色するいわゆるフロップ効果
が得られ、裏側から透かして見ると表側の正反射光の補
色が観察されるという複雑で偽造の困難なカラー透かし
文様が形成できる。
実施例 第1図a〜cは一実施例を拡大断面図で示したもの
で、1は用紙、2は文様を切り抜いたマスク板、3はア
クリルラッカー浸透部、4はアクリルラッカー層、5は
虹彩色干渉膜を示す。用紙1上に文様を切り抜いたマス
ク板2をのせ、この上からスプレー式のアクリルラッカ
ーを吹き付け、乾燥させた。マスク板2を取り除くと用
紙1上に透かし文様部Xが出現し、その文様部Xは他の
部分よりも表面平滑性が優れていた。この透かし文様紙
Aを透かし文様作成時のマスク板2を用紙1上に取り付
けたままで真空槽内に入れ、虹彩色干渉膜5を付与する
と表側は文様部Xのみが虹彩色を発現し、裏側から透か
して見ると表側の正反射光の補色が観察された。この虹
彩色を有する透かし文様紙Aは現有のカラー複写機で複
写しても色及びフロップ効果の再現は不可能である。
で、1は用紙、2は文様を切り抜いたマスク板、3はア
クリルラッカー浸透部、4はアクリルラッカー層、5は
虹彩色干渉膜を示す。用紙1上に文様を切り抜いたマス
ク板2をのせ、この上からスプレー式のアクリルラッカ
ーを吹き付け、乾燥させた。マスク板2を取り除くと用
紙1上に透かし文様部Xが出現し、その文様部Xは他の
部分よりも表面平滑性が優れていた。この透かし文様紙
Aを透かし文様作成時のマスク板2を用紙1上に取り付
けたままで真空槽内に入れ、虹彩色干渉膜5を付与する
と表側は文様部Xのみが虹彩色を発現し、裏側から透か
して見ると表側の正反射光の補色が観察された。この虹
彩色を有する透かし文様紙Aは現有のカラー複写機で複
写しても色及びフロップ効果の再現は不可能である。
第2図a〜cは、他の実施例を拡大断面図で示したも
ので、11は片面が粗面な無色透明フィルム、12は文様を
切り抜いたマスク板、13は光透過性を増した部分、14は
アクリルラッカー層、15は虹彩色干渉膜を示す。片面が
粗面な無色透明フィルム11上に文様を切り抜いたマスク
板12をのせ、この上方からスプレー式のアクリルラッカ
ーを吹き付け乾燥させた。アクリルラッカー層14は表面
が平坦化し、他の部分よりも光透過性が増した部分13と
ともに透かし文様部X′になった。この透かし文様フィ
ルムA′を、マスク板12を付けたまま真空蒸着槽内の所
定の位置に取り付け、10-3Pa台の高真空にした後、MgF2
とZnSを交互に各3回それぞれ可視光波長の1/4の厚さに
蒸着した。得られた虹彩色を有する透かし文様フィルム
A′は、虹彩色干渉膜15を付与した表側では文様部X′
が緑色の正反射光で、見る角度を変えることによって様
々に変色するフロップ効果がみられ、裏側から透かして
見ると赤色の文様であった。
ので、11は片面が粗面な無色透明フィルム、12は文様を
切り抜いたマスク板、13は光透過性を増した部分、14は
アクリルラッカー層、15は虹彩色干渉膜を示す。片面が
粗面な無色透明フィルム11上に文様を切り抜いたマスク
板12をのせ、この上方からスプレー式のアクリルラッカ
ーを吹き付け乾燥させた。アクリルラッカー層14は表面
が平坦化し、他の部分よりも光透過性が増した部分13と
ともに透かし文様部X′になった。この透かし文様フィ
ルムA′を、マスク板12を付けたまま真空蒸着槽内の所
定の位置に取り付け、10-3Pa台の高真空にした後、MgF2
とZnSを交互に各3回それぞれ可視光波長の1/4の厚さに
蒸着した。得られた虹彩色を有する透かし文様フィルム
A′は、虹彩色干渉膜15を付与した表側では文様部X′
が緑色の正反射光で、見る角度を変えることによって様
々に変色するフロップ効果がみられ、裏側から透かして
見ると赤色の文様であった。
(発明の効果) 従来のすき入れ紙は小ロット生産には不向きであり、
油等で偽造される危険もあったが、本発明によれば、通
常の用紙やフィルムに自由に透かし文様を作製すること
ができ、真空めっき法によって虹彩色干渉膜を付与する
ことにより美しいカラー透かし文様になり、これは本発
明以外の方法では再現することが不可能であり、偽造防
止上非常に有効である。
油等で偽造される危険もあったが、本発明によれば、通
常の用紙やフィルムに自由に透かし文様を作製すること
ができ、真空めっき法によって虹彩色干渉膜を付与する
ことにより美しいカラー透かし文様になり、これは本発
明以外の方法では再現することが不可能であり、偽造防
止上非常に有効である。
第1図a〜cは、用紙に本発明の方法によって虹彩色透
かし文様を付与した状態を示す拡大断面図、第2図a〜
cは、片面が粗面な無色透明フィルムに本発明の方法に
よって虹彩色透かし文様を付与した状態を示す断面拡大
図である。 (1)用紙 (2)文様を切り抜いたマスク板 (3)アクリルラッカー浸透部 (4)アクリルラッカー層 (5)虹彩色干渉膜 (X)透かし文様部 (A)透かし文様紙 (11)片面が粗面な無色透明フィルム (12)文様を切り抜いたマスク板 (13)光透過性を増した部分 (14)アクリルラッカー層 (15)虹彩色干渉膜 (X′)透かし文様部 (A′)透かし文様フィルム
かし文様を付与した状態を示す拡大断面図、第2図a〜
cは、片面が粗面な無色透明フィルムに本発明の方法に
よって虹彩色透かし文様を付与した状態を示す断面拡大
図である。 (1)用紙 (2)文様を切り抜いたマスク板 (3)アクリルラッカー浸透部 (4)アクリルラッカー層 (5)虹彩色干渉膜 (X)透かし文様部 (A)透かし文様紙 (11)片面が粗面な無色透明フィルム (12)文様を切り抜いたマスク板 (13)光透過性を増した部分 (14)アクリルラッカー層 (15)虹彩色干渉膜 (X′)透かし文様部 (A′)透かし文様フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−13598(JP,A) 特開 昭59−202899(JP,A) 特開 昭51−49912(JP,A) 特開 平3−14697(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 27/02,21/40
Claims (2)
- 【請求項1】文様支持体上の文様部に樹脂成分を含む液
状物質を塗布し、他の部分よりも該文様部の光透過性を
増加せしめ、該文様部に真空めっき法によって無機化合
物を蒸着して、虹彩色干渉膜を付与することを特徴とす
る虹彩色を有する透かし文様の作成法。 - 【請求項2】文様支持体上の文様部に樹脂成分を含む液
状物質を塗布し、他の部分よりも該文様部の光透過性を
増加せしめ、該文様部に真空めっき法によって無機化合
物を蒸着して、虹彩色干渉膜を付与したことを特徴とす
る虹彩色を付加した透かし文様を有する製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1187309A JP2840724B2 (ja) | 1989-07-21 | 1989-07-21 | 虹彩色を有する透かし文様作成法及びその製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1187309A JP2840724B2 (ja) | 1989-07-21 | 1989-07-21 | 虹彩色を有する透かし文様作成法及びその製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0359197A JPH0359197A (ja) | 1991-03-14 |
JP2840724B2 true JP2840724B2 (ja) | 1998-12-24 |
Family
ID=16203746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1187309A Expired - Fee Related JP2840724B2 (ja) | 1989-07-21 | 1989-07-21 | 虹彩色を有する透かし文様作成法及びその製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2840724B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014141636A1 (ja) | 2013-03-12 | 2014-09-18 | 凸版印刷株式会社 | 表示体 |
WO2018097314A1 (ja) | 2016-11-28 | 2018-05-31 | 凸版印刷株式会社 | 表示体、およびその真贋判定方法、ならびに印刷物 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0813539B2 (ja) * | 1991-06-14 | 1996-02-14 | 株式会社イー・ピー・シー | 透かし彫り用紙 |
DE4131760C2 (de) * | 1991-09-24 | 1998-01-15 | Erhardt & Leimer Gmbh | Verfahren und Vorrichtung zum Regeln der Bahnzugkraft einer Textilbahn |
GB9514654D0 (en) * | 1995-07-18 | 1995-09-13 | Bank Of England | Production of security document having a metallic security feature |
-
1989
- 1989-07-21 JP JP1187309A patent/JP2840724B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014141636A1 (ja) | 2013-03-12 | 2014-09-18 | 凸版印刷株式会社 | 表示体 |
KR20150128853A (ko) | 2013-03-12 | 2015-11-18 | 도판 인사츠 가부시키가이샤 | 표시체 |
EP3427968A1 (en) | 2013-03-12 | 2019-01-16 | Toppan Printing Co., Ltd. | Display |
US10598833B2 (en) | 2013-03-12 | 2020-03-24 | Toppan Printing Co., Ltd. | Display |
WO2018097314A1 (ja) | 2016-11-28 | 2018-05-31 | 凸版印刷株式会社 | 表示体、およびその真贋判定方法、ならびに印刷物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0359197A (ja) | 1991-03-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |